説明

気体浄化機、磁気処理装置及び気体浄化方法

【課題】燃焼処理後の気体から有害物質をより確実に取り除くことができる気体浄化機、磁気処理装置及び気体浄化方法を提供すること。
【解決手段】本発明に係る気体浄化機11は、熱処理後の有害物質を含む排ガス(気体)を内部に導入する流入口11aと外部へ排出する流出口11bとが設けられ、重力方向に延びて流入口11aから流入された排ガスを下方に誘導する複数の下向き通路35と、重力方向と反対方向に延びて排ガスを上方に誘導する複数の上向き通路36と、が、仕切り板37を挟んで水平方向に交互に並んで連通された通路部38と、下向き通路35の上方にそれぞれ配されて水(浄化処理液)39を下方に噴出する噴液部40と、下向き通路35を落下する水39が貯留される貯留部41と、を備え、下向き通路35と上向き通路36とが、貯留部41の液面Sよりも上方で連通されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体浄化機、磁気処理装置及び気体浄化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ごみ等の廃棄物を処理する際、400℃〜700℃程度で燃焼処理させた場合には、ダイオキシンが発生してしまうことが知られている。そこで、ダイオキシンの発生を抑えるため、磁気手段によって磁気処理された外部の大気によって処理室内の廃棄物の熱分解作用を促し、ダイオキシンの発生を抑制しつつ、低ランニングコストで廃棄物の分解処理を行う廃棄物処理装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この廃棄物処理装置には、熱処理に伴って発生した、炭化水素やダイオキシン類等の有害物質を含む排ガスを浄化処理する排ガス浄化装置が設けられている。そして、この排ガス浄化装置は、排ガス導入路の下方に設けられた浄化処理液槽に向かって排ガス導入路内で浄化処理液を吐出して、排ガス導入路内に導かれてきた排ガスを浄化処理液中に巻き込んだ後、排ガス導入路から放出させている。
【特許文献1】特開2007−014937号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記記載のような気体浄化機及び磁気処理装置の場合、浄化処理液槽内に排ガスを通過させているのにもかかわらず、有害物質を好適に除去することができない。
本発明は上記事情に鑑みて成されたものであり、燃焼処理後の気体から有害物質をより確実に取り除くことができる気体浄化機、磁気処理装置及び気体浄化方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
本発明に係る気体浄化機は、熱処理後の有害物質を含む気体を内部に導入する流入口と外部へ排出する流出口とが設けられ、重力方向に延びて前記流入口から流入された前記気体を下方に誘導する複数の下向き通路と、重力方向と反対方向に延びて前記気体を上方に誘導する複数の上向き通路と、が、仕切り板を挟んで水平方向に交互に並んで連通された通路部と、前記下向き通路の上方にそれぞれ配されて浄化処理液を下方に噴出する噴液部と、前記下向き通路を落下する前記浄化処理液が貯留される貯留部と、を備え、前記下向き通路と前記上向き通路とが、前記貯留部の液面よりも上方で連通されていることを特徴とする。
【0006】
この発明は、噴液部から噴出した浄化処理液によって気体内に含まれる油分等の有害物質を冷却して固化させ、浄化処理液とともに貯留部に落下させることができる。このとき、気体が下向き通路から上向き通路に向かう際に浄化処理液内を通過しないので、浄化処理液内で気泡になることがなく、有害物質が気泡内に取り残されることがない。そのため、有害物質が気体とともに上向き通路に向かうのを好適に抑えることができる。また、下向き通路と上向き通路とが複数交互に連接されているので、気体が繰り返し浄化され、有害物質を取り除くことができる。
【0007】
また、本発明に係る気体浄化機は、前記気体浄化機であって、複数の前記下向き通路が、前記流入口と連通された第一下向き通路と、該第一下向き通路よりも幅狭に配された第二下向き通路と、を備え、前記気体を通過させる第一貫通孔が一部に設けられた第一仕切り部が、前記第一下向き通路の途中に配され、前記第一貫通孔よりも小径に形成されて前記気体を通過させる第二貫通孔が一部に設けられた第二仕切り部が、前記第二下向き通路の途中に配されていることを特徴とする。
【0008】
この発明は、噴液部から下向き通路のそれぞれの下方に噴出された浄化処理液を各仕切り部に付着させておくことができる。そのため、気体が各貫通孔を通過する際に各仕切り部に付着した浄化処理液と接触するので、気体をより好適に洗浄することができる。さらに、通路部の上流側となる第一下向き通路が第二下向き通路よりも幅広に形成され、第一貫通孔が第二貫通孔よりも大きいので、流入口から通路部に流入される気体の流量を十分確保することができる。
【0009】
また、本発明に係る気体浄化機は、前記気体浄化機であって、前記浄化処理液が、重力方向に対して一定の角度で広がる方向に前記噴液部から噴出されることを特徴とする。
【0010】
この発明は、下向き通路内を重力方向に流れる気体に対して上記方向から浄化処理液を噴出させるので、気体と浄化処理液との接触機会を増大させることができる。
【0011】
また、本発明に係る気体浄化機は、前記気体浄化機であって、前記下向き通路の上方に前記流入口が設けられ、該流入口の近傍に磁石が設けられていることを特徴とする。
【0012】
この発明は、流入口から下向き通路に流入した気体を再度磁化させることができ、流入口の周囲に有害物質が付着することを好適に抑えることができる。そのため、通路部に気体を導入する際に有害物質を気体に混入させてしまうことを好適に抑えることができる。
【0013】
また、本発明に係る気体浄化機は、前記気体浄化機であって、前記仕切り板に磁石が配されていることを特徴とする。
【0014】
この発明は、下向き通路を下方に流れる気体を再度磁化させることができ、下向き通路の壁面に有害物質が付着することを好適に抑えることができる。そのため、長時間にわたって気体を処理した後でも、壁面から有害物質を気体に混入させてしまうことを好適に抑えることができる。
【0015】
また、本発明に係る気体浄化機は、前記気体浄化機であって、前記気体を加熱する発熱部が、前記流出口の近傍に設けられていることを特徴とする。
【0016】
この発明は、気体を加熱して気体に含まれる浄化処理液を蒸発させることができ、浄化後、さらに気体を無色にして外部に排出させることができる。
【0017】
本発明に係る磁気処理装置は、本発明に係る気体浄化機と、前記流入口と連通され、処理対象物が投入されて貯留される処理室と、該処理室に磁化された流体を供給する流体供給管部と、を備えていることを特徴とする。
【0018】
この発明は、処理室内で処理対象物を処理した際に生じる排気ガス等の気体を外部に排出する前に、気体に含まれる有害物質を好適に削減してきれいな気体を外部に排出させることができる。
【0019】
本発明に係る気体浄化方法は、熱処理後の有害物質を含む気体を、途中で流量を絞りながら重力方向に流通させるとともに、前記気体に向かって上方から浄化処理液を噴出させる第一工程と、前記浄化処理液が貯留された液面上で前記気体の流れる方向を折り返して上方に流通させる第二工程と、を備え、前記第一工程と前記第二工程とを交互に繰り返すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、燃焼処理後の気体から有害物質をより確実に取り除くことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明に係る一実施形態について、図1から図10を参照して説明する。
本実施形態に係る低温熱分解装置(磁気処理装置)1は、磁化された空気を導入して図示しないゴミ(処理対象物)を熱処理するための装置であって、図1及び図2に示すように、空気を磁化する磁化流体供給機2と、鉄製の側部3及び底部5を有し、ゴミが投入されて貯留される処理室6と、ゴミの投入口7aが設けられた上壁部7と、投入口7aを覆う蓋部8と、磁化流体供給機2と連通されるとともに、先端が処理室6の側部3及び底部5から処理室6内部に向かって突出して配された複数の流体供給管部10と、熱処理後に生じたダイオキシン等の有害物質含む空気を浄化するための気体浄化機11と、を備えている。
【0022】
磁化流体供給機2は、図3及び図4に示すように、磁力線を生じて空気(流体)を磁化(マイナスイオン化)させる流体発磁機12と、流体発磁機12が複数配されるとともに空気を取り込む吸入口13aが設けられた箱体部13と、を備えている。
流体発磁機12は、塩化ビニール樹脂からなる複数の円形断面短管14A,14B,14Cが螺合接続されてなり、第一中心軸線C1を有して空気が流通する管部14と、第二中心軸線C2を有して円管状に形成され、磁化方向Mが、第一中心軸線C1及び第二中心軸線C2と略同一となるように配された磁石部15と、磁石部15に内挿された内管16と、を備えている。なお、管部14は、複数の短管が嵌合されてなるものでもよく、1本の管からなるものでも構わない。
【0023】
磁石部15は短管14Bの内側に配されており、塩化ビニール樹脂からなる円筒状の中間部15Bと、円筒状に形成され、中間部15Bを間に挟み、かつ異なる磁極で対向して配された一対の磁石15A,15Cと、を備えている。内管16は、ガラス又は塩化ビニール樹脂のような非金属からなり、中間部15B及び一対の磁石15A,15Bに内挿されている。なお、管部は、内管16を備える代わりに、一対の磁石15A,15C及び中間部15Bが短管14Bの外周側に配されていても構わない。また、磁石部全体が、一つの磁石のみからなるものでも構わない。
【0024】
箱体部13は鉄製部材からなる中空の略矩形箱状に形成されている。そのうちの壁面の一つを構成する背壁部13Aには、複数の流体発磁機12が貫通して固定支持されている。箱体部13の内部には、複数の流体発磁機12が固定支持された内壁部13Bが設けられている。吸入口13aは、背壁部13Aとは別の壁面である下壁部13Cに設けられており、吸入口13aから箱体部13の内部に導入管17が突設されている。図5に示すように、導入管17には、導入管17を流れる空気量を調整するための調節弁18が配されている。なお、本実施形態では、箱体部13は処理室6の左右に一つずつ配されている。
【0025】
背壁部13Aと内壁部13Bとの隙間S1には、ゴミが熱処理された後の灰(帯電体又は帯磁体)19が磁石部15の周囲を覆うように充填されている。なお、充填されるものとしては灰19に限らず、電気的又は磁気的極性を帯びたものであれば構わない。
【0026】
図5から図7に示すように、処理室6の側部3は、平面状の第一側部3A及び第二側部3Bが、第一側部3Aが長辺、第二側部3Bが短辺を構成するように重力方向断面視略長方形状に配されて構成されている。底部5は、互いに対向する第一側部3Aのそれぞれから中央に向かって重力方向に傾斜して延びる第一底部5A及び第二底部5Bを備えている。そして、第一底部5A及び第二底部5Bは、処理室6の中央で当接するように形成されている。この当接位置には、熱処理後に灰となったゴミを外部へ取り出す際に駆動されるかき出し部20が配されている。
【0027】
かき出し部20は、熱処理後の灰を外部へとり出すための一対のかき出し機構21A,21Bと、底部5との間に隙間S2を形成するよう第一底部5A及び第二底部5Bから離間して配されて、一対のかき出し機構21A,21Bを保護するゴミ受け部22と、を備えている。
一対のかき出し機構21A,21Bは、かき出し軸部21aと、かき出し軸部21aの周囲に螺旋状に配された一枚のスクリュー21bと、をそれぞれ備えている。
【0028】
この処理室6は、上壁部7、側壁部23、及び底壁部24によって中空の略直方体に構成される鉄製の収容体25内に収容されている。上壁部7に配された投入口7aは処理室6と連通されている。上壁部7は、側壁部23に対して所定の角度で傾斜して配されている。処理室6と側壁部23とは、所定の間隔で離間して配され、処理室6と底壁部24との間の空間S3と連通する隙間S4が形成されている。
【0029】
収容体25には、図1に示すように、運転開始時に火種を投入するため、及び熱処理によって形成された灰をかき出すための開口部26と、熱処理によって生じた排ガス(気体)を排出するための排気口27と、が設けられている。排気口27と気体浄化機11とは接続管29によって連通されている。図6及び図7に示すように、上壁部7、底壁部24、及び蓋部8は、熱処理後の灰からなる磁性層28を備えている。この磁性層28は、灰に限らず電気的又は磁気的極性を帯びたものであれば構わない。
【0030】
収容体25には、図1及び図2に示すように、蓋部8の開閉機構30が配されている。この開閉機構30は、エアシリンダー31と、エアシリンダー31に接続されて直線運動を回転方向に変換するリンク部32と、リンク部32と回転自在に接続された回転軸部33とを備えている。回転軸部33は、蓋部8に配されている。
【0031】
流体供給管部10は、図5から図7に示すように、処理室6の第一側部3Aの下方、第二側部3Bの中央下方、及び底部5のそれぞれから一定の角度で傾斜した方向に突出して配されている。この流体供給管部10の突出方向は、流体供給管部10のそれぞれの突出位置における水平面P1,P2,P3に対して重力方向に第一角度R1にて傾斜した方向となっている。さらに、第一側部3Aの法線N1方向及び第二側部3Bの法線N2方向に対して、反時計回りの方向に第二角度R2にて傾斜した方向となっている。この流体供給管部10で囲まれる領域RCを炉心としてゴミが熱処理される。
【0032】
ここで、低温熱分解装置1が南半球に設置される場合には、第一側部3Aの法線S1及び第二側部3Bの法線S2に対して、流体供給管部10の突出方向が時計回りの方向に第二角度R2で傾斜した方向に配される。また、側部及び底部が曲面の場合には、流体供給管部10の突出位置において側部と接する仮想平面の法線の水平面P1,P2,P3への投影線に対して傾斜して突出するように、流体供給管部10が配される。なお、炉心をより好適に形成するためには、形成第一角度R1は0度を超えて5度以下、第二角度R2は0度を超えて10度以下の角度がそれぞれ好ましい。
【0033】
気体浄化機11は、図8及び図9に示すように、処理室6内にて熱処理された後の有害物質を含む排ガスを内部に導入する流入口11aと外部へ排出する流出口11bとが設けられ、重力方向に延びて流入口11aから流入された排ガスを下方に誘導する複数の下向き通路35と、重力方向と反対方向に延びて排ガスを上方に誘導する複数の上向き通路36と、が、仕切り板37を挟んで水平方向に交互に並んで連通された鉄製の通路部38と、下向き通路35の上方にそれぞれ配されて水(浄化処理液)39を下方に噴出する噴液部40と、下向き通路35を落下する水39が貯留される貯留部41と、を備えている。
【0034】
複数の下向き通路35は、流入口11aと連通された第一下向き通路35Aと、第一下向き通路35A以外の残りの通路であって、第一下向き通路35Aの通路幅の1/2程度の幅とされた第二下向き通路35Bと、を備えている。そして、排ガスを通過させる第一貫通孔42aが一部に設けられた第一仕切り部42が、第一下向き通路35Aの途中に配されている。また、第一貫通孔42aよりも例えば3/5程度小径に形成されて排ガスを通過させる第二貫通孔43aが一部に設けられた第二仕切り部43が、第二下向き通路35Bの途中にそれぞれ配されている。
【0035】
複数の上向き通路36は、流出口11bと連通された第一上向き通路36Aと、第一上向き通路36A以外の残りの通路である第二上向き通路36Bと、を備えている。上向き通路36は、何れも略同一の管路幅とされている。そして、下向き通路35と上向き通路36とは、貯留部41の液面Sよりも上方にて連通されている。
【0036】
流入口11aは、図1に示すように、収容体25の排気口27と連通されている。また、流出口11bには、図8に示すように、煙突45が連通されている。煙突45の内部の流出口11b近傍には、煙突45から排ガスを排出直前に加熱して排ガスに含まれる水蒸気を蒸発させる発熱部46が設けられている。
【0037】
噴液部40は、数十nmの微細な噴出径を有するノズルからなり、噴出された水39が重力方向に対して一定の角度(例えば45度)に傾斜して広がるように、噴出方向が設定されている。各噴液部40は、調水弁47が配された共通の水道管48から分岐されて接続されている。
【0038】
貯留部41の下方には、開閉弁50が配された水39の排水管51が接続されている。また、配水管51よりも液面S側には、水39に浮かんだ油分を回収するための排油管52が接続されている。
【0039】
次に、本実施形態にかかる低温熱分解装置1及び気体浄化機11の作用について、気体浄化方法とともに説明する。
【0040】
本実施形態にかかる気体浄化方法は、図10に示すように、ゴミが投入された処理室6内へ火種を投入する火入れ工程(S01)と、流体発磁機12の磁化方向Mに空気を挿通させて空気を磁化させる磁化工程(S02)と、磁化流体供給機2から処理室6内へ流体供給管部10を通して磁化された空気を供給する供給工程(S03)と、熱処理によって生じた排ガスを外部へ放出する放出工程(S04)と、を備えた低温熱分解方法の放出工程(S04)において、熱処理後の図示しない有害物質を含む排ガスを、途中で流量を絞りながら重力方向に流通させるとともに、排ガスに向かって上方から水39を噴出させる第一工程(S41)と、水39が貯留された液面S上で排ガスの流れる方向を折り返して上方に流通させる第二工程(S42)と、を備えている。第一工程(S41)と第二工程(S42)とは交互に繰り返される。
【0041】
まず、箱体部13の調節弁18を閉めた状態で、蓋部8の開閉機構30を操作して蓋部8を開ける。そして、開口した投入口7aから処理室6内にゴミを投入し、再び開閉機構30を操作して蓋部8を閉じる。
【0042】
続いて火入れ工程(S01)に移行する。ここでは、収容体25の開口部26を開けて、図示しない点火された燻燃材を火種として処理室6の内部に挿入する。
【0043】
そして、火種をもとにゴミを発火させ、領域RC内にある程度火がまわった時点で開口部26を閉じ、磁化工程(S02)及び供給工程(S03)に移行する。
このとき、ゴミは燻燃された状態となり、処理室6の内部では底部5から上方に向かう気流が発生する。ここで、箱体部13の調節弁18を所定の分量に開いて、吸入口13aから導入管17を介して箱体部13内に空気を導入する。
【0044】
箱体部13内に導入された空気は、内壁部13B及び背壁部13Aに固定支持された流体発磁機12のそれぞれの管部14内に流入する。そして、磁石部15を通過する際に、一対の磁石15A,15Cから生じる磁力線による空気の磁化(及びマイナスイオン化)が行われる(磁化工程(S02))。磁化された空気は、流体供給管部10を介して連続的に処理室6内へ吸引される(供給工程(S03))。
【0045】
このとき、処理室6内部では、流体供給管部10から送出された空気が領域RCを中心に鉛直上方から見て時計回りの渦を形成する。これによりゴミの熱処理が促され、燻燃された状態で炭化・セラミック化が進行する。
【0046】
熱処理に伴って発生した排ガスは、上壁部7に接触すると外気によって冷却される。このとき、排ガスに含まれる水蒸気の一部が結露して付着する。付着した結露はそのまま壁面を伝って処理室6と側壁部23との間に形成された隙間S4から、処理室6と底壁部24との間に形成された空間S3内に流れていく。
【0047】
所定時間の熱処理後、一対のかき出し機構21A,21Bを駆動してかき出し軸部21aを回転させる。このとき、スクリュー21bの回転にともない、処理室6の底部5中央に溜まった灰が開口部26までかき出される。こうして、かき出された灰を開口部26から回収する。そして、開閉機構30を駆動して蓋部8を開けて新たなゴミを処理室6に投入することによって、引き続きゴミの熱処理が行われる。
【0048】
一方、開閉弁50を閉めた状態で調水弁47を開け、水道管48から水39を各噴液部40に供給して水39を噴出させる。そして、液面Sが一定の高さとなるように開閉弁50の開閉量を調節しておく。この状態で、放出工程(S04)が行われる。
【0049】
排気口27から接続管29を介して気体浄化機11の流入口11aから通路部38の第一下向き通路35Aに流入した排気ガスは、第一下向き通路35Aに沿って重力方向に流れていく。
【0050】
このとき、第一下向き通路35Aを鉛直下方に流れる排ガスに対して噴液部40から水39が噴出される(第一工程(S41))。このとき、排ガスに含まれる油分や有害物質は、水39によって冷却されるとともに、鉛直下方に配された貯留部41内に水39とともに落下する。
【0051】
また、排ガスが第一下向き通路35Aの途中で第一貫通孔42aを通過する際にも、噴液部40から噴出されて第一仕切り部42表面に貯留された水に触れる。そのため、排ガスに含まれる油分や有害物質がここでも冷却され、水39とともに第一貫通孔42aから貯留部41に落下する。
【0052】
第一下向き通路35Aの下方まで到達した排ガスは、貯留部41に貯留された水面上を通過して隣接する第二上向き通路36B内を今度は鉛直上方に向かって流れていく(第二工程(S42))。そして、上方まで到達した排ガスは、今度はこれと連通された隣接する第二下向き通路35Bに流入する。ここでも、第一下向き通路35A内と同様の作用によって、排ガスに含まれる油分や有害物質が水39によって洗い流される。
【0053】
これを繰り返しながらやがて第二下向き通路35Bから第一上向き通路36Aに流入した排ガスは、油分や有害物質が洗い流された状態となっている。そして、そのまま上昇して流出口11bから煙突45内に流入する。このとき、発熱部46を加熱して排ガス内に残った水分を蒸発させる。こうして無色透明で清浄なガスが大気中に放出される。
【0054】
貯留部41に貯留された水39の液面Sに浮遊する油分等は、排油管52を介して外部に取り出す。また、貯留部41に貯留された水39は開閉弁50を開いて排出管51を介して外部に取り出す。回収した油分等は再びゴミと一緒に処理室6内に投入する。
【0055】
この低温熱分解装置1及び気体浄化機11によれば、噴液部40から噴出した水39によって排ガス内に含まれる油分等の有害物質を冷却して固化させ、水39とともに貯留部41に落下させることができる。このとき、排ガスが下向き通路35から上向き通路36に向かう際に貯留部41の液面S上を通過して水39内を通過しない。そのため、水39内で気泡になることがなく、有害物質が気泡内に取り残されることがない。したがって、有害物質が排ガスとともに下向き通路35から上向き通路36に向かうのを好適に抑えることができる。また、下向き通路35と上向き通路36とが複数交互に連接されているので、排ガスが繰り返し浄化され、有害物質を好適に取り除くことができ、燃焼処理後の排ガスから有害物質をより確実に取り除くことができる。
【0056】
また、第一下向き通路35Aの途中に第一仕切り部42が配され、第二下向き通路35Bの途中に第二仕切り部43が配されている。そのため、噴液部41から噴出された水39を第一仕切り部42及び第二仕切り部43に付着させておくことができる。したがって、排ガスが第一貫通孔42a及び第二貫通孔43aを通過する際に第一仕切り部42及び第二仕切り部43に付着した水39と接触するので、排ガスをより好適に洗浄することができる。さらに、通路部38の上流側となる第一下向き通路35Aが第二下向き通路35Bよりも幅広に形成され、第一貫通孔42aが第二貫通孔43aよりも大きいので、流入口11bから通路部38に流入される排ガスの流量を十分確保することができる。
【0057】
さらに、下向き通路35内を重力方向に流れる排ガスに対して上述の方向から水39を噴出させるので、排ガスと水39との接触機会を増大させることができる。
【0058】
また、発熱部46を備えているので、排ガスを加熱して排ガスに含まれる水39を蒸発させることができ、浄化後、さらに排ガスを無色にして外部に排出させることができる。
【0059】
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、図11に示すように、流入口11aの近傍に磁石55が設けられていても構わない。この場合、流入口11aから第一下向き通路35Aに流入した排ガスを再度磁化させることができ、流入口11aの周囲に有害物質が付着することを好適に抑えることができる。そのため、通路部38に排ガスを導入する際に壁に付着した有害物質を排ガスに混入させてしまうことを好適に抑えることができる。
【0060】
また、仕切り板37に磁石55が配されていても構わない(図では第一下向き通路35A及びこれに隣接する第二上向き通路36Bのみに配されているが、各通路に配されていても構わない。)。この場合、通路部38内を流れる排ガスを再度磁化させることができ、仕切り板37の壁面に有害物質が付着することを好適に抑えることができる。そのため、長時間にわたって排ガスを処理した後でも、壁面から有害物質を排ガスに混入させてしまうことを好適に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の一実施形態にかかる低温熱分解装置を示す側面図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかる低温熱分解装置を示す正面図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかる低温熱分解装置の磁化流体供給機を示す概略斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態にかかる低温熱分解装置の流体発磁機を示す断面図である。
【図5】図1のA−A断面図である。
【図6】図1のB−B断面図である。
【図7】図2のC−C断面図である。
【図8】本発明の一実施形態にかかる気体浄化機を示す正面図である。
【図9】図8のD−D断面図である。
【図10】本発明の一実施形態にかかる気体浄化方法を示すフロー図である。
【図11】本発明の他の実施形態にかかる気体浄化機を示す正面図である。
【符号の説明】
【0062】
1 低温熱分解装置(磁気処理装置)
11 気体浄化機
11a 流入口
11b 流出口
35 下向き通路
35A 第一下向き通路
35B 第二下向き通路
36 上向き通路
36A 第一上向き通路
36B 第二上向き通路
37 仕切り板
38 通路部
40 噴液部
41 貯留部
42 第一仕切り部
43 第二仕切り部
46 発熱部
55 磁石


【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱処理後の有害物質を含む気体を内部に導入する流入口と外部へ排出する流出口とが設けられ、重力方向に延びて前記流入口から流入された前記気体を下方に誘導する複数の下向き通路と、重力方向と反対方向に延びて前記気体を上方に誘導する複数の上向き通路と、が、仕切り板を挟んで水平方向に交互に並んで連通された通路部と、
前記下向き通路の上方にそれぞれ配されて浄化処理液を下方に噴出する噴液部と、
前記下向き通路を落下する前記浄化処理液が貯留される貯留部と、
を備え、
前記下向き通路と前記上向き通路とが、前記貯留部の液面よりも上方で連通されていることを特徴とする気体浄化機。
【請求項2】
複数の前記下向き通路が、前記流入口と連通された第一下向き通路と、該第一下向き通路よりも幅狭に配された第二下向き通路と、を備え、
前記気体を通過させる第一貫通孔が一部に設けられた第一仕切り部が、前記第一下向き通路の途中に配され、
前記第一貫通孔よりも小径に形成されて前記気体を通過させる第二貫通孔が一部に設けられた第二仕切り部が、前記第二下向き通路の途中に配されていることを特徴とする請求項1に記載の気体浄化機。
【請求項3】
前記浄化処理液が、重力方向に対して一定の角度で広がる方向に前記噴液部から噴出されることを特徴とする請求項1又は2に記載の気体浄化機。
【請求項4】
前記下向き通路の上方に前記流入口が設けられ、
該流入口の近傍に磁石が設けられていることを特徴とする請求項1から3の何れか一つに記載の気体浄化機。
【請求項5】
前記仕切り板に磁石が配されていることを特徴とする請求項1から3の何れか一つに記載の気体浄化機。
【請求項6】
前記気体を加熱する発熱部が、前記流出口の近傍に設けられていることを特徴とする請求項1から5の何れか一つに記載の気体浄化機。
【請求項7】
請求項1から6の何れか一つに記載の気体浄化機と、
前記流入口と連通され、処理対象物が投入されて貯留される処理室と、
該処理室に磁化された流体を供給する流体供給管部と、
を備えていることを特徴とする磁気処理装置。
【請求項8】
熱処理後の有害物質を含む気体を、途中で流量を絞りながら重力方向に流通させるとともに、前記気体に向かって上方から浄化処理液を噴出させる第一工程と、
前記浄化処理液が貯留された液面上で前記気体の流れる方向を折り返して上方に流通させる第二工程と、
を備え、
前記第一工程と前記第二工程とを交互に繰り返すことを特徴とする気体浄化方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−113009(P2009−113009A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−292160(P2007−292160)
【出願日】平成19年11月9日(2007.11.9)
【出願人】(507371319)インレット株式会社 (2)
【出願人】(507371308)有限会社小林工業 (2)
【Fターム(参考)】