説明

毛髪化粧料

【課題】乾燥時にも良好な指通りを保ち、毛髪に艶とうるおい、ハリ・コシを与える毛髪化粧料の提供。
【解決手段】(A)及び(B)を含有する毛髪化粧料。(A)式(1)で示されるアルギニン誘導体0.1〜20重量%


(式中、R又はRは水素又はヒドロキシプロピル基であり、少なくともどちらかはヒドロキシプロピル基である。Rは水素等を示す。)(B)シリコーン又はシリコーン誘導体から選ばれる一種以上のシリコーン化合物

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヘアミルク、ヘアワックス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント等の毛髪化粧料に関する。さらに詳しくは、傷んだ毛髪に対して乾燥時にも良好な指通りを保ち、毛髪に艶とうるおいを与え、毛髪にハリ・コシを与えるとともに、毛髪のひっかかりやもつれによる切れ毛を防止する毛髪化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より毛髪化粧料においては、毛髪の指通りを良くし、艶を付与し、まとまりのある髪に仕上げる等の性能が求められている。そのため、炭化水素油、エステル油、シリコーン等の油性成分が毛髪化粧料に配合されている。中でも、シリコーンは表面張力が低く、潤滑性に優れるため、毛髪に塗布した場合、薄く均一に伸展し毛髪の指通りを向上することから、毛髪化粧料に広く用いられている。
しかし、最近では染毛やパーマネントウェーブが一般的となり、毛髪に対してヘアカラー、ブリーチ等の脱色処理やパーマネントウェーブ等の酸化還元処理を行う機会が増えている。脱色又は酸化還元処理された毛髪では細胞間脂質や蛋白質が酸化・変性し、シャンプー等の洗髪時に徐々に流出し、キューティクルが部分的に剥離し、毛髪の一部表面の親水性が高くなる。その結果、乾燥時には毛髪同士の摩擦により帯電し易くなり、感触を著しく損ねることになる。また、親水性が高くなった毛髪にはシリコーンがなじみにくくなり、充分な指通り性が付与されないという問題もあった。そこで、各種のシリコーン誘導体を応用した毛髪化粧料組成物が提案されている。例えば、特許文献1においては、特定のシリコーン誘導体とα−ヒドロキシ酸及び特定の油剤を組み合わせた毛髪化粧料が、特許文献2においては、シリコーン誘導体と界面活性剤及びポリオール類を組み合わせた毛髪化粧料が提案されている。しかしながら、上記の毛髪化粧料組成物では切れ毛を防止する、又は、傷んだ毛髪を補修する効果はあるものの、乾燥時にも髪の指通りを保つものではなかった。
【0003】
一方、毛髪は脱色又は酸化還元処理等の化学的作用だけでなく、洗髪やブラッシング等の物理的作用を日常的に受けることにより、破断強度が低下する。そして、洗髪やブラッシング時に毛髪が引っかかったり、もつれたりして応力がかかることにより、切れ毛が発生する。切れ毛が増えると、指通り性が低下するだけでなく、見た目の風合いも損なわれるという問題がある。そこで、特許文献3では、アミノ酸誘導体とシリコーンを用いて切れ毛を防止する毛髪化粧料が提案されている。しかしながら、この毛髪化粧料は、細胞間複合体を修復して毛髪を保護する効果はあるものの、毛髪にハリ・コシを十分に与えるものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−8884号公報
【特許文献2】特開2008−169182号公報
【特許文献3】特開2008−290987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記課題を解決し、傷んだ毛髪に対して乾燥時にも良好な指通りを保ち、毛髪に艶とうるおいを与え、毛髪にハリ・コシを与えるとともに、毛髪のひっかかりやもつれによる切れ毛を防止する毛髪化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは式(1)で示されるアルギニン誘導体とシリコーン化合物を組み合わせることにより、上記の目的を達成するに至った。
すなわち、本発明は次の(A)および(B)を含有する毛髪化粧料を提供するものである。
(A)下記一般式(1)で示されるアルギニン誘導体0.1〜20重量%
【0007】
【化1】

(式中、R又はRは水素原子又はヒドロキシプロピル基であり、RおよびRの少なくともどちらかはヒドロキプロピル基である。Rは水素原子、アルカリ金属原子又はアルカノールアミンの有機カチオン性残基を示す。)
(B)シリコーン又はシリコーン誘導体から選ばれる一種以上のシリコーン化合物 0.1〜10重量%
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、傷んだ毛髪に対して乾燥時にも良好な指通りを保ち、毛髪に艶とうるおいを与え、毛髪にハリ・コシを与えるとともに、毛髪のひっかかりやもつれによる切れ毛を防止する毛髪化粧料を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
成分(A)の式(1)で示されるアルギニン誘導体において、RまたはRは水素原子又はヒドロキシプロピル基であり、RおよびRの少なくともどちらかはヒドロキプロピル基である。すなわち、本発明のアルギニン誘導体は、RまたはRのいずれかがモノヒドロキシアルキル基である1モル付加体と、RとRがどちらもモノヒドロキシアルキル基である2モル付加体がある。付加モル数はプロピレンオキシドとアルギニンとの仕込比率で制御できる。
出発原料としてのアルギニンは、D体、L体およびDL体のいずれも使用できるが、汎用的に入手できる点でL体が好ましい。
式(1)において、Rは水素原子、アルカリ金属原子又はアルカノールアミンの有機カチオン性残基を示す。アルカリ金属原子としては、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム等が挙げられる。また、アルカノールアミンの有機カチオン性残基とは、式(1)中のRが水素原子であるときのカルボン酸部分とアルカノールアミンとで形成される塩において、カルボン酸由来のアニオン性部分を除くカチオン性部分のことをいう。アルカノールアミンとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどが挙げられる。
【0010】
本発明の式(1)で表されるアルギニン誘導体は、アルギニンとプロピレンオキシドとを水溶媒中、無触媒で反応させることにより得ることができる。具体的には、所定濃度のアルギニン水溶液を調製し加温しながら、撹拌下、プロピレンオキシドを滴下しながら反応を行うことで、式(1)で表されるアルギニン誘導体が得られる。但し、Rがアルカリ金属またはアルカノールアミンの有機カチオン性残基である場合、アルギニンとプロピレンオキシドとの反応の後、水酸化ナトリウムやアルカノールアミンといったアルカリ剤と反応させることにより、式(1)で表されるアルギニン誘導体を得ることができる。また、本発明では有機酸や無機酸でアルギニン誘導体の酸付加塩としてもよい。
【0011】
成分(A)の式(1)で示されるアルギニン誘導体の含有量は、本発明の毛髪化粧料組成物中に、0.1〜20重量%が好ましく、0.4〜15重量%がより好ましい。含有量が0.1重量%未満であると、毛髪にうるおいを与えることができず毛髪のひっかかりやもつれによる切れ毛を十分に防止することができない。一方、含有量が20重量%を超えると、傷んだ毛髪に対して乾燥後に良好な指通りを保つことができない。
【0012】
本発明で用いられる成分(B)は、シリコーン又はシリコーン誘導体である。一般的に「シリコーン」とは、シロキサン結合[-Si(R45)-O-]を骨格とし、これに有機の基R(R45)としてメチル基、ビニル基、フェニル基などが結合している有機ケイ素化合物のポリマーオルガノポリシロキサンの総称であるが、本願においては化粧料として最も汎用性の高い(R45)がメチル基であるジメチルポリシロキサンをシリコーンと称す。またシリコーン誘導体としてはジメチルポリシロキサン骨格にアミノ基、アルキル基、ポリエーテル基、カチオン基などを導入した各種変性シリコーンが挙げられる。シリコーン又はシリコーン誘導体の分子量(重合度)については、低分子量のシリコーン油からシリコーングリース、シリコーンゴム、シリコーン樹脂(ケイ素樹脂)といった高分子量のものが使用できるが、本願においては乾燥時の毛髪の指通り性を与える効果や髪につやを与える効果から、好ましくは平均重合度が500〜10000のシリコーン又はシリコーン誘導体であり、より好ましくは平均重合度が1000〜5000のシリコーン又はシリコーン誘導体である。
【0013】
成分(B)のシリコーン又はシリコーン誘導体の含有量は、本発明の毛髪化粧料組成物中に、0.1〜10重量%、好ましくは0.2〜5重量%である。0.1重量%未満であると、毛髪に艶を与え難くなる。10重量%を超えると、毛髪のハリ・コシを与え難くなる。
【0014】
本発明の毛髪化粧料は、化粧料に用いられるその他の成分を、本発明の効果が損なわれない範囲で適宜配合することができる。
【実施例】
【0015】
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明する。
<アルギニン誘導体の合成例>
<化合物1>
L−アルギニン(味の素(株)製「アルギニン C−グレード」を使用)174g(1モル)をイオン交換水406gに溶解してオートクレーブに仕込み、オートクレーブ内の空気を乾燥窒素で置換した。次に60℃に昇温し、プロピレンオキシド64g(1.1モル)を1時間かけて滴下した後、60℃に保ちさらに6時間反応した。反応終了後、30分間乾燥窒素でバブリングして未反応のプロピレンオキシドを除去し、オートクレーブから反応液を取り出し、溶媒を減圧留去して反応生成物を得た。反応生成物のH−NMRスペクトルを測定し、下記算出法に基づいて、反応生成物のプロピレンオキシド平均付加モル数を算出した。その結果、化合物1のプロピレンオキシド平均付加モル数は1.02モルであった。この反応生成物に対してイオン交換水を加え、アルギニン誘導体の25質量%水溶液を調製し、以下の検討に用いた。
【0016】
H−NMR測定条件>
使用機種:日本電子株式会社製 ECA−600(600MHz)
測定溶媒:D
内部標準:DSS(2,2−ジメチル−2−シラペンタン−5−スルホン酸ナトリウム)
<ヒドロキシプロピル基の平均付加モル数の算出方法>
S1:δ=1.5〜1.7ppmのアルギニンのβ−炭素、γ−炭素に結合している水素に帰属されるピークの積算強度、
S2:δ=2.5〜2.8ppmのα−アミノ基に付加したヒドロキシプロピル基の1位の炭素に結合している水素に帰属されるピークの積算強度とし、
ヒドロキシプロピル基の平均付加モル数=(S2/S1)×2で算出した。
【0017】
<化合物2>
L−アルギニン(味の素(株)製「アルギニン C−グレード」を使用)174g(1モル)とプロピレンオキシド116g(2モル)を用いた以外は、化合物1と同様の条件で反応を行った。得られた反応生成物のH−NMRスペクトルより求めた化合物2のプロピレンオキシド平均付加モル数は1.84モルであった。この反応生成物に対してイオン交換水を加え、アルギニン誘導体25質量%水溶液を調製し、以下の検討に用いた。
【0018】
実施例1〜8及び比較例1〜4
表2〜3に示すヘアリンスである毛髪化粧料を調整し。5項目について下記評価基準により評価を行った。但し、共通添加成分として表1に示す8成分を使用し、クエン酸一水和物によりpHを4.5〜5.5に調整した。
実施例の評価結果を表2、比較例の評価結果を表3に示す。
【0019】
【表1】

【0020】
(1)傷んだ毛髪に対する乾燥時の指通り性
脱色処理溶液(4.5重量%過酸化水素水/2.5重量%アンモニア水)に向きを揃えた長さ20cmの毛束を30分間浸漬し1Lの溜め水ですすいだ。この操作を合計3回繰り返し、損傷毛とした。各ヘアリンスの10%水溶液に損傷毛を10分間浸漬し1Lの溜め水ですすいだ。タオルドライ後、23℃の各恒湿槽(相対湿度20%又は50%)に12時間静置し、それぞれ乾燥処理毛及び非乾燥処理毛とした。20名の男女(20〜40才)をパネラーとし、乾燥処理毛の指通り性について下記の基準で評価した。20名の平均値を求めて、15点以上を傷んだ毛髪に対して乾燥時にも指通り性を保つヘアリンスであると評価した。
(評点) : (評価)
20点 : 非乾燥処理毛と同等に指通り性に優れる。
10点 : 非乾燥処理毛より、僅かに指通り性が劣る。
0点 : 非乾燥処理毛より、明らかに指通り性が劣る。
(2)毛髪の艶
各ヘアリンスの10%水溶液に長さ10cmの毛束を30分間浸漬し1Lの溜め水ですすいだ。タオルドライ後、恒温恒湿室(23℃・50RH)に12時間静置して処理毛とした。20名の男女(20〜40才)をパネラーとし、目視により各処理毛の艶について下記の基準で評価した。20名の平均値を求めて、15点以上を毛髪に艶を与えるヘアリンスであると評価した。
(評点) : (評価)
20点 : 処理毛にとても艶がある。
10点 : 処理毛にやや艶がある。
0点 : 処理毛に艶がない。
【0021】
(3)毛髪のうるおい
各ヘアリンスの10%水溶液に長さ10cmの毛束を30分間浸漬し1Lの溜め水ですすいだ。タオルドライ後、恒温恒湿室(23℃・50RH)に12時間静置して処理毛とした。20名の男女(20〜40才)をパネラーとし、毛髪のうるおい感について下記の基準で評価した。20名の平均値を求めて、15点以上を髪にうるおいを与えるヘアリンスであると評価した。
(評点) : (評価)
20点 : 処理毛にとてもうるおいがあり、しっとりしていると感じる。
10点 : 処理毛にややうるおいがあると感じる。
0点 : 処理毛にうるおいがないと感じる。
(4)毛髪のハリ・コシ
20名の男女(20〜40才)をパネラーとし、洗髪後の濡れた頭髪に各ヘアリンス5gを塗布し洗い流して、タオルドライ後2時間乾燥した時の毛髪のハリ・コシについて下記の基準で評価した。20名の平均値を求めて、15点以上を髪にハリ・コシを与えるヘアリンスであると評価した。
(評点) : (評価)
20点 : 毛髪にハリ・コシがあると感じる。
10点 : 毛髪にややハリ・コシがあると感じる。
0点 : 毛髪にハリ・コシがなく、ボリューム感がないと感じる。
(5)毛髪の切れ毛防止効果
毛髪の切れ毛防止効果は、毛髪の引張り試験を行い、破断強度を求めることにより評価した。各ヘアリンスの10%水溶液に長さ10cmの毛髪を30分間浸漬し1Lの溜め水ですすいだ。タオルドライ後、恒温恒湿室(23℃・50RH)に12時間静置して処理毛とした。引張り強度の測定にはレオメーター(FUDOH RHEOMETER、株式会社レオテック製)を使用した。測定される毛髪長が4cmになるように毛髪一本の両末端をセンサーの先端と移動台に固定し、移動台を20mm/minでセンサーから離し、毛髪が切断された時の応力を破断強度とし、以下の基準で評価した。独立して10回測定を行い、10回の評価の平均値が15点以上を毛髪の切れ毛防止効果に優れるヘアリンスであると評価した。
(評点) : (評価)
20点 : 破断強度が120gf以上であった場合。
15点 : 破断強度が100gf以上120gf未満であった場合。
10点 : 破断強度が80gf以上100gf未満であった場合。
5点 : 破断強度が60gf以上80gf未満であった場合。
0点 : 破断強度が60gf未満であった場合。
【0022】
【表2】

【0023】
【表3】

【0024】
実施例1〜8より、ヘアリンスである本発明の毛髪化粧料は、傷んだ毛髪に対して乾燥時にも良好な指通りを保ち、毛髪に艶とうるおいを与え、毛髪にハリ・コシを与えるとともに、毛髪のひっかかりやもつれによる切れ毛を防止していた。
一方、比較例1〜4のヘアリンスでは充分な性能が得られていない。比較例1ではa成分が配合されていないことから、毛髪にうるおいがなく、毛髪のひっかかりやもつれによる切れ毛を防止できていなかった。比較例2ではb成分が配合されていないことから、傷んだ毛髪に対する乾燥時の指通りが悪く、毛髪の艶がなかった。比較例3ではb成分が本発明の範囲を超えて配合されていることから、毛髪のハリ・コシがなかった。比較例4ではa成分ではなくL−アルギニンが配合されていることから、毛髪にうるおいを与えることができず、切れ毛を防止できていなかった。
【0025】
実施例8〜13及び比較例5〜8
表5に示すヘアミルクである毛髪化粧料を調整し、5項目について下記評価基準により評価を行った。但し、共通添加成分として表4に示す7成分を使用し、クエン酸一水和物によりpHを4.5〜5.5に調整した。
実施例の評価結果を表5、比較例の評価結果を表6に示す。
【0026】
【表4】

【0027】
(1)傷んだ毛髪に対する乾燥時の指通り性
脱色処理溶液(4.5重量%過酸化水素水/2.5重量%アンモニア水)に向きを揃えた長さ20cmの毛束を30分間浸漬し1Lの溜め水ですすいだ。この操作を合計3回繰り返し、損傷毛とした。各ヘアミルク2gを損傷毛に塗布した後、23℃の各恒湿槽(相対湿度20%又は50%)に12時間静置し、それぞれ乾燥処理毛及び非乾燥処理毛とした。20名の男女(20〜40才)をパネラーとし、乾燥処理毛の指通り性について下記の基準で評価した。20名の平均値を求めて、15点以上を傷んだ毛髪に対して乾燥時にも指通り性を保つヘアリンスであると評価した。
(評点) : (評価)
20点 : 非乾燥処理毛と同等に指通り性に優れる。
10点 : 非乾燥処理毛より、僅かに指通り性が劣る。
0点 : 非乾燥処理毛より、明らかに指通り性が劣る。
(2)毛髪の艶
各ヘアミルク2gを長さ10cmの毛束に塗布した後、恒温恒湿室(23℃・50RH)に12時間静置して処理毛とした。20名の男女(20〜40才)をパネラーとし、目視により各処理毛の艶について下記の基準で評価した。20名の平均値を求めて、15点以上を毛髪に艶を与えるヘアリンスであると評価した。
(評点) : (評価)
20点 : 処理毛にとても艶がある。
10点 : 処理毛にやや艶がある。
0点 : 処理毛に艶がない。
【0028】
(3)毛髪のうるおい
各ヘアミルク2gを長さ10cmの毛束に塗布した後、恒温恒湿室(23℃・50RH)に12時間静置して処理毛とした。20名の男女(20〜40才)をパネラーとし、毛髪のうるおい感について下記の基準で評価した。20名の平均値を求めて、15点以上を髪にうるおいを与えるヘアリンスであると評価した。
(評点) : (評価)
20点 : 処理毛にとてもうるおいがあり、しっとりしていると感じる。
10点 : 処理毛にややうるおいがあると感じる。
0点 : 処理毛にうるおいがないと感じる。
(4)毛髪のハリ・コシ
20名の男女(20〜40才)をパネラーとし、頭髪に各ヘアミルク5gを塗布し、乾燥した時の毛髪のハリ・コシについて下記の基準で評価した。20名の平均値を求めて、15点以上を髪にハリ・コシを与えるヘアリンスであると評価した。
(評点) : (評価)
20点 : 毛髪にハリ・コシがあると感じる。
10点 : 毛髪にややハリ・コシがあると感じる。
0点 : 毛髪にハリ・コシがなく、ボリューム感がないと感じる。
(5)毛髪の切れ毛防止効果
毛髪の切れ毛防止効果は、毛髪の引張り試験を行い、破断強度を求めることにより評価した。各ヘアミルク2gを長さ10cmの毛髪に塗布した後、恒温恒湿室(23℃・50RH)に12時間静置して処理毛とした。引張り強度の測定にはレオメーター(FUDOH RHEOMETER、株式会社レオテック製)を使用した。測定される毛髪長が4cmになるように毛髪一本の両末端をセンサーの先端と移動台に固定し、移動台を20mm/minでセンサーから離し、毛髪が切断された時の応力を破断強度とし、以下の基準で評価した。独立して10回測定を行い、10回の評価の平均値が15点以上を毛髪の切れ毛防止効果に優れるヘアリンスであると評価した。
(評点) : (評価)
20点 : 破断強度が120gf以上であった場合。
15点 : 破断強度が100gf以上120gf未満であった場合。
10点 : 破断強度が80gf以上100gf未満であった場合。
5点 : 破断強度が60gf以上80gf未満であった場合。
0点 : 破断強度が60gf未満であった場合。
【0029】
【表5】

【0030】
【表6】

【0031】
実施例8〜13より、ヘアミルクである本発明の毛髪化粧料は、傷んだ毛髪に対して乾燥時にも良好な指通りを保ち、毛髪に艶とうるおいを与え、毛髪にハリ・コシを与えるとともに、毛髪のひっかかりやもつれによる切れ毛を防止していた。
一方、比較例5〜8のヘアミルクでは充分な性能が得られていない。比較例5ではa成分が配合されていないことから、毛髪にうるおいがなく、毛髪のひっかかりやもつれによる切れ毛を防止できていなかった。比較例6ではb成分が配合されていないことから、傷んだ毛髪に対する乾燥時の指通りが悪く、毛髪の艶がなかった。比較例7ではb成分が本発明の範囲を超えて配合されていることから、毛髪のハリ・コシがなかった。比較例8ではa成分ではなくL−アルギニンが配合されていることから、毛髪にうるおいを与えることができず、切れ毛を防止できていなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の(A)および(B)を含有することを特徴とする毛髪化粧料。
(A)式(1)で示されるアルギニン誘導体 0.1〜20重量%
【化1】


(式中、R又はRは水素原子又はヒドロキシプロピル基であり、RおよびRの少なくともどちらかはヒドロキプロピル基である。Rは水素原子、アルカリ金属原子又はアルカノールアミンの有機カチオン性残基を示す。)
(B)シリコーン又はシリコーン誘導体から選ばれる一種以上のシリコーン化合物 0.1〜10重量%

【公開番号】特開2012−12312(P2012−12312A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−147876(P2010−147876)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【出願人】(000004341)日油株式会社 (896)
【Fターム(参考)】