説明

気体搬送装置

【課題】大型化することなく、流入口と流出口とでの圧力差を十分に確保することができる気体搬送装置を実現する。
【解決手段】積層体10は、それぞれに櫛歯電極910A〜910D、920A〜920Dが形成された絶縁体層93A〜93Dからなる中間積層体を備える。絶縁体層93A〜93Dの櫛歯電極形成領域には、スルーホールTHが配列形成される。中間積層体の積層方向の両面には、配列形成されたスルーホールTHを所定パターンで連通する連通溝が形成された絶縁体層92,94が配設される。さらに外層には、気体の流入口および流出口となるスルーホールTHを備えた絶縁体層91,95が配設される。櫛歯電極910A〜910D、920A〜920Dには、8相のパルス電圧信号V1〜V8を印加する。このパルス電圧信号により、気体はスルーホールTHと連通溝からなる搬送経路中で搬送される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体を電気的に搬送する気体搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、気体を電気的に搬送する装置が各種考案されている。例えば、特許文献1の気体搬送装置では、複数の線状電極を幅方向に沿って、所定間隔で配列形成している。複数の線状電極には、一定の位相差で且つ同一パターンの電圧が周期的に変化するn(nは任意の整数)相の駆動電圧が与えられる。このようなn相の駆動電圧が与えられることにより、順次変化する静電勾配力が生じる。これにより、線状電極の配列方向に沿って、密度変化が順次生じて、気体が搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO2008/099569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の気体搬送装置で、全ての線状電極が一枚の平板上、もしくは、対向する二枚の平板の対向面上に形成されている。気体は、線状電極の長さ方向の全体で搬送される。このため、高い流量を確保しようとすれば、線状電極を長くしたり、配列する線状電極数を多くしなければならず、大型化してしまう。また、対向する二枚の平板を用いる場合であっても気体が流入、流出する開口面積が大きく、流入口と流出口との間の圧力差が殆ど生じない。
【0005】
したがって、本発明の目的は、大型化することなく、流入口と流出口とでの圧力差を十分に確保することができる気体搬送装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、気体搬送装置に関する。この気体搬送装置は、複数の中間絶縁体層から形成される中間積層体、スルーホール、第1折り返し用絶縁体層、第2折り返し用絶縁体層、第1外層、第2外層、流出口用スルーホール、流入口用スルーホール、および、電圧印加手段を備える。
【0007】
中間積層体は、複数の中間絶縁体層と、該中間絶縁体層の主面上に略平行に配列された複数の線状電極、および、該複数の線状電極の一方端を接続する接続電極とからなる櫛歯電極を複数備える。各中間絶縁体層では、互いの線状電極同士が幅方向に所定間隔をもって交互に配列され、互いの接続用電極が線状電極の群を挟んで対向する位置に配置されている。これら中間絶縁体層を、各層の櫛歯電極の線状電極が積層方向から見て略一致するように積層することにより、中間積層体が構成される。
【0008】
複数のスルーホールは、複数の中間絶縁体層の前記櫛歯電極を貫通するように中間積層体に配列形成されている。
【0009】
第1折り返し用絶縁体層は、中間積層体の一方面側に配設され、隣り合う線状電極を貫通するスルーホールの一方端同士を連通する複数の第1連通溝を備えている。
【0010】
第2折り返し用絶縁体層は、間積層体の他方面側に配設され、隣り合う線状電極を貫通するスルーホールの他方端同士を連通する複数の第2連通溝を備えている。
【0011】
第1外層は第1折り返し用絶縁体層の中間積層体と反対側の面に配設され、第2外層は、第2折り返し用絶縁体層の中間積層体と反対側の面に配設されている。
【0012】
流出口用スルーホールおよび流入口用スルーホールは、第1外層もしくは第2外層に形成されている。
【0013】
第2外層、第2折り返し用絶縁体層、中間積層体、第1折り返し用絶縁体層、第1外層、の順で積層されて気体搬送装置全体の積層体が構成される。
【0014】
流入口用スルーホールが、複数のスルーホール、第1連通溝、および第2連通溝を所定の経路で介して流出口用スルーホールに連接するように、複数のスルーホール、第1連通溝、および第2連通溝が形成されている。
【0015】
電圧印加手段は、複数の中間絶縁体層の櫛歯電極に対して駆動用電圧を印加する。
【0016】
この構成では、線状電極に駆動用電圧が印加されることで、スルーホール近傍に電界が生じ、静電勾配力が生じる。これにより、気体の密度変化が生じて、気体が搬送される。そして、第1、第2連通溝を用いて複数のスルーホールを介することで、静電勾配力の作用する区間を長くできる。さらには、積層体内の積層方向に沿ってスルーホールの個数に応じて気体が往復することで、連続的に静電勾配力および気体の密度変化が得られる。したがって、大型化することなく、流入口と流出口との間で大きな気圧差を生じさせることができる。
【0017】
この発明の気体搬送装置では、中間絶縁体層は3層以上である。3層以上の中間絶縁体層は、各層の櫛歯電極の前記線状電極が積層方向から見て略一致するように積層されている。
【0018】
この構成では、中間絶縁体層の積層数が増加することで、より気体の搬送路長が延びる。これにより、さらに大きな気圧差を生じさせることができる。この際、薄膜の絶縁体層を重ねるだけの構成であるので、外形形状がほとんど大きくなることはない。
【0019】
また、この発明の気体搬送装置では、電圧印加手段は、複数の中間絶縁体層の積層方向に沿った順に応じて順番に駆動用電圧を印加する。
【0020】
この構成では、駆動用電圧の具体的印加例を示している。これにより、積層方向に沿って気体が搬送される。
【0021】
また、この発明の気体搬送装置では、積層方向に重なり合う複数の櫛歯電極の群毎に、駆動用電圧の印加順序が逆になる。
【0022】
この構成では、駆動用電圧の具体的印加例を示している。これにより、櫛歯電極群のスルーホール毎に積層方向に沿う気体の搬送方向が逆になり、気体の搬送路長が延びる。
【0023】
また、この発明の気体搬送装置では、各中間絶縁体層に駆動用電圧を与えるための櫛歯電極に形成された印加用電極は、積層方向から見てそれぞれ異なる位置に配設されている。
【0024】
この構成では、印加用電極が積層方向から見てそれぞれ異なる位置に配設されているので、電圧印加手段から電圧を印加するための電極パターンを重ねさせることなく、容易に形成できる。
【0025】
また、この発明の気体搬送装置では、各中間絶縁体層の櫛歯電極に形成されるスルーホールは、中間絶縁体層ごとに異なる径からなる。
【0026】
この構成では、中間絶縁体層毎に気体の搬送量を変化させることができる。
【0027】
また、この発明の気体搬送装置では、中間絶縁体層に形成される櫛歯電極毎に、形成されるスルーホールの径が異なる。
【0028】
この構成では、櫛歯電極群毎に気体の搬送量を変化させることができる。
【0029】
また、この発明の気体搬送装置では、第1連通溝および第2連通溝の少なくとも一方は、複数のスルーホールを同時に連通する形状からなる。
【0030】
この構成では、第1連通溝や第2連通溝の具体的構成例を示している。
【0031】
また、この発明の気体搬送装置は、複数の櫛歯電極付き絶縁体層と、複数のスルーホールと、電圧印加手段と、を備える。複数の櫛歯電極付き絶縁体層は、それぞれに略平行に配列された複数の線状電極、および、該複数の線状電極の一方端を接続する接続電極とからなる櫛歯電極を複数備える。複数の櫛歯電極付き絶縁体層では、複数の櫛歯電極が互いに線状電極同士が所定間隔をもって交互に配列され、互いの接続用電極が前記線状電極の群を挟んで対向する位置に配置されている。複数の櫛歯電極付き絶縁体層は、各層の櫛歯電極の線状電極が積層方向から見て略一致するように積層されている。
【0032】
複数のスルーホールは、櫛歯電極付き絶縁体層の櫛歯電極を貫通するように、配列形成されている。電圧印加手段は、櫛歯電極付き絶縁体層の櫛歯電極に対して駆動用電圧を印加する。
【0033】
この構成では、上述の第1連通溝および第2連通溝が省略された構成を示している。このような構成であっても、小型の気体搬送装置を構成できる。
【0034】
また、この発明の気体搬送装置では、櫛歯電極付き絶縁体層の一方面側に配設され、隣り合う線状電極を貫通するスルーホール同士を連通する複数の第1連通溝を備えた第1折り返し用絶縁体層と、第1折り返し用絶縁体層の中間積層体と反対側の面に配設された第1外層と、を備える。
【0035】
この構成では、上述の第2連通溝が省略された構成を示している。このような構成であっても、小型の気体搬送装置を構成できる。
【0036】
また、この発明の気体搬送装置では、スルーホールは絶縁性スルーホールである。
【0037】
この構成では、絶縁性スルーホールであるので、線状電極間の放電や気体へのコロナ放電を抑制できる。また、線状電極の酸化を抑制できる。これにより、長期にわたって安定した気体搬送特性を維持できる。
【0038】
また、この発明の気体搬送装置では、櫛歯電極を構成する線状電極は、スルーホールの形成部分よりも他の部分の線幅が狭く形成されている。
【0039】
この構成では、積層方向に重なって配置される櫛歯電極同士の重なり合う面積を小さくできるので、上下電極間で発生するキャパシタンスを小さくすることができる。このようにキャパシタンスを小さくできることで、上限電極の電圧の切り替え速度を速くすることができる。
【0040】
また、この発明の気体搬送装置は、積層方向に隣接する櫛歯電極を構成する線状電極は、スルーホールの形成部分を除いて、積層方向から見て重ならない形状である。
【0041】
この構成では、積層方向に重なって配置される電極間のキャパシタンスをさらに小さくすることができる。これにより、電圧の切り替え速度をさらに速くすることができる。
【発明の効果】
【0042】
この発明によれば、流入口と流出口とでの圧力差を十分に確保することができる小型の気体搬送装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】第1の実施形態の気体搬送装置を形成する積層体1の構成を示す積層構成図である。
【図2】複数の絶縁体層93A〜93Dからなる中間積層体の構成を示す積層構成図である。
【図3】絶縁体層93A〜93Dを積層方向から見た平面図である。
【図4】絶縁体層94を積層方向から見た平面図である。
【図5】絶縁体層92を積層方向から見た平面図である。
【図6】駆動用電圧を印加するための電源装置2と積層体1との接続関係を簡略できに示したブロック図、および、具体的な駆動用電圧波形の例を示す図である。
【図7】第1の実施形態における気体の搬送方向を示す図である。
【図8】第2の実施形態の気体搬送装置を形成する積層体1の構成を示す積層構成図である。
【図9】絶縁体層94’を積層方向から見た平面図である。
【図10】絶縁体層92’を積層方向から見た平面図である。
【図11】第2の実施形態における気体の搬送方向を示す図である。
【図12】線状電極の他の構成例を示す図である。
【図13】線状電極のさらに他の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明の第1の実施形態に係る気体搬送装置について、図を参照して説明する。図1は気体搬送装置を形成する積層体1の構成を示す積層構成図である。
【0045】
図1に示すように積層体1は、本発明の「第2外層」に相当する絶縁体層91、本発明の「第2折り返し用絶縁体層」に相当する絶縁体層92、本発明の「中間絶縁体層」および「櫛歯電極付き絶縁体層」に相当する複数の絶縁体層93A〜93D、本発明の「第1折り返し用絶縁体層」に相当する絶縁体層94、本発明の「第1外層」に相当する絶縁体層95、が最下層から順に積層された構造からなる。
【0046】
図2は複数の絶縁体層93A〜93Dからなる中間積層体の構成を示す積層構成図である。複数の絶縁体層93A〜93Dは、すべて同じ構造からなり、これらが順次積層された構造からなる。図3は、絶縁体層93A〜93Dを積層方向から見た平面図である。なお、図3では、A,B,C,Dの記号を略して、まとめて簡略的に絶縁体層93として表記している。
【0047】
絶縁体層93は、櫛歯電極910,920を備える。
櫛歯電極910は、絶縁体層93の所定方向(図3の横方向)に延びる複数の線状電極911を備える。なお、本実施形態では線状電極911の本数は4本であるが、当該本数は適宜設定すればよい。複数の線状電極911は、それぞれの長さ方向が略平行もしくは平行になるように、幅方向に沿って所定間隔で配列形成されている。複数の線状電極911の一方端(図3を正面視した向かって右端)には、線状電極911の幅方向に延び、複数の線状電極911に接続する接続用電極912が形成されている。また、接続用電極912の長さ方向の所定位置には、線状電極911と対向する側に印加用電極913が形成されている。
【0048】
櫛歯電極920は、絶縁体層93の所定方向(図3の横方向)に延びる複数の線状電極921を備える。なお、本実施形態では線状電極921の本数は4本であるが、当該本数は適宜設定すればよい。複数の線状電極921は、それぞれの長さ方向が略平行もしくは平行になるように、幅方向に沿って所定間隔で配列形成されている。複数の線状電極921の一方端(図3を正面視した向かって左端)には、線状電極921の幅方向に延び、複数の線状電極921に接続する接続用電極922が形成されている。また、接続用電極922の長さ方向の所定位置には、線状電極921と対向する側に印加用電極923が形成されている。
【0049】
櫛歯電極910,920は、互いの線状電極911,912が、幅方向に沿って、交互に配置されるように、絶縁体層93上に配設されている。この際、隣り合う線状電極911,912同士が、接触しないように所定間隔離間して配設される。これら線状電極911,921は細い方がよいが、次に示すスルーホールが形成可能な幅を要し、例えば50μm〜200μm程度である。
【0050】
櫛歯電極910,920を構成する複数の線状電極911,921の形成領域には、複数のスルーホールTH11〜TH18,TH21〜TH28,TH31〜TH38,TH41〜TH48,TH51〜TH58,TH61〜TH68,TH71〜TH78,TH82〜TH88が形成されている。これらのスルーホールは、例えば径が線状電極の1/3〜1/2程度である。より具体的には、線状電極911の形成領域に、スルーホールTH21〜TH28,TH41〜TH48,TH61〜TH68,TH82〜TH88が、それぞれ長さ方向に沿って所定間隔で形成されている。また、線状電極921の形成領域に、スルーホールTH11〜TH18,TH31〜TH38,TH51〜TH58,TH71〜TH78が、それぞれ長さ方向に沿って所定間隔で形成されている。これにより、絶縁体層93には、二次元配列された64個のスルーホールTHが形成されている。なお、スルーホールの形成数も適宜設定すればよい。
【0051】
図2に戻り、このような構成からなる絶縁体層93A〜93Dは、それぞれの線状電極911,921が積層方向から見て、重なり合うように積層されている。これにより、スルーホールTH11〜TH18,TH21〜TH28,TH31〜TH38,TH41〜TH48,TH51〜TH58,TH61〜TH68,TH71〜TH78,TH82〜TH88は絶縁体層93A〜93Dからなる中間積層体を貫通する構造からなる。
【0052】
図1に戻り、絶縁体層93A〜93Dからな中間積層体の絶縁体層93D側には、絶縁体層94が配設されている。図4は絶縁体層94を積層方向から見た平面図である。
【0053】
絶縁体層94には連通溝C121〜C128,C341〜C348,C561〜C568,C782〜C788が形成されている。これらの連通溝は、スルーホールTHの径と略同じ幅で形成されている。
【0054】
具体的には、連通溝C121は、スルーホールTH11とスルーホールTH21の絶縁体層93D側の端部を連通する形状で形成されている。同様に、連通溝C122はスルーホールTH12とスルーホールTH22を、連通溝C123はスルーホールTH13とスルーホールTH23を、連通溝C124はスルーホールTH14とスルーホールTH24を、連通溝C125はスルーホールTH15とスルーホールTH25を、連通溝C126はスルーホールTH16とスルーホールTH26を、連通溝C127はスルーホールTH17とスルーホールTH27を、連通溝C128はスルーホールTH18とスルーホールTH28を、絶縁体層93D側の端部で連通する。
【0055】
連通溝C341は、スルーホールTH31とスルーホールTH41の絶縁体層93D側の端部を連通する形状で形成されている。同様に、連通溝C342はスルーホールTH32とスルーホールTH42を、連通溝C343はスルーホールTH33とスルーホールTH43を、連通溝C344はスルーホールTH34とスルーホールTH44を、連通溝C345はスルーホールTH35とスルーホールTH45を、連通溝C346はスルーホールTH36とスルーホールTH46を、連通溝C347はスルーホールTH37とスルーホールTH47を、連通溝C348はスルーホールTH38とスルーホールTH48を、絶縁体層93D側の端部で連通する。
【0056】
連通溝C561は、スルーホールTH51とスルーホールTH61の絶縁体層93D側の端部を連通する形状で形成されている。同様に、連通溝C562はスルーホールTH52とスルーホールTH62を、連通溝C563はスルーホールTH53とスルーホールTH63を、連通溝C564はスルーホールTH54とスルーホールTH64を、連通溝C565はスルーホールTH55とスルーホールTH65を、連通溝C566はスルーホールTH56とスルーホールTH66を、連通溝C567はスルーホールTH57とスルーホールTH67を、連通溝C568はスルーホールTH58とスルーホールTH68を、絶縁体層93D側の端部で連通する。
【0057】
連通溝C782はスルーホールTH72とスルーホールTH82を、連通溝C783はスルーホールTH73とスルーホールTH83を、連通溝C784はスルーホールTH74とスルーホールTH84を、連通溝C785はスルーホールTH75とスルーホールTH85を、連通溝C786はスルーホールTH76とスルーホールTH86を、連通溝C787はスルーホールTH77とスルーホールTH87を、連通溝C788はスルーホールTH78とスルーホールTH88を、絶縁体層93D側の端部で連通する。
【0058】
絶縁体層94における絶縁体層93Dと反対側の面には、絶縁体層95が配設されている。絶縁体層95は、スルーホールTH71のみが形成されており、絶縁体層94の各連通溝の蓋として機能する。
【0059】
絶縁体層93A〜93Dからな中間積層体の絶縁体層93A側には、絶縁体層92が配設されている。図5は絶縁体層92を積層方向から見た平面図である。
【0060】
絶縁体層92には連通溝D121〜D127,D23,D341〜C347,D45,D561〜D567,D67,D781〜D787が形成されている。これらの連通溝は、スルーホールTHの径と略同じ幅で形成されている。
【0061】
連通溝D121はスルーホールTH12とスルーホールTH21を、連通溝D122はスルーホールTH13とスルーホールTH22を、連通溝D123はスルーホールTH14とスルーホールTH23を、連通溝D124はスルーホールTH15とスルーホールTH24を、連通溝D125はスルーホールTH16とスルーホールTH25を、連通溝D126はスルーホールTH17とスルーホールTH26を、連通溝D127はスルーホールTH18とスルーホールTH27を、絶縁体層93A側の端部で連通する。
【0062】
連通溝D23はスルーホールTH28とスルーホールTH38を絶縁体層93A側の端部で連通する。
【0063】
連通溝D341はスルーホールTH31とスルーホールTH42を、連通溝D342はスルーホールTH32とスルーホールTH43を、連通溝D343はスルーホールTH33とスルーホールTH44を、連通溝D344はスルーホールTH34とスルーホールTH45を、連通溝D345はスルーホールTH35とスルーホールTH46を、連通溝D346はスルーホールTH36とスルーホールTH45を、連通溝D347はスルーホールTH37とスルーホールTH46を、絶縁体層93A側の端部で連通する。
【0064】
連通溝D45はスルーホールTH41とスルーホールTH51を絶縁体層93A側の端部で連通する。
【0065】
連通溝D561はスルーホールTH52とスルーホールTH61を、連通溝D562はスルーホールTH53とスルーホールTH62を、連通溝D563はスルーホールTH54とスルーホールTH63を、連通溝D564はスルーホールTH55とスルーホールTH64を、連通溝D565はスルーホールTH56とスルーホールTH65を、連通溝D566はスルーホールTH57とスルーホールTH66を、連通溝D567はスルーホールTH58とスルーホールTH67を、絶縁体層93A側の端部で連通する。
【0066】
連通溝D67はスルーホールTH68とスルーホールTH78を絶縁体層93A側の端部で連通する。
【0067】
連通溝D781はスルーホールTH71とスルーホールTH82を、連通溝D782はスルーホールTH72とスルーホールTH83を、連通溝D783はスルーホールTH73とスルーホールTH84を、連通溝D784はスルーホールTH74とスルーホールTH85を、連通溝D785はスルーホールTH75とスルーホールTH86を、連通溝D786はスルーホールTH76とスルーホールTH85を、連通溝D787はスルーホールTH77とスルーホールTH86を、絶縁体層93A側の端部で連通する。
【0068】
絶縁体層92における絶縁体層93Aと反対側の面には、絶縁体層91が配設されている。絶縁体層91は、スルーホールTH11のみが形成されており、絶縁体層92の各連通溝の蓋として機能する。
【0069】
以上のような構成で積層体を形成することで、スルーホールTH11を一方端の気体流入出口とし、スルーホールTH71を他方端の気体流入出口とする、気体搬送経路を形成することができる。この気体搬送経路は、積層体1の積層方向および平面方向に沿い三次元的に経路構成されている。これにより、積層体1の形状が小さくても、十分に長い経路長を確保することができる。
【0070】
このような積層体1の各櫛歯電極910A,910B,910C,910D,920A,920B,920C,920Dに対して、駆動用電圧を印加する。図6(A)は駆動用電圧を印加するための電源装置2と積層体1との接続関係を簡略できに示したブロック図であり、図6(B)は具体的な駆動用電圧波形の例を示す図である。
【0071】
図6(A)に示すように、電源装置2と積層体1とは、電気的に接続されている。この際、積層体1には、図1に示すように、櫛歯電極910Aに印加用電極913Aが形成され、櫛歯電極910Bに印加用電極913Bが形成され、櫛歯電極910Cに印加用電極913Cが形成され、櫛歯電極910Dに印加用電極913Dが形成されている。また、一部図示されていないが、櫛歯電極920Aに印加用電極923Aが形成され、櫛歯電極920Bに印加用電極923Bが形成され、櫛歯電極920Cに印加用電極923Cが形成され、櫛歯電極920Dに印加用電極923Dが形成されている。
【0072】
電源装置2からは、これらの印加用電極913A,913B,913C,913D,923A,923B,923C,923Dを介して駆動用電圧が与えられる。
【0073】
駆動用電圧は、それぞれに位相が順次シフトした8相のパルス電圧信号V1〜V8からなり、これらのパルス電圧信号V1〜V8が連続的に順次出力される構成されている。そして、これらパルス電圧信号V1〜V8の組が周期Tで繰り返すように構成されている。なお、各パルス電圧信号V1〜V8のパルス幅はすべて同じである。
【0074】
具体的には、パルス電圧信号V1が所定のパルス幅でVdとなり、次に、パルス電圧信号V2が所定のパルス幅でVdとなる。この際、パルス電圧信号V1の立ち下がりタイミングとパルス電圧信号V2の立ち上がりタイミングとが略一致するように設定されている。このようなパルス電圧信号がV3〜V8で継続的に行われる。そして、パルス電圧信号V1〜V8の一連の出力が終了すると再度パルス電圧信号V1からの出力が開始される動作を繰り返す。
【0075】
このように生成されるパルス電圧信号V1〜V8は、各櫛歯電極910A〜910D,920A〜920Dに次のように印加される。
【0076】
パルス電圧信号V1は、印加用電極913Aを介して絶縁体層93Aの櫛歯電極910Aに印加される。パルス電圧信号V2は、印加用電極913Bを介して絶縁体層93Bの櫛歯電極910Bに印加される。パルス電圧信号V3は、印加用電極913Cを介して絶縁体層93Cの櫛歯電極910Cに印加される。パルス電圧信号V4は、印加用電極913Dを介して絶縁体層93Dの櫛歯電極910Dに印加される。
【0077】
パルス電圧信号V5は、印加用電極923Dを介して絶縁体層93Dの櫛歯電極920Dに印加される。パルス電圧信号V6は、印加用電極923Cを介して絶縁体層93Cの櫛歯電極920Cに印加される。パルス電圧信号V7は、印加用電極923Bを介して絶縁体層93Bの櫛歯電極920Bに印加される。パルス電圧信号V8は、印加用電極923Aを介して絶縁体層93Aの櫛歯電極920Aに印加される。
【0078】
このようにパルス電圧信号V1〜V4が印加されることで、櫛歯電極910A、櫛歯電極910B、櫛歯電極910C、櫛歯電極910Dの順に、電圧Vdが印加される。したがって、櫛歯電極910A〜910Dの領域に形成されたスルーホールTH11〜TH18,TH31〜TH38,TH51〜TH58,TH71〜TH78では、静電勾配および気体密度変化が絶縁体層93Aから絶縁体層93Dに向かって順次変化する。これにより、スルーホールTH11〜TH18,TH31〜TH38,TH51〜TH58,TH71〜TH78では、絶縁体層93Aから絶縁体層93Dに向かって気体が搬送される。図7は本実施形態における気体の搬送方向を示す図であり、矢印の方向に気体が流れることを示している。
【0079】
一方、パルス電圧信号V1〜V4に続き、パルス電圧信号V5〜V8が印加されることで、櫛歯電極920D、櫛歯電極920C、櫛歯電極920B、櫛歯電極920Aの順に、電圧Vdが印加される。したがって、櫛歯電極920A〜920Dの領域に形成されたスルーホールTH21〜TH28,TH41〜TH48,TH61〜TH68,TH82〜TH88では、静電勾配および気体密度変化が絶縁体層93Dから絶縁体層93Aに向かって順次変化する。これにより、スルーホールTH21〜TH28,TH41〜TH48,TH61〜TH68,TH82〜TH88では、絶縁体層93Dから絶縁体層93Aに向かって気体が搬送される。
【0080】
そして、上述のように、連通溝が形成されていることで、これらのスルーホール群が一本の搬送孔として接続されているので、図7に示すように、スルーホールTH11から流入した気体を、すべてのスルーホールTHと連通溝を介してスルーホールTH71から流出することができる。
【0081】
そして、このようにスルーホールおよび当該スルーホールの径に略等しい幅の連通溝を気体の搬送経路とすることで、流入口や流出口を含む全体経路の断面積が小さく、気体の逆流を防ぐことができる。これにより、より効率的な気体搬送が可能になる。
【0082】
また、積層体の厚みの64倍以上の経路で気体が搬送されることになり、流入口と流出口との間の気圧差を大きくすることができる。これにより、小型の高圧ポンプを形成することができる。なお、このような構造の場合、気体の流量が小さいが、高圧ポンプとして用いた場合、最終的に真空に近い状態になると気体の流れは殆ど無くなるので、このような構造が有効に作用する。
【0083】
また、上述のようにスルーホールを用いることで、搬送される気体に対して、同じ電圧であっても、従来構造よりも大きな電界を印加することができる。これにより、より効率的に気体搬送を行うことができる。
【0084】
また、積層体内に櫛歯電極を形成し、これら櫛歯電極にパルス電圧信号(駆動用電圧)を印加するので、電圧印加用の電極パターンを、従来よりも高密度に形成できる。これによっても、気体への効率的な電界印加が可能になり、より効率的な気体搬送を行うことができる。
【0085】
なお、上述の構造説明では、詳細に示していないが、すべてのスルーホールTHは絶縁性スルーホールからなる。具体的な構成としては、スルーホールTHの内壁面に絶縁膜を形成することで実現できる。このような構成とすることで、線状電極間の放電や気体へのコロナ放電を抑制できる。また、線状電極の酸化を抑制できる。これにより、長期にわたって安定した気体搬送特性を維持できる。
【0086】
また、上述の説明では、スルーホールTH11を流入口とし、スルーホールTH71を流出口とした例を示したが、パルス電圧信号V1〜V8の印加順を逆にすることで、スルーホールTH71を流入口とし、スルーホールTH11を流出口とすることもできる。
【0087】
また、上述の説明では、積層体1の対向する二面に流入口と流出口を形成する例を示したが、一方面のみに流入口と流出口を形成してもよい。例えば、上記構成あれば、連通溝D781を無くし、スルーホールTH82を、絶縁体層91をも貫通するように形成すればよい。
【0088】
また、上述の説明では、櫛歯電極付きの絶縁体層の積層数を4層としたが、層数はこれに限るものではなく、適宜設定すればよい。
【0089】
次に、第2の実施形態に係る気体搬送装置について、図を参照して説明する。本実施形態の気体搬送装置は、第1の実施形態に示した気体搬送装置に対して、折り返し用絶縁体層となる、絶縁体層92’,94’の連通溝の構造が異なる。また、これに伴い、外層となる絶縁体層91’,95’のスルーホール形成構造も異なる。また、櫛歯電極910A〜910Dが三本となり、スルーホールTH82〜TH88は省略している。したがって、以下では、異なる箇所のみを説明し、他の箇所の説明は省略する。
【0090】
図8は、本実施形態の気体搬送装置を形成する積層体1Aの構成を示す積層構成図である。図9は絶縁体層94’を積層方向から見た平面図である。図10は絶縁体層92’を積層方向から見た平面図である。
【0091】
スルーホールTH11’〜TH18’は、絶縁体層91’,92’,93A’〜93D’,94’を貫通する形状で形成されている。スルーホールTH71’〜TH78’、絶縁体層92’,93A’〜93D’,94’ ,95’を貫通する形状で形成されている。
【0092】
絶縁体層94’には、連通溝C12,C34,C56が形成されている。連通溝C12は、スルーホールTH11’〜TH18’,TH21’〜TH28’を連通するように形成されている。連通溝C34は、スルーホールTH31’〜TH38’,TH41’〜TH48’を連通するように形成されている。連通溝C56は、スルーホールTH51’〜TH58’,TH61’〜TH68’を連通する形状で形成されている。
【0093】
絶縁体層92’には、連通溝D23’,D45’,D67’が形成されている。連通溝D23’は、スルーホールTH21’〜TH28’,TH31’〜TH38’を連通するように形成されている。連通溝D45’は、スルーホールTH41’〜TH48’,TH51’〜TH58’を連通するように形成されている。連通溝D67’は、スルーホールTH61’〜TH68’,TH71’〜TH78’を連通するように形成されている。
【0094】
このような構成の積層体1Aに対して、第1の実施形態と同様のパルス電圧信号V1〜V8を印加する。これにより、図11に示すような気体の流れを実現できる。図11は、本実施形態における気体の搬送方向を示す図であり、矢印の方向に気体が流れることを示している。すなわち、スルーホールTH11’〜TH18’から流入した気体は、連通溝C12を介して、スルーホールTH21〜TH28へ搬送される。この後、連通溝D23’、スルーホールTH31〜TH38、連通溝C34、スルーホールTH41〜TH48、連通溝D45’、スルーホールTH51〜TH58、連通溝C56、スルーホールTH61〜TH68、連通溝D67’を介して、スルーホールTH71’〜TH78’から外部へ流出される。
【0095】
このような構造であっても、上述の第1の実施形態と同様に、小型で安定した気体搬送特性を有する気体搬送装置を実現することができる。また、このように、複数のスルーホールで平行して同時に気体を搬送することで、気体流量を、第1実施形態の構造よりも多くすることができる。また、流入口や流出口は、スルーホール群で構成されているので、ある程度に流量を得ながら、気体の逆流も抑制することができる。
【0096】
なお、本実施形態の構成では、パルス電圧信号を印加する印加用電極はそれぞれの端部から第2外層21’の裏面側に形成された外部電極LV1等に導通ビアホールVH1等を介して接続されている。そして、パルス電圧信号は、この外部電極LV1を介して印加される。
【0097】
また、上述の各実施形態では、線状電極の幅を一定にする例を示したが、線状電極の幅を延びる方向に沿って、適宜変化させてもよい。図12は、線状電極の他の構成例を示す図である。線状電極911Aは、スルーホールTH11〜TH18の形成部分のみ線幅が太く、他の部分の線幅を狭く形成している。
【0098】
また、図13は、線状電極のさらに他の構成例を示す図である。互いに隣り合う層の積層方向から見て略同じ領域にそれぞれ形成された線状電極951Aおよび線状電極951Bは、スルーホールの形成部分のみ線幅が太く、他の部分の線幅が狭く形成されている。さらに、これら線状電極951A,951Bは、スルーホールの形成部分以外の線状電極同士が、積層方向から見て重なり合わないように形成されている。
【0099】
これらの構成とすることで、線上電極間のキャパシタンスを抑制することができる。これにより、パルス電圧の印加の切り替え速度を速くすることができる。
【0100】
また、上述の各実施形態では、スルーホールの径を一定にしたが、スルーホールの径を適宜複数種類にしてもよい。例えば、絶縁体層毎にスルーホールの径を変えたり、同じ絶縁体層内の櫛歯電極毎にスルーホールの径を変えてもよい。これにより、場合に応じて、気体の搬送量を変化させることができる。
【0101】
また、上述の実施形態に示した、櫛形電極付き絶縁体層のみからなる中間積層体だけで気体搬送を行うこともできる。これにより、高圧ポンプとしては機能しないが、中間積層体の対向する両面間に通気する気体搬送装置を、小型に実現できる。この際、最外層の櫛歯電極表面には、絶縁膜を形成しておくと、よりよい。また、さらには、一方の折り返し用絶縁体層のみを中間積層体の一方面に配設する構成であってもよい。
【0102】
また、上述の実施形態では、一個の積層体で一つの気体搬送経路を形成する場合を示したが、一個の積層体に複数の気体搬送経路を形成するようにしてもよい。この場合、折り返し用の絶縁体層に形成する連通溝の形状を適宜設定することで、複数の気体搬送経路を実現することができる。これにより、積層体の平面面積という、小さい領域内で、複数の異なる気体搬送経路を形成でき、局所的に異なる通気や気圧を実現することができる。
【符号の説明】
【0103】
1,1A−積層体、2−電源装置、91,92,93,93A〜93D,94,95−絶縁体層、910,920−櫛歯電極、911,921−線状電極、912,922−接続用電極、913,923−印加用電極、
TH11〜TH18,TH21〜TH28,TH31〜TH38,TH41〜TH48,TH51〜TH58,TH61〜TH68,TH71〜TH78,TH82〜TH88−スルーホール、
C121〜C128,C341〜C348,C561〜C568,C782〜C788,D121〜D127,D23,D341〜C347,D45,D561〜D567,D67,D781〜D787

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の中間絶縁体層と、該中間絶縁体層の主面上に略平行に配列された複数の線状電極、および、該複数の線状電極の一方端を接続する接続電極とからなる櫛歯電極を複数備え、互いの線状電極同士が幅方向に所定間隔をもって交互に配列され、互いの接続用電極が前記線状電極の群を挟んで対向する位置に配置された櫛歯電極群とを備え、各層の櫛歯電極の前記線状電極が積層方向から見て略一致するように前記複数の中間絶縁体層を積層して形成した中間積層体と、
前記複数の中間絶縁体層の前記櫛歯電極を貫通するように、前記中間積層体に配列形成された複数のスルーホールと、
前記中間積層体の一方面側に配設され、隣り合う線状電極を貫通するスルーホールの一方端同士を連通する複数の第1連通溝を備えた第1折り返し用絶縁体層と、
前記中間積層体の他方面側に配設され、隣り合う線状電極を貫通するスルーホールの他方端同士を連通する複数の第2連通溝を備えた第2折り返し用絶縁体層と、
前記第1折り返し用絶縁体層の前記中間積層体と反対側の面に配設された第1外層と、
前記第2折り返し用絶縁体層の前記中間積層体と反対側の面に配設された第2外層と、
前記第1外層もしくは前記第2外層に形成された流出口用スルーホールおよび流入口用スルーホールを備え、
前記第2外層、前記第2折り返し用絶縁体層、前記中間積層体、前記第1折り返し用絶縁体層、前記第1外層、の順で積層され、
前記流入口用スルーホールが、前記複数のスルーホール、第1連通溝、および第2連通溝を所定の経路で介して前記流出口用スルーホールに連接するように、前記複数のスルーホール、前記第1連通溝、および前記第2連通溝が形成されており、
前記複数の中間絶縁体層の櫛歯電極に対して駆動用電圧を印加する電圧印加手段を備えた、気体搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の気体搬送装置であって、
前記中間絶縁体層は3層以上であり、
3層以上の前記中間絶縁体層は、各層の櫛歯電極の前記線状電極が積層方向から見て略一致するように積層されている、気体搬送装置。
【請求項3】
請求項2に記載の気体搬送装置であって、
前記電圧印加手段は、
前記複数の中間絶縁体層の積層方向に沿った順に応じて順番に前記駆動用電圧を印加する、気体搬送装置。
【請求項4】
請求項3に記載の気体搬送装置であって、
積層方向に重なり合う複数の櫛歯電極の群毎に、前記駆動用電圧の印加順序が異なる、気体搬送装置。
【請求項5】
請求項2乃至請求項4のいずれかに記載の気体搬送装置であって、
各中間絶縁体層に駆動用電圧を与えるための前記櫛歯電極に形成された印加用電極は、積層方向から見てそれぞれ異なる位置に配設されている、気体搬送装置。
【請求項6】
請求項2乃至請求項5のいずれかに記載の気体搬送装置であって、
前記各中間絶縁体層の櫛歯電極に形成されるスルーホールは、中間絶縁体層ごとに異なる径からなる、気体搬送装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の気体搬送装置であって、
前記中間絶縁体層に形成される櫛歯電極毎に、形成されるスルーホールの径が異なる、気体搬送装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の気体搬送装置であって、
前記第1連通溝および前記第2連通溝の少なくとも一方は、前記複数のスルーホールを同時に連通する形状からなる、気体搬送装置。
【請求項9】
略平行に配列された複数の線状電極、および、該複数の線状電極の一方端を接続する接続電極とからなる櫛歯電極を複数備え、該複数の櫛歯電極が互いに線状電極同士が所定間隔をもって交互に配列され、互いの接続用電極が前記線状電極の群を挟んで対向する位置に配置され、各層の櫛歯電極の前記線状電極が積層方向から見て略一致するように積層された、複数の櫛歯電極付き絶縁体層と、
前記櫛歯電極付き絶縁体層の前記櫛歯電極を貫通するように、配列形成された複数のスルーホールと、
前記櫛歯電極付き絶縁体層の櫛歯電極に対して駆動用電圧を印加する電圧印加手段と、
を備えた、気体搬送装置。
【請求項10】
請求項9に記載の気体搬送装置であって、
前記櫛歯電極付き絶縁体層の一方面側に配設され、隣り合う線状電極を貫通するスルーホール同士を連通する複数の第1連通溝を備えた第1折り返し用絶縁体層と、
前記第1折り返し用絶縁体層の前記中間積層体と反対側の面に配設された第1外層と、
を備えた、気体搬送装置。
【請求項11】
請求項9または請求項10に記載の気体搬送装置であって、
前記中間絶縁体層は3層以上であり、
3層以上の前記中間絶縁体層は、各層の櫛歯電極の前記線状電極が積層方向から見て略一致するように積層されている、気体搬送装置。
【請求項12】
請求項11に記載の気体搬送装置であって、
前記電圧印加手段は、
前記複数の中間絶縁体層の積層方向に沿った順に応じて順番に前記駆動用電圧を印加する、気体搬送装置。
【請求項13】
請求項12に記載の気体搬送装置であって、
積層方向に重なり合う複数の櫛歯電極の群毎に、前記駆動用電圧の印加順序が異なる、気体搬送装置。
【請求項14】
請求項11乃至請求項13のいずれかに記載の気体搬送装置であって、
各櫛歯電極付き絶縁体層に駆動用電圧を与えるための前記櫛歯電極に形成された印加用電極は、積層方向から見てそれぞれ異なる位置に配設されている、気体搬送装置。
【請求項15】
請求項11乃至請求項14のいずれかに記載の気体搬送装置であって、
前記各櫛歯電極付き絶縁体層の櫛歯電極に形成されるスルーホールは、櫛歯電極付き絶縁体層ごとに異なる径からなる、気体搬送装置。
【請求項16】
請求項9乃至請求項15のいずれかに記載の気体搬送装置であって、
前記櫛歯電極付き絶縁体層に形成される櫛歯電極毎に、形成されるスルーホールの径が異なる、気体搬送装置。
【請求項17】
請求項9乃至請求項16のいずれかに記載の気体搬送装置であって、
前記第1連通溝は、前記複数のスルーホールを同時に連通する形状からなる、気体搬送装置。
【請求項18】
請求項1乃至請求項17のいずれかに記載の気体搬送装置であって、
前記スルーホールは、絶縁性スルーホールである、気体搬送装置。
【請求項19】
請求項1乃至請求項18のいずれかに記載の気体搬送装置であって、
前記櫛歯電極を構成する前記線状電極は、スルーホールの形成部分よりも他の部分の線幅が狭く形成されている、気体搬送装置。
【請求項20】
請求項1乃至請求項19のいずれかに記載の気体搬送装置であって、
積層方向に隣接する前記櫛歯電極を構成する前記線状電極は、スルーホール形成部分を除いて積層方向から見て重ならない形状である、気体搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−219224(P2011−219224A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−90365(P2010−90365)
【出願日】平成22年4月9日(2010.4.9)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】