説明

毛髪化粧料

【課題】主にヘアオイルとして使用される毛髪化粧料において、優れた使用感を有し、経時安定性に優れた新規な毛髪化粧料を提供すること。
【解決手段】下記成分(a)〜(c)を配合することを特徴とする毛髪化粧料。
(a)揮発性油分:40〜90質量%
(b)ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン・ブチレン・ジメチルポリシロキサン共重合体:0.1〜20質量%
(c)エタノール:0.1〜30質量%

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は毛髪化粧料に関する。さらに詳しくは、主にヘアオイルとして使用される毛髪化粧料において、優れた使用感を有し、経時安定性に優れた毛髪化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘアオイルは毛髪に油分を補い、光沢、滑らかさ、柔軟性を与えることを目的として使用される毛髪化粧料である。その構成成分は、比較的粘度の低い植物油(ツバキ油、オリーブ油等)、鉱物油(流動パラフィン)を主成分とし、これに高級脂肪酸エステル、スクワラン、シリコーン油等が配合されている(非特許文献1)。
【0003】
例えば、特許文献1には、高分子シリコーンを含有し、毛髪に塗布した時の伸び、滑らかさと柔軟な感触に優れ、毛髪に対しべたつかず、かつ塗布後の毛髪に対しても滑らかな感触や柔らかさ、適度なまとまり感を有する毛髪化粧料が開示されている。当該毛髪化粧料は構成成分として、特定の高分子シリコーン、揮発性炭化水素油、コレステロール誘導体、低粘度シリコーン油を配合するものである。非水系であることが好ましいが、形態・剤型によっては、少量の水、低級アルコール(エタノール)を含むことができるとされている。しなしながら、特許文献1記載の毛髪化粧料は、本願発明の(b)成分を構成成分に有しないため、その使用感が本願発明よりも必ずしも良くない。
【0004】
また、特許文献2は本願出願人による発明であり、毛髪に優れた光沢を与え、滑らかな感触を付与し、なおかつしっとりとサラサラした感触を与えるという背反する使用感を同時に実現するヘアオイル等の毛髪化粧料が開示されている。その構成成分は、(A)植物油を1〜15質量%、(B)揮発性油分、(C)高分子量ジメチルポリシロキサン、(D)ヒドロキシル基、ポリオキシエチレン基及び/又はポリオキシプロピレン基を有するジメチルポリシロキサンを含有することを特徴とする毛髪化粧料である。
【0005】
しかしながら、特許文献2に記載されたヘアオイルは、本願発明の必須成分であるエタノールを配合していないため、その使用感が本願発明よりも悪化する。さらに、特許文献2記載の発明に、本願発明の(b)成分を加えた場合には、その経時安定性が悪化する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−223930号公報
【特許文献2】特開2009−221143号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】光井武夫編者、「新化粧品学」、1997年8月20日(1版3刷)、P438〜439 南山堂
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者等は上述の課題に鑑み、使用感と安定性に優れた新規なヘアオイルを製造すべく鋭意研究した結果、特定のヘアオイル組成物に、特定構造のジメチルポリシロキサンとエタノールとを併用すると、驚くべきことに、髪なじみが良く、櫛通り、毛髪のまとまり感、毛髪のつるつる感が高いヘアオイルが得られ、またヘアオイルが一般的に塗布時に油っぽいという課題も解決し、さらに経時で毛髪がぱさついてしまうというヘアオイル独自の課題も解決し、ヘアオイル組成物の経時安定性も向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
本発明は、優れた使用感と経時安定性を有する新規なヘアオイルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち、本発明は、下記成分(a)〜(c)を配合することを特徴とする毛髪化粧料を提供するものである。
(a)揮発性油分:40〜95質量%
(b)高重合直鎖状ブロック型のポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン・ブチレン・ジメチルポリシロキサン共重合体:0.1〜20質量%
(c)エタノール:0.1〜30質量%
【0011】
また、本発明は、前記成分(b)が、下記式(1)を有するジメチコンPEGブロックポリマーであることを特徴とする上記の毛髪化粧料を提供するものである。
【化1】

式(1)
(Rは直鎖又は分枝のアルキル基、a及びbは0〜50の整数、mは5〜300の整数、nは1〜40の整数を表す)
【0012】
さらに、本発明は、さらに(d)高分子量ポリシロキサン、高重合度ジメチコノール、アミノ変性高分子量シリコーン及びアンモニウム変性高分子量シリコーンからなる群から選ばれた1種又は2種以上のシリコーンゴムを配合することを特徴とする上記の毛髪化粧料を提供するものである。
【0013】
また、本発明は、さらに(e)植物油及び/又はエステル結合を1つ以上含む極性油を配合することを特徴とする上記の毛髪化粧料を提供するものである。
【0014】
さらに、本発明は、前記毛髪化粧料が、水を実質的に含有しない非水系ヘアオイルであることを特徴とする上記の毛髪化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0015】
(1)本発明の毛髪化粧料(ヘアオイル)は、揮発性油分よりもさらに揮発性の高いエタノールを用いることで、溶媒が早く揮発するので、濡れた髪でも乾いた髪でもなじみが早くなり、ヘアオイルの欠点であった塗布直後の油っぽさが極端に改善される。
(2)本発明の毛髪化粧料(ヘアオイル)は、塗布直後は毛髪がしっとりしていても経時で、ぱさついてしまうというヘアオイルの欠点が改善される。すなわち、毛髪化粧料の溶媒が揮発性油分だけの場合であると、塗布後にドライヤーを用いない使用法の場合は、塗布直後は毛髪はしっとりしているのに、経時でぱさつくといった問題が生じることがある。塗布直後のしっとりさは、毛髪に残存する油分だけではなく、まだ揮発しきれていない揮発性油分の使用感が加わっている。しかしながら、エタノールを用いることで、揮発性油分の毛髪からの揮発が早くなるので残存し難くなり、塗布直後の使用感もほぼ残存油分(揮発性油分やエタノール以外の残存油分)の使用感だけになり、経時で、使用感は変化せず、ぱさつくという上記の問題が改善されるのである。
(3)本発明に用いる溶媒が揮発性油分だけの場合は、(b)成分の親水性の高い部分が経時で沈殿することがあるが、エタノールを併用することにより、沈殿が生じることがなく、優れた経時安定性を有する。
(4)本発明は、成分(b)のジメチコンPEGブロックポリマーの配合により、毛髪へのなじみや指どおりの使用感が顕著に向上する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<(a)揮発性油分:40〜95質量%>
本発明はヘアオイルを意図する毛髪化粧料であり、その主成分は揮発性油分である。
本発明に用いる揮発性油分としては、例えば、比較的低分子量の炭化水素油、比較的低分子量の直鎖状シリコーン、比較的低分子量の環状シリコーンが挙げられ、特に、軽質流動性イソパラフィン、イソドデカン、イソヘキサデカン、揮発性ジメチルポリシロキサン、または環状ポリシロキサンが好ましい。具体的には、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘキサデカメチルシクロヘプタシロキサンが挙げられる。特に好ましくは、軽質流動性イソパラフィン、イソドデカン、イソヘキサデカンである。
【0017】
<配合量>
本発明において、揮発性油分の配合量は、毛髪化粧料全量に対して、40〜95質量%が好ましく、さらに好ましくは、50〜90質量%、最も好ましくは60〜85質量%である。揮発性成分を多量に配合することにより、のびがよくなるために毛髪へ均一に塗布することが可能となり、優れたヘアオイルが得られる。
しかしながら、本発明においては、塗布直後は毛髪がしっとりしていても経時で、ぱさついてしまうというヘアオイルの欠点が改善されている。すなわち、毛髪化粧料の溶媒が揮発性油分だけを上記の如く多量に配合する場合であると、塗布後にドライヤーを用いない使用法の場合は、塗布直後は毛髪はしっとりしているのに、経時でぱさつくといった問題が生じることがある。塗布直後のしっとりさは、毛髪に残存する油分だけではなく、まだ揮発しきれていない揮発性油分の使用感が加わっている。しかしながら、エタノールを用いることで、揮発性油分の毛髪からの揮発が早くなるので残存し難くなり、塗布直後の使用感もほぼ残存油分(揮発性油分やエタノール以外の残存油分)の使用感だけになり、経時で、その使用感は変化せず、ぱさついてしまう問題点が改善される。
【0018】
<(b)高重合直鎖状ブロック型のポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン・ブチレン・ジメチルポリシロキサン共重合体:0.1〜20質量%>
本発明に用いる高重合直鎖状ブロック型のポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン・ブチレン・ジメチルポリシロキサン共重合体とは、ポリオキシアルキレン基が直鎖状にブロック共重合したポリエーテル変性シリコーンであることを意味する。下記式1で示されるブロック共重合型のポリエーテル変性シリコーンが好ましい。本発明において、当該共重合体の毛髪化粧料に対する役割は、毛髪へのなじみや指どおりの使用感を良好に保つことである。
【0019】
【化2】

式(1)
(Rは直鎖又は分枝のアルキル基、a及びbは0〜50の整数(但し、a+bは0を除く)、mは5〜300の整数、nは1〜40の整数を表す)
なお、式中のa、b、m、nは、好ましくは、aは5〜10、bは5〜10、mは200〜300、nは30〜40である。
【0020】
式1のポリエーテル変性シリコーンは種々の改変がなされていてもよく、具体的には、上記式1におけるメチル基の一部がフェニル基で置換されていても、ブチレン基がエチレン基等の他のアルキレン基に置換されていてもよい。また、オキシエチレン基やオキシプロピレン基の一部がオキシブチレン基等の他のオキシアルキレン基に置換されていてもよい。本明細書においては、式(1)の改変物を式(1)のブロック共重合型のポリエーテル変性シリコーンの均等物とみなし、この均等物も含めて「ジメチコンPEGブロックポリマー」と称する場合がある。
式(1)のポリエーテル変性シリコーンは、化合物名としては、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン・ブチレン・ジメチルポリシロキサン共重合体、ポリオキシエチレン・ブチレン・ジメチルポリシロキサン共重合体、ポリシリコーン−13等と称される。
本発明においては市販品を利用できる。好ましい市販品としては、ブロック共重合型ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)・アルキレン・メチルポリシロキサン共重合体、FZ−2250、FZ−2233(東レ・ダウコーニング株式会社)等が挙げられる。
【0021】
<配合量>
ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン・ブチレン・ジメチルポリシロキサン共重合体の配合量は、毛髪化粧料全量に対して、0.1〜20質量%が好ましく、さらに好ましくは、0.5〜10質量%、最も好ましくは1〜2質量%である。配合量が少なすぎると毛髪へのなじみや指どおりを向上させる効果を発揮せず、また、多すぎるとべたつく。
なお、市販品のFZ−2250は(東レ・ダウコーニング株式会社)、原体35質量%とイソパラフィン65質量%の混合物であり、原体の実質純分として上述の配合量が必要である。
【0022】
<(c)エタノール:0.1〜30質量%>
本発明においては、上記必須成分(a)及び(b)と組み合わせて、低級アルコールとして一定量のエタノールを配合することを最大の特徴とする。
すなわち、成分(a)揮発性油分よりもさらに揮発性の高いエタノールを用いることで、溶媒が早く揮発するので、濡れた髪でも乾いた髪でもなじみが早くなり、ヘアオイルの欠点であった塗布直後の油っぽさが極端に改善される。
また、塗布直後は毛髪がしっとりしていても経時で、ぱさついてしまうというヘアオイルの欠点が改善される。すなわち、毛髪化粧料の溶媒が揮発性油分だけの場合であると、塗布後にドライヤーを用いない使用法の場合は、塗布直後は毛髪はしっとりしているのに、経時でぱさつくといった問題が生じることがある。塗布直後のしっとりさは、毛髪に残存する油分だけではなく、まだ揮発しきれていない揮発性油分の使用感が加わっている。しかしながら、エタノールを用いることで、揮発性油分の毛髪からの揮発が早くなるので残存し難くなり、塗布直後の使用感もほぼ残存油分(揮発性油分やエタノール以外の残存油分)の使用感だけになり、経時で、使用感は変化せず、ぱさつくという上記の問題が改善されるのである。
そして、本発明に用いる溶媒が揮発性油分だけの場合は、(b)成分の「ジメチコンPEGブロックポリマー」の親水性の高い部分が経時で沈殿することがある。しかしながらエタノールを併用することにより、沈殿が生じることがなく、優れた経時安定性を有するヘアオイルが得られるのである。
【0023】
<配合量>
エタノールの配合量は、毛髪化粧料全量に対して、0.1〜30質量%が好ましく、さらに好ましくは、0.5〜20質量%、最も好ましくは1〜15質量%である。配合量が少なすぎると上述した効果が十分に発揮されず、また、多すぎると低温安定性が悪化する。
【0024】
<(d)高分子量ポリシロキサン、高重合度ジメチコノール、アミノ変性高分子量シリコーン及びアンモニウム変性高分子量シリコーンからなる群から選ばれた1種又は2種以上のシリコーンゴム>
本発明においては特定のシリコーンゴムを配合することも好ましい。本発明に用いるシリコーンゴムとしては、高分子量ポリシロキサン、高重合度ジメチコノール、アミノ変性高分子量シリコーン及びアンモニウム変性高分子量シリコーンが好ましく、枝毛修復効果やさらさら感、なめらかさに優れた効果を発揮する。
【0025】
高分子量ポリシロキサンとは、下記一般式で示される高分子量ポリシロキサンである。nは好適には5000〜8000である。
【化3】

[式中、R1は同一又は異なって、メチル基またはフェニル基(ただし、全てがフェニル基になることはない。)を表し、R2は同一又は異なって、メチル基または水酸基を表す。nは、3,000〜20,000の整数を表す。]
【0026】
高重合度ジメチコノールとは、下記一般式にて示されるシリコーンゴムである。
【化4】

[式中、R8は、それぞれ独立して、メチル基またはフェニル基であるが、R8の全てがフェニル基である場合はない。R9は水酸基を表す。また、rは重合度で3000〜20000、好適には5000〜8000である。]
高重合度ジメチコノールの代表的な市販品として、例えば、重合度rが約7000のXF49−C2070、同様に重合度rが約7000のX65−C2070(ジーイー東芝シリコーン株式会社製)等が挙げられる。
【0027】
アミノ変性変性高分子量シリコーン又はアンモニウム変性高分子量シリコーンとは、下記一般式で示されるアミノ変性またはアンモニウム変性高分子量シリコーンである。
【化5】

[式中、R3は同一又は異なって、メチル基またはフェニル基(ただし、全てがフェニル基になることはない。)を表し、R4は同一又は異なって、R5と同一またはメチル基または水酸基を表す。R5は式R6Z{R6は炭素数3〜6のアルキレン基を表し、Zは−NR72、−N+R73A−、−NR7(CH2)aNR72、−NR7(CH2)aN+R73A−および−NR7(CH2)aN(R7)C=O(R8)(R7は水素または炭素数1〜4のアルキル基を表し、R8は炭素数1〜4のアルキル基を表し、Aは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を表し、aは2から6の整数である。)からなる群から選ばれる1価の基を表す。}で表されるアミノ基またはアンモニウム基を有する置換基を表し、xおよびyはそれぞれ正の整数で、x+yは3,000〜20,000の整数を表し、y/xは1/500〜1/10,000である。]
【0028】
<配合量>
上記シリコーンゴムの配合量は、毛髪化粧料全量に対して、0.1〜20質量%が好ましく、さらに好ましくは、0.3〜20質量%、最も好ましくは0.5〜15質量%である。
【0029】
<(e)植物油及び/又はエステル結合を1つ以上含む極性油>
本発明においてはさらに植物油及び/又はエステル結合を1つ以上含む極性油を配合しても良い。その理由は、本発明において、しっとりさを付与するためである。
植物油は特に限定されないが、例えば、アボカド油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、油茶油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油等を使用することが可能である。
また、エステル結合を1つ以上含む極性油とは、例えば、セチル−2−エチルヘキサノエート、2−エチルヘキシルパルミテート、2−オクチルドデシルミリステート、ネオペンチルグリコール−2−エチルヘキサノエート、イソプロピルミリステート、ミリスチルミリステート、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、コハク酸ジ2−エチルヘキシル、トリエチルヘキサノイン、リンゴ酸ジイソステアリル等のエステル類等を使用することが可能である。
【0030】
<配合量>
植物油及び/又はエステル結合を1つ以上含む極性油の配合量は、毛髪化粧料全量に対して、0.1〜20質量%が好ましく、さらに好ましくは、0.5〜20質量%、最も好ましくは1〜15質量%である。
【0031】
<非水系ヘアオイル>
本発明の毛髪化粧料が、製品としては水を実質的に含有しない非水系ヘアオイルであることが好ましいが、形態、剤型によっては、少量の水、低級アルコールを含むことができる。
本発明は下記成分(a)〜(c)のみからなるヘアオイルを製造しても好ましい。
また、(d)特定のシリコーンゴム、(e)植物油及び/又はエステル結合を1つ以上含む極性油、或いは、メチルポリシロキサン(ジメチコン)を配合することも好ましい。
【0032】
本発明の毛髪化粧料には、上記した必須構成成分の他に通常化粧料に用いられる他の成分、例えば、粉末成分、液体油脂、固体油脂、ロウ、炭化水素油、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル油、シリコーン油、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、保湿剤、水溶性高分子、増粘剤、皮膜剤、紫外線吸収剤、金属イオン封鎖剤、低級アルコール、多価アルコール、糖、アミノ酸、有機アミン、高分子エマルジョン、pH調整剤、皮膚栄養剤、ビタミン、酸化防止剤、酸化防止助剤、香料、等を必要に応じて適宜配合し、目的とする剤型に応じて常法により製造することが出来る。なお、本発明において最も好ましい毛髪化粧料は、非水系のヘアオイルである。
【実施例】
【0033】
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明する。本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例における配合量は特に断りのない限り質量%で示す。
【0034】
「実施例1〜3及び比較例1〜5」
下記「表1」に記載した組成のヘアオイルを常法により製造して、本発明の効果を評価した。
効果の評価は、20cmに切りそろえた100本の毛髪の束を、シャンプー処理してタオルドライした後、当該束に各ヘアオイルを塗布し、触感及び観察を行うことにより実施した。
評価項目として、使用感には、毛髪へのなじみ、油っぽさのなさ、仕上がりの持続を選択し、各項目について以下の基準に従って官能評価を行った。さらに経時安定性について評価した。
【0035】
「毛髪へのなじみ」
◎:とてもなじみが良い
○:なじみが良い
△:あまりなじみが良くない
×:なじみが良くない
【0036】
「油っぽさのなさ」
◎:とても油っぽくない
○:油っぽくない
△:やや油っぽい
×:油っぽい
【0037】
「仕上がりの持続」
◎:とても持続する
○:持続する
△:あまり持続しない
×:持続しない
【0038】
「経時安定性」
○:室温1年放置で目視により分離又は沈殿が観察されない。
×:室温1年放置で目視により分離又は沈殿が観察される。
【0039】
【表1】

*1:FZ−2250(東レ・ダウコーニング株式会社)
【0040】
以下の本発明のその他のヘアオイルを示す。いずれも、使用感と経時安定性に優れたヘアオイルである。
【0041】
「実施例4 ヘアオイル」
下記成分(1)〜(9)を撹拌溶解、混合して液状ヘアオイルを得た。
配合成分 質量%
(1)(a)軽質流動イソパラフィン 残余
(IPソルベント2028MU、出光興産株式会社)
(2)(b)ジメチコンPEGブロックポリマー 10.0
(FZ-2250、東レ・ダウコーニングシリコーン株式会社)
(3)(c)エタノール 20.0
(4)(d)高分子量ポリシロキサン(KF-9030、シリコーン純分20%、信越化学工業株式会社) 1.0
(5)(d)ジメチコノールガム 1.0
(XF49−C2070、シリコーン純分20%
モメンディブ・パフォーマンス・マテリアルズ株式会社)
(6)(e)トリエチルヘキサノイン 1.0
(7)パンテノール 0.1
(8)イオン交換水 0.05
(9)香料 適量
【0042】
「実施例5 ヘアオイル」
下記成分(1)〜(12)を撹拌溶解、混合して液状ヘアオイルを得た。
配合成分 質量%
(1)(a)イソドデカン 残余
(2)(b)ジメチコンPEGブロックポリマー 5.0
(FZ-2250、東レ・ダウコーニングシリコーン株式会社)
(3)(c)エタノール 10.0
(4)(d)高分子量ポリシロキサン(KF-9030、シリコーン純分20%、信越化学工業株式会社) 5.0
(5)(d)高重合度ジメチコノール 10.0
(XF49−C2497、シリコーン純分35%
モメンディブ・パフォーマンス・マテリアルズ株式会社)
(6)(e)オリーブ油 5.0
(7)スクワラン 5.0
(8)ジメチルポリシロキサン(20cs) 10.0
(9)大豆レシチン 1.0
(10)イソステアロイル(コムギ/トウモロコシ/ダイズ)アミノ酸AMP
0.5%
(11)酢酸トコフェロール 0.1
(12)香料 適量
【0043】
「実施例6 ヘアオイル」
下記成分(1)〜(13)を攪拌溶解、混合し、液状オイルを得た。
配合成分 質量%
(1)(a)イソヘキサデカン 残余
(2)(a)デカメチルシクロペンタシロキサン 20.0
(3)(b)ジメチコンPEGブロックポリマー 5.0
(FZ-2233、東レ・ダウコーニングシリコーン株式会社)
(4)(c)エタノール 15.0
(5)(d)高分子量ジメチルポリシロキサン(KF-9028、シリコーン純分20%、信越化学工業株式会社) 10.0
(6)(e)茶実油 1.0
(7)ジメチルポリシロキサン(20cs) 10.0
(8)架橋型メチルポリシロキサン 5.0
(KSG−15、信越化学工業株式会社)
(9)メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 1.0
(10)t−ブチルメトキシジベンゾイルメタン 0.1
(11)ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン
0.1
(12)ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)
0.5
(13)香料 適量
【0044】
「実施例7 ヘアオイル」
下記成分(1)〜(11)を攪拌溶解、混合し、液状オイルを得た。
配合成分 質量%
(1)(a)イソドデカン 残余
(2)(a)ジメチルポリシロキサン(1.5cs) 5.0
(KF−96L−1.5cs、信越化学工業株式会社)
(3)(b)ジメチコンPEGブロックポリマー 5.0
(FZ-2233、東レ・ダウコーニングシリコーン株式会社)
(4)(c)エタノール 15.0
(5)(d)高分子量ポリシロキサン(KF-9030、シリコーン純分20%、信越化学工業株式会社) 5.0
(6)(d)アミノ変性高分子量シリコーン10%ジメチルポリシロキサン溶液
(APS−10−DMS、信越化学工業株式会社) 5.0
(7)(e)ツバキ油 10.0
(8)メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 1.0
(9)オキシベンゾン−3 0.1
(10)ローヤルゼリーエキス 0.5
(11)香料 適量
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明によれば、主にヘアオイルとして使用される毛髪化粧料において、格別顕著な優使用感を有し、経時安定性に優れた毛髪化粧料が提供される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(a)〜(c)を配合することを特徴とする毛髪化粧料。
(a)揮発性油分:40〜95質量%
(b)高重合直鎖状ブロック型のポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン・ブチレン・ジメチルポリシロキサン共重合体:0.1〜20質量%
(c)エタノール:0.1〜30質量%
【請求項2】
前記成分(b)が、下記式(1)を有するジメチコンPEGブロックポリマーであることを特徴とする請求項1記載の毛髪化粧料。
【化1】

式(1)
(Rはアルキル基、a及びbは0〜50の整数、mは5〜300の整数、nは1〜40の整数を表す)
【請求項3】
さらに(d)高分子量ポリシロキサン、高重合度ジメチコノール、アミノ変性高分子量シリコーン及びアンモニウム変性高分子量シリコーンからなる群から選ばれた1種又は2種以上のシリコーンゴムを配合することを特徴とする請求項1又は2記載の毛髪化粧料。
【請求項4】
さらに(e)植物油及び/又はエステル結合を1つ以上含む極性油を配合することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項記載の毛髪化粧料。
【請求項5】
前記毛髪化粧料が、水を実質的に含有しない非水系ヘアオイルであることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項記載の毛髪化粧料。

【公開番号】特開2011−195471(P2011−195471A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−61308(P2010−61308)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(000001959)株式会社 資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】