説明

水処理装置

【課題】
本発明の課題は、被処理水の混気率の向上によって、被処理水中の成分と気体とを十分に反応させ、被処理水を処理することができる水処理装置を提供することにある。
【解決手段】
本発明の水処理装置は、螺旋状の羽根体を有する螺旋羽根を備えることで、ポンプによって反応管内に流入した被処理水と気体導入部によって反応管内に導入された気体とが、撹拌されながらその螺旋羽根に沿って排出管に向かって流れる。これにより、被処理水中により多くの気体が溶存し、被処理水中の混気率が向上する。そのため、被処理水中の成分と気体とを十分に反応させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸素、オゾン、水素、又は、空気などの気体によって処理水を反応処理する水処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、処理水に気体を注入して、処理水と気体とを反応させる方法及び装置が開発されている。その中の1つに、処理水を酸化処理するための気体としてオゾンを利用した水処理装置がある(例えば、特許文献1参照)。そのほかに、エジェクターでオゾンを処理水に注入する方法がある。
【0003】
【特許文献1】特開平09−234474号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1に示した水処理装置は、処理水が流入する処理槽の底部に散気装置を備え、この散気装置からオゾンを処理水中に注入している。しかしながら、特許文献1のような散気装置や、従来のエジェクターを処理槽を利用したとしても、被処理水と気体とが効率的に混合せず、被処理水中の成分と気体との反応が円滑に進行しない。すなわち、十分に被処理水を処理することができないという問題点があった。
【0005】
そこで、本発明は、上記実状に鑑みて被処理水への混気率の向上を目的に開発を進めた結果として見出された。すなわち、本発明は、被処理水の混気率の向上によって、被処理水中の成分と気体とを十分に反応させ、被処理水を処理することができる水処理装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の水処理装置は、被処理水中の成分を該被処理水に溶存した気体に反応させる反応管と、前記被処理水を前記反応管に流入させる流入管と、前記流入管から前記反応管に前記被処理水を導入させるポンプと、前記反応管に前記気体を導入させる気体導入部と、前記反応管に設けられ、前記気体導入部から導入された前記気体によって前記被処理水中の成分を反応させることで、前記被処理水を処理した処理水を排出する排出管と、前記反応管内の中心に備えられ、棒体及び該棒体を中心に螺旋状に形成された羽根体を有する螺旋羽根とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の水処理装置は、螺旋状の羽根体を有する螺旋羽根を備えることで、ポンプによって反応管内に流入した被処理水と気体導入部によって反応管内に導入された気体とが、撹拌されながらその螺旋羽根に沿って排出管に向かって流れる。これにより、被処理水中により多くの気体が溶存し、被処理水中の混気率が向上する。そのため、被処理水中の成分と気体とを十分に反応させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明について、図面を参照しながら詳細に説明する。本発明の水処理装置は、図1のように、主に、ポンプ1と、反応管2と、気体導入部3を有している。本発明の水処理装置は、このポンプ1によって処理を必要とする被処理水を汲みあげて反応管2に流入させ、気体導入部3で導入した気体と被処理水中の成分とを反応させることで被処理水を処理することができる。
【0009】
本発明において、被処理水は、気体によって反応させる成分を含有する水のことで、例えば酸素、オゾン、空気などによる酸化反応、あるいは、水素などのよる還元反応を必要とする成分を有する水のことを示す。この成分としては、鉄などの金属や有機物などが挙げられる。また、本発明において処理水とは、被処理水中の成分と気体とが反応することによって処理された水のことを示し、すなわち反応管2から排出される水のことを示す。
【0010】
図2は、本発明の水処理装置の反応管の内部構造の一部を示す図である。図2のように、反応管2は、内部を中空とした任意の内径を有する円筒状の部材である。そして、反応管2の後述する螺旋羽根が備えられる箇所、すなわち、反応管2の中央近傍は、周方向の各断面によって描かれる円の中心を結ぶ線(以下、反応管2の軸)が略直線となるような管である。この反応管2の両端には、流入管25と、排出管29とが備えられている。
【0011】
流入管25は、反応管2の端部近傍に備えられ、内部を中空とした例えば円筒状の管状部材で、ポンプ1と反応管2とを接続し、ポンプ1から被処理水を反応管2に流入させる。この流入管25は、ポンプ1を介して、反応管2の内部に被処理水を流入させることができればどのような形状であってもよく、その内径が反応管2の内径と同じ大きさであっても、屈曲していてもよい。また、この流入管25は、反応管2の端面に備えられていても、側面に備えられていてもよい。
【0012】
排出管29は、反応管2の端部近傍に備えられ、内部を中空とした例えば円筒状の環状部材で、反応管2で気体との反応によって処理された処理水を排出させる。この排出管29は、処理水を反応管2から排出することができればどのような形状であってもよく、その内径が反応管2の内径と同じ大きさであっても、屈曲していてもよい。また、この排出管29は、反応管2の端面に備えられていても側面に備えられていてもよい。
【0013】
反応管2の内側には、反応管2の軸が略直線となる反応管2の中央近傍に、図2のように、棒体21とその棒体21を中心とした螺旋状の羽根体22とからなる螺旋羽根が挿入されるように備えられる。棒体21は、所定の長さを有する略直線状で、その両端部は、反応管2の略中心となるように、この反応管2の端部に支持される。この棒体21は、反応管2に回転可能に支持されていてもよく、図示しないモータなどの駆動源により回転可能とすることも可能である。螺旋羽根を回転可能とすることで、反応管2内に溜まったゴミなどを容易に排出することができ、本発明の水処理装置のメンテナンスが容易となる。
【0014】
この螺旋羽根の羽根体22は、図3のように、棒体21を中心とした螺旋状の羽根である。この羽根体22は、羽根体22が反応管2の内側側面に接触しないように、反応管2と羽根体22との間に隙間が形成されるように設けられている。このとき、反応管2と羽根体22との隙間は、大きくても羽根体22に沿って螺旋状に旋回しながら排出管に流れる被処理水によって混気率の向上はみられるが、この隙間を小さくすればするほど、羽根体22に沿って螺旋状に旋回しながら排出管に流れる被処理水が多くなり、気体の混気率をさらに向上させることができる。
【0015】
このように、反応管2は、螺旋羽根を内側に備えている。この反応管2は、内側に螺旋羽根を備える中央近傍以外は、被処理水を流入させ、処理水を排出することができれば、どのような形状でもよく、屈曲していても細くなっていてもよい。また、内側に螺旋羽根を備える中央近傍の反応管2の形状は、反応管2の軸が直線となっている方が好ましい。
【0016】
この反応管2の流入管25には、ポンプ1が備えられる。ポンプ1は、反応管2で処理する被処理水を汲みあげ、被処理水を流入管25を介して反応管2内に流入させる。このとき、ポンプ1は、継続的に流入管25を介して被処理水を反応管2に送り込む。
【0017】
また、流入管25が備えられている反応管2の近傍には、気体導入部3が備えられている。この気体導入部3は、被処理水に溶存させる気体を反応管2に送り込むことができる。この気体導入部3は、気体を送り込むことができればどのようなものであってもよいが、例えばコンプレッサーなどによって水圧よりも高い圧力となるように加圧された気体を気体導入部3内の導入管を通じて反応管2内に送り込むことで、被処理水が逆流することなく反応管2の内部に気体を送り込むことができる。また、例えば、既に加圧された気体を有するボンベなどを利用する場合、気体の導入量を制御するバルブなどを介して、反応管2とボンベとが接続されていてもよい。
【0018】
この気体導入部3で反応管2に導入する気体は、被処理水中の成分を酸化させるか還元させるかに応じて適宜選択される。例えば、被処理水中の成分を酸化させる場合、酸素、オゾン、空気などから、被処理水中の成分に応じて、その成分と反応しやすい気体が選択され、気体導入部3は、選択された酸素、オゾン、空気などの気体を導入する。また、被処理水中の成分を還元させる場合、水素などが選択され、気体導入部3は、水素などの気体を導入する。これにより、被処理水中の成分を反応させて、被処理水を処理することができる。気体導入部3から反応管2に導入される気体は、可能な限り細かい気泡として導入されることが好ましい。また、この気体導入部3は、気体を混気させた被処理水や液体を反応管2に導入させてもよい。
【0019】
このような構成を有する本発明の水処理装置は、以下のように動作する。ここでは、空気を反応管2に導入する水処理装置の動作を例示するするが、本発明は、これに限定されるものではない。
【0020】
まず、ポンプ1は、処理する被処理水を汲みあげ、流入管25を介して、反応管2に流入させる。このとき、気体導入部3は、空気を加圧し、反応管2に導入する。
【0021】
ポンプ1から継続的に被処理水が反応管2に流入することで、反応管2に流入した被処理水は、螺旋羽根の羽根体22に沿って、棒体21を中心とするように、螺旋状に旋回しながら、排出管29の方向に流れる。同様に、気体導入部3から継続的に気体が反応管2に導入されることで、反応管2に導入された細かな気泡も、螺旋羽根の羽根体22に沿って棒体を21を中心とするように、螺旋状に旋回しながら、排出管29の方向に流れる。
【0022】
このように被処理水は、螺旋羽根に沿って旋回しながら流れることで、被処理水が撹拌されながら排出管に流れるような状態となる。したがって、細かな気泡として導入されている気体が被処理水に溶存しやすくなり、空気の混気率を向上させることができる。
【0023】
被処理水中には、空気中の酸素と反応して酸化する成分が含まれており、空気中の酸素と被処理水中の成分とが接触することで、酸化反応が起こる。すなわち、被処理水中の成分が酸化されることで、被処理水を処理することができる。
【0024】
本発明の水処理装置は、上述のように、空気の混気率が向上しているため、被処理水中の成分と空気中の酸素とが接触する機会が多くなる。したがって、従来に比べより被処理水を処理することが可能となる。このように、反応管2で処理された処理水は、反応管2の排出管29から排出される。
【0025】
以上のように、本発明の水処理装置は、螺旋状の羽根体を有する螺旋羽根を備えることで、ポンプによって反応管内に流入した被処理水と気体導入部によって反応管内に導入された気体とが、撹拌されながらその螺旋羽根に沿って排出管に向かって流れる。これにより、被処理水中により多くの気体が溶存し、被処理水中の混気率が向上する。そのため、被処理水中の成分と気体とを十分に反応させることができ、処理効率の高い水処理装置として提供できる。
【0026】
上述した水処理装置は、気体として空気を使用することができるが、本発明の水処理装置は、これに限定されるものではなく、酸素、オゾン、水素などの気体を使用することができる。気体としてこれら気体を使用する場合も、上述した空気の例と同様に、使用する気体のボンベなどを備え付けることで反応管2への導入が可能となる。
【0027】
上述した本発明の水処理装置の羽根体22には、例えば図4のように、羽根体22の表面に半球状の突起からなる抵抗体23が複数備えられていてもよい。抵抗体23は、流入管25から流入する被処理水が、螺旋羽根の羽根体22に沿って螺旋状に旋回して排出管29に向かって流れる際、その被処理水の流れに対して抵抗となるものである。すなわち、この抵抗体23は、被処理水の流れに対して妨げになるものである。
【0028】
この羽根体22に備えられる抵抗体23は、図4に示されるような、半球状の突起に限られるものではなく、円柱状、円錐状、多角柱状、多角柱状など、どのような形状であっても、また、どのような大きさ、長さであっても、被処理水の流れの抵抗となるような形状であればよい。また、抵抗体23の数も限定されるものではない。さらに、抵抗体23は、例えば、流入管側から排出管側にかけて羽根体22の表面に連続的に備えられていてもよい。
【0029】
このような抵抗体23を備えた羽根体22を有する螺旋羽根が挿入されている反応管2で、被処理水は、上述のように、螺旋羽根の羽根体22に沿って螺旋状に旋回して排出管29に向かって流れるだけでなく、抵抗体23を有する羽根体22の表面で、被処理水の流れが乱れる。そのため、抵抗体23の近傍で、被処理水が撹拌された状態となり、気体導入部3から反応管2に導入された気体がより溶存しやすい状態となり、混気率をさらに向上させることができる。すなわち、被処理水中の成分を反応を促進させて、被処理水を処理することができる。
【0030】
また、被処理水に溶存している気体は、水圧やその他の影響により大きな気泡となってしまうこともある。上述のような抵抗体23を備えることにより、気泡は、抵抗体23に引っかかるように留まり、流れてくる被処理水によって粉砕されるように再び小さい気泡となる。これにより、再び被処理水中に溶存しやすくなり、混気率の低下を防ぐことができる。すなわち、より処理水中の成分を反応させて、被処理水を処理することができる。
【0031】
上述した本発明の水処理装置の気体導入部3は、図5のような、混気ジェットポンプを利用してもよい。本発明の水処理装置では、図5に示される混気ジェットポンプに限定されるものではなく、混気ジェットポンプとして従来から様々な形式のものを用いることができる。以下、図5を参照して混気ジェットポンプ及び本発明の水処理装置を説明する。
【0032】
図5に示される混気ジェットポンプは、流路30と、ノズル32と、気体注入口34とを有している。流路30は、曲がり部31を有しており、この曲がり部31の外側から流路30の吐出側に向けてノズル32が設けられている。このノズル32には、図示しないポンプと気体注入口34が備えられている。流路30の吐出側には、上述した気体導入部3と同様に、反応管2と接続されており、流路30の吸込側から被処理水を吸い込むようになっている。
【0033】
このノズル32は、高圧の被処理水が噴射されるが、このとき、被処理水中の成分と反応する気体が気体注入口34からノズル32内の被処理水中に注入される。これにより、高圧の被処理水が気体を吸入して気液混合状態(混気状態)となり、ノズル32から、流路30にジェット33となって噴射される。このように噴射されるジェット33は、流路30にある液体あるいは始動時の気体を反応管2の方向に押し込むことで、曲がり部31近傍が負圧となり、流路30に被処理水を吸い込むことができる。
【0034】
この混気ジェットポンプを使用すると、ノズル32から噴射される高圧の被処理水が気体との混気状態で噴射される。そして、混気ジェットポンプ中の被処理水は、混気状態の被処理水と、流路30に吸い込まれた被処理水とが混合し、気体が効率的に混気した被処理水を反応管2に導入することができる。したがって、気体をより効率的に混気させることができ、被処理水中の成分を円滑に反応させることができ、被処理水をより円滑に処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の水処理装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の水処理装置の反応管の内部構造の一部を示す図である。
【図3】本発明の水処理装置の螺旋羽根の上面を示す図である。
【図4】本発明の水処理装置の別の例の螺旋羽根の形状を示す図である。
【図5】本発明の水処理装置の気体導入部の一例としての混気ジェットポンプの概略構成を示す図である。
【符号の説明】
【0036】
1 ポンプ
2 反応管
21 棒体
22 羽根体
23 抵抗体
25 流入管
29 排出管
3 気体導入部
30 流路
31 曲がり部
32 ノズル
33 ジェット
34 気体注入口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理水中の成分を該被処理水に溶存した気体に反応させる反応管と、
前記被処理水を前記反応管に流入させる流入管と、
前記流入管から前記反応管に前記被処理水を導入させるポンプと、
前記反応管に前記気体を導入させる気体導入部と、
前記反応管に設けられ、前記気体導入部から導入された前記気体によって前記被処理水中の成分を反応させることで、前記被処理水を処理した処理水を排出する排出管と、
前記反応管内の中心に備えられ、棒体及び該棒体を中心に螺旋状に形成された羽根体を有する螺旋羽根とを有することを特徴とする水処理装置。
【請求項2】
前記羽根体には、前記流入管から前記排出管に向い、前記螺旋状の羽根体に沿って流れる前記被処理水の流れに抵抗する抵抗体が備えられていることを特徴とする請求項1に記載の水処理装置。
【請求項3】
前記棒体を回転駆動させる駆動源が備えられ、
前記螺旋羽根は、前記反応管内で、前記棒体を中心に回転駆動することを特徴とする請求項1に記載の水処理装置。
【請求項4】
前記気体導入部は、前記気体を混気した前記被処理水を用いた混気ジェットポンプであることを特徴とする請求項1に記載の水処理装置。
【請求項5】
前記気体は、酸素、オゾン、水素、又は、空気であることを特徴とする請求項1に記載の水処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−173525(P2008−173525A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−6611(P2007−6611)
【出願日】平成19年1月16日(2007.1.16)
【出願人】(506412181)
【出願人】(502322774)
【Fターム(参考)】