説明

水処理システム

【課題】逆浸透膜装置の運転における回収率を向上することができるとともに、シリカの除去性能を容易に回復することができる水処理システムを提供すること。
【解決手段】水処理システム1は、透過水W10及び濃縮水W20を製造する逆浸透膜モジュール11、逆浸透膜モジュール11に接続された濃縮水ラインL20、濃縮水W20の一部を系外へ排水する排水ラインL25、濃縮水W20の残部を逆浸透膜モジュール11の原水W1側へ還流するRO濃縮水シリカ除去ラインL30を備える逆浸透膜装置10と、RO濃縮水シリカ除去ラインL30の上流位置に設けられ、金属水酸化物を生成する金属水酸化物生成装置20と、RO濃縮水シリカ除去ラインL30の下流位置に設けられ、濃縮水W20に含まれるシリカと金属水酸化物生成装置20により生成された金属水酸化物との凝集物を濾過処理する濾過装置30とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原水に各種水処理を行う水処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、逆浸透膜装置においては、一般的に、逆浸透膜の膜面の閉塞防止の観点から、膜モジュール内における原水の流速を一定値以上に維持して運転するクロスフロー方式が採用されている。このクロスフロー方式を採用する逆浸透膜装置は、膜分離処理により透過水及び濃縮水を製造し、この濃縮水の一部を排水し、残部を循環しながら運転する。
【0003】
また、この逆浸透膜装置は、回収率(回収率[%]=透過水流量/(透過水流量+排水流量)×100)を設定して運転する。
回収率の設定について非特許文献1には、膜分離処理する水のシリカ濃度がシリカの溶解度を超えると膜面にシリカが析出するので、シリカが析出しない範囲で回収率を設定する旨が記載されている。
【0004】
この回収率は、膜分離処理により製造する透過水の割合が大きい程高くなる。
一方、回収率を高く設定すると排水の割合が低くなる。また、原水に溶解していたシリカの濃度は、排水の割合が低くなると、濃縮水において高くなる。その結果、仮に、膜モジュール内において、シリカ濃度が溶解度を超えると、シリカが膜面に析出し、逆浸透膜装置の運転の障害となる。
【0005】
よって、非特許文献1の記載のように、シリカの析出を考慮した回収率で逆浸透膜装置を運転した場合には、シリカの濃度が溶解度を超えることがないので、逆浸透膜装置の運転は安定する。しかしこれでは、回収率が低くなり、経済的でない。
【0006】
そこで、膜モジュール内におけるシリカの析出を回避する装置として、多孔質シリカ除去剤を充填したシリカ除去手段に、濃縮水を通水させるシリカ除去装置が提案されている(特許文献1参照)。
特許文献1に記載のシリカ除去装置によれば、シリカ除去手段に濃縮水を循環させることで、濃縮水中の溶存シリカを、多孔質シリカ除去剤の表面に析出させて除去することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−26543号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】酒井清孝、「膜分離プロセスの理論と設計」、初版、株式会社アイピーシー、1993年9月10日、p.14,15
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載のシリカ除去装置は、濃縮水に溶存するシリカを多孔質シリカ除去剤の表面に析出させて除去するので、多孔質シリカ除去剤の粒子が成長して(粒径が大きくなり)、通水抵抗が増加し、シリカの除去性能が低下する。このため、特許文献1に記載のシリカ除去装置は、低下したシリカの除去性能を回復するために、頻繁に多孔質シリカ除去剤の交換が必要になる。
【0010】
本発明は、逆浸透膜装置の運転における回収率を向上することができるとともに、シリカの除去性能を容易に回復することができる水処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、(A)原水を膜分離処理し、透過水及び濃縮水を製造する逆浸透膜モジュール;前記逆浸透膜モジュールに接続された濃縮水ライン;前記濃縮水ラインから分岐し、前記逆浸透膜モジュールからの濃縮水の一部を系外へ排水する排水ライン;及び前記濃縮水ラインから分岐し、前記逆浸透膜モジュールからの濃縮水の残部を前記逆浸透膜モジュールの原水側へ還流する還流ラインを備える逆浸透膜装置と、(B)前記還流ラインの上流位置に設けられ、濃縮水に金属水酸化物を生成する金属水酸化物生成装置と、(C)前記還流ラインの下流位置に設けられ、濃縮水に含まれるシリカと前記金属水酸化物生成装置により生成された金属水酸化物との凝集物を濾過処理する濾過装置と、を備える水処理システムに関する。
【0012】
また、前記金属水酸化物生成装置は、濃縮水に硫酸アルミニウムを添加する第1薬剤添加装置を備え、濃縮水に含まれるアルカリ成分と前記第1薬剤添加装置により添加された硫酸アルミニウムとの反応により金属水酸化物を生成することが好ましい。
【0013】
また、前記金属水酸化物生成装置は、濃縮水に硫酸アルミニウムを添加する第1薬剤添加装置と、濃縮水にアルカリ剤を添加する第2薬剤添加装置とを備え、前記第1薬剤添加装置により添加された硫酸アルミニウムと前記第2薬剤添加装置により添加されたアルカリ剤との反応により金属水酸化物を生成することが好ましい。
【0014】
また、前記金属水酸化物生成装置は、濃縮水を貯留する反応槽と、前記反応槽に貯留された濃縮水中に浸漬される金属電極とを備え、前記金属電極の表面における酸化・還元反応により金属水酸化物を生成することが好ましい。
【0015】
また、前記濾過装置は、急速砂濾過塔及び/又は精密濾過膜モジュールを備えることが好ましい。
【0016】
また、前記排水ラインは、前記逆浸透膜装置の回収率を変更可能な排水流量調整手段を備え、前記還流ラインは、前記濃縮水ラインからそれぞれ分岐する第1還流ライン及び第2還流ラインから構成され、前記金属水酸化物生成装置及び前記濾過装置は、前記第1還流ライン及び前記第2還流ラインのいずれか一方に設けられることが好ましい。
【0017】
また、前記還流ラインに、前記濾過装置を経た濃縮水のシリカ濃度及び/又は濁質濃度を測定する水質センサを設け、該水質センサの測定値が閾値を超えたときに、前記排水流量調整手段により濃縮水の排水流量を増加させることが好ましい。
【0018】
また、前記濾過装置は、原水を導入して濾過媒体の逆洗が可能に構成され、前記濾過装置の逆洗のときに、前記排水流量調整手段により濃縮水の排水流量を増加させることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、逆浸透膜装置の運転における回収率を向上することができるとともに、シリカの除去性能を容易に回復することができる水処理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態の水処理システム1を示す概略構成図である。
【図2】第2実施形態の水処理システム1Aの金属水酸化物生成装置20Aを示す概略構成図である。
【図3】第3実施形態の水処理システム1Bの金属水酸化物生成装置20Bを示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、逆浸透膜装置の濃縮水に含まれるシリカを金属水酸化物に吸着共沈させ、生成した凝集物を濾過処理することにより、濃縮水中からシリカを高効率で除去することを技術思想とする。すなわち、濃縮水は、原水よりもシリカが高濃度に濃縮された状態であるため、原水からシリカを除去する場合よりも、同一量の金属水酸化物に対するシリカの吸着量を高めることができる。その結果、本発明では、シリカ除去に要する金属水酸化物の量を大幅に削減することが可能になっている。
【0022】
<第1実施形態>
図1を参照して、本発明の第1実施形態の水処理システム1について説明する。図1は、本発明の第1実施形態の水処理システム1を示す概略構成図である。
【0023】
図1に示すように、第1実施形態の水処理システム1は、原水W1を膜分離処理する際に発生する濃縮水W20の一部を系外へ排水し、濃縮水W20の残部を原水W1側へ還流する逆浸透膜装置10を有しており、還流する濃縮水W20のシリカ濃度を低減するシステムである。
【0024】
第1実施形態における原水W1は、水道水、地下水及び河川水並びにこれらの水を前処理した水である。また、第1実施形態における前処理とは、カルシウム系スケールを防止するための軟水化装置による硬度成分の除去処理をいう。また、第1実施形態における濃縮水W20においては、原水W1中のアルカリ成分(炭酸水素イオン,炭酸イオン)が濃縮され、pHが中性〜弱アルカリ性(pH値7〜9)となっている。
【0025】
第1実施形態の水処理システム1は、透過水W10及び濃縮水W20を製造するとともに濃縮水W20を環流させる逆浸透膜装置10と;逆浸透膜装置10により還流する濃縮水W20に金属水酸化物を生成する金属水酸化物生成装置20と;濃縮水W20に含まれるシリカと金属水酸化物生成装置20により生成された金属水酸化物との凝集物を濾過処理する濾過装置30と;逆浸透膜装置10により還流する濃縮水W20の流量を調整する制御装置40と;濾過装置30を経た濃縮水W20のシリカ濃度及び濁質濃度を測定する水質センサ41とを備える。
【0026】
また、逆浸透膜装置10は、系外から原水W1を供給する原水ラインL1と;原水ラインL1に接続され、原水W1を膜分離処理し、透過水W10及び濃縮水W20を製造する逆浸透膜モジュール11と;原水ラインL1において、逆浸透膜モジュール11より上流側に設けられた加圧ポンプ12と;逆浸透膜モジュール11に接続された透過水ラインL10と;逆浸透膜モジュール11に接続された濃縮水ラインL20と;濃縮水ラインL20から分岐し、逆浸透膜モジュール11からの濃縮水W20の一部を系外へ排水する排水ラインL25と;濃縮水ラインL20からそれぞれ分岐し、逆浸透膜モジュール11からの濃縮水W20の残部を逆浸透膜モジュール11の原水W1側へ還流する第1還流ラインとしてのRO濃縮水シリカ除去ラインL30及び第2還流ラインとしてのRO循環水ラインL40と;RO濃縮水シリカ除去ラインL30から分岐する逆洗水排水ラインL35とを備える。
なお、本明細書でいう「ライン」とは、流路、経路、管路等の流体の流通が可能なラインの総称である。
【0027】
この水処理システム1によれば、系外から供給された原水W1は、原水ラインL1を介して加圧ポンプ12によって逆浸透膜モジュール11に送出される。逆浸透膜モジュール11に流入した原水W1は、膜分離処理により脱塩された水(以下、「透過水」という)W10及び濃縮された水(以下、「濃縮水」という)W20となる。透過水W10は、透過水ラインL10を介して需要箇所へ供給される。濃縮水W20は、濃縮水ラインL20に送出される。
【0028】
濃縮水ラインL20に送出された濃縮水W20は、一部が排水ラインL25を介して系外へ排水され、残部がRO濃縮水シリカ除去ラインL30及びRO循環水ラインL40に送出され、それぞれ逆浸透膜モジュール11の上流側へ還流される。RO濃縮水シリカ除去ラインL30において、濃縮水W20は、金属水酸化物生成装置20及び濾過装置30を順に経由する。
以下、水処理システム1の各部について詳しく説明する。
【0029】
第1実施形態における逆浸透膜装置10について説明する。
逆浸透膜装置10は、原水ラインL1と、逆浸透膜モジュール11と、加圧ポンプ12と、透過水ラインL10と、濃縮水ラインL20と、排水ラインL25と、RO濃縮水シリカ除去ラインL30と、RO循環水ラインL40と、逆洗水排水ラインL35と、測定ラインL36とを備える。
【0030】
原水ラインL1は、水処理システム1の系外から延びて逆浸透膜モジュール11に接続されており、原水W1を逆浸透膜モジュール11に導入する。加圧ポンプ12は、原水ラインL1に設けられており、原水W1を加圧し、逆浸透膜モジュール11に送出する。
【0031】
逆浸透膜モジュール11は、原水ラインL1の下流側の端部に接続されている。逆浸透膜モジュール11は、原水ラインL1から流入した原水W1を逆浸透膜(以下、「RO膜」ともいう)により膜分離処理し、透過水W10及び濃縮水W20を製造する。逆浸透膜モジュール11は、単一又は複数のRO膜エレメント(図示せず)を備えており、これらのRO膜エレメントにより水中の溶存塩類やシリカを除去する。RO膜は、分子量が数十程度の物質の透過を阻止可能な液体分離膜であり、低ファウリング膜として構成されている。このRO膜には、ナノ濾過膜(NF膜)も含まれる。ナノ濾過膜は、2nm程度より小さい粒子や高分子(分子量が最大数百程度の物質)の透過を阻止可能な液体分離膜である。なお、ナノ濾過膜は、ルーズRO膜と呼ばれることもある。
【0032】
逆浸透膜モジュール11の下流側には、透過水ラインL10及び濃縮水ラインL20が接続されている。透過水ラインL10は、RO膜を透過した透過水W10が流通し、透過水W10を系外へ排水するラインである。濃縮水ラインL20は、RO膜を透過しなかった濃縮水W20が流通するラインである。濃縮水ラインL20には、RO循環水ラインL40、RO濃縮水シリカ除去ラインL30、排水ラインL25が上流側から順に接続されている。
【0033】
排水ラインL25は、濃縮水ラインL20に、濃縮水ラインL20の下流側の端部であるシリカ除去ライン分岐点J10において接続されている。排水ラインL25には、逆浸透膜装置10の回収率を変更可能な排水流量調整手段としての濃縮水排水バルブ15が設けられる。
濃縮水排水バルブ15は、比例制御弁からなり、制御装置40の制御により、排水流量を無段階に調整するように構成されている。なお、濃縮水排水バルブ15は、排水ラインL25に並列配置した電磁弁等の開閉弁により排水流量を段階的に調整するように構成することもできる。
【0034】
RO濃縮水シリカ除去ラインL30は、濃縮水ラインL20からシリカ除去ライン分岐点J10において分岐し、原水ラインL1にシリカ除去ライン接続点J14において接続されている。RO濃縮水シリカ除去ラインL30は、濃縮水ラインL20を流通した濃縮水W20の一部を循環させる。RO濃縮水シリカ除去ラインL30には、上流位置に金属水酸化物生成装置20が設けられ、下流位置に濾過装置30が設けられている。RO濃縮水シリカ除去ラインL30における前記上流位置と前記下流位置との間には、止水バルブ16及び逆洗水排水ライン接続点J12が設けられている。
【0035】
止水バルブ16は、電磁弁又は電動弁からなり、制御装置40の制御により、濾過装置30の逆洗のときに、濾過装置30への濃縮水W20の流入を止めるように構成されている。
逆洗水排水ライン接続点J12は、RO濃縮水シリカ除去ラインL30と逆洗水排水ラインL35との接続点である。
【0036】
逆洗水排水ラインL35は、RO濃縮水シリカ除去ラインL30に逆洗水排水ライン接続点J12において接続されている。逆洗水排水ラインL35は、濾過装置30の逆洗のときに、濾過装置30で捕捉した凝集物を洗浄水とともに系外へ排出するラインである。逆洗水排水ラインL35は、逆洗水排水バルブ17を備え、この逆洗水排水バルブ17により開閉される。
逆洗水排水バルブ17は、電磁弁又は電動弁からなり、制御装置40の制御により、濾過装置30で凝集物を除去するときには逆洗水排水ラインL35を閉じ、濾過装置30の逆洗のときには逆洗水排水ラインL35を開くように構成されている。
【0037】
RO循環水ラインL40は、濃縮水ラインL20から循環水ライン分岐点J5において分岐し、原水ラインL1の循環水ライン接続点J6に接続されている。循環水ライン接続点J6は、原水ラインL1におけるシリカ除去ライン接続点J14と加圧ポンプ12との間に位置する。RO循環水ラインL40は、濃縮水ラインL20を流通した濃縮水W20の一部を循環させる。RO循環水ラインL40は、逆浸透膜装置10の回収率を変更可能な排水流量調整手段としての還流制御バルブ18を備える。還流制御バルブ18は、通常時には閉じられており、逆浸透膜装置10の回収率を下げる場合に、濃縮水排水バルブ15とともに開かれる。
還流制御バルブ18は、比例制御弁からなり、制御装置40の制御により、逆浸透膜装置10の回収率を下げるときに、RO循環水ラインL40を開くように構成されている。すなわち、濃縮水排水バルブ15の開度を増加させて回収率を下げるときに、還流制御バルブ18の開度を増加させて循環流量を調節することにより、RO膜表面での流速を所定範囲に維持し、ファウリングの発生を抑制可能に構成されている。
【0038】
測定ラインL36は、RO濃縮水シリカ除去ラインL30から測定接続部J13において分岐し、濃縮水W20のシリカ濃度及び濁質濃度を測定する水質センサ41に接続されている。測定接続部J13は、原水ラインL1におけるシリカ除去ライン接続点J14と濾過装置30との間に位置する。
【0039】
次に、第1実施形態における金属水酸化物生成装置20について説明する。
金属水酸化物生成装置20は、RO濃縮水シリカ除去ラインL30の上流位置に設けられる。金属水酸化物生成装置20は、濃縮水W20に硫酸アルミニウムを添加する第1薬剤添加装置21を備える。
【0040】
第1薬剤添加装置21は、金属水酸化物生成剤貯留部21aと、金属水酸化物生成剤添加ポンプ21bとを備え、制御装置40によって運転(駆動及び停止)が制御される。
金属水酸化物生成剤貯留部21aは、金属水酸化物生成剤として硫酸アルミニウムを貯留する。
金属水酸化物生成剤添加ポンプ21bは、金属水酸化物生成剤貯留部21aに貯留された硫酸アルミニウムを、添加点J11を介してRO濃縮水シリカ除去ラインL30に送出する。送出された硫酸アルミニウムは、濃縮水W20に添加される。添加点J11は、シリカ除去ライン分岐点J10と止水バルブ16との間に位置する。
なお、硫酸アルミニウムは、水道用凝集剤として普及しており、水溶液の状態で濃縮水W20に添加される。
【0041】
このように、金属水酸化物生成装置20は、RO濃縮水シリカ除去ラインL30の濃縮水W20に硫酸アルミニウムを添加し、この濃縮水W20に含まれるアルカリ成分(炭酸水素イオン,炭酸イオン)と、添加した硫酸アルミニウムとの反応により金属水酸化物(水酸化アルミニウム)を生成する。
生成された金属水酸化物は、濃縮水W20中のシリカ(主としてモノけい酸)を吸着共沈し、凝集物となる。
【0042】
ここで、硫酸アルミニウムが添加された後の濃縮水W20のpH値は、6.5〜7.5の範囲であることが望ましい。濃縮水W20のpH値が6以下又は8以上である場合、アルミニウムの溶解度が相対的に高くなるため、過剰に溶解した分のアルミニウムが後述する濾過装置30を素通りしやすい(アルミニウム・リーク)。そのため、濾過装置30を通過したアルミニウムが逆浸透膜モジュール11のRO膜表面で濃縮され、析出するおそれがある。また、濃縮水W20のpH値が高いほど、シリカの水酸化アルミニウムへの吸着量が増加する。したがって、濃縮水W20のpH値は、濾過装置30のアルミニウム・リークを確実に防止し、かつシリカの吸着量を増加させる観点から、6.5〜7.5の範囲に調整する。なお、pH値の調整は、硫酸アルミニウムが添加された後の濃縮水W20に酸又はアルカリを添加することにより実施することができる。
【0043】
次に、第1実施形態における濾過装置30について説明する。
濾過装置30は、RO濃縮水シリカ除去ラインL30における金属水酸化物生成装置20よりも下流位置に設けられる。詳細には、濾過装置30は、逆洗水排水ライン接続点J12とシリカ除去ライン接続点J14との間に設けられる。濾過装置30は、濃縮水W20中のシリカが共沈した凝集物を除去する。
濾過装置30は、急速砂濾過塔31と、急速砂濾過塔31の下流側に設けられた精密濾過膜モジュール32とを備える。
また、濾過装置30は、原水W1を導入して濾過媒体の逆洗が可能に構成されている。
【0044】
急速砂濾過塔31は、濾過媒体として粗粒濾材層及び細粒濾材層を備える塔式の濾過装置である。粗粒濾材層は、硅石等から形成されている。細粒濾材層は、アンスラサイト、濾過砂等から形成されている。
【0045】
急速砂濾過塔31は、シリカ除去ライン分岐点J10からRO濃縮水シリカ除去ラインL30を介して凝集物を含む濃縮水W20を導入し、濾過媒体により濃縮水W20に含まれる凝集物を捕捉する。
急速砂濾過塔31は、原水ラインL1のシリカ除去ライン接続点J14からRO濃縮水シリカ除去ラインL30を介して原水W1を導入して、導入される原水W1により濾材層の逆洗が可能に構成されている。急速砂濾過塔31は、凝集物を除去するときには濃縮水W20を下向流で通水し、濾材層に凝集物を捕捉する。一方、急速砂濾過塔31は、濾材層を逆洗するときには原水W1を上向流で通水し、濾材層を展開して濾材層に捕捉した凝集物を剥離させる。
【0046】
精密濾過膜モジュール32は、濾過媒体としての精密濾過膜(図示せず)を備え、精密濾過膜により凝集物を捕捉する。詳細には、精密濾過膜モジュール32は、急速砂濾過塔31を経た濃縮水W20を導入し、濾過媒体により、急速砂濾過塔31で捕捉できなかった凝集物を捕捉する。精密濾過膜モジュール32は、全量濾過で運転される。
【0047】
精密濾過膜モジュール32は、原水ラインL1のシリカ除去ライン接続点J14からRO濃縮水シリカ除去ラインL30を介して原水W1を導入して、精密濾過膜の逆洗が可能に構成されている。精密濾過膜モジュール32は、精密濾過膜に対して濃縮水W20を通水し、凝集物を捕捉するときとは逆方向に原水W1を通水することにより、精密濾過膜の膜面から捕捉した凝集物を剥離させる。
【0048】
制御装置40は、第1実施形態の水処理システム1における回収率の変更及び濾過装置30の逆洗を制御する。制御装置40は、水処理システム1を構成する各要素のうち、制御が行われる要素に電気的に接続される。詳細には、制御装置40は、水質センサ41の測定値に基づき、濃縮水排水バルブ15、止水バルブ16、逆洗水排水バルブ17及び還流制御バルブ18を制御する。
【0049】
制御装置40は、水質センサ41の測定値に基づき、濃縮水排水バルブ15及び還流制御バルブ18を制御する排水流量制御装置42と、濾過装置30の逆洗のときに、止水バルブ16及び逆洗水排水バルブ17を制御する逆洗制御装置43とを備える。
【0050】
水質センサ41は、RO濃縮水シリカ除去ラインL30に接続され、濾過装置30を経た濃縮水W20のシリカ濃度及び濁質濃度を測定する。水質センサ41は、濾過装置30の除去能力の低下(凝集物のリーク)を監視する。水質センサ41は、RO濃縮水シリカ除去ラインL30において濾過装置30の下流側に設けられている。詳細には、水質センサ41は、測定ラインL36を介して、濾過装置30とシリカ除去ライン接続点J14との間に位置する測定接続部J13において、RO濃縮水シリカ除去ラインL30に接続されている。
【0051】
水質センサ41は、濾過装置30からリークした凝集物に含まれるシリカ濃度を測定するシリカ濃度センサ41aと、濾過装置からリークした凝集物の濃度を測定する濁質濃度センサ41bとを備える。
【0052】
シリカ濃度センサ41aは、例えば、JIS K0101「工業用水試験法」のモリブデン酸青吸光光度法又はモリブデン酸黄吸光光度法を応用した比色式の濃度計により、シリカ濃度を測定する。比色式の濃度計は、測定ラインL36を介して採取した濃縮水W20を処理して凝集物からシリカを分離・溶解させた試料水へ試薬を添加し、試薬とシリカとが反応した試料水の吸光度に基づいてシリカ濃度を測定する。
濁質濃度センサ41bは、例えば、JIS K0101「工業用水試験法」の透過光濁度又は散乱光濁度を計測する濁度計により、凝集物の濃度(濁質濃度)を測定する。
【0053】
排水流量制御装置42は、水質センサ41、濃縮水排水バルブ15及び還流制御バルブ18と電気的に接続されている。排水流量制御装置42は、水質センサ41の測定値(シリカ濃度及び/又は濁質濃度)が第1の閾値を超えたときに、濃縮水排水バルブ15の開度を増加して濃縮水W20の排水流量を増加させるとともに、還流制御バルブ18の開度を増加して濃縮水W20の循環流量を増加させる制御を行う。
【0054】
逆洗制御装置43は、第一薬剤添加装置21、水質センサ41、濃縮水排水バルブ15、止水バルブ16、逆洗水排水バルブ17及び還流制御バルブ18と電気的に接続されている。逆洗制御装置43は、水質センサ41の測定値(シリカ濃度及び/又は濁質濃度)が第2の閾値を超えたときに、逆洗水排水バルブ17を開放するとともに、止水バルブ16を閉鎖し、更に第1薬剤添加装置21の運転を停止して濾過装置30の逆洗を実行する制御を行う。また、逆洗制御装置43は、濾過装置30の逆洗のときに、濃縮水排水バルブ15の開度を増加して濃縮水W20の排水流量を増加させるとともに、還流制御バルブ18の開度を増加して濃縮水W20の循環流量を増加させる制御を行う。なお、各閾値は、第2の閾値≧第1の閾値の関係に設定される。
【0055】
次に、図1を参照して、第1実施形態の水処理システム1における濃縮水W20中のシリカを除去する動作について説明する。
原水W1は、加圧ポンプ12が作動することにより、原水ラインL1から逆浸透膜モジュール11に送出され、透過水W10と濃縮水W20とに分離される。透過水W10は、透過水ラインL10を介して需要箇所へ供給される。濃縮水W20は、逆浸透膜装置10において還流し、金属水酸化物生成装置20及び濾過装置30によりシリカ濃度が低減される。
【0056】
詳細には、濃縮水W20は、逆浸透膜装置10の逆浸透膜モジュール11よる膜分離処理により製造され、濃縮水ラインL20に送出される。ここで、還流制御バルブ18によりRO循環水ラインL40が閉じられているので、濃縮水ラインL20に送出された濃縮水W20は、一部が排水ラインL25を介して系外へ排水され、残部がRO濃縮水シリカ除去ラインL30に送出される。
【0057】
RO濃縮水シリカ除去ラインL30に送出された濃縮水W20には、金属水酸化物生成装置20の第一薬剤添加装置21により硫酸アルミニウムが添加される。これにより、この濃縮水W20に含まれるアルカリ成分と添加された硫酸アルミニウムとが反応し、その結果、金属水酸化物(水酸化アルミニウム)が、濃縮水W20中に生成される。そして、この濃縮水W20中に生成された水酸化アルミニウムは、濃縮水W20中のシリカ(主としてモノけい酸)を吸着共沈し、凝集物となる。
【0058】
凝集物を含む濃縮水W20は、濾過装置30に送出される。濃縮水W20中の凝集物は、急速砂濾過塔31の濾材層及び精密濾過膜モジュール32の精密濾過膜により捕捉される。すなわち、濃縮水W20中のシリカは、金属水酸化物生成装置20により凝集物となり、濾過装置30により除去される。シリカが除去された濃縮水W20は、再び原水ラインL1に合流する。
【0059】
次に、第1実施形態の水処理システム1の制御装置40の制御処理について説明する。
制御装置40は、濾過装置30を経た濃縮水W20のシリカ濃度及び濁質濃度に基づき、逆浸透膜装置10の回収率を変更し、また濾過装置30を逆洗浄する。
【0060】
まず、制御装置40は、排水流量制御装置42により、水質センサ41の測定値(シリカ濃度及び/又は濁質濃度)が第1の閾値を超えたか否かを判断する。すなわち、排水流量制御装置42は、濾過装置30におけるシリカ凝集物の捕捉能力が低下しているか否かを判断する。
排水流量制御装置42は、第1の閾値を超えたと判断したときには、濃縮水排水バルブ15及び還流制御バルブ18の開度をそれぞれ増加させる制御を行う。
【0061】
これにより、排水ラインL25を介して系外へ排水される濃縮水W20の排水流量が増加するので、逆浸透膜装置10の回収率は低下する。また、RO循環水ラインL40を介して原水ラインL1へ還流される濃縮水W20の循環流量が増加するので、RO膜表面での流速が所定範囲に維持される。その結果、濃縮水W20のシリカ濃度が強制的に下げられ、かつRO膜表面での流速が確保されるので、濾過装置30の捕捉能力が低下した場合にも、シリカの析出が回避される。
【0062】
次に、制御装置40は、逆洗制御装置43により、水質センサ41の測定値が第2の閾値を超えたか否かを判断する。すなわち、逆洗制御装置43は、濾過装置30におけるシリカ凝集物の捕捉能力が喪失しているか否かを判断する。
逆洗制御装置43は、第2の閾値を超えたと判断したときには、逆洗水排水バルブ17を開放するとともに、止水バルブ16を閉鎖し、更に第1薬剤添加装置21の運転を停止して濾過装置30の逆洗を実行する制御を行う。
【0063】
これにより、原水W1は、洗浄水として、原水ラインL1のシリカ除去ライン接続点J14からRO濃縮水シリカ除去ラインL30に流入する(図1に示す点線参照)。RO濃縮水シリカ除去ラインL30に流入した原水W1は、急速砂濾過塔31の濾材層、及び精密濾過膜モジュール32の精密濾過膜を逆方向に通過し、逆洗水排水ラインL35を介して系外へ排水される。この結果、急速砂濾過塔31の濾材層、及び精密濾過膜モジュール32の精密濾過膜は、逆洗され、捕捉していた凝集物が剥離される。
【0064】
また、排水流量制御装置42は、濾過装置30の逆洗のときには、濃縮水排水バルブ15及び還流制御バルブ18の開度をそれぞれ増加させる制御を行う。
これにより、排水ラインL25を介して系外へ排水される濃縮水W20の排水流量が増加するので、逆浸透膜装置10の回収率は低下する。また、RO循環水ラインL40を介して原水ラインL1へ還流される濃縮水W20の循環流量が増加するので、RO膜表面での流速が所定範囲に維持される。その結果、濃縮水W20のシリカ濃度が強制的に下げられ、かつRO膜表面での流速が確保されるので、シリカを除去ができない濾過装置30の逆洗中の場合にも、シリカの析出が回避される。
【0065】
第1実施形態の水処理システム1によれば、例えば、次のような効果が奏される。
第1実施形態の水処理システム1は、原水W1を膜分離処理し、透過水W10及び濃縮水W20を製造する逆浸透膜モジュール11と;逆浸透膜モジュール11に接続された濃縮水ラインL20と;濃縮水ラインL20から分岐し、逆浸透膜モジュール11からの濃縮水W20の一部を系外へ排水する排水ラインL25と;濃縮水ラインL20から分岐し、逆浸透膜モジュール11からの濃縮水W20の残部を逆浸透膜モジュール11の原水W1側へ還流するRO濃縮水シリカ除去ラインL30及びRO循環水ラインL40とを備える逆浸透膜装置10と;RO濃縮水シリカ除去ラインL30の上流位置に設けられ、濃縮水W20に金属水酸化物を生成する金属水酸化物生成装置20と;RO濃縮水シリカ除去ラインL30の下流位置に設けられ、濃縮水W20に含まれるシリカと金属水酸化物生成装置20により生成された金属水酸化物との凝集物を濾過処理する濾過装置30とを備える。
【0066】
そのため、シリカの除去を、原水W1でなく、原水W1と比べてアルカリ成分濃度及びシリカ濃度が高い濃縮水W20に対して行うことができる。よって、金属水酸化物生成装置20は、添加する薬品(例えば、硫酸アルミニウム)の量を、原水W1に添加する場合と比べて少なくすることができる。
【0067】
濃縮水W20に含まれるシリカは、金属水酸化物生成装置20により生成された金属水酸化物との凝集物となり、濾過装置30による濾過処理により捕捉される。捕捉された凝集物は、濾過装置30の濾過媒体を定期的に逆洗することで、原水W1とともに逆洗水排水ラインL35を介して系外に容易に排出される。よって、濾過装置30の除去性能を容易に回復することができる。したがって、逆浸透膜装置10の運転における回収率を向上することができるとともに、シリカの除去性能を容易に回復することができる。
【0068】
また、第1実施形態の金属水酸化物生成装置20は、濃縮水W20に硫酸アルミニウムを添加する第1薬剤添加装置21を備え、濃縮水W20に含まれるアルカリ成分(炭酸水素イオン,炭酸イオン)と第1薬剤添加装置21により添加された硫酸アルミニウムとの反応により、金属水酸化物(水酸化アルミニウム)を生成する。
ここで、以下の表1を参照して、金属水酸化物によるシリカ除去を、原水に行った場合とRO濃縮水に行った場合とを比較した試験について説明する。
表1は、金属水酸化物によるシリカ除去を、原水に行った場合とRO濃縮水に行った場合とを比較した試験結果を示す表である。
【0069】
【表1】

【0070】
この試験では、金属水酸化物によるシリカ除去を、サンプル原水(第1実施形態の原水W1に相当)に行った場合とサンプルRO濃縮水(第1実施形態の濃縮水W20に相当)に行った場合とを比較した。サンプル原水においては、硫酸アルミニウム及び30w%NaOHを加えた結果、シリカ除去量は、原水1リットル当たり8mgSiOであった。一方、サンプルRO濃縮水においては、同一添加率で硫酸アルミニウムのみを加えた結果、シリカ除去量は、濃縮水1リットル当たり87.3mgSiOであった。水1リットル当たりのシリカ除去量は、サンプル濃縮水がサンプル原水の約11倍量となっている。なお、サンプルRO濃縮水におけるシリカ除去率は、約45%である。
【0071】
すなわち、原水W1中のアルカリ成分濃度が高く、濃縮水W20のpH値が6.5〜7.5の範囲となる場合、濃縮水W20に硫酸アルミニウムを添加するだけで、高効率でシリカを除去することができる。
【0072】
濃縮水W20から高効率でシリカを除去することにより、排水ラインL25から系外へ排水すべき濃縮水W20の排水量は、低減する。例えば、逆浸透膜装置10は、シリカの溶解度を上限として、循環する濃縮水W20中のシリカ濃度を前記上限近傍となるように運転するため、回収率(回収率[%]=透過水流量/(透過水流量+排水流量)×100)を50%に設定したとする。このとき、循環する濃縮水W20中のシリカを45%除去することで、逆浸透膜装置10は、排水ラインL25から系外へ排水する濃縮水W20の排水量を略半減させ、回収率72.5%での運転が可能となる。したがって、濃縮水W20からのシリカ除去は、逆浸透膜装置10の運転における回収率の向上に寄与することができる。
【0073】
また、第1実施形態の濾過装置30は、急速砂濾過塔31及び精密濾過膜モジュール32を備える。
そのため、急速砂濾過塔31及び精密濾過膜モジュール32の濾過媒体により、濃縮水W20に含まれるシリカを、金属水酸化物生成装置20により生成された金属水酸化物との凝集物として捕捉することができる。捕捉された凝集物は、急速砂濾過塔31及び/又は精密濾過膜モジュール32の濾過媒体を定期的に逆洗することで容易に排出することができる。よって、濾過装置30の除去性能を容易に回復することができる。したがって、シリカの除去性能を安定して維持することができる。
【0074】
また、第1実施形態の排水ラインL25は、逆浸透膜装置10の回収率を変更可能な濃縮水排水バルブ15を備え、還流ラインは、濃縮水ラインL20からそれぞれ分岐するRO濃縮水シリカ除去ラインL30及びRO循環水ラインL40から構成され、金属水酸化物生成装置20及び濾過装置30は、RO濃縮水シリカ除去ラインL30に設けられる。
【0075】
ここで、濾過装置30の除去能力が低下した場合(凝集物のリーク、濾過媒体の閉塞による流量低下)や、濾過装置30の除去能力を回復するために濾過媒体の逆洗を行う場合、濾過装置30への濃縮水W20の供給を停止する。このとき、逆浸透膜装置10において、濃縮水W20のシリカ濃度を下げ、また濃縮水W20の循環流量を確保していないと、RO膜表面でシリカが析出するおそれがある。
【0076】
そこで、本実施形態は、逆浸透膜装置10の濃縮水W20に対し、排水流量及び循環流量をそれぞれ増加可能に構成した。そのため、濾過装置30への濃縮水W20の供給を停止した場合でも、逆浸透膜装置10において、所定の循環流量を確保しつつ、排水流量を増やして回収率を一時的に下げることができる。したがって、濃縮水W20のシリカ濃度が強制的に下げられ、かつRO膜表面での流速が確保されるので、濾過装置30への濃縮水W20の供給を停止した場合でも、シリカの析出を未然に回避することができる。
【0077】
また、第1実施形態のRO濃縮水シリカ除去ラインL30に、濾過装置30を経た濃縮水W20のシリカ濃度及び濁質濃度を測定する水質センサ41を設け、水質センサ41の測定値が閾値を超えたときに、排水流量及び循環流量をそれぞれ増加可能に構成した。
そのため、濾過装置30からの凝集物のリークを監視することができる。また、濾過装置30からの凝集物のリークしたときは、逆浸透膜装置10における所定の循環流量を確保しつつ、回収率を下げて運転し、RO膜表面へのシリカの析出を防止することができる。
【0078】
また、第1実施形態の濾過装置30は、原水W1を導入して濾過媒体の逆洗が可能に構成され、濾過装置30の逆洗のときに、排水流量及び循環流量をそれぞれ増加可能に構成した。
そのため、濾過装置30を経た濃縮水W20の水質が悪化したときに逆洗を行うことができる。また、濾過装置30の逆洗のときに、逆浸透膜装置10において、所定の循環流量を確保しつつ、排水流量を増やして回収率を一時的に下げることができる。したがって、濾過装置30を逆洗するときでも、RO膜表面へのシリカの析出を防止することができる。
【0079】
次に、本発明の第2実施形態及び第3実施形態について説明する。第2実施形態及び第3実施形態については、主として、第1実施形態とは異なる点を中心に説明し、第1実施形態と同様の構成については、同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。第2実施形態及び第3実施形態において特に説明しない点は、第1実施形態についての説明が適宜適用される。
【0080】
<第2実施形態>
図2を参照して、第2実施形態の水処理システム1Aの金属水酸化物生成装置20Aについて説明する。図2は、第2実施形態の水処理システム1Aの金属水酸化物生成装置20Aを示す概略構成図である。
【0081】
第2実施形態の水処理システム1Aは、第1実施形態の水処理システム1に比して、金属水酸化物生成装置20Aの構成が主として異なる。具体的には、第2実施形態の金属水酸化物生成装置20Aは、第1実施形態の金属水酸化物生成装置20に比して、第2薬剤添加装置22及びpH調整制御装置23を更に有する点が主として異なる。
また、第2実施形態における濃縮水W20Aは、第1実施形態における濃縮水W20に比して、原水中W1のアルカリ成分が少ないことに起因して、pHが弱酸性〜中性(pH値5〜7)になっている点が異なる。
したがって、第2実施形態については、主として金属水酸化物生成装置20Aについて説明する。
【0082】
図2に示すように、金属水酸化物生成装置20Aは、濃縮水W20Aに硫酸アルミニウムを添加する第1薬剤添加装置21と、硫酸アルミニウムが添加される前の濃縮水W20Aにアルカリ剤を添加する第2薬剤添加装置22と、硫酸アルミニウムが添加された後の濃縮水W20AのpH値を測定するpH測定装置23aと、濃縮水W20AのpH値に基づき、第2薬剤添加装置22を制御するpH調整制御装置23とを備える。
【0083】
第1薬剤添加装置21は、第1実施形態と同様の構成であるので、説明を省略する。
第2薬剤添加装置22は、アルカリ剤貯留部22aと、アルカリ剤添加ポンプ22bとを備え、pH調整制御装置23によって運転(駆動及び停止)が制御される。
アルカリ剤貯留部22aは、アルカリ剤(NaOH、KOH等のアルカリ金属の水酸化物)を貯留する。
アルカリ剤添加ポンプ22bは、アルカリ剤貯留部22aに貯留されたアルカリ剤を、添加点J15を介してRO濃縮水シリカ除去ラインL30に送出する。送出されたアルカリ剤は、濃縮水W20に添加される。添加点J15は、シリカ除去ライン分岐点J10と添加点J11との間に位置する。
【0084】
このように、金属水酸化物生成装置20Aは、第1薬剤添加装置21により添加した硫酸アルミニウムと、第2薬剤添加装置22により添加したアルカリ剤との反応により金属水酸化物(水酸化アルミニウム)を生成する。
生成された金属水酸化物は、濃縮水W20中のシリカ(主としてモノけい酸)を吸着共沈し、凝集物となる。
【0085】
ここで、硫酸アルミニウムが添加された後の濃縮水W20AのpH値は、6.5〜7.5の範囲であることが望ましい。濃縮水W20AのpH値が6以下又は8以上である場合、アルミニウムの溶解度が相対的に高くなるため、過剰に溶解した分のアルミニウムが後述する濾過装置30を素通りしやすい(アルミニウム・リーク)。そのため、濾過装置30を通過したアルミニウムは、RO膜表面で濃縮され、析出するおそれがある。また、濃縮水W20AのpH値が高いほど、シリカの水酸化アルミニウムへの吸着量が増加する。したがって、濃縮水W20AのpH値は、濾過装置30のアルミニウム・リークを確実に防止し、かつシリカの吸着量を増加させる観点から、6.5〜7.5の範囲に調整する。
【0086】
pH測定装置23aは、第1薬剤添加装置21により硫酸アルミニウムが添加された後の濃縮水W20AのpH値を測定する。pH測定装置23aは、RO濃縮水シリカ除去ラインL30おいて、止水バルブ16と添加点J15との間に設けられている。pH測定装置23aは、pH調整制御部23bと電気的に接続されている。pH測定装置23aにより測定された濃縮水W20AのpH値は、pH調整制御部23bに入力される。
【0087】
pH調整制御装置23は、pH測定装置23aにより測定されたpH値に基づき、第2薬剤添加装置22の運転を制御するpH調整制御部23bを備える。
【0088】
pH調整制御部23bは、pH測定装置23a及び第2薬剤添加装置22のアルカリ剤添加ポンプ22bと電気的に接続されている。pH調整制御部23bは、pH測定装置23aにより測定された濃縮水W20AのpH値に基づき、第2薬剤添加装置22のアルカリ剤添加ポンプ22bの運転を制御し、濃縮水W20AのpH値を上記の6.5〜7.5の範囲に調整する。
【0089】
次に、図2を参照して、第2実施形態の水処理システム1Aにおける金属水酸化物生成装置20Aの動作について説明する。
RO濃縮水シリカ除去ラインL30に送出された濃縮水W20Aは、pH測定装置23aによりpH値が測定される。pH値が測定された濃縮水W20Aは、pH調整制御部23bにより測定されたpH値に基づき、第2薬剤添加装置22からアルカリ剤が添加された後、第1薬剤添加装置21により硫酸アルミニウムが添加され、pH値が6.5〜7.5の範囲に調整される。これにより、この濃縮水W20Aに含まれるアルカリ成分と添加した硫酸アルミニウムとが反応し、その結果、金属水酸化物(水酸化アルミニウム)が、濃縮水W20A中に生成される。そして、この濃縮水W20A中に生成された水酸化アルミニウムは、濃縮水W20A中のシリカ(主としてモノけい酸)を吸着共沈し、凝集物となる。
【0090】
第2実施形態の水処理システム1Aによれば、第1実施形態と同様の効果が奏されるとともに、例えば、次のような効果が奏される。
第2実施形態の水処理システム1Aの金属水酸化物生成装置20Aは、濃縮水W20Aに硫酸アルミニウムを添加する第1薬剤添加装置21と、濃縮水にアルカリ剤を添加する第2薬剤添加装置22とを備え、第1薬剤添加装置21により添加された硫酸アルミニウムと第2薬剤添加装置22により添加されたアルカリ剤との反応により金属水酸化物を生成する。
【0091】
そのため、原水中のアルカリ成分濃度が低い場合でも、第2薬剤添加装置22によりアルカリ剤を添加することで、硫酸アルミニウムが添加された後の濃縮水W20AのpH値を6.5〜7.5の範囲に調整することができる。そして、濃縮水W20AのpHを良好な除去性能が得られるpH域(中性付近)に調整するので、金属酸化物を確実に生成させ、循環する濃縮水W20A中のシリカ濃度を大幅に(例えば45%以上)低減することできる。これにより、逆浸透膜装置10は、排水ラインL25から系外へ排水する濃縮水W20の排水量を大幅に減少させ(例えば略半減させ)、回収率が高い状態(例えば略72.5%)での運転が可能となる。したがって、濃縮水W20からのシリカの除去は、逆浸透膜装置10の運転における回収率の向上に寄与することができる。
【0092】
<第3実施形態>
図3を参照して、第3実施形態の水処理システム1Bの金属水酸化物生成装置20Bについて説明する。図3は、第3実施形態の水処理システム1Bの金属水酸化物生成装置20Bを示す概略構成図である。
【0093】
第3実施形態の水処理システム1Bは、第1実施形態の水処理システム1に比して、金属水酸化物生成装置20Bの構成が主として異なる。具体的には、第3実施形態の金属水酸化物生成装置20Bは、第1実施形態の金属水酸化物生成装置20に比して、第1薬剤添加装置21に代えて、電解装置24を有する点が主として異なる。
したがって、第3実施形態については、主として金属水酸化物生成装置20Bについて説明する。
【0094】
図3に示すように、金属水酸化物生成装置20Bは、電解装置24を備える。
電解装置24は、濃縮水W20を貯留する反応槽24aと、反応槽24aに貯留された濃縮水W20中に浸漬される陰極24c及びアルミニウム陽極24dと、陰極24c及びアルミニウム陽極24dに直流電流を供給する電源供給部24bとを備える。
【0095】
反応槽24aは、RO濃縮水シリカ除去ラインL30に接続され、RO濃縮水シリカ除去ラインL30を流通する濃縮水W20を一時的に貯留する。反応槽24aは、側面上部に濃縮水W20を流入するRO濃縮水シリカ除去ラインL30が接続され、側面下部に濃縮水W20を流出するRO濃縮水シリカ除去ラインL30が接続されている。反応槽24aは、RO濃縮水シリカ除去ラインL30においてシリカ除去ライン分岐点J10(図1参照)と止水バルブ16(図1参照)との間に配置されている。
電源供給部24bは、陰極24c及びアルミニウム陽極24dと電気的に接続されている。
【0096】
次に、図3を参照して、第3実施形態の水処理システム1Bにおける金属水酸化物生成装置20Bの動作について説明する。
濃縮水W20は、RO濃縮水シリカ除去ラインL30より反応槽24aに流入され、貯留される。次に、電源供給部24bは、陰極24c及びアルミニウム陽極24dに直流電流を供給する。これにより、陰極24cは、貯留された濃縮水W20中に水酸化物イオンを生成する。アルミニウム陽極24dは、貯留された濃縮水W20中にアルミニウムイオンを溶出する。この水酸化物イオンとアルミニウムイオンとが反応し、その結果、金属水酸化物(水酸化アルミニウム)が、貯留された濃縮水W20中に生成される。詳細には、以下の化学反応式(1)〜(3)に示す酸化・還元反応により、水酸化アルミニウムが生成される。
【0097】
(1)陰極側反応: 2HO+2e→H↑+2OH
(2)陽極側反応: Al→Al+3e
(3) Al+3HO→Al(OH)+3H
このように、金属水酸化物生成装置20Bは、金属電極の表面における酸化・還元反応により金属水酸化物(水酸化アルミニウム)濃縮水W20中に生成する。そして、この濃縮水W20中に生成された水酸化アルミニウムは、濃縮水W20中のシリカ(主としてモノけい酸)を吸着共沈し、凝集物となる。凝集物を含む濃縮水W20は、反応槽24aよりRO濃縮水シリカ除去ラインL30に排出される。
【0098】
第3実施形態の水処理システム1Bによれば、第1実施形態と同様の効果が奏されるとともに、例えば、次のような効果が奏される。
第3実施形態の水処理システム1Bの金属水酸化物生成装置20Bは、濃縮水W20を貯留する反応槽24aと、反応槽24aに貯留された濃縮水W20中に浸漬される陰極24c及びアルミニウム陽極24dとを備え、陰極24c及びアルミニウム陽極24dの表面における酸化・還元反応により金属水酸化物を生成する。
【0099】
そのため、金属酸化物を確実に生成させ、循環する濃縮水W20中のシリカ濃度を効率よく低減することができる。これにより、逆浸透膜装置10は、排水ラインL25から系外へ排水する濃縮水W20の排水量を大幅に減少させ(例えば略半減させ)、回収率が高い状態(例えば70〜80%)での運転が可能となる。したがって、濃縮水W20からのシリカの除去は、逆浸透膜装置10の運転における回収率の向上に寄与することができる。
【0100】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されることなく、種々の形態で実施することができる。
例えば、第1実施形態から第3実施形態において、RO循環水ラインL40は、還流制御バルブ18により、通常時には閉じられているが、これに制限されない。例えば、RO循環水ラインL40は、還流制御バルブ18を設けずに、濃縮水W20を常時流すようにしてもよい。この場合、逆浸透膜装置10の循環流量は、RO濃縮水シリカ除去ラインL30に設けた止水バルブ16により調整してもよい。
【0101】
また、第1実施形態から第3実施形態において、金属水酸化物生成装置20及び濾過装置30は、RO濃縮水シリカ除去ラインL30に設けているが、これに制限されない。例えば、金属水酸化物生成装置20及び濾過装置30は、RO循環水ラインL40に設けてもよい。また、金属水酸化物生成装置20及び濾過装置30は、RO濃縮水シリカ除去ラインL30及びRO循環水ラインL40の双方に設けてもよい。
【0102】
また、第1実施形態から第3実施形態において、濾過装置30は、急速砂濾過塔31と、急速砂濾過塔31の下流側に設けられた精密濾過膜モジュール32とを備えるが、これに制限されない。例えば、濾過装置30は、急速砂濾過塔31又は精密濾過膜モジュール32のいずれか一方のみを備えていてもよい。
【0103】
また、第1実施形態から第3実施形態において、急速砂濾過塔31は、粗粒濾材と細粒濾材とを併用した多層濾過を行っているが、これに制限されない。例えば、急速砂濾過塔31は、砂のみの単層濾過を行うこともできる。
【0104】
また、第1実施形態から第3実施形態において、シリカ濃度及び濁質濃度を測定する水質センサ41を設け、制御装置40は、逆洗制御装置43により、水質センサ41の測定値が第2の閾値を超えたと判断したときに、濃縮水排水バルブ15、逆洗水排水バルブ17及び還流制御バルブ18の開度を調節し、止水バルブ16を閉鎖し、第1薬剤添加装置21の運転を停止する制御を行っているが、これに制限されない。例えば、濾過装置30の通水時間、通水流量又は通水抵抗を測定するセンサを設け、制御装置40は、逆洗制御装置43により、濾過装置30の通水時間、通水流量又は通水抵抗が規定値に達したと判断されたときに、濃縮水排水バルブ15、逆洗水排水バルブ17及び還流制御バルブ18の開度を調節し、止水バルブ16を閉鎖し、第1薬剤添加装置21の運転を停止する制御を行うこともできる。
【符号の説明】
【0105】
1、1A、1B 水処理システム
10 逆浸透膜装置
11 逆浸透膜モジュール
15 濃縮水排水バルブ(排水流量調整手段)
18 還流制御バルブ(排水流量調整手段)
20、20A、20B 金属水酸化物生成装置
21 第1薬剤添加装置
22 第2薬剤添加装置
24a 反応槽
24c 陰極(金属電極)
24d アルミニウム陽極(金属電極)
30 濾過装置
31 急速砂濾過塔
32 精密濾過膜モジュール
41 水質センサ
L20 濃縮水ライン
L25 排水ライン
L30 RO濃縮水シリカ除去ライン(第1還流ライン)
L40 RO循環水ライン(第2還流ライン)
W1 原水
W10 透過水
W20 濃縮水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)原水を膜分離処理し、透過水及び濃縮水を製造する逆浸透膜モジュール;
前記逆浸透膜モジュールに接続された濃縮水ライン;
前記濃縮水ラインから分岐し、前記逆浸透膜モジュールからの濃縮水の一部を系外へ排水する排水ライン;及び
前記濃縮水ラインから分岐し、前記逆浸透膜モジュールからの濃縮水の残部を前記逆浸透膜モジュールの原水側へ還流する還流ラインを備える逆浸透膜装置と、
(B)前記還流ラインの上流位置に設けられ、濃縮水に金属水酸化物を生成する金属水酸化物生成装置と、
(C)前記還流ラインの下流位置に設けられ、濃縮水に含まれるシリカと前記金属水酸化物生成装置により生成された金属水酸化物との凝集物を濾過処理する濾過装置と、
を備える水処理システム。
【請求項2】
前記金属水酸化物生成装置は、濃縮水に硫酸アルミニウムを添加する第1薬剤添加装置を備え、
濃縮水に含まれるアルカリ成分と前記第1薬剤添加装置により添加された硫酸アルミニウムとの反応により金属水酸化物を生成する、請求項1に記載の水処理システム。
【請求項3】
前記金属水酸化物生成装置は、濃縮水に硫酸アルミニウムを添加する第一薬剤添加装置と、
濃縮水にアルカリ剤を添加する第2薬剤添加装置とを備え、
前記第1薬剤添加装置により添加された硫酸アルミニウムと前記第2薬剤添加装置により添加されたアルカリ剤との反応により金属水酸化物を生成する、請求項1に記載の水処理システム。
【請求項4】
前記金属水酸化物生成装置は、濃縮水を貯留する反応槽と、
前記反応槽に貯留された濃縮水中に浸漬される金属電極とを備え、
前記金属電極の表面における酸化・還元反応により金属水酸化物を生成する、請求項1に記載の水処理システム。
【請求項5】
前記濾過装置は、急速砂濾過塔及び/又は精密濾過膜モジュールを備える、請求項1から4のいずれかに記載の水処理システム。
【請求項6】
前記排水ラインは、前記逆浸透膜装置の回収率を変更可能な排水流量調整手段を備え、
前記還流ラインは、前記濃縮水ラインからそれぞれ分岐する第1還流ライン及び第2還流ラインから構成され、
前記金属水酸化物生成装置及び前記濾過装置は、前記第1還流ライン及び前記第2還流ラインのいずれか一方に設けられる、請求項1から5のいずれかに記載の水処理システム。
【請求項7】
前記還流ラインに、前記濾過装置を経た濃縮水のシリカ濃度及び/又は濁質濃度を測定する水質センサを設け、
該水質センサの測定値が閾値を超えたときに、前記排水流量調整手段により濃縮水の排水流量を増加させる、請求項6に記載の水処理システム。
【請求項8】
前記濾過装置は、原水を導入して濾過媒体の逆洗が可能に構成され、
前記濾過装置の逆洗のときに、前記排水流量調整手段により濃縮水の排水流量を増加させる、請求項6又は7に記載の水処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−83727(P2011−83727A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−239636(P2009−239636)
【出願日】平成21年10月16日(2009.10.16)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【Fターム(参考)】