説明

水中掘削装置

【課題】水中掘削機を使用しても周囲の水を汚染させることがない水中掘削装置を提供する。
【解決手段】水中掘削装置は、水中掘削機1と、同水中掘削機1に駆動用の空気を供給するエアコンプレッサー2と、水中掘削機にて使用された空気を排出する吸引ポンプ3を備えている。エアコンプレッサー2にて圧縮された空気は送気ホース21を介して水中掘削機1へと送られ、工具5の駆動に使用される。水中掘削機1は掘削機本体を覆うカバー6を供えており、このカバー6には排出ホース31が連結され、排出ホースは吸引ポンプ3に連結されている。駆動機構を駆動させ掘削機本体から排出された空気はカバー6内部に放出されるが、カバー6に連通する排出ホース31を介して水面上へと吸引される。また、排出ホース31からは空気のみならずカバー6内に浸入した水も吸引される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮空気を使用して工具を駆動させ、削孔又は削岩を行う水中掘削装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より貯水池や貯水槽或いは海などの水中にて削岩や削孔等の作業を行うための装置として水中削岩装置や水中削孔装置(以下、まとめて「水中掘削装置」という。)が知られている。この水中掘削装置は、水中にて工具を往復動させて水中の岩石やコンクリート等を掘削し或いは穿孔を行う水中掘削機とこれを駆動させるための圧縮空気を送るエアコンプレッサー及び送気ホースを備えている。
【0003】
また、水圧により排気が阻害されることを防止するために水中掘削機の排出口に排気ホースを装着し、工具の駆動に使用された空気を排気ホースによって水面上に排出することにより一定水深以下での水中掘削機の使用を可能にしている(特許文献1)。
【特許文献1】実開昭61−166784号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、水中掘削機の駆動に使用された空気は主として水中掘削機の排出口から排気されるものの、一部の空気は工具取付部分からも排気される。この排気が水中に放出されることにより作業領域の水中に対流が生じ、沈殿物が巻き上げられることに起因して水が汚染され、また視界が妨げられるという事態が起こり得る。
【0005】
また、水中掘削装置のうち水中で使用される掘削機(いわゆるハンマー、ドリル)は、金属製の部材が摺動、摺接を繰り返しているため、動作部分には潤滑用及び錆止を目的とした油が塗布されており、水中掘削機の使用時にはこの油が水中に分散し水を汚染することがある。
【0006】
特に、飲料用の水が貯蔵されている貯水槽内等で作業を行う場合にはこの油による汚染が問題となるため、水中掘削機を貯水槽内で使用する場合には水密機構を備えた水中掘削機を使用するか、或いは水中掘削機を一旦分解し表面や内部の油をふき取ることにより水中で使用しても水が油により汚染されないよう配慮を配っていた。
【0007】
本発明は、周囲の水を排気による対流や油によって汚染させることのない水中掘削装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、水中掘削機と、同水中掘削機に駆動用気体を供給する気体供給装置とを備えた水中掘削装置において、前記水中掘削機の駆動機構が収納される掘削機本体を覆うカバーを供え、同カバーにカバー内の流体を吸引する吸引装置を接続したことを特徴とする。駆動機構が収容される掘削機本体はカバーに覆われており、かつカバー内に浸入・排出された流体は吸引装置によって吸引される。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記カバーは複数のカバー部材から構成され、同複数のカバー部材に形成された接合面同士を重ね合わせて接合した状態では内部に掘削機本体を収納可能となり、カバー部材を分割した状態では掘削機本体をカバーから取り外し可能となるように、カバーは掘削機本体に対して着脱自在であることを特徴とする。カバーが複数のカバー部材によって構成されているため、水中掘削機のカバー着脱を容易とすることができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、前記カバーは、カバーと掘削機本体との間に空間が形成される大きさであることを特徴とする。カバー内部に排出された気体は掘削機本体とカバーとの間の空間に蓄積されるため、オーバーフローによりカバー外部に排出されにくくなる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、前記吸引装置はカバー内に排出された気体及びカバー内に存在する液体の双方を吸引することを特徴とする。気体とともに液体も吸引することができるため、カバー内に浸入した水等も吸引回収することができる。
【0012】
請求項5に記載の発明は、前記吸引装置は、前記気体供給装置から水中掘削機への送気容量よりも大きな吸引容量を有していることを特徴とする。これにより吸引装置は水中掘削機に使用された気体の全量とともにカバー内に浸入した液体も吸引することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、水中掘削機からの排気や油等により周囲の水を汚染させることがない水中掘削装置とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を具体化した水中掘削装置の一実施形態を図1〜図4にしたがって説明する。
本実施形態の水中掘削装置は、主として水中掘削機1と、水面上に配置され水中掘削機1に駆動用気体としての圧縮空気を供給する気体供給装置としてのエアコンプレッサー2と、同様に水面上に配置され水中掘削機1から排出された空気や浸入した液体としての水を回収する流体吸引装置としての吸引ポンプ3とから構成される(図1)。
【0015】
水中掘削機1は水中にて穿孔や削岩等の掘削作業を行うものであり、図2に示すように水中掘削機1は掘削機本体4とその先端に装着される工具5とを備えており、略全体が掘削機用カバー6(以下、単に「カバー」という。)で覆われている。掘削機本体4にはその基端側(図中上側)に把持部7とその両端に形成された円柱形の支持部8とからなるハンドル9が取り付けられており、作業時には作業者Oはハンドル9の把持部7を把持して水中掘削機1を固定し、掘削作業等を行う。また、ハンドル9の側部には水中掘削機1の動作スイッチ(図示略)が配置されており、操作者はハンドル9を把持した状態で動作スイッチの入り切りが可能である。
【0016】
掘削機本体4の側面にはエア導入口10とエア排出口11とが形成されており、エア導入口10には送気ホース21が接続されている。この送気ホース21は陸上或いは船上等の水面上に設置された気体供給装置としてのエアコンプレッサー2に接続されており、エアコンプレッサー2にて圧縮された空気は送気ホース21を通してエア導入口10から掘削機本体4の内部へと導入される。
【0017】
掘削機本体4の内部には図示しない駆動機構が設けられており、この駆動機構はエアコンプレッサー2から送られてきた圧縮空気によって駆動する。また、掘削機本体4の先端に係止フック12を介して装着されている工具5は駆動機構に直接連結されており、駆動機構が駆動すると掘削機本体4に対して工具5がその軸線方向に往復動する。したがって、水中掘削機1ではこの駆動機構及び駆動機構と工具5との連結部分が駆動部となり、機械要素同士が摺動、摺接する部位でもあるため潤滑油が使用されている。この駆動機構の駆動に使用された空気の大部分はエア排出口11から掘削機本体4の外へと排出されるが、空気の一部は例えば掘削機本体4と工具5との連結部分などエア排出口11以外の箇所からも排出される。
【0018】
カバー6は水中掘削機1の大部分を覆う構造であり、カバー6で水中掘削機1を覆った状態では図2及び図3に示すようにカバー6の外部には水中掘削機1のハンドル9、工具5及び送気ホース21のそれぞれ一部が露出されているだけである(図3では送気ホース21の図示を略している)。すなわち、駆動機構を含む掘削機本体4の全体がカバー6によって覆われている。このカバー6は樹脂製で中空状に形成されており、カバー6の内周面と掘削機本体4の胴回りとの間には空間Sが形成されている。したがって、カバー6は掘削機本体4の周囲に空間Sを介在させた状態で掘削機本体4を収納するような大きさに形成されている。
【0019】
また、図4(a)および図4(b)に示すように、カバー6はハンドル9の把持部7の延設方向に沿って中心から2分割可能な第一カバー部材13と第二カバー部材14の2つの部材から構成されており、第一カバー部材13に第二カバー部材14を向かい合わせて組み付けることによりカバー6内部に掘削機本体4の収納空間が形成される。第一カバー部材13の周縁部に形成されている接合面13aは対向する第二カバー部材14に形成される接合面14aに面接触することができるように一定の幅にて形成されており、かつ各接合面13a、14aには弾性力に富むゴム等のパッキン13b、14bが全周に亘って取着されている。また、第一カバー部材13の接合面13aの複数箇所(本実施形態では6箇所)にはネジ孔13cが形成され、そのネジ孔13cにはそれぞれ蝶ネジ15が接合面13aに対して進退可能に螺合されている。
【0020】
第二カバー部材14には対向する第一カバー部材13のネジ孔13cに対応する位置にU字溝14cが形成されている。第一カバー部材13の接合面13aと第二カバー部材14の接合面14aとを重ね合わせたときにU字溝14cを通してネジ孔13cが見える位置が両者の適正な位置である。また、U字溝14cの上からネジ孔13cに蝶ネジ15を螺合させると互いの接合面13a、14a同士がパッキン13b、14bを介して圧迫され水密状態となり、接合面13a、14aからの水の流入が防止される。一方、水中掘削機1はハンドル9、工具5及び送気ホース21の一部がカバー6の外部に露出した形で配置されるため、第一カバー部材13及び第二カバー部材14にはこれらをカバー6の外部に導出させるための開口がそれぞれ形成されている。
【0021】
第一カバー部材13と第二カバー部材14の基端側の接合面13a、14aにはハンドル9の支持部8に対応した2箇所に支持部8に対応した大きさの半円形の湾曲部13d、14dがそれぞれ形成されており、この湾曲部13d、14dを重ね合わせると円形のハンドル用開口部16が形成される。また、同様に第一カバー部材13と第二カバー部材14の側面の接合面13a、14aには送気ホース21に対応した位置に送気ホース21の径に対応した半円形の湾曲部13e、14eが形成されており、重ね合わせると円形の送気ホース用開口部17となる。さらに、第一カバー部材13と第二カバー部材14の先端側の接合面13a、14aには工具5に対応した位置に工具5の径よりすこし大きめの半円形の湾曲部13f、14fが形成されており、これらを重ね合わせると円形の工具用開口部18が形成される。
【0022】
それぞれの湾曲部13d、14d等にはその内周面に沿ってパッキン13b、14bが取着されており、このパッキン13b、14bにより水中掘削機1のうちカバー6の外部に露出する部分とカバー6との間が閉止される。また、工具5の大きさが複数あることと工具5が掘削機本体4に対して往復動することから工具用開口部18の径は大きめに形成されており、かつ工具用開口部18の内周面には湾曲部13e、14eの内側に向けて大きく突出したパッキン(図示略)が配置されている。このパッキンは水中掘削機1の動作中は往復動する工具5に摺接することになるため摩擦に強い部材にて形成されている。なお、この工具用開口部18におけるパッキンによる閉止は厳密なものではなく、工具用開口部18からカバー6の内部へ水が流入してもよい。
【0023】
第一カバー部材13の先端側には同第一カバー部材13を貫通する取付孔19が形成されており、この取付孔19には排出ホース31を着脱自在に接続することができる。また、排出ホース31は水面上に到達することができる長さを有しており、先端の吐出口(図示略)は吸引装置としての吸引ポンプ3に接続されている。吸引ポンプ3は排出ホース31に連結されて排出ホース31内を負圧にすることによって排出ホース31が連通されているカバー6の内部に存在する空気及び水の吸引を行うものである。
【0024】
このように水と空気とを共に吸引することができる吸引ポンプ3には自吸式ポンプがあり、この自吸式ポンプとして、例えば三相電機株式会社製の自吸式ヒューガルポンプ(PSPZシリーズ)がある。なお、同ヒューガルポンプは吸引容量の異なる複数機種が存在しており、本実施形態の吸引ポンプ3に要求される性能として、水中掘削機1に送気された空気を全量回収することができ、かつカバー6の内部に浸入した水もあわせて吸引することができる吸引容量を有することが必要である。このため、本実施形態にて用いる吸引ポンプ3の吸引容量は、エアコンプレッサー2の送気容量よりも大きな容量を有していることが好ましい。
【0025】
水面上には、吸引ポンプ3に隣接してタンク32が備えられており、排出ホース31の吐出口がこのタンク32の内部に接続されている。このため、吸引ポンプ3が排出ホース31を通してカバー6内部の空気と水を吸引した場合、空気は排出ホース31の吐出口から吐出されてもタンク32中には回収されずに大気中に放出されてしまうが、水は吐出された後にタンク32内に回収される。
【0026】
次に、上記構成の水中用掘削装置の具体的使用方法について説明する。
水面上の船40にはエアコンプレッサー2と、吸引ポンプ3とが設置されている。エアコンプレッサー2には既に送気ホース21が接続されており、送気ホース21の他端は水中掘削機1のエア導入口10に接続されている。一方、吸引ポンプ3にも既に排出ホース31が接続されているが排出ホース31の他端はまだ接続された状態ではない。
【0027】
まず、船40上で、第一カバー部材13の接合面13aを上に向けて載置しその上に水中掘削機1を配置する。接合面13aに形成されている湾曲部13d、13e、13fにそれぞれハンドル9の支持部8、送気ホース21、工具5を位置決めし、その上から第二カバー部材14を向かい合わせて対向する接合面13a、14a同士を重ね合わせる。第二カバー部材14に形成されているU字溝14cを第一カバー部材13に形成されているネジ孔13cに位置決めし、このU字溝14cの上からネジ孔13cに蝶ネジ15を螺合させて締め付けることにより第一カバー部材13と第二カバー部材14の接合面13a、14aは水密状態で密着する。またカバー6に対してハンドル9、送気ホース21、工具5が嵌合される形で位置決めされて固定される。そして、第一カバー部材13に形成されている取付孔19に排出ホース31を取り付けて準備作業が完了する。
【0028】
船40上から水中に降ろす際には、水中掘削機1の工具5が下向きとなるように降ろし、そのまま掘削箇所Bへと移動させる。掘削箇所Bでの掘削に先だって船40上のエアコンプレッサー2の動作を開始させ、また吸引ポンプ3の動作を開始させる。作業者Oはハンドル9を把持したままで動作スイッチを入れると送気ホース21を通じて送られてきた圧縮空気により駆動機構が駆動し、同時に工具5の往復動も開始される。これにより作業者Oは掘削箇所Bにおける掘削作業を行うことができる。
【0029】
エアコンプレッサー2から送気ホース21を通じて水中掘削機1に送られた空気は駆動機構の駆動力として使用された後にエア排出口11から掘削機本体4の外部へと放出され、また一部の空気は掘削機本体4と工具5との連結部分付近からも放出される。ここで、掘削機本体4はカバー6に覆われているため、空気はカバー6に覆われた内部に放出されカバー6内部に留まることになる。また、カバー6に形成された取付孔19には排出ホース31が連通しており、排出ホース31には吸引ポンプ3が接続されてカバー6内の流体を吸引している。このため、掘削機本体4から放出された空気は排出ホース31を通って船40上へと吸引され、吐出口から大気中に開放される。
【0030】
工具5が露出しているカバー6の工具用開口部18は下向きの開口であるため、カバー6の内部の気圧とカバー6の外部の水圧とが釣り合っている限り工具用開口部18から水がカバー6内部に浸入してくることはない。しかし、カバー6内部では掘削機本体4にて使用された空気がエア排出口11からカバー6内に放出されるとともにカバー6内からの排出ホース31からの吸引が行われている。このため、カバー6内部の気圧の変動が生じることがあり、また工具5は往復動をするためその動きや振動によって工具用開口部18からカバー6内に水が浸入してくることがある。しかし、カバー6内に浸入した水は吸引ポンプ3によって空気とともに排出ホース31を通じて船40上に吸引されタンク内に回収されるため、カバー6内部に浸入した水が掘削機本体4の駆動機構にて使用されている潤滑油等によって汚染されてもカバー6外部へ戻ることがない。
【0031】
上記実施形態の水中掘削装置によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、水中掘削機1を覆うカバー6を設けた上で水中掘削機1から放出された空気はカバー6内部に留め、排出ホース31によって回収している。したがって、カバー6の外部に空気が排出されることがなく、掘削箇所Bにおいて排気による水の対流が生じない。
【0032】
(2)吸引ポンプ3を使ってカバー6内部に放出された空気のみならずカバー6内に浸入した水も吸引する。このため、例えば工具用開口部18からカバー6内に浸入した水が掘削機本体4に使用されている潤滑油等に接触して汚染された場合であっても、その水がカバー6外へ流出することはない。
【0033】
(3)吸引ポンプ3の吸引容量はエアコンプレッサー2の圧縮空気の送気容量よりも大きく設定することによりエアコンプレッサー2により水中掘削機1に送った空気の全量を回収することができ、かつカバー6内に浸入した水もあわせて吸引することが可能である。また、吸引ポンプ3によって吸引した水はタンク32内に回収されるため、汚染された水の処理が容易となる。
【0034】
(4)カバー6は中心から2分割可能な第一カバー部材13と第二カバー部材14とから形成されており、互いの接合面13a、14aにはパッキン13b、14bが取着されている。したがって、接合面13a、14a同士を重ね合わせた場合には水密状態となり、接合面13a、14aからの水の浸入を防ぐことができる。
【0035】
(5)第一カバー部材13と第二カバー部材14には、カバー6の外部に露出するハンドル9の支持部8、送気ホース21、工具5を嵌合させるための湾曲部13d、13e、13f、14d、14e、14fが形成されており、かつその内周面にはパッキン13b、14bが取着されている。このため、水中掘削機1がカバー6外部に露出する部材を有していても水の浸入を防ぐことができる。
【0036】
(6)第一カバー部材13に形成されている湾曲部13d等にハンドル9の支持部8等を嵌合させて、第二カバー部材14を重ね合わせる構造としている。このため、カバー6を水中掘削機1に装着させるときに両者の位置決めも併せて可能となる。
【0037】
(7)排出ホース31はカバー6の先端に形成された取付孔19を介してカバー6内に連通している。一方、カバー6の内部に水が浸入する場合は工具用開口部18からが多く、またそれ以外の箇所から浸入した場合でも水は自重によりカバー6の下方に移動する。このため、浸入箇所にかかわらずカバー6内に浸入した水をカバー内部に滞留させずに回収することができる。
【0038】
(8)カバー6は掘削機本体4の駆動機構を覆う形態に形成されている。このため、水中掘削機1の駆動時にエア排出口11以外から排出される空気についてもすべてカバー6内に回収され、カバー6外部の水中に漏れることがない。また、これら駆動部に使用されている潤滑油等も同様にカバー6外部に漏れることがない。
【0039】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ カバー6内にほとんど水が浸入しないような状況ではエアコンプレッサー2の送気容量と吸引ポンプ3の吸引容量とが同容量でもよい。
【0040】
○ 吸引ポンプ3は、カバー6内に存在する空気とともにカバー6内に浸入した水を吸引することとしているが、空気の吸引と水の吸引とを別個に吸引してもよい。例えば吸引ポンプを2台使用し、或いは排出ホース31を空気用と水用の2本使用してもよい。
【0041】
○ カバー6と掘削機本体4との間には空間Sが形成されているが、この空間Sは空気や水が存在し得るものであればよく物理な構成の存在を排除するものではない。例えば通気性や通水性に優れたスポンジ等の多孔材料が掘削機本体4とカバー6との間に配置されているような場合でも多孔材料内には空間Sが形成されているため掘削機本体4とカバー6との間には空間Sが形成されることとなる。
【0042】
○ カバー6を第一カバー部材13と第二カバー部材14とから構成したが、これに限られず一体に形成したカバーとしても3つ以上の部材から構成してもよい。また、カバー部材の分割方向も上記実施形態に限られない。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本実施形態に係る水中掘削装置の使用状態の説明図
【図2】本実施形態に係るカバーで覆われた水中掘削機の正面図
【図3】本実施形態に係るカバーで覆われた水中掘削機の側面図
【図4】本実施形態に係るカバーの展開図、(a)は第一カバー部材(b)は第二カバー部材。
【符号の説明】
【0044】
1・・水中掘削機、2・・エアコンプレッサー、3・・吸引ポンプ、4・・掘削機本体、5・・工具、6・・カバー、9・・ハンドル、10・・エア導入口、11・・エア排出口、13・・第一カバー部材、13a・・(第一カバー部材の)接合面、14・・第二カバー部材、14a・・(第二カバー部材の)接合面、21・・送気ホース、31・・排出ホース、S・・空間、B・・掘削箇所。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中掘削機と、同水中掘削機に駆動用気体を供給する気体供給装置とを備えた水中掘削装置において、
前記水中掘削機の駆動機構が収納される掘削機本体を覆うカバーを供え、同カバーにカバー内の流体を吸引する吸引装置を接続したことを特徴とする水中掘削装置。
【請求項2】
前記カバーは複数のカバー部材から構成され、同複数のカバー部材に形成された接合面同士を重ね合わせて接合した状態では内部に掘削機本体を収納可能となり、カバー部材を分割した状態では掘削機本体をカバーから取り外し可能となるように、カバーは掘削機本体に対して着脱自在であることを特徴とする請求項1に記載の水中掘削装置。
【請求項3】
前記カバーは、カバーと掘削機本体との間に空間が形成される大きさであることを特徴とする請求項1又は2に記載の水中掘削装置。
【請求項4】
前記吸引装置はカバー内に排出された気体及びカバー内に存在する液体の双方を吸引することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の水中掘削装置。
【請求項5】
前記吸引装置は、前記気体供給装置から水中掘削機への送気容量よりも大きな吸引容量を有していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の水中掘削装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−296315(P2008−296315A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−143522(P2007−143522)
【出願日】平成19年5月30日(2007.5.30)
【出願人】(000111395)ノダック株式会社 (2)
【Fターム(参考)】