説明

気流搬送配管における異物除去エルボ管

【課題】気流搬送配管を介して搬送可能な搬送物から、気流と共に搬送される搬送物の流れの中で、簡易に且つ効率良く異物を分離除去することのできる異物除去エルボ管を提供する。
【解決手段】横方向から縦方向に搬送方向を変化させる気流搬送配管11の湾曲コーナ部12に設けられて、搬送される搬送物から当該搬送物よりも比重の大きな異物17を除去する異物除去エルボ管10であって、下流側の横方向配管部13による搬送方向Xに対向配置されて、湾曲コーナ部12から横方向外側に突出して形成された溜り凹部14と、横方向配管部13と溜り凹部14との間に介在して湾曲コーナー部12から下方外側に突出して設けられた回収用凹部15とからなる。気流搬送により横方向配管部13を流れる搬送物を、溜り旋回凹部14を介して旋回させて上方に送り出しながら、旋回時に比重の大きな異物17を回収用凹部15に落下させて回収する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気流搬送配管における異物除去エルボ管に関し、特に、気流搬送配管の湾曲コーナ部に設けられて、搬送される搬送物から比重の大きな異物を除去するための気流搬送配管における異物除去エルボ管に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、産業廃棄物やその他の廃棄物の量が年々増加していることから、これらの廃棄物を有効利用しようという気運が高まっている。例えば廃プラスチックや建設廃木材等の場合、必要に応じて破砕装置等によって細かく破砕されてから、各種の搬送装置によって下流側の再利用設備に搬送されて処理された後に、建設用再生資材、発電用燃料、セメント製造用燃料等として再利用されることになる。
【0003】
これらの廃棄物を再利用する場合、例えば廃プラスチックや建設廃木材等には、釘、ボルト、ナット等の鉄製の異物や、非鉄金属、砂利等の異物が混入していることが多く、これらの異物が混入されたまま廃棄物が下流側に搬送されると、例えば再利用設備において、破砕装置の歯の欠損を生じさせたり、搬送配管の閉塞を生じさせたり、その他の設備の破損や損傷等を生じさせたりして、再利用設備の稼動に悪影響を及ぼす惧れがある。
【0004】
これに対して、プラスチック系廃棄物や車両部品のシュレッダダスト等を搬送する際に、風力選別によって、これらの廃棄物を重量物と軽量物とに選別する装置が開発されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−177890号公報
【特許文献2】特開平11−207263号公報
【特許文献3】特開昭58−500910号公報
【特許文献4】特開平3−244895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の風力選別装置は、空中に排出して落下させた廃棄物を気流噴出ノズルからの気流によって吹き飛ばし、その落下距離によって廃棄物を選別するものであり、特許文献2の縦型風力選別機は、選別機本体の空洞に千鳥状の邪魔板を配置し、ジグザグ状の気流の流れを介して廃棄物を分離するものであるため、いずれも重量物回収室、軽量物回収室、選別機本体等の大掛かりな設備を必要とし、その費用が高くなると共に、多くの設置スペースを要することになる。
【0007】
一方、例えば粒状物等の流動材料を、簡易に且つ効率良く搬送することのできる装置として、配管に空気を送り込んで気流を生じさせたり、配管を吸引して負圧にすることで気流を生じさせて、これらの気流に伴って流動材料を搬送させる気流搬送配管が知られている(例えば、特許文献3、特許文献4参照)。また、特許文献3や特許文献4の気流搬送配管では、搬送物を含んだ気流の流れを例えば横方向から縦方向に方向転換させる際に、小さな曲率の湾曲コーナー部を介して方向転換させることができるようになっていると共に、小さな曲率で気流の流れが方向転換する際に、搬送物が湾曲コーナー部の配管の内壁面に衝突して当該内壁面が摩耗するのを効果的に防止できるようにする工夫がなされている。
【0008】
本発明は、気流搬送配管を介して搬送可能な廃棄物等の搬送物から、気流搬送配管によって気流と共に搬送される搬送物の流れの中で、簡易に且つ効率良く比重の大きな釘、ボルト、ナット、非鉄金属、砂利等の異物を分離して除去することのできる気流搬送配管における異物除去エルボ管を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、搬送物を気流により搬送する気流搬送配管における横方向から縦方向に搬送方向を変化させる湾曲コーナー部に設けられて、該湾曲コーナー部に沿って搬送される搬送物から当該搬送物よりも比重の大きな異物を除去するための異物除去エルボ管であって、下流側の横方向配管部による搬送方向に対向配置されて、前記湾曲コーナー部から横方向外側に突出して形成された溜り凹部と、前記横方向配管部と前記溜り凹部との間に介在して前記湾曲コーナー部から下方外側に突出して設けられた回収用凹部とからなり、気流搬送により前記横方向配管部を流れる搬送物の流れの少なくとも下層部分を、前記溜り凹部を介して上流側の縦方向配管部に向けて送り出しながら、旋回時に比重の大きな異物を前記回収用凹部に落下させて回収する気流搬送配管における異物除去エルボ管を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0010】
そして、本発明の気流搬送配管における異物除去エルボ管では、前記溜り凹部は円弧状又は球面状に湾曲する内壁面形状を備えていることが好ましい。
【0011】
また、本発明の気流搬送配管における異物除去エルボ管では、前記回収用凹部は、当該回収用凹部の下部から上方に向う気流を発生させる気流発生手段と連通しており、該気流発生手段によって、前記搬送物の浮遊速度よりも大きく、前記異物の浮遊速度よりも小さい速度の気流を前記回収用凹部に発生させるようになっていることが好ましい。
【0012】
さらに、本発明の気流搬送配管における異物除去エルボ管では、前記回収用凹部の下部には、前記湾曲コーナ部を介して前記搬送物を搬送させる状態を保持したま開閉されて、前記回収用凹部に回収された異物を取り出し可能な取出し機構が設けられていることが好ましい。
【0013】
さらにまた、本発明の気流搬送配管における異物除去エルボ管では、前記横方向配管部の少なくとも前記回収用凹部と近接する部分の底面は、平坦に形成されていることが好ましい。
【0014】
また、本発明の気流搬送配管における異物除去エルボ管では、前記横方向配管部の少なくとも前記回収用凹部と近接する部分の底面は、前記回収用凹部に向けて下方に傾斜していることが好ましい。
【0015】
また、本発明の気流搬送配管における異物除去エルボ管では、前記搬送物は、粒状に破砕された廃プラスチックであることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の気流搬送配管における異物除去エルボ管によれば、気流搬送配管を介して搬送可能な廃棄物等の搬送物から、気流搬送配管によって気流と共に搬送される搬送物の流れの中で、簡易に且つ効率良く異物を分離して除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の好ましい一実施形態に係る気流搬送配管における異物除去エルボ管の構成を説明する断面図である。
【図2】本発明の好ましい一実施形態に係る気流搬送配管における異物除去エルボ管の構成を説明する要部拡大略示断面図である。
【図3】本発明の好ましい一実施形態に係る異物を取り出し可能な取出し機構を例示する拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の好ましい一実施形態に係る気流搬送配管における異物除去エルボ管10は、図1及び図2に示すように、気流搬送配管11を介して搬送可能な搬送物として、例えば廃棄物である粒状に破砕された廃プラスチックを搬送する際に、気流搬送配管11の湾曲コーナー部12において、気流と共に搬送される搬送物の流れの中で、釘、ボルト、ナット、非鉄金属、砂利等の搬送物よりも比重の大きな異物17を、簡易に且つ効率良く分離して除去するために採用されたものである。尚、気流の種類としては気体であれば特に支障はないが、例えば、大気中の空気、窒素、二酸化炭素等が挙げられる。この中で、安価で容易に入手することができる空気が好ましく用いられる。
【0019】
そして、本実施形態の搬送物を気流により搬送する気流搬送配管における異物除去エルボ管10は、横方向として好ましくは水平方向又は略水平方向から、縦方向として好ましくは鉛直方向又は略鉛直方向に搬送方向を変化させる気流搬送配管11の湾曲コーナー部12に設けられて、湾曲コーナー部12に沿って搬送される搬送物から当該搬送物よりも比重の大きな異物17を除去するための配管部分であって、下流側の横方向配管部13による搬送方向Xに対向配置されて、湾曲コーナー部12から横方向外側に突出して形成された溜り凹部14と、横方向配管部13と溜り凹部14との間に介在して湾曲コーナー部12から下方外側に突出して設けられた回収用凹部15とからなり、気流搬送により横方向配管部13を流れる搬送物の流れの少なくとも下層部分を、溜り凹部14を介して旋回させて上流側の縦方向配管部16に向けて送り出しながら、旋回時に比重の大きな異物17を回収用凹部15に落下させて回収するようになっている(図2参照)。
【0020】
また、本実施形態では、回収用凹部15は、当該回収用凹部15の下部から上方に向う気流を発生させる気流発生手段18と連通しており、この気流発生手段18によって、搬送物の浮遊速度よりも大きく、異物17の浮遊速度よりも小さい速度の気流を回収用凹部15に発生させるようになっている。
【0021】
さらに、本実施形態では、回収用凹部15の下部には、湾曲コーナー部12を介して搬送物を搬送させる状態を保持したまま開閉されて回収用凹部15に回収された異物17を取り出し可能な取出し機構19が設けられている。
【0022】
本実施形態では、気流搬送配管11は、異物除去エルボ管10が設けられた部分を除く略全体が、例えば内径φ=140mm程度の円形断面を有する鋼管からなり、湾曲コーナー部12を介在させて、その搬送方向Xを、略水平な横方向からこれと略垂直な縦方向に方向転換させるようになっている。
【0023】
湾曲コーナー部12は、本実施形態では、上流側直線状配管20と下流側直線状配管21との間に継手部22を介して接続されるエルボー配管23の主たる部分として設けられており、湾曲コーナー部12は、例えば中心線の曲率半径R1=1400mm程度の4半円の円弧形状を描くように湾曲して、横方向から縦方向に搬送物の搬送方向Xを方向転換させるようになっている。
【0024】
ここで、湾曲コーナー部12の中心線の曲率半径R1は、気流搬送配管11の内径φの5倍〜10倍とすることが好ましくは、8倍〜10倍とすることがさらに好ましい。湾曲コーナー部12の中心線の曲率半径R1を気流搬送配管11の内径φの5倍〜10倍とすることにより、搬送物である廃プラスチックの湾曲コーナー部12に沿った流れをスムーズにして、異物除去エルボ管10による異物の分離を効率良く行うことが可能になる。
【0025】
また、湾曲コーナー部12の上流側部分は、水平方向又は略水平方向に延設する横方向配管部13となっており、この横方向配管部13による搬送方向Xと対向配置される溜り凹部14と、この溜り凹部14と横方向配管部13の下流側端部との間に介在して配置される回収用凹部15とが一体となって、本実施形態の異物除去エルボ管10が形成されることになる。
【0026】
異物除去エルボ管10を構成する溜り凹部14は、湾曲コーナー部12の内壁面を外側に窪ませるようにして、開口部を横方向配管部13による搬送方向Xに対向させると共に、湾曲コーナー部12から横方向外側に突出して形成される部分である。本実施形態では、溜り凹部14は、その主たる部分の内壁面が、例えば91mm程度の曲率半径R2を有する球面状(ドーム状)に湾曲している。また、内壁面が球面状の溜り凹部14は、回収用凹部15と接続される下端部に向けてその形状を徐々に変化させて、回収用凹部15の上端部に接合一体化されるようになっている。尚、溜り凹部14は、球面状(ドーム状)の他、例えば円柱を半分に切った形状としても良い。
【0027】
溜り凹部14の主たる部分の内壁面が、球面状に湾曲していることにより、搬送物の滞留を起こさせて異物を捕捉するとともに、コーナー部分の磨耗を予防することができる。また、当該溜り凹部14に溜って旋回しつつ方向転換する搬送物の流れを、さらにスムーズに生じさせることが可能になる。なお、溜り凹部14の内壁面は、横方向には湾曲させることなく縦方向にのみ円弧状に湾曲させて形成することもでき、このような円弧状の湾曲面によっても、球面状の湾曲面と同様に、当該溜り凹部14に溜って旋回しつつ方向転換する搬送物の流れを、さらにスムーズに生じさせることが可能になる。尚、溜り凹部14の形状は、球面状や円弧状であることが好ましい。これにより、滞留物の置換が容易に行われる。
【0028】
異物除去エルボ管10を構成する回収用凹部15は、溜り凹部14の下端部と横方向配管部13の下流側端部との間に介在して下方外側に突出して設けられる部分であり、本実施形態では、下方に向って断面積が小さくなる、底面(上面)が回収用開口15aとして開口する倒立状態の略切頭4角錐形状を備えている。尚、回収用凹部15は、4角錐形状に限定されるものではなく、異物を捕捉できる形状であれば良い。
【0029】
本実施形態では、回収用凹部15は、例えば150mm程度の高さHで下方に突出して設けられており、その下端部分において、例えば側面に開口形成された気流噴射孔24を介して、回収用凹部15の下部から上方に向う気流を発生させる気流発生手段18と連通している。気流発生手段18は、給気ブロア等の公知の気流供給装置からなり、例えば給気ノズルを気流噴射孔24に接続して気流を強制的に送り込むことにより、後述するように、搬送物の浮遊速度よりも大きく、異物17の浮遊速度よりも小さい速度で、回収用凹部15の下部から上方に向けて流れる気流を発生させることができるようになっている。
【0030】
また、本実施形態では、回収用凹部15の下部には、当該回収用凹部15に回収された異物17を取り出すための取出し機構19が設けられている。取出し機構19は、好ましくは湾曲コーナー部12の周面を封止状態として、当該湾曲コーナー部12を介して搬送物が搬送されている状態を保持したまま、異物17を取り出せるようにする必要がある。このような取出し機構19としては、例えば内側開閉蓋25aと、外側開閉蓋25bとによって挟まれる回収室26からなり、外側開閉蓋25bを閉塞し、内側開閉蓋25aを開放した状態で、回収用凹部15に回収された異物17を回収室26に落し込んだ後に、内側開閉蓋25aを閉塞し、外側開閉蓋25bを開放した状態で、回収室26から異物17を外部に取り出せるようにしたものを用いることができる。
【0031】
また、湾曲コーナ部12を介して搬送物が搬送されている状態を保持したまま異物17を取り出せるようにする他の取出し機構19として、例えば図3に示すようなダブルフラップダンパ方式の取出し機構を挙げることができる。ダブルフラップダンパ方式とは、重力排出を行うフラップ式ダンパ31,32を空間を挟んで上下二段設置し、交互に開閉を行うことにより気密性を確保する排出装置をいう。
【0032】
ここで、ダブルフラップダンパ31,32を使用して異物を外部に取り出すには、具体的には、まず、フラップダンパ31,32が閉であるこを確認する。次に、異物が受入ボックス33に適量充填される。このとき、気流弁38から受入ボックス33に気体を供給し、ボックス33では下部から上方に向かう気流が発生していることが好ましい。これにより、搬送物を常時流動させることができ、スムーズに下段に送ることができる。その後、均圧弁34を開き、受入ボックス33と中間ボックス35の圧力を同じとする。次に、上部フラップ31を開き、異物を中間ボックス35へ移動させ、上部フラップ31を閉じる。上部フラップ31が閉じたことを確認し、均圧弁34を閉じて、大気弁36を開き、中間ボックス35を大気圧とする。その後、下部フラップ32を開いて排出ボックス37に異物を排出する。中間ボックス35が空になった事を確認した後、下部フラップ32を閉じ、大気弁大気弁36も閉じる。下部フラップ32の閉を確認する。以降、前述の操作を繰り返すことにより、異物を外部に取り出すことができる。
【0033】
さらに、本実施形態では、倒立した略切頭4角錐形状の回収用凹部15の4角形となった回収用開口15aの一辺部と接続する、横方向配管部13における下流側部分の少なくとも回収用凹部15と近接する部分13aの底面は、平坦に形成されている。これによって、当該少なくとも回収用凹部15と近接する部分13aの気流搬送配管11の横断面形状は、底辺部分が閉塞された中空の略倒立U字形状を備えることになる。横方向配管部13の少なくとも回収用凹部15と近接する部分13aの底面が平坦に形成されていることにより、後述するように、気流搬送により横方向配管部13の底部に沿って流れてくる異物17を、相当の幅を有する平坦な底面に沿って速度を低下させつつ移動させることにより、回収用凹部15にスムーズに落下させて確実に回収することが可能になる。
【0034】
さらにまた、本実施形態では、横方向配管部13の少なくとも回収用凹部15と近接する部分13aの底面は、回収用凹部15に向けて例えば3°程度の角度θで下方に傾斜している。横方向配管部13の少なくとも回収用凹部15と近接する部分13aの底面が回収用凹部15に向けて下方に傾斜していることにより、搬送物と共に気流搬送により横方向配管部13の底部に沿って流れてくる異物17を、回収用凹部15に向けて移動するのに伴って搬送物の流れから下方に分離させ易くすることが可能になる。
【0035】
そして、上述の構成を有する本実施形態の気流搬送配管における異物除去エルボ管10によれば、以下のような作用によって、気流搬送配管11を介して搬送される搬送物(粒状に破砕された廃プラスチック)の流れの中で、釘、ボルト、ナット、非鉄金属、砂利等の搬送物よりも比重の大きな異物17を、簡易に且つ効率良く分離して除去することができる。
【0036】
すなわち、本実施形態では、図2に示すように、例えば気流搬送により横方向配管部13を流れる異物17を含む搬送物の流れの少なくとも下層部分は、好ましくはその流速を低下させつつ搬送方向Xに対向配置された溜り旋回凹部14に入って行くと共に、溜り旋回凹部14の内部で下方に旋回しつつ下降して、回収用凹部15に入り、さらに下降した後に上方に旋回して向きを換え、横方向配管部13から縦方向配管部16に向けて直接流れる上層部分の気流及び搬送物の流れに合流して、これらと共に気流搬送によって縦方向配管部16にスムーズに流れてゆくことになる。一方、搬送物に含まれる廃プラスチックよりも比重の大きい異物17は、その重量によって回収用凹部15で上方に移動方向を換えることが出来ず、そのまま落下して回収用凹部15に分離回収されることになる。回収された異物17は、取出し機構19を介して回収用凹部15から取り出して除去されることになる。
【0037】
すなわち、本実施形態の異物除去エルボ管10によれば、気流搬送配管11を介して搬送可能な搬送物から、気流搬送配管11によって気流と共に搬送される搬送物の流れの中で、簡易に且つ効率良く異物を17分離して除去することが可能になる。
【0038】
また、本実施形態の異物除去エルボ管10によれば、回収用凹部15は、これの下部から上方に向う気流を発生させる気流発生手段18と連通しているので、この気流発生手段18によって、搬送物の浮遊速度よりも大きく、異物17の浮遊速度よりも小さい速度の気流を回収用凹部15の内部に発生せることにより、搬送物に含まれる異物17を分離させる機能を保持しつつ、回収用凹部15に入ってきた搬送物が上方に旋回して押し出されるのを補助して、溜り凹部14や回収用凹部15に搬送物が滞留し続けるのを効果的に回避することが可能になる。また、溜り凹部14や回収用凹部15に搬送物が滞留してしまった場合でも、搬送物の搬送を一旦止めて、気流のみを気流搬送配管11に流しつつ、気流発生手段18によって回収用凹部15に気流を発生させることにより、滞留した搬送物を湾曲コーナー部12を通過する気流の流れに押し出して除去することで、異物17のみを回収用凹部15から取り出すことが可能になる。
【0039】
さらに、本実施形態では、例えば気流搬送により横方向配管部13の底部に沿って流れてくる一部の異物17は、搬送物(粒状に破砕された廃プラスチック)に押されるようにして横方向配管部13の底部を滑るようにしながらそのまま回収用凹部15に落下して回収されるものと考えられるが、本実施形態では、上述のように、横方向配管部13の少なくとも回収用凹部15と近接する部分13aの底面が平坦に形成されており、且つ回収用凹部15に向けて下方に傾斜しているので、横方向配管部13の底部に沿って流れてくる異物17をさらに効率良く回収することが可能になる。
【0040】
さらにまた、本実施形態によれば、溜り凹部14及び回収用凹部15には、これらに溜って旋回しつつ方向転換する搬送物の流れが形成されるので、このような搬送物の流れをクッションとして機能させて、搬送方向Xに移動する搬送物の衝突による湾曲コーナー部12の内壁面の摩耗を効果的に防止することが可能になる。
【0041】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、気流搬送配管を介して搬送される異物を含む搬送物は、廃プラスチックである必要は必ずしも無く、木屑粉砕物等のその他の廃棄物や、廃棄物以外の気流搬送配管を介して搬送可能な種々の搬送物であっても良い。また、溜り凹部は円弧状又は球面状に湾曲する内壁面形状を備えている必要は必ずしもなく、その他の種々の内壁面形状を備えていても良い。さらに、異物除去エルボ管が設けられる気流搬送配管は、円形断面を有する鋼管からなるものである必要は必ずしも無く、湾曲コーナー部を介して横方向から縦方向に搬送方向をスムーズに変化させる機能を有するものであれば、その他の種々の断面形状や材質のものであっても良い。
【実施例】
【0042】
以下、実施例1,2により、本発明の気流搬送配管における異物除去エルボ管をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0043】
〔実施例1〕
廃プラスチックとして、一辺が20mm以下のフィルム状主体の破砕物を5kg使用した。この中に異物としてステンレス製のM6六角ナット、ステンレス製のM12六角ナット、ステンレス製のM6×長さ20mmの六角ボルト、粒子径10mmの砂利、鉄製の径1.5mm×長さ19mmの釘を各4個ずつを混入させた。ここで、M6およびM12は、いずれも日本工業規格(JIS)B0101で規定されている呼称である。
【0044】
異物除去エルボ管として、図1で示されるような上記実施形態と同様の構成を備えるの異物除去エルボ管を使用した。異物除去エルボ管は、当該エルボ管内の気流搬送や異物が除去される様子を目視で確認するため、透明な塩ビ樹脂で作製した。気流搬送配管の内径を105mm、湾曲コーナ−部の中心線の曲率半径を1400mmとした。溜り凹部の主たる内壁面を曲率半径が91mmの球面状とした。回収用凹部は横118mm、奥行132mm、高さ100mmの角柱状とした。異物を含む廃プラスチックをロータリーフィーダにより20m/sの空気とともに異物除去エルボ管に供給した。異物を含む廃プラスチックの供給量は、536kg/時間であった。尚、実施例1においては、回収用凹部の下部から気流を供給しなかった。
【0045】
この結果、M6六角ナット、M12六角ナット、M6×長さ20mm六角ボルト、粒子径10mmの砂利のすべてと径1.5mm×長さ19mmの釘の1本が回収用凹部に滞留した。これにより本発明の異物除去エルボ管を使用することにより異物を除去できることが明らかとなった。
【0046】
〔実施例2〕
回収用凹部の下部から上方に向けて空気を供給したこと以外は、実施例1と同様な方法により試験を実施した。気流は、回収用凹部の最下部フランジ部に設けた一辺132mm×3.2mm×2カ所の隙間から供給した。回収用凹部の下部からの空気供給量は0.03m3/s程度とし、空気の供給部の面積は7.55×10-42であって、下部からの空気の供給気流の初期流速は、34m/s程度であった。
【0047】
この結果、実施例1では回収凹部が廃プラスチックによってほぼふさがったが、実施例2では下部からの空気によって回収凹部に滞留する廃プラスチックが除去され、異物のみを回収することが可能となった。さらに回収した異物はM6六角ナット、M12六角ナット、M6×長さ20mm六角ボルト、粒子径10mmの砂利のすべてと径1.5mm×長さ19mmの釘の2本であり、実施例1よりもさらに異物除去の効果が認められた。これにより本発明の異物除去エルボ管を使用することにより異物を除去できることが明らかとなった。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の気流搬送配管における異物除去エルボ管によれば、気流搬送配管を介して搬送可能な廃棄物等の搬送物から、気流搬送配管によって気流と共に搬送される搬送物の流れの中で、簡易に且つ効率良く異物を分離して除去することができる。
【符号の説明】
【0049】
10 気流搬送配管における異物除去エルボ管
11 気流搬送配管
12 湾曲コーナ部
13 横方向配管部
13a 横方向配管部の回収用凹部と近接する部分
14 溜り旋回凹部
15 回収用凹部
16 縦方向配管部
17 搬送物よりも比重の大きな異物
18 気流発生手段
19 取出し機構
23 エルボー配管
24 気流噴射孔
25a 内側開閉蓋
25b 内側開閉蓋
26 回収室
27 ダブルフラップダンパ
X 搬送物の搬送方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送物を気流により搬送する気流搬送配管における横方向から縦方向に搬送方向を変化させる湾曲コーナー部に設けられて、該湾曲コーナー部に沿って搬送される搬送物から当該搬送物よりも比重の大きな異物を除去するための異物除去エルボ管であって、
下流側の横方向配管部による搬送方向に対向配置されて、前記湾曲コーナー部から横方向外側に突出して形成された溜り凹部と、
前記横方向配管部と前記溜り凹部との間に介在して前記湾曲コーナー部から下方外側に突出して設けられた回収用凹部とからなり、
気流搬送により前記横方向配管部を流れる搬送物の流れの少なくとも下層部分を前記溜り凹部を介して上流側の縦方向配管部に向けて送り出しながら比重の大きな異物を前記回収用凹部に落下させて回収する気流搬送配管における異物除去エルボ管。
【請求項2】
前記溜り凹部は円弧状又は球面状に湾曲する内壁面形状を備えている請求項1記載の気流搬送配管における異物除去エルボ管。
【請求項3】
前記回収用凹部は、当該回収用凹部の下部から上方に向う気流を発生させる気流発生手段と連通しており、該気流発生手段によって、前記搬送物の浮遊速度よりも大きく、前記異物の浮遊速度よりも小さい速度の気流を前記回収用凹部に発生させる請求項1又は2記載の気流搬送配管における異物除去エルボ管。
【請求項4】
前記回収用凹部の下部には、前記湾曲コーナー部を介して前記搬送物を搬送させる状態を保持したま開閉されて、前記回収用凹部に回収された異物を取り出し可能な取出し機構が設けられている請求項1〜3のいずれかに記載の気流搬送配管における異物除去エルボ管。
【請求項5】
前記横方向配管部の少なくとも前記回収用凹部と近接する部分の底面は、平坦に形成されている請求項1〜4のいずれかに記載の気流搬送配管における異物除去エルボ管。
【請求項6】
前記横方向配管部の少なくとも前記回収用凹部と近接する部分の底面は、前記回収用凹部に向けて下方に傾斜している請求項1〜5のいずれかに記載の気流搬送配管における異物除去エルボ管。
【請求項7】
前記搬送物は、破砕された廃プラスチックである請求項1〜6のいずれかに記載の気流搬送配管における異物除去エルボ管。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2010−167376(P2010−167376A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−12871(P2009−12871)
【出願日】平成21年1月23日(2009.1.23)
【出願人】(000000206)宇部興産株式会社 (2,022)
【Fターム(参考)】