説明

毛髪化粧料

【課題】毛髪にウェーブを形成あるいはストレートにすることを目的として使用されるヘアアイロン前に塗布する毛髪化粧料であって、毛髪をヘアアイロンの熱ダメージから保護し、ウェーブおよびストレート効果、セット持続力に優れ、ごわつきがなく、なめらかな手触り感触に優れた毛髪化粧料に関する。
【解決手段】((A)ガラス転移点が160℃以上の水溶性高分子化合物
(B)ヨウ素価の値が70〜130である植物油
(C)低級アルコール
を含有し、ヘアアイロンを使用する前に毛髪に塗布することを特徴とする毛髪化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪にウェーブを形成あるいはストレートにすることを目的として使用されるヘアアイロンを用いて毛髪をセットする前に塗布する毛髪化粧料であって、毛髪をヘアアイロンの熱ダメージから保護し、ウェーブおよびストレート効果、セット持続力に優れ、ごわつきがなく、なめらかな手触りを有する感触に優れた毛髪化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ヘアスタイルはファッションのひとつであり多様化している。特に10代、20代の若年層においては、毛先にウェーブを持たせたボリューム感のあるウェーブヘアやさらさらと風になびく様なストレートヘアなどの髪型が流行している。これらの髪型を形成する方法として、「ストレート用ヘアアイロン」や「巻き髪用コテ」などを用いて形成する方法が増加している。ヘアアイロンやコテは一般的に120〜180℃の熱によって毛髪内部の水分を瞬間的に蒸発させ、毛髪のタンパク質の構造を変形させて毛髪の癖付けするものである。ヘアアイロンの熱はドライヤーの熱(約90℃)と比較して非常に高い温度の熱を毛髪に与えるものであり、そのためヘアアイロンやコテを繰り返し使用すると、熱および水分蒸散によって毛髪のタンパク質が変性し、毛髪ダメージが徐々に進行する。例えば、毛髪表面のキューティクルではブリスター(水脹れ)、リフトアップや剥がれが発生し、毛髪内部のコルテックスではタンパク質を構成しているシスチンやメチオニンの化学変化やα−へリックス構造の変化が発生し、毛髪の表面と内部のダメージが複合的に進行して、やがて切れ毛や枝毛を発生させることとなる。
【0003】
毛髪を熱から保護する方法としては、一般に植物エキス類やケラチンやコラーゲンなどの加水分解タンパク質など天然由来の素材を配合した毛髪化粧料(例えば、特許文献1〜2参照。)、多価アルコールや各種の高分子ポリマーやシリコーン類を組合わせて配合した毛髪化粧料(例えば、特許文献3〜6参照。)が提案されている。しかしながら、これらの発明は温度の低いドライヤーの熱から毛髪を保護する効果はあるものの、温度の高いヘアアイロンの熱に対しては、植物エキスやコラーゲンなどの加水分解タンパク質は容易に変性して、毛髪を保護する効果が認められない。また、多価アルコールは引火点がヘアアイロンより低いために毛髪のタンパク質の分解を促進し、かえって毛髪のダメージを加速する原因となる。また、各種の高分子ポリマーについても、ヘアアイロンの熱で高分子化合物が軟化して液状化し、焦げ付きや煙が発生し、毛髪の損傷防止が出来ないばかりか、ヘアアイロンにも焦げ付きや劣化を生じる。
【0004】
更に、ヘアアイロンを用いて毛髪のスタイリングを行う際、毛髪の濡れ状態によって毛髪ダメージの進行が異なる。即ち、水分を多量に含んだ毛髪(濡れ髪)をヘアアイロンで熱処理すると、乾燥した毛髪(乾燥毛)と比較して数倍のスピードで毛髪ダメージが進行する。これは先に述べたように、ヘアアイロンの熱で毛髪内部の水分が突沸し、タンパク質の加水分解などを促進するためである。そのため、乾燥性の悪いスタイリング剤を塗布した場合、スタイリング剤中の多量の水分により濡れ髪と同様な状態となり、毛髪のダメージが加速されることとなる。これらのことからヘアアイロンやコテを用いたスタイリングや癖付けを行う毛髪化粧処理において、ヘアアイロンの高温の熱から毛髪ダメージを保護し、また形成したスタイルを持続できる毛髪化粧料が強く望まれていた。
【0005】
なお、本発明の明細書、特許請求の範囲及び要約書において、特に限定することなく単に「ヘアアイロン」または「コテ」と記載したときは、特定の「ストレート用ヘアアイロン」や「巻き髪用コテ」だけでなく「ウェーブ用アイロン」、「カール用アイロン」「ワッ
フル用アイロン」または他の呼称の毛髪に接触させて熱処理を行うアイロン、コテ類の器具全てを含む。また、一般家庭で使用される120〜180℃程度の設定温度の器具だけでなく、美理容専門店で使用されるような200〜220℃あるいはそれ以上の温度に設定可能な器具も含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−187965号公報
【特許文献2】特開2000−302648号公報
【特許文献3】特開2004−59487号公報
【特許文献4】特開2005−232117号公報
【特許文献5】特開2005−232120号公報
【特許文献6】特開2006−28114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、ヘアアイロンやコテの使用前に塗布することにより、ヘアアイロンやコテで熱処理を行った際に毛髪を熱ダメージから保護し、ウェーブおよびストレート効果、セット持続力に優れ、ごわつきがなく、なめらかな手触りを有する感触に優れた毛髪化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、このような状況に鑑み、鋭意研究した結果、毛髪表面に対してガラス転移点がヘアアイロンより高い温度である水溶性高分子化合物を用いることにより、ヘアアイロンの熱によって軟化せずに熱伝道性を著しく低く保って毛髪表面のキューティクル層の損傷を防ぎ、また毛髪内部に対しては植物油脂が浸透することにより毛髪内部の水の沸騰をコントロールして毛髪タンパク質を保護し、更に乾燥性を高める低級アルコールに溶解することによって毛髪に水分を残すことなく上記の課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明は、(A)ガラス転移点が160℃以上の水溶性高分子化合物
(B)ヨウ素価の値が70〜130である植物油
(C)低級アルコール
を含有し、ヘアアイロンを使用する前に毛髪に塗布することを特徴とする毛髪化粧料である。
【0010】
また、本発明の毛髪化粧料は、下記(A)〜(C)成分を含有し、ヘアアイロンを使用する前に塗布することを特徴としているものでもある。
(A)ガラス転移点がヘアアイロンの使用温度以上の水溶性高分子化合物
(B)ヨウ素価の値が70〜130である植物油
(C)低級アルコール
【発明の効果】
【0011】
本発明の毛髪化粧料は、毛髪にウェーブを形成あるいはストレートにすることを目的として使用される「ストレート用ヘアアイロン」や「巻髪用コテ」などのヘアアイロンを用いて毛髪をセットする前に塗布することによって、毛髪をヘアアイロンの熱ダメージから保護し、ウェーブおよびストレート効果、セット持続力に優れ、ごわつきがなく、なめらかな手触りを有した感触に優れた効果を付与することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】
本発明に用いられる(A)成分の水溶性高分子化合物は、ガラス転移点が160℃以上の物性を有するものである。あるいはガラス転移点がヘアアイロンの使用温度以上の物性を有するものでもよい。ここでガラス転移点とは、一般には非晶質固体材料にガラス転移が起きる温度であり、通常 Tgと記される。水溶性高分子のような非晶質の固体の場合には、低温では剛性を有し流動性の無い状態が、加熱することによって急速に剛性と粘度が低下して流動性を示す温度を意味する。本発明に用いる水溶性高分子化合物としては、ノニオン性高分子化合物、カチオン性高分子化合物またはアニオン性高分子化合物であり、160℃以上のガラス転移点を有するものである。あるいはヘアアイロンの使用温度以上のガラス転移点を有するものでもよい。ノニオン性高分子化合物としては、例えばポリビニルピロロドン、ポリビニルカプロラクタム、VP/メタクリルアミド/ビニルイミダゾール等であり、これらの市販品としては、ルビスコール K30(Tg=175℃,BASF社製)、PVP K−60(Tg=170℃,アイエスピー・ジャパン社製)、ルビスコール K90(Tg=180℃,BASF社製)、PVP K−90(Tg=174℃,アイエスピー・ジャパン社製)、PVP K−120(Tg=176℃,アイエスピー・ジャパン社製)、ルビスコール Plus(Tg=165℃,BASF社製)、ルビセットClear(Tg=218℃,BASF社製)等が挙げられる。カチオン性高分子化合物としては、例えば塩化メチルビニルイミダゾリウム・ビニルピロリドン共重合体、(ビニルピロリドン/メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド)コポリマー、(ビニルピロリドン/アクリル酸DMAPA)コポリマー、ポリクオタニウム−11、ポリクオタニウム−28等であり、これらの市販品としては、ルビカットFC370(Tg=189℃,BASF社製)、ルビカットFC550(Tg=207℃,BASF社製)、ルビカットExcellence(BASF社製)、ルビカットSTYLE(Tg=205℃,BASF社製)、GAFQUAT HS−100(Tg=182℃,アイエスピー・ジャパン社製)、STYLEZE CC−10(Tg=167℃,アイエスピー・ジャパン社製)等が挙げられる。アニオン性高分子化合物としては、例えばVP/アクリレート/ラウリルメタアクリレートコポリマー等であり、これらの市販品としては、STYLIZE 2000(Tg=165℃,アイエスピー・ジャパン社製)等が挙げられる。これらの中でも180℃以上のガラス転移点を有する水溶性高分子化合物が特に好ましく、ノニオン性高分子化合物のVP/メタクリルアミド/ビニルイミダゾール、カチオン性高分子化合物である塩化メチルビニルイミダゾリウム・ビニルピロリドン共重合体、(ビニルピロリドン/アクリル酸DMAPA)コポリマー、VP/アクリレート/ラウリルメタアクリレートコポリマー、ポリクオタニウム−28等が好ましい。
【0014】
本発明においては、これらの水溶性高分子化合物から選ばれる一種または二種以上を適宜選択して用いることができ、その配合量は、毛髪化粧料全量に対し、好ましくは0.1〜10質量%(以下、特に記載のあるもの以外は、質量%を単に「%」で示す)、更に好ましくは、0.5〜5%の範囲である。この配合量の範囲であれば、毛髪をヘアアイロンの熱ダメージから保護し、セット効果優れ、優れた感触を付与することができるため好ましい。
【0015】
本発明に用いられる(B)成分の植物油は、ヨウ素価の値が70〜130の範囲であって、ヨウ素価は、植物油中の不飽和脂肪酸の割合を示す指標である。一般に植物油は乾性油(ヨウ素価130以上)、半乾性油(ヨウ素価100〜130)および不乾性油(ヨウ素価100以下)に分類される。ヨウ素価が130を超えるとヘアアイロンの熱によって重合反応が起こり、樹脂化するなど毛髪に影響を与える。また、ヨウ素価が70未満の場合、ヘアアイロンの熱に安定ではあるが、常温において固形の性状を有しており毛髪における感触上好ましくない。本発明におけるヨウ素価の値が70〜130の範囲の植物油は半乾性油、不乾性油であり、半乾性油としては、トウモロコシ油、大豆油、杏仁油、ヒマワ
リ油、ブドウ種子油、ナタネ油、綿実油、ゴマ油、コムギ胚芽油などが挙げられ、不乾性油としては、マカデミアナッツ油、オリブ油、ヒマシ油、落花生油、ツバキ油、山茶花油、アボガド油、アルモンド油、コメヌカ油、マカデミアナッツ油、メドフォーム油などが挙げられる。これらの中でも、特に不乾性油が好ましい。
【0016】
本発明においては、これらヨウ素価の値が70〜130の範囲の植物油から選ばれる一種または二種以上を適宜選択して用いることができ、その配合量は、毛髪化粧料全量に対し、好ましくは、0.1〜10%であり、更に好ましくは、0.5〜5%の範囲である。この配合量の範囲であれば、毛髪をヘアアイロンの熱ダメージから保護し、優れた感触、またアイロン時の煙の発生抑制を有し特に好ましい。
【0017】
本発明に用いられる(C)成分の低級アルコールとしては、具体的にはエタノール、プロパノール、イソプロパノール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール等が挙げられ、特にエタノールが好ましい。低級アルコールの配合量は、通常毛髪化粧料全量に対し、20%以上、好ましくは50%以上である。この配合量の範囲であれば、塗布後の乾燥性が早く、毛髪に多量の水分を残さないためヘアアイロンの熱ダメージを加速することなく、本発明の効果を発揮することができるため好ましい。
【0018】
本発明の毛髪化粧料は、上記の特定の水溶性高分子化合物、植物油および低級アルコールを必須成分とするるが、これらの必須成分以外にも、本発明の効果を損なわない範囲で通常毛髪化粧料に一般的に配合される他の成分を目的に応じて配合することができる。
【0019】
そのような成分としては、例えば、ラウリル硫酸塩、ポリオキシエチレンラウリエルーテル硫酸塩、ラウリルベンゼンスルホン酸塩、ラウロイルメチル−β−アラニンナトリウム等のアニオン性界面活性剤;2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油アルキルN−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインナトリウム等の両性界面活性剤:ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤;カチオン化セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリ(塩化ジアリルジメチルアンモニウム)、高重合ポリエチレングリコール等の高分子化合物;グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジプロピレングリコール等の湿潤剤;ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸等の高級脂肪酸;ミリスチン酸イソプロピル等のエステル油;流動イソパラフィン、ワセリン、スクワラン等の炭化水素;ジメチルポリシロキサン、高重合シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン等のシリコン類;ジンクピリチオン、塩化ベンザルコニウム等の抗フケ成分;L−アスパラギン酸、L−アスパラギン酸ナトリウム、DL−アラニン、L−アルギニン、グリシン、L−グルタミン酸、L−システイン、Lスレオニン等のアミノ酸;その他紫外線吸収剤、防腐剤、糖類、香料、色剤、金属イオン封鎖剤、酸化防止剤、各種薬剤等が挙げられる。
【0020】
本発明の毛髪化粧料は、ヘアローション、ヘアリキッド、ヘアミスト、ウオーター、ブロー等の毛髪化粧料、ヘアクリーム、ヘアトリートメント、ヘアミルク、ヘアジェル等の乳液・クリーム状毛髪化粧料、ヘアフォーム、ヘアスプレー等のエアゾール状毛髪化粧料等に用いることができる。また本発明の毛髪化粧料は、常法により製造することができる。
【実施例】
【0021】
次に本発明を実施例を用いて詳細に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。実施例に先立ち、各実施例で採用した試験法、評価法を説明する。
【0022】
(1)熱ダメージ保護効果
アジア人バージン毛の毛束(5g,10cm)に実施例および比較例で示した毛髪化粧料2.0gを塗布し、2分後に180℃に加熱したストレート用アイロン(ES2400デジタルセラミックアイロン,レッカ社製)を用いて30秒間処理を行う。次いで市販のシャンプー・コンディショナーで洗浄後、25℃,RH60%の条件下で一昼夜風乾した。この試料塗布〜風乾の操作を60回繰り返した後、以下の試験を行った。
【0023】
(a)システイン酸量の定量
毛束から毛髪50mgをハサミで細切れに切り取り、6mol/L塩酸水溶液10mLを加えて窒素雰囲気下、110℃で24時間加水分解させた。上澄み液1mLを濃縮乾固させた後、0.001mol/L塩酸水溶液40mLを加えて希釈した後、高速液体クロマトグラフにてシステイン酸量を定量した。尚、システイン酸含有率が低い程、毛髪ダメージを保護していることを示す。
【0024】
(b)毛髪引張強度の測定
毛束から80±5μmの太さの毛髪を50本選別し、毛髪の直径をマイクロメーターにて計測した。次いで、テクスチャーアナライザー(Stevens/Mechtric社)を用いて引張強度を測定し、毛髪が破断した時の荷重を測定した。毛髪直径と破断荷重の値から毛髪引張強度を算出して平均値を求めた。尚、毛髪引張強度が高い程、切れにくく枝毛や切れ毛の発生が少なく毛髪ダメージを保護していることを示す。
【0025】
(2)セット力
アジア人バージン毛の毛束(1g,15cm)に実施例および比較例で示した毛髪化粧料0.5gを均一に塗布し、2分後に180℃に加熱した市販の巻髪用アイロン(デジタルカールアイロン 25mm、アドスト社製)を用いて30秒間毛束を巻き、ウェーブを形成させた。巻髪用アイロンから毛束をはずして、毛束の見かけの長さ(L1)を測定した。下記の式に従って、セット力を次式にて求め、下記基準で評価した。
セット力(%)=(100×(15−L1))÷15
【0026】
(判定基準)
◎:セット力(%)≧45
○:45>セット力(%)≧30
△:30>セット力(%)≧15
×:15>セット力(%)
【0027】
(3)セット保持効果
上記セット力を評価した毛束の見かけの長さ(L1)を測定後、次に温度25℃湿度90%の恒温恒湿環境下に毛束を吊し、60分放置した後に取り出し、再び毛束の見かけの長さ(L2)を測定した。下記の式に従って、セット保持効果を次式にて求めた。尚、この値が100に近いほどセット保持効果が高いことを示す。
セット保持効果(%)=(15−L2)÷(15−L1)×100
【0028】
(判定基準)
◎:セット保持効果(%)≧90
○:90>セット保持効果(%)≧60
△:60>セット保持効果(%)≧30
×:30>セット保持効果(%)
【0029】
(4)官能試験(ごわつきのなさ、なめらかさ)
アジア人バージン毛の毛束(10g,15cm)に実施例および比較例で示した毛髪化粧料2.0gを塗布し、2分後に180℃に加熱した市販の巻髪用アイロン(デジタルカー
ルアイロン 25mm、アドスト社製)を用いて30秒間毛束を巻き、ウェーブを形成させた。毛髪温度が常温に戻してから市販のシャンプー・コンディショナーで洗浄後、25℃,RH60%の条件下で一昼夜風乾した。この試料塗布〜風乾の操作を60回繰り返した後、20名の専門パネルを対毛髪のごわつきの無さ、なめらかさについて官能試験を行い、下記に示す判定基準により評価を行った。
【0030】
(判定基準)
ごわつきの無さ(ごわつく/ごわつかないの二者択一)
◎:パネルの15名以上がごわつかないと判断
○:パネルの10名以上15名未満がごわつかないと判断
△:パネルの5名以上10名未満がごわつかないと判断
×:ごわつかないと判断したパネルが5名未満
なめらかさ(引っかかりがあった/なめらかになったの二者択一)
◎:パネルの15名以上が毛髪がなめらかになったと判断
○:パネルの10名以上15名未満が毛髪がなめらかになったと判断
△:パネルの5名以上10名未満が毛髪がなめらかになったと判断
×:なめらかになったと判断したパネルが5名未満
【0031】
実施例1〜7及び比較例1〜7(ヘアミスト)
表1に示すヘアミストを常法により調整し、熱ダメージ保護効果(システイン酸定量、毛髪引張強度)、セット力、セット保持力、官能試験(ごわつきのなさ、なめらかさ)について評価を行いその結果を併せて表1に示した。
【0032】
【表1】

【0033】
表1より明らかなように、本発明による実施例の毛髪化粧料は比較例に比べて、優れた性能を示していた。
【0034】
表1から明らかなように実施例1〜7の毛髪化粧料は、毛髪をヘアアイロンの熱ダメージから保護し、ウェーブおよびストレート効果、セット持続力に優れ、ごわつきがなく、なめらかさを与え手触り感触に優れていた。
【0035】
以下、本発明の毛髪化粧料のその他の処方例を実施例として挙げる。なお、これらの実施例の毛髪化粧料についても、上記の熱ダメージ保護効果(システイン酸定量、毛髪引張強度)、セット力、セット保持力、官能試験(ごわつきのなさ、なめらかさ)について各項目を検討したところ、いずれの実施例においても、優れた特性を有しており良好であった。
【0036】
実施例8(ヘアミスト) (%)
(1)(VP/メタクリルアミド/ビニルイミダゾール)コポリマー 2.0
(商品名:ルビセットClear、Tg=218℃,BASF社製)
(2)ツバキ油 1.0
(3)エタノール 60.0
(4)(アクリレーツ/アクリル酸ステアリル/メタクリル酸アミンオキシド)
コポリマー 1.8
(4)ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 1.0
(5)パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル 0.1
(6)L−アルギニン 0.05(7)L−グルタミン酸ナトリウム 0.05(8)ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム 0.01(9)香料 0.1
(10)精製水 残 余
【0037】
(製法)(3)に(2),(4),(5)および(9)を均一に混合溶解し、(10)を加えた後、(1),(6)〜(8)を加えて均一に混合し、ポンプミスト容器に充填してヘアミストを調整した。
【0038】
実施例9(ヘアローション) (%)
(1)(VP/メタクリルアミド/ビニルイミダゾール)コポリマー 0.3
(商品名:ルビセットClear、Tg=218℃,BASF社製)
(2)塩化メチルビニルイミダゾリウム・ビニルピロリドン共重合体 0.2
(商品名:ルビカットFC550,Tg=207℃,BASF社製)
(3)マカデミアナッツ油 1.0
(4)山茶花油 1.0
(5)エタノール 50.0
(6)ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.1
(7)パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル 0.1
(8)1,3−BG 1.0
(9)塩化ステアリルトリメチルアンモニイウム 0.5
(10)クエン酸ナトリウム 0.05(11)香料 0.1
(12)精製水 残 余
【0039】
(製法)(5)に(3),(4),(6)〜(9)および(11)を均一に混合溶解し、(12)を加えた後、(1),(2)および(10)を加えて均一に混合し、容器に充填してヘアローションを調整した。
【0040】
実施例10(ヘアスプレー) (%)
(1)(VP/アクリレート/ラウリルメタアクリレート)コポリマー 5.0
(商品名:STYLIZE 2000,Tg=180℃,
アイエスピー・ジャパン社製)
(2)コメヌカ油 0.5
(3)メドフォーム油 0.5
(4)アルモンド油 1.0
(5)エタノール 41.0
(6)パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル 1.0
(7)香料 1.0
(8)液化石油ガス(0.3MPa,25℃) 50.0
【0041】
(製法)(1)〜(7)を均一に混合溶解して原液を作成し、エアゾール耐圧容器に充填し、噴射剤(8)を充填しヘアスプレーを調整した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ガラス転移点が160℃以上の水溶性高分子化合物
(B)ヨウ素価の値が70〜130である植物油
(C)低級アルコール
を含有し、ヘアアイロンを使用する前に毛髪に塗布することを特徴とする毛髪化粧料。
【請求項2】
(A)ガラス転移点がヘアアイロンの使用温度以上の水溶性高分子化合物
(B)ヨウ素価の値が70〜130である植物油
(C)低級アルコール
を含有し、ヘアアイロンを使用する前に毛髪に塗布することを特徴とする毛髪化粧料。

【公開番号】特開2010−189309(P2010−189309A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−34833(P2009−34833)
【出願日】平成21年2月18日(2009.2.18)
【出願人】(306018365)クラシエホームプロダクツ株式会社 (188)
【Fターム(参考)】