説明

水分架橋性ポリマー組成物−改良された耐熱老化性能

本発明は、(a)シラン官能化オレフィンポリマー、(b)酸性シラノール縮合触媒、および、(c)第2級アミン含有酸化防止剤を含む水分架橋性ポリマー組成物である。前記酸化防止剤組成物は、(1)2つの芳香族基で置換された第2級アミン、または、(2)第1の酸化防止剤と、少なくとも1つの芳香族基で置換された第2級アミン酸化防止剤との組み合わせが可能である。水分架橋性ポリマー組成物は、繊維、フィルム、パイプ、発泡体、および、コーティングの製造に用いることができる。特筆すべきことに、前記組成物はワイヤおよびケーブル上を被覆するため適用可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水分架橋性ポリマー組成物に関する。前記ポリマー組成物は、低電圧または高電圧の電線(ワイヤ)・ケーブル用途向け絶縁層に特に有用である。
【背景技術】
【0002】
酸性シラノール縮合触媒を用いることにより、水分架橋性ポリマー組成物の硬化速度が高められる。しかし、酸性触媒はまた、オレフィンポリマーの劣化を促進する。よって、これらの酸含有ポリマー組成物では、非常に高濃度の酸化防止剤を用いて熱安定性を得ることを要した。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、使用する酸化防止剤の量を低減する酸化防止システムを得る必要がある。高性能酸化防止剤または酸化防止剤の相乗的なブレンドを見出して、かかる低減を達成することが望ましい。
【0004】
(a)前記酸性シラノール縮合触媒の触媒性能、または、(b)悪臭もしくは可燃性ガスの発生に悪影響を及ぼさないような改良もまたさらに必要である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様においては、本発明の水分架橋性ポリマー組成物は、(a)シラン官能化オレフィンポリマー、(b)酸性シラノール縮合触媒、および、(c)第2級アミンが2つの芳香族基で置換された酸化防止剤を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
好適なシラン官能化オレフィンポリマーとしては、シラン官能化ポリエチレンポリマー、シラン官能化ポリプロピレンポリマー、および、それらのブレンドが含まれる。好適には、前記シラン官能化オレフィンポリマーは、(i)エチレンと加水分解性シランとのコポリマー、(ii)エチレン、加水分解性シラン、ならびに、1つ以上のC3以上のアルファオレフィンおよび不飽和エステルのコポリマー、(iii)加水分解性シランでその主鎖がグラフトされたエチレンのホモポリマー、ならびに、(iv)加水分解性シランでその主鎖がグラフトされた、エチレンと1つ以上のC3以上のアルファオレフィンおよび不飽和エステルのコポリマー、からなる群より選択される。
【0007】
本明細書で用いるポリエチレンポリマーなる用語は、エチレンのホモポリマー、または、エチレンと、小割合の1つ以上の3から12の炭素原子および好適には4から8の炭素原子を有するアルファ−オレフィン、および場合によってジエン、とのコポリマー、または、そのようなホモポリマーおよびコポリマーの混合物もしくはブレンドである。前記混合物は、機械的ブレンドでもよいし、または現場ブレンド(in situ blend)でもよい。アルファ−オレフィンの例は、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、および、1−オクテンである。前記ポリエチレンは、エチレンとビニルエステルなどの不飽和エステル(例えば酢酸ビニルまたはアクリル酸もしくはメタクリル酸エステル)とのコポリマーでもよい。
【0008】
前記ポリエチレンは均一性でも不均一性でもよい。通常、均一性ポリエチレンの多分散性(Mw/Mn)は約1.5から約3.5の範囲であり、コモノマー分布は本質的に均一であり、このようなポリエチレンは示差走査熱量計で測定した融点が単一で、かつ比較的低いことにより特徴づけられる。不均一性ポリエチレンは通常、多分散性(Mw/Mn)が3.5より大きく、均一なコモノマー分布を有さない。Mwは重量平均分子量と定義され、Mnは数平均分子量と定義される。
【0009】
前記ポリエチレンは、密度が0.860から0.970グラム/立方センチメートルの範囲、好適には0.870から約0.930グラム/立方センチメートルの範囲であることができる。これらのメルトインデックスは、約0.1グラム/10分から約50グラム/10分の範囲をとりうる。前記ポリエチレンがホモポリマーの場合、そのメルトインデックスは好適には約0.75から約3グラム/10分の範囲である。メルトインデックスは、ASTM D−1238、条件Eに基づき、190℃および2160グラムの条件で測定する。
【0010】
前記ポリエチレンは、低圧または高圧プロセスで製造可能である。これらは気相法または液相法(すなわち溶液法またはスラリー法)で、従来技術によって製造可能である。低圧プロセスは一般的に1000ポンド/平方インチ(psi)より低い圧力で操作するのに対し、高圧法は一般的に15,000psiを超える圧力で操作する。
【0011】
これらのポリエチレンの製造に用いる一般的な触媒系としては、マグネシウム/チタン系触媒系、バナジウム系触媒系、クロム系触媒系、メタロセン触媒系、および、他の遷移金属触媒系が含まれる。これらの触媒系の多くは、多くの場合チーグラー・ナッタ触媒系またはフィリップス触媒系とよばれる。有用な触媒系としては、シリカ−アルミナ支持体上にクロムまたはモリブデン酸化物を用いる触媒が含まれる。
【0012】
有用なポリエチレン類としては、高圧法で製造された低密度のエチレンホモポリマー(HP−LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、超超低密度ポリエチレン(ULDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、およびメタロセンコポリマーが含まれる。
【0013】
高圧法は、一般的にはフリーラジカルで開始される重合であり、管型反応器または撹拌付オートクレーブ中で行う。管型反応器においては、圧力は約25,000から約45,000psiの範囲であり、温度は約200から約350℃の範囲である。撹拌付オートクレーブにおいては、圧力は約10,000から約30,000psiの範囲であり、温度は約175から約250℃の範囲内である。
【0014】
エチレンと不飽和エステルを含むコポリマーは周知であり、従来の高圧法技術で製造可能である。前記不飽和エステルは、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル、または、カルボン酸ビニルであってもよい。アルキル基は1から8の炭素原子を有していてもよく、好適には1から4の炭素原子を有する。カルボン酸エステル基は2から8の炭素原子を有していてもよく、好適には2から5の炭素原子を有する。エステルコモノマーに由来するコポリマー部分は、コポリマーの重量を基準として約5から約50重量パーセントの範囲であってよく、好適には約15から約40重量パーセントの範囲である。アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルの例は、アクリル酸エチル、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、および、アクリル酸2−エチルヘキシルである。カルボン酸ビニルの例は、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、および、ブタン酸ビニルである。エチレン/不飽和エステルコポリマーのメルトインデックスは、約0.5から約50グラム/10分の範囲であってもよく、好適には、約2から約25グラム/10分の範囲である。
【0015】
また、エチレンとビニルシランのコポリマー類を用いてもよい。好適なシランの例は、ビニルトリメトキシシランおよびビニルトリエトキシシランである。このようなポリマーは、一般的には高圧法を用いて製造する。水分架橋性組成物を所望の場合は、このようなエチレンビニルシランコポリマー類を用いることが望ましい。
【0016】
前記VLDPEまたはULDPEは、エチレンと、3から12の炭素原子、好適には3から8の炭素原子を有する1つ以上のアルファ−オレフィンとのコポリマーであり得る。VLDPEまたはULDPEの密度は、0.870から0.915グラム/立方センチメートルの範囲であってもよい。VLDPEまたはULDPEのメルトインデックスは、約0.1から約20グラム/10分の範囲であってもよく、好適には約0.3から約5グラム/10分の範囲である。エチレン以外のコモノマーに由来するVLDPEまたはULDPEの割合は、コポリマーの重量を基準として、約1から約49重量パーセントの範囲であってよく、好適には約15から約40重量パーセントの範囲である。
【0017】
第3のコモノマー、例えば、他のアルファ−オレフィン、または、エチリデン、ノルボルネン、ブタジエン、1,4−ヘキサジエンもしくはジシクロペンタジエンなどのジエンが含まれていてもよい。エチレン/プロピレンコポリマーは一般的にEPRとよばれ、エチレン/プロピレン/ジエンターポリマーは一般的にEPDMとよばれる。第3のコモノマーは、コポリマーの重量を基準として約1から15重量パーセントの量で存在していてもよく、好適には、約1から約10重量パーセントの量で存在する。コポリマーは、エチレンをいれて2または3種のコモノマーを含むことが望ましい。
【0018】
前記LLDPEは、VLDPE、ULDPEおよびMDPEを含んでもよく、それらもまた直鎖状であるが、しかし、一般的に0.916から0.925グラム/立方センチの範囲の密度を有する。それは、エチレンと、3から12の炭素原子、好適には3から8の炭素原子を有する1つ以上のアルファ−オレフィンとのコポリマーであってもよい。メルトインデックスは約1から約20グラム/10分の範囲であってもよく、好適には約3から約8グラム/10分の範囲である。
【0019】
任意のポリプロピレンをこれらの組成物に用いてもよい。例としては、プロピレンのホモポリマー、プロピレンと他のオレフィンとのコポリマー、ならびに、プロピレン、エチレンおよびジエン(例えばノルボルナジエンおよびデカジエン)のターポリマーが挙げられる。さらに、ポリプロピレンをEPRまたはEPDMなどの他のポリマーに分散し、または、ブレンドしてもよい。好適なポリプロピレンとしては、TPE、TPOおよびTPVが含まれる。ポリプロピレンの例は、POLYPROPYLENE HANDBOOK: POLYMERIZATION, CHARACTERIZATION, PROPERTIES, PROCESSING, APPLICATIONS 3-14,113-176 (E. Moore, Jr. ed., 1996) に記載されている。
【0020】
ビニルアルコキシシラン(例えばビニルトリメトキシシランおよびビニルトリエトキシシラン)が、グラフト化または共重合してシラン官能化ポリオレフィンポリマーを生成する好適なシラン化合物である。
【0021】
好適な酸性シラノール縮合触媒としては、(a)有機スルホン酸およびその加水分解性前駆体、(b)有機リン酸およびその加水分解性前駆体、ならびに、(c)ハロゲン酸が含まれる。好適には、前記酸性シラノール縮合触媒は、有機スルホン酸である。より好適には、前記酸性シラノール縮合触媒は、アルキルアリールスルホン酸、アリールアルキルスルホン酸、および、アルキル化アリールジスルホン酸からなる群より選択される。よりさらに好適には、前記酸性シラノール縮合触媒は、置換ベンゼンスルホン酸および置換ナフタレンスルホン酸からなる群より選択される。最も好適には、前記酸性シラノール縮合触媒は、ドデシルベンジルスルホン酸またはジノニルナフチルスルホン酸である。
【0022】
好適な2つの芳香族基で置換された第2級アミン酸化防止剤としては、4,4’−ビス(アルファ,アルファ−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、フェニル−a−ナフチルアミン、他のジアリールアミン、および、ジアリールスルホンアミドが挙げられる。好適には、前記置換芳香族基はベンジル基またはナフチル基であろう。
【0023】
好適には、前記酸性シラノール縮合触媒は、第2級アミン酸化防止剤が含まれない場合に達成可能な触媒性能とおよそ同じ触媒性能を達成する。また好適には、前記シラン官能化オレフィンポリマーは、第2級アミン酸化防止剤が含まれない場合に達成可能な速度とおよそ同じ速度で硬化可能である。
【0024】
加えて、前記組成物は、着色剤、腐食防止剤、滑剤、耐ブロッキング剤、難燃剤、加工助剤、および、第2級アミンが少なくとも1つの芳香族基で置換されている第2の酸化防止剤などの、他の添加剤を含んでもよい。第2の酸化防止剤が存在する場合は、酸化防止剤総量の約25重量パーセント以下の量で存在する。より好適には、酸化防止剤総量の約1重量パーセントから約25重量パーセント未満の間の量で存在する。よりさらに好適には、酸化防止剤総量の約2.5重量パーセントから10重量パーセントの間の量で存在する。
【0025】
第2の態様においては、本発明は(a)シラン官能化オレフィンポリマー、(b)酸性シラノール縮合触媒、(c)第1の酸化防止剤、および、(d)第2級アミンが少なくとも1つの芳香族基で置換された第2の酸化防止剤、を含む水分架橋性ポリマー組成物である。
【0026】
この態様に関しては、上述のシラン官能化オレフィンポリマーおよび酸性シラノール縮合触媒が本態様に好適である。加えて、本組成物は、着色剤、腐食防止剤、滑剤、耐ブロッキング剤、難燃剤、および、加工助剤などの他の添加剤を含んでもよい。
【0027】
好適な第1の酸化防止剤としては、(a)フェノール性酸化防止剤、(b)チオ系酸化防止剤、(c)リン酸エステル系酸化防止剤、および、(d)ヒドラジン系金属不活性化剤が含まれる。好適なフェノール性酸化防止剤としては、メチル置換フェノール類が含まれる。第1級または第2級カルボニルを有する置換基を持つ他のフェノール類が好適な酸化防止剤である。好適なフェノール性酸化防止剤は、イソブチリデンビス(4,6−ジメチルフェノール)である。好適なヒドラジン系金属不活性化剤は、オキサリルビス(ベンジリデンヒドラジド)である。好適には、前記酸化防止剤は、ポリマー組成物の約0.05重量パーセントから約10重量パーセントの間で存在する。
【0028】
好適な少なくとも1つの芳香族基を有する第2の酸化防止剤としては、4,4’−ビス(アルファ,アルファ−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、フェニル−a−ナフチルアミン、他のジアリールアミン、ジアリールスルホンアミド、および、ポリマー化1,2−ジヒドロ−2,2,4−トリメチルキノリンが含まれる。好適には、第2の酸化防止剤は、酸化防止剤総量の約25重量パーセント以下の量で存在する。より好適には、酸化防止剤総量の約1重量パーセントから約25重量パーセント未満の間の量で存在する。よりさらに好適には、酸化防止剤総量の約2.5重量パーセントから10重量パーセントの間の量で存在する。
【0029】
好適には、前記酸性シラノール縮合触媒は、前記第2の酸化防止剤が含まれない場合に達成可能な触媒性能とおよそ同じ触媒性能を達成する。また好適には、前記シラン官能化オレフィンポリマーは、前記第2の酸化防止剤が含まれない場合に達成可能な速度とおよそ同じ速度で硬化可能である。
【0030】
さらに他の実施態様において、本発明は、上述のポリマー組成物をワイヤまたはケーブルに対して適用して製造した、ワイヤまたはケーブル構造物である。
【実施例】
【0031】
以下の非制限的な実施例によって本発明を説明する。
【0032】
試験方法
以下の試験方法を用いて、非制限的実施例を評価した。
【0033】
(1)ホットセット(Hot Set)
ホットセットは、IEC−60502−1に基づく伸びの値である。伸びが175パーセントより大きい場合は、試験片のホットセット試験は失敗である。
【0034】
(2)耐熱老化性能
強度および伸びの引張特性を、ASTM D638に基づき測定する。135℃での1週間の熱老化の後、試験片の引張特性を再び測定する。組成物が、IEC−60502−1工業規格に適合するために、初期引張特性の75パーセント以上を維持することが望ましい。
【0035】
(3)爆発下限界(LEL)
それぞれ例示のポリマー組成物について、50グラムの組成物を、蓋にゴム隔壁を有する密封された32オンス瓶に入れた。前記瓶およびその内容物を(a)30分25℃に維持し、または、(b)30分180℃に熱した。前記瓶を室温まで放冷し、隔壁を除去し、イーグル検出計を瓶中に入れて発生したガスの量を測定した。RKIインスツルメンツ イーグルシリーズ ポータブルマルチガス検出計(RKI Instruments Eagle Series Portable Multi-Gas Detector Meter)を用いて、発生したガスを測定した。検出計は、0から100%LELのスケールのメタンを、0から50000ppmメタンに対応して検出するよう較正した。%LELは、全検出ガスの値としてメタンガススケールを用いて報告した。
【0036】
例示の組成物
ポリマー組成物の添加剤パッケージを調製するために用いた成分の記載は以下の通りである。各添加剤パッケージを、DFDV−5451エチレン/シランコポリマー中に5重量パーセントの添加量で、銅導体上に30ミルの厚みで押出した。DFDB−5451エチレン/シランコポリマーは、メルトインデックスが1.50グラム/10分、密度が0.922グラム/立方センチメートルであり、ザ・ダウ・ケミカル・カンパニーより入手可能である。
【0037】
被覆済ワイヤ片を用いて、組成物の硬化速度および耐熱老化性能を評価した。
【0038】
(1)DFH−2065は直鎖状低密度ポリエチレンで、メルトインデックスが0.65グラム/10分、密度が0.920グラム/立方センチメートルであり、ザ・ダウ・ケミカル・カンパニーより入手可能である。
【0039】
(2)DPDA−6182はエチレン/アクリル酸エチルコポリマーで、メルトインデックスが1.5グラム/10分、密度が0.930グラム/立方センチメートルであり、ザ・ダウ・ケミカル・カンパニーより入手可能である。
【0040】
(3)Agerite MA重合1,2−ジヒドロ−2,2,4−トリメチルキノリンは、R.T.バンダービルト・カンパニー(R. T. Vanderbilt Company)より市販されている。
【0041】
(4)Chimassorb 119(商標)1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン,N,N’’’−[1,2−エタン−ジイル−ビス[[[4,6−ビス−[ブチル(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)アミノ]−1,3,5−トリアジン−2−イル]イミノ]−3,1−プロパンジイル]]ビス[N’,N’’−ジブチル−N’,N’’−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)、[CAS#106990−43−6]は、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ・インク(Ciba Specialty Chemicals Inc.)より入手可能である。
【0042】
(5) Chimassorb 2020(商標)1,6−ヘキサンジアミン,N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)−ポリマー、2,4,6トリクロロ−1,3,5トリアジン、N−ブチル−1−ブタンアミンおよびN−ブチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジンアミンの反応物[CAS# 192268−64−7]は、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ・インクより入手可能である。
【0043】
(6)Cyanox 1790(商標)、トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)−s−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオンは、サイテック・インダストリーズ(Cytec Industries)から入手可能である。
【0044】
(7)DSTDPは、ジステアリル−3−3−チオジプロプリオナートであり、グレートレイクス・ケミカルズ・コーポレーション(Great Lakes Chemical Corporation)から入手可能である。
【0045】
(8)Irganox1010(商標) テトラキスメチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシルヒドロシンナマート)メタンは、ヒンダードフェノール性酸化防止剤であり、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ・インクより入手可能である。
【0046】
(9)Irganox1024(商標) 1,2‐ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナモイル)ヒドラジンは、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ・インクより入手可能である。
【0047】
(10)Lowinox 22IB46(商標) イソブチリデンビス−(4,6−ジメチルフェノール)は、グレートレイクス・ケミカルズ・コーポレーションから入手可能な酸化防止剤である。
【0048】
(11)NACURE(商標)B201はキング・インダストリーズ・インク(King Industries, Inc.)より入手可能なアルキル芳香族スルホン酸である。
【0049】
(12)Naugard 445 4,4’−ビス (アルファ,アルファ−ジメチルベンジル)ジフェニルアミンはクロンプトン・コーポレーション(Crompton Corporation)から入手可能である。
【0050】
(13)OABHはオキサリルビス(ベンジルイジエンヒドラジド)、金属不活性化剤であり、イーストマン・ケミカル・カンパニー(Eastman Chemical Company)より入手可能である。
【0051】
(14)SuperQ(商標)ポリマー化1,2−ジヒドロ−2,2,4−トリメチルキノリンは、クロンプトン・コーポレーションから入手可能である。
【0052】
(15)TBM6は、4,4−チオビス(2−t−ブチル−5−メチルフェノール)であり、グレートレイクス・ケミカル・コーポレーションから入手可能である。
【0053】
【表1】

ホットセット
比較例1〜3および6、ならびに実施例4および5を、温度23℃および相対湿度70パーセントに2日間維持した。比較例1〜3は、2日間で硬化しなかった。このためこれらの比較例は、ホットセットの評価をしなかった。実施例4および5、ならびに比較例6は、1および2日後にホットセットを評価した。
【0054】
【表2】

耐熱老化性能
実施例4および5、ならびに比較例6〜9の耐熱老化性能を評価した。
【0055】
【表3】

ホットセット
比較例10、11および13、ならびに実施例12および14を、温度23℃および相対湿度70パーセントに3日間維持した。ホットセット測定を1、2および3日後に行った。
【0056】
【表4】

耐熱老化性能
比較例10、11および13、ならびに実施例12および14の耐熱老化性能を評価した。前記性能を、試験片を135℃に供し、5日、7日および10日後に測定した。
【0057】
【表5】

50グラムサンプルの爆発下限界(LED)
実施例および比較例を、記載の酸化防止剤、4重量パーセントのNACURE(商標)B201アルキル芳香族スルホン酸を用いて調製した。該組成物のバランスは、DFH−2065およびDPDA−6182が1:1の比率であった。
【0058】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.シラン官能化ポリオレフィンポリマー、
b.酸性シラノール縮合触媒、および、
c.第2級アミンが2つの芳香族基で置換された酸化防止剤、
を含む水分架橋性ポリマー組成物。
【請求項2】
第2級アミンが少なくとも1つの芳香族基で置換された第2の酸化防止剤をさらに含む、請求項1の水分架橋性ポリマー組成物。
【請求項3】
a.シラン官能化ポリオレフィンポリマー、
b.酸性シラノール縮合触媒、
c.第1の酸化防止剤、および、
d.第2級アミンが少なくとも1つの芳香族基で置換された第2の酸化防止剤、
を含む水分架橋性ポリマー組成物。
【請求項4】
前記第1の酸化防止剤が、(a)フェノール性酸化防止剤、(b)チオ系酸化防止剤、(c)リン酸エステル系酸化防止剤、および、(d)ヒドラジン系金属不活性化剤からなる群より選択される、請求項3の水分架橋性ポリマー組成物。
【請求項5】
前記第2の酸化防止剤が、前記酸化防止剤の総量の約25重量パーセント以下存在する、請求項2または3の水分架橋性ポリマー組成物。
【請求項6】
前記酸性シラノール縮合触媒が、前記酸化防止剤を含まない場合に達成可能な触媒活性とおよそ同じ触媒性能を達成する、請求項1または3の水分架橋性ポリマー組成物。
【請求項7】
前記シラン官能化ポリオレフィンポリマーが、前記酸化防止剤を含まない場合に達成可能な速度とおよそ同じ速度で硬化可能である、請求項1または3の水分架橋性ポリマー組成物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1つの前記水分架橋性ポリマー組成物をワイヤまたはケーブルに対して適用し製造した、ワイヤまたはケーブル構造物。

【公表番号】特表2008−533280(P2008−533280A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−501917(P2008−501917)
【出願日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際出願番号】PCT/US2006/008368
【国際公開番号】WO2006/101754
【国際公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】