説明

気相成長装置

【課題】 原料の利用効率を高くし、高品質の化合物半導体を成長させる。
【解決手段】 成長室1内に、基板SBを保持する回転自在な基板保持台2と、基板保持台2の加熱手段3と、基板SBに向けて反応ガスを供給するガス供給部4と、排ガスを成長室1外へ排出する排気口9とを備えた気相成長装置において、成長室1の側壁10の内径を基板保持台2の外径と略同じとして成長室1内に反応空間RSを形成し、ガス供給部4を互いに離隔して配置された第一原料ガス供給部5、第二原料ガス供給部6及びドーパントガス供給部8で構成し、基板SBの回転軌跡の法線方向と直交し、下辺11bが基板保持台2と平行で且つ近接する方形の開口面11aを有する排気導入管11を排気口9に接続し、第一原料ガス供給部5、第二原料ガス供給部6、ドーパントガス供給部8、開口面11aを、基板保持台2の回転で基板SBが順次遷移するように配設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化合物半導体を成長させる有機金属気相成長装置(MOCVD装置)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の気相成長装置としては、例えば図7に示すMOCVD装置がある(特許文献1参照)。このMOCVD装置100は、成長チャンバー101の上部に第一ガス供給部102、第二ガス供給部103、キャリアガス供給部104、およびドーパントガス供給部105からなるガス供給部106を備えており、成長チャンバー101内に基板SBを取付ける基板保持台107が回転自在に設けられている。
【0003】
基板保持台107には加熱手段108が設けられており、ガス供給部106と基板保持台107との間にはガス冷却部109が介設されている。成長チャンバー101の側壁と基板保持台107との間には、基板保持台107上に供給された各種ガスを排出口110へと導く排ガス通過空間111が設けられている。
基板保持台107とガス冷却部109の間隔は大きく、両者間では比較的緩やかな温度勾配が形成されている。この温度勾配と、ガス供給部106から供給される各種ガスのダウンフローと、基板保持台107の高速回転による遠心力によって、成長チャンバー101内には、ガス供給部106から基板保持台107、排ガス通過空間111を経て排出口110へ至るガスの流れを形成し、基板SB上で気相成長を行う。
【特許文献1】特表2001−506803号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の気相成長装置は、基板上は常に各種ガスが存在しており、その中には基板に到達する前に第一原料ガスと第二原料ガスとが混合して生成した附加化合物(adduct)も含まれており、これらのガスが基板保持台に随伴して回転し基板上に滞留する傾向がある。このように、基板付近に気相成長に寄与しない附加化合物が滞留すると原料ガスの濃度が低下するので原料の利用効率が悪くなる。ここで、附加化合物とは、2種類の有機化合物が弱く結合したもの、あるいは不飽和結合の原子に他の原子団が結合したもの(例えば、トリメチルインジウム(TMI)のインジウム(In)にホスフィン(PH3 )が結合した(PH3 3 In・PH3 )を指す。
【0005】
附加化合物は基板の気相成長に寄与せず異物として基板に混入し品質の低下を招く場合がある。
また、基板保持台とガス供給部の間隔が大きいため第一原料ガスと第二原料ガスとが基板に到達する前に互いに混合する割合が相対的に大きく、これらのガスは基板上での気相成長には寄与しないので、原料の利用効率は低い。
【0006】
さらには、排ガス通過空間が基板保持台の周囲に配置されているので、相当量の原料ガスが基板上に滞留した原料ガスの上面を掠めるように流れて排ガス通過空間へと導かれ、そのまま排気されるため原料の利用効率が低いといった問題があった。
本発明は、気相成長装置における上記問題を解決するものであって、原料の利用効率が高く、高品質の化合物半導体を成長させることのできる気相成長装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、上記課題を解決するため、成長室内に、基板を保持する回転自在な基板保持台と、基板保持台を加熱する加熱手段と、基板保持台と対向する面に設けられ基板に向けて反応ガスを供給するガス供給部と、成長室内の排ガスを成長室外へ排出する排気口とを備えた気相成長装置において、成長室の側壁の内径を基板保持台の外径と略同じとすることで成長室内に反応空間を形成し、ガス供給部を互いに離隔して配置された少なくとも第一原料ガス供給部及び第二原料ガス供給部で構成し、基板の回転軌跡の法線方向と直交し、基板保持台側の辺が基板保持台と平行で且つ近接する方形の開口面を有する排気導入管を排気口に接続し、第一原料ガス供給部、第二原料ガス供給部、及び排気導入管の開口面を、基板保持台の回転により基板が第一原料ガス供給部、第二原料ガス供給部、排気導入管の開口面と順次遷移するように配設している。
【0008】
この気相成長装置によれば、反応空間に各種原料ガスが安定して分布した状態の中を基板が通過していくので、付加反応物の生成は極めて少なく、原料の利用効率も高い。また、基板に到達した各種原料ガスは1サイクルごとに排出され、基板上は附加化合物も常に除去されて清浄な状態が保たれるので、原料の利用効率が高く、品質の劣化が抑えられて高い品質の化合物半導体を成長させることができる。
【0009】
ガス供給部を、全域に亙ってキャリアガスを供給するキャリアガス供給部と、キャリアガス供給部に互いに離隔して挿入された少なくとも第一原料ガス供給部及び第二原料ガス供給部で構成すると、原料ガス同志の分離状態を安定して保持できるので、付加反応物の生成をさらに低減することができる。
反応空間の高さを、反応空間のガス分布状態が、ガス供給部側に形成されるキャリアガスが主体的に存在するフレッシュキャリア層、基板保持台側に形成される実反応層、及びフレッシュキャリア層と実反応層を共存させるために最低限必要となるバッファ層の三層構造となるように設定すると、基板上の原料ガス濃度が最適化され、原料の利用効率が向上する。
【0010】
排気導入管の開口面の基板保持台側の辺が、実反応層とバッファ層の界面に位置していると、基板上に分布する全てのガスを排出するのではなく、気相成長に有効な反応ガスを基板に随伴させることができるので、原料の利用効率が向上する。
排気導入管と基板保持台との間に形成された空間に、基板保持台に向けてキャリアガスあるいは原料ガス、又はキャリアガスと原料ガスの両方を供給する第二ガス供給部を設けると、キャリアガスを供給することで排気導入管への原料の付着が防止でき、原料ガスを供給することで一旦基板上で成長した元素が離脱するのを防止することができる。
【0011】
ドーパントガス供給部を第一原料ガス供給部及び第二原料ガス供給部と離隔してガス供給部あるいは第二ガス供給部に配設すると、例えば、ドーパントガス供給箇所をIII族ガスとV族ガスの間に設定したり、V族ガスの後段に設定するといったようにドーパントガス供給順序を選択でき、化合物半導体の物性を変化させることが可能となる。
反応空間を取り巻く各構成要素のうち基板保持台を除くすべての構成要素をそれぞれ冷却する冷却手段を設けると、構成要素の部材の保護と最適な温度勾配を安定して保持することが可能となる。
【0012】
基板保持台が基板を円筒外周に保持する基板保持筒であって、成長室側壁が基板保持筒の両端面に近接して配設され、反応空間が基板保持筒の外側に円環状に形成されていると、多数の基板を一度に処理することが可能である。また、基板保持台が円盤状の場合では中心付近と外周側とは周速の違いにより化合物半導体の品質に多少差が生じる可能性があるが、円筒状であれば基板の取付箇所にかかわらず化合物半導体の品質を均一にすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、原料の利用効率が高く、高品質の化合物半導体を成長させることのできる気相成長装置を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は本発明の実施の一形態を示す気相成長装置の構成図、図2はガス供給部と排気導入管の平面上の配置の一例を示す説明図、図3は気相成長装置の成長室を基板保持台の回転方向に展開した反応空間の説明図、図4は反応空間のガス分布状態の説明図である。
この気相成長装置は、縦長で円筒状の成長室1内に、複数枚の基板SBを載置する回転自在な基板保持台2と、基板保持台2を加熱する加熱手段3と、基板保持台2と対向する面に設けられ基板SBに向けて反応ガスを供給するガス供給部4と、成長室1内の排ガスを成長室1外へ排出する排気口9とを備えている。
【0015】
成長室1の側壁10は、その内径を円盤状の基板保持台2の外径と略同じ径に設定されており、基板保持台2とガス供給部4と側壁10とによって、成長室1内に閉ざされた反応空間RSが形成されている。
ガス供給部4は、全域に亙ってキャリアガスを供給するキャリアガス供給部7と、キャリアガス供給部7に互いに離隔して挿入された第一原料ガス供給部5、第二原料ガス供給部6及びドーパントガス供給部8で構成されている。
【0016】
キャリアガス供給部7は、多数のノズル7bを基板保持台2に対して同心円状且つ放射状に隈なく配置して各ノズル7bを連通し、1箇所もしくは数箇所に供給管7a を接続している。これによりキャリアガスは基板SBにシャワーのように供給される。
第一原料ガス供給部5は、供給管5aとノズル5bの対が基板保持台2の半径方向に5対並んで設けられており、各ノズル5bからの原料ガスの供給量は図示しないマスフローコントローラによって調整している。各ノズル5bはキャリアガス供給部7のノズル7bとの干渉を避けるように配置されている。
【0017】
第二原料ガス供給部6、ドーパントガス供給部8も第一原料ガス供給部5と同様に構成されている。
通常、第一原料ガス供給部5からはIII族ガスが、第二原料ガス供給部6からはV族ガスがそれぞれ供給される。
排気口9には、排気導入管11が接続されている。排気導入管11は反応空間RSに開口する方形の開口面11aを有しており、この開口面11aは基板SBの回転軌跡の法線方向と直交し、円盤状の基板保持台2の半径方向と一致している。開口面11aの下辺11bは基板保持台2と平行で且つ基板保持台2に近接しており、後述する実反応層RLに相当する高さに設定されている。
【0018】
排気導入管11の底板11c、天板11dは、上り傾斜で開口面11aから排気口9へ連なっている。
排気導入管11と第一原料ガス供給部5の境界には、反応空間RSの半径方向の全面を遮断する隔壁14が設けられており、この隔壁14が排気導入管11の側板も兼ねている。排気口9の後段には、公知の排ガス除害装置(図示略)が接続されている。
【0019】
第一原料ガス供給部5、第二原料ガス供給部6、ドーパントガス供給部8、及び排気導入管11の開口面11aは、基板保持台2の回転により基板SBが第一原料ガス供給部5、第二原料ガス供給部6、ドーパントガス供給部8、排気導入管11の開口面11aと順次遷移するように配設されている。
なお、この各種反応ガス供給部の配置は、処理対象物によって第三原料ガス供給部を挿入したり、それぞれのガス供給部に供給する反応ガスの順序を入れ替えたり、同じ反応ガスを二度供給するというように設定を変更しても差し支えない。
【0020】
排気導入管11の底板11cの下方には、基板保持台2に向けてキャリアガスあるいは原料ガス、又はキャリアガスと原料ガスの両方を供給する第二ガス供給部12が設けられている。第二ガス供給部12のノズル12b等の構成は、ガス供給部4のものと基本的に共通している。
加熱手段3は、円盤状の基板保持台2の中心付近と外周側とを別個に加熱して温度を均一化するため、中心側ヒータ3aと外周側ヒータ3bとで構成されている。
【0021】
反応空間RSを取り巻く各構成要素のうち基板保持台2を除くすべての構成要素には、冷却手段13が設けられている。ガス供給部4の各ノズルの上方には第一冷却管13aが設けられ、第二ガス供給部12と排気導入管11との間には第二冷却管13bが設けられ、この他に側壁10の外周と排気導入管11の天板11dの上面には図示しない冷却管が設けられており、冷媒が供給されている。この冷却手段13によって、構成要素の部材が保護され、最適な温度勾配を安定して保持することが可能となる。
【0022】
この気相成長装置において、基板保持台2が回転すると載置されている基板SBは、図3に示す隔壁14に相当するA点から第一原料ガス供給部5と第二原料ガス供給部6の中間となるB点、第二原料ガス供給部6とドーパントガス供給部8の中間となるC点、排気導入管11の開口面11aに相当するD点へと遷移する。
反応空間RSには各種原料ガスが安定して分布しており、この状態の中を基板SBが通過していくので、附加化合物の生成は極めて少なく、原料の利用効率も高い。また、基板に到達した各種原料ガスは1サイクルごとに排出され、基板2上の附加化合物も常に除去されて清浄な状態が保たれるので、原料の利用効率が高く、品質の劣化が抑えられて高品質の化合物半導体を成長させることができる。
【0023】
ガス供給部4は、全域に亙ってキャリアガスを供給するキャリアガス供給部7と、キャリアガス供給部7に互いに離隔して挿入された第一原料ガス供給部5、第二原料ガス供給部6、及びドーパントガス供給部で構成されており、原料ガス同士の分離状態を安定して保持できるので、附加化合物の生成をさらに低減することができる。
反応空間RSが適正な高さの場合の反応空間RSの高さ方向のガス分布状態を見ると、図4(b)に示すようにガス供給部4側に原料濃度が低くキャリアガスが主体的に存在するフレッシュキャリア層FL、基板保持台2側に原料濃度の高い実反応層RL、その中間にフレッシュキャリア層FLと実反応層RLとを共存させるために最低限必要なバッファ層BLが形成されている。
【0024】
このガス分布状態におけるフレッシュキャリア層FLと実反応層RLは、キャリアガスがガス供給部4の全面に亙って供給されていること、キャリアガスの流量が原料ガスの流量よりも少ないこと、原料ガスが基板SBへと到達するだけの十分な流量を有することを条件として反応空間RS内で形成される。
この状態では、基板2上の原料ガス濃度が最適化されているので、原料の利用効率が高く、高品質の化合物半導体を成長させることができる。
【0025】
排気導入管11は開口面11aの下辺11bが、実反応層RLとバッファ層BLの界面に位置しており、基板SB上に分布する全てのガスを排出するのではなく、気相成長に有効な反応ガスを基板SBに随伴させることができるので、原料の利用効率が向上する。
なお、反応空間RSの高さの設定が図4(a)に示すように高い場合には、各層の間隔が広がり基板SB付近の原料ガスの濃度が低くなり、基板に到達せずにそのまま排出される原料ガスが多くなり原料の利用効率が低下する。
【0026】
反応空間RSの高さの設定を低くしていくとやがて反応空間RSは図4(c)に示すように実反応層RLだけで構成されるようになり、反応空間RS(=実反応層RL)内で原料ガスが攪拌されてしまうため付加反応物が生成してしまう。また、原料ガスの濃度分布も高さ方向で均一化されるので結果として適正なバッファ層BLが存在する場合と比較すると基板SB付近のガス濃度は低下する。
【0027】
排気導入管11と基板保持台2との間には、基板保持台2に向けてキャリアガスあるいは原料ガス、又はキャリアガスと原料ガスの両方を供給する第二ガス供給部12を設けているので、キャリアガスを供給することにより排気導入管11への原料の付着が防止でき、原料ガスを供給することにより一旦基板2上で成長した元素が離脱するのを防止することができる。
【0028】
図5は本発明の他の実施の形態を示す気相成長装置の構成図、図6は一部を破断して示す気相成長装置の下面図である。
この気相成長装置は、成長室51内に、複数枚の基板SBを円筒外周に保持し回転自在な基板保持筒52と、基板保持筒52を加熱する加熱手段53と、基板保持筒52と対向する面に設けられ基板SBに向けて反応ガスを供給するガス供給部54と、成長室51内の排ガスを成長室51外へ排出する排気口59とを備えている。
【0029】
成長室51の側壁60は、基板保持筒52の両側面に近接して配設され、基板保持筒52と、基板保持筒52に対向するガス供給部54と側壁60とによって、基板保持筒52の外側に閉ざされた円環状の反応空間RSが形成されている。
ガス供給部54は、全域に亙ってキャリアガスを供給するキャリアガス供給部57と、キャリアガス供給部57に互いに離隔して挿入された第一原料ガス供給部55、第二原料ガス供給部56、及びドーパントガス供給部58で構成されている。通常、第一原料ガス供給部55からはIII族ガスが、第二原料ガス供給部56からはV族ガスがそれぞれ供給される。なお、ガス供給部54のノズル等の具体的な構成は、図1、図2に示すガス供給部4のものと略共通しているので、説明を省略する。
【0030】
排気口59には、排気導入管61が接続されている。排気導入管61は反応空間RSに開口する方形の開口面61aを有しており、この開口面61aは基板SBの回転軌跡の法線方向と直交し、基板保持筒52の半径方向と一致している。開口面61aの上辺11bは基板保持筒52と平行で且つ基板保持筒52に近接しており、実反応層RLに相当する高さに設定されている。
【0031】
排気導入管61の底板61cは下り傾斜、天板61dは略水平で、開口面61aから排気口59へ連なっている。
排気導入管61と第一原料ガス供給部55及びドーパントガス供給部58との境界には、反応空間RSの半径方向に延びる隔壁64が設けられている。排気口59の後段には、公知の排ガス除害装置(図示略)が接続されている。
【0032】
第一原料ガス供給部55、第二原料ガス供給部56、ドーパントガス供給部58、及び排気導入管61の開口面61aは、基板保持筒52の回転により基板SBが第一原料ガス供給部55、第二原料ガス供給部56、ドーパントガス供給部58、排気導入管61の開口面61aと順次遷移するように配設されている。
なお、この各種反応ガス供給部の配置は、処理対象物によって第三原料ガス供給部を挿入したり、それぞれのガス供給部に供給する反応ガスの順序を入れ替えたり、同じ反応ガスを二度供給するというように設定を変更しても差し支えない。
【0033】
排気導入管61の天板11dの上方には、基板保持筒52に向けてキャリアガスあるいは原料ガス、又はキャリアガスと原料ガスの両方を供給する第二ガス供給部62が設けられている。第二ガス供給部62のノズル等の構成も、図1、図2に示すガス供給部4のものと略共通している。
反応空間RSを取り巻く各構成要素のうち基板保持筒52を除くすべての構成要素には、冷却手段63が設けられている。
【0034】
この気相成長装置では反応空間RSが円環状であるが、反応空間RSを基板保持筒52の回転方向に展開すると、ガス分布は図3、図4に示すものと同様であり、従って、基板SB上の原料ガス濃度が最適化されているので、原料の利用効率が高く、高品質の化合物半導体を成長させることができる。
しかも、基板保持筒52が円筒状であるので、多数の基板SBを一度に処理することが可能であり、基板SBの取付位置によって化合物半導体の品質がばらつくことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施の一形態を示す気相成長装置の構成図である。
【図2】ガス供給部と排気導入管の平面上の配置例を示す説明図である。
【図3】気相成長装置の成長室を基板保持台の回転方向に展開した反応空間の説明図である。
【図4】反応空間のガス分布状態の説明図である。
【図5】本発明の他の実施の形態を示す気相成長装置の構成図である。
【図6】一部を破断して示す気相成長装置の下面図である。
【図7】従来の気相成長装置の構成図である。
【符号の説明】
【0036】
1 成長室
2 基板保持台
3 加熱手段
4 ガス供給部
5 第一原料ガス供給部
6 第二原料ガス供給部
7 キャリアガス供給部
8 ドーパントガス供給部
9 排気口
10 側壁
11 排気導入管
11a 開口面
12 第二ガス供給部
13 冷却手段
14 隔壁
51 成長室
52 基板保持筒
53 加熱手段
54 ガス供給部
55 第一原料ガス供給部
56 第二原料ガス供給部
57 キャリアガス供給部
58 ドーパントガス供給部
59 排気口
60 側壁
61 排気導入管
61a 開口面
62 第二ガス供給部
63 冷却手段
64 隔壁
BL バッファ層
FL フレッシュキャリア層
RL 実反応層
RS 反応空間
SB 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成長室内に、基板を保持する回転自在な基板保持台と、基板保持台を加熱する加熱手段と、基板保持台と対向する面に設けられ基板に向けて反応ガスを供給するガス供給部と、成長室内の排ガスを成長室外へ排出する排気口とを備えた気相成長装置であって、
成長室の側壁の内径を基板保持台の外径と略同じとすることで成長室内に反応空間を形成し、
ガス供給部を互いに離隔して配置された少なくとも第一原料ガス供給部及び第二原料ガス供給部で構成し、
基板の回転軌跡の法線方向と直交し、基板保持台側の辺が基板保持台と平行で且つ近接する方形の開口面を有する排気導入管を排気口に接続し、
第一原料ガス供給部、第二原料ガス供給部、及び排気導入管の開口面を、基板保持台の回転により基板が第一原料ガス供給部、第二原料ガス供給部、排気導入管の開口面と順次遷移するように配設したことを特徴とする気相成長装置。
【請求項2】
ガス供給部を、全域に亙ってキャリアガスを供給するキャリアガス供給部と、キャリアガス供給部に互いに離隔して挿入された少なくとも第一原料ガス供給部及び第二原料ガス供給部で構成したことを特徴とする請求項1記載の気相成長装置。
【請求項3】
反応空間の高さを、反応空間のガス分布状態が、ガス供給部側に形成されるキャリアガスが主体的に存在するフレッシュキャリア層、基板保持台側に形成される実反応層、及びフレッシュキャリア層と実反応層を共存させるために最低限必要となるバッファ層の三層構造となるように設定したことを特徴とする請求項2記載の気相成長装置。
【請求項4】
排気導入管の開口面の基板保持台側の辺が、実反応層とバッファ層の界面に位置することを特徴とする請求項3記載の気相成長装置。
【請求項5】
排気導入管と基板保持台との間に形成された空間に、基板保持台に向けてキャリアガスあるいは原料ガス、又はキャリアガスと原料ガスの両方を供給する第二ガス供給部を設けたことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の気相成長装置。
【請求項6】
ドーパントガス供給部を第一原料ガス供給部及び第二原料ガス供給部と離隔してガス供給部あるいは第二ガス供給部に配設したことを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の気相成長装置。
【請求項7】
反応空間を取り巻く各構成要素のうち基板保持台を除くすべての構成要素をそれぞれ冷却する冷却手段を設けたことを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の気相成長装置。
【請求項8】
基板保持台が基板を円筒外周に保持する基板保持筒であって、成長室側壁が基板保持筒の両端面に近接して配設され、反応空間が基板保持筒の外側に円環状に形成されていることを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の気相成長装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−140424(P2006−140424A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−331129(P2004−331129)
【出願日】平成16年11月15日(2004.11.15)
【出願人】(000165974)古河機械金属株式会社 (211)
【Fターム(参考)】