説明

毛髪用の化粧料

【課題】 カチオン性界面活性剤などの毛髪の損傷を保護する成分の効果を遺憾なく発揮せしめる製剤系を提供する。
【解決手段】 1)多価アルコール70質量%以上と、2)カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤及びカチオン性ポリマーから選択される1種乃至は2種以上を毛髪用の化粧料に含有させる。前記多価アルコールとして、少なくとも70質量%のグリセリンを含有することが好ましく、前記カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤及びカチオン性ポリマーから選択される1種乃至は2種以上として、4級アンモニウム塩及び/又は3級アミン塩を含有することが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は化粧料に関し、更に詳細には毛髪用の化粧料に好適な化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
古くより、4級アンモニウム塩や3級アミン塩等の、所謂カチオン性界面活性剤は、毛髪の損傷部に吸着し、損傷部位を保護する効果を有することが知られているため、かかる成分を含む化粧料組成物を用いて、毛髪洗浄後に処理し、損傷部位をケアする手入れが行われている。この様な化粧料組成物は、通常「リンス」、「(インバス)トリートメント」、「ヘアパック」等と称され、その使用態様は、化粧料組成物をそのまま、或いは、湯などで希釈して塗布、浸漬乃至はすすいだ後、余分の化粧料をお湯などを流して洗浄するような使用形態で使用される。これは、カチオン性界面活性剤そのものの皮膚刺激が高いため、余分なカチオン性界面活性剤を生体に残さないことが必要なためである。この様な使用態様のため、かかる製剤では毛髪と化粧料組成物が接触している間に、如何に効率よく損傷部位の保護が行えるかが重要なポイントとなる。加えて、このときに損傷部位の保護のみならず、毛髪の保湿などのそのほかのケアも十分に行えるか否かが、良い毛髪用の化粧料となるか否かの分かれ目になっているといえる。
【0003】
通常、この様な毛髪用の化粧料では、カチオン性界面活性剤は乳化形態のミセル界面に存する場合が多く、まれに、液晶が重層したラメラ相重層構造系をとることも存する。この様なベシクル分散系の製剤は、化粧料では汎用はされていないが、特異的な性質を示すことがあることが知られている。(例えば、特許文献1を参照)しかしながら、毛髪用の化粧料への応用はあまり行われていないのが現状であるといえる。これはこの様なラメラ相重層系であって安定性の高い系を形成する処方組み合わせが見いだされていないのも大きな原因の一つである。多価アルコールと、2)カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤及びカチオン性ポリマーから選択される1種乃至は2種以上を含有するレオロジーに特徴の存する組成物は知られている(例えば、特許文献2を参照)が、1)多価アルコール70質量%以上と、2)カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤及びカチオン性ポリマーから選択される1種乃至は2種以上を含有する毛髪用の化粧料は全く知られていないし、この様な構成を取ることにより、含有成分の毛髪ケア効果を効率的に発現させることができることも全く知られていない。
【0004】
【特許文献1】特開平 08−40841号公報
【特許文献2】特開2004−211078号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、この様な状況下為されたものであり、カチオン性界面活性剤などの毛髪の損傷を保護する成分の効果を遺憾なく発揮せしめる製剤系を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この様な状況に鑑みて、本発明者らは、カチオン性界面活性剤などの毛髪の損傷を保護する成分の効果を遺憾なく発揮せしめる製剤系を求めて、鋭意研究努力を重ねた結果、70質量%以上の多価アルコールを共存させることにより、毛髪の損傷を保護する成分の毛髪移行性が高まり、その効果を著しく発現させることを見いだし、発明を完成させるに至った。即ち、本発明は、以下に示すとおりである。
(1)1)多価アルコール70質量%以上と、2)カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤及びカチオン性ポリマーから選択される1種乃至は2種以上を含有することを特徴とする、毛髪用の化粧料。
(2)前記多価アルコールとして、少なくとも70質量%のグリセリンを含有することを特徴とする、(1)に記載の毛髪用の化粧料。
(3)前記カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤及びカチオン性ポリマーから選択される1種乃至は2種以上として、4級アンモニウム塩及び/又は3級アミン塩を含有することを特徴とする、(1)又は(2)に記載の毛髪用の化粧料。
(4)前記カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤及びカチオン性ポリマーから選択される1種乃至は2種以上として、4級アンモニウム塩及び3級アミン塩を含有することを特徴とする、(1)〜(3)何れか1項に記載の毛髪用の化粧料。
(5)更に、炭素数10〜30の高級アルコールを含有することを特徴とする、(1)〜(4)何れか1項に記載の毛髪用の化粧料。
(6)更に、シリコーンを含有することを特徴とする、(1)〜(5)何れか1項に記載の毛髪用の化粧料。
(7)ラメラ相の重層剤形であることを特徴とする、(1)〜(6)何れか1項に記載の毛髪用の化粧料。
(8)トリートメント乃至はリンスであることを特徴とする、(1)〜(7)何れか1項に記載の毛髪用の化粧料。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、カチオン性界面活性剤などの毛髪の損傷を保護する成分の効果を遺憾なく発揮せしめる製剤系を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
(1)本発明の毛髪用にの化粧料の必須成分である多価アルコール
本発明の毛髪用の化粧料は、多価アルコールを70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは85質量%以上含有することを特徴とする。前記多価アルコールとしては、通常化粧料で使用されているものであれば特段の限定なく使用することができ、例えば、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、グリセリン、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール、1,2−オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、ソルビトール、マルチトール等が好適に例示できる。特に好ましい多価アルコールとしてはグリセリンが例示でき、グリセリンを70質量%以上、より好ましくは75質量%以上含有する形態が特に好ましい。本発明の化粧料において、かかる多価アルコールは、前記の含有形態において、前記ヘアケア成分の損傷毛髪への吸着率などの、ヘアケア効果を効率的に向上せしめる効果を有する。又、副次的効果として、毛髪の強度を増加させ、梳り等による損傷を防ぐ作用も発現する。
【0009】
(2)本発明の化粧料の必須成分であるカチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン性ポリマー
本発明の毛髪用の化粧料は、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤及びカチオン性ポリマーから選択される1種乃至は2種以上を必須成分として含有することを特徴とする。
【0010】
前記カチオン性界面活性剤では、ベヘンジモニウムクロリド、ステアルジモニウムクロリド等の3級アミン塩、ベヘントリモニウムクロリド、ステアルトリモニウムクロリド、セトリモニウムクロリド、ラウリルトリモニウムクロリド等のアルキルトリメチルアンモニウムクロリド;ステアリルトリモニウムブロミド等のアルキルトリメチルアンモニウムブロミド等1長鎖型4級アンモニウム塩;ジステアリルジモニウムクロリド、ジココジモニウムクロリド等のジアルキルジメチルアンモニウムクロリド等2長鎖型4級アンモニウム塩;ステアラミドプロピルジメチルアミン、ステアラミドエチルジエチルアミン等の脂肪酸アミドアミン及びその塩;ステアロキシプロピルジメチルアミン等のアルキルエーテルアミン及びその塩または四級塩;エチル硫酸長鎖分岐脂肪酸(12〜31)アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム等の脂肪酸アミド型四級アンモニウム塩;ポリオキシエチレンアルキルアミン及びその塩または四級塩;アルキルアミン塩;脂肪酸アミドグアニジウム塩;アルキルエーテルアミンモニウム塩;アルキルトリアルキレングリコールアンモニウム塩;ベンザルコニウム塩;ベンゼトニウム塩;塩化セチルピリジニウム等のピリジニウム塩;イミダゾリニウム塩;アルキルイソキノリニウム塩;ジアルキルモリホニウム塩;ポリアミン脂肪酸誘導体;アミノプロピルジメチコン及びアモジメチコン等のアミノ変性シリコーン、カチオン変性シリコーン、カチオン変性及びポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性及びポリエーテル変性シリコーン等のシリコーン系カチオン性界面活性剤等等が好ましく例示できる。
【0011】
前記両性界面活性剤では、ラウリルベタイン(ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン)等のN−アルキル−N,N−ジメチルアミノ酸ベタイン;コカミドプロピルベタイン、ラウラミドプロピルベタイン等の脂肪酸アミドアルキル−N,N−ジメチルアミノ酸ベタイン;ココアンホ酢酸ナトリウム、ラウロアンホ酢酸ナトリウム等のイミダゾリン型ベタイン;アルキルジメチルタウリン等のアルキルスルホベタイン;アルキルジメチルアミノエタノール硫酸エステル等の硫酸型ベタイン;アルキルジメチルアミノエタノールリン酸エステル等のリン酸型ベタイン;ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、スフィンゴミエリン等のスフィンゴリン脂質、リゾレシチン、水素添加大豆リン脂質、部分水素添加大豆リン脂質、水素添加卵黄リン脂質、部分水素添加卵黄リン脂質、水酸化レシチン等のリン脂質類;シリコーン系両性界面活性剤等が好ましく例示できる。
【0012】
前記カチオン性ポリマーとしては、いわゆるinci名で「ポリクオタニウム」と称される成分が好ましく例示でき、具体的には、ポリクオタニウム−10等のカチオン化セルロース、ポリクオタニウム−7等のジアリルジメチルアンモニウムクロリド・アクリルアミド共重合体、ポリクオタニウム−22等のアクリル酸・ジアリルジメチルアンモニウムクロリド共重合体、ポリクオタニウム−39等のアクリル酸・ジアリルジメチルアンモニウムクロリド・アクリルアミド共重合体、アクリル酸・カチオン化メタアクリル酸エステル共重合体、アクリル酸・カチオン化メタアクリル酸アミド共重合体、ポリクオタニウム−47等のアクリル酸・アクリル酸メチル・塩化メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム共重合体、塩化メタクリル酸コリンエステル重合体;カチオン化オリゴ糖、カチオン化デキストラン、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド等のカチオン化多糖類;ポリエチレンイミン;カチオンポリマー;ポリクオタニウム−51等の2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンの重合体及びメタクリル酸ブチル共重合体等との共重合体等が好ましく例示できる。
【0013】
かかる成分は唯一種を含有することもできるし、二種以上を組み合わせて含有させることもできる。かかる成分は、本発明の毛髪用の化粧料において、毛髪の損傷部を被覆し、損傷により毛髪の機能が低下することを防ぎ、且つ、毛髪の損傷が更に広域に拡大するのを防ぐ作用を有する。この様な効果を奏するためには、この様な成分は、化粧料全量に対して、総量で1〜15質量%含有することが好ましく、1.5〜10質量%含有することがより好ましい。
【0014】
これらの内、組み合わせ形態としては、三級アミン塩及び四級アンモニウム塩から選択される組み合わせが好適であり、特に好ましくは、1長鎖型四級アンモニウム塩と、2長鎖型四級アンモニウム塩とを組み合わせて含有させる形態である。かかる組み合わせにおいては、1長鎖型四級アンモニウム塩:2長鎖型四級アンモニウム塩の質量比を10:1〜2:1に調整しておくことが好ましい。この形態が、系をラメラ相重層系に保ち、塗布時の使用感を著しく高めるとともに、損傷部の保護効果が著しいためである。ここにおいて、2長鎖型四級アンモニウム塩の量比が大きくなると系がベシクル系へ移行することがあり、この様な場合には、系全体の粘度が著しく低下し、使用時のトリートメント感が損なわれる場合が存する。
【0015】
(3)本発明の化粧料
本発明の化粧料は、前記必須成分を含有し、毛髪用であることを特徴とする。毛髪用の化粧料としては、既に市場に存するタイプのものであれば特段の限定はされないが、例えば、トリートメント、インバス・ヘアパック、アウトバス・ヘアパック、リンス、ヘアクリーム、ヘアローションなどが例示でき、洗い流すタイプのトリートメント、インバス・ヘアパック、リンスが特に好ましく例示できる。これはカチオン性界面活性剤の使用態様が洗い流し使用に適しているためである。又、前記必須成分の構成を取ることにより、製剤系としては、乳化系ではなく、ラメラ相の重層形態となる。これに更にセラミドを0.1〜5質量%加えることにより、ラメラ構造が強固になり、塗布時のトリートメント感、言い換えれば、トリートメントによって得られる満足感が著しく向上し、ヘアケア効果が著しく高まるので、本発明の化粧料ではこの様な形態をとることが特に好ましい。前記セラミドとしてはタイプ1〜7のいずれもが使用可能であるが、タイプ2乃至は3がより好ましく、タイプ3が特に好ましい。勿論2種以上のタイプのセラミドを組み合わせて使用することも可能である。乳化系、ラメラ相の重層系、ベシクル分散系の分類は電子顕微鏡にて観察することにより知ることができる。
【0016】
本発明の化粧料においては、かかる成分以外に、通常化粧料で使用される任意の成分を含有することができる。この様な任意成分としては、例えば、マカデミアナッツ油、アボガド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類;流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類;オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類;セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール等;イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン;アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコーン油等の油剤類;脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類;ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類;表面を処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、;表面を処理されていても良い、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛の無機顔料類;表面を処理されていても良い、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類;レーキ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類;ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類;パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤;アントラニル酸系紫外線吸収剤;サリチル酸系紫外線吸収剤、;桂皮酸系紫外線吸収剤、;ベンゾフェノン系紫外線吸収剤;糖系紫外線吸収剤;2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類;エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類;ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6塩酸塩、ビタミンB6トリパルミテート、ビタミンB6ジオクタノエート、ビタミンB2又はその誘導体、ビタミンB12、ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類;α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類等;フェノキシエタノール等の抗菌剤などが好ましく例示できる。かかる成分を常法に従って処理することにより、本発明の化粧料を製造することができる。
【0017】
以下に、実施例をあげて、本発明について更に詳細に説明を加えるが、本発明がかかる実施例にのみ限定されないことは言うまでもない。
【実施例1】
【0018】
以下に示す処方に従って、本発明の化粧料である、インバス・トリートメント1を製造した。即ち、処方成分を80℃で加熱溶解し、攪拌冷却しインバス・トリートメント1を得た。尚このものはラメラ相の重層構造の形態を有していた。
【0019】
【表1】

【0020】
<試験例1>
インバス・トリートメント1のグリセリン75質量%をグリセリン55質量%と水20質量%に置換した比較例1を作成し、1%過酸化水素水で処理して作成した損傷毛束をインバス・トリートメント1で処理したものと、比較例1で処理したものを作成した。テンシロンを用いて、無処理の毛束とともにこれらの毛束で引っ張り試験で評価したところ、無処置に比してインバス・トリートメント1での処理毛束は2.3倍の強度があったのに対し、比較例1での処理毛束は1.7倍であり、本発明の化粧料の効果が確かめられた。
【0021】
<試験例2>
インバス・トリートメント1と比較例1とを用いて、パネラーでの使用テスト(n=3)を行い、処理の前後における唾液中のプラステロン硫酸の濃度を測定し、処理によるプラステロン硫酸の濃度の上昇率を算出し、使用感としての心地よさを比較した。インバス・トリートメント1での上昇率は14.5±3.8%であり、比較例1のそれは、8.9±5.3であった。本発明の化粧料の使用実感の付与効果の大きさが確認できたことがわかる。
【実施例2】
【0022】
実施例1と同様に、下記の処方に従ってインバス・トリートメント2を作成した。試験例1の評価による引っ張り試験の強度は無処置の2.1倍であり、試験例2によるプラステロン硫酸の濃度の上昇率は11.9±4.2であった。これより、セラミドを加えることにより、ラメラ相の重層構造が安定化し、優れた使用感を呈することがわかる。尚このものはラメラ相の重層構造の形態を有していた。
【0023】
【表2】

【実施例3】
【0024】
実施例1と同様に、下記の処方に従ってインバス・トリートメント3を作成した。試験例1の評価による引っ張り試験の強度は無処置の2.2倍であり、試験例2によるプラステロン硫酸の濃度の上昇率は9.7±6.5であった。尚このものはベシクル分散系であった。これより、ラメラ構造をとることにより、使用実感が著しく向上することがわかる。
【0025】
【表3】

【実施例4】
【0026】
実施例1と同様に、下記の処方に従ってインバス・トリートメント4を作成した。このものはラメラ相重層系であった。試験例1の評価による引っ張り試験の強度は無処置の2.2倍であり、試験例2によるプラステロン硫酸の濃度の上昇率は10.3±5.4であった。グリセリンを70%以上含有することが好ましいことがわかる。
【0027】
【表4】

【実施例5】
【0028】
実施例1と同様に、下記の処方に従ってインバス・トリートメント5を作成した。このものはラメラ相重層系であった。試験例1の評価による引っ張り試験の強度は無処置の2.2倍であり、試験例2によるプラステロン硫酸の濃度の上昇率は12.4±4.1であった。これより、セラミド2でも使用可能であるが、セラミド3の方が好ましいこともわかる。
【0029】
【表5】

【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は毛髪用の化粧料に応用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)多価アルコール70質量%以上と、2)カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤及びカチオン性ポリマーから選択される1種乃至は2種以上を含有することを特徴とする、毛髪用の化粧料。
【請求項2】
前記多価アルコールとして、少なくとも70質量%のグリセリンを含有することを特徴とする、請求項1に記載の毛髪用の化粧料。
【請求項3】
前記カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤及びカチオン性ポリマーから選択される1種乃至は2種以上として、4級アンモニウム塩及び/又は3級アミン塩を含有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の毛髪用の化粧料。
【請求項4】
前記カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤及びカチオン性ポリマーから選択される1種乃至は2種以上として、4級アンモニウム塩及び3級アミン塩を含有することを特徴とする、請求項1〜3何れか1項に記載の毛髪用の化粧料。
【請求項5】
更に、炭素数10〜30の高級アルコールを含有することを特徴とする、請求項1〜4何れか1項に記載の毛髪用の化粧料。
【請求項6】
更に、シリコーンを含有することを特徴とする、請求項1〜5何れか1項に記載の毛髪用の化粧料。
【請求項7】
ラメラ相の重層剤形であることを特徴とする、請求項1〜6何れか1項に記載の毛髪用の化粧料。
【請求項8】
トリートメント乃至はリンスであることを特徴とする、請求項1〜7何れか1項に記載の毛髪用の化粧料。

【公開番号】特開2007−191409(P2007−191409A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−9683(P2006−9683)
【出願日】平成18年1月18日(2006.1.18)
【出願人】(000113470)ポーラ化成工業株式会社 (717)
【Fターム(参考)】