説明

気体圧縮機

【課題】気体圧縮機において、圧縮室内の圧力と吐出室内の圧力との差に応じて、ベーン背圧の供給を調整することができるものとする。
【解決手段】圧縮機本体60に、吐出室21とベーン溝(56)とを連通して吐出室21内の冷凍機油Rを高圧のままベーン溝(56)に流す連通油路(連通油路24a、リング状の溝51a、連通油路51c、リング状の溝51b、連通油路24b、および連通油路24c)が形成されているとともに、この連通油路(特に回転軸51に形成された連通油路51c)を開閉するスプール弁53(開閉弁)を、圧縮機本体60の回転に伴って発生する遠心力に応じて開閉作用するものとし、圧縮室60内の圧力と吐出室21内の圧力との差に応じてベーン背圧(ベーン溝(56)に供給される冷凍機油Rの圧力)の供給を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は気体圧縮機に関し、詳細には、圧縮機本体へのベーン背圧供給の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、空気調和システム(以下、空調システムという。)には、冷媒ガスなどの気体を圧縮して、空調システムに気体を循環させるための気体圧縮機(コンプレッサ)が用いられている。
【0003】
ここで、一般的な気体圧縮機は、ハウジングの内部に圧縮機本体を収容しており、いわゆるベーンロータリ形式の気体圧縮機における圧縮機本体は、回転軸と、回転軸と一体的に軸回りに回転する略円柱状の、ベーン溝が形成されたロータと、ロータの外周面の外方を取り囲む、内周面の断面輪郭が略楕円形状のシリンダと、ベーン溝に埋設されて、突出側の先端がシリンダの内周面に追従するようにロータの外周面からの突出量が可変とされた板状のベーンと、ロータ、ベーンおよびシリンダを両端面側から覆う2つのサイドブロックとを有している。
【0004】
また、ハウジングの内部には、ハウジングの内面と圧縮機本体の外面などによって、圧縮機本体から吐出された気体が通過するとともに、この気体から分離された油分が溜められる吐出室が画成されている。
【0005】
そして、吐出室に溜められている油分は、吐出された気体が通過する吐出室内の圧力によって、圧縮機本体に形成された導油路を通ってベーン溝に供給され、このベーン溝に供給された油分の圧力(ベーン背圧)と回転に伴って発生する遠心力とが、ベーンを外方に突出させる(ベーンの突出側先端をシリンダの内周面に当接させる)付勢力として作用し、これにより、回転軸の回転方向について相前後する2つのベーン、ロータ、シリンダ、および2つのサイドブロックで圧縮室が画成される。
【0006】
ここで、ベーン背圧は、導油路の経路上に形成されている絞り(例えば、回転軸を指示するサイドブロックの軸受けとこの軸受けで指示された回転軸の外周面との間の微小な隙間)によって、吐出室内の圧力よりも相当程度低く抑えられている。
【0007】
すなわち、ベーン背圧が圧縮室内の圧力と同程度まで高いと、遠心力との合力により、ベーンの突出側先端とシリンダの内周面との間に生じる摩擦抵抗(摺動抵抗)が過度に大きくなって動力効率の低下を招くが、導油路上の絞りでベーン背圧を低く抑えることで、この動力効率の低下を回避することができる。
【0008】
一方、圧縮室内の圧力と吐出室内の圧力との差が小さいときは、ベーン背圧が低くなり、圧縮室内の圧力との関係で、圧縮機本体の回転中に、ベーンの突出側先端がシリンダの内周面から瞬間的に離れるチャタリングが発生する場合がある。
【0009】
これに対して、導油路のうち、絞りよりも上流側の部分から分岐路を設けて、この分岐路から高圧の油分を、チャタリングが発生し易いロータの回転角度範囲にあるベーン溝に供給することで、チャタリングの発生を防止乃至抑制する技術が提案されている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2006−077597号公報(明細書[0030]段落、図2等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、この提案技術は、圧縮室内の圧力と吐出室内の圧力との差の大小に拘わらず、チャタリングが発生し易いロータの回転角度範囲にあるベーン溝に対しては常に高圧のベーン背圧を供給するため、例えば圧縮機本体の回転速度が速くなって、圧縮室内の圧力と吐出室内の圧力との差が大きくなり、チャタリングが発生しにくい状況に至っていても、吐出室内の圧力と同程度の高いベーン背圧が供給され続け、却って、前述した摺動抵抗の増大による動力効率の低下を招くことになる。
【0011】
本発明に係る気体圧縮機によれば、吐出室内の圧力と同程度に高い圧力の油分を、絞りのある導油路とは別に設けられた連通油路を介してベーン溝に供給することにより、ベーンのチャタリングを防止乃至抑制することができるとともに、開閉弁が、圧縮機本体の回転に伴って発生する遠心力に応じて連通油路を開閉することにより、圧縮室内の圧力と吐出室内の圧力との差が大きいときと小さいときとで、ベーン溝への高圧の油分の供給を調整することができ、チャタリングが発生しにくい回転速度域での動力効率の低下を回避することができる。
【0012】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであって、圧縮室内の圧力と吐出室内の圧力との差に応じて、ベーン背圧の供給を調整することができる気体圧縮機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る気体圧縮機は、吐出室とベーン溝とを連通する連通油路を、開閉弁が、圧縮機本体の回転に伴って発生する遠心力に応じて開閉することにより、ベーン溝への油圧の供給を圧縮機本体の回転速度に応じたものとし、圧縮室内の圧力と吐出室内の圧力との差は、圧縮機本体の回転速度に応じたものであるため、圧縮室内の圧力と吐出室内の圧力との差に応じて、ベーン溝への油圧の供給を調整するものである。
【0014】
すなわち、本発明に係る気体圧縮機は、回転軸と、前記回転軸と一体的に軸回りに回転する略円柱状の、ベーン溝が形成されたロータと、前記ロータの外周面の外方を取り囲む、内周面の断面輪郭が略楕円形状のシリンダと、前記ベーン溝に埋設されて、突出側の先端が前記シリンダの前記内周面に追従するように該ロータの前記外周面からの突出量が可変とされた板状のベーンと、前記ロータ、前記ベーンおよび前記シリンダを両端面側から覆う2つのサイドブロックとを有する圧縮機本体、および前記圧縮機本体から吐出された気体が通過するとともに、この気体から分離された油分が溜められる吐出室を備え、前記圧縮機本体には、前記吐出室と前記ベーン溝とを連通する、前記油分が流通する連通油路が形成されているとともに、前記圧縮機本体の前記回転に伴って発生する遠心力に応じて、前記連通油路を開閉する開閉弁が設けられていることを特徴とする。
【0015】
ここで、開閉弁は、遠心力の大きさと線形的に開閉するものであってもよいし、所定の大きさの遠心力を閾値として、遠心力がこの閾値を超えたか否かに応じて開閉するものであってもよい。
【0016】
すなわち、遠心力は回転速度に依存するため連続して変化するが、開閉弁の開度は、連続的に変化するものであってもよいし、閉から開または開から閉に、段階的(離散的)に変化するものであってもよい。
【0017】
このように構成された本発明に係る気体圧縮機によれば、吐出室内の油分は、圧縮機本体に形成されている連通油路を通ってロータに形成されたベーン溝に流れるが、この連通油路を開閉する開閉弁は、圧縮機本体の回転に伴って発生する遠心力に応じて開閉し、圧縮機本体の回転に伴って発生する遠心力は圧縮機本体の回転速度に応じたものとなるため、圧縮機本体の回転速度に適応して開閉し、したがって、圧縮機本体の回転速度に応じて、ベーン溝への油分の供給(ベーン背圧)を調整する。
【0018】
そして、圧縮室内の圧力と吐出室内の圧力との差は、圧縮機本体の回転速度に応じたものであるため、本発明の気体圧縮機は、圧縮室内の圧力と吐出室内の圧力との差に応じてベーン溝への油圧の供給を調整する。
【0019】
このように、本発明に係る気体圧縮機によれば、吐出室内の圧力と同程度に高い圧力の油分を、絞りのある導油路とは別に設けられた連通油路を介してベーン溝に供給することにより、ベーンのチャタリングを防止乃至抑制することができるとともに、開閉弁が、圧縮機本体の回転に伴って発生する遠心力に応じて連通油路を開閉することにより、圧縮室内の圧力と吐出室内の圧力との差が大きいときと小さいときとで、ベーン溝への高圧の油分の供給を調整することができ、チャタリングが発生しにくい回転速度域での動力効率の低下を回避することができる。
【0020】
本発明に係る気体圧縮機は、前記開閉弁は、前記遠心力が相対的に小さい範囲では前記連通油路を開放し、前記遠心力が相対的に大きい範囲では前記連通油路を閉鎖するように設定されていることが好ましい。
【0021】
このように好ましい構成の気体圧縮機によれば、圧縮機本体の回転速度が相対的に低い速度域のときは、圧縮室内の圧力と吐出室内の圧力との差が比較的小さいため、ベーンのチャタリングが発生しやすいが、このような低い回転速度域では、回転によって生じる遠心力が相対的に小さく、したがって開閉弁は連通油路を開放し、これにより、吐出室から連通油路を通ってベーン溝に高圧の油分が供給されて、ベーンのチャタリングを防止乃至抑制することができる。
【0022】
一方、圧縮機本体の回転速度が相対的に高い速度域のときは、圧縮室内の圧力と吐出室内の圧力との差が比較的大きいため、ベーンのチャタリングが発生しにくいが、このような高い回転速度域では、回転によって生じる遠心力が相対的に大きく、したがって開閉弁は連通油路を閉鎖し、これにより、吐出室から連通油路を通ってベーン溝に高圧の油分が供給されなくなり、チャタリングの虞が低いベーンの背圧を過度の高めることがなく、動力効率が低下するのを防止することができる。
【0023】
本発明に係る気体圧縮機は、前記連通油路は、前記2つのサイドブロックのうち前記吐出室に近い側のサイドブロックに形成され、前記開閉弁は、前記回転軸の内部に設けられ、前記遠心力に応じた変形量で弾性変形する弾性部材と前記弾性部材の変形量に応じて変位する弁体とを有することが好ましい。
【0024】
このように好ましい構成の気体圧縮機によれば、圧縮機本体の回転軸に作用する遠心力は、圧縮機本体の回転に伴って生じた遠心力であるため、回転する回転軸の内部に設けられている開閉弁は、圧縮機本体の回転に伴って生じた遠心力に応じて開閉することができる。
【0025】
ここで、開閉弁は、弾性部材と、この弾性部材の弾性変形量に応じて変位する弁体とからなるものであるが、弾性部材は、作用する遠心力に応じて弾性変形し、弁体は、その弾性変形量に応じて変位することで連通油路を開閉するため、このような簡単な構成で、圧縮機本体の回転に伴って生じた遠心力により連通油路を開閉する開閉弁を実現することができる。
【0026】
本発明に係る気体圧縮機は、前記吐出室に近い側のサイドブロックには、前記吐出室に溜められている前記油分を、前記回転軸の外周面まで導く導油路が形成され、前記連通油路は、前記ロータに対して、前記導油路よりも遠い位置に形成されていることが好ましい。
【0027】
吐出室に近い側のサイドブロックに形成されている導油路は、吐出室に溜められている前記油分を回転軸の外周面まで導くことで、その油分は回転軸の外周面とサイドブロックの軸受け内周面との間に形成されたわずかな隙間(絞り)を通ってロータの端面において開口したベーン溝に導かれるが、連通油路が導油路よりも、ロータに近い側に形成されている仮想の構造では、導油路からロータの端面に至る油分の経路(回転軸の外周面とサイドブロックの軸受け内周面との間に形成されたわずかな隙間)上に連通油路が形成されていることになり、ロータの端面に到達する油分の油量が、連通油路が開閉弁によって開放されている状態であるか閉鎖されている状態であるかに依存してしまうため適切ではないが、上述した好ましい構成の気体圧縮機によれば、連通油路は導油路よりも、ロータから遠い側に形成されているため、導油路からロータの端面に至る油分の経路(回転軸の外周面とサイドブロックの軸受け内周面との間に形成されたわずかな隙間)上には連通油路は形成されておらず、したがって、ロータの端面に開口したベーン溝に到達する油分の油量が、連通油路の開閉状態の影響を受けないようにすることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係る気体圧縮機によれば、圧縮室内の圧力と吐出室内の圧力との差に応じて、ベーン背圧の供給を調整することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の気体圧縮機に係る実施形態について、図面を参照して説明する。
【0030】
図1は、本発明に係る気体圧縮機の一実施形態である、ベーンロータリ式コンプレッサ100を示す縦断面図、図2は図1におけるA−A線に沿った面による断面図、図3は図1におけるリヤサイドブロック20を示す図((a)側面図、(b)C−C線に沿った面による断面図、(c)D−D線に沿った面による断面図、(d)E−E線に沿った面による断面図)、図4は図1における回転軸51とロータ50とのアッセンブリ(組立体)の部分破断面図、図5は図4におけるB部の詳細を示す図、図6は図1に示したコンプレッサ100の作用を説明する図((a)低速回転域でのスプール弁53(開閉弁)による開放状態、(b)高速回転域でのスプール弁53による閉鎖状態)である。
【0031】
図示のコンプレッサ100は、例えば、冷却媒体の気化熱を利用して冷却を行なうGHP(ガスヒートポンプ)用の空気調和システム(以下、単に空調システムという。)の一部として構成され、この空調システムの他の構成要素である凝縮器、膨張弁、蒸発器等(いずれも図示を省略する。)とともに、冷却媒体の循環経路上に設けられている。
【0032】
そして、コンプレッサ100は、空調システムの蒸発器から取り入れた気体状の冷却媒体としての冷媒ガスG(気体)を圧縮し、この圧縮された冷媒ガスGを空調システムの凝縮器に供給する。凝縮器は、圧縮された冷媒ガスGを周囲の空気等との間で熱交換することにより冷媒ガスGから放熱させて液化させ、高圧で液状の冷媒として膨張弁に送出する。
【0033】
高圧で液状の冷媒は、膨張弁で低圧化され、蒸発器に送出される。低圧の液状冷媒は、蒸発器において周囲の空気から吸熱して気化し、この気化熱との熱交換により蒸発器周囲の空気を冷却する。
【0034】
気化した低圧の冷媒ガスGは、コンプレッサ100に戻って圧縮され、以下、上記行程を繰り返す。
【0035】
コンプレッサ100は、圧縮機本体60と油分離器であるサイクロンブロック70とをハウジング10の内部に収容している。
【0036】
ハウジング10は、一端が閉じられ、他端が開放された筒状体を呈したケース11と、このケース11の開放された他端を覆うフロントヘッド12とからなり、フロントヘッド12がケース11に組み付けられた状態で、ハウジング10の内部に、圧縮機本体60およびサイクロンブロック70を収容する空間が画成される。
【0037】
フロントヘッド12には、蒸発器から供給された低圧の冷媒ガスGを内部に取り込む吸入ポート12aが形成されており、ケース11には、圧縮機本体60で圧縮された高圧の冷媒ガスGを凝縮器に吐出する吐出ポート11aが形成されている。
【0038】
圧縮機本体60は、軸回りに回転駆動される回転軸51と、この回転軸51と一体的に軸回りに回転する円柱状の、軸回りに等角度間隔で5つのベーン溝56(図2参照)が形成されたロータ50と、ロータ50の外周面の外方を取り囲む断面輪郭略楕円形状の内周面49を有するとともに両端が開放されたシリンダ40と、ロータ50の外方に向けて突出可能に、ベーン溝56に埋設され、その突出側の先端がシリンダ40の内周面49の輪郭形状に追従するように突出量が可変とされた5つの板状のベーン58(図2参照)と、シリンダ40の両側開放端面の外側からそれぞれ、ロータ50、ベーン58およびシリンダ40を覆うように固定されたフロントサイドブロック30およびリヤサイドブロック20とからなる。
【0039】
そして、2つのサイドブロック20,30、ロータ50、シリンダ40、および回転軸51の回転方向に相前後する2つのベーン58,58によって画成された各圧縮室48の容積が、回転軸51の回転にしたがって増減を繰り返すことにより、相対的に低圧の冷媒ガスGを圧縮室48に吸入し、この吸入した低圧の冷媒ガスGを圧縮して相対的に高圧の冷媒ガスGとし、得られた高圧の冷媒ガスGを吐出する。
【0040】
圧縮室48に吸入される低圧の冷媒ガスGは、吸入ポート12aを介して、フロントヘッド12とフロントサイドブロック30とにより画成された吸入室34を通って吸入された冷媒ガスGである。したがって、吸入室34は比較的低圧の雰囲気となっている。
【0041】
一方、圧縮室48から吐出された高圧の冷媒ガスGは、ケース11とリヤサイドブロック20とサイクロンブロック70とにより画成された吐出室21を通り、吐出ポート11aを介して吐出される。したがって、吐出室21は比較的高圧の雰囲気となっている。
【0042】
なお、ロータ50の両端面側からそれぞれ突出した回転軸51の部分のうち一方の部分は、フロントサイドブロック30の軸受部32に軸支されるとともに、フロントヘッド12を貫通して外方まで延び、図示しない外部の動力(例え部GHPではガスエンジン)が伝達される駆動力伝達部80に連結されている。
【0043】
一方、回転軸51の突出部分のうち他方の側は、リヤサイドブロック20の軸受部22により軸支されている。
【0044】
サイクロンブロック70は、圧縮室48からリヤサイドブロック20を介して吐出された高圧の冷媒ガスGを通過させることにより、この冷媒ガスGに混在している冷凍機油R(油分)を分離する油分離器であり、高圧の冷媒ガスGから分離された冷凍機油Rは、吐出室21の底部に溜められている。
【0045】
吐出室21の底部に溜められた冷凍機油Rは、ベーン58を突出させるための背圧や圧縮室48の潤滑油等として、リヤサイドブロック20等に形成された導油路26a,26c,26e,26b,26d(図3(a),(b)参照)を通って圧縮機本体60の内部に供給されている。
【0046】
ここで、導油路26aは、下端が吐出室21に溜められた冷凍機油Rの油面よりも下方において開口しており、吐出室21の底部に溜められている冷凍機油Rが、吐出室21の高圧雰囲気によって、この下端の開口から導油路26aに導入される。導油路26aの上端は、回転軸51の外周面に到達する部分で開口しており、導油路26aに導入された冷凍機油Rは、この回転軸51の外周面まで導かれる。
【0047】
回転軸51の外周面まで導かれた冷凍機油Rは、この回転軸51の外周面とリヤサイドブロック20の軸受け22の面との間の僅かな隙間を通ることで絞られながらロータ50に導かれ、ロータ50に形成されたベーン溝56に供給されることで、ベーン58を突出させる付勢力を与えている。
【0048】
この導油路26aが開口している上側の開口は、リヤサイドブロック20の軸受け22の全周に亘って形成されたリング状の溝23に連通しており、導油路26aを通って上側の開口に到達した冷凍機油Rは、回転軸51の外周の全周に供給される。
【0049】
さらに、このリング状の溝26aには、上方に延びて形成された導油路26bが連通し、この導油路26bには、ロータ50の端面に向けて延びる導油路26dが連通して形成されている。
【0050】
同様に、下側の導油路26aには、ロータ50の端面に向けて延びる導油路26cと、シリンダ40に向けて延びる導油路26eとが、それぞれ連通して形成されている。
【0051】
ロータ50の端面に向けて延びる導油路26c,26dは、リヤサイドブロック20とロータ50(またはベーン58)との間の摺動面に冷凍機油Rを供給するために形成されている。
【0052】
一方、導油路26eは、シリンダ40に形成された導油路42(図2参照)に連通しており、このシリンダ40の導油路42は、図示を略したフロントサイドブロック30の導油路に連通している。図示を略したこのフロントサイドブロック30の導油路は、リヤサイドブロック20に形成された導油路26a,26b,26c,26dと同様に、シリンダ40の導油路42を介して供給された冷凍機油Rを、フロントサイドブロック30とロータ50(またはベーン58)との間の摺動面や、ロータ50のベーン溝56に、フロントサイドブロック30側から冷凍機油Rを供給するための油路である。
【0053】
また、リヤサイドブロック20には、上述の導油路26a,26b,26c,26d,26eとは別に、図3(a),(c),(d)に示すように下端が吐出室21に溜められた冷凍機油Rの油面よりも下方において開口しているとともに、上端が回転軸51の外周面において開口している連通油路24aと、この連通油路24aよりもロータ側に近い側に、一端が回転軸51の外周面において開口し、他端がロータ50の端面に向いて、ベーン溝56の通過範囲に開口している、屈曲した連通油路24b、24cとが形成されている。
【0054】
なお、連通油路24a,24b,24cの、回転軸51の外周面における開口はいずれも、ロータ50に対して、導油路26aよりも遠い位置に形成されている。
【0055】
リヤサイドブロック20に形成された連通油路24a,24b,24cの各一端は、導油路26aと同様に、回転軸51の外周面に通じてそれぞれ開口しているが、連通油路24aの一端が開口している回転軸51の外周面には、この外周面の全周に亘ってリング状の溝51aが形成され、連通油路24b,24cの一端が開口している回転軸51の外周面には、この外周面の全周に亘ってリング状の溝51bが形成されている(図3参照)。
【0056】
これにより、連通油路24bと連通油路24cとは、リング状の溝51bを介して連通している。
【0057】
ここで、連通油路24bの開口24dおよび連通油路24cの開口24eは、ロータ50の回転速度が低速度域のとき、圧縮室48内の圧力と吐出室21内の圧力との差が小さいために、圧縮室48の内圧とベーン58の突出力とのバランスの関係で、ベーン58がチャタリングを起こしやすい回転角度位置(ベーン溝26の回転角度位置)に対応して形成されている。つまり、ベーン58がチャタリングを起こしやすいときのベーン溝56の通過範囲に対向する位置に形成されている。
【0058】
さらに、この回転軸51の断面図である図4、およびこの図4におけるB部の詳細を表す図5に示すように、回転軸51の内部には、リング状の溝51aとリング状の溝51bとを回転軸51の内部で連通する、軸に沿って延びた連通油路51cが形成されている。なお、連通油路51cにおける回転軸51の端面側は、栓52によって閉塞されている。
【0059】
以上より、連通油路24a(リヤサイドブロック20に形成)、リング状の溝51a(回転軸51に形成)、連通油路51c(回転軸51に形成)、リング状の溝51b(回転軸51に形成)、連通油路24b(リヤサイドブロック20に形成)、および連通油路24c(リヤサイドブロック20に形成)は、これら全体で、吐出室21とベーン溝56とを連通し、冷凍機油Rが流通する連通油路を構成している。
【0060】
さらに、回転軸51に内部には、回転軸51の回転に伴って発生する遠心力に応じて、連通油路51cを開閉するスプール弁53が設けられている。このスプール弁53は、遠心力に応じた変形量で弾性変形するバネ53b(弾性部材)とバネ53bの変形量に応じて変位するスプール53a(弁体)とを有している。
【0061】
すなわち、バネ53bは、回転軸の直径方向に沿って配設されており、回転軸51が回転することによってスプール53aに遠心力が作用し、この遠心力に釣り合う弾性力が発生するようにバネ53bが伸び、バネ53bの伸び分だけスプール53aは変位する。
【0062】
そして、回転軸51の回転速度が低い低速回転域(例えば1000rpm程度の回転速度域)では、スプール53aに作用する遠心力が小さいためスプール53aの変位は小さく、したがって、図6(a)に示すように、スプール53aが連通油路51cを閉鎖することはなく、連通油路24a、リング状の溝51a、連通油路51c、リング状の溝51b、連通油路24b、および連通油路24cからなる連通油路は全体で開放されている。
【0063】
これにより、吐出室21内の冷凍機油Rは、この連通油路を通ってベーン溝56に流れ込み、ベーン58を突出させるベーン背圧を高める。
【0064】
すなわち、ベーン58をロータ50から突出させる付勢力は、ベーン溝56に作用する冷凍機油Rの圧力(ベーン背圧)と、回転軸51およびロータ50の回転によって生じる遠心力との合力であるが、このベーン背圧は、従来のコンプレッサでは、吐出室21から導油路26aを通り、回転軸51の外周面とリヤサイドブロック20の軸受け22の面との間の僅かな隙間を通って絞られ、ベーン溝56に供給された冷凍機油Rの圧力であるため、導油路26aに導入されたときは高圧であっても、回転軸51の外周面とリヤサイドブロック20の軸受け22の面との間の僅かな隙間を通過する間に絞られて中圧(吐出室21の内圧(高圧)よりも低いが、吸入室34の内圧(低圧)よりは高い圧力)まで低下している。したがって、ベーン58の突出力は、この中圧のベーン背圧と遠心力との合力となる。
【0065】
これに対して、本実施形態に係るコンプレッサ100は、導油路26a、および回転軸51の外周面とリヤサイドブロック20の軸受け22の面との間の僅かな隙間を通った中圧の冷凍機油Rがベーン溝56に供給される点は、従来のコンプレッサと同様であるが、本実施形態のコンプレッサ100は、導油路26aの他に、経路上に絞りのない連通油路(連通油路24a、リング状の溝51a、連通油路51c、リング状の溝51b、連通油路24b、および連通油路24c)が形成されているため、ロータ50の回転によりベーン溝56が、連通油路24bの開口24d(図3(a)参照)または連通油路24cの開口24e(図3(a)参照)に対向している期間中は、ベーン溝56に、吐出室21の内圧と同程度の高圧の冷凍機油Rを供給することができる。
【0066】
ここで、ロータ50の回転速度が低速度域のときは、圧縮室48内の圧力と吐出室21内の圧力との差が小さく、かつ圧縮室48が圧縮行程にあるとき、圧縮室48の内圧とベーン58の突出力とのバランスの関係で、ベーン58がチャタリングを起こしやすい。
【0067】
しかし、本実施形態に係るコンプレッサ100は、ベーン58がチャタリングを起こしやすい回転角度位置(ベーン溝26の回転角度位置)に対応して、連通油路24bの開口24dおよび連通油路24cの開口24eが開口しているため、ベーン58がチャタリングを起こしやすい回転角度範囲においてのみ、ベーン溝56に高圧の冷凍機油Rを供給して、ベーン背圧を高め、ベーン58がチャタリングするのを防止乃至抑制することができる。
【0068】
一方、ベーン58がチャタリングを起こしやすい回転角度位置以外の範囲では、連通油路24bの開口24dおよび連通油路24cの開口24eがベーン溝56に連通しないため、ベーン溝56に高圧の冷凍機油Rが供給されることがなく、したがって、ベーン背圧を過度に高めることがなく、ベーン58の突出側先端とシリンダ40の内周面49との間に生じる摩擦抵抗(摺動抵抗)の過度の増大による動力効率の低下を回避することができる。
【0069】
また、回転軸51の回転速度が高い高速回転域(例えば3500rpm程度の回転速度域)では、スプール53aに作用する遠心力が大きいためスプール53aの変位は大きく、したがって、図6(b)に示すように、スプール53aが連通油路51cを閉鎖し、連通油路24a、リング状の溝51a、連通油路51c、リング状の溝51b、連通油路24b、および連通油路24cからなる連通油路は閉鎖される。
【0070】
これにより、吐出室21内の高圧の冷凍機油Rが、この連通油路を通ってベーン溝56に流れ込むのは阻止され、ベーン背圧が高められることはない。
【0071】
ここで、ロータ50の回転速度が高速度域のときは、圧縮室48内の圧力と吐出室21内の圧力との差が大きいため、ベーン58はチャタリングを起こしにくく、したがって、ベーン背圧を高める必要はないところ、上述したようにスプール弁53が連通油路を閉鎖しても、ベーン58はチャタリングを発生することはない。
【0072】
却って、ベーン溝56に、連通油路を介しての高圧の冷凍機油Rを供給しないことにより、ベーン背圧を過度に高めることがなく、ベーン58の突出側先端とシリンダ40の内周面49との間に生じる摩擦抵抗(摺動抵抗)の過度の増大による動力効率の低下を回避することができる。
【0073】
このように、本実施形態に係るコンプレッサ100によれば、圧縮機本体60に形成されている連通油路(連通油路24a、リング状の溝51a、連通油路51c、リング状の溝51b、連通油路24b、および連通油路24c)を通って、吐出室21内の冷凍機油Rがベーン溝56に流れるが、この連通油路を開閉するスプール弁53は、圧縮機本体60の回転に伴って発生する遠心力に応じて開閉するが、圧縮機本体60の回転に伴って発生する遠心力は圧縮機本体60の回転速度に応じたものとなるため、圧縮機本体60の回転速度に適応して開閉し、したがって、圧縮機本体60の回転速度に応じて、ベーン溝56への冷凍機油Rの供給(ベーン背圧)を調整することができる。
【0074】
そして、圧縮室48内の圧力と吐出室21内の圧力との差は、圧縮機本体60の回転速度に応じたものであるため、本実施形態のコンプレッサ100は、圧縮室48内の圧力と吐出室21内の圧力との差に応じてベーン溝56への油圧の供給(ベーン背圧)を調整することができる。
【0075】
以上のように、本実施形態に係るコンプレッサ100によれば、吐出室21内の圧力と同程度に高い圧力の冷凍機油Rを、絞りのある導油路(導油路26a,26b,26c,26d,26e)とは別に設けられた連通油路(連通油路24a、リング状の溝51a、連通油路51c、リング状の溝51b、連通油路24b、および連通油路24c)を介して、高圧のままでベーン溝56に供給することにより、ベーン58のチャタリングを防止乃至抑制することができるとともに、スプール弁53が、圧縮機本体60の回転に伴って発生する遠心力に応じて上記連通油路(具体的には連通油路51c)を開閉することにより、圧縮室48内の圧力と吐出室21内の圧力との差が大きいときと小さいときとで、ベーン溝56への高圧の冷凍機油Rの供給を調整することができ、ベーン58のチャタリングが発生しにくい回転速度域での動力効率の低下を回避することができる。
【0076】
さらに、このスプール弁53は遠心力に応じて開閉するため、電磁弁等において必要とされる電気的な制御を必要としない機械的な構造で構成することができ、電磁弁を用いるよりも簡易な構成で実現することができる。
【0077】
なお、本実施形態に係るコンプレッサ100は、スプール弁53が、遠心力の大きさにしたがって線形的に開閉するものとして説明したが、この形態に限定されるものではなく、所定の大きさの遠心力を閾値として、遠心力がこの閾値を超えたか否かに応じて開閉が切り替わるものを適用することもできる。
【0078】
また、その開度も、0[%]と100[%]との切替えだけでなく、複数段の段階的な切替え(例えば、開度0[%]←→開度20[%]←→開度50[%]←→開度80[%]←→開度100[%]など)であってもよい。
【0079】
連通油路51cを開閉する開閉弁としては、本実施形態におけるスプール弁53の形式に限定されるものではなく、他の形式の機械的な開閉弁を適用することもできる。
【0080】
本実施形態に係るコンプレッサ100は、スプール弁53が、遠心力が相対的に小さい範囲(低速回転域)では連通油路を開放し、遠心力が相対的に大きい範囲(高速回転域)では連通油路を閉鎖するように設定されているため、ベーンロータリ形式のコンプレッサにおいては、ベーン58のチャタリングが発生し易い低速回転域で、ベーン背圧を顕著に高めることができ、特に低速回転域での効率を大幅に向上させることができる。
【0081】
また、本実施形態に係るコンプレッサ100は、圧縮機本体60が、回転軸51と、回転軸51と一体的に軸回りに回転する略円柱状の、ベーン溝56が形成されたロータ50と、ロータ50の外周面の外方を取り囲む、内周面49の断面輪郭が略楕円形状のシリンダ40と、ベーン溝56に埋設されて、突出側の先端がシリンダ40の内周面49に追従するようにロータ50の外周面からの突出量が可変とされた板状のベーン58と、ロータ50、ベーン58およびシリンダ40を両端面側から覆う2つのサイドブロック20,30とを有するベーンロータリ形式のコンプレッサであり、2つのサイドブロック20,30のうち吐出室21に近い側のサイドブロック(リヤサイドブロック20)、回転軸51、シリンダ40および吸入室34に近い側のサイドブロック(フロントサイドブロック30)に、連通油路が連通して形成され、スプール弁53が、回転軸51の内部に設けられ、遠心力に応じた変形量で弾性変形するバネ53bとバネ53bの変形量に応じて変位するスプール53aとを有する構成であるため、回転軸51の内部に設けられたバネ53bは、圧縮機本体60の回転に伴って生じた遠心力に応じて弾性変形し、スプール53aは、バネ53bの弾性変形量に応じて変位することで連通油路51cを開閉することができるため、スプール弁53をこのような簡単な構成で実現することができる。
【0082】
本実施形態に係るコンプレッサ100は、吐出室21に近い側のサイドブロック(リヤサイドブロック20)には、吐出室21に溜められている冷凍機油Rを回転軸51の外周面まで導く導油路26aが形成され、同じくサイドブロック(リヤサイドブロック20)に形成された連通油路24a,24b,24cは、その回転軸51側の開口が、ロータ50に対して導油路26aよりも遠い位置に形成されているため、連通油路51cの開閉状態に影響されることなく、導油路26aから、回転軸51の外周面とリヤサイドブロック20の軸受け22の面との間の僅かな隙間を通ってロータ50(ベーン溝56)まで、安定的に冷凍機油Rを供給することができる。
【0083】
すなわち、連通油路24a,24b,24cが、ロータ50に対して導油路26aよりも近い位置に形成されている構造の仮想的なコンプレッサによれば、連通油路51cが開放されているときは、導油路26aからロータ50に向かって、回転軸51の外周面とリヤサイドブロック20の軸受け22の面との間の僅かな隙間を流れた凍機油Rは、導油路26aとロータ50との間に存在する連通油路24a,24b,24cを流れる冷凍機油Rに合流するため、ロータ50のベーン溝56に中圧の冷凍機油Rを安定的に供給することができない。
【0084】
これに対し、本実施形態のコンプレッサ100では、連通油路24a,24b,24cは導油路26aとロータ50との間に存在しないため、導油路26aからロータ50に向かって流れる中圧の冷凍機油Rは、ロータ50のベーン溝56に確実に到達するため、中圧の冷凍機油Rをベーン溝56に安定的に供給することができる。
【0085】
なお、本実施形態のコンプレッサ100は、GHP用のコンプレッサに限定されるものでもなく、自動車等に搭載されるエアコンディショナ用コンプレッサ等に適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明に係る気体圧縮機の一実施形態である、GHP用のベーンロータリ式コンプレッサを示す縦断面図である。
【図2】図1におけるA−A線に沿った面による断面図である。
【図3】図1におけるリヤサイドブロックを示す図であり、(a)は側面図(ロータの端面側から見た図)、(b)は(a)におけるC−C線に沿った面による断面図、(c)は(a)におけるD−D線に沿った面による断面図、(d)は(a)におけるE−E線に沿った面による断面図をそれぞれ示す。
【図4】図1における回転軸とロータとのアッセンブリの部分破断面図である。
【図5】図4におけるB部の詳細を示す図である。
【図6】図1に示したコンプレッサの作用を説明する図であり、(a)は低速回転域でのスプール弁による開放状態を示す図、(b)は高速回転域でのスプール弁による閉鎖状態を示す図である。
【符号の説明】
【0087】
20 リヤサイドブロック(圧縮機本体の一部)
21 吐出室
24a,24b,24c,51c 連通油路(連通油路の一部)
51 回転軸(圧縮機本体の一部)
51a,51b リング状の溝(連通油路の一部)
53 スプール弁53(開閉弁)
53a スプール(弁体)
53b バネ(弾性部材)
56 ベーン溝
60 圧縮機本体
100 コンプレッサ(気体圧縮機)
G 冷媒ガス(気体)
R 冷凍機油(油分)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸と、前記回転軸と一体的に軸回りに回転する略円柱状の、ベーン溝が形成されたロータと、前記ロータの外周面の外方を取り囲む、内周面の断面輪郭が略楕円形状のシリンダと、前記ベーン溝に埋設されて、突出側の先端が前記シリンダの前記内周面に追従するように該ロータの前記外周面からの突出量が可変とされた板状のベーンと、前記ロータ、前記ベーンおよび前記シリンダを両端面側から覆う2つのサイドブロックとを有する圧縮機本体、および前記圧縮機本体から吐出された気体が通過するとともに、この気体から分離された油分が溜められる吐出室を備え、
前記圧縮機本体には、前記吐出室と前記ベーン溝とを連通する、前記油分が流通する連通油路が形成されているとともに、前記圧縮機本体の前記回転に伴って発生する遠心力に応じて、前記連通油路を開閉する開閉弁が設けられていることを特徴とする気体圧縮機。
【請求項2】
前記開閉弁は、前記遠心力が相対的に小さい範囲では前記連通油路を開放し、前記遠心力が相対的に大きい範囲では前記連通油路を閉鎖するように設定されていることを特徴とする請求項1に記載の気体圧縮機。
【請求項3】
前記連通油路は、前記2つのサイドブロックのうち前記吐出室に近い側のサイドブロックに形成され、
前記開閉弁は、前記回転軸の内部に設けられ、前記遠心力に応じた変形量で弾性変形する弾性部材と前記弾性部材の変形量に応じて変位する弁体とを有することを特徴とする請求項2に記載の気体圧縮機。
【請求項4】
前記吐出室に近い側のサイドブロックには、前記吐出室に溜められている前記油分を、前記回転軸の外周面まで導く導油路が形成され、
前記連通油路は、前記ロータに対して、前記導油路よりも遠い位置に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の気体圧縮機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−228520(P2009−228520A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−73484(P2008−73484)
【出願日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】