説明

毛髪化粧料

【課題】頭皮のマッサージを持続でき、十分なマッサージ効果が得られる毛髪化粧料を提供する。
【解決手段】次の成分(A)〜(C):(A)第3級アミン化合物又はその塩0.3〜5質量%(B)炭素数12〜26の脂肪族アルコール1〜15質量%(C)一般式(I)で表されるノニオン性基含有ビニル単量体等を必須構成単量体とし、ラジカル重合することにより得られるカチオン性基含有共重合体0.05〜2質量%及び水を含有する毛髪化粧料である。


(式中、R11は水素原子又はメチル基を示し、R12及びR13は同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基又はアルケニル基を示す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
頭皮のマッサージによって血液の流れが良好となり、新陳代謝を高め、頭皮を柔軟にする等の効果が得られることや、マッサージによるリラックス効果が得られることが知られている。しかしながら、頭皮のマッサージの際に、毛髪がからまったり、もつれたりして、毛髪が損傷する場合があった。
【0003】
一方、毛髪のからまりを抑制して指通りを滑らかにするものとして、ヘアシャンプー、ヘアリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント、ヘアクリーム、ヘアパック等の毛髪化粧料が広く使用されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−327513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の毛髪化粧料を用いて頭皮のマッサージを行った場合、マッサージ途中で毛髪化粧料ののびが低下し、時間の経過とともに毛髪の滑り性が低減し、指やブラシ等に毛髪が、からまるといった問題が生じる場合があった。そのため、マッサージを持続できず、十分なマッサージ効果を得ることができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、第3級アミン化合物又はその塩、炭素数12〜22の脂肪族アルコール、及び特定のカチオン性ポリマーを特定の範囲内で組み合わせて使用することにより、毛髪の滑り性が持続されるため、毛髪のからまりを抑制し、マッサージを持続できることを見出した。
【0007】
すなわち、本発明は、
次の成分(A)〜(C):
(A)第3級アミン化合物又はその塩 0.3〜5質量%
(B)炭素数12〜26の脂肪族アルコール 1〜15質量%
(C)一般式(I)又は(II)で表されるノニオン性基含有ビニル単量体の少なくとも1種と、一般式(III)又は(IV)で表されるカチオン性基含有ビニル単量体の少なくとも1種と、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基及びアリル基から選ばれる少なくとも2個の基を分子中に有する架橋性ビニル単量体の少なくとも1種とを必須構成単量体とし、ラジカル重合することにより得られるカチオン性基含有共重合体 0.05〜2質量%
及び水を含有する毛髪化粧料を提供するものである。
【化1】

(式中、R11は水素原子又はメチル基を示し、R12及びR13は同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基又はアルケニル基を示す。)
【化2】

(式中、R11は水素原子又はメチル基を示し、A及びAは同一又は異なって、式−(CH−(mは2〜6の整数を示す)で表される基を示し、Bは−O−又は−CH−基を示す。)
【化3】

(式中、R11は水素原子又はメチル基を示し、R14及びR15は同一又は異なって、炭素数1〜4のアルキル基又はアルケニル基を示し、R16は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、Yは−O−、−NH−、−CH−又は−O−CHCH(OH)−基を示し、Zは炭素数1〜4(ただしYが−CH−のときは炭素数0〜3)の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示し、Xは酸の共役塩基、ハロゲン原子又は炭素数1〜4のアルキルサルフェート基を示す。)
【化4】

(式中、R17及びR18は同一又は異なって、水素原子又はメチル基を示し、R19及びR20は同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、Xは酸の共役塩基、ハロゲン原子又は炭素数1〜4のアルキルサルフェート基を示す。)
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、頭皮のマッサージの際に、毛髪のからまりやもつれを抑制し、頭皮のマッサージを持続でき、十分なマッサージ効果が得られる毛髪化粧料を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0010】
(毛髪化粧料)
本発明で使用される毛髪化粧料としては、例えば、以下のものが挙げられる。
【0011】
成分(A)は、第3級アミン化合物又はその塩である。これにより、頭皮や毛髪への塗布時やその後のすすぎ時において、毛髪を滑らかにすることができる。
第3級アミン化合物としては、一般式(2)で表される。
【0012】
【化5】

【0013】
〔式中、Rは総炭素数8〜35の−OCO−又は−COO−で表される官能基で分断又は−OHで置換されていてもよい直鎖又は分岐鎖のアルキル基、アルケニル基、又は脂肪族アシルオキシ(ポリエトキシ)エチル基を示し、Rは炭素数1〜22のアルキル基、又はヒドロキシアルキル基、若しくは合計付加モル数10以下のポリオキシエチレン基を示し、2個のRは同一でも異なってもよい。〕
【0014】
一般式(2)で表される第3級アミン化合物としては、第3級アミンを有機酸及び/又は無機酸によって塩としたものを用いてもよいし、本発明の毛髪化粧料に酸を配合して、pH調整と共に組成物中で塩を形成させてもよい。かかる酸としては、例えば、アルキルリン酸、アルキルスルホン酸、アルキル硫酸等の短鎖アルキル基を有する酸;L−グルタミン酸、L−アスパラギン酸等の酸性アミノ酸;ピログルタミン酸;安息香酸、p−トルエンスルホン酸等の芳香族酸;グリコール酸、乳酸、グリセリン酸、グルコン酸、パントテン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等のヒドロキシ酸;その他リン酸、塩酸、酢酸、コハク酸などが挙げられる。中でも毛髪に対する保湿及び柔軟化効果をもたらす点から、有機酸が好ましく、特に、酸性アミノ酸、ピログルタミン酸、ヒドロキシ酸が好ましく、ヒドロキシ酸がより好ましい。
【0015】
成分(A)の第3級アミン化合物のより具体的な例としては、例えば、以下の(i)〜(iii)の第3級アミン化合物(またはその塩)等の少なくともいずれか1つが挙げられる。
【0016】
(i)ヒドロキシエーテルアルキルアミン(またはその塩)
例えば下記一般式(3)で表される化合物及びその塩が挙げられる。
【0017】
【化6】

【0018】
〔式中、Rは、炭素数6〜24の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、R及びRは、同一又は相異なって炭素数1〜6のアルキル基又は−(AO)H(Aは炭素数2〜4のアルキレン基、fは1〜6の数を示し、f個のAは同一でも異なってもよく、その配列は任意である)を示す。eは1〜5の数を示す。〕
【0019】
具体的には、ヘキサデシルオキシ(2−ヒドロキシプロピル)ジメチルアミンおよびその塩、オクタデシルオキシ(2−ヒドロキシプロピル)ジメチルアミンおよびその塩が挙げられる。
【0020】
(ii)エーテルアミン(またはその塩)
例えば下記一般式(4)で表される化合物またはその塩が挙げられる。
【0021】
【化7】

【0022】
〔式中、Rは、炭素数6〜24の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、R及びRは、同一又は相異なって炭素数1〜6のアルキル基又は−(AO)H(Aは炭素数2〜4のアルキレン基を示し、gは1〜6の数を示し、g個のAは同一でも異なってもよく、その配列は任意である)を示す。〕
【0023】
具体的には、N,N−ジメチル−3−ヘキサデシルオキシプロピルアミンおよびその塩、N,N−ジメチル−3−オクタデシルオキシプロピルアミンおよびその塩が挙げられる。
【0024】
(iii)アルキルアミドアミン(またはその塩)
例えば下記一般式(5)で表される化合物またはその塩が挙げられる。
【0025】
【化8】

【0026】
〔式中、Rは炭素数11〜23の脂肪族炭化水素基を示し、R10は同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、nは2〜4の数を示す。〕
【0027】
具体的には、N−(3−(ジメチルアミノ)プロピル)ドコサナミドおよびその塩、N−(3−(ジメチルアミノ)プロピル)ステアラミドおよびその塩が挙げられる。
【0028】
上記の(i)〜(iii)第3級アミン化合物の中でも、塗布時、すすぎ時の滑らかさの観点から(ii)エーテルアミン(またはその塩)、及び(iii)アルキルアミドアミン(またはその塩)が好ましい。その中でも特に、(ii)エーテルアミン(またはその塩)が好ましい。これにより頭皮のマッサージの際に、毛髪がからまりにくい。さらに、N,N−ジメチル−3−ヘキサデシルオキシプロピルアミンまたはその塩、N,N−ジメチル−3−オクタデシルオキシプロピルアミンまたはその塩が好ましい。
【0029】
成分(A)は、1種または2種以上の第3級アミン化合物を併用してもよい。
【0030】
成分(A)の含有量は、滑らか性付与の観点から、0.3質量%以上であって、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましい。一方、良好な使用感を得る観点から、5質量%以下含有し、特に初期の毛髪のすべり、毛髪化粧料ののびの良さと広がりやすさとのバランスの観点から、3質量%以下含有することが好ましい。
【0031】
成分(B)は、炭素数12〜26の脂肪族アルコールである。これにより、頭皮や毛髪への塗布時やその後のすすぎ時において、毛髪を滑らかにすることができる。
【0032】
さらに、頭皮や毛髪への塗布時やその後のすすぎ時、乾燥後の毛髪に対する滑らか性付与の観点から、直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を有する脂肪族アルコールが好ましく、中でも、炭素数16〜22の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を有する脂肪族アルコールが好ましい。特に炭素数16〜18の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を有する脂肪族アルコールがより好ましい。具体的には、セチルアルコール、ステアリルアルコールが好ましい。さらには、セチルアルコールが好ましい。
脂肪族アルコールは、水酸基を1つ含むものであり、水酸基を2以上含まない。
【0033】
成分(B)の含有量は、滑らか性付与の観点から、1質量%以上であって、3質量%以上がより好ましく、良好な使用感を得る観点から、15質量%以下含有し、特に初期の毛髪のすべり、毛髪化粧料ののびの良さと広がりやすさとのバランスの観点から、10質量%以下含有することが好ましい。
【0034】
成分(C)は、一般式(I)又は(II)で表されるノニオン性基含有ビニル単量体の少なくとも1種と、一般式(III)又は(IV)で表されるカチオン性基含有ビニル単量体の少なくとも1種と、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基及びアリル基から選ばれる少なくとも2個の基を分子中に有する架橋性ビニル単量体の少なくとも1種とを必須構成単量体とし、ラジカル重合することにより得られるカチオン性基含有共重合体である。成分(C)が毛髪化粧料に含まれることで、毛髪化粧料ののびが持続し、毛髪のすべり性も持続する為、毛髪化粧料が髪の根元へ良く行き渡り、マッサージによる毛髪のからまりやもつれを抑制できる。また、頭皮からの毛髪化粧料の液だれも低減できる。そのため、マッサージを持続でき、十分なマッサージ効果が得られるようになる。また、毛髪化粧料のすすぎ中、すすぎ後においても毛髪のきしみが生じにくくなる。
【0035】
【化9】

【0036】
(式中、R11は水素原子又はメチル基を示し、R12及びR13は同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基又はアルケニル基を示す。)
【0037】
【化10】

【0038】
(式中、R11は水素原子又はメチル基を示し、A及びAは同一又は異なって、式−(CH−(mは2〜6の整数を示す)で表される基を示し、Bは−O−又は−CH−基を示す。)
【0039】
【化11】

【0040】
(式中、R11は水素原子又はメチル基を示し、R14及びR15は同一又は異なって、炭素数1〜4のアルキル基又はアルケニル基を示し、R16は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、Yは−O−、−NH−、−CH−又は−O−CHCH(OH)−基を示し、Zは炭素数1〜4(ただしYが−CH−のときは炭素数0〜3)の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示し、Xは酸の共役塩基、ハロゲン原子又は炭素数1〜4のアルキルサルフェート基を示す。)
【0041】
【化12】

【0042】
(式中、R17及びR18は同一又は異なって、水素原子又はメチル基を示し、R19及びR20は同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、Xは酸の共役塩基、ハロゲン原子又は炭素数1〜4のアルキルサルフェート基を示す。)
【0043】
さらに、毛髪の滑らかさが持続でき、マッサージによる毛髪のからまりやもつれを抑制できる観点からカチオン性基含有共重合体の好ましい一態様として、下記式(V)で表されるN,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩・N,N−ジメチルアクリルアミド・ジメタクリル酸ポリエチレングリコール共重合体が挙げられる。
【0044】
【化13】

【0045】
(式中、モル比でx/y=1/9〜5/5、(x+y+z)/z=1/0.1〜1/0.002である。)
【0046】
市販品としては、例えば、ソフケアKG−301W(花王株式会社製)やソフケアKG−101W−E(花王株式会社製)が挙げられる。
【0047】
成分(C)の含有量は、毛髪化粧料ののびが持続し、毛髪のすべり性も持続する、毛髪化粧料が髪の根元へ良く行き渡り、マッサージによる毛髪のからまりやもつれを抑制できる観点から、0.05質量%以上であって、特に泡持ちの観点から、0.1質量%以上が好ましい。一方、毛髪化粧料のすすぎ中、すすぎ後においても毛髪のきしみが生じにくく、良好な使用感を得る観点から、2質量%以下含有し、0.75質量%以下含有することが好ましく、0.5質量%以下がさらに好ましい。
【0048】
また、成分(A)と成分(C)との質量比率は、毛髪化粧料ののびが持続し、毛髪のすべり性も持続する、毛髪化粧料が髪の根元へ良く行き渡り、マッサージによる毛髪のからまりやもつれを抑制できる観点から(A)/(C)=3〜46が好ましく、さらに、仕上がりのきしみ性とのバランス、頭皮からの液だれ防止の観点から、4〜18がより好ましい。
【0049】
成分(D)ベタイン型両性界面活性剤をさらに含んでもよい。これにより、毛髪化粧料の泡持ちが良好となり、マッサージの持続性が向上する。また、泡立つことで、毛髪の滑り性も良くなる。
【0050】
ベタイン型両性界面活性剤としては、イミダゾリン系ベタイン、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン等のベタイン系界面活性剤が好ましく、中でも泡持ちを良好にする観点から、アルキルヒドロキシスルホベタインが好ましく、アルキルヒドロキシスルホベタインは、炭素数10〜16のアルキル基を有するものが好ましく、特にラウリルヒドロキシスルホベタインが好ましい。
【0051】
成分(D)の含有量は、泡持ちを持続させる観点から、0.05質量%以上が好ましく、0.15質量%以上がより好ましく、さらに、0.3質量%以上が好ましい。良好な使用感を得る観点から、2質量%以下が好ましく、1.5質量%以下がより好ましい。
【0052】
成分(E)有機カルボン酸をさらに含んでもよい。これにより、頭皮や毛髪への塗布時やその後のすすぎ時において、毛髪を滑らかにすることができる。有機カルボン酸としては、炭素数2〜8が好ましく、例えば、α−ヒドロキシ酸、グリコール酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、レブリン酸、酢酸、マレイン酸、フマル酸等が挙げられる。なかでもα−ヒドロキシ酸、グリコール酸、リンゴ酸、乳酸が好ましく、特にリンゴ酸、乳酸が好ましい。また、有機カルボン酸は、塩であってもよい。これらの塩としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニア、有機アミン化合物等との塩が挙げられる。有機酸又はその塩は2種以上を併用することもできる。
【0053】
成分(E)の含有量は、頭皮や毛髪への塗布時やその後のすすぎ時において、毛髪を滑らかにする観点から、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%がより好ましく、良好な使用感を得る観点から、5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましい。
【0054】
本発明の毛髪化粧料を20質量倍に希釈後のpHは、1〜5が好ましい。これにより、頭皮や毛髪への塗布時やその後のすすぎ時において、毛髪を滑らかにすることができる。特にpHは、3〜4がより好ましい。
【0055】
従来の毛髪化粧料は、毛髪や頭皮になじませている間に、のびが時間の経過とともに低下するため、毛髪のからまりやもつれが生じやすくなり、毛髪や頭皮が損傷する場合があった。そのため、マッサージを持続することができなかった。
これに対し、本発明の毛髪化粧料は、第3級アミン化合物又はその塩、炭素数12〜22の脂肪族アルコール、及び特定のカチオン性ポリマーを特定の範囲内で組み合わせて使用することによって、毛髪化粧料の伸びを向上することができ、毛髪の滑り性を持続できる。これにより、マッサージを持続しても、毛髪のからまりやもつれが抑制できるため、マッサージを持続でき、十分なマッサージ効果が得られる。また、本発明の毛髪化粧料は頭皮に留まりやすいため、マッサージによる相乗効果により、頭皮が滑らかになる、柔らかくなるといった効果を得ることもできる。
【0056】
(その他)
本発明の毛髪化粧料には、上記成分以外の界面活性剤、油性成分、カチオン性ポリマー、さらに、高級脂肪酸エステル類、高級脂肪酸類、グリセリン、保湿剤、多糖類、ポリペプタイド、パール化剤、溶剤、液晶形成基剤、芳香族スルホン酸類、色素、香料、噴射剤、キレート剤、pH調整剤、防腐剤、抗フケ剤等を、適宜配合することができる。抗フケ剤としては、ジンクピリチオン、ピロクトンオラミン等が挙げられる。
【0057】
上記の成分以外の界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤及びカチオン性界面活性剤を含んでもよく、これらの界面活性剤を2種以上併用してもよい。
【0058】
アニオン性界面活性剤としては、硫酸系、スルホン酸系、カルボン酸系、リン酸系及びアミノ酸系のものが好ましく、例えばアルキル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸塩、スルホコハク酸アルキルエステル塩、ポリオキシアルキレンスルホコハク酸アルキルエステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルカンスルホン酸塩、アシルイセチオネート、アシルメチルタウレート、高級脂肪酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル酢酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩、アシルグルタミン酸塩、アラニン誘導体、グリシン誘導体、アルギニン誘導体等が挙げられる。これらのうち、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、アシルイセチオネート、アシルメチルタウレート、高級脂肪酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル酢酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩、アシルグルタミン酸塩、アルキルアラニン誘導体が好ましく、特に一般式(6)又は(7)で表されるものが好ましい。
【0059】
21O(CHCHO)SOM (6)
22OSOM (7)
【0060】
(式中、R21は例えば炭素数10〜18のアルキル基又はアルケニル基を示し、R22は炭素数10〜18のアルキル基を示し、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルカノールアミン又は塩基性アミノ酸を示し、pはエチレンオキサイド平均付加モル数で1〜5の数を示す。)
【0061】
ノニオン界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレンソルビット脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシアルキレン(硬化)ヒマシ油類、ショ糖脂肪酸エステル類、ポリグリセリンアルキルエーテル類、ポリグリセリン脂肪酸エステル類、脂肪酸アルカノールアミド、アルキルグルコシド類等が挙げられる。このうち、アルキルグリコシド類、ポリオキシアルキレンC8−C20脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、脂肪酸アルカノールアミドが好ましい。アルキルグリコシド類としては、アルキル基の炭素数8〜14で、糖(グルコース)の縮合度1〜2のものが好ましい。脂肪酸アルカノールアミドとしては、炭素数8〜18、特に炭素数10〜16のアシル基を有するものが好ましく、またモノアルカノールアミド、ジアルカノールアミドのいずれでもよいが炭素数2〜3のヒドロキシアルキル基を有するものが好ましい。脂肪酸アルカノールアミドの具体例としては、オレイン酸ジエタノールアミド、パーム核油脂肪酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ラウリン酸モノイソプロパノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、パーム核油脂肪酸メチルエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸メチルエタノールアミド等が挙げられる。
【0062】
上記の成分以外の油性成分として、例えば、シリコーン、及びエステル油、炭化水素類、グリセリド類、植物油、動物油、ラノリン誘導体、高級脂肪酸エステル類等が挙げられる。
【0063】
エステル油としては、総炭素数8〜40のエステル油、好ましくは総炭素数8〜20の脂肪酸と炭素数1〜20のアルコールとのエステル等が挙げられ、特にパルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピルが好ましい。
【0064】
シリコーンとしては、特開平6−48916号公報に記載されている(a)ジメチルポリシロキサン、(b)メチルフェニルポリシロキサン、(c)アミノ変性シリコーン(水性乳濁液としては、SM8704C(東レ・ダウコーニング・シリコーン製)、DC939(東レ・ダウコーニング・シリコーン製)等が挙げられる)、(d)脂肪酸変性ポリシロキサン、(e)アルコール変性シリコーン、(f)脂肪族アルコール変性ポリシロキサン、(g)ポリエーテル変性シリコーン、(h)エポキシ変性シリコーン、(i)フッ素変性シリコーン、(j)環状シリコーン、(k)アルキル変性シリコーン、(l)オキサゾリン変性シリコーン等が挙げられる。
【0065】
これらの中でも、毛髪の滑り性を付与する観点から、オキサゾリン変性シリコーンが好ましく、オルガノポリシロキサンセグメントの末端又は側鎖のケイ素原子の少なくとも1個に、ヘテロ原子を含むアルキレン基を介して、下記一般式(8)で表わされる繰返し単位からなるポリN−アシルアルキレンイミンが結合してなるオキサゾリン変性シリコーンがより好ましく、さらにN−プロピオニルポリエチレンイミン・メチルポリシロキサン共重合体が好ましい。また、N−プロピオニルポリエチレンイミンとメチルポリシロキサンの比率が50:50〜2:98のものが好ましい。
【0066】
【化14】

【0067】
(式中、R23は水素原子、炭素数1〜22のアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基又はアリール基を示し、nは2又は3を示す)
【0068】
上記の成分以外のカチオン性ポリマーとして、例えば、毛髪の滑り性を付与する観点から、カチオン化セルロース誘導体、カチオン性澱粉、カチオン化グアーガム誘導体等が挙げられる。これらのカチオン性ポリマーを2種以上併用してもよい。
【0069】
本発明の毛髪化粧料のより好ましい態様の一例は、頭皮のマッサージを持続でき、十分なマッサージ効果をえる観点から、成分(A)としてエーテルアミン(またはその塩)、成分(B)としてセチルアルコール、ステアリルアルコール、成分(C)として式(V)で表されるN,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩−N,N−ジメチルアクリルアミド−ジメタクリル酸ポリエチレングリコール共重合体、成分(D)としてラウリルヒドロキシスルホベタインである。
【0070】
本発明の毛髪化粧料は、常法に従って製造でき、水溶液、エタノール溶液、エマルション、サスペンション、ゲル、液晶、固形、エアゾールフォーム、スプレー等の所望の剤型にすることができる。また、毛髪洗浄剤組成物としては、ヘアシャンプー等の製品とすることができ、毛髪洗浄剤組成物以外の毛髪化粧料としては、へアリンス、へアコンディショナー、へアトリートメント、へアパック、へアクリーム、ヘアカラー、コンディショニングムース、へアムース、へアスプレー、リーブオントリートメント、ワックス、トニック、染毛剤等の製品とすることができる。
【0071】
毛髪化粧料の使用方法は、特に限定されないが、例えば、毛髪化粧料を頭皮上に塗布し、その後、指やブラシ等を用いて、頭皮上でジグザグ状に押し広げながら毛髪と接触させて、毛髪と毛髪化粧料とをなじませてもよい。
【0072】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【実施例】
【0073】
以下、実施例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、実施例及び比較例における「%」は、特記しない限り「質量%」を意味する。また各処方は全量を100質量%とする。
【0074】
(実施例及び比較例)
表1に示す組成の毛髪化粧料を、常法により調製し、以下の評価方法により評価した。その結果を表1に示す。なお、pHは水で20質量倍に希釈した際の25℃での値である。
【0075】
(評価方法)
(1)初期の毛髪化粧料ののびの良さ
長さ25cm、幅5.5cm、重さ10gの人毛束を40℃の温水で軽く濯いだ後、余分な水分を取り去り、0.5gの毛髪化粧料を人毛束になじませた。直後の毛髪化粧料ののびの良さを以下の5段階基準で官能評価した。評価は5人で行い、その平均値を求めた。平均4.0以上を「◎」、3.2以上4.0未満を「○」、2.5以上3.2未満を「△」、2.5未満を「×」として示した。
5:よくのびる
4:ややのびる
3:普通にのびる
2:あまりのびない
1:のびにくい
【0076】
(2)毛髪化粧料ののびの持続性
長さ25cm、幅5.5cm、重さ10gの人毛束を40℃の温水で軽く濯いだ後、余分な水分を取り去り、0.5gの毛髪化粧料を人毛束になじませた。2分後の毛髪化粧料ののびの良さ(持続性)を以下の5段階基準で官能評価した。評価は5人で行い、その平均値を求めた。平均4.0以上を「◎」、3.2以上4.0未満を「○」、2.5以上3.2未満を「△」、2.5未満を「×」として示した。
5:よくのびる
4:ややのびる
3:普通にのびる
2:あまりのびない
1:のびにくい
【0077】
(3)毛髪化粧料の髪の根元への行き渡り性
人の頭髪を40℃の温水で軽く濯いだ後、余分な水分を取り去り、1gの毛髪化粧料を毛髪になじませ、押し広げた。その時の毛髪化粧料の髪の根元への行き渡り性を以下の5段階基準で官能評価した。評価は5人で行い、その平均値を求めた。平均4.0以上を「◎」、3.2以上4.0未満を「○」、2.5以上3.2未満を「△」、2.5未満を「×」として示した。
5:よく行き渡る
4:やや行き渡る
3:普通に行き渡る
2:あまり行き渡らない
1:行き渡らない
【0078】
(4)初期の毛髪のすべり
長さ25cm、幅5.5cm、重さ10gの人毛束を40℃の温水で軽く濯いだ後、余分な水分を取り去り、0.5gの毛髪化粧料を人毛束になじませた。直後の人毛束のすべりを以下の5段階基準で官能評価した。評価は5人で行い、その平均値を求めた。平均4.0以上を「◎」、3.2以上4.0未満を「○」、2.5以上3.2未満を「△」、2.5未満を「×」として示した。
5:よくすべる
4:ややすべる
3:普通にすべる
2:あまりすべらない
1:すべらない
【0079】
(5)毛髪のすべりの持続性
長さ25cm、幅5.5cm、重さ10gの人毛束を40℃の温水で軽く濯いだ後、余分な水分を取り去り、0.5gの毛髪化粧料を人毛束になじませた。2分後の人毛束のすべり(持続性)を以下の5段階基準で官能評価した。評価は5人で行い、その平均値を求めた。平均4.0以上を「◎」、3.2以上4.0未満を「○」、2.5以上3.2未満を「△」、2.5未満を「×」として示した。
5:よくすべる
4:ややすべる
3:普通にすべる
2:あまりすべらない
1:すべらない
【0080】
(6)すすいだ後の仕上がりがきしまない
長さ25cm、幅5.5cm、重さ10gの人毛束を40℃の温水で軽く濯いだ後、余分な水分を取り去り、0.5gの毛髪化粧料を人毛束になじませた。その後、毛髪化粧料が付いた人毛束を2L/minの流速の40℃のお湯で濯ぎ、すすいだ後の人毛束の仕上がりがきしまないことを以下の5段階基準で官能評価した。評価は5人で行い、その平均値を求めた。平均4.0以上を「◎」、3.2以上4.0未満を「○」、2.5以上3.2未満を「△」、2.5未満を「×」として示した。
5:きしまない
4:あまりきしまない
3:普通にきしむ
2:ややきしむ
1:きしむ
【0081】
(7)泡持ち性
長さ25cm、幅5.5cm、重さ10gの人毛束を40℃の温水で軽く濯いだ後、余分な水分を取り去り、0.5gの毛髪化粧料を泡立て、人毛束になじませた。その後、2分間の泡持ちを以下の5段階基準で官能評価した。評価は5人で行い、その平均値を求めた。平均4.0以上を「◎」、3.2以上4.0未満を「○」、2.5以上3.2未満を「△」、2.5未満を「×」として示した。
5:泡持ちが良い
4:やや泡持ちが良い
3:普通に泡持ちが良い
2:あまり泡持ちが良くない
1:泡持ちが良くない
【0082】
【表1】

【0083】
表1より、実施例では、毛髪化粧料ののびが良好かつ持続され、また毛髪化粧料を広げやすく、毛髪の滑り性が持続でき、泡持ち良好であった。また、毛髪化粧料のすすぎ後においても毛髪のきしみが生じにくかった。この結果、実施例の毛髪化粧料によれば、マッサージを持続してできるため、十分なマッサージ効果が得られるようになることが明らかとなった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)〜(C):
(A)第3級アミン化合物又はその塩 0.3〜5質量%
(B)炭素数12〜26の脂肪族アルコール 1〜15質量%
(C)一般式(I)又は(II)で表されるノニオン性基含有ビニル単量体の少なくとも1種と、一般式(III)又は(IV)で表されるカチオン性基含有ビニル単量体の少なくとも1種と、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基及びアリル基から選ばれる少なくとも2個の基を分子中に有する架橋性ビニル単量体の少なくとも1種とを必須構成単量体とし、ラジカル重合することにより得られるカチオン性基含有共重合体 0.05〜2質量%
及び水を含有する毛髪化粧料。
【化1】

(式中、R11は水素原子又はメチル基を示し、R12及びR13は同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基又はアルケニル基を示す。)
【化2】

(式中、R11は水素原子又はメチル基を示し、A及びAは同一又は異なって、式−(CH−(mは2〜6の整数を示す)で表される基を示し、Bは−O−又は−CH−基を示す。)
【化3】

(式中、R11は水素原子又はメチル基を示し、R14及びR15は同一又は異なって、炭素数1〜4のアルキル基又はアルケニル基を示し、R16は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、Yは−O−、−NH−、−CH−又は−O−CHCH(OH)−基を示し、Zは炭素数1〜4(ただしYが−CH−のときは炭素数0〜3)の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示し、Xは酸の共役塩基、ハロゲン原子又は炭素数1〜4のアルキルサルフェート基を示す。)
【化4】

(式中、R17及びR18は同一又は異なって、水素原子又はメチル基を示し、R19及びR20は同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、Xは酸の共役塩基、ハロゲン原子又は炭素数1〜4のアルキルサルフェート基を示す。)
【請求項2】
成分(A)と成分(C)との質量比率が(A)/(C)=3〜46である請求項1記載の毛髪化粧料。
【請求項3】
成分(A)が、エーテルアミン又はその塩を含む請求項1又は2記載の毛髪化粧料。
【請求項4】
成分(B)が炭素数16〜18の脂肪族アルコールを含む請求項1乃至3のいずれか一項に記載の毛髪化粧料。
【請求項5】
(D)ベタイン型両性界面活性剤 0.05〜2質量%
をさらに含む請求項1乃至4のいずれか一項に記載の毛髪化粧料。
【請求項6】
(E)有機カルボン酸
をさらに含む請求項1乃至5のいずれか一項に記載の毛髪化粧料。
【請求項7】
20質量倍に希釈後のpHが1〜5である請求項1乃至6のいずれか一項に記載の毛髪化粧料。

【公開番号】特開2012−17299(P2012−17299A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−156198(P2010−156198)
【出願日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】