説明

毛髪用製品システム

毛髪に改善されたコンディショニング効果をもたらす複合製品システムによる毛髪処理法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、哺乳類の毛髪の洗浄に好適なケラチン材料用複合製品システムに関する。このシステムは、改善されたコンディショニング効果を提供する毛髪処理法を提示する。
【背景技術】
【0002】
従来の、哺乳類の毛髪の洗浄に好適なケラチン材料用液体組成物、例えばシャンプー及びコンディショナーは、大量の水を含有するよう処方される。この水の付加された重量及び体積は、これらの組成物のパッケージング、出荷、保管、及び運搬のコストを大幅に増大させる。加えて、それは使用されるエネルギー量及び発生する廃棄物量を増加させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、従来の組成物よりもより大幅に少ない水を含有する高濃度液体パーソナルクレンジング組成物を提供することが望ましい。更に、このような組成物が、消費者所望の発泡特性及び溶解特性を有することが望ましい。本本発明の複合製品システムは、改善されたコンディショニング効果、特にすすぎ後の改善された湿潤コンディショニング効果、及び乾燥後の改善された乾燥コンディショニングの要因となる、改善されたシリコーン付着を提供する。濃縮形態の代償として、所望の最終用途特性(例えば、良質な泡、溶解容易性、適切な硬さ、及び分散性)を犠牲にしない、濃縮製品の毛髪処理法を有することが望ましい。
【0004】
哺乳類の毛髪を洗浄及びコンディショニングするのに好適な、濃縮形態のケラチン材料用液体組成物による毛髪処理法は、とりわけ、従来の組成物の1/2〜1/3の使用量で、特にコンディショニング効果に対して、従来の液体組成物と同等以上の性能を提供しなくてはならない。したがって、コンパクト形態では、組成物を処方、包装、及び運搬するのに炭素発生供給源の量が必要とされた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本出願は、皮膚科学的に許容可能なキャリアと、分枝及び非分枝のデシル及びウンデシルアルキルサルフェートであって、エトキシル化されているか又は非エトキシル化されているもの;デシルアルコールで変性されたラウリルサルフェート;C13〜C17の範囲の鎖長を備えるパラフィンスルホネート;C12〜C17の炭素鎖長を備えた直鎖及び分枝鎖アルコールサルフェートの混合物であって、エトキシル化されているか又は非エトキシル化されているもの;分枝状の、メチル−2−ヒドロキシ−デシルエーテルサルフェート、ヒドロキシエチル−2−ドデシルエーテルサルフェート、ヒドロキシエチル−2−デシルエーテルサルフェートのナトリウム塩;モノエトキシル化ラウリルアルキルサルフェート;及びこれらの混合物からなる群から選択される、約3%〜約40%の少なくとも1つの界面活性剤と、約0.05重量%〜約10重量%のシリコーンエマルションとを含む毛髪洗浄組成物を、毛髪10gあたり約0.3mL〜約0.67mL塗布する工程と、カチオン性界面活性剤、高融点脂肪族化合物と、水性キャリアとを含むヘアコンディショニング組成物であって、このヘアコンディショニング組成物が、少なくとも5Paの降伏点を有し、この降伏点が次式:Y≧5.13X−17.80を満たし(式中、Yはこの組成物の降伏点であり、Xはカチオン性界面活性剤と高融点脂肪族化合物との合計量(この組成物の重量百分率)である)、この組成物が増粘ポリマーを実質的に含まない、ヘアコンディショニング組成物を、毛髪10gあたり約0.3mL〜約0.67mL塗布する工程と、を含み、この毛髪洗浄組成物をヘアコンディショニング組成物と共に、又は連続してケラチン材料に適用すると、約350ppmを超えるシリコーン付着が得られる、ケラチン材料用複合製品システムに関する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本明細書で使用するとき、用語「哺乳類の毛髪」は、哺乳類の体の任意の部分上の毛髪を含み、顔、頭又は体の毛を含むことができるが、これらに限定されない。例えば、頭皮、頭部、首、あごひげ、口ひげ、眉及びもみあげの毛髪を挙げることができる。
【0007】
本明細書で使用するとき、用語「局所適用」は、本発明の組成物をケラチン組織の表面に塗布又は広げることを意味する。
【0008】
本発明は、哺乳類の毛髪の洗浄に好適なケラチン材料用複合製品システムである。この複合製品システムは、1/2〜1/3の使用量で同等の性質の従来の組成物と同等以上の性能を提供する、濃縮形態の組成物を含む。
【0009】
毛髪洗浄組成物の標準的な使用量は、毛髪10gあたり約0.1mL〜約2mL、好ましくは毛髪10gあたり約0.2mL〜約1.5mLである。そのため、毛髪洗浄組成物の低減された、つまり濃縮された量は、毛髪10gあたり約0.3mL〜約0.67mL、約0.067mL〜約0.5mL、約0.05mL〜約1mL、及び約0.1mL〜約0.75mLである。
【0010】
ヘアコンディショニング組成物の標準的な使用量は、毛髪10gあたり約0.1mL〜約2mL、好ましくは毛髪10gあたり約0.2mL〜約1.5mLである。そのため、ヘアコンディショニング組成物の低減された、つまり濃縮された量は、毛髪10gあたり約0.3mL〜約0.67mL、約0.067mL〜約0.5mL、約0.05mL〜約1mL、及び約0.1mL〜約0.75mLである。
【0011】
本発明の複合製品システムは、改善されたコンディショニング効果、特にすすぎ後の改善された湿潤コンディショニング効果、及び乾燥後の改善された乾燥コンディショニングを与える、改善されたシリコーン付着を提供する。本出願の複合製品システムはまた、消費者に対して改善された製品外観も提供する。それゆえに、本出願で説明される組成物は低減された投与量でも、全投与量の従来のシャンプー及びコンディショナー組成物と同じレベルのコンディショニング効果を提供することができる。
【0012】
複合製品システム
複合製品システムは、本明細書に記載する少なくとも1つの毛髪洗浄組成物と、本明細書に記載する少なくとも1つのヘアコンディショニング組成物と、を含む。毛髪処理法の一部として2つ以上の製品を、好ましくは連続的に用い、好ましくは局所適用によって哺乳類の毛髪表面をトリートメントする。毛髪処理法の一部として2つ以上の製品を、好ましくは連続的に用いるとき、毛髪洗浄組成物又はヘアコンディショニング組成物のいずれか1つのみを単独で、又は本明細書に記載される要素に合致しない別の製品(本明細書では従来の毛髪洗浄組成物又は従来のヘアコンディショニング組成物と呼ぶ)と組み合わせて使用する場合と比較して、この毛髪処理法によりトリートメントして得られる毛髪上のシリコーン付着は改良される。
【0013】
例えば、本出願のヘアコンディショニング組成物と用いられる本出願による毛髪洗浄組成物は、本出願に記載されないヘアコンディショニング組成物と用いられる毛髪洗浄組成物と比較して、改善されたシリコーン付着などの効果をもたらす。
【0014】
濃縮形態の代償として、所望の最終用途特性(例えば、良質な泡、溶解容易性、適切な硬さ、及び分散性)を犠牲にしない、濃縮製品による毛髪処理法を有することが望ましい。
【0015】
毛髪洗浄組成物
従来の毛髪洗浄組成物と比べて比較的高濃度の界面活性剤を含有する毛髪洗浄組成物は、中相又は六方晶相である組成物中の界面活性剤であるため、良好なレオロジー、泡立ち、及び溶解特性を示すことができる。したがって、本明細書に記載する毛髪洗浄組成物は、約23%超の等方性界面活性剤を含有し、それでもなお良好なレオロジー、泡、及び溶解性を提供する。
【0016】
本明細書の毛髪洗浄組成物は、有機溶剤及び/又はヒドロトロープを実質的に含まない。本発明で使用する場合、「本質的に含まない」とは、有機溶剤及び/又はヒドロトロープの濃度が、市販の成分内に不純物として一般に見出される微量以下であることを意味する。異なった有機溶剤及び/又はヒドロトロープは、レオロジーに対して異なった程度にてマイナスの影響を与え得るので、任意のこのような物質が「本質的に含まない」濃度であると見なされる濃度は、問題となっている特定の有機溶剤及び/又はヒドロトロープに依存するであろう。一実施形態では、毛髪洗浄組成物は約0.2重量%未満の有機溶剤又はヒドロトロープを、特定の実施形態では0重量%〜約0.2重量%の有機溶剤又はヒドロトロープを、及びいくつかの実施形態では、0重量%〜約0.1重量%を含有する。
【0017】
本発明で使用する場合、用語「有機溶剤」及び「ヒドロトロープ」は、当該技術分野において有機溶剤又はヒドロトロープとして認識されているような物質を包含する。有機溶剤の例としては、クレンジング用途にて使用されるようなものが挙げられ、アルコール、グリコール、エーテル、エーテルアルコール、及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。典型的なヒドロトロープとしては、クメン、キシレン及びトルエンスルホネート、及びこれらの混合物を挙げることができる。溶剤及びヒドロトロープ両方の例は一般に、Allured Publishing Corporation発行の「洗剤及び乳化剤、北米版」(マッカチャン(McCutcheon)、1986年)、及び「機能材料、北米版」(マッカチャン(McCutcheon)、1992年)に記載されている。
【0018】
皮膚科学的に許容可能なキャリア
本出願の毛髪洗浄組成物は、組成物用に皮膚科学的に許容可能なキャリアを含有する。担体は、多種多様な形態をとることができる。非限定例としては、単一溶液(水系又は油系)、エマルション、及び固体形態(ゲル、スティック)が挙げられる。例えば、エマルション担体としては、水中油型、油中水型、シリコーン中水型、水中油中水型、及びシリコーン中水中油型エマルションを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0019】
毛髪洗浄組成物に利用されるエマルションは、水相及び脂質又は油を含有することができる。脂質及び油は、動物、植物、又は石油に由来してもよく、天然又は合成(すなわち、人工)でもよい。また好ましいエマルションは、グリセリンのような湿潤剤も含有できる。更に、エマルションは、組成物の約0.1重量%〜約10重量%、より好ましくは約0.2重量%〜約5重量%の乳化剤を含むことができる。乳化剤は、非イオン性、アニオン性、又はカチオン性であってよい。好適な乳化剤は、例えば、米国特許第3,755,560号、同第4,421,769号、及びMcCutcheon’s Detergents and Emulsifiers,North American Edition,317〜324頁(1986)に開示されている。好適なエマルションは、所望の製品形態に応じて、幅広い粘度を有し得る。
【0020】
毛髪洗浄組成物は、流動可能液体(周囲条件下)の形態であってよい。そのため、毛髪洗浄組成物は水性キャリアを含むことができ、典型的には約20%〜約95%、好ましくは約60%〜約85%の濃度で存在する。水性キャリアは、水、又は水と有機溶媒との混和性混合物を含んでもよいが、好ましくは、他の必須成分又は任意成分の微量成分として組成物中に付随的に組み込まれる場合を除いて、最小限の有機溶媒を含むか、又は有意の濃度の有機溶媒を含まない水を含む。
【0021】
少なくとも本出願一部の実施形態に従って、毛髪洗浄組成物は流動可能液体(周囲条件下)の形態であってよい。したがってこれらの組成物は典型的に水性キャリアを含み、水性キャリアは約30%〜約97%、及び別の方法としては約65%〜約90%の濃度で存在する。
【0022】
実用化界面活性剤
一実施形態では、組成物は、組成物の約3重量%〜約40重量%、あるいは約5重量%〜約25重量%、あるいは約10重量%〜約20重量%、あるいは約3重量%〜約15重量%、あるいは約3重量%〜約10重量%の少なくとも1つの実用化界面活性剤を含む。
【0023】
実用化界面活性剤は、3つの主要パラメーターである、1)疎水性鎖長、2)疎水性鎖長中の分枝度、及び3)エトキシ化度により決定される界面活性剤先端基のサイズ、並びにこれら3つのパラメーターの組み合わせに基づいて慎重に選択される。
【0024】
理論によって制限されるものではないが、これらのパラメーターを操作することによって、実用化界面活性剤の界面活性剤相構造を最小化できる(例えば、ロッド又はより複雑な構造を持たないより糸状でないミセルを調製するための適切な相挙動をコントロールする)。更に、様々な一般的な任意の界面活性剤と組み合わせて実用化界面活性剤を使用すると、実用化界面活性剤を含有する組成物に良好なレオロジー、溶解性、及び泡を提供できる。
【0025】
主要な実用化界面活性剤の例としては、分枝及び非分枝のデシル及びウンデシルアルキルサルフェートであって、エトキシル化されているか又は非エトキシル化されているもの;デシルアルコールで変性されたラウリルサルフェート;C13〜C17の範囲の鎖長を備え、Clariant Companyにより販売されているパラフィンスルホネート;C12〜C17の炭素鎖長を備えた直鎖及び分枝鎖アルコールサルフェートの混合物であって、一般にLIAL(登録商標)及びNEODOL(登録商標)として知られているものであり、エトキシル化されているか又は非エトキシル化されているアルキル又はアルコールサルフェート;ヒドロキシエチル−2−ドデシルエーテルサルフェートのナトリウム塩、又はヒドロキシエチル−2−デシルエーテルサルフェートのナトリウム塩(Nippon Shokubai Inc.によるものであり、いずれか又はその両方が、本明細書においては「NSKKエトキシサルフェート」と称される);モノエトキシル化ラウリルアルキルサルフェート;並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】
デシル及びウンデシルサルフェート
複合製品システムの毛髪洗浄組成物のデシル及びウンデシルサルフェートは、0重量%〜約6重量%、好ましくは約0.1重量%〜約6重量%で存在してよく、式(I):R1−O(CH2CHR3O)y−SO3Mを有する直鎖デシル又はウンデシルサルフェート、一般式(II):CH3−(CH2z−CHR2−CH2−O(CH2CHR3O)y−SO3Mを有する分枝鎖デシルウンデシルサルフェート、又はこれらの混合物を含み、式中、式(I)のR1は、CH3(CH29又はCH3(CH210を表し、式(II)のR2が、(II)のz及び(II)のR2の炭素原子の合計が7又は8になるように、Hを表すか又は1〜4個の炭素原子を含む炭化水素ラジカルを表し、式(I)のR3は、H又はCH3であり、式(I)及び(II)のyは0〜7、好ましくは1〜7であり、式(I)及び(II)のyが0に等しくないとき、式(I)及び(II)のyの平均値は好ましくは約1以下、好ましくは約1であり、式(I)及び(II)のMは一価又は二価の正電荷を持つカチオンである。一価の正電荷を持つカチオンの例には、アンモニウム、ナトリウム、カリウム、トリエタノールアミンカチオンが挙げられ、二価の正電荷を持つカチオンの例には、マグネシウムが挙げられる。
【0027】
「平均値」は、組成物は、式(I)及び(II)のyの値が1以外である分子を含み得るが、組成物中の全ての分子の式(I)及び(II)のyの平均値が、約1であることを意味すると理解される。ウンデシルサルフェートは、ウンデシルサルフェートの総量の約70重量%〜約90重量%、あるいは約80重量%の直鎖ウンデシルサルフェート、約10重量%〜約30重量%、あるいは約20重量%の分枝鎖ウンデシルサルフェートを含んでよい。
【0028】
複合製品システムの毛髪洗浄組成物のウンデシルサルフェートは、流下薄膜反応器中でSO3で硫酸処理され、例えば水酸化ナトリウムでアルキル硫酸塩を作製し、硫酸ウンデシルナトリウムを生成するように中和される、例えば2004年3月16日にShell Oil Companyに発行された米国特許第6,706,931号に記載される、1−デセン又は内部デセンのヒドロホルミル化によって調製され得る。好適なアルコールの一例は、ネオドール(NEODOL)(登録商標)1(シェル・オイル社(Shell Oil Co.))として市販されている。
【0029】
加えて、ウンデシルアルコールは、その加水分解を介してヒマシ油(castor soil)から誘導され、リシノール酸を得ることができる。リシノール酸(Ricinoleic)を熱分解して、ウンデシレン酸を得ることができる。ウンデシレン酸は、一連の水素化を介してウンデシルアルコールに変換されて、ウンデシルアルコールを得ることができる。
【0030】
ウンデシルエトキシレートは、アルカリ系触媒の存在下、1モル等量以下のエチレンオキシドをウンデシルアルコールに添加することにより調製され得る。得られた物質は、ウンデシルエトキシレートの重量に対して、約30重量%〜約60重量%の非エトキシル化アルコールを含んでよく、残存する混合物は、1〜7の範囲のEO含有量である種々の同族体で構成される。この混合物を、流下薄膜反応器中においてSO3で硫酸処理し、塩基、例えばNaOHで中和して、アルコキシ硫酸ウンデシルナトリウムを生成することができる。加えて、ウンデシルアルコール及びウンデシルアルコキシレートの混合物と共にブレンドし、上記のようにサルフェート化して、ウンデシル系界面活性剤類の混合物を生成することができる。
【0031】
コンディショニング剤
毛髪洗浄組成物は、コンディショニング剤を含有してよく、いくつかの実施形態では、毛髪洗浄組成物の少なくとも約0.05重量%のコンディショニング剤を含んでよい。特定の実施形態では、毛髪洗浄組成物は、毛髪洗浄組成物の約0.05重量%〜約10重量%のコンディショニング剤を、別の実施形態では、毛髪洗浄組成物の約0.05重量%〜約2重量%、他の実施形態では、毛髪洗浄組成物の約0.5重量%〜約10重量%のコンディショニング剤を、及び更に別の実施形態では、毛髪洗浄組成物の約0.5重量%〜約6重量%のコンディショニング剤を含有する。コンディショニング剤としては、例えば、大粒子及び小粒子シリコーン(例えば、0.1マイクロメートル未満の小粒子シリコーン)、並びに油を挙げることができる。一実施形態では、シリコーンはエマルション、すなわち、分散した不溶性液滴の分離された不連続相である。これらの液滴を懸濁化剤で懸濁し、この多くの非限定的好適例は以下に記載される。
【0032】
シリコーンコンディショニング剤は、25℃で測定した場合に、約0.00002〜2m2/s(20〜約2,000,000センチストークス)、より好ましくは約0.001〜約1.8m2/s(約1,000〜約1,800,000センチストークス)、更により好ましくは約0.05〜約1.5m2/s(約50,000〜約1,500,000センチストークス)、最も好ましくは約0.1〜約1.5m2/s(約100,000〜約1,500,000センチストークス)の粘度を有するのが好ましい。
【0033】
任意のシリコーン流体として、25℃で、1m2/s(1,000,000センチストークス)未満、好ましくは約0.000005〜1m2/s(約5〜1,000,000センチストークス)、より好ましくは約0.00001〜0.1m2/s(約10〜約100,000センチストークス)の粘度を有する流動性シリコーン材料である、シリコーンオイルが挙げられる。好適なシリコーンオイルとして、ポリアルキルシロキサン、ポリアリールシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサン、ポリエーテルシロキサンコポリマー、及びこれらの組み合わせが挙げられる。ヘアコンディショニング特性を有している他の不溶性、不揮発性シリコーン流体も使用することができる。
【0034】
好適なシリコーンコンディショニング剤の非限定例、及びシリコーンのための任意の懸濁剤は、米国再発行特許第34,584号、米国特許第5,104,646号、及び同第5,106,609号に記載されている。
【0035】
分散したシリコーンコンディショニング剤粒子は、典型的には約0.005μm〜約50μmの範囲の数平均粒子径を有する。毛髪への小粒子の適用には、数平均粒子径は、典型的には約0.01μm〜約4μm、通常は約0.01μm〜約2μm、一般に約0.01μm〜約0.5μmの範囲である。毛髪により大きい粒子を適用するには、数平均粒子径は、典型的には約4μm〜約50μm、通常は約6μm〜約30μm、一般に約9μm〜約20μm、典型的に約12μm〜約18μmの範囲である。
【0036】
シリコーン流体、ゴム、及び樹脂、並びにシリコーンの製造を議論する項を包含するシリコーンの背景資料は、「ポリマーの科学と技術の百科事典(Encyclopedia of Polymer Science and Engineering)」15巻、第2版、204〜308頁、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ社(John Wiley & Sons Inc.)(1989年)に見出される。
【0037】
陰イオン性界面活性剤
本出願の毛髪洗浄組成物は、0重量%〜約30重量の追加のアニオン性界面活性剤、あるいは約0.1重量%〜約30重量%、あるいは約0.1重量%〜約10重量%、あるいは約10重量%〜約20重量%の追加のアニオン性界面活性剤を含有してよい。本明細書における使用に好適な追加のアニオン性界面活性剤としては、式(III):ROSO3M及びRO(C24O)xSO3Mのアルキル及びアルキルエーテルサルフェートが挙げられ、式中、式(III)のRは、約8〜約18個の炭素原子のアルキル又はアルケニルであり、式(III)のxは1〜10であり、式(III)のMは、アンモニウム、ナトリウム、カリウム、及びトリエタノールアミンカチオンなどの水溶性カチオンであるか、又は2つのアニオン性界面活性剤アニオンを持つ二価マグネシウムイオンの塩である。アルキルエーテルサルフェートは、エチレンオキシド及び約8〜約18個の炭素原子を有する一価アルコールの縮合生成物として作製されてもよい。アルコールは、例えばココヤシ油、パーム油、パーム核油、若しくはタロー等の脂肪から誘導され得るか、又は合成であり得る。
【0038】
本明細書において使用に好適である追加のアニオン性界面活性剤の例としては、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウレス硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸トリエチルアミン、ラウレス硫酸トリエチルアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウレス硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸塩モノエタノールアミン、ラウレス硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸塩ジエタノールアミン、ラウレス硫酸ジエタノールアミン、ラウリルモノグリセリド硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸カリウム、ラウリルサルコシン酸ナトリウム、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、ラウリルサルコシン、ココイルサルコシン、ココイル硫酸アンモニウム、ラウロイル硫酸アンモニウム、ココイル硫酸ナトリウム、ラウロイル硫酸ナトリウム、ココイル硫酸カリウム、ラウリル硫酸カリウム、ココイル硫酸モノエタノールアミン、トリデセス硫酸ナトリウム、トリデシル硫酸ナトリウム、メチルラウロイルタウリン酸ナトリウム、メチルココイルタウリン酸ナトリウム、ラウロイルイセチオン酸ナトリウム、ココイルイセチオン酸ナトリウム、ラウレススルホコハク酸ナトリウム、ラウリルスルホコハク酸ナトリウム、トリデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
共界面活性剤
共界面活性剤は、本明細書に記載されるアニオン性界面活性剤と混合され、複合製品システムの毛髪洗浄組成物の起泡容積を増加する、及び/又は泡質感を改良する材料である。典型的には、これらの物質は、限定されないが、両性、双極性、カチオン性、及び非イオン性を含む種々の群の構造から選択され得る。それらは、典型的には1:20〜1:4の重量比、より好ましくは1:12〜1:7の重量比でアニオン性界面活性剤と併用される。
【0040】
本出願の毛髪洗浄組成物は、組成物の約0.5重量%〜約10重量%、あるいは約0.5重量%〜約5重量%、あるいは約1重量%〜約3重量%の少なくとも1つの好適な共界面活性剤を含んでよい。共界面活性剤は、より素早く泡を生成する、より容易なすすぎを促進する、及び/又はケラチン性組織への不快感を緩和する役割を果たす。共界面活性剤は更に、より望ましい質感、容積、及び/又は他の特性を有する泡の生成を補助し得る。
【0041】
本明細書において使用に好適な両性界面活性剤には、脂肪族ラジカルが直鎖又は分枝鎖であり得、脂肪族置換基の1つの置換基が約8〜約18個の炭素原子を含み、1つは例えばカルボキシ、スルホネート、サルフェート、ホスフェート、又はホスホネート等のアニオン水溶性基を含む、脂肪族二級及び三級アミンの誘導体が含まれるが、これらに限定されない。例としては、3−ドデシルアミノプロピオン酸ナトリウム、3−ドデシルアミノプロパンスルホン酸ナトリウム、ラウリルサルコシン酸ナトリウム、米国特許第2,658,072号の教示に従ってドデシルアミンをイセチオン酸ナトリウムと反応させることによって調製されるものなどのN−アルキルタウリン、同第2,438,091号の教示に従って生成されるものなどのN−高級アルキルアスパラギン酸、並びに同第2,528,378号に記載される生成物、並びにこれらの混合物が挙げられる。アルカノイルアンホアセテートを生成するためのクロロ酢酸ナトリウムのアミドアミンとの反応から誘導されるアンホアセテート群、例えばラウリルアンホアセテートなどは、特に効果的である。
【0042】
本明細書において使用に好適である双極性界面活性剤としては、脂肪族四級アンモニウム、ホスホニウム、及びスルホニウム化合物の誘導体が挙げられるが、これらに限定されず、脂肪族ラジカルは直鎖又は分枝鎖であり得、脂肪族置換基の1つは約8〜約18個の炭素原子を含み、1つの置換基は、アニオン性基、例えばカルボキシ、スルホネート、サルフェート、ホスフェート、又はホスホネートを含む。本明細書において使用に好適な他の双極性界面活性剤としては、高級アルキルベタインを包含するベタイン、例えば、ココジメチルカルボキシメチルベタイン、ココアミドプロピルベタイン、ココベタイン、ラウリルアミドプロピルベタイン、オレイルベタイン、ラウリルジメチルカルボキシメチルベタイン、ラウリルジメチルαカルボキシエチルベタイン、セチルジメチルカルボキシメチルベタイン、ラウリルビス−(2−ヒドロキシエチル)カルボキシメチルベタイン、ステアリルビス−(2−ヒドロキシプロピル)カルボキシメチルベタイン、オレイルジメチルγ−カルボキシプロピルベタイン、ラウリルビス−(2−ヒドロキシプロピル)α−カルボキシエチルベタイン、及びこれらの混合物が挙げられる。スルホベタインとしては、ココジメチルスルホプロピルベタイン、ステアリルジメチルスルホプロピルベタイン、ラウリルジメチルスルホエチルベタイン、ラウリルビス−(2−ヒドロキシエチル)スルホプロピルベタイン、及びこれらの混合物が含まれ得る。また、好適な双極性界面活性剤には、RCONH(CH23ラジカル(式中、Rは、C11〜C17アルキルである)がベタインの窒素原子に付着されている、アミドベタイン及びアミドスルホベタインが挙げられ、本出願においてやはり有用である。
【0043】
起泡容積又は質感を向上させるために毛髪洗浄組成物中で典型的に使用される非イオン性共界面活性剤としては、ラウリルジメチルアミンオキシド、ココジメチルアミンオキシド、ココアミドプロピルアミンオキシド、ラウリルアミドプロピルアミンオキシド等、又はラウレス−4〜ラウレス−7等のアルキルポリエトキシレートなどの水溶性材料と、ココモノエタノールアミド、ココジエタノールアミド、ラウロイルモノエタノールアミド、アルカノイルイソプロパノールアミド、並びにセチルアルコール及びオレイルアルコール等の脂肪族アルコール、並びに2−ヒドロキシアルキルメチルエーテル等の非水溶性成分が挙げられる。
【0044】
本明細書において共界面活性剤として更に好適な物質には、1,2−アルキルエポキシド、1,2−アルカンジオール、分枝鎖又は直鎖アルキルグリセリルエーテル(例えば欧州特許第EP 1696023(A1)号に記載される)、1,2−アルキル環状カーボネート、及び1,2−アルキル環状サルファイトであって、特にアルキル基が直鎖又は分枝鎖構成にある6〜14個の炭素原子を含有するものが含まれる。他の例には、米国特許第5,741,948号、同第5,994,595号、同第6,346,509号、及び同第6,417,408号の教示に従って調製され得る、C10又はC12 αオレフィンをエチレングリコール(例えばヒドロキシエチル−2−デシルエーテル、ヒドロキシエチル−2−ドデシルエーテル)と反応させることにより誘導されるアルキルエーテルアルコールが含まれる。
【0045】
その他の好ましい非イオン性界面活性剤は、グルコースアミド、アルキルポリグルコシド、スクロースココエート、スクロースラウレート、アルカノールアミド、エトキシル化アルコール(実用化界面活性剤とは区別される)、及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。一実施形態では、非イオン性界面活性剤は、モノヒドロキシステアリン酸グリセリル、イソステアレス−2、トリデセス−3、ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸プロピレングリコール、ステアリン酸PEG−2、モノステアリン酸ソルビタン、ラウリン酸グリセリル、ラウレス−2、コカミドモノエタノールアミン、ラウリルアミドモノエタノールアミン、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0046】
特定の実施形態では、共界面活性剤は、ココモノエタノールアミド、ココアミドプロピルベタイン、ラウリルアミドプロピルベタイン、ココベタイン、ラウリルベタイン、ラウリルアミンオキシド、ラウリルアンホ酢酸ナトリウム;アルキルグリセリルエーテル、アルキル−ジ−グリセリルエーテル、1,2−アルキル環状サルファイト、1,2−アルキル環状カーボネート、1,2−アルキル−エポキシド、アルキルグリシジルエーテル、及びアルキル−1,3−ジオキソラン(アルキル基は、直鎖又は分枝状構成の、6〜14個の炭素原子を含有する);1,2−アルカンジオール(総炭素含有量は、直鎖又は分枝状の、6〜14個の炭素原子である)、メチル−2−ヒドロキシ−デシルエーテル、ヒドロキシエチル−2−ドデシルエーテル、ヒドロキシエチル−2−デシルエーテル、並びにこれらの混合物からなる群から選択される。
【0047】
カチオン性界面活性剤は、製剤のpHでプロトン化されたアミンから誘導されてもよく、例えばビス−ヒドロキシエチルラウリルアミン、ラウリルジメチルアミン、ラウロイルジメチルアミドプロピルアミン、ココイルアミドプロピルアミン等である。また、カチオン性界面活性剤は、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド及びラウロイルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド等の脂肪族四級アンモニウム塩から誘導されてもよい。
【0048】
カチオン性ポリマー
毛髪洗浄組成物は、カチオン性ポリマーを含有してよく、いくつかの実施形態では、毛髪洗浄組成物の少なくとも約0.05重量%のカチオン性ポリマーを含んでよい。特定の実施形態では、毛髪洗浄組成物は、毛髪洗浄組成物の約0.05重量%〜約10重量%のカチオン性ポリマーを、別の実施形態では、毛髪洗浄組成物の約0.05重量%〜約2重量%、他の実施形態では、毛髪洗浄組成物の約0.5重量%〜約10重量%のカチオン性ポリマーを、及び更に別の実施形態では、毛髪洗浄組成物の約0.5重量%〜約6重量%のカチオン性ポリマーを含有する。
【0049】
好適なカチオン性ポリマーは、毛髪洗浄組成物の企図される用途でのpHにおいて、少なくとも約0.3meq/gm、典型的には少なくとも約0.5meq/gm、通常は少なくとも約0.7meq/gmであるが、また、一般的には約7meq/gm未満、典型的には約5meq/gm未満である、カチオン電荷密度を有する。組成物の企図される用途のpHは一般に、約pH 3〜約pH 9、典型的には約pH 4〜約pH 8の範囲である。好適なカチオン性ポリマーは一般に、約1,000〜約10,000,000、典型的には約10,000〜約5,000,000、通常は約20,000〜約2,000,000の範囲の平均分子量を有する。
【0050】
本明細書で使用するとき、用語「電荷密度」は、ポリマー上の正電荷の数と前記ポリマーの分子量との比を指す。
【0051】
毛髪洗浄組成物で用いるのに好適なカチオン性ポリマーは、四級アンモニウムなどのカチオン性窒素含有部分又はカチオン性プロトン化アミノ部分を含有することができる。カチオン性プロトン化アミンは、組成物の特定の化学種及び選択したpHに応じて、第一級、第二級又は第三級アミン(典型的には、第二級又は第三級)であり得る。カチオン性ポリマーに関して、任意のアニオン性対イオンを使用することもできるが、当該ポリマーが、水、ヘアコンディショニング組成物、又はヘアコンディショニング組成物のコアセルベート相に可溶性なままであること、また、当該対イオンが、ヘアコンディショニング組成物の成分と物理的及び化学的に適合性があり、さもなければ製品の性能、安定性、又は審美性を過度に損なわないことを条件とする。そのような対イオンの非限定例には、ハロゲン化物(例えば、塩化物、フッ化物、臭化物、ヨウ化物)、スルフェート及びメチルスルフェートが挙げられる。
【0052】
このようなポリマーの非限定例は、CTFA化粧品成分辞典(CTFA Cosmetic Ingredient Dictionary)、第3版、エストリン(Estrin)、クロスレー(Crosley)、及びヘインズ(Haynes)編(米国化粧品工業協会(The Cosmetic,Toiletry,and Fragrance Association,Inc.)、ワシントンD.C.(1982年))に記載されている。好適なカチオン性ポリマーの非限定例としては、カチオン性プロトン化アミン又は第四級アンモニウム官能基を有するビニルモノマーと、アクリルアミド、メタクリルアミド、アルキル及びジアルキルアクリルアミド、アルキル及びジアルキルメタクリルアミド、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、ビニルカプロラクトン、又はビニルピロリドンのような水溶性のスペーサーモノマーとのコポリマーが挙げられる。
【0053】
本明細書の組成物のカチオン性ポリマーに含めるための好適なカチオン性プロトン化アミノ及び第四級アンモニウムモノマーとしては、ジアルキルアミノアルキルアクリレート、ジアルキルアミノアルキルメタクリレート、モノアルキルアミノアルキルアクリレート、モノアルキルアミノアルキルメタクリレート、トリアルキルメタクリルオキシアルキルアンモニウム塩、トリアルキルアクリルオキシアルキルアンモニウム塩、ジアリル第四級アンモニウム塩で置換されたビニル化合物、並びに、例えばアルキルビニルイミダゾリウム、アルキルビニルピリジニウム、アルキルビニルピロリドン塩などの、ピリジニウム、イミダゾリウム、及び第四級ピロリドンのような環状カチオン性窒素含有環を有するビニル第四級アンモニウムモノマーが挙げられる。
【0054】
組成物に用いられる他の好適なカチオン性ポリマーには、1−ビニル−2−ピロリドンと1−ビニル−3−メチルイミダゾリウム塩(例えば、塩化物)のコポリマー(産業界では、Cosmetic,Toiletry,and Fragrance Association「CTFA」によりポリクオタニウム−16と呼ばれる);1−ビニル−2−ピロリドンとジメチルアミノエチルメタクリレートのコポリマー(産業界では、CTFAによりポリクオタニウム−11と呼ばれる);カチオン性ジアリル四級アンモニウム含有ポリマー、例えば、ジメチルジアリルアンモニウムクロリドホモポリマー、アクリルアミドとジメチルジアリルアンモニウムクロリドのコポリマー(産業界では、CTFAによりそれぞれポリクオタニウム−6及びポリクオタニウム−7と呼ばれる);アクリル酸の両性コポリマー、例えば、アクリル酸とジメチルジアリルアンモニウムクロリドのコポリマー(産業界では、CTFAによりポリクオタニウム−22と呼ばれる)、アクリル酸とジメチルジアリルアンモニウムクロリド及びアクリルアミドとのターポリマー(産業界では、CTFAによりポリクオタニウム−39と呼ばれる)、並びにアクリル酸とメタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド及びメチルアクリレートとのターポリマー(産業界では、CTFAによりポリクオタニウム−47と呼ばれる)が挙げられる。好適なカチオン性置換モノマーは、カチオン性置換ジアルキルアミノアルキルアクリルアミド、ジアルキルアミノアルキルメタクリルアミド、及びこれらの組み合わせである。これらの好適なモノマーは次式(IV)に従い:
【0055】
【化1】

に従い、(式中、式(IV)のR1は水素、メチル又はエチルであり、式(IV)の各R2、R3、及びR4は、それぞれ独立して、水素又は約1〜約8個の炭素原子、典型的には約1〜約5個の炭素原子、通常は約1〜約2個の炭素原子を有する短鎖アルキルであり、式(IV)のnは約1〜約8、典型的には約1〜約4の値を有する整数であり、式(IV)のXは対イオンである)に従う。式(V)のR2、R3及びR4に結合する窒素はプロトン化アミン(第一級、第二級又は第三級)であってもよいが、典型的には第四級アンモニウムであり、式(IV)の各R2、R3、及びR4はアルキル基であり、その非限定例はポリメタクリルアミドプロピルトリモニウムクロリドであり、Rhone−Poulenc(Cranberry,N.J.,U.S.A.)より、POLYCARE(登録商標)133の商品名で入手可能である。
【0056】
本組成物に用いるのに好適な他のカチオン性ポリマーとしては、カチオン性セルロース誘導体及びカチオン性デンプン誘導体のような多糖類ポリマーが挙げられる。好適なカチオン性多糖類ポリマーには、式(V)に従うものが挙げられる:
【0057】
【化2】

式中、式(V)のAは、デンプン又はセルロース無水グルコース残基のような無水グルコース残基であり、式(V)のRは、アルキレンオキシアルキレン、ポリオキシアルキレン、又はヒドロキシアルキレン基、又はそれらの組合せであり、式(V)のR1、R2、及びR3は、独立して、アルキル、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、アルコキシアルキル、又はアルコキシアリール基であり、各基は、約18個以下の炭素原子を有し、各カチオン部分の炭素原子の総数(すなわち、式(V)のR1、R2、及びR3内の炭素原子の総数)は、典型的には20以下であり、式(V)のXは、前述したようにアニオン性対イオンである。
【0058】
好適なカチオン性セルロースポリマーは、トリメチルアンモニウム置換エポキシドと反応させたヒドロキシエチルセルロースの塩であり、当業界(CTFA)ではポリクオタニウム10と呼ばれており、アマコール社(Amerchol Corp.)(米国、ニュージャージー州エジソン(Edison))より、ポリマーのポリマー(Polymer)LR、JR及びKGシリーズとして入手可能である。カチオン性セルロースのその他の好適な種類としては、当業界(CTFA)ではポリクオタニウム24と呼ばれる、ラウリルジメチルアンモニウム置換エポキシドと反応させたヒドロキシエチルセルロースのポリマーの第四級アンモニウム塩が挙げられる。これらの物質は、アマコール社(Amerchol Corp.)より、ポリマーLM−200の商標名で入手可能である。
【0059】
その他の好適なカチオン性ポリマーとしては、例えばグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドなどのカチオン性グアーガム誘導体が挙げられ、その具体例としては、ローヌ・プーラン社(Rhone-Poulenc Incorporated)より市販されているジャガーシリーズ、及びハーキュレス社のアクアロン部門より市販されているN−ハンス(N-Hance)シリーズが挙げられる。
【0060】
他の好適なカチオン性ポリマーとしては、四級窒素含有セルロースエーテルが挙げられ、そのいくつかの例が米国特許第3,962,418号に記載されている。他の好適なカチオン性ポリマー類には、エーテル化セルロース、グアー及びデンプンのコポリマーが挙げられ、その幾つかの例が、米国特許第3,958,581号に記載されている。
【0061】
使用される場合、本明細書におけるカチオン性ポリマーは、組成物に可溶であるか、又はそのカチオン性ポリマーと、前述した洗浄性界面活性剤構成成分とにより形成される組成物中の複合コアセルベート相に可溶である。カチオン性ポリマーの複合コアセルベートはまた、組成物中の他の荷電物質で形成させることもできる。
【0062】
本明細書において有用であるカチオン性ポリマーには、米国特許第2007/0207109(A1)号及び同第2008/0206185(A1)号で論じられるものが含まれてもよく、例えば、本明細書に記載されるパーソナルケア組成物のコンディショニング活性成分の沈着を効果的に強化するための、十分に高い分子量の合成コポリマー等が挙げられる。また、カチオン性ポリマーの組み合わせが利用されてもよい。一般に合成コポリマーの平均分子量は、約10,000〜約10,000,000、好ましくは約100,000〜約3,000,000、更により好ましくは約200,000〜約2,000,000である。
【0063】
更なる実施形態では、合成コポリマーは、パーソナルケア組成物の目的とする用途のpHにおいて、約0.1meq/gm〜約6.0meq/gm、より好ましくは約0.5meq/gm〜約3.0meq/gmの質量電荷密度を有する。一般にpHは、pH約3〜pH約9、より好ましくはpH約4〜pH約8の範囲であろう。
【0064】
更に別の実施形態では、合成コポリマーは、少なくとも約2meq/A〜約500meq/A、より好ましくは約20meq/A〜約200meq/A、最も好ましくは約25meq/A〜約100meq/Aの線状電荷密度を有する。
【0065】
カチオン性ポリマーは、コポリマー又はホモポリマーであってもよい。一実施形態では、本組成物中でホモポリマーが利用される。別の実施形態では、本組成物中でコポリマーが利用される。別の実施形態では、本組成物中でホモポリマーとコポリマーとの混合物が利用される。別の実施形態では、本明細書で論じられるセルロース又はグアーポリマー等の、天然由来の性質のホモポリマーが、以下に論じられるもの等の合成起源のホモポリマー又はコポリマーと組み合わせられる。
【0066】
ホモポリマー−3−アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド(APTAC)、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)、[(3−メチルアクリロイルアミノ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリド(MAPTAC)、3−メチル−1−ビニルイミダゾリウムクロリド(QVI);[2−(アクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムクロリド、及び[2−(アクリロイルオキシ)プロピル]トリメチルアンモニウムクロリドのモノマーの非架橋カチオン性ホモポリマーもまた、本明細書において有用である。
【0067】
コポリマー−コポリマーは、2個のカチオン性モノマー、又は非イオン性及びカチオン性モノマーを含んでもよい。
【0068】
非イオン性モノマー単位
本明細書における使用に好適なコポリマーは、以下の式(VI):I.
【0069】
【化3】

(式中、式(VI)のRは、H又はC1〜4アルキルであり、式(VI)のR1及びR2は、H、C1〜4アルキル、CH2OCH3、CH2OCH2CH(CH32、及びフェニルからなる群から独立して選択され、あるいは共に、C3〜6シクロアルキルである)によって表される非イオン性モノマー単位を含む。
【0070】
一実施形態では、非イオン性モノマー単位は、アクリルアミド(AM)であり、すなわち、式(VI)のR、R1、及びR2は、次式(VII):
【0071】
【化4】

(式中、mは1に等しい)に示されるように、Hである。
【0072】
別の好ましい非イオン性モノマー単位は、メタクリルアミド(MethAM)であり、すなわち、式(VI)のRはC1アルキル、式(VIII):
【0073】
【化5】

(式中、mは1に等しい)のR1及びR2はそれぞれHである。
【0074】
しかし、上に述べた式の範囲内の他のアクリルアミド誘導体も、好適であることも意図しており、ポリアクリルアミド及びアクリルアミドモノマーを使用するコポリマーが有用である。
【0075】
コポリマーの非イオン性モノマー部分は、コポリマー全体の約50重量%〜約99.5重量%の量で存在してもよい。好ましくは、この量は、コポリマーの約70重量%〜約99重量%、更により好ましくは約80重量%〜約99重量%である。
【0076】
カチオン性モノマー単位
コポリマーはまた、式(IX):
【0077】
【化6】

(式中、式(IX)のkは1であり、式(IX)の各v、v’、及びv”は独立して、1〜6の整数であり、式(IX)のwは0又は1〜10の整数であり、式(IX)のX-はアニオンである)によって表されるカチオン性モノマー単位を含んでもよい。
【0078】
一実施形態では、上式(IX)に従い、k=1、v=3、及びw=0、及びX-がCl-である構造が存在し、以下の構造を形成する。
【0079】
【化7】

【0080】
上の構造は、ジクワット(diquat)と称されてもよい。
【0081】
更に別の実施形態は、式(IX)に従い、k=1、v及びv”がそれぞれ3であり、V’=1、w=1、及びX-がCl-であるように形成された構造により達成され、例えば以下の構造である。
【0082】
【化8】

【0083】
上記構造体は、トリクワット(triquat)と称されることもある。
【0084】
好適なカチオン性モノマーは、例えば、米国特許公開公報第2004/0010106(A1)号に記載される方法によって製造することができる。
【0085】
任意成分
本出願の組成物は、製品形態及びその目的とする用途及び最終効果に応じて広範な追加の成分を包含してもよい。一実施形態では、かかる任意成分の個々の濃度は、組成物の約0.001重量%〜約50重量%の範囲であってもよく、別の実施形態では、約0.001重量%〜約10重量%の範囲であってもよい。
【0086】
本出願の組成物中で使用する任意成分の非限定例は、Coffindafferらに発行された米国特許第6,335,312号に記載されており、抗ふけ剤(ピロクトンオラミン、非水溶性成分(3,4,4’−トリクロロカルバニリド(トリクロサン)等)、トリクロカルバン、及びジンクピリチオン等)、抗脂漏性剤、抗乾癬剤、酸化染料前駆体、展開剤、酸化剤、アルカリ化剤、懸濁化剤、粘度変性剤、帯電防止剤、保湿剤、皮膚軟化剤、懸濁化剤、粘度変性剤、抗菌剤、捕捉剤、タンパク質、スキンケア活性物質、日焼け止め剤、UV吸収剤、ビタミン及び精油等の他の審美的成分、皮膚感覚剤、収れん剤、皮膚鎮静剤、皮膚回復剤等が挙げられ、その非限定例には、パンテノール及び誘導体(例えばエチルパンテノール)、パントテン酸及びその誘導体、丁子油、メントール、樟脳、ユーカリ油、オイゲノール、メンチルラクテート、マンサク蒸留液、アラントイン、ビサボロール、グリチルリチン酸二カリウム、前述のもののいずれかの誘導体、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0087】
抗ふけ活性物質−本出願の毛髪洗浄組成物はまた、抗ふけ剤を含有してもよい。好適な抗ふけ粒子の非限定例には、ピリジンチオン塩、亜鉛含有層状物質、アゾール(ケトコナゾール、エコナゾール、及びエルビオール等)、硫化セレン、粒子状硫黄、サリチル酸、及びこれらの混合物が挙げられる。典型的な抗ふけ粒子は、ピリジンチオン塩である。このような抗ふけ粒子は、物理的及び化学的に組成物の構成成分と適合すべきであり、過度に製品の安定性、審美性、又は性能を損なうべきではない。
【0088】
ピリジンチオン抗ふけ粒子、特に1−ヒドロキシ−2−ピリジンチオン塩は、本出願の組成物に用いるのに好適な粒子状抗ふけ剤である。ピリジンチオン抗ふけ粒子の濃度は、典型的には組成物の約0.01重量%〜約5重量%、一般に約0.1重量%〜約3重量%、通例約0.1重量%〜約2重量%の範囲である。好適なピリジンチオン塩としては、亜鉛、スズ、カドミウム、マグネシウム、アルミニウム、及びジルコニウムのような重金属、一般には亜鉛から形成されるものが挙げられ、典型的には1−ヒドロキシ−2−ピリジンチオンの亜鉛塩(「ジンクピリジンチオン」又は「ZPT」として既知)であり、通常は平板状粒子の形態の1−ヒドロキシ−2−ピリジンチオン塩であり、この際、粒子は約20マイクロメートルまで、典型的には約5マイクロメートルまで、通常は約2.5マイクロメートルまでの平均サイズを有する。ナトリウムのようなその他のカチオンから形成される塩もまた、好適な場合がある。ピリジンチオン抗ふけ剤は、例えば米国特許第2,809,971号、同第3,236,733号、同第3,753,196号、同第3,761,418号、同第4,345,080号、同第4,323,683号、同第4,379,753号、及び同第4,470,982号に記載されている。
【0089】
亜鉛含有層状物質
本出願の実施形態では、組成物は、有効量の亜鉛含有層状物質を含んでもよい。本出願の好ましい実施形態では、約0.001重量%〜約10重量%、より好ましくは約0.01重量%〜約7重量%、更により好ましくは約0.1重量%〜約5重量%の亜鉛含有層状物質を含む。
【0090】
本出願のある実施形態で有用な亜鉛含有層状物質の例として、米国特許出願公開第2004/0223941 A1号(例えば、塩基性炭酸亜鉛)、Crepaldi,EL、Pava,PC、Tronto,J、Valim,JB、J.Colloid Interfac.Sci.2002,248,429〜42、及びMorioka,H.、Tagaya,H.、Karasu,M、Kadokawa,J、Chiba,K、Inorg.Chem.1999,38,4211〜6に記載されるものが挙げられる。
【0091】
亜鉛含有層状物質と組み合わせて、ジンクピリチオン等のピリチオンの多価金属塩を用いることによって、局所用組成物において抗ふけ効果を高めることができる。血小板状及び針晶構造などの、いかなる形態の多価金属のピリチオン塩も用いてよい。本明細書での使用に好ましい塩としては、多価金属のマグネシウム、バリウム、ビスマス、ストロンチウム、銅、亜鉛、カドミウム、ジルコニウム及びこれらの混合物から、より好ましくは亜鉛から形成されているものが挙げられる。本明細書で用いるのに更により好ましいのは、1−ヒドロキシ−2−ピリジンチオンの亜鉛塩(「ジンクピリチオン」又は「ZPT」として知られている)であり、より好ましくは小板状粒子形態のZPTであり、ここで粒子の平均の大きさは、約20μmまで、好ましくは約5μmまで、より好ましくは約2.5μmまでである。
【0092】
溶解度が25%未満の亜鉛含有層状物質は、亜鉛化合物の重量パーセント及び分子量によって決定される閾値よりも低い、測定可能な可溶性亜鉛値(%)を有することになる。理論上の閾値は、米国特許出願公開第2003/0215522 A1号に記載される方法で算出することができる。
【0093】
ヘアコンディショニング組成物
本出願のヘアコンディショニング組成物は、カチオン性界面活性剤、高融点脂肪族化合物、及び水性キャリアを含有し、ヘアコンディショニング組成物は、以下の性質を有する。
【0094】
組成物は少なくとも5Paの降伏点を有し、この降伏点は以下の数式:
Y≧5.13X−17.80を満たし
(式中、Yはこの組成物の降伏点であり、Xはカチオン性界面活性剤と高融点脂肪族化合物との合計量(この組成物の重量百分率)である)、組成物が増粘ポリマーを実質的に含まない。
【0095】
降伏点
本出願の降伏点は、TA Instrumentsから入手可能な型式名AR2000のレオメータを用い、1000μmの間隙を有する直径40mmの平行型形状を使用して、1Hzの周波数及び25℃で、動的な振幅応力で掃引することにより測定される。
【0096】
本発明の組成物は、市場製品として所望されるレオロジー及び製品安定性を提供することを考慮して、約5Pa以上、好ましくは約8Pa以上の降伏点を有する。
【0097】
好ましくは、すすぎ後の改善された濡れコンディショニング効果及び改善された乾燥コンディショニングを提供することを考慮して、本発明の組成物は、約33Pa以上、より好ましくは約35Pa以上、更に好ましくは40Pa以上の降伏点を有する。上記降伏点はまた、より豊かである、より粘りがある、及び/又は、より濃縮された製品外観を提供することを考慮して、好ましいものであり得る。
【0098】
ジェルマトリックス
ヘアコンディショニング組成物は、ラメラゲルマトリックスなどのゲルマトリックスを含む。このジェルマトリックスは、カチオン性界面活性剤、高融点脂肪化合物、及び水性キャリアを含む。このジェルマトリックスは、濡れた毛髪に塗布したときの滑りやすい感触、並びに乾燥した毛髪上での柔軟性及び湿気を含んだ感触などの様々なコンディショニング効果をもたらすのに好適である。
【0099】
このカチオン性界面活性剤及び高融点脂肪族化合物は、改善された濡れコンディショニング効果を提供することを考慮して、カチオン性界面活性剤と高融点脂肪族化合物の重量比が、好ましくは約1:1〜約1:10、より好ましくは約1:1〜約1:4、更に好ましくは約1:2〜約1:4の範囲になるように、含有される。
【0100】
好ましくは、ゲルマトリックスの安定性の観点から、ヘアコンディショニング組成物は、アニオン性界面活性剤及びアニオン性ポリマーを実質的に含まない。ヘアコンディショニング組成物において、「アニオン性界面活性剤及びアニオン性ポリマーを実質的に含まない」とは、組成物が、アニオン性界面活性剤及びアニオン性ポリマーを合計で1重量%以下、好ましくは0.5重量%以下、より好ましくは全体として0重量%含有していることを意味する。
【0101】
面間隔D
上記特定の変換速度及び特定の降伏点の組み合わせを特徴とする本明細書のヘアコンディショニング組成物は、かかるヘアコンディショニング組成物が、国際公開第2006/044209号の組成物よりも大きな面間隔dを有する場合でさえも、改善された湿潤性能、特にすすぎ後の湿潤コンディショニングを提供する。このようなより大きな面間隔dとは、本明細書では、33nm超(33nmは除外)の面間隔dを意味する。本出願の面間隔dは、図1に示すように、ラメラゲルマトリックス中の2つのラメラ二重層間の距離に1つのラメラ二重層の幅を加えたものを意味する。このため、面間隔dは、次式:
面間隔D=d水+d二重層に従うと定義される。
【0102】
面間隔Dは、PANalyticalから商標名SAXSessで入手可能な高フラックス小角X線散乱器具を、小角X線散乱(SAXS)測定の典型的条件下、0.06<q/nm-1<27(0.085<2θ/度<40に相当)であるqの範囲(q=4π/λsin(θ)、式中、λは波長であり、θは散乱角の半分である)で用いることにより、測定することができる。全データの透過性は、異なる試料の相対強度が得られるように、減衰一次ビーム強度をモニターすること及びそれを1つに正規化することにより較正される。透過性の較正により、正味の試料の錯乱から、水による寄与分を正確に差し引くことができる。面間隔Dは、次式(Braggの式として知られる):nλ=2dsin(θ)によって算出でき、式中nはラメラ二重層の数である。
【0103】
カチオン性界面活性剤と高融点脂肪族化合物との総量は、本出願の効果を提供することを考慮して好ましくは組成物の約4重量%以上、より好ましくは約4.5重量%以上、更により好ましくは約5重量%以上であり、広がり性及び製品外観を考慮して組成物の約15重量%以下、好ましくは約14重量%以下、より好ましくは約13重量%以下、更により好ましくは10重量%以下である。
【0104】
ヘアコンディショニング組成物は、増粘ポリマーを実質的に含まない。増粘ポリマーの添加は、製品の広がり性を低減すると考えられている。本出願において、「増粘ポリマーを実質的に含まない組成物」はヘアコンディショニング組成物が増粘ポリマーを全く含まないか、あるいはヘアコンディショニング組成物が増粘ポリマーを含んだとしても、そのような増粘ポリマーの濃度は非常に低いということを意味する。含まれる場合、そのような増粘ポリマーの濃度は、ヘアコンディショニング組成物の1重量%以下、好ましくは0.5重量%以下、より好ましくは0.1重量%以下、更により好ましくは0.06重量%である。最も好ましくは、そのような増粘ポリマーは、ヘアコンディショニング組成物の0重量%である。このような増粘ポリマーには、例えば、非イオン性及びカチオン性グアーポリマーなどのグアーポリマー、セチルヒドロキシエチルセルロースのような非イオン性、カチオン性及び/又は疎水変性セルロースポリマーなどのセルロースポリマー、ポリクアテルニウム−37のような非イオン性及びカチオン性合成ポリマーなどの他の合成ポリマーが挙げられる。
【0105】
カチオン性界面活性剤
ヘアコンディショニング組成物は、カチオン性界面活性剤を含有する。カチオン性界面活性剤はヘアコンディショニング組成物中に、ヘアコンディショニング組成物の約0.1重量%以上、好ましくは約0.5重量%以上、より好ましくは約1.0重量%以上、更により好ましくは約1.5重量%以上であり、約8重量%以下、好ましくは約5重量%以下、より好ましくは約4重量%以下の濃度で含まれ得る。
【0106】
ヘアコンディショニング組成物において、改善された湿潤コンディショニング効果を考慮すると、ヘアコンディショニング組成物が本明細書に記載するもの以外の他のカチオン性界面活性剤を実質的に含まないことが好ましい。かかる「他のカチオン性界面活性剤」としては、例えば、第三級アミン、第三級アミン塩、及びジ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩が挙げられる。ヘアコンディショニング組成物において、「他のカチオン性界面活性剤を実質的に含まない」とは、ヘアコンディショニング組成物が、かかる他のカチオン性界面活性剤を合計で1重量%以下、好ましくは0.5重量%以下、より好ましくは全体として0重量%含有していることを意味する。
【0107】
ヘアコンディショニング組成物の好ましいカチオン性界面活性剤の1つは、モノ長鎖アルキル四級化アンモニウム及びアニオンの塩であり、アニオンは、塩化物及び臭化物などのハロゲン化物、メトサルフェート及びエトサルフェートなどのC1〜C4アルキルサルフェート、並びにこれらの混合物からなる群から選択される。より好ましくは、アニオンは塩化物などのハロゲン化物及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0108】
本明細書で有用なモノ長鎖アルキル四級化アンモニウム塩は、次式(XII):
【0109】
【化9】

(式中、式(XII)のR71、R72、R73及びR74のうちの1つは、炭素原子16〜40個の脂肪族基であるか、又は炭素原子約40個までを有する、芳香族、アルコキシ、ポリオキシアルキレン、アルキルアミド、ヒドロキシアルキル、アリール若しくはアルキルアリール基から選択され、式(XII)のR71、R72、R73及びR74の残りは、独立して、炭素原子1〜約8個の脂肪族基、又は炭素原子約8個までを有する、芳香族、アルコキシ、ポリオキシアルキレン、アルキルアミド、ヒドロキシアルキル、アリール又はアルキルアリール基から選択され、式(XII)のX-は、塩化物及び臭化物などのハロゲン化物、メトサルフェート及びエトサルフェートなどのC1〜C4アルキルサルフェート、及びこれらの混合物からなる群から選択される塩生成アニオンである)を有するものである。
【0110】
脂肪族基は、炭素及び水素原子に加えて、エーテル結合、及びアミノ基のような他の基を含有することができる。長鎖の脂肪族基、例えば、炭素数が約16個以上のものは、飽和であるか、又は不飽和であることができる。好ましくは、式(XII)のR71、R72、R73及びR74のうちの1つは、炭素原子数16〜40の、より好ましくは炭素原子数18〜26の、更により好ましくは炭素原子数22のアルキル基から選択され、式(XII)の残りのR71、R72、R73及びR74は、CH3、C25、C24OH、CH265、及びこれらの混合物から独立して選択される。
【0111】
これらのうち、より好ましいカチオン性界面活性剤は、より長いアルキル基、すなわちC18〜22アルキル基を有するものである。例えば、このようなカチオン性界面活性剤としては、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルトリメチルアンモニウムメチルサルフェート、ベヘニルトリメチルアンモニウムエチルサルフェート、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムメチルサルフェート又はステアリルトリメチルアンモニウムエチルサルフェートが挙げられる。更に好ましいのは、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルトリメチルアンモニウムメチルサルフェート、ベヘニルトリメチルアンモニウムエチルサルフェート、更により好ましいのはベヘニルトリメチルアンモニウムクロリドである。
【0112】
高融点脂肪族化合物はヘアコンディショニング組成物中に、ヘアコンディショニング組成物の約1.0重量%以上、好ましくは約1.5重量%以上、より好ましくは約2.0重量%以上、更により好ましくは約4.0重量%以上であり、約15重量%以下、好ましくは約10重量%以下の濃度で含まれ得る。
【0113】
ゲルマトリックスの安定性の観点から、本明細書で有用な高融点脂肪族化合物は、25℃以上の、好ましくは40℃以上の、より好ましくは45℃以上の、更により好ましくは50℃以上の融点を有する。好ましくは、より製造がしやすく、より乳化しやすいという観点から、かかる融点は約90℃まで、より好ましくは約80℃まで、更により好ましくは約70℃まで、更に一層好ましくは約65℃までである。ヘアコンディショニング組成物において、高融点脂肪族化合物は、単一の化合物として、あるいは少なくとも2つの高融点脂肪族化合物のブレンド又は混合物として使用することができる。このようなブレンド又は混合物として使用されるとき、上記融点とは、ブレンド又は混合物の融点を意味する。
【0114】
本明細書で有用な高融点脂肪化合物は、脂肪族アルコール、脂肪酸、脂肪族アルコール誘導体、脂肪酸誘導体及びこれらの混合物からなる群から選択される。高融点化合物の非限定的な例は、「International Cosmetic Ingredient Dictionary」(Fifth Edition,1993)及び「CTFA Cosmetic Ingredient Handbook」(Second Edition,1992)に記載されている。
【0115】
様々な高融点脂肪化合物のうち、脂肪族アルコールがヘアコンディショニング組成物に好ましくは使用される。本明細書で有用な脂肪族アルコールは、約14個〜約30個の炭素原子、好ましくは約16個〜約22個の炭素原子を有するものである。これらの脂肪族アルコールは、飽和アルコールであり、直鎖又は分岐鎖アルコールであることができる。
【0116】
例えば、好ましい脂肪族アルコールとしては、セチルアルコール(約56℃の融点を有する)、ステアリルアルコール(約58〜59℃の融点を有する)、ベヘニルアルコール(約71℃の融点を有する)、及びこれらの混合物が挙げられる。これらの化合物は、上記の融点を有することが知られている。しかしながら、これらは多くの場合、供給時にはより低い融点を有する。それは、このような供給される製品が、多くの場合、主アルキル鎖がセチル、ステアリル又はベヘニル基であるアルキル鎖長分布を有する脂肪族アルコールの混合物であるからである。本出願において、より好ましい脂肪族アルコールはセチルアルコール、ステアリルアルコール及びこれらの混合物である。
【0117】
本明細書で有用な市販の高融点脂肪化合物には、Shin Nihon Rika(Osaka,Japan)から入手可能な商品名KONOLシリーズ及びNOF(Tokyo,Japan)から入手可能な商品名NAAシリーズのセチルアルコール、ステアリルアルコール、及びベヘニルアルコール;WAKO(Osaka、Japan)から入手可能な商品名1−DOCOSANOLの純粋なベヘニルアルコールが挙げられる。
【0118】
ヘアコンディショニング組成物は、水性キャリアを含有する。このキャリアのレベル及び種は、他の成分との適合性及び製品の他の所望の特性により選択される。
【0119】
本出願で有用なキャリアとしては、水、並びに低級アルキルアルコール及び多価アルコールの水溶液が挙げられる。本明細書で有用な低級アルキルアルコールは、炭素数1〜6の一価アルコール、より好ましくはエタノール及びイソプロパノールである。本明細書で有用な多価アルコールには、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、及びプロパンジオールが挙げられる。
【0120】
好ましくは、水性キャリアは実質的に水である。好ましくは脱イオン水が使用される。ミネラルカチオンを包含する天然源からの水も、製品の所望の特性に応じて使用することができる。一般に、ヘアコンディショニング組成物は、ヘアコンディショニング組成物の約20重量%〜約99重量%、好ましくは約30重量%〜約95重量%、及びより好ましくは約80重量%〜約90重量%の水を含む。
【0121】
好ましくは、ヘアコンディショニング組成物は、シリコーン化合物を好ましくは含有する。シリコーン化合物は、乾燥した毛髪に平滑さ及び柔軟性をもたらすことができると考えられる。本明細書でシリコーン化合物は、ヘアコンディショニング組成物の好ましくは約0.1重量%〜約20重量%、より好ましくは約0.2重量%〜約10重量%、更により好ましくは約0.2重量%〜約5重量%の組成物重量に対する濃度で用いられる。
【0122】
好ましくは、シリコーン化合物は、組成物中にて、約1ミクロン〜約50ミクロンの平均粒径を有する。
【0123】
本明細書において有用なシリコーン化合物は、単一化合物として、少なくとも2つのシリコーン化合物のブレンド又は混合物として、あるいは少なくとも1つのシリコーン化合物と少なくとも1つの溶媒とのブレンド又は混合物として、好ましくは25℃において約1,000〜約2,000,000mPa・sの粘度を有する。
【0124】
粘度は、Dow Corning Corporateの試験方法CTM0004(1970年7月20日)に記載されているガラスキャピラリー粘度計により測定可能である。好適なシリコーン流体には、ポリアルキルシロキサン、ポリアリールシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサン、ポリエーテルシロキサンコポリマー、アミノ置換シリコーン、四級化シリコーン及びこれらの混合物が挙げられる。コンディショニング特性を有する他の不揮発性シリコーン化合物も使用することができる。
【0125】
好ましいポリアルキルシロキサンには、例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン及びポリメチルフェニルシロキサンが挙げられる。ジメチコンとしても知られるポリジメチルシロキサンが、特に好ましい。これらのシリコーン化合物は、例えばGeneral Electric CompanyのVISCASIL(登録商標)及びTSF 451シリーズ、並びにDow CorningのDow Corning SH200シリーズから利用できる。
【0126】
上記ポリアルキルシロキサンは、例えば、低い粘度を有するシリコーン化合物との混合物として入手可能である。このような混合物は、好ましくは約1,000mPa・s〜約100,000mPa・s、より好ましくは約5,000mPa・s〜約50,000mPa・sの粘度を有する。このような混合物は好ましくは(i)25℃において約100,000mPa・s〜約30,000,000mPa・sの粘度、好ましくは約100,000mPa・s〜約20,000,000mPa・sの粘度を有する第1シリコーンと、(ii)25℃において約5mPa・s〜約10,000mPa・sの粘度、好ましくは約5mPa・s〜約5,000mPa・sの粘度を有する第2シリコーンと、を含む。本明細書で有用なこのような混合物には、例えば、GE Toshibaから入手可能な18,000,000mPa・sの粘度を有するジメチコンと200mPa・sの粘度を有するジメチコンとのブレンド、GE Toshibaから入手可能な18,000,000mPa・sの粘度を有するジメチコンとシクロペンタシロキサンとのブレンドが挙げられる。
【0127】
本明細書で有用なシリコーン化合物は、また、シリコーンゴムを含む。用語「シリコーンゴム」は、本明細書で使用するとき、25℃において1m2/s(1,000,000センチストークス)以上の粘度を有するポリオルガノシロキサン材料を意味する。本明細書に記載のシリコーンガムはまた、上に開示したシリコーン化合物と一部重複する部分も有り得るとみなされる。この重複は、これらの物質のいずれにおいても限定を意図しない。「シリコーンゴム」は、典型的に約200,000を超え、一般的に約200,000〜約1,000,000の質量分子量を有する。具体的な例としては、ポリジメチルシロキサン、ポリ(ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン)コポリマー、ポリ(ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン・メチルビニルシロキサン)コポリマー及びこれらの混合物が挙げられる。シリコーンゴムは、例えば低い粘度を有するシリコーン化合物との混合物として入手可能である。本明細書で有用なそのような混合物には、例えば、Shin−Etsuから入手可能なゴム/シクロメチコンのブレンドが挙げられる。
【0128】
本明細書で有用なシリコーン化合物には、また、アミノ置換物質が挙げられる。好ましいアミノシリコーンには、例えば次の一般式(XIII):
(R1a3-a−Si−(−OSiG2n−(−OSiGb(R12-bm−O−SiG3-a(R1a
(式中、式(XII)のGは、水素、フェニル、ヒドロキシ、又はC1〜C8アルキル、好ましくはメチルであり、式(XII)のaは、0又は1〜3の値を有する整数、好ましくは1であり、式(XII)のbは、0、1又は2、好ましくは1であり、式(XII)のnは、0〜1,999の数であり、式(XII)のmは、0〜1,999の整数であり、n及びmの合計は、1〜2,000の数であり、aとmが、両方共0ではなく、式(XII)のR1は、一般式CqH2qLに従う一価のラジカルであり、式中、qは、2〜8の値を有する整数であり、Lは以下の基、すなわち、−N(R2)CH2−CH2−N(R22、−N(R22、−N(R23-、−N(R2)CH2−CH2−NR22-(式中、R2は、水素、フェニル、ベンジル、又は飽和炭化水素ラジカル、好ましくは約C1〜約C20のアルキルラジカルであり、A-は、ハロゲン化物イオンを表す)から選択される)に従うものが挙げられる。
【0129】
極めて好ましいアミノシリコーンは、式(XIII)に対応するものであり、式中、m=0、a=1、q=3、G=メチルであり、nは好ましくは約1500〜約1700、より好ましくは約1600であり、Lは−N(CH32又は−NH2、より好ましくは−NH2である。別の極めて好ましいアミノシリコーンは、式(I)に対応するものであり、式中、m=0、a=1、q=3、G=メチルであり、nは好ましくは約400〜約600、より好ましくは約500であり、Lは−N(CH32又は−NH2、より好ましくは−NH2である。このような極めて好ましいアミノシリコーンは、末端アミノシリコーンと呼ばれるが、これはシリコーン鎖の片端又は両端が、窒素含有基によって末端処理されているためである。
【0130】
上述のアミノシリコーンをヘアコンディショニング組成物中に組み込む場合、低粘度を有する溶媒と混合することができる。このような溶媒には、例えば極性若しくは非極性、揮発性若しくは不揮発性油が挙げられる。このような混合物は、好ましくは約1,000mPa・s〜約100,000mPa・s、より好ましくは約5,000mPa・s〜約50,000mPa・sの粘度を有する。
【0131】
他の好適なアルキルアミノ置換シリコーン化合物には、シリコーン主鎖のペンダント基としてアルキルアミノ置換体を有するものが挙げられる。極めて好ましいものは、「アモジメチコン」として知られているものである。本明細書で有用な市販のアモジメチコンには、例えば、Dow Corningから入手可能なBY16−872が挙げられる。
【0132】
シリコーン化合物は更にエマルションの形態でヘアコンディショニング組成物に組み入れてもよく、この場合、エマルションは、機械的混合によって又はエマルション重合による合成段階で、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及びこれらの混合物から選択された界面活性剤の助力を借りて又は助力無しで製造される。
【0133】
ヘアコンディショニング組成物の製造方法
ヘアコンディショニング組成物は、好ましくは、次の工程を含む方法で調製される。
(1)界面活性剤と、高融点脂肪族化合物と、を含む油相を調製する工程であって、油相の温度が高融点脂肪族化合物の融点よりも高い、調整工程。
(2)水性キャリアを含む水相を調製する工程であって、水相の温度が高融点脂肪族化合物の融点よりも低い、調整工程。
(3)油相と水相とを混合し、エマルションを形成する工程。
混合する工程(3)は次の詳細工程を含む。
(3−1)約1.0×102J/m3以上のエネルギー密度を有する高せん断場に油相又は水相のいずれかを供給する工程。
(3−2)その場にもう一方の相を直接供給する工程。
(3−3)エマルションを形成する工程。
この方法は、以下のうちの少なくとも1つを更に必要とする。
混合する工程(3)が、回転部材を有するホモジナイザーを使用することにより行われること。
界面活性剤がモノアルキルカチオン性界面活性剤であり、組成物がジアルキルカチオン性界面活性剤を実質的に含まないこと。
界面活性剤がカチオン性界面活性剤であり、油相が油相重量の0〜約50%の水性キャリアを含み、好ましくは油相が水を実質的に含まない。
【0134】
混合する工程(3)の詳細
本出願において、上述の油相及び水相を高剪断場に直接供給することにより、油相及び水相は、高せん断場中で最初に合流する。高せん断場中で最初に合流することにより、界面活性剤及び高融点脂肪化合物の、エマルションへの改善された転換をもたらし、すなわち、このような相が非剪だん場又は低剪だん場中で最初に合流する他の方法と比較して、得られるヘアコンディショニング組成物は、減少した量の非乳化界面活性剤/高融点脂肪化合物を含有すると考えられる。本出願の方法は、このようなエマルションへの改善された転換によって、改善されたコンディショニング効果を有するヘアコンディショニング組成物をもたらし、改善された製品外観及び/又は製品安定性を与えるとも考えられる。
【0135】
本出願において、「直接供給する」とは、エマルションへの改善された転換という観点から、この2つの相が、最初の合流後0.3秒以内、好ましくは0.2秒以内、より好ましくは0.1秒以内、更により好ましくは0秒で高せん断場に到達することができるように、2つの相を供給することを意味する。本出願において、直接供給することは、好ましくは直接注入により行われる。
【0136】
本出願において、「高せん断場」とは、この場が、エマルションへの改善された転換という観点から、約1.0×102J/m3以上、好ましくは約1.0×103J/m3以上、より好ましくは約1.0×104J/m3以上であり、転換が改善されたヘアコンディショニング組成物の製造安定性という観点から、約5.0×108J/m3以下、好ましくは約2.0×107J/m3以下、より好ましくは約1.0×107J/m3以下であるエネルギー密度を有することを意味する。
【0137】
本出願では、混合する工程(3)が以下の詳細工程を含むことが好ましい。
(3−1)約1.0×102J/m3以上のエネルギー密度を有する高せん断場に水相を供給する工程。
(3−2)その場に油相を直接供給する工程。
(3−3)エマルションを形成する工程。
【0138】
本出願において、特に下記に詳述される回転部材を有するホモジナイザーを使用するときには、改善されたコンディショニング効果を有するヘアコンディショニング組成物を安定に製造するという観点から、油相を、水相が既に存在する高せん断場の中に供給することが好ましい。
【0139】
好ましくは、本出願において、詳細工程(3−1)及び(3−2)を含む、混合する工程(3)は、高せん断ホモジナイザーを使用することにより行われる。本明細書で有用な高せん断ホモジナイザーとしては、例えば、A.Berents Gmbh&Co.から入手可能なBECOMIX(登録商標)(直接注入式ローターステーターホモジナイザー)、及びIndolaval/TetraPacから入手可能なLexa−30(直接注入式ローターステーターホモジナイザー)などの回転部材を有するホモジナイザー、Sonic Corporationから入手可能なSONOLATOR(登録商標)(高圧超音波ホモジナイザー)などの高圧ホモジナイザーが挙げられる。
【0140】
これらの高せん断ホモジナイザーは、そのまま用いる場合、APV Manton Corporationから入手可能なManton Gaulin式ホモジナイザー、Microfluidics Corporationから入手可能なMicrofluidizer、Primix Corporationから入手可能なT.K.パイプラインホモミキサー、及びIKA Corporationから入手可能なDR−3などの他の高せん断ホモジナイザーと比較して、最初の合流後、2つの相(油及び水)が素早く高せん断場に到達できるために、好ましい。これらの他の高せん断ホモジナイザーは、最初の合流後、2つの相が素早く高せん断場に到達できるように変更して用いることができる。
【0141】
本出願では、製造安定性、すなわち、改善されたコンディショニング効果を有するヘアコンディショニング組成物を安定供給という観点で、通常は約5.0×107J/m3のより高いエネルギー密度で操作されるSonic Corporationから入手可能なSONOLATOR(登録商標)などの高圧ホモジナイザーよりも、回転部材、特に直接注入式ローターステーターホモジナイザーを有するホモジナイザーが好ましい。
【0142】
使用方法
毛髪を洗浄及びコンディショニングする方法として、本出願の毛髪処理法が用いられ、この方法は以下の工程を含む。
(i)毛髪を濡らし、有効量の毛髪洗浄組成物を塗布する工程。
(ii)毛髪をすすぐ工程。
(iii)毛髪をコンディショニングするために有効量のコンディショニング組成物を毛髪に塗布する工程。
(ii)毛髪をすすぐ工程。
【0143】
例えば、本明細書において有効量とは、毛髪10gあたり約0.3mL〜約0.67mL、約0.067mL〜約0.5mL、約0.05mL〜約1mL、約0.1mL〜約0.75mLである。
【0144】
本出願の複合製品による毛髪処理法は、改善されたコンディショニング効果、特に、すすぎ前の湿潤コンディショニング効果を維持する一方で、すすぎ後の改善された濡れコンディショニング効果及び改善された乾燥コンディショニングを提供する。本出願の毛髪洗浄組成物及びコンディショニング組成物は低減された投与量でも、全投与量の従来のシャンプー及び従来のコンディショナー組成物と同じレベルのコンディショニング効果を提供することができる。本明細書では、このような低減された投与量は、例えば毛髪10g当たり約0.3mL〜約0.7mLである。
【0145】
湿潤及び乾燥コンディショニング試験方法
コンディショナー広がり中の湿潤コンディショニング
すすぎ前の湿潤コンディショニングを、製品名Texture Analyzer(TA XT Plus、Texture Technologies、Scarsdale、NY、USA)の装置により測定される毛髪摩擦推力により評価した。1gの組成物を10gの毛髪サンプルに塗布する。毛髪サンプル上に組成物を拡げた後、毛髪をすすぐ前に、毛髪サンプルとポリウレタンパッドとの間の摩擦推力(g)を上記装置により測定する。
【0146】
A:対照と比較して、5%超(5%は除外)〜10%の摩擦推力低減
B:対照と比較して、5%まで(5%を含む)の摩擦推力低減
C:対照、又は対照と同等
D:対照と比較して、摩擦推力増加
【0147】
コンディショナーすすぎ中の湿潤コンディショニング
すすぎ後の湿潤コンディショニングを、製品名Texture Analyzer(TA XT Plus、Texture Technologies、Scarsdale、NY、USA)の装置により測定される毛髪摩擦推力により評価した。1gの組成物を10gの毛髪サンプルに塗布する。毛髪サンプル上に組成物を広げた後、それを温水で30秒間にわたってすすぐ。次に、毛髪サンプルとポリウレタンパッドとの間の摩擦推力(g)を上記装置により測定する。
【0148】
A:対照と比較して、5%超(5%は除外)〜10%の摩擦推力低減
B:対照と比較して、5%まで(5%を含む)の摩擦推力低減
C:対照、又は対照と同等
D:対照と比較して、摩擦推力増加
【0149】
乾燥コンディショニング
Instron Tester(Instron 5542,Instron,Inc(Canton,Mass.,USA))という名称の装置によって測定される毛髪摩擦推力により、乾燥コンディショニング性能を評価する。2gの組成物を20gの毛髪サンプルに塗布する。毛髪サンプル上に組成物を拡げた後、毛髪を温水で30秒間にわたってすすぎ、毛髪サンプルを一晩放置し、乾燥させる。毛髪に沿って毛髪表面とウレタンパッドとの間の摩擦推力(g)を測定する。
【0150】
A:対照と比較して、5%超(5%は除外)〜10%の摩擦推力低減
B:対照と比較して、5%まで(5%を含む)の摩擦推力低減
C:対照、又は対照と同等
D:対照と比較して、摩擦推力増加
【0151】
毛髪基材調製法
シリコーン付着性を測定し、それにより2種の基材間での付着均一性値の算出も行うため、異なる極性を持つ2種の異なる毛髪基材が必要である。毛髪は、Hugo Royer International Limited(10 Lakeside Business Park,Sandhurst,Berkshire,GU47 9DN,England)から供給されるが、それはブレンドされた東欧系ミッドブラウン色の人毛である。使用前に、この毛髪を、バッチあたり少なくとも200の毛髪ストランドに基づき、角質損傷の低さ(<20%)及び不揃いの低さ(<5%)について評価認定する。毛髪ストランド上の任意の損傷を1点の損傷として数え、次いで合計をパーセントで算出する。この毛髪を10cm(4”)で2gの丸く束ねたヘアピース(毛髪の長さ及び重量は束ねた部分より下方の毛髪に対応する)にする。2つの異なる極性を有する毛髪基材を得るため、続いてこの毛髪を、2つの異なる手順に従って前処理する。
【0152】
バージンヘア調製
流速6±1L分-1、温度37±2℃に設定したシャワー部を備えたシンクにて、次の手順を用いてヘアピースを洗浄する。最初にヘアピースをシャワー部の下で30秒間濡らす。次いで、毛髪を水流下から外し、0.2gのシャンプー(Pantene Classic Care Shampoo)を各ヘアピースに滴下し、続いて手を用いて30秒間泡立て、シャワーで60秒間すすぐ。毛髪を再度シャワーから外し、更に0.2gのシャンプーを適用し、30秒間泡立て、シャワーで60秒間の最終すすぎを行う。続いて、30℃に設定した温度制御キャビネット内でヘアピースを乾燥させる。2回のシャンプー適用と、1回の乾燥工程とを含むこの洗浄手順を、単一洗浄サイクルと定義する。この洗浄サイクルを完了した後の毛髪を、以下「バージン」毛髪と定義し、以下で疎水性毛髪基材として使用する。
【0153】
化学損傷ヘア調製
ヘアピースを、次の2成分漂白処方を用いて化学的に損傷させる。
【0154】
【表1】

【0155】
【表2】

(1):Surfachem(Leeds,UK)からSurfacセチルアルコールとして入手可能。
(2):Surfachem(Leeds,UK)からSurfacステアリルアルコールとして入手可能。
(3):Croda(North Humberside,UK)からVolpo CS25として入手可能。
(4):Nipa−Hardwicke(Wilmington,Delaware)からフェノキシエタノールとして入手可能。
(5):Haltermann(Cumbria,UK)から安息香酸ナトリウムEP/USPとして入手可能。
(6):BASF(Cheadle,Cheshire,UK)からEdeta B粉末として入手可能。
(7):BASF(Cheadle,Cheshire,UK)からTrilon C液として入手可能。
(8):Solutia(Newport,South wales)からDequest 2010として入手可能。
(9):Albright & Wilson(West Midlands,UK)からリン酸750Fとして入手可能。
(10):Aldrichからスズ酸ナトリウムとして入手可能。
(11):Ellis & Everard(Walsall,UK)から過酸化水素35% 171/4として入手可能。
(12):Hays(Greenwich,London,UK)から50%酢酸として入手可能。
(13):Brotherton Speciality Products(West Yorkshire,UK)からアンモニウム溶液BP等級として入手可能。
【0156】
これらの製品は、以下の手順を用いて製造される。
【0157】
過酸化物ベース:
第1段階はエマルションベースを製造することであり、容器に脱イオン水を添加し、攪拌を開始し、次いで82℃まで加熱することによって調製される。次いでEDTA四ナトリウム及び安息香酸ナトリウムを添加して溶解させ、続いてセテアレス25、セチルアルコール及びステアリルアルコールを添加する。添加プロセスの間は80℃を超える温度に維持し、最後にフェノキシエタノールを添加し、次いで混合物を30分間均質化する。生成物を高せん断混合し続けながら、50℃未満に冷却することによって、エマルション構造を得る。次いでエマルションベースを60分間増粘させる。
【0158】
キレート剤を、混合しながら脱イオン水に添加して、キレート剤プレミックスを形成させる。次いでこれを攪拌しながらあらかじめ製造したエマルションベースに添加する。過酸化物混合水を添加し、続いて過酸化水素をエマルションベース/キレート剤プレミックスに添加し、均質になるまで攪拌して、過酸化物ベースを完成される。
【0159】
染料用のキャリアベース
容器に水を添加し、攪拌を開始して、続いて酢酸を添加し、次いでエマルションベース(上記過酸化物ベース用のエマルションベースの調製を参照)を添加することによって、染料用のキャリアベースを調製する。完全に混合したら、水酸化アンモニウムを混合物に添加し、生成物が均質になるまで攪拌を続ける。
【0160】
この漂白系を用いるには、同重量の2つの成分、過酸化物ベース及び染料用キャリアベースを十分に混合する。乾燥した未処理ヘアピースそれぞれに、次いでこの漂白系4gを適用し、指を使って毛髪全体に行き渡らせ、均一に完全に覆うようにする。次いでヘアピースを食品包装用フィルムでラップし、30℃で30分間オーブン内でインキュベートし、その後製品を、(流速を6±1L分-1、温度を37±2℃に設定したシャワー部を備えたシンクにて)2分間指で攪拌しながらすすぐ。最終的にヘアピースを、熱風ドライヤ(Babyliss Lightweight Professional model 1015(1400W))を用いて、3分間乾燥させる。次いで漂白されたヘアピースを、流速を6±1L分-1、温度を37±2℃に設定したシャワー部を備えたシンクにて洗浄する。最初にヘアピースをシャワー部の下で30秒間濡らす。次いで、毛髪を水流下から外し、0.2gのシャンプー(Pantene Clarifying Shampoo)を各ヘアピースに滴下し、続いて手を用いて30秒間泡立て、シャワーで60秒間すすぐ。毛髪を再度シャワーから外し、更に0.2gのシャンプーを適用し、30秒間泡立て、シャワーで60秒間の最終すすぎを行う。続いてヘアピースを、熱風ドライヤ(Babyliss Lightweight Professional model 1015(1400W))を用いて、3分間乾燥させる。2回のシャンプー適用と、1回の乾燥工程とを含むこの洗浄手順を、単一洗浄サイクルとして定義する。続いて、この洗浄法を、別の完全な洗浄サイクルとして再び繰返す。次いで乾燥ヘアピースを上記で概要された方法に従って再び漂白し、続いて2回の完全な洗浄サイクルを用いて再び洗浄する。以下、この毛髪を「損傷」毛髪と定義し、親水性毛髪基材として以下で使用する。
【0161】
毛髪トリートメント
付着性及び付着均一性について検査中の官能化シリコーンは、次の方法を用いて評価用に調製される。過酸化物ベース(損傷毛髪基材の調製に使用するものとして上述)28.8gを計量して100mLのガラスビーカーに入れ、続いて1.2gのシリコーンを25mmの攪拌子と共に容器に添加し、電磁攪拌器(IKA RCTbasic)上に置いて、攪拌速度1000rpmで30分間放置する。続いて、この生成物を電磁攪拌器から降ろし、次いで30gの染料用キャリアベース(損傷毛髪基材の調製において上述)添加し、プラスチック製のへらによる手撹拌を用いて、均質になるまで十分に攪拌する。続いて、検査中のシリコーンを含有する漂白系16gを、2つのバージン毛髪のヘアピース、及び(各ヘアピースにつき4gに等しい)2つの損傷毛髪のヘアピースに同時に塗布し、同じクランプに保持し、指を使って毛髪全体に行き渡らせ、均一に完全に覆うようにする。次いでヘアピースを食品包装用フィルムでラップし、30℃で30分間オーブン内でインキュベートし、その後続いて、2分間(流速を6±1L分-1、温度を37±2℃に設定したシャワー部を備えたシンクにて)指で攪拌しながらすすぐ。ヘアピースを、熱風ドライヤ(Babyliss Lightweight Professional model 1015(1400W))を用いて、3分間乾燥させる。
【0162】
付着性測定
波長分散型X線蛍光スペクトロメーター(Phillips Electronics,PW2404 Sequential「4000W」X−Ray Spectrometer System)を利用して、毛髪におけるシリコーン付着レベルを測定する。スペクトロメーターは、ロジウム管を備え、高感度のシリコーン検出を促進するためにInSb結晶を含む。
【0163】
固有X線光子をシリコーン原子の内殻電子の放出によって生成させ、続いて高エネルギー状態から空の内殻に電子を遷移させる。ポリジメチルシロキサン(PDMS)内のシリコーンのX線蛍光は、毛髪上に付着したPDMSの量に正比例する。より官能化されたシリコーンで起こり得るこの関連性からの任意の逸脱は、付着均一性値(下記)の算出において相殺される。XRF技術を活用するための重要な要素は、一貫した方法でスペクトロメーターにサンプルを提示する能力である。曝露サンプル面積(直径16mm)にわたり、連続的で平坦な整列した毛髪表面を提示するオーダーメイドのサンプルホルダーにヘアピースを配置する。サンプルを、32kVの管電圧及び125mAの電流を用いて、ヘリウム雰囲気にて、60秒の照射/捕捉時間で分析する。
【0164】
分析信号におけるドリフトを定期的にモニターし、評価する。用いられる好ましい手法は、ドリフトを評価する度に調製する必要がない既知の標準を使用するものである。Ausmonサンプルは、シリコーン測定を含む多くの用途に適切なモニターサンプルである。シリコーン用のAusmonサンプルを用いたドリフト較正を、サンプルを分析する日の最初に毎回行う。計算されたドリフトは、分析セット間で3%未満である。
【0165】
ppm単位の毛髪上のシリコーン量は、次の式(1):
2=(I−b1)/m1 (1)
(式中、m1及びb1は、毛髪に付着したシリコーン量の関数としてXRF信号の測定から構築された較正曲線に基づいて計算され、続いて選択したシリコーンの原子吸光を用いて分析する)を用いて計算できる。
【0166】
上述のようにして得られたXRFシリコーン付着データを、異なる程度の化学損傷を受けた毛髪基材上への付着均一性の測定値に変換するために、付着均一性値を得ることが必要である。付着均一性値を得るために、次の式(2)が使用される。
【0167】
【数1】

Dep(1)が、「損傷」毛髪(上記により調製)上で得られるXRF付着値に等しい場合、Dep(2)は、「バージン」毛髪(上記により調製)上で得られるXRF付着値に等しい。
【0168】
付着性測定
「官能性シリコーン付着性及び付着均一性測定法」で上述のように、付着性の測定にはXRF値を用いる。
【0169】
上述のようにして得られたXRFシリコーン付着データを、シリコーン耐久性の測定値に変換するために、シリコーン耐久性指数値を得ることが必要である。シリコーン耐久性指数値を得るために、次の式(3)が使用される。
【0170】
【数2】

Dep(初期)が、洗浄サイクルを経ないシリコーン付着の後に毛髪上で得られるXRF付着値に等しい場合、Dep(12サイクル)は、シリコーン付着後12回の洗浄サイクルの後、毛髪上で得られるXRF付着値に等しい。
【0171】
実施例及びデータ
シャンプー組成物
【0172】
【表3】

1 式(XI)
2 約30マイクロメートルのシリコーン粒子
【0173】
コンディショナー組成物
【0174】
【表4】

【0175】
シリコーン付着の相乗効果のために、毛髪表面により多くのシリコーンを送達しながらも、毛髪洗浄/コンディショニングプロセスに同量(又はより少ない量)のシリコーンを送達することの実証が重要である。
【実施例】
【0176】
実施例1:シャンプーAとコンディショナーAとの間の相乗効果
【0177】
【表5】

【0178】
実施例2:シャンプーBとコンディショナーAとの間の相乗効果
【0179】
【表6】

【0180】
実施例3:シャンプーCとコンディショナーAとの間の相乗効果
【0181】
【表7】

【0182】
実施例4:シャンプーAとコンディショナーBとの間の相乗効果
【0183】
【表8】

【0184】
実施例5:シャンプーAとコンディショナーCとの間の相乗効果
【0185】
【表9】

【0186】
本明細書に開示されている寸法及び値は、列挙した正確な数値に厳しく制限されるものとして理解すべきではない。それよりむしろ、特に規定がない限り、こうした各寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することを意図している。
【0187】
相互参照される又は関連するあらゆる特許又は出願書類を含め、本明細書において引用される全ての文献は、明示的に除外ないしは制限されない限り、その全体を参考として本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、それが本明細書において開示され請求されるいずれかの発明に関する先行技術であること、又はそれが単独で若しくは他のいかなる参照とのいかなる組み合わせにおいても、このような発明を教示する、提案する、又は開示することを認めるものではない。更に、本書における用語のいずれかの意味又は定義が、参考として組み込まれた文献における同一の用語のいずれかの意味又は定義と相反する限りにおいて、本書においてその用語に与えられた定義又は意味が適用されるものとする。
【0188】
本発明の特定の実施形態が例示され、記載されてきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を、添付の「特許請求の範囲」で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケラチン材料用複合製品システムであって、該システムが、
(1)皮膚科学的に許容可能なキャリアと、分枝及び非分枝のデシル及びウンデシルアルキルサルフェートであって、エトキシル化されているか又は非エトキシル化されているもの;デシルアルコールで変性されたラウリルサルフェート;C13〜C17の範囲の鎖長を備えるパラフィンスルホネート;C12〜C17の炭素鎖長を備えた直鎖及び分枝鎖アルコールサルフェートの混合物であって、エトキシル化されているか又は非エトキシル化されているもの;分枝状の、メチル−2−ヒドロキシ−デシルエーテルサルフェート、ヒドロキシエチル−2−ドデシルエーテルサルフェート、ヒドロキシエチル−2−デシルエーテルサルフェートのナトリウム塩;モノエトキシル化ラウリルアルキルサルフェート;並びにこれらの混合物からなる群から選択される約3%〜約40%の少なくとも1つの界面活性剤と、約0.05重量%〜約10重量%のシリコーンエマルションとを含む毛髪洗浄組成物を、毛髪10gあたり約0.3mL〜約0.67mL塗布する工程と、
(2)
(a)カチオン性界面活性剤、
(b)高融点脂肪族化合物と、
(c)水性キャリアとを含むヘアコンディショニング組成物であって、
該ヘアコンディショニング組成物が、少なくとも5Paの降伏点を有し、該降伏点が次式:
Y≧5.13X−17.80
を満たし(式中、Yはこの組成物の降伏点であり、Xはカチオン性界面活性剤と高融点脂肪族化合物との合計量(この組成物の重量百分率)である)、
該組成物が増粘ポリマーを実質的に含まない、ヘアコンディショニング組成物を、毛髪10gあたり約0.3mL〜約0.67mL塗布する工程と
を含み、
該毛髪洗浄組成物を該ヘアコンディショニング組成物と共に、又は連続してケラチン材料に適用すると、約350ppmを超えるシリコーン付着が得られる、ケラチン材料用複合製品システム。
【請求項2】
前記少なくとも1つの界面活性剤が、CH3−(CH2z−CHR2−CH2−O(CH2CHR3O)y−SO3M(式中、R2が、z及びR2の炭素原子の合計が8になるように、Hを表すか又は1〜4個の炭素原子を含む炭化水素ラジカルを表し、R3がH又はCH3であり、yは0〜7であり、yが0に等しくないとき、yの平均値が約1であり、かつMが一価又は二価の正電荷を持つカチオンである)からなる群から選択される少なくとも1つのウンデシルサルフェート化合物から選択される、請求項1に記載のケラチン材料用複合製品システム。
【請求項3】
前記高融点脂肪族化合物が、セチルアルコール、ステアリルアルコール、及びベヘニルアルコールからなる群から選択される、請求項1に記載のケラチン材料用複合製品システム。
【請求項4】
前記カチオン性界面活性剤が、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルトリメチルアンモニウムメチルサルフェート、ベヘニルトリメチルアンモニウムエチルサルフェート、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムメチルサルフェート及びステアリルトリメチルアンモニウムエチルサルフェートからなる群から選択される、請求項1に記載のケラチン材料用複合製品システム。
【請求項5】
前記毛髪洗浄組成物がアニオン性界面活性剤を更に含む、請求項1に記載のケラチン材料用複合製品システム。

【公表番号】特表2012−530048(P2012−530048A)
【公表日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−511075(P2012−511075)
【出願日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際出願番号】PCT/US2010/037205
【国際公開番号】WO2010/141683
【国際公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】