説明

水から汚染物質を除去する方法および装置

吸着ろ過を用いる汚染水の浄化方法および装置。まず汚染水をpH調整剤と接触させて、約3〜7の範囲のpH調整水を準備することにより、1つまたはそれ以上のカチオン、アニオンおよび/または非イオン界面活性剤、有機、無機および/または生物学的汚染物質を、灰色水のような汚染水から除去することができる。pH調整剤は、好ましくは1つまたはそれ以上の酸、1つまたはそれ以上の加水分解性の塩、イオン交換媒体、またはこれらの組合せである。その後にpH調整水を、シリカ、ゼオライト、アルミナ、活性炭などを含む1つまたはそれ以上の活性吸着媒体と接触させる。本発明は、水から選択的に汚染物質を除去し、それにより汚染水を、人との接触、再利用および/または消費に対して安全にする手段を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、水を浄化するための方法および装置、特に界面活性剤、並びに任意に有機、無機および/または生物学的汚染物質を、吸着ろ過技術を使用して水から除去することに向けられている。
【背景技術】
【0002】
背景技術
高品質の飲料水は、世界の多くの地域で乏しくなっている。給水貯水池を拡大するため、および消費を増大させるための余地はほとんどないので、水の浄化は非常に重要である。水浄化の程度は、水が汚染される程度、および水の最終使用に依存する。人または動物の消費および/または接触が予定される水は、トイレ洗浄、洗濯利用、庭および農業潅漑、および工業プロセスの目的が予定される水よりも、より高度の浄化が要求される。
【0003】
汚染水を人の接触および/または消費に対して安全にするために使用される、多数の水処理の実施が存在する。
【0004】
飲料水クレー(clays)の製造中で微粒子および病原体は、凝集剤、例えば塩化第二鉄またはミョウバンで凝集され、次いで高分子電解質を、凝集助剤として、およびいくつかの場合で高分子量ポリマー有機フィルター助剤として添加することにより、除去される。凝集物質は、沈降またはサンドフィルターを経るろ過のいずれかにより除去される。
【0005】
「灰色水」処理は、工業洗濯および家庭で発生するその多さの故に、重要性が増している。灰色水とは、糞尿によりはなはだしく汚染されておらず、一般に、人の排泄物または分泌物を受けるために設計されていない衛生器具から生ずる排水である。灰色水は、バスタブ、シャワー、手たらい、洗濯タブ、スパバス、洗浄機および台所の排出物を含む。灰色水の特徴は、家庭間で異なり、家庭活動、居住者の年齢および数、居住者のライフスタイル、および居住者の水使用の特徴に依存する。
【0006】
灰色水は、様々な量の無機物(例えばリン酸塩、硝酸塩などのような溶解塩)、有機物(例えば油、グリース、石鹸、練り歯磨き、シャンプー/コンディショナー、毛髪染料、界面活性剤、洗浄化学品)、天然の不純物(例えば泥、食品、砂、糸屑、毛髪、血、尿、排便など)、および微生物(例えばバクテリア、ウィルス、原生動物など)を含有し、これらは家庭および個人の衛生行為から生ずる。灰色水は、各家庭により産出される排水の大部分を占めるので、公衆衛生を守り、健康のガイドラインを満たす様式で、この水をさらに使用するために浄化することが望ましい。
【0007】
灰色水処理の再利用は、単純な灰色水の迂回装置(GDD)から、洗練された処理システムまで及び得る。灰色水の迂回装置は、灰色水廃物を処理しないが、排出物を粗いスクリーンを通じて迂回させ、物質(地下注水の使用前にポンプ、ブロックパイプを詰まらせ、汚染物質負荷を負わせるもの)を除去する。
【0008】
現在、灰色水排出物を処理するために使用されている多数のプロセスがある。これらは、固形物の沈降、浮揚、嫌気性消化、ろ過、通気、浄化および最後の消毒を通じて、排水の一次汚染物質の総負荷を削減させる一次処理を含む。二次汚染物質、例えば硝酸塩、リン酸塩、ホウ素、ナトリウムなどは、この種の処理では削減されない。
【0009】
水処理プロセスは、病原微生物の除去に対して完全に信頼できるものではない。従って灰色水処理および他の水処理プロセスにおける最終段階として、従来の化学的消毒剤、例えば塩素またはオゾンが、一般的な水媒介性の病原微生物を駆除するために、処理水に添加される。しかしながらいくつかの微生物は、そのような従来の処理の影響を受けず、人の接触および/または消費に予定される水にそのような微生物が入るおそれがあり、重大な公衆衛生の懸念を引き起こす。
【0010】
従って、水源、特に灰色水の処理のためによく知られた多数のプロセスがあるとはいえ、地表潅漑、再利用および/または消費に適合させるためにpH、濁り、耐熱性大腸菌に関する極めて厳格な要件を満たし、一連の汚染物質、例えば界面活性剤、有機、無機および/または生物学的汚染物質を水から選択的に除去する能力には、重大な問題が残っている。従来の水処理の実施は、そのような汚染物質混合物を選択的に除去することにおいて、効果が無いことが分かっている。
【0011】
汚染物質、特に一連の汚染物質を、汚染水から選択除去する方法に対して、明らかに需要がある。
【発明の開示】
【0012】
発明の概要
本発明者らは、吸着ろ過(「活性吸着ろ過(Active Adsorption Filtration)」という言葉を造った方法)を使用して、一連の汚染物質を水から選択的に除去する方法を開発した。「活性吸着ろ過」は、選択的および特異的に汚染物質を水から除去し、それにより人との接触、再利用および/または消費に対して、汚染水を安全にするための手段を提供する。
【0013】
本発明者らは、驚くべきことに、汚染水をpH調整剤または媒体と接触させ、次いで活性吸着媒体での連続的な処理段階(この中で各活性吸着媒体上の電荷は、pH調整媒体の性質により影響を受ける)により、1つまたはそれ以上の界面活性剤、並びに好ましくは一連の有機、無機および/または生物学的汚染物質を水から選択的に除去できることを見出した。
【0014】
第1の側面において本発明は、1つまたはそれ以上のカチオン、アニオンおよび/または非イオン界面活性剤、並びに任意に1つまたはそれ以上の有機、無機および/または生物学的汚染物質を水から除去する方法に向けられており、該方法は、
a)水を、pH調整剤/媒体と、pH調整水を供給する時間および条件下で接触させること、
次いでpH調整水を、1つまたはそれ以上の下記活性吸着媒体と、即ち、
b)pH調整水中で負電荷を有する第1の媒体と、水中に存在するカチオン界面活性剤の一部が該媒体に吸着され、水から除去されるような時間および条件下で、
c)pH調整水中で正電荷を有する第2の媒体と、水中に存在するアニオン界面活性剤の一部が該媒体に吸着され、水から除去されるような時間および条件下で、
d)大表面積を有し、多孔質であり、pH調整水中で疎水性非荷電物質および/または疎水性荷電物質を吸着する第3の媒体と、水中に存在する非イオン界面活性剤の一部が該媒体に吸着され、水から除去されるような時間および条件下で、
接触させること、
および任意に、pH調整水を、1つまたはそれ以上の下記媒体と、即ち
e)有機汚染物質を除去するための1つまたはそれ以上の媒体と、水中に存在する有機汚染物質の一部が該媒体に吸着され、水から除去されるような時間および条件下で、
f)無機汚染物質を除去するための1つまたはそれ以上の媒体と、水中に存在する無機汚染物質の一部が該媒体に吸着され、水から除去されるような時間および条件下で、
g)生物学的汚染物質を除去するための1つまたはそれ以上の媒体と、水中に存在する生物学的汚染物質の一部が該媒体に吸着され、水から除去されるような時間および条件下で、
接触させることを含む。
【0015】
第2の側面において本発明は、本発明の第1の側面で記載された方法により調製された浄水に向けられている。
【0016】
第3の側面において本発明は、1つまたはそれ以上のカチオン、アニオンおよび/または非イオン界面活性剤、並びに任意に1つまたはそれ以上の有機、無機および/または生物学的汚染物質を水から除去するための装置を提供し、該装置は、
i)水をpH調整剤/媒体と接触させて、pH調整水を供給するためのpH調整領域、
ii)1つまたはそれ以上の下記活性媒体、即ち、
a)カチオン界面活性剤を除去するための、pH調整水中で負電荷を有する媒体、
b)アニオン界面活性剤を除去するための、pH調整水中で正電荷を有する媒体、
c)非イオン界面活性剤を除去するための、大表面積を有し、多孔質であり、pH調整水中で疎水性非荷電物質および/または疎水性荷電物質を吸着する媒体、
および任意に、1つまたはそれ以上の下記活性媒体、即ち
d)水から有機汚染物質を吸着するための1つまたはそれ以上の媒体、
e)水から無機汚染物質を吸着するための1つまたはそれ以上の媒体、
f)水から生物学的汚染物質を吸着するための1つまたはそれ以上の媒体、
ここで上記活性媒体の1つが、pH調整水の入口を有する第1の活性媒体であり、上記活性媒体の1つが、水の出口を有する最後の活性媒体である、および
iii)水の直列および並列流を、pH調整領域から最後の活性媒体まで供給する接続手段
を含む。
【0017】
第4の側面において本発明は、1つまたはそれ以上のカチオン、アニオンおよび/または非イオン界面活性剤、並びに任意に1つまたはそれ以上の有機、無機および/または生物学的汚染物質を水から除去するための装置を提供し、該装置は、
i)pH調整水の入口、
ii)1つまたはそれ以上の下記活性媒体、即ち、
a)カチオン界面活性剤を除去するための、pH調整水中で負電荷を有する媒体、
b)アニオン界面活性剤を除去するための、pH調整水中で正電荷を有する媒体、
c)非イオン界面活性剤を除去するための、大表面積を有し、多孔質であり、pH調整水中で疎水性非荷電物質および/または疎水性荷電物質を吸着する媒体、
および任意に、1つまたはそれ以上の下記活性媒体、即ち
d)水から有機汚染物質を吸着するための1つまたはそれ以上の媒体、
e)水から無機汚染物質を吸着するための1つまたはそれ以上の媒体、
f)水から生物学的汚染物質を吸着するための1つまたはそれ以上の媒体、
ここで上記活性媒体の1つが、pH調整水の入口を有する第1の活性媒体であり、上記活性媒体の1つが、水の出口を有する最後の活性媒体である、および
iii)水の直列流を、第1の活性媒体から最後の活性媒体まで供給する接続手段
を含む。
【0018】
最後の活性媒体がa)〜c)またはd)〜f)の1つから選択されること、そうして最後の活性媒体がa)〜c)の1つでなければ、水は、最後の活性媒体を通る前に、a)〜c)の1つまたはそれ以上、および任意にd)〜f)の1つまたはそれ以上を通ること
は理解されるであろう。
【0019】
要求される特性に応じて、活性媒体が使用される順序にいくつかの変形が可能であることは認識されるであろう。いくつかの場合で、いくつかの媒体を繰り返すことにも、利点があり得る。他の場合では並列流が、直列流よりも実用的な価値を有し得る。浄水の最終使用に応じて、そのpHを、標準的な改質剤の使用により、例えば追加媒体として石灰石で処理することにより、またはアルカリ性溶液を直接添加することにより上昇させても良い。例えば多くの機関は、この種のリサイクル水のpHを、通常6.5〜8.5の範囲に規定する。
【0020】
好ましくは、装置は、本発明の第1の側面の方法で汚染水を処理するために使用される。
【0021】
本明細書中で、「含む(“comprise”)」という言葉、または語尾変化、例えば“comprises”または“comprising”は、提示した要素、完全体若しくはステップ(integer or step)、または要素、完全体もしくはステップの群の包含を意味するが、あらゆる他の要素、完全体もしくはステップ、または要素、完全体もしくはステップの群の排除を意味しないことは理解されるであろう。
【0022】
概説
現時点で、コロイド状媒体が、高誘電率媒体(D=80)中に浸されたときに、表面基のイオン化、または溶液からの種(イオン、溶質)の特異的吸着のいずれかにより、表面電荷を獲得することは注目に値する。反対電荷のイオン(「対イオン」)は荷電表面に引かれ、一方、表面と同種の電荷のイオン(「共イオン」)は移動させられ、電荷拡散層を形成する。電荷の染み出し(smearing out)は、全体の電気的中性を維持する。2つの荷電表面が溶液中で相互に近づく場合、2つの拡散電気二重層が重なり合って、イオン密度の平衡値からのシフトが引き起こされ、その結果、2つの表面間で斥力または引力のいずれかが生ずる。2つの表面が同種の符号である場合、反発する相互作用が生じ、一方、2つの表面が反対の符号である場合、引力が生ずると予想される。
【0023】
生物学的種(ウィルス、バクテリア、原生動物など)、界面活性剤、有機および無機汚染物質は、特異的な化学相互作用、静電(電荷)、疎水性、粗さ、特異的な相互作用(錠−鍵機構、例えば抗体−抗原、酵素作用)に基づき、または結晶化学構造または配位により、外部媒体の活性な表面基と結合する。
【0024】
生物学的有機体、例えばウィルスおよびバクテリアがコロイド状の特質を有するならば、それらは、水系中で他のコロイド状粒子と同様に振舞う。それらの微生物の引き付けまたは付着は、接着および吸着の物理化学原理の点から単純に説明できる。
【0025】
この理由で、微生物、例えばバクテリアは、「生きているコロイド」と考えることができる。多くの病原体は、活性な表面基、例えば細胞糖タンパク質に結びついたカルボキシレートおよびホスフェートの基を有し、これらは、例えば外部媒体の活性な表面基と接触する場合に、化学的または静電的手段により利用できる。
【0026】
表面間の密接な接触は、表面サイトおよび接近表面間で、化学結合を形成し得る。これは化学吸着と呼ばれ、自然系において、カルボキシレートおよびホスフェート、並びに幅広い範囲の金属カチオン、例えばアルミニウム、カルシウムおよび鉄の間で典型的に起こる。これら化学相互作用の正確な性質はしばしば複雑であるが、強力な接着接触で、一般にコロイドを一緒に引き付けるファンデルワールス力に加えて、微生物表面上のカルボキシレートおよびホスフェートの基に結合する配位子を含み得る。
【0027】
この中で使用されるように、用語「吸着する」および「吸着」は、静電吸着または化学吸着のいずれかを指すことができる。
【0028】
微生物の吸着は、射程の短い引力(疎水性、クーロンおよびファンデルワールス力)によるものである。バクテリアの吸着は、ポリマー結合を通じて生じ、この接着は、非可逆(永続)または一時的のいずれかであり得る。いくつかの微生物は、多くの種類の表面と結合し(非特異的接着)、この種の接着の強度および程度は、基材の表面特性に関連し得る。一方、特異的接着は、微生物および基材表面間の相補的分子配置間における相互作用を含む。
【0029】
用語「界面活性剤」または「表面活性剤」は、空気/水および油/水界面で吸収し、実質的にそれらの表面エネルギーを減少させる表面活性な分子を指す。用語「洗剤」は、しばしば界面活性剤と互換的に用いられる。界面活性剤は、表面の活性部分の電荷に応じて、カチオン、アニオン、非イオンおよび両性界面活性剤に分類される。
【0030】
界面活性剤は、性質上、親水性(好水性、疎脂肪性、疎油性)および疎水性(嫌水性、親脂肪性、親油性)部分の両方を有する両親媒性である。分子の疎水性部分は非極性であり、脂肪族または芳香族炭化水素残基からなる。親水性部分は極性基からなり、これは、水、ヒドロキシル、カルボキシルおよびイオン性基と強く相互作用することができる。それら二重の性質の故に、それらは、独特な界面活性剤構造(即ちミセル、ベシクル)を溶液中で形成して、それらの疎水性部分および水性環境の間で、接触を排除できる。そうして本質的に疎水性コアを提供し、これにグリース、油、炭化水素が溶解できる。溶液中における独特の界面活性剤構造(即ちミセル、ベシクルなど)の形成は、洗浄力の基礎を形成し、界面活性剤凝集体の形成は、油溶性汚染物質、グリース、油および炭化水素を、本質的に炭化水素コア内に(「似た物は似た物を溶かす」)溶解させることができ(洗浄力において重要である「可溶化」)、一方で、存在する親水性汚染物質(泥、粘土など)は、それらが水性環境中に残っている間、界面活性剤の吸着により安定化される。
【0031】
界面活性剤吸着の配向、コンフォメーションおよび密度は、界面活性剤の性質(即ちアニオン、カチオン、非イオン)、特異的な表面化学、電荷、および表面吸着剤の疎水性/親水性(接触角)に依存する。荷電界面活性剤(アニオン性、カチオン性)単量体は、水溶液から、荷電した頭部基および表面サイト間の静電引力により反対に荷電した親水性表面サイト上に吸着する。
【0032】
「石鹸」は、界面活性剤の広範な部類の一例であることは理解されるであろう。典型的に、用語「石鹸」は、長鎖脂肪酸のナトリウムまたはカリウム塩を指す。石鹸は、市販のカルボン酸塩の大部分を象徴し、アニオン界面活性剤として分類される。石鹸は、しばしば「硬」水中で効果が無く、硬水中のミネラルと反応して、非溶解物質を形成する。
【0033】
驚くべきことに本発明者らは、汚染水がまず、活性媒体との接触前に、汚染水のpHを調整できるpH調整剤/媒体と接触することを条件として、1つまたはそれ以上の界面活性剤、並びに任意に1つまたはそれ以上の無機、有機および/または生物学的汚染物質を、特異的な活性媒体を使用して汚染水から選択的に除去できることを見出した。
【0034】
pH調整剤/媒体が界面活性剤(アニオン、カチオンおよび/または非イオン)を水中で不安定化することで機能していると、理論にとらわれず、本発明者らは考えている。発明者らは、汚染水のpH変化が界面活性剤の緩衝を妨げ、それにより界面活性剤を不安定化し、pH調整水で適切に荷電した特異的な活性媒体によって、1つまたはそれ以上の非イオン、カチオンおよび/またはアニオン界面活性剤を水から選択的に除去できると考えている。さらに発明者らは、本発明の活性吸着ろ過法および装置による界面活性剤の除去は、水中に存在し、通常は界面活性剤で安定化されている汚染物質を不安定にすることを提案する。従って本発明者らは、pH調整剤/媒体、およびその後の一連の活性媒体は、界面活性剤の不安定化および除去の両方を可能にし、その結果、通常は界面活性剤で安定化されている汚染物質が不安定化され、それにより続いて、不安定化された汚染物質を選択的媒体に吸着させ、除去できると考えている。
【0035】
本発明の方法および装置での処理に適した水は、川、ダム、地下水、海水、スイミングプールおよび工業および家庭排水(「灰色水」を含む)を含むが、これらに限定されない。これらの水は、天然および/または合成界面活性剤を含有することがあり、それらが、水中に存在する他の汚染物質を安定化し、そうして除去することがより困難となる。本発明の方法および装置は、一連のそのような界面活性剤および任意に他の汚染物質を、そのような水から除去する実際的な手段を提供する。発明者らは、活性吸着ろ過により選択的媒体に界面活性剤を除去することにより、溶液中で通常は界面活性剤により安定化されている汚染物質を不安定化し、それらを水から選択的に除去できると考えている。
【0036】
生物学的汚染物質および使用目的の最終レベルに応じて、水はさらなる浄化を必要とし得ることは認識されるであろう。従って本発明の方法および装置は、それぞれ生物学的汚染のレベルをさらに低減させる殺菌工程および媒体を含んでもよい。塩素処理、酸化塩素、オゾン分解およびUV照射を含むが、これらに限定されない既知の殺菌法を、本発明で使用できる。
【0037】
好ましくは、本発明の方法および装置は、塩素処理工程/塩素処理剤を含む。汚染水が、本発明の活性媒体に接触する前および/または後に、塩素処理してもよい。例えば汚染水を、ろ過する前および/または1つまたはそれ以上の活性吸着媒体と接触させた後に、塩素処理することができる。標準的な塩素処理手順が付随し得ることは、認識されるであろう。塩素処理は、例えば、濃度が約1〜20ppmである標準的な次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)溶液を使用することで行い得る。
【0038】
汚染水を、pH調整剤/媒体での処理の前または後に、ろ過してもよい。従って本発明の装置中で汚染水は、pH調整領域に入り、pH調整剤/媒体と接触する前または後に、フィルターを通過してもよい。好ましくは汚染水は、pH調整剤/媒体での処理前にろ過される。適したフィルターは、ステンレススチール製メッシュフィルター、ヘアおよびリントフィルター、サンドフィルター、スチール製焼結物、バッグフィルター、プリーツフィルターを含むが、これらに限定されない。好ましくは、フィルターは再洗可能なものである。
【0039】
汚染水に、粒状体の除去工程を受けさせてもよく、この工程で粒状体は、pH調整剤/媒体での処理の前、またはその後、またはそれと同時に水から除去される。従って本発明の装置中で汚染水は、pH調整領域に入り、pH調整剤/媒体と接触する前または後に、あるいはpH調整領域中にあり、pH調整剤/媒体と接触している間に、粒状体が水から除去される装置の領域を通過してもよい。好ましくは粒状体は、pH調整剤/媒体での処理の後で、水から除去される。より好ましくは粒状体は、1つまたはそれ以上の本発明の活性吸着媒体と接触する前に、水から除去される。ほんの一例として粒状体は、セディメントフィルター、バロチーニガラスフィルター(例えば、〜0.1−5mm)、遠心分離ドラムフィルター、および凝集、次いでろ過/分離の使用によって除去することができる。好ましくはフィルターは再洗可能なものである。主として色および濁りの原因であり、界面活性剤で安定化された粒状体(>0.5ミクロン)が一般的に多量に存在する「灰色水」の処理において、粒状体の除去は特に好ましい。
【0040】
本発明者らは、汚染水の浄化を、凝集剤を添加し、次いでフロックの沈降およびろ過または分離により増強し得ることを見出した。適した凝集剤の例は、ミョウバン、塩化第二鉄またはポリマー凝集剤を含むが、これらに限定されない。前述のように、いくつかの凝集剤、例えばミョウバンおよび塩化第二鉄は、汚染水のpHを調整し、本発明の方法および装置で必要な「pH調整水」を供給するという追加の作用を有する。
【0041】
いくつかの場合で凝集剤は、固体状の凝集剤微粒子を添加することにより改善することができ、例えばアルミナ微粒子を、ミョウバンの凝集を「結実させる」ために使用できる。
【0042】
本発明の方法および装置は、それぞれ硬水を処理するための工程および媒体をさらに含んでもよい。より具体的には汚染水と、硬イオン、例えばカルシウム、マグネシウムおよび/または鉄を水の軟質化で知られているNa+のようなイオンで除去および置換できるイオン交換媒体とを接触させてもよい。好ましくはイオン交換媒体は、硬イオンをNa+と交換できるNa+イオン交換樹脂である。この工程を、浄化法のあらゆる段階で行うことができる。好ましくは、水を軟質化する目的のためにイオン交換工程および媒体を、本発明の方法および装置側面の最終工程/媒体として組み込む。
【0043】
本発明の方法および装置で使用するいくつかの媒体は、1種類よりも多くの汚染物質を除去し得ることは認識されるであろう。これは、以下の記載で明らかになるであろう。
【0044】
本発明においてpH調整剤/媒体は、汚染水と界面活性剤および任意に他の汚染物質を除去するために選択された様々な特異的媒体とを接触させる前に、汚染水のpHを調整するために使用される。明細書中で、語句「pH調整水」への言及は、本発明の方法の工程a)および装置側面のi)で記載されるような、薬剤または媒体と接触した汚染水を指すことは理解されるであろう。汚染水のpHを変える作用を有するあらゆるpH調整剤/媒体を、本発明で使用できる。様々な媒体は、溶液pHによりイオン化度が定まる表面酸性基を有するので、pH調整剤/媒体は、その後の媒体上における電荷の符号および電荷の大きさに影響を及ぼす。未処理水をpH調整剤/媒体で処理する、またはそれらに通すと、それにより水のpHは調整され、そうすることで、調整流体に浸された次の媒体は、表面基のイオン化または特異的イオン吸着のいずれかにより表面電荷を獲得し、そうして汚染物質の選択的吸着に適した表面を与える。
【0045】
本発明の第3側面による装置で言及される「pH調整領域」は、水がpH調整剤/媒体と接触させられる装置のあらゆる領域、範囲または部分であると理解されるであろう。ほんの一例として、装置の領域、範囲または部分は、タンク、パイプまたはカートリッジでよく、その中で水は一時的に保持されるか、または水はそれを通過する。例えば水に、タンクまたはパイプ中で、例えばインラインパイプ注入によりpH調整剤を投与してもよく、または代わりに水を、カートリッジ中でpH調整媒体、例えばイオン交換媒体と接触させてもよい。
【0046】
本発明によれば「pH調整剤/媒体」は、1つまたはそれ以上の酸、1つまたはそれ以上の加水分解性の塩、イオン交換媒体またはこれらの組合せでもよい。
【0047】
汚染水のpHを調整できる適当な酸は、有機および無機酸を含むが、これらに限定されない。好ましい酸は、無機酸、例えば塩酸である。好ましくは、酸は水のpHを5〜7に調整する。
【0048】
汚染水のpHを調整できる適当な加水分解性の塩は、様々な形態のミョウバン、塩化アルミニウム、塩化第二鉄または硝酸第二鉄を含むが、これらに限定されない。好ましくは加水分解性の塩は、Al2(SO43またはKAl(SO42・12H2Oの形態のミョウバンである。加水分解性の塩は、灰色水の全固形分に見合う重量濃度で使用されることは認識されるであろう。
【0049】
いくつかの加水分解性の塩は二重の機能を有し、汚染水のpHを調整し、且つ凝集剤として作用できることは認識されるであろう。上述のように本発明者らは、粒状体除去工程における、いくつかの凝集剤、例えばミョウバンおよび塩化第二鉄の使用は、粒状汚染物質を除去し、且つ汚染水、特に灰色水のpHを調整するのに有効な手段であることを見出した。
【0050】
汚染水のpHを調整できる適当なイオン交換媒体は、酸性カチオン交換媒体を含む。イオン交換媒体は、好ましくはイオン交換樹脂であり、より好ましくは酸性カチオン交換樹脂である。あらゆる市販のカチオン交換樹脂を、本発明で使用できることは認識されるであろう。
【0051】
好ましくは、汚染水のpHを調整できる適当な酸性カチオン交換樹脂が、本発明で使用される。汚染物質を灰色水から除去する方法および対応する装置に向けられた1つの実施態様において、強カチオン性のH+イオン交換樹脂が、好ましくは使用される。その実施態様において、強カチオン性のH+交換媒体は、約7〜10の範囲のpHを有する汚染水のpHを調整し、これを、約5〜7の範囲に至るまでに調整する。
【0052】
好ましくは、イオン交換媒体は、汚染水で重力または圧力を供給することができるカートリッジ内に充填される。
【0053】
適用に応じて、一般に、イオン交換樹脂の粒度は、好ましくは、おおよそmmサイズの範囲内にある。
【0054】
多数の適用では、イオン交換媒体および水の間の接触時間は、わずかであろう。典型的に1分未満の接触時間は、汚染水のpHを調整するために充分であろう。しかしながら接触時間は、各使用状況に適用できる様々な要因、例えばカートリッジサイズ、樹脂サイズ、流量に依存する。適した接触時間は適切な試験および評価を通じて確立され得ることを、当業者は認識するであろう。
【0055】
汚染水のpH調整に加えて、イオン交換媒体は、特異的な汚染物質を水から除去し得ることも認識されるであろう。例えば、pH調整媒体がイオン交換媒体である場合、生物学的汚染物質は、現在、該分野で知られている事項通りに、その媒体に吸着されることで除去され得る。クリプトスポリジウム、ジアルジア、コレラ、大腸菌、バクテリア、ウィルス、藻類および酵母を含むが、これらに限定されない生物学的汚染物質は、既知の方法に従い、適切なイオン交換媒体によって除去することができる。
【0056】
家庭の灰色水の場合で、浄化すべき汚染水のpHは、各家庭の活動に依存することは認識されるであろう。ミョウバン、塩化第二鉄または酸性カチオン交換媒体が、ほとんどの家庭で生ずる灰色水に対して、ふさわしい選択であると考えられる。
【0057】
本発明で使用される異なる活性吸着媒体の種類、組合せ、順序、粒度および表面化学の選択には、様々な界面活性剤、有機、無機および生物学的汚染物質の選択的および特異的除去を斟酌することは認識されるであろう。本発明者らは、基材媒体の性質(即ち、その疎水性/親水性、電荷密度および表面基の性質)は、吸着法に含まれるメカニズム(即ち、疎水性または静電)に影響すると考えている。
【0058】
カチオン、アニオンおよび非イオン界面活性剤を除去するために必要な活性吸着媒体の電荷は、本発明の方法の工程a)および装置側面のi)で使用されるpH調整剤/媒体、並びにpH調整剤/媒体と接触した後の水のpHに依存することは認識されるであろう。例えばシリカは、pH>2で負に荷電し、カチオン性汚染物質、例えばカチオン界面活性剤を水から除去し、一方アルミナは、pH<8で正に荷電し、アニオン性汚染物質、例えばアニオン界面活性剤を水から除去するが、中性/疎水性汚染物質(例えば色素および非イオン界面活性剤)は、活性炭のような媒体で除去される。
【0059】
pH調整水中で負電荷を獲得するあらゆる媒体を、本発明の方法の工程b)および装置側面のii)a)で使用できる。負に荷電した、またはアニオン性の媒体は、カチオン性汚染物質を水から除去する。本発明の方法および装置により汚染水から除去され得るカチオン性汚染物質の例は、洗剤および洗浄剤中で見出されるようなカチオン界面活性剤を含むが、これに限定されない。好ましいアニオン性媒体は、様々な形態のシリカ、例えばバロチーニ媒体、ガラスまたはシリカ粉末を含むが、これらに限定されない。シリカは、数多くの物理的形態、例えば粉末、球、またはシリカ繊維の螺旋形フィルターで与えられ得る。発明者らは、バロチーニガラス球の形態のシリカ、好ましくは約0.1〜5mmの範囲の直径を有するものが、粗い汚染物質を除去するために理想的であり、容易に再洗され、元の流量を再生できることを見出した。
【0060】
pH調整水中で正電荷を獲得するあらゆる媒体を、本発明の方法の工程c)および装置側面のii)b)で使用できる。正に荷電した、またはカチオン性の媒体は、アニオン性汚染物質を水から除去する。本発明の方法により汚染水から除去され得るアニオン性汚染物質の例は、洗剤および洗浄剤中で見出されるようなアニオン界面活性剤を含むが、これに限定されない。好ましいカチオン性媒体は、様々な形態のアルミナ、例えばaloxを含むが、これに限定されない。アルミナは、数多くの物理的形態、例えば粉末、顆粒、結晶性固体、圧縮ディスク若しくはウェーハ、またはアルミナ繊維の螺旋形フィルターで与えられ得る。好ましくは、アルミナは完全に水和した状態のものである。好ましい実施態様においてカチオン性媒体は、約1mmの粒度の粉末形態の水和アルミナである。
【0061】
大表面積を有し、多孔質であり、pH調整水中で疎水性非荷電物質を吸着する、および/または疎水性荷電物質を吸着するあらゆる媒体を、本発明の方法の工程d)および装置側面のii)c)で媒体として使用できる。この媒体は、1つまたはそれ以上の上記特性を有し得ることは認識されるであろう。明細書中でこの媒体を、「大表面積/多孔質/疎水性媒体」と呼ぶことがある。大表面積/多孔質/疎水性媒体は、中性および/または疎水性汚染物質を水から除去する。本発明の方法により汚染水から除去され得る中性または疎水性汚染物質は、洗剤および洗浄剤中で見出されるような非イオン界面活性剤を含むが、これに限定されない。方法の工程d)および装置のii)c)で使用できる好ましい媒体は、活性炭、グラファイトおよび無煙炭を含むが、これらに限定されない。好ましい大表面積/多孔質/疎水性媒体は、活性炭である。活性炭は、粉末、ペレットまたは螺旋形フィルターの形態であり得る。好ましくは、活性炭は約1〜3mmの範囲のサイズを有する粉末形態である。さらに好ましくは、活性炭は、銀が含浸されたものである。
【0062】
用語「大表面積」媒体は、約50〜100m2/gの範囲の表面積を有する媒体を定義することは理解されるであろう。
【0063】
用語「多孔質」媒体は、サブミクロンサイズの孔を有する媒体を定義することは理解されるであろう。
【0064】
アニオン、カチオンおよび大表面積/多孔質/疎水性活性吸着媒体は、要求される流量および供給水中の汚染物質レベルに応じて、重力または圧力下で供給され得る。好ましくは、活性吸着媒体は、活性媒体床、例えば混床の活性吸着床フィルターの形態で使用される。活性吸着ろ過媒体も、単一または二成分混合粉末の床システム形態で使用できる。活性媒体床を、市販のろ過カートリッジ内に含有させてもよい。
【0065】
適用に応じて一般的に、アニオン性、カチオン性および大表面積/多孔質/疎水性媒体の粒度は、約60μm〜10mm、好ましくは約0.1mm〜5mmのオーダーであり得る。各媒体は、再洗可能であることが好ましい。
【0066】
多数の適用のために、アニオン性、カチオン性および大表面積/多孔質/疎水性媒体と水との間の接触時間はわずかであろう。典型的に、約1分未満の接触時間は、汚染水のpHを調整するために充分であろう。適切な試験および評価を通じて、適当な接触時間が確立され得ることを、当業者は認識するであろう。
【0067】
当該汚染物質の最大限の除去を確保し、一方で高い水処理量を維持するために、実験室作業台およびパイロットプラントでの試験を行い、それぞれの活性媒体床の厚さおよび粒度の間で最適な関係を確立し得ることは認識されるであろう。
【0068】
1つまたはそれ以上の界面活性剤を汚染水から除去することに加えて、本発明の方法および装置は、1つまたはそれ以上の有機、無機および/または生物学的汚染物質も除去し得る。pH調整水を、本発明の第1側面のb)〜d)並びに第3および第4側面のii)a)〜c)で、1つまたはそれ以上の媒体と接触させる前または後に、本発明の第1側面のe)〜g)並びに第3および第4側面のii)d)〜f)で記載した1つまたはそれ以上の媒体と接触させてもよい。好ましくはpH調整水を、本発明の第1側面のb)〜d)並びに第3および第4側面のii)a)〜c)で、1つまたはそれ以上の媒体と接触させた後に、本発明の第1側面のe)〜g)並びに第3および第4側面のii)d)〜f)で記載した1つまたはそれ以上の媒体と接触させる。
【0069】
本発明の方法および装置により汚染水から除去され得る有機汚染物質の例は、タンパク質、酵素、脂肪、グリース、油、腐植物質、窒素化合物および農薬を含むが、これらに限定されない。
【0070】
本発明の方法および装置により汚染水から除去され得る無機汚染物質の例は、硫酸塩、硝酸塩およびリン酸塩および多価金属カチオンを含む。
【0071】
本発明の方法および装置により汚染水から除去され得る生物学的汚染物質の例は、ウィルス、バクテリア、藻類、酵母、原生動物、酵素を含むが、これらに限定されない。
【0072】
有機、無機および/または生物学的汚染物質を水から除去するために知られているあらゆる媒体を、本発明の方法および装置で使用できることは認識されるであろう。方法の工程b)〜d)および装置のii)a)〜c)で使用される1つまたはそれ以上の媒体が、1つまたはそれ以上のカチオン性、アニオン性および中性/疎水性汚染物質を除去するのと同様に、それらが1つまたはそれ以上の有機、無機および/または生物学的汚染物質も除去し得る点で、多機能性であり得ることも認識されるであろう。
【0073】
本発明において発明者らは、界面活性剤を、生長および維持するための食物およびエネルギーに使用して破壊することが知られているバクテリアを媒体内に導入することは、界面活性剤を生分解し、そうして媒体をさらなる界面活性剤吸着のために再生できると考えている。バクテリアによる引き続きの作用の結果として、界面活性剤は、二酸化炭素、水および汚染物質ではないミネラル塩にまで、さらに分解される。そうして好ましい実施態様では、本発明の方法および装置の各媒体は、界面活性剤を水から除去した各媒体の再生機能のために、バクテリアを含有する。
【0074】
本発明の方法および装置で使用される活性媒体は、代替的または追加的に、既知の方法を使用する引き続きの処理により再生できる。例えばゼオライトを、塩化ナトリウム溶液中で洗浄でき、イオン交換樹脂(H+)を、酸または過酢酸溶液で洗浄でき、活性炭(炭素)およびアルミナを、吸着汚染物質を焼き払うために高温で熱することができ、アルミナを、既知の方法により酸/塩基で、追加的に処理できる。いくつかの活性媒体は、追加的または代替的に、逆洗により再生できる。
【0075】
活性媒体を含有する装置は、pH調整媒体、または水をpH調整剤と接触させるためのpH調整領域、並びに特異的なアニオン性、カチオン性および/または大表面積/多孔質/疎水性媒体、並びに任意に無機、有機および/または生物学的汚染物質を除去するための1つまたはそれ以上の媒体を有する、標準的な構成単位として存在してもよい。代わりに特異的なアニオン性、カチオン性、および/または大表面積/多孔質/疎水性媒体、並びに任意に無機、有機および/または生物学的汚染物質を除去するための1つまたはそれ以上の媒体だけを有する標準的な構成単位から離れて、水をpH調整してもよく、そうしてpH調整水は入口を経由してその単位に入る。
【0076】
本願の方法および装置は、処理プロセスの前または間に、水を貯蔵するための保持タンク、例えばサージ水溜めタンク;フロックを分離するための沈降タンク;および本発明により浄化された水を貯蔵するための再利用タンクをさらに含んでもよい。
【0077】
本発明の方法および装置の1つの実施態様において、アニオン界面活性剤は、カルボン酸塩として知られている石鹸類である。本発明者らは、pH調整剤/媒体による不安定化に加えて、そのようなアニオン界面活性剤は、カルシウムまたはマグネシウムの存在下でさらに不安定化され得ると考えている。発明者らは、カルシウムイオンの存在は、汚染水から、カルボン酸カルシウム形態でのカルボン酸塩の除去を促進することを見出した。発明者らは、カルボン酸塩の汚染物質を含有する水と、カルシウムイオンで汚染されたゼオライトとの接触は、引き続いてアルミナと接触すれば、水からのカルボン酸塩の除去を促進することを見出した。好ましくは、カルシウムイオンは、1つまたはそれ以上の活性媒体中に存在するか、または汚染水に添加される。例えばカルシウムイオンを、アニオン界面活性剤を除去する媒体の樹脂床中に組み込むことができる。代わりに水を、カルボン酸塩の除去媒体と接触させる前に、カルシウムイオンと接触させてもよい。
【0078】
第1側面の1つの実施態様において本発明は、1つまたはそれ以上の界面活性剤、および1つまたはそれ以上の界面活性剤で安定化された汚染物質を水から除去する方法に向けられており、該方法は、
a)約3〜7の範囲のpHを有するpH調整水を供給するために充分な時間で、水をカチオン性(H+)イオン交換樹脂と接触させること、
次いでpH調整水を、1つまたはそれ以上の下記活性吸着媒体と、即ち
b)アニオン性シリカと、水中に存在するカチオン界面活性剤の一部が該媒体に吸着され、水から除去されるような時間および条件下で、
c)カチオン性アルミナ媒体と、水中に存在するアニオン界面活性剤の一部が該媒体に吸着され、水から除去されるような時間および条件下で、
d)大表面積/多孔質/疎水性の活性炭媒体と、水中に存在する非イオン界面活性剤の一部が該媒体に吸着され、水から除去されるような時間および条件下で、
接触させること、
および任意に、pH調整水を、
e)無機汚染物質を除去するためにゼオライト媒体と接触させ、無機汚染物質の一部が該媒体に吸着され、水から除去されるような充分な時間および条件下で、pH調整水が媒体と接触すること
を含む。
【0079】
第1側面の別の実施態様において本発明は、1つまたはそれ以上の界面活性剤、および1つまたはそれ以上の界面活性剤で安定化された汚染物質を水から除去する方法に向けられており、該方法は、
a)約3〜7の範囲のpHを有するpH調整水を供給するために充分な時間で、水に酸を投与すること、次いでpH調整水を、1つまたはそれ以上の下記活性吸着媒体と、即ち
b)アニオン性シリカと、水中に存在するカチオン界面活性剤の一部が該媒体に吸着され、水から除去されるような時間および条件下で、
c)カチオン性アルミナ媒体と、水中に存在するアニオン界面活性剤の一部が該媒体に吸着され、水から除去されるような時間および条件下で、
d)大表面積/多孔質/疎水性の活性炭媒体と、水中に存在する非イオン界面活性剤の一部が該媒体に吸着され、水から除去されるような時間および条件下で、
接触させること、
任意に、pH調整水を、
e)無機汚染物質を除去するためにゼオライト媒体と接触させ、無機汚染物質の一部が該媒体に吸着され、水から除去されるような充分な時間および条件下で、pH調整水が媒体と接触すること
を含む。
【0080】
好ましくは活性炭、シリカおよびアルミナが、水中に存在する生物学的汚染物質の一部も除去する。
【0081】
好ましくは活性炭が、水中に存在する有機汚染物質の一部も除去する。
【0082】
本発明の第1側面による別の実施態様において、下記工程、即ち
i)灰色水を、フィルター、好ましくは微細なスチール製メッシュ、または約10〜100μmの範囲の孔径のスチール製焼結物に通すこと、
ii)灰色水を、セディメントフィルターに通すこと、
iii)約3〜7の範囲のpHを有するpH調整水を供給するために充分な時間または量で、灰色水と強カチオン性(H+)イオン交換樹脂とを接触させること、または灰色水に硫酸アルミニウムを投与することにより、pH調整水を供給すること、
ここで工程i)〜iii)は、あらゆる順序で行うことができる、
次いで、pH調整水を、下記媒体と、即ち
iv)シリカと、水中に存在するカチオン界面活性剤の一部を除去するために充分な時間で、
v)クライノタイロゼオライトと、アンモニアおよび無機汚染物質の一部を除去するために充分な時間で、
vi)銀を含浸させた活性炭と、非イオン界面活性剤、有機および微生物汚染物質、色素並びに臭気の一部を除去するために充分な時間で、
vii)酸化アルミニウム水和物と、アニオン界面活性剤および生物学的汚染物質の一部を除去するために充分な時間で、
接触させることを含む、家庭の灰色水の処理方法が提供される。
【0083】
本発明の第1側面による別の実施態様において、下記工程、即ち
i)灰色水を、フィルター、好ましくは微細なスチール製メッシュに通すこと、
ii)約3〜7の範囲のpHを有するpH調整水を供給するために充分な時間または量で、灰色水と強カチオン性(H+)イオン交換樹脂とを接触させること、または灰色水に硫酸アルミニウムを投与することにより、pH調整水を供給すること、
次いで、pH調整水を、下記媒体と、即ち
iii)シリカと、水中に存在するカチオン界面活性剤の一部を除去するために充分な時間で、次いで、
iv)活性炭と、非イオン界面活性剤、有機および微生物汚染物質、色素並びに臭気の一部を除去するために充分な時間で、次いで、
v)酸化アルミニウム水和物と、アニオン界面活性剤および生物学的汚染物質の一部を除去するために充分な時間で、次いで、
vi)クライノタイロゼオライトと、アンモニアおよび無機汚染物質の一部を除去するために充分な時間で、
接触させることを含む、家庭の灰色水の処理方法が提供される。
【0084】
本発明の第1側面による別の実施態様において、下記工程、即ち
i)灰色水を、フィルター、好ましくはスチール製メッシュフィルターに通すこと、
ii)水をシリカと、水中に存在するカチオン界面活性剤の一部を除去するために充分な時間で接触させること、
iii)次いで、約3〜7の範囲のpHを有するpH調整水を供給するために充分な時間または量で、灰色水と酸カチオン性(H+)イオン交換樹脂とを接触させること、または灰色水に硫酸アルミニウムを投与することにより、pH調整水を供給すること、
次いで、pH調整水を、下記媒体と、即ち
iv)活性炭と、非イオン界面活性剤、有機および微生物汚染物質、色素並びに臭気の一部を除去するために充分な時間で、次いで、
v)クライノタイロゼオライトと、アンモニアおよび無機汚染物質の一部を除去するために充分な時間で、次いで
vi)酸化アルミニウム水和物と、アニオン界面活性剤および生物学的汚染物質の一部を除去するために充分な時間で、
接触させることを含む、家庭の灰色水の処理方法が提供される。
【0085】
本発明の第1側面によるさらに別の実施態様において、下記工程、即ち
i)灰色水を、フィルター、好ましくはヘアおよびリントフィルターに通すこと、
ii)灰色水に硫酸アルミニウムを、好ましくは約1g/Lの比率で、約3〜7の範囲のpHを有するpH調整水を供給するために充分な量で投与すること、
次いで、pH調整水を、下記媒体と、即ち
iii)シリカフィルター、好ましくはバロチーニフィルターと、水中に存在するカチオン界面活性剤の一部を除去するために充分な時間で、
iv)銀を含浸させた活性炭媒体と、非イオン界面活性剤、有機および微生物汚染物質、色素並びに臭気の一部を除去するために充分な時間で、
v)ゼオライト媒体と、アンモニアおよび無機汚染物質の一部を除去するために充分な時間で、
vi)酸化アルミニウム水和物媒体と、アニオン界面活性剤および生物学的汚染物質の一部を除去するために充分な時間で、
接触させることを含む、家庭の灰色水の処理方法が提供される。
【0086】
上記方法は、庭園潅漑およびトイレでの再利用に適した基準に合う、家庭の灰色水の処理に適した媒体の異なる組合せ例である。浄水の最終pHを、これらの利用に許容できる範囲である6.5〜8.5に調整してもよい。
【0087】
第3側面の1つの実施態様において本発明は、1つまたはそれ以上のカチオン、アニオンおよび/または非イオン界面活性剤、並びに任意に1つまたはそれ以上の有機、無機および/または生物学的汚染物質を水から除去するための装置を提供し、該装置は、
a)タンク、パイプまたはカートリッジ形状のpH調整領域、ここでタンク、パイプまたはカートリッジ中の水は、pH調整剤/媒体と接触し、約3〜7の範囲のpHを有するpH調整水を形成する、
b)pH調整水が入口を経てカートリッジに入り、水とシリカとの接触で、水中に存在するカチオン性汚染物質の一部が該媒体に吸着され、水から除去されるような、入口および出口を有するシリカ含有カートリッジ、
c)pH調整水が入口を経てカートリッジに入り、水とゼオライトとの接触で、水中に存在する無機汚染物質およびアンモニアの一部が該媒体に吸着され、水から除去されるような、入口および出口を有するゼオライト含有カートリッジ、
d)pH調整水が入口を経てカートリッジに入り、水と活性炭との接触で、水中に存在する非イオン性、有機および微生物汚染物質の一部が該媒体に吸着され、水から除去されるような、入口および出口を有する活性炭含有カートリッジ、
e)pH調整水が入口を経てカートリッジに入り、水と酸化アルミニウムとの接触で、水中に存在するアニオン性および生物学的汚染物質の一部が該媒体に吸着され、水から除去されるような、入口および出口を有する酸化アルミニウム含有カートリッジ、および
f)水の直列流を、シリカ含有カートリッジから酸化アルミニウム含有カートリッジまで供給する接続手段
を含む。
【0088】
第3側面の別の実施態様において本発明は、1つまたはそれ以上のカチオン、アニオンおよび/または非イオン界面活性剤、並びに任意に1つまたはそれ以上の有機、無機および/または生物学的汚染物質を水から除去するための装置を提供し、該装置は、
a)タンクまたはパイプ形状のpH調整領域、ここでタンクまたはパイプ中の水は、硫酸アルミニウムと接触し、約3〜7の範囲のpHを有するpH調整水を形成する、
b)pH調整水とバロチーニガラスとの接触で、水中に存在するカチオン性汚染物質の一部が水から除去されるような、入口および出口を有するバロチーニガラスフィルター、次いで、
c)pH調整水が入口を経てカートリッジに入り、水と活性炭との接触で、水中に存在する非イオン性、有機および微生物汚染物質の一部が該媒体に吸着され、水から除去されるような、入口および出口を有する活性炭含有カートリッジ、次いで、
d)pH調整水が入口を経てカートリッジに入り、水とゼオライトとの接触で、水中に存在する無機汚染物質およびアンモニアの一部が該媒体に吸着され、水から除去されるような、入口および出口を有するゼオライト含有カートリッジ、次いで、
e)pH調整水が入口を経てカートリッジに入り、水と酸化アルミニウムとの接触で、水中に存在するアニオン性および生物学的汚染物質の一部が該媒体に吸着され、水から除去されるような、入口および出口を有する酸化アルミニウム含有カートリッジ、および
f)水の直列流を、バロチーニガラスフィルターから酸化アルミニウム含有カートリッジまで供給する接続手段
を含む。
【0089】
第3側面の別の実施態様において本発明は、汚染水を処理するための装置を提供し、該装置は、下記の一連の活性媒体、即ち
a)水が入口を経て第1カートリッジに入り、イオン交換媒体と接触して、約3〜7の範囲のpHを有するpH調整水を形成するような、入口および出口を有し、カチオン性(H+)イオン交換媒体を含有する第1カートリッジ、第1カートリッジの出口は、以下のものと接続している、
b)水が入口を経てカートリッジに入り、水とシリカとの接触で、水中に存在するカチオン性汚染物質の一部が該媒体に吸着され、水から除去されるような、入口および出口を有し、シリカを含有する第2カートリッジ、その出口はc)と接続している、
c)無機汚染物質およびアンモニアを除去するための、入口および出口を有し、ゼオライト媒体を含有する第3カートリッジ、その出口はd)と接続している、
d)水が入口を経てカートリッジに入り、水と活性炭との接触で、水中に存在する非イオン性、有機および微生物汚染物質の一部が該媒体に吸着され、水から除去されるような、入口および出口を有し、活性炭を含有する第4カートリッジ、その出口はe)と接続している
e)水が入口を経てカートリッジに入り、水と酸化アルミニウムとの接触で、水中に存在するアニオン性および生物学的汚染物質の一部が該媒体に吸着され、水から除去されるような、入口および出口を有し、pH調整水中で正電荷を有する酸化アルミニウムを含有する第5カートリッジ
を含む。
【0090】
装置は、コース(course)物質を除去するためのフィルター、好ましくは5μmのフィルター(例えばメッシュまたは焼結物)、および沈殿を除去するためのフィルター(例えば沈殿フィルター)をさらに含んでもよい。フィルターを含有する構成単位(例えばカートリッジ)は、入口および出口を有する。
【0091】
第3側面の好ましい実施態様において本発明は、1つまたはそれ以上のカチオン、アニオンおよび/または非イオン界面活性剤、並びに任意に1つまたはそれ以上の有機、無機および/または生物学的汚染物質を水から除去するための装置を提供し、該装置は、
a)水をろ過するためのコース(course)フィルター、好ましくはヘアおよびリントフィルター、これと接続した
b)水を保持するための保持タンク、好ましくはサージ水溜めタンク、これと接続した
c)沈降タンク、
d)保持タンクおよび沈降タンクの間にあり、水のpHを、pH調整剤、好ましくは硫酸アルミニウムで調整するためのpH調整領域、好ましくはパイプまたはタンク、ここで該沈降タンクと接続した
e)バロチーニフィルター、これと接続した
f)活性炭媒体、ゼオライト媒体およびアルミナ媒体を含み、各媒体は入口および出口を介して相互に接続されている混床活性吸着床フィルター、該混床フィルター床と接続した
g)水を貯蔵するための再利用タンク、および
h)水の直列または並列流を、a)からg)まで供給するための接続手段
を含む。
【0092】
好ましくは、pH調整剤は化学品貯蔵タンク内に貯蔵されており、好ましくはインラインパイプ注入により、pH調整領域に導入される。
【0093】
好ましくは沈降タンクの容量にあわせて、汚染水の浄化は、好ましくはバッチで行われる。より好ましくは、本発明の好ましい実施態様の装置は、汚染水バッチの浄化が完了した後に、好ましくは定期的に自浄するものである。
【0094】
本発明の装置および方法を、家庭および工業環境で使用することができる。家庭環境で使用する場合、浴室、台所および/または洗濯室からの灰色水を、本発明の装置で処理できる。本発明の方法は、シャワー、流し台、浴槽または洗濯の水、またはこれらのあらゆる組合せに適用できる。好ましくは、灰色水はサージタンクに配管され、次いで本発明の活性吸着ろ過装置を通ってポンプで汲み出される。水の使用目的に応じて、要求される基準を充分に満足する品質とするために、塩素処理によるような、さらなる処理を水は必要とし得る。従って本発明の装置は、さらなる浄化、例えば塩素処理を行うための構成単位、好ましくは持続放出カートリッジをさらに含んでもよい。代わりに、持続放出の塩素錠剤または塩素溶液を、方法のあらゆる段階で、好ましくは保持水が酸性化された後に、水に添加してもよい。次いで処理水を、再利用のために用意された液溜めに直接供給することができる。この水のpHは、再利用前に5.5〜8.5の範囲に維持し得る。処理水を、例えば地表潅漑のために庭園にポンプで汲み出してもよく、またはトイレタンクに戻してもよい。処理水を含有する液溜めを、水道タップ(top)および/または雨水により補充してもよい。
【0095】
本発明のいくつかの好ましい実施態様は、ここでは例としてのみ記載されている。
【0096】
発明の実施形態
図1は、商業洗濯排水または家庭の灰色水の処理に使用し得る典型的な活性吸着フィルター構成単位の図を示す。本発明の活性吸着フィルター構成単位は、それぞれ活性吸着媒体を含有する多数のカートリッジを含む。構成単位中のカートリッジの数は、要求される処理の程度に依存する。6つのカートリッジからなり、それぞれは次の連続する活性媒体、即ちi)プレフィルター、例えばスチール製メッシュ、ii)セディメントフィルター、iii)カチオン交換樹脂、iv)バロチーニ、v)ゼオライト、vi)活性炭、およびvii)アルミナを含有する標準的な活性ろ過構成単位は、平均的な家庭から生ずる灰色水を処理するために充分であると予想される。
【0097】
図1は、処理方法の連続する性質も示す。
【0098】
図2は、実験室システムで得られた濁度低減の典型的な結果を示す。
【0099】
図3は、本発明の装置における1つの実施態様の図を示す。
【0100】
図5(a)および(b)は、本発明の装置における別の実施態様の図を示す。
【実施例】
【0101】
材料および方法
実施例1
以下の実施例で使用した水は、商業洗濯から得られた。この灰色水の基本的特性および水中に存在するいくつかの汚染物質を以下に列挙する:
【0102】
【表1】

【0103】
私達は、約100mg/lの典型的なBOD5レベルおよび1リットルあたり106での大腸菌を見積もることができる。さらに私達は、バクテリア、原生動物、ウィルス、アニオン性、カチオン性および非イオン性洗剤、アンモニアおよびいくらかの残留塩素も予測した。いくらかの硝酸塩、硫酸塩およびリン酸塩も存在するであろう。
【0104】
この試料中にかなりの量の界面活性剤が存在することは、振ることで試料が多量に泡立つことにより示される。
【0105】
試料の濁度の高い値は、水が飲用または家庭状況での再利用に不適であることを示す。比較して、超純粋な蒸留水は約0.02の濁度の値を有し、飲料水は1〜5の濁度の値を有し、貯水は5〜10の濁度の値を有することは、注目に値する。
【0106】
この実施例において、汚染水は、本発明の方法の好ましい実施態様により、および好ましい実施態様の装置を使用して処理された。この点において、水は、微細なスチール製メッシュフィルターを通してろ過され、次いで以下の活性吸着媒体:i)カチオン性(H+)イオン交換樹脂(mmサイズのビーズ)、ii)ガラスバロチーニ形状のシリカ(粒度0.1mm)、iii)活性炭(粒度2〜3mm)、iv)酸化アルミニウム(粒度0.1mm)、v)クライノタイロゼオライト(サイズ2〜3mm)を含有するガラスクロマトグラフィーカラムに水を通過させた。実験室系で得られた流量は、約2.5cm2の断面積のカラムおよび約5〜10cmの媒体深さに対して非常に低い静水圧下(0.03bar未満)で、典型的に約0.05〜0.1リットル/分であった。
【0107】
基本的性質および一定の汚染物質の量を測定するために、処理水分析を行った。いくつかの典型的な結果を以下に記載する。
【0108】
【表2】

【0109】
この実施例では、ろ過の前または後のいずれにも水の塩素処理をしなかったので、私達はBODおよび大腸菌量を記録しなかった。
【0110】
泡立ちは、界面活性剤が水中に存在するか否かを判断するための容易な目安である。本発明者らは、上記実施例の処理水は、振っても泡立たないことを見出した。これは、未処理の灰色水と比べて、処理水中で界面活性剤量がかなり低減されたことを示す。さらに、水の濁度が5〜10に低下し、業務的な再利用および家庭状況における利用に現時点で適していることは注目されるであろう。
【0111】
図2は、各媒体を通過するにつれて、上記実施例の灰色水における濁度の低減を図で示しており、本発明の方法および装置の有効性を示す。
【0112】
実施例2−ミョウバン凝集
家庭の灰色水試料は、140NTUの初期濁度を有していた。この水を、スクリーニングメッシュフィルターを通してろ過した。これは、濁度を128に低減させた。この水は、8.8のpH値を有し、約0.9g/Lの全溶解含有量(total dissolved contents)を有していた。以下で図示する濁度の結果は、0.9g/Lの硫酸アルミニウム凝集剤(濃縮水溶液として添加)を添加した後に得られた。溶液から沈殿した密な白色フロック構造物は、溶液体積の10%未満であった。
【0113】
約6.5のpHを有する比較的澄んだ上澄み液を、フロック沈殿物からデカントし、次いで90〜150ミクロンのガラス球を含有する高さ4cmのバロチーニカラムを通して重力ろ過でろ過した。ろ過後の濁度の値は0.06であると求められ、これは純粋な蒸留水(0.02)に非常に近く、飲料水に要求されるもの(典型的に3〜5まで)よりもかなり良好である(図4参照)。
【0114】
他の同様の実験結果は、一般に、硫酸アルミニウム添加濃度は、灰色水中の全蒸発残留物に近いものであるべきことを示す。
【0115】
図5(a)および(b)の装置は、
i)埋められたコース(course)ヘアおよびリントフィルター(1)、パイプによりこれと接続した
ii)水を保持するためのサージ水溜めタンク(2)、パイプによりこれと接続した
iii)沈降タンク(3)、パイプによりこれと接続した
iv)バロチーニフィルター(4)、パイプによりこれと接続した
v)活性炭媒体、ゼオライト媒体およびアルミニウム媒体を含有する混床活性吸着フィルター(5)、該混床フィルター床とパイプにより接続した
vii)浄水を貯蔵するための再利用タンク(6)、および
viii)pH調整剤用の化学品貯蔵容器(7)
を示す。
【0116】
pH調整領域は、サージ水溜めタンク(2)および沈降タンク(3)の間にある。沈降タンク(3)への流入に、化学品貯蔵タンク(6)で収容されたpH調整剤、例えば硫酸アルミニウムが投与され、水のpHが調整される。化学品貯蔵タンク(6)は、pH調整剤をインライン注入によりpH調整領域に供給する。フロックは、沈降タンク(3)中で分離し、方法の最後で、出口を介して下水管に送られる。澄んだ水は、次いで、逆洗可能なバロチーニフィルター(4)を収容する構成単位にポンプ注入される。次いで水は、活性炭、ゼオライトおよびアルミナ媒体(例えばalox)からなる混床活性吸着フィルター(5)を収容する構成単位に通される。混合床フィルター(5)から水は、再利用タンク(6)(該方法の最終タンク)に通される。再利用タンク(6)上の圧力ポンプは、再利用のために、容易に水に接続できるようにする。例えばタンクは、庭園の散水システムまたは水槽に給水できる。追加工程として、約2〜10ppmの量で塩素を最終貯蔵(再利用)タンクに添加してもよい。
【0117】
バロチーニ媒体を、同じ粒度のガラスまたはシリカ粉末と置き換えてもよいことは認識されるであろう。
【0118】
広範に記載したような本発明の意図または範囲から外れることなく、具体的実施態様において示したような発明で、多くの変形および/または修正をなし得ることは、当業者に認識されるであろう。それゆえこの実施態様は、全ての点で、例証とみなされるべきであり、限定とみなされるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】図1は、商業洗濯の灰色水の処理に使用される本発明の実験室スケール装置の図を示す。
【図2】図2は、実験室の処理法から得られたいくつかの典型的な結果を示す。
【図3】図3は、パイロットスケールろ過システムの図を示す。
【図4】図4は、家庭の灰色水の濁度に対するミョウバン凝集剤の2時間での効果を示す。
【図5】図5(a)は、本発明の第3側面の好ましい実施態様を示す。図5(b)は、バロチーニフィルター、活性吸着フィルター床および化学品貯蔵タンクを含有する図5(a)のロッカーの拡大を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたはそれ以上のカチオン、アニオンおよび/または非イオン界面活性剤、並びに任意に1つまたはそれ以上の有機、無機および/または生物学的汚染物質を水から除去する方法であり、
a)水を、pH調整剤/媒体と、pH調整水を供給する時間および条件下で接触させること、
次いでpH調整水を、1つまたはそれ以上の下記活性吸着媒体と、即ち、
b)pH調整水中で負電荷を有する第1の媒体と、水中に存在するカチオン界面活性剤の一部が該媒体に吸着され、水から除去されるような時間および条件下で、
c)pH調整水中で正電荷を有する第2の媒体と、水中に存在するアニオン界面活性剤の一部が該媒体に吸着され、水から除去されるような時間および条件下で、
d)大表面積を有し、多孔質であり、pH調整水中で疎水性非荷電物質および/または疎水性荷電物質を吸着する第3の媒体と、水中に存在する非イオン界面活性剤の一部が該媒体に吸着され、水から除去されるような時間および条件下で、
接触させること、
および任意に、pH調整水を、1つまたはそれ以上の下記媒体と、即ち
e)有機汚染物質を除去するための1つまたはそれ以上の媒体と、水中に存在する有機汚染物質の一部が該媒体に吸着され、水から除去されるような時間および条件下で、
f)無機汚染物質を除去するための1つまたはそれ以上の媒体と、水中に存在する無機汚染物質の一部が該媒体に吸着され、水から除去されるような時間および条件下で、
g)生物学的汚染物質を除去するための1つまたはそれ以上の媒体と、水中に存在する生物学的汚染物質の一部が該媒体に吸着され、水から除去されるような時間および条件下で、
接触させることを含む方法。
【請求項2】
第1の活性吸着媒体がシリカを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第2の活性吸着媒体がアルミナを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
第3の活性吸着媒体が、活性炭、グラファイト、無煙炭またはこれらの混合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
活性吸着媒体が、粉末、顆粒、ペレット、球、ディスク、ウェーハ、螺旋形状またはこれらの混合形状である、請求項2〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
1つまたはそれ以上のカチオン、アニオンおよび/または非イオン界面活性剤、並びに任意に1つまたはそれ以上の有機、無機および/または生物学的汚染物質を水から除去するための装置であり、
i)水をpH調整剤/媒体と接触させて、pH調整水を供給するためのpH調整領域、
ii)1つまたはそれ以上の下記活性媒体、即ち、
a)カチオン界面活性剤を除去するための、pH調整水中で負電荷を有する媒体、
b)アニオン界面活性剤を除去するための、pH調整水中で正電荷を有する媒体、
c)非イオン界面活性剤を除去するための、大表面積を有し、多孔質であり、pH調整水中で疎水性非荷電物質および/または疎水性荷電物質を吸着する媒体、
および任意に、1つまたはそれ以上の下記活性媒体、即ち
d)水から有機汚染物質を吸着するための1つまたはそれ以上の媒体、
e)水から無機汚染物質を吸着するための1つまたはそれ以上の媒体、
f)水から生物学的汚染物質を吸着するための1つまたはそれ以上の媒体、
ここで上記活性媒体の1つが、pH調整水の入口を有する第1の活性媒体であり、上記活性媒体の1つが、水の出口を有する最後の活性媒体である、および
iii)水の直列流を、pH調整領域から最後の活性媒体まで供給する接続手段
を含む装置。
【請求項7】
1つまたはそれ以上のカチオン、アニオンおよび/または非イオン界面活性剤、並びに任意に1つまたはそれ以上の有機、無機および/または生物学的汚染物質を水から除去するための装置であり、
i)pH調整水の入口、
ii)1つまたはそれ以上の下記活性媒体、即ち、
a)カチオン界面活性剤を除去するための、pH調整水中で負電荷を有する媒体、
b)アニオン界面活性剤を除去するための、pH調整水中で正電荷を有する媒体、
c)非イオン界面活性剤を除去するための、大表面積を有し、多孔質であり、pH調整水中で疎水性非荷電物質および/または疎水性荷電物質を吸着する媒体、
および任意に、1つまたはそれ以上の下記活性媒体、即ち
d)水から有機汚染物質を吸着するための1つまたはそれ以上の媒体、
e)水から無機汚染物質を吸着するための1つまたはそれ以上の媒体、
f)水から生物学的汚染物質を吸着するための1つまたはそれ以上の媒体、
ここで上記活性媒体の1つが、pH調整水の入口を有する第1の活性媒体であり、上記活性媒体の1つが、水の出口を有する最後の活性媒体である、および
iii)水の直列および並列流を、第1の活性媒体から最後の活性媒体まで供給する接続手段
を含む装置。
【請求項8】
下記工程、即ち
i)灰色水(grey water)を、フィルター、好ましくは微細なスチール製メッシュ、または約10〜100μmの範囲の孔径のスチール製焼結物に通すこと、
ii)灰色水を、セディメント(sediment)フィルターに通すこと、
iii)灰色水に硫酸アルミニウムを、約3〜7の範囲のpHを有するpH調整水を供給するために充分な時間または量で投与することにより、pH調整水を供給すること、
ここで工程i)〜iii)は、あらゆる順序で行うことができる、
次いで、pH調整水を、下記媒体と、即ち
iv)シリカと、水中に存在するカチオン界面活性剤の一部を除去するために充分な時間で、
v)クライノタイロゼオライトと、アンモニアおよび無機汚染物質の一部を除去するために充分な時間で、
vi)銀を含浸させた活性炭と、非イオン界面活性剤、有機および微生物汚染物質、色素並びに臭気の一部を除去するために充分な時間で、
vii)酸化アルミニウム水和物と、アニオン界面活性剤および生物学的汚染物質の一部を除去するために充分な時間で、
接触させることを含む、灰色水の処理方法。
【請求項9】
1つまたはそれ以上の界面活性剤、および1つまたはそれ以上の界面活性剤で安定化された汚染物質を水から除去する方法であり、
a)約3〜7の範囲のpHを有するpH調整水を供給するために充分な時間で、水に酸を投与すること、次いでpH調整水を、1つまたはそれ以上の下記活性吸着媒体と、即ち
b)アニオン性シリカと、水中に存在するカチオン界面活性剤の一部が該媒体に吸着され、水から除去されるような時間および条件下で、
c)カチオン性アルミナ媒体と、水中に存在するアニオン界面活性剤の一部が該媒体に吸着され、水から除去されるような時間および条件下で、
d)大表面積/多孔質/疎水性の活性炭媒体と、水中に存在する非イオン界面活性剤の一部が該媒体に吸着され、水から除去されるような時間および条件下で、
接触させること、
任意に、pH調整水を、
e)無機汚染物質を除去するためにゼオライト媒体と接触させ、無機汚染物質の一部が該媒体に吸着され、水から除去されるような充分な時間および条件下で、pH調整水が媒体と接触すること
を含む方法。
【請求項10】
活性炭、シリカおよびアルミナが、水中に存在する生物学的汚染物質の一部も除去する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
活性炭が、水中に存在する有機汚染物質の一部を除去する、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
下記工程、即ち
i)灰色水を、フィルター、好ましくは微細なスチール製メッシュに通すこと、
ii)灰色水に硫酸アルミニウムを、約3〜7の範囲のpHを有するpH調整水を供給するために充分な時間または充分な量で投与することにより、pH調整水を供給すること、
次いで、pH調整水を、下記媒体と、即ち
iii)シリカと、水中に存在するカチオン界面活性剤の一部を除去するために充分な時間で、次いで、
iv)活性炭と、非イオン界面活性剤、有機および微生物汚染物質、色素並びに臭気の一部を除去するために充分な時間で、次いで、
v)酸化アルミニウム水和物と、アニオン界面活性剤および生物学的汚染物質の一部を除去するために充分な時間で、次いで、
vi)クライノタイロゼオライトと、アンモニアおよび無機汚染物質の一部を除去するために充分な時間で、
接触させることを含む、灰色水の処理方法。
【請求項13】
下記工程、即ち
i)灰色水を、フィルター、好ましくはスチール製メッシュフィルターに通すこと、
ii)水をシリカと、水中に存在するカチオン界面活性剤の一部を除去するために充分な時間で接触させること、
iii)次いで、灰色水に硫酸アルミニウムを、約3〜7の範囲のpHを有するpH調整水を供給するために充分な時間または量で投与することにより、pH調整水を供給すること、
次いで、pH調整水を、下記媒体と、即ち
iv)活性炭と、非イオン界面活性剤、有機および微生物汚染物質、色素並びに臭気の一部を除去するために充分な時間で、次いで、
v)クライノタイロゼオライトと、アンモニアおよび無機汚染物質の一部を除去するために充分な時間で、次いで
vi)酸化アルミニウム水和物と、アニオン界面活性剤および生物学的汚染物質の一部を除去するために充分な時間で、
接触させることを含む、灰色水の処理方法。
【請求項14】
下記工程、即ち
i)灰色水を、フィルター、好ましくはヘアおよびリント(hair and lint)フィルターに通すこと、
ii)灰色水に硫酸アルミニウムを、好ましくは約1g/Lの比率で、約3〜7の範囲のpHを有するpH調整水を供給するために充分な量で投与すること、
次いで、pH調整水を、下記媒体と、即ち
iii)シリカフィルター、好ましくはバロチーニフィルターと、水中に存在するカチオン界面活性剤の一部を除去するために充分な時間で、
iv)銀を含浸させた活性炭媒体と、非イオン界面活性剤、有機および微生物汚染物質、色素並びに臭気の一部を除去するために充分な時間で、
v)ゼオライト媒体と、アンモニアおよび無機汚染物質の一部を除去するために充分な時間で、
vi)酸化アルミニウム水和物媒体と、アニオン界面活性剤および生物学的汚染物質の一部を除去するために充分な時間で、
接触させることを含む、灰色水の処理方法。
【請求項15】
1つまたはそれ以上のカチオン、アニオンおよび/または非イオン界面活性剤、並びに任意に1つまたはそれ以上の有機、無機および/または生物学的汚染物質を水から除去するための装置であり、
a)タンク、パイプまたはカートリッジ形状のpH調整領域、ここでタンク、パイプまたはカートリッジ中の水は、pH調整剤/媒体と接触し、約3〜7の範囲のpHを有するpH調整水を形成する、
b)pH調整水が入口を経てカートリッジに入り、水とシリカとの接触で、水中に存在するカチオン性汚染物質の一部が該媒体に吸着され、水から除去されるような、入口および出口を有するシリカ含有カートリッジ、
c)pH調整水が入口を経てカートリッジに入り、水とゼオライトとの接触で、水中に存在する無機汚染物質およびアンモニアの一部が該媒体に吸着され、水から除去されるような、入口および出口を有するゼオライト含有カートリッジ、
d)pH調整水が入口を経てカートリッジに入り、水と活性炭との接触で、水中に存在する非イオン性、有機および微生物汚染物質の一部が該媒体に吸着され、水から除去されるような、入口および出口を有する活性炭含有カートリッジ、
e)pH調整水が入口を経てカートリッジに入り、水と酸化アルミニウムとの接触で、水中に存在するアニオン性および生物学的汚染物質の一部が該媒体に吸着され、水から除去されるような、入口および出口を有する酸化アルミニウム含有カートリッジ、および
f)水の直列流を、シリカ含有カートリッジから酸化アルミニウム含有カートリッジまで供給する接続手段
を含む装置。
【請求項16】
1つまたはそれ以上のカチオン、アニオンおよび/または非イオン界面活性剤、並びに任意に1つまたはそれ以上の有機、無機および/または生物学的汚染物質を水から除去するための装置であり、
a)タンクまたはパイプ形状のpH調整領域、ここでタンクまたはパイプ中の水は、硫酸アルミニウムと接触し、約3〜7の範囲のpHを有するpH調整水を形成する、
b)pH調整水とバロチーニガラスとの接触で、水中に存在するカチオン性汚染物質の一部が水から除去されるような、入口および出口を有するバロチーニガラスフィルター、次いで、
c)pH調整水が入口を経てカートリッジに入り、水と活性炭との接触で、水中に存在する非イオン性、有機および微生物汚染物質の一部が該媒体に吸着され、水から除去されるような、入口および出口を有する活性炭含有カートリッジ、次いで、
d)pH調整水が入口を経てカートリッジに入り、水とゼオライトとの接触で、水中に存在する無機汚染物質およびアンモニアの一部が該媒体に吸着され、水から除去されるような、入口および出口を有するゼオライト含有カートリッジ、次いで、
e)pH調整水が入口を経てカートリッジに入り、水と酸化アルミニウムとの接触で、水中に存在するアニオン性および生物学的汚染物質の一部が該媒体に吸着され、水から除去されるような、入口および出口を有する酸化アルミニウム含有カートリッジ、および
f)水の直列流を、バロチーニガラスフィルターから酸化アルミニウム含有カートリッジまで供給する接続手段
を含む装置。
【請求項17】
1つまたはそれ以上のカチオン、アニオンおよび/または非イオン界面活性剤、並びに任意に1つまたはそれ以上の有機、無機および/または生物学的汚染物質を水から除去するための装置であり、
a)水をろ過するためのコース(course)フィルター、好ましくはヘアおよびリントフィルター、これと接続した
b)水を保持するための保持タンク、好ましくはサージ水溜めタンク、これと接続した
c)沈降タンク、
d)保持タンクおよび沈降タンクの間にあり、水のpHをpH調整剤で調整するためのpH調整領域、好ましくはパイプまたはタンク、ここで該沈降タンクと接続した
e)バロチーニフィルター、これと接続した
f)活性炭媒体、ゼオライト媒体およびアルミナ媒体を含み、各媒体は入口および出口を介して相互に接続されている混床活性吸着床フィルター、該混床フィルター床と接続した
g)水を貯蔵するための再利用タンク、および
h)水の直列または並列流を、a)からg)まで供給するための接続手段
を含む装置。
【請求項18】
pH調整剤が、化学品貯蔵タンク内に貯蔵されており、インラインパイプ注入によりpH調整領域に導入される、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
pH調整剤/媒体が、1つまたはそれ以上の酸、1つまたはそれ以上の加水分解性の塩、イオン交換媒体、またはこれらの組合せから選ばれる、請求項1〜6または17のいずれか一項に記載の方法または装置。
【請求項20】
pH調整剤/媒体が、塩化アルミニウム、塩化第二鉄、硝酸第二鉄、またはAl2(SO43若しくはKAl(SO42・12H2Oの形態のミョウバンである、請求項19に記載の方法または装置。
【請求項21】
pH調整剤/媒体が水のpHを3〜7に調整する、請求項19に記載の方法または装置。
【請求項22】
pH調整剤/媒体が、凝集剤として、粒状汚染物質を除去するためにも作用する、請求項21に記載の方法または装置。
【請求項23】
処理される水が灰色水である、請求項1〜7、9〜11または15〜18のいずれか一項に記載の方法または装置。
【請求項24】
灰色水が業務灰色水である、請求項23に記載の方法または装置。
【請求項25】
灰色水が家庭の灰色水である、請求項23に記載の方法または装置。
【請求項26】
灰色水が、浴室、台所、洗濯室またはこれらの組合せからのものである、請求項8、12〜14または24〜25のいずれか一項に記載の方法または装置。
【請求項27】
pH調整剤/媒体が、1つまたはそれ以上の酸、1つまたはそれ以上の加水分解性の塩、イオン交換媒体、またはこれらの組合せから選ばれる、請求項15に記載の装置。
【請求項28】
pH調整剤/媒体が、塩化アルミニウム、塩化第二鉄、硝酸第二鉄、またはAl2(SO43若しくはKAl(SO42・12H2Oの形態のミョウバンである、請求項27に記載の方法または装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5(a)】
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【図5(b)】
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【公表番号】特表2007−533439(P2007−533439A)
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−508673(P2007−508673)
【出願日】平成17年4月22日(2005.4.22)
【国際出願番号】PCT/AU2005/000568
【国際公開番号】WO2005/102937
【国際公開日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【出願人】(506351916)パーペチュアル ウォーター ピーティーワイ リミテッド (1)
【Fターム(参考)】