説明

水処理装置

【課題】設置スペースを拡大させることなく、安定した水量の純水を外部機器に供給させることが可能な水処理装置1を提供すること。
【解決手段】水処理装置1は、被処理水を精製して得られる第1処理水を貯水する貯水タンク6と、前記貯水タンク6から供給される第1処理水を精製して第2処理水を得る精製部7と、所定の外部機器に接続され、前記所定の外部機器に前記第1処理水及び/又は前記第2処理水を供給させる供給ポンプ8と、前記精製部7と前記供給ポンプ8とを接続させる接続ライン10dと、前記接続ライン10dと前記貯水タンク6とを接続させる補助ライン10eと、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水処理装置に関し、特には、半導体の洗浄等に用いられる高純度の純水を得るための水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体等の洗浄には、不純物を含まない水、いわゆる純水が多く使用されている。一般に、工業用水等の原水から純水を得るための水処理装置としては、逆浸透膜を利用した逆浸透膜装置(RO装置)や、イオン交換膜及びイオン交換樹脂を利用した電気式脱イオン装置(EDI装置)等が用いられている。例えば、逆浸透膜装置は、溶媒は通すが溶質は透過させないという逆浸透膜の性質を利用して、被処理水の浸透圧より高い圧力をかけて溶媒としての水だけを選択的に透過させ、採取することを可能にしたものである(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平5−220480
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、近年においては、半導体等の電子技術の発達に伴い、洗浄水として用いられる純水も、より高純度のものが要求されるようになっている。そして、逆浸透膜装置は、逆浸透膜装置単独では、原水中のイオンの除去が不完全になる場合がある。そのため、例えば、逆浸透膜装置により精製させて得られた処理水を更に電気式脱イオン装置により精製させて、より高純度の純水を選択的に透過採取することが必要な場合がある。
【0004】
電気式脱イオン装置は、積層されたカチオン交換膜及びアニオン交換膜の間にイオン交換樹脂を充填して脱イオン室が構成されている。そのため、脱イオン室に通水する際の圧力の損失が高く、所定の水量を外部機器に供給させるためには、例えば、給水ポンプを電気式脱イオン装置の下流側に設け、この給水ポンプを用いて所定の流量を電気式脱イオン装置から外部機器に供給させる必要がある。しかしながら、電気式脱イオン装置の下流側に給水ポンプを配置させると、例えば、電気式脱イオン装置の流量と供給ポンプの流量のバランスが変動した場合に、上流側に配置される電気式脱イオン装置のイオン交換膜に背圧を生じさせるおそれがあった。あるいは、下流側に配置される給水ポンプが負圧となり、キャビテーションを発生させるおそれもあった。
【0005】
これに対しては、電気式脱イオン装置の下流側に貯水タンクを配設させることにより回避可能となるが、貯水タンクを新たに配設すると、例えば、貯水タンクの設置スペースの確保が必要であったり、貯水タンクを設置させための多大なコストがかかるという問題があった。また、貯水タンクを設けることにより、新たに炭酸ガスが再溶存するおそれがあるという問題があった。
【0006】
従って、本発明は、設置スペースを拡大させることなく、安定した水量の純水を外部機器に供給させることが可能な水処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の水処理装置は、被処理水を精製して得られる第1処理水を貯水する貯水タンクと、前記貯水タンクから供給される第1処理水を精製して第2処理水を得る精製部と、所定の外部機器に接続され、前記所定の外部機器に前記第1処理水及び/又は前記第2処理水を供給させる供給ポンプと、前記精製部と前記供給ポンプとを接続させる接続ラインと、前記接続ラインと前記貯水タンクとを接続させる補助ラインと、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、前記精製部は、イオン交換体を利用した精製を行うことが好ましい。
【0009】
また、前記精製部は、逆浸透膜を利用した精製を行うことが好ましい。
【0010】
また、水処理装置は、前記精製部と前記貯水タンクとを接続し、前記第2処理水を前記精製部から前記貯水タンクに戻す返還ラインを更に備えることが好ましい。
【0011】
また、前記補助ラインには、前記第1処理水が前記貯水タンクから前記接続ラインへ流出することを規制する逆止弁が設けられることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、水処理装置は、設置スペースを拡大させることなく、安定した水量の純水を外部機器に供給させることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0014】
[1]第1実施形態
図1は、本発明の第1実施形態に係る水処理装置1を示すフローシートである。図1に示すように、第1実施形態に係る水処理装置1は、活性炭濾過装置2と、軟水装置3と、給水タンク4と、第1逆浸透膜装置5と、貯水タンク6と、電気式脱イオン装置(精製部)7と、供給ポンプ8と、を主体に構成されている。
【0015】
活性炭濾過装置2は、原水の供給源(図示せず)に接続されている。活性炭濾過装置2は、原水に対して、最初の精製処理として濾過処理を行う。具体的には、活性炭濾過装置2は、原水に溶存する次亜塩素酸ソーダ等の酸化剤を吸着し除去することにより、原水から第1前処理水を得る。活性炭濾過装置2は、軟水装置3のイオン交換能力の早期劣化を防止するために設けられる。また、活性炭濾過装置2は、第1逆浸透膜装置5の濾過能力の早期劣化を防止し、処理水の処理効率の向上、安定化等を図る役割も果たす。
【0016】
軟水装置3は、活性炭濾過装置2の下流側に接続されている。軟水装置3は、活性炭濾過装置2により得られた第1前処理水に対して、所定の精製処理を行う。具体的には、軟水装置3は、第1前処理水中に含まれる硬度成分(カルシウムイオン及びマグネシウムイオン)をイオン交換樹脂によりナトリウムイオンと交換する。つまり、軟水装置3は、第1前処理水から硬度成分を除去し、第2前処理水(被処理水)を得る。
【0017】
給水タンク4は、軟水装置3の下流側に接続されている。給水タンク4は、軟水装置3により精製された第2前処理水を貯水する。
【0018】
第1逆浸透膜装置5は、第1供給ライン10aを介して給水タンク4の下流側に接続されている。第1逆浸透膜装置5は、上流側に設けられる加圧ポンプ51と、下流側に設けられる逆浸透モジュール(以下、「ROモジュール」という)52とを主体に構成されている。加圧ポンプ51は、給水タンク4から供給される第2前処理水をROモジュール52側に加圧する。ROモジュール52は、多数の逆浸透膜(図示せず)を備え、逆浸透膜により不純物を除去する。第1逆浸透膜装置5は、選択的に第2前処理水を透過させることにより、第1純水(第1処理水)を得る。
【0019】
また、ROモジュール52の下流側には、流通ライン53と、濃縮水排水ライン54とが独立して接続されている。流通ライン53には、逆浸透膜により第2前処理水から不純物が取り除かれた第1純水が流通する。濃縮水排水ライン54からは、ROモジュール52の逆浸透膜により第2前処理水の不純物が濃縮された濃縮排水が排出される。
【0020】
貯水タンク6は、貯水ライン10bを介して第1逆浸透膜装置5に接続されている。貯水ライン10bは、第1逆浸透膜装置5の流通ライン53の下流側と接続されている。貯水タンク6は、第1逆浸透膜装置5により精製された第1純水を貯水する。
【0021】
貯水ライン10bには、リターンライン55の一方側が貯水ライン10bから分岐した形で接続されている。リターンライン55の他方側は、給水タンク4に接続されている。リターンライン55は、貯水ライン10bと給水タンク4とを接続する。
【0022】
電気式脱イオン装置7は、第2供給ライン10cを介して貯水タンク6に接続されている。電気式脱イオン装置7は、上流側に設けられる加圧ポンプ71と、下流側に設けられる脱イオンモジュール(以下、「EDIモジュール」という)72と、を主体に構成されている。加圧ポンプ71は、貯水タンク6から流通された第1純水をEDIモジュール72側に加圧する。EDIモジュール72は、カチオン交換膜又はアニオン交換膜(図示せず)が積層された内部にイオン交換体が充填されて構成されており、イオン交換膜の半浸透特性及び電荷により第1純水に含まれる不純物を除去する。EDIモジュール72は、選択的に第1純水を透過させることにより、第1純水から第2純水(第2処理水)を得る。
【0023】
また、EDIモジュール72の下流側には、流通ライン73と、濃縮水排水ライン74とが独立して接続されている。流通ライン73の下流側は、接続ライン10dと接続されている。濃縮水排水ライン74の下流側は、給水タンク4に接続されている。流通ライン73には、イオン交換膜により第1純水から不純物が取り除かれた第2純水が流通する。濃縮水排水ライン74からは、逆浸透膜により第1純水の不純物が濃縮された濃縮排水が排出される。濃縮排水は廃棄されることなく、濃縮水排水ライン74を介して給水タンク4に戻される。
【0024】
供給ポンプ8は、接続ライン10dを介して電気式脱イオン装置7と直列に接続されている。ここで、「直列」とは、電気式脱イオン装置7と供給ポンプ8とが、例えば、中間タンク等を介すことなく接続されていることをいう。接続ライン10dには、補助ライン10eの一方側が接続ライン10dから分岐した形で接続されている。補助ライン10eの他方側は、貯水タンク6と接続されている。補助ライン10eは、接続ライン10dと貯水タンク6とを接続する。
【0025】
また、接続ライン10dには、返還ライン75の一方側が接続ライン10dから分岐した形で接続されている。返還ライン75の他方側は、貯水タンク6と接続されている。返還ライン75は、接続ライン10dと貯水タンク6とを接続する。
【0026】
次に、第1実施形態に係る水処理装置1の動作について説明する。貯水タンク6に貯水された第1純水は、電気式脱イオン装置7で精製され、適宜、不図示の外部機器へ供給される。そのため、外部機器への供給量に応じて、貯水タンク6の貯水量は減少する。そして、貯水タンク6の貯水量が所定の水量(所定の減水レベル)未満になると、第1実施形態の水処理装置1に運転要求がなされる。
【0027】
第1実施形態の水処理装置1に運転要求がなされると、まず、第1実施形態の水処理装置1は、第1逆浸透膜装置5を起動させる。第1逆浸透膜装置5が起動すると、第1逆浸透膜装置5は、加圧ポンプ51を作動させる。加圧ポンプ51が作動すると、給水タンク4から第2前処理水の供給が開始される。第2前処理水は、第1供給ライン10aを介して第1逆浸透膜装置5に流通される。第1逆浸透膜装置5に流通された第2前処理水は、加圧ポンプ51によりROモジュール52に流通される。ROモジュール52に流通された第2前処理水は、ROモジュール52により所定の精製処理が行われる。これにより、第2前処理水が精製され、第1純水が得られる。
【0028】
第1実施形態の水処理装置1により起動された第1逆浸透膜装置5は、精製能力が安定するまで一定時間、初期運転が行われる。つまり、第1逆浸透膜装置5は、まず、所定の水質の第1純水が得られるように第1の初期運転を行う。第1の初期運転は、所定時間行われる。
【0029】
第1の初期運転時に精製された第1純水は、所定の水質が得られていないおそれがあるため、リターンライン55を介して給水タンク4に戻される。つまり、第1の初期運転時に精製された第1純水は、第1の初期運転中、リターンライン55を介して循環される。また、第1純水の精製時に排出された濃縮排水は、第1の初期運転及び後述の通常運転にかかわらず、濃縮水排水ライン54から排出され、廃棄される。
【0030】
第1の初期運転が終了すると、第1実施形態の水処理装置1は、第1純水を貯水タンク6に貯水させる。貯水タンク6の貯水量が所定の水量(所定の満水レベル)以上になると、第1実施形態の水処理装置1は、電気式脱イオン装置7を起動させる。電気式脱イオン装置7が起動すると、電気式脱イオン装置7は、まず、加圧ポンプ71を作動させる。加圧ポンプ71が作動すると、貯水タンク6から第1純水の供給が開始される。第1純水は、第2供給ライン10cを介して電気式脱イオン装置7に流通される。電気式脱イオン装置7に流通された第1純水は、加圧ポンプ71によりEDIモジュール72に流通される。EDIモジュール72に流通された第1純水は、EDIモジュール72により所定の精製処理が行われる。これにより、第1純水が精製され、第2純水が得られる。
【0031】
第1実施形態の水処理装置1により起動された電気式脱イオン装置7は、精製能力が安定するまで一定時間初期運転を行う。つまり、第1実施形態の水処理装置1は、電気式脱イオン装置7においても、所定の水質が得られるように第2の初期運転を行わせる。第2の初期運転は、所定時間行われる。
【0032】
第2の初期運転時に精製された第2純水は、所定の水質が得られていないおそれがあるため、返還ライン75を介して貯水タンク6に戻される。つまり、第2の初期運転時に精製された第2純水は、第2の初期運転中、返還ライン75を介して循環される。
【0033】
また、第2純水の精製時に排出された濃縮排水は、第1純水を濃縮したものであるため、第2前処理水よりも精製度の高いものである。これにより、第2純水の精製時に排出された濃縮排水は、濃縮水排水ライン74を介して給水タンク4に戻される。つまり、第1純水の精製時に排出された濃縮排水は、濃縮水排水ライン74を介して循環される。
【0034】
電気式脱イオン装置7の第2の初期運転が完了すると、第1実施形態の水処理装置1は、供給ポンプ8を起動させる。つまり、第1実施形態の水処理装置1は、外部機器への第2純水の給水を開始する。
【0035】
なお、貯水タンク6に所定量以上の貯水量がある場合に運転要求がなされた場合においては、まず、電気式脱イオン装置7における上記の運転を優先させ、外部機器への第2純水の供給を行う。そして、貯水タンク6の貯水量が所定量未満になった場合に第1逆浸透膜装置5を起動させ、上記の運転をさせる。
【0036】
また、予め、貯水タンク6に第1純水を貯水した後、所定時間経過した場合には、第1純水に炭酸ガス等が再溶存しているおそれがある。そのため、第1実施形態の水処理装置1は、第1純水の貯水後、所定時間の経過と共に、電気式脱イオン装置7を起動させる。この場合のおいては、第1実施形態の水処理装置1は、電気式脱イオン装置7に上述の第2の初期運転と同様の運転をさせる。すなわち、水処理装置1は、貯水タンク6内に所定時間貯水された第1純水を電気式脱イオン装置7により第2純水に精製させる。そして、電気式脱イオン装置7により精製された第2純水は、補助ライン10eを介して貯水タンク6に戻され、貯水される。水処理装置1は、起動時においては、常時、第1純水の貯水時間を監視し、上述の運転を繰り返す。
【0037】
以上の構成を有する第1実施形態の水処理装置1によれば、以下の効果を奏する。第1実施形態の水処理装置1には、第1逆浸透膜装置5の下流側に貯水タンク6を介して電気式脱イオン装置7が接続されている。そして、電気式脱イオン装置7は、供給ポンプ8と直列に接続されている。そのため、第1実施形態の水処理装置1においては、炭酸ガス等の再溶存の少ない第2純水を外部機器に供給させることが可能になる。
【0038】
更に、第1実施形態の水処理装置1には、接続ライン10dと貯水タンク6とを接続させる補助ライン10eが設けられている。そのため、第1実施形態の水処理装置1においては、電気式脱イオン装置7により精製された第2純水を貯水タンク6を介して循環させることが可能になる。これにより、第1実施形態の水処理装置1においては、貯水タンク6に貯水される第1純水の炭酸ガス等の再溶存を防止することが可能になる。
【0039】
また、第1実施形態の水処理装置1においては、供給ポンプ8が電気式脱イオン装置7の処理能力以上の第2純水の供給を必要とする場合においても、補助ライン10eを介して貯水タンク6から第1純水及び/又は循環する第2純水を供給ポンプ8に給水させることが可能になる。そのため、第1実施形態の水処理装置1においては、必要な量の純水を外部機器に安定的に供給させることが可能になる。また、第1実施形態の水処理装置1においては、供給ポンプ8と電気式脱イオン装置7との流量バランスから生じる電気式脱イオン装置7のイオン交換膜に生じる背圧や、供給ポンプ8で生じる負圧を防止することが可能になる。つまり、電気式脱イオン装置7のイオン交換膜の破損や、給水ポンプ8のキャビテーションを回避することが可能になる。これにより、第1実施形態の水処理装置1においては、第2処理水を一時的に貯水する中間タンク等を電気式脱イオン装置7の下流側に設ける必要がなくなる。
【0040】
また、第1実施形態の水処理装置1には、貯水ライン10bと給水タンク4とを接続するリターンライン55が設けられている。そのため、第1実施形態の水処理装置1においては、第1の初期運転時に精製された第1純水を給水タンク4に戻すことが可能になる。これにより、第1実施形態の水処理装置1においては、例えば、給水タンク4に貯水される第2前処理水を第1純水により希釈させることが可能になり、給水タンク4に貯水される第2前処理水の水質を向上させることが可能になる。また、第1実施形態の水処理装置1は、第1純水を有効に利用することが可能になる。
【0041】
また、第1実施形態の水処理装置1においては、電気式脱イオン装置7により第2純水の精製時に排出された濃縮排水を廃棄せずに濃縮水排水ライン74を介して給水タンク4に戻す。そのため、第1実施形態の水処理装置1は、濃縮排水を有効に利用することが可能になる。
【0042】
また、第1実施形態の水処理装置1は、電気式脱イオン装置7の第2の初期運転時に精製される第2純水を給水タンク4に戻す返還ライン75が設けられている。そのため、第1実施形態の水処理装置1は、第2純水を有効に利用することが可能になる。
【0043】
[2]第2実施形態
図2は、本発明の第2実施形態に係る水処理装置を示すフローシートである。図2に示すように、第2実施形態に係る水処理装置1Aは、活性炭濾過装置2と、軟水装置3と、給水タンク4と、第1逆浸透膜装置5と、貯水タンク6と、第2逆浸透膜装置(精製部)9と、供給ポンプ8と、を主体に構成されている。第2実施形態における水処理装置1Aは、第1実施形態と比較して、電気式脱イオン装置7の代わりに第2逆浸透膜装置9が設けられることが主として異なる。
【0044】
以下、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。なお、以下の実施形態においては、特に説明しない部分は第1実施形態と同様であり、図面に付した番号も第1実施形態と同様である場合は、同じ番号を付している。
【0045】
第2逆浸透膜装置9は、第2供給ライン10cを介して貯水タンク6の下流側に接続されている。第2逆浸透膜装置9は、上流側に設けられる加圧ポンプ91と、下流側に設けられる逆浸透モジュール(以下、ROモジュールという)92と、を主体に構成されている。加圧ポンプ91は、貯水タンク6から流通された第1純水をROモジュール92側に加圧する。ROモジュール92は、多数の逆浸透膜(図示せず)を備え、逆浸透膜により不純物を除去する。第2逆浸透膜装置9は、選択的に第1純水を透過させることにより、第1純水から第3純水(第2処理水)を得る。
【0046】
また、ROモジュール92には、流通ライン93と、濃縮水排水ライン94とが接続されている。流通ライン93の下流側は、接続ライン10dに接続されている。濃縮水排水ライン94の下流側は、給水タンク4に接続されている。流通ライン93には、逆浸透膜により第1純水から不純物が取り除かれた第3純水が流通する。濃縮水排水ライン94からは、逆浸透膜により第1純水の不純物が濃縮された濃縮排水が排出される。第2逆浸透膜装置9により濃縮された濃縮排水は廃棄されることなく、濃縮水排水ライン94を介して給水タンク4に戻される。
【0047】
供給ポンプ8は、接続ライン10dを介して第2逆浸透膜装置9の下流側に直列に接続されている。ここで、「直列」とは、第2逆浸透膜装置9と供給ポンプ8とが、例えば、中間タンク等を介すことなく接続されていることをいう。接続ライン10dには、補助ライン10eの一方側が接続ライン10dから分岐した形で接続されている。補助ライン10eの他方側は、貯水タンク6と接続されている。補助ライン10eは、接続ライン10dと貯水タンク6とを接続する。
【0048】
また、接続ライン10dには、返還ライン75の一方側が接続ライン10dから分岐した形で接続されている。返還ライン75の他方側は、貯水タンク6と接続されている。返還ライン75は、接続ライン10dと貯水タンク6とを接続する。
【0049】
次に、第2実施形態の水処理装置1Aの動作について説明する。貯水タンク6に貯水された第1純水は、第2逆浸透膜装置9で精製され、適宜、不図示の外部機器へ供給される。そのため、外部機器への供給量に応じて、貯水タンク6の貯水量は減少する。そして、貯水タンク6の貯水量が所定の水量(所定の減水レベル)未満になると、第2実施形態の水処理装置1Aに運転要求がなされる。
【0050】
第2実施形態の水処理装置1Aに運転要求がなされると、まず、第2実施形態の水処理装置1Aは第1逆浸透膜装置5を起動させる。第1逆浸透膜装置5が起動すると、第1逆浸透膜装置5は、加圧ポンプ51を作動させる。加圧ポンプ51が作動すると、給水タンク4から第2前処理水の供給が開始される。第2前処理水は、第1供給ライン10aを介して第1逆浸透膜装置5に流通される。第1逆浸透膜装置5に流通された第2前処理水は、加圧ポンプ51によりROモジュール52に流通される。ROモジュール52に流通された第2前処理水は、ROモジュール52により所定の精製処理が行われる。これにより、第2前処理水が精製され、第1純水が得られる。
【0051】
第2実施形態の水処理装置1Aにより起動させられた第1逆浸透膜装置5は、精製能力が安定するまで一定時間、初期運転が行われる。つまり、第1逆浸透膜装置5は、まず、所定の水質の第1純水が得られるように第1の初期運転を行う。第1の初期運転は、所定時間行われる。
【0052】
第1の初期運転時に精製された第1純水は、所定の水質が得られていないおそれがあるため、リターンライン55を介して給水タンク4に戻される。つまり、第1の初期運転時に精製された第1純水は、第1の初期運転中、リターンライン55を介して循環される。また、第1純水の精製時に排出された濃縮排水は、第1の初期運転及び後述の通常運転にかかわらず、濃縮水排水ライン54から排出され、廃棄される。
【0053】
第1の初期運転が終了すると、第2実施形態の水処理装置1Aは、第1純水を貯水タンク6に貯水させる。貯水タンク6の貯水量が所定の水量(所定の満水レベル)以上になると、第2実施形態の水処理装置1Aは、第2逆浸透膜装置9を起動させる。第2逆浸透膜装置9が起動すると、第2逆浸透膜装置9は、まず、加圧ポンプ91を作動させる。加圧ポンプ91が作動すると、貯水タンク6から第1純水の供給が開始される。第1純水は、第2供給ライン10cを介して第2逆浸透膜装置9に流通される。第2逆浸透膜装置9に流通された第1純水は、加圧ポンプ91によりROモジュール92に流通される。ROモジュール92に流通された第1純水は、ROモジュール92により所定の精製処理が行われる。これにより、第1純水が精製され、第3純水が得られる。
【0054】
第2実施形態の水処理装置1Aにより起動された第2逆浸透膜装置9は、精製能力が安定するまで一定時間初期運転を行う。つまり、第2実施形態の水処理装置1Aは、第2逆浸透膜装置9においても、所定の水質が得られるように第3の初期運転を行わせる。第3の初期運転は、所定時間行われる。
【0055】
第3の初期運転時に精製された第3純水は、所定の水質が得られていないおそれがあるため、返還ライン95を介して貯水タンク6に戻される。つまり、第3の初期運転時に精製された第3純水は、第3の初期運転中、返還ライン95を介して循環される。
【0056】
また、第3純水の精製時に排出された濃縮排水は、第1純水を濃縮したものであるため、第2前処理水よりも精製度の高いものである。これにより、濃縮水排水ライン94を介して給水タンク4に戻される。つまり、第1純水の精製時に排出された濃縮排水は、濃縮水排水ライン94を介して循環される。
【0057】
第2逆浸透膜装置9の第3の初期運転が完了すると、第2実施形態の水処理装置1Aは、供給ポンプ8を起動させる。つまり、第2実施形態の水処理装置1Aは、外部機器への第3純水の給水を開始する。
【0058】
なお、貯水タンク6に所定量以上の貯水量がある場合に運転要求がなされた場合においては、まず、第2逆浸透膜装置9における上記の運転を優先させ、外部機器への第3純水の供給を行う。そして、貯水タンク6の貯水量が所定量未満になった場合に第1逆浸透膜装置5を起動させ、上記の運転をさせる。
【0059】
また、予め、貯水タンク6に第1純水を貯水した後、所定時間経過した場合には、第1純水に炭酸ガス等が再溶存しているおそれがある。そのため、第2実施形態の水処理装置1Aは、第1純水の貯水後、所定時間の経過と共に、第2逆浸透膜装置9を起動させる。この場合のおいては、第2実施形態の水処理装置1Aは、第2逆浸透膜装置9に上述の第3の初期運転と同様の運転をさせる。すなわち、第2実施形態の水処理装置1Aは、貯水タンク6内に所定時間貯水された第1純水を第2逆浸透膜装置9により第3純水に精製させる。そして、第2逆浸透膜装置9により精製された第3純水は、補助ライン10eを介して貯水タンク6に戻され、貯水される。第2実施形態の水処理装置1Aは、起動時においては、常時、第1純水の貯水時間を監視し、上述の運転を繰り返す。
【0060】
以上の構成を有する第2実施形態の水処理装置1によれば、以下の効果を奏する。第2実施形態の水処理装置1Aには、第1逆浸透膜装置5の下流側に貯水タンク6を介して第2逆浸透膜装置9が接続されている。そして、第2逆浸透膜装置9は、供給ポンプ8と直列に接続されている。そのため、第2実施形態の水処理装置1においては、炭酸ガス等の再溶存の少ない第3純水を外部機器に供給させることが可能になる。
【0061】
更に、第2実施形態の水処理装置1Aには、接続ライン10dと貯水タンク6とを接続させる補助ライン10eが設けられている。そのため、第2実施形態の水処理装置1Aにおいては、第2逆浸透膜装置9により精製された第3純水を貯水タンク6を介して循環させることが可能になる。これにより、第2実施形態の水処理装置1Aにおいては、貯水タンク6に貯水される第1純水の炭酸ガス等の再溶存を防止することが可能になる。
【0062】
また、第2実施形態の水処理装置1Aにおいては、供給ポンプ8が第2逆浸透膜装置9の処理能力以上の第3純水の供給を必要とする場合においても、補助ライン10eを介して貯水タンク6から第1純水及び/又は循環する第3純水を供給ポンプ8に給水させることが可能になる。そのため、第2実施形態の水処理装置1Aにおいては、必要な量の純水を外部機器に安定的に供給させることが可能になる。また、第2実施形態の水処理装置1Aにおいては、供給ポンプ8と第2逆浸透膜装置9との流量バランスから生じる第2逆浸透膜装置9の逆浸透膜に生じる背圧や、供給ポンプ8で生じる負圧を防止することが可能になる。つまり、第2逆浸透膜9の逆浸透膜の破損や、給水ポンプ8のキャビテーションを回避することが可能になる。これにより、第2実施形態の水処理装置1Aにおいては、第3処理水を一時的に貯水する中間タンク等を第2逆浸透膜装置9の下流側に設ける必要がなくなる。
【0063】
また、第2実施形態の水処理装置1Aには、貯水ライン10bと給水タンク4とを接続するリターンライン55が設けられている。そのため、第2実施形態の水処理装置1Aにおいては、第1の初期運転時に精製された第1純水を給水タンク4に戻すことが可能になる。これにより、第2実施形態の水処理装置1Aにおいては、例えば、給水タンク4に貯水される第2前処理水を第1純水により希釈させることが可能になり、給水タンク4に貯水される第2前処理水の水質を向上させることが可能になる。また、第2実施形態の水処理装置1Aは、第1純水を有効に利用することが可能になる。
【0064】
また、第2実施形態の水処理装置1Aにおいては、第2逆浸透膜装置9により第3純水の精製時に排出された濃縮排水を廃棄せずに濃縮水排水ライン94を介して給水タンク4に戻す。そのため、第2実施形態の水処理装置1Aは、濃縮排水を有効に利用することが可能になる。
【0065】
また、第2実施形態の水処理装置1Aは、第2逆浸透膜装置9の第3の初期運転時に精製される第3純水を給水タンク4に戻す返還ライン95が設けられている。そのため、第2実施形態の水処理装置1Aは、第2純水を有効に利用することが可能になる。
【0066】
なお、本発明の実施形態は、上記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲は、これに限定されるものではない。
【0067】
例えば、第1実施形態においては、補助ライン10eを直接接続ライン10dに接続させる構成としたが、本発明においてはこれに限らない。補助ライン10eにおける第2純水及び/又は第3純水の流れ方向を接続ライン10dから貯水タンク6へ向かう方向のみに規制する逆止弁を補助ライン10eに設ける構成としてもよい。補助ライン10eにおける第1純水及び/又は第3純水の流れ方向を接続ライン10dから貯水タンク6に向かう方向のみに規制することにより、第1純水及び/又は第3前処理水が貯水タンク6から電気式脱イオン装置7に直接流通されることを防止することが可能になる。そのため、供給ポンプ8には、常に、電気式脱イオン装置7を介した第2純水及び/又は第3純水が流通されることとなる。これにより、高純度の第2純水及び/又は第3純水を外部機器に供給させることが可能になる。
【0068】
また、前記実施形態においては、第1逆浸透膜装置5、電気式脱イオン装置7及び/又は第2逆浸透膜装置9の初期運転は、所定時間経過により解除される構成としたが、本発明においてはこれに限らない。例えば、リターンライン55及び返還ライン75に水質計を設け、第1純水及び第2純水等が所定の水質になることを条件として初期運転を解除させる構成としてもよい。
【0069】
また、前記実施形態においては、半導体を洗浄する外部機器に純水を供給する水処理装置として説明したが、本発明においてはこれに限らない。例えば、外部機器としては、蒸気ボイラ、温水ボイラ、クーリングタワー、給湯器等の熱機器に純水を供給する水処理装置に用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の第1実施形態に係る水処理装置を示すフローシートである。
【図2】本発明の第2実施形態に係る水処理装置を示すフローシートである。
【符号の説明】
【0071】
1、1A 水処理装置
6 貯水タンク
7 電気式脱イオン装置
8 供給ポンプ
10d 接続ライン
10e 補助ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理水を精製して得られる第1処理水を貯水する貯水タンクと、
前記貯水タンクから供給される第1処理水を精製して第2処理水を得る精製部と、
所定の外部機器に接続され、前記所定の外部機器に前記第1処理水及び/又は前記第2処理水を供給させる供給ポンプと、
前記精製部と前記供給ポンプとを接続させる接続ラインと、
前記接続ラインと前記貯水タンクとを接続させる補助ラインと、を備えることを特徴とする水処理装置。
【請求項2】
前記精製部は、イオン交換体を利用した精製を行うことを特徴とする請求項1に記載の水処理装置。
【請求項3】
前記精製部は、逆浸透膜を利用した精製を行うことを特徴とする請求項1に記載の水処理装置。
【請求項4】
前記精製部と前記貯水タンクとを接続し、前記第2処理水を前記精製部から前記貯水タンクに戻す返還ラインを更に備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の水処理装置。
【請求項5】
前記補助ラインには、前記第1処理水が前記貯水タンクから前記接続ラインへ流出することを規制する逆止弁が設けられる請求項1から4のいずれかに記載の水処理装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−285574(P2009−285574A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−141006(P2008−141006)
【出願日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【Fターム(参考)】