説明

水処理装置用空気供給配管、水処理装置

【課題】 槽本体に被処理水の浄化処理部を収容する水処理装置に内装される空気供給配管に関し、当該空気供給配管の管内流路を絞るオリフィスの清掃やメンテナンス等の作業性向上を図るのに有効な技術を提供する。
【解決手段】 本発明に係る水処理装置100では、空気供給配管210は、ブロワ200と複数の空気処理領域との間を並列状に接続する空気供給配管であり、上流配管部211に管内流路を絞るオリフィスプレート230を有し、オリフィスプレート230を有するこの上流配管部211は、着脱継ぎ手202〜205を介して下流配管部213,215,217及びブロワ吐出配管201から離脱可能な構成とされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水処理技術に係り、詳しくは槽本体に被処理水の浄化処理部を収容する水処理装置の構築技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般家庭等から排出される生活排水や、産業廃水等の汚水などの被処理水を処理する種々の技術が提案されている。例えば、下記特許文献1には、ブロワから供給された供給空気によって被処理水が処理される複数の空気処理領域を有する汚水処理装置が開示されている。この汚水処理装置では、管内流路を絞るオリフィス付の空気供給配管を用いることによって水位差の異なる複数の空気処理領域に対しても適正に空気を供給する可能性を有するが、この種の空気供給配管の設計に際しては、更にオリフィスの清掃やメンテナンス等の作業性向上を図る技術が要請される。
【特許文献1】特開2001−300566号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、槽本体に被処理水の浄化処理部を収容する水処理装置に内装される空気供給配管に関し、当該空気供給配管の管内流路を絞るオリフィスの清掃やメンテナンス等の作業性向上を図るのに有効な技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記課題を解決するために、本発明が構成される。なお、本発明は、一般家庭等から排出される生活排水をはじめ、厨房排水、産業廃水等の各種の被処理水を処理する水処理装置の構築技術として好適に用いられる。
【0005】
本発明にかかる水処理装置用空気供給配管は、槽本体に被処理水の浄化処理部を収容する水処理装置に内装される空気供給配管であり、空気供給配管部を少なくとも備える。この空気供給配管部は、空気を供給する空気供給源と、供給空気によって被処理水が処理される複数の空気処理領域との間を並列状に接続する配管部分として構成される。ここでいう空気処理領域における被処理水の処理に関しては、供給空気によってなされる処理が広く包含されるものであり、当該処理として被処理水に対し供給空気を散気する処理や、エアリフト等による被処理水の移送処理等が挙げられる。また、ここでいう「空気供給源」として、典型的には空気を高圧化して吐出するブロワないしポンプが挙げられる。また、ここでいう「並列状の接続」に関しては、空気供給源からの供給空気が複数の空気処理領域に分岐して流れる形態として構成される。
【0006】
この空気供給配管部は、更に上流配管部、下流配管部、着脱継ぎ手及びオリフィスを含む構成とされる。上流配管部は、空気供給源の下流側に接続される配管部分として構成される。下流配管部は、上流配管部の下流側に配設され、空気処理領域に向かう空気の吐出口を有する配管部分として構成される。着脱継ぎ手は、下流配管部に対し上流管部を着脱可能に接続する着脱部材として構成される。この着脱継ぎ手として、典型的にはネジ係合構造のユニオン類を用いることができる。オリフィスは、上流配管部に設けられ当該上流配管部の管内流路を絞る絞り開口部分として構成される。ここでいう「オリフィス」とは、管内流路を絞る絞り機能を備えた構成のものを広く包含する主旨であり、典型的には板状部材に一定開口面積の絞り孔が形成されたオリフィスプレートや、弁体による管内流路の絞り動作によって開口面積を可変とし供給空気の流量を調整可能な調整エアーバルブなどが、ここでいうオリフィスの範疇に含まれる。
【0007】
このような構成においては、上流配管部に設けられたオリフィスが着脱継ぎ手を介して下流配管部から離脱可能とされる。従って、本発明にかかる水処理装置用空気供給配管のこのような構成によれば、着脱継ぎ手を取り外すことによって、上流配管部をオリフィスとともに下流配管部から離脱させて、オリフィスの清掃やメンテナンス等を容易に行なうことが可能となる。これに対し、槽本体に内装されたブラケット等の被取り付け部材に対し下流配管部を取り付け固定する構成においては、この下流配管部にオリフィスを設けた場合、上流配管部のみならず下流配管部まで槽本体から取り外すか、或いは下流配管部を被取り付け部材に取り付け固定状態のままオリフィスの清掃やメンテナンス等の作業を行なう必要が生じるため作業性低下が懸念される。
【0008】
本発明にかかる水処理装置用空気供給配管の更なる形態では、前記の空気供給配管部は、上流配管部の複数に共通して空気供給源の下流側に接続される単一経路の共通配管部と、共通配管部から分岐して上流配管部の各々の下流側に配設される分岐配管部を含み、またこれら共通配管部及び分岐配管部が一体構造とされ、上流配管部の複数は、空気供給源の下流側に第2の着脱継ぎ手を介して着脱可能に接続される構成であるのが好ましい。このような構成においては、上流配管部の複数は、着脱継ぎ手及び第2の着脱継ぎ手を介して下流配管部及び空気供給源側から離脱可能とされる。従って、このような構成によれば、着脱継ぎ手及び第2の着脱継ぎ手の両方を取り外すことによって、上流配管部をオリフィスとともに下流配管部から離脱させ、更に空気供給源側からも切り離すことが可能となるため、オリフィスの清掃やメンテナンス等を更に容易に行なうことが可能な水処理装置用空気供給配管が提供される。
【0009】
本発明にかかる水処理装置用空気供給配管の更なる形態では、この水処理装置用空気供給配管は、水処理装置に対する内装状態において、槽本体の上方に配設されるマンホール開口の周辺領域に共通配管部及び分岐配管部が配設される構成であるのが好ましい。このマンホール開口は、槽内点検、槽内清掃或いは槽内修理などに用いられる開口部分として構成される。従って、ここでいう「マンホール開口の周辺領域」は、槽本体の槽外からマンホール開口を通じて作業者の手が届くマンホール開口近傍として規定される。
このような構成によれば、着脱継ぎ手及び第2の着脱継ぎ手を取り外して上流配管部を下流配管部及び空気供給源側から離脱させる作業を、マンホール開口を通じて容易に行なうことが可能となる。また、全てのオリフィスの詰まりや閉塞の状況を、マンホール開口を通じて短時間で一度に行なうことが可能となるため、維持管理作業時間の短縮化を図るのに有効とされる。更に、上流配管部を槽本体の槽外へと引き出す作業を、マンホール開口を通じて容易に行なうことが可能となる。
【0010】
本発明にかかる水処理装置は、槽本体に被処理水の浄化処理部を収容する水処理装置であり、浄化処理部のうち、供給空気によって被処理水が処理される複数の空気処理領域、空気を供給する空気供給源、及び空気供給源と複数の空気処理領域との間を並列状に接続する空気供給配管を少なくとも備える。特に空気供給配管は、更に上流配管部、下流配管部、着脱継ぎ手及びオリフィスを含む構成とされる。このような構成においては、上流配管部に設けられたオリフィスが着脱継ぎ手を介して下流配管部から離脱可能とされる。従って、本発明にかかる水処理装置のこのような構成によれば、前述のように、空気供給配管において着脱継ぎ手を取り外すことによって、上流配管部をオリフィスとともに下流配管部から離脱させて、オリフィスの清掃やメンテナンス等を容易に行なうことが可能となる。
【0011】
本発明にかかる水処理装置の更なる形態では、前記の空気供給配管は、上流配管部の複数に共通して空気供給源の下流側に接続される単一経路の共通配管部と、共通配管部から分岐して上流配管部の各々の下流側に配設される分岐配管部を含み、またこれら共通配管部及び分岐配管部が一体構造とされ、上流配管部の複数は、空気供給源の下流側に第2の着脱継ぎ手を介して着脱可能に接続される構成であるのが好ましい。このような構成においては、上流配管部の複数は、着脱継ぎ手及び第2の着脱継ぎ手を介して下流配管部及び空気供給源側から離脱可能とされる。従って、このような構成によれば、前述のように、着脱継ぎ手及び第2の着脱継ぎ手の両方を取り外すことによって、上流配管部をオリフィスとともに下流配管部から離脱させ、更に空気供給源側からも切り離すことが可能となるため、オリフィスの清掃やメンテナンス等を更に容易に行なうことが可能な空気供給配管が装着された水処理装置が提供される。
【0012】
本発明にかかる水処理装置の更なる形態では、当該水処理装置は、槽本体の上方に配設されるマンホール開口を有し、このマンホール開口の周辺領域に共通配管部及び分岐配管部が配設される構成であるのが好ましい。このような構成によれば、前述のように、着脱継ぎ手及び第2の着脱継ぎ手を取り外して上流配管部を下流配管部及び空気供給源側から離脱させる作業を、マンホール開口を通じて容易に行なうことが可能となる。また、全てのオリフィスの詰まりや閉塞の状況を、マンホール開口を通じて短時間で一度に行なうことが可能となるため、維持管理作業時間の短縮化を図るのに有効とされる。更に、上流配管部を槽本体の槽外へと引き出す作業を、マンホール開口を通じて容易に行なうことが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明によれば、槽本体に被処理水の浄化処理部を収容する水処理装置に内装される空気供給配管の構成に関し、特に空気供給源と複数の空気処理領域との間を並列状に接続する空気供給配管の上流配管部に管内流路を絞るオリフィスを設け、オリフィスを有するこの上流配管部を、着脱継ぎ手を介して下流配管部から離脱可能とすることによって、オリフィスの清掃やメンテナンス等の作業性向上を図ることが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明における一実施の形態の水処理装置の構成等を図面に基づいて説明する。なお、本実施の形態は、一般家庭等から排出される排水ないし汚水の処理を行う水処理装置について説明するものである。
【0015】
本発明における「水処理装置」の一実施の形態の水処理装置100の概略構成が図1に示される。この図1に示すように、本実施の形態の水処理装置(「浄化槽」ともいう)100は、槽本体101の内部に各種の浄化処理部ないし浄化処理機構を収容している。槽本体101は、流入管102および流出管103を備えており、流入管102を通じて槽本体101の槽内へ流入した被処理水は、後述する浄化処理部によって連続的に浄化処理されたのち、流出管103を通じて槽本体101の槽外へと放流されるようになっている。また、槽本体101の上部には、槽内点検、槽内清掃或いは槽内修理などに用いられるマンホール開口104が設けられており、通常時はこのマンホール開口104がマンホール蓋(図示省略)によって塞がれる。本実施の形態では、このマンホール開口104の周辺領域に各種の内装部材が局所的ないし集中的に配置されている。
【0016】
槽本体101には、前記の浄化処理部として、処理工程の順に対応して上流(図1中の左側)から第1嫌気濾床槽110、第2嫌気濾床槽130、担体流動生物濾過槽150、処理水槽180、消毒槽190が収容されている。ここでいう槽本体101が、本発明における「槽本体」に相当し、またこの槽本体101に収容された第1嫌気濾床槽110、第2嫌気濾床槽130、担体流動生物濾過槽150、処理水槽180及び消毒槽190によって、本発明における「浄化処理部」が構成される。
【0017】
嫌気濾床槽110,130には各々濾床112,132が形成され、これらの濾床112,132には、被処理水中の有機汚濁物質を嫌気分解する嫌気性微生物が付着する所定量の濾材C1,C2が充填されている。本実施の形態では、被処理水が濾床112,132を図1中の矢印方向へと下向きに降流することによって、被処理水中の有機汚濁物質が嫌気分解されるように構成されている。第1嫌気濾床槽110で処理された水は、仕切壁の上部に形成された開口114を通じて、いわゆる押し出し流れの原理によって第2嫌気濾床槽130へ移流する構成とされる。同様に、第2嫌気濾床槽130で処理された水は、仕切壁の上部に形成された開口134を通じ、押し出し流れの原理によって担体流動生物濾過槽150へ移流する構成とされる。
【0018】
担体流動生物濾過槽150には、担体充填領域152が形成されており、この担体充填領域152には有機汚濁物質を好気分解(好気処理)する好気性微生物が付着する所定量の担体170が、槽内を流動できる程度に充填されている。この担体170として典型的には、粒状の中空円筒形に形成された担体を用いる。担体170が流動可能とされた流動領域の上下には、担体充填領域152を規定する上部担体移動防止用部材154および下部担体移動防止用部材156が設けられている。これら上部担体移動防止用部材154,下部担体移動防止用部材156は、被処理水の通過は許容するが担体170の通過は防止する多数の孔が形成された多孔板(「パンチングプレート」ともいう)によって構成されている。
【0019】
また、この担体流動生物濾過槽150には、担体充填領域152内に散気装置160が設けられており、また担体充填領域152の下方、すなわち散気装置160よりも下方に逆洗装置162が設けられている。
【0020】
散気装置160は、空気を高圧化して吐出するブロワ(「送風機」或いは「ポンプ」ともいう)200の吐出部に接続された空気供給配管210に接続されており、散気運転において担体充填領域152の担体170に好気処理に用いる空気を供給する構成を有する。この散気装置160は、具体的には配管部材(散気管)に複数の空気供給孔が設けられた構成とされる。このような構成において、散気運転時に空気供給配管210を通じて散気装置160から所定量の空気が供給されると、散気装置160よりも上方に好気処理領域が形成され、散気装置160よりも下方に濾過処理領域が形成される。
【0021】
一方、逆洗装置162は、ブロワ200の吐出部に接続された空気供給配管220に接続されており、逆洗運転において担体充填領域152の担体170に逆洗処理を行う際に用いる空気を供給する構成を有する。この逆洗装置162は、具体的には配管部材(逆洗管)に複数の空気供給孔が設けられた構成とされる。このような構成において、逆洗運転時に空気供給配管220を通じて逆洗装置162から所定量の空気が供給されると、担体充填領域152の担体170全体が流動化し、散気運転において被濾過物を濾過した担体170の洗浄処理が行われる。なお、逆洗装置162から供給される空気量は、典型的には通常運転時に散気装置160から供給される空気量よりも多くなるように設定される。
【0022】
担体流動生物濾過槽150において好気分解(好気処理)された水は、一旦処理水槽180に貯留される。この処理水槽180には、ケーシング内に流入した供給空気の作用によって流体を吸入して吐出するエアリフト式の流体移送構造(ポンプ構造)を有する第1エアリフト164および第2エアリフト166が設置されている。これら第1エアリフト164や第2エアリフト166は、エアリフトポンプとも称呼される。
【0023】
第1エアリフト164は、その吸入部が処理水槽180側から担体流動生物濾過槽150側へと延在して担体流動生物濾過槽150の底部に配置され、その吐出部が第1嫌気濾床槽110に配置されており、またこの第1エアリフト164には、ブロワ200の吐出部に接続された空気供給配管220が接続されている。このような構成において、逆洗運転時に空気供給配管220を通じて第1エアリフト164に所定量の空気が供給されると、担体流動生物濾過槽150の底部から抜き出された逆洗水は、図1中のBで示すように第1嫌気濾床槽110へと移送されるようになっている。
【0024】
一方、第2エアリフト166は、その吸入部が処理水槽180の底部に配置され、その吐出部が第1嫌気濾床槽110に配置されており、またこの第2エアリフト166にはブロワ200の吐出部に接続された空気供給配管210が接続されている。このような構成において、散気運転時に空気供給配管210を通じて第2エアリフト166に所定量の空気が供給されると、処理水槽180の底部から抜き出された水は、図1中のAで示すような循環水として第1嫌気濾床槽110へと移送されるようになっている。
【0025】
処理水槽180に貯留された水は消毒槽190へと移流するようになっている。なお、必要に応じて、処理水槽180と消毒槽190との間に、消毒槽190へと移流する被処理水の移流量を調節可能な計量装置(図示省略)を設けることもできる。消毒槽190は消毒剤が充填された薬筒192を備えており、槽本体101の槽外へ放流する前の水は、薬筒192から溶出する消毒剤成分によって消毒処理するように構成されている。
【0026】
ここで、上記空気供給配管210の更なる具体的な構成に関し、図2を参照しつつ説明する。図2には、図1中の空気供給配管210を上方(槽本体101のマンホール開口104側)から視た平面図が示される。ここでいう空気供給配管210が本発明における「水処理装置用空気供給配管」及び「空気供給配管」に相当する。
【0027】
図2に示すように、本実施の形態の空気供給配管210は、ブロワ200の下流に延在する空気吐出用のブロワ吐出配管201の下流側に配設される配管とされる。ここでいうブロワ200及びブロワ吐出配管201によって、本発明における「空気を供給する空気供給源」が構成される。また、この空気供給配管210は、ブロワ吐出配管201側に設けられた着脱継ぎ手202を介してブロワ吐出配管201に着脱可能に接続される構成とされる。ここでいう着脱継ぎ手202が、本発明における「第2の着脱継ぎ手」に相当する。
【0028】
この空気供給配管210は、所定の高さの水平面上に延在する上流配管部211と、この上流配管部211から鉛直方向に長尺状に延在する下流配管部213,215,217に区分される。上流配管部211は、共通配管部211aと、この共通配管部211aから分岐する分岐配管部211b,211c,211dを含む構成とされる。共通配管部211a及び分岐配管部211b,211c,211dは、いずれも管内流路を絞る絞り開口部分としてのオリフィスプレート230をそれぞれ収容する構成とされる。このオリフィスプレート230は、板状部材に一定開口面積の絞り孔が形成されたオリフィスプレートとして構成される。分岐配管部211bは、下流配管部213側に設けられた着脱継ぎ手203を介して下流配管部213に着脱可能に接続される構成とされる。同様に、分岐配管部211cは、下流配管部215側に設けられた着脱継ぎ手204を介して下流配管部215に着脱可能に接続される構成とされ、また分岐配管部211dは、下流配管部217側に設けられた着脱継ぎ手205を介して下流配管部217に着脱可能に接続される構成とされる。ここでいう着脱継ぎ手203,204,205が、本発明における「着脱継ぎ手」に相当する。これら着脱継ぎ手203,204,205及び前述の着脱継ぎ手202として、典型的にはネジ係合構造のユニオン類を用いることができる。このユニオン類として、例えば片ユニオン、自在ユニオン、エルボユニオン、チーズユニオン、ネジ付ユニオンをはじめ、これら各ユニオンにエアーバルブが装着されたエアーバルブ付ユニオンなどを好適に用いることができる。
【0029】
一方、下流配管部213,215,217のそれぞれは、散気装置160、第2エアリフト166、計量調整装置(図示省略)の各空気処理領域に対し割り当てられ、当該空気処理領域に向かう空気の吐出口を有する構成とされる。従って、これら散気装置160、第2エアリフト166及び計量調整装置によって、本発明における「供給空気によって被処理水が処理される複数の空気処理領域」が構成される。本実施の形態では、ブロワ200と複数の空気処理領域との間が空気供給配管210によって並列状に接続される。ここでいう「並列状の接続」に関しては、ブロワ200からの供給空気が複数の空気処理領域に分岐して流れる形態として構成される。また、これら下流配管部213,215,217は、槽本体101に内装されたブラケット等の被取り付け部材(図示省略)に取り付け固定されるように構成される。このような構成においては、共通配管部211a及び分岐配管部211b,211c,211dのそれぞれに設けられたオリフィスプレート230によって、散気装置160、第2エアリフト166及び計量調整装置の空気処理領域間に水位差が生じる場合であっても、供給空気の分配を適正に行なうことが可能とされる。その反面、オリフィスプレート230は、管内流路を絞る構成ゆえ、被処理水中の固形物等による詰まりや閉塞が生じ易く、定期的なメンテナンスや清掃作業が必要とされる。
【0030】
そこで、本実施の形態の空気供給配管210の上記構成によれば、上流配管部211は、着脱継ぎ手202〜205を取り外すことによって、図2中で示す領域Cが下流配管部213,215,217及びブロワ吐出配管201から離脱可能とされる。従って、空気供給配管210を切断したり、散気装置160や第2エアリフト166などとともに交換する必要がなく、上流配管部211の取り外し作業を短時間で容易に行なうことが可能となる。とりわけ、着脱継ぎ手202〜205を単一の上流配管部211の周辺に集約して配置することによって作業が容易になる。また、全てのオリフィスプレート230が設けられたこの上流配管部211を離脱させることによって、各オリフィスプレート230のメンテナンスや清掃作業が一括して可能となる。ここでいうオリフィスプレート230が、本発明における「オリフィス」に相当する。これに対し、槽本体101に内装されたブラケット等の被取り付け部材に対し下流配管部213,215,217を取り付け固定する構成においては、この下流配管部213,215,217にオリフィスプレート230を設けた場合、上流配管部211のみならず下流配管部213,215,217まで槽本体101から取り外すか、或いは下流配管部213,215,217を被取り付け部材に取り付け固定状態のままオリフィスプレート230の清掃やメンテナンス等の作業を行なう必要が生じるため作業性低下が懸念される。
【0031】
特に、マンホール開口104の周辺領域、すなわち槽本体101の槽外からマンホール開口104を通じて作業者の手が届くマンホール開口104近傍に、上流配管部211(共通配管部211a及び分岐配管部211b,211c,211d)を配設するのが好ましい。ここでいうマンホール開口104が、本発明における「マンホール開口」に相当し、またこのマンホール開口104近傍に配設される上流配管部211(共通配管部211a及び分岐配管部211b,211c,211d)によって、本発明における共通配管部及び分岐配管部が構成される。
【0032】
このような構成によれば、着脱継ぎ手202〜205を取り外して上流配管部211を下流配管部213,215,217及びブロワ吐出配管201から離脱させる作業を、マンホール開口104を通じて容易に行なうことが可能となる。また、全てのオリフィスプレート230の詰まりや閉塞の状況を、マンホール開口104を通じて短時間で一度に行なうことが可能となるため、維持管理作業時間の短縮化を図るのに有効とされる。更に、上流配管部211を槽本体101の槽外へと引き出す作業を、マンホール開口104を通じて容易に行なうことが可能となる。
【0033】
上述のような空気供給配管210における特徴部分は、当該空気供給配管210のみならず空気供給配管220の構成に対しても適用することもできる。
【0034】
〔他の実施の形態〕
なお、本発明は上記の実施の形態のみに限定されるものではなく、種々の応用や変形が考えられる。例えば、上記実施の形態を応用した次の各形態を実施することもできる。
【0035】
上記実施の形態の空気供給配管210では、下流配管部213,215,217側及びブロワ吐出配管201側に着脱継ぎ手202〜205を設ける場合について記載したが、本発明では、空気供給配管自体に着脱継ぎ手を設けることもできる。この変更例に関しては図3が参照される。図3には、別実施の形態の空気供給配管310を上方(槽本体101のマンホール開口104側)から視た平面図が示される。この図3では、図2中の示す構成要素と同一の構成要素に同一の符号を付しており、当該同一の構成要素に関する説明は省略する。図3に示すこの空気供給配管310では、共通配管部211a及び分岐配管部211b,211c,211dは、いずれも管内流路を絞るオリフィスプレート230をそれぞれ収容するとともに、更に着脱継ぎ手202〜205をそれぞれ備える構成とされる。このような構成によれば、単一の空気供給配管310に複数の着脱継ぎ手202〜205を集約した合理的な構造が実現される。
【0036】
また、上記実施の形態の空気供給配管210,310では、共通配管部211a及び分岐配管部211b,211c,211dの四箇所全てにオリフィスプレート230を設ける構成について記載したが、本発明では、当該空気供給配管の用途や空気供給先の水位などの要請に応じて、共通配管部211a及び分岐配管部211b,211c,211dの四箇所のうちの少なくとも一箇所にオリフィスプレート230を設けた構成を採用することができる。
【0037】
また、上記実施の形態では、空気供給配管210,310において管内流路を絞る部材としてオリフィスプレート230を用いる場合について記載したが、本発明では、このオリフィスプレート230に代えて或いは加えて、管内流路を絞る絞り機能を備えた別の部材を空気供給配管210,310に設けることも可能である。当該別の部材として、例えば弁体による管内流路の絞り動作によって開口面積を可変とし供給空気の流量を調整可能な調整エアーバルブを採用することができる。調整エアーバルブを採用した場合の具体的な構成に関しては、図4が参照される。
【0038】
図4には、別実施の形態の空気供給配管410を上方(槽本体101のマンホール開口104側)から視た平面図が示される。この図4では、図2中の示す構成要素と同一の構成要素に同一の符号を付しており、当該同一の構成要素に関する説明は省略する。図4に示すこの空気供給配管410では、分岐配管部211bのオリフィスプレート230に代えて調整エアーバルブ430を設置している。この調整エアーバルブ430は、調整レバー431が操作されることによって、弁体による管内流路の絞り動作或いは絞り解除動作によって開口面積が可変とされ、下流配管部213へ流れる空気の流量が調整される。このような構成によってもオリフィスプレート230を用いる場合と同様の作用効果を少なくとも奏することとなる。なお、この空気供給配管410では、当該空気供給配管の用途や空気供給先の水位などの要請に応じて、共通配管部211a及び分岐配管部211c,211dの三箇所に設置したオリフィスプレート230のうちの少なくとも1つを省略することもできる。
【0039】
また、上記実施の形態の空気供給配管210は、ブロワ吐出配管201側に設けられた着脱継ぎ手202を介してブロワ吐出配管201に着脱可能に接続される場合について記載したが、本発明では、この空気供給配管210は、その上流側がブロワ吐出配管201と一体状の配管として構成されてもよい。
【0040】
また、上記実施の形態では、槽本体101に第1嫌気濾床槽110、第2嫌気濾床槽130、担体流動生物濾過槽150、処理水槽180、消毒槽190を収容する水処理装置100に対し本発明を適用する場合について記載したが、本発明では、供給空気によって被処理水が処理される複数の空気処理領域を有する水処理装置の構成に対し本発明を適用することができ、これに関しては槽本体101に収容される各種の浄化処理部分の種類や数、組み合わせを必要に応じて適宜変更可能である。
【0041】
また、上記実施の形態では、家庭用の水処理装置について記載したが、本発明は、家庭用の水処理装置のみならず、工場などに設置される各種の水処理装置に対しても同様に適用可能な技術である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明における「水処理装置」の一実施の形態の水処理装置100の概略構成を示す図である。
【図2】図1中の空気供給配管210を上方(槽本体101のマンホール開口104側)から視た平面図である。
【図3】別実施の形態の空気供給配管310を上方(槽本体101のマンホール開口104側)から視た平面図である。
【図4】別実施の形態の空気供給配管410を上方(槽本体101のマンホール開口104側)から視た平面図である。
【符号の説明】
【0043】
100…水処理装置
101…槽本体
110…第1嫌気濾床槽
112…濾床
130…第2嫌気濾床槽
132…濾床
150…担体流動生物濾過槽
152…担体充填領域
154…上部担体移動防止用部材
156…下部担体移動防止用部材
160…散気装置
162…逆洗装置
164…第1エアリフト
166…第2エアリフト
170…担体
180…処理水槽
190…消毒槽
192…薬筒
200…ブロワ
201…ブロワ吐出配管
202,203,204,205…着脱継ぎ手
210,220,310,410…空気供給配管
211…上流配管部
211a…共通配管部
211b,211c,211d…分岐配管部
213,215,217…下流配管部
230…オリフィスプレート
430…調整エアーバルブ
431…調整レバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
槽本体に被処理水の浄化処理部を収容する水処理装置に内装される水処理装置用空気供給配管であって、
空気を供給する空気供給源と、供給空気によって被処理水が処理される複数の空気処理領域との間を並列状に接続する空気供給配管部を備え、
前記空気供給配管部は、前記空気供給源の下流側に接続される上流配管部と、前記上流配管部の下流側に配設され、前記空気処理領域に向かう空気の吐出口を有する下流配管部と、前記下流配管部に対し前記上流管部を着脱可能に接続する着脱継ぎ手と、前記上流配管部に設けられ当該上流配管部の管内流路を絞るオリフィスを含む構成であり、これにより前記上流配管部に設けられた前記オリフィスが前記着脱継ぎ手を介して前記下流配管部から離脱可能とされることを特徴とする水処理装置用空気供給配管。
【請求項2】
請求項1に記載の水処理装置用空気供給配管であって、
前記空気供給配管部は、前記上流配管部の複数に共通して前記空気供給源の下流側に接続される単一経路の共通配管部と、前記共通配管部から分岐して前記上流配管部の各々の下流側に配設される分岐配管部を含み、またこれら共通配管部及び分岐配管部が一体構造とされる構成であり、
前記上流配管部の複数は、前記空気供給源の下流側に第2の着脱継ぎ手を介して着脱可能に接続される構成であり、これより前記着脱継ぎ手及び第2の着脱継ぎ手を介して前記下流配管部及び空気供給源側から離脱可能とされることを特徴とする水処理装置用空気供給配管。
【請求項3】
請求項2に記載の水処理装置用空気供給配管であって、
前記水処理装置に対する内装状態において、前記槽本体の上方に配設されるマンホール開口の周辺領域に前記共通配管部及び分岐配管部が配設される構成であることを特徴とする水処理装置用空気供給配管。
【請求項4】
槽本体に被処理水の浄化処理部を収容する水処理装置であって、
前記浄化処理部のうち、供給空気によって被処理水が処理される複数の空気処理領域と、
空気を供給する空気供給源と、
前記空気供給源と前記複数の空気処理領域との間を並列状に接続する空気供給配管と、
を備え、
前記空気供給配管は、前記空気供給源の下流側に接続される上流配管部と、前記上流配管部の下流側に配設され、前記空気処理領域に向かう空気の吐出口を有する下流配管部と、前記下流配管部に対し前記上流管部を着脱可能に接続する着脱継ぎ手と、前記上流配管部に設けられ当該上流配管部の管内流路を絞るオリフィスを含む構成であり、これにより前記上流配管部に設けられた前記オリフィスが前記着脱継ぎ手を介して前記下流配管部から離脱可能とされることを特徴とする水処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の水処理装置であって、
前記空気供給配管は、前記上流配管部の複数に共通して前記空気供給源の下流側に接続される単一経路の共通配管部と、前記共通配管部から分岐して前記上流配管部の各々の下流側に配設される分岐配管部を含み、またこれら共通配管部及び分岐配管部が一体構造とされる構成であり、
前記上流配管部の複数は、前記空気供給源の下流側に第2の着脱継ぎ手を介して着脱可能に接続される構成であり、これより前記着脱継ぎ手及び第2の着脱継ぎ手を介して前記下流配管部及び空気供給源側から離脱可能とされることを特徴とする水処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の水処理装置であって、
前記槽本体の上方に配設されるマンホール開口を有し、前記マンホール開口の周辺領域に前記共通配管部及び分岐配管部が配設される構成であることを特徴とする水処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−248007(P2009−248007A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−99785(P2008−99785)
【出願日】平成20年4月7日(2008.4.7)
【出願人】(390021348)フジクリーン工業株式会社 (71)
【Fターム(参考)】