説明

水性焼付けバインダ

本発明は、アミド修飾エポキシアミン付加物Aと、アロファネートを構成要素として有するキャップされたイソシアネートBとの混合物ABを含む水性焼付けバインダ、及びその製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水性焼付けバインダに関する。また、本発明は、その調製方法及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エポキシ樹脂をベースとする水性バインダは通常、ポリアミン、多官能性の酸又はその無水物、ポリアミドアミン、アミノプラスト樹脂及びフェノプラスト樹脂等の多官能性の硬化剤で硬化される。これらの硬化剤は、エポキシ樹脂中に存在する官能基、例えば、エポキシド基、及びエポキシド基の開環により第二級ヒドロキシル基が成長鎖中に形成される、通常の鎖延長反応から生じるヒドロキシル基と反応する。
【0003】
エポキシ樹脂をベースとするコーティングは、多くの目的で、とりわけ、ベースメタルの防食に使用される。したがって、使用されるコーティング組成物は通常、顔料及びフィラー、特に、亜鉛系顔料等の、防食を強化するような顔料又はフィラーも含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、現在使用されているエポキシ樹脂をベースとしたコーティング組成物を、特に顔料の湿潤、鋼、アルミニウム、並びに亜鉛でコーティングした鋼及び鉄等の基板との適合性、並びに、硬化させると遊離する、キャッピング剤とも称されるブロック剤等の、揮発性の副産物の量の低減に関して更に改善することである。
【0005】
アミド修飾エポキシアミン付加物と、アロファネート構造を含むキャップされた(capped)イソシアネートとの組合せが、上記に概説したような所望の性質を有する水希釈性のコーティングバインダを形成することが、本発明へとつながる研究において見出された。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって本発明は、アミド修飾エポキシアミン付加物Aと、構成要素としてアロファネートを有するキャップされたイソシアネートBとの混合物ABを含む、水性焼付けバインダに関する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
前記アミド修飾エポキシアミン付加物Aが、エポキシド官能性化合物A1と、脂肪酸A31及び少なくとも1つの第一級又は第二級アミノ基を有するアミンA32から調製されるアミドアミンA3と、エポキシド基に対して反応性である化合物A2との反応生成物であり、該化合物A2が、少なくとも1つの第一級又は第二級アミノ基を有するアミンA21、少なくとも2つのフェノールヒドロキシ基を有するフェノール化合物A22、及び有機酸A23から選択されるが、ただし、少なくとも1つのアミンA21及び少なくとも1つのフェノール化合物A22が、前記付加物Aを調製する反応において使用される。
【0008】
キャップされたイソシアネートBは、少なくとも2つのキャップされたイソシアネート構造−NH−CO−ORと、少なくとも1つのアロファネート構造
−NH−CO−NR−CO−OR
とを有する
(式中、
Rは、1個〜20個の炭素原子を有する直鎖状脂肪族モノヒドロキシ化合物B211;4個〜20個の炭素原子を有する分岐鎖状脂肪族モノヒドロキシ化合物B212;及び、4個〜20個の炭素原子を有する脂環式(cyclic aliphatic)モノヒドロキシ化合物B213(なお、B211、B212及びB213のいずれかにおいて、2つのエーテル基が任意に置換されていてもよい少なくとも2つの連続するメチレン基によって分離されるように、1つ又は複数のメチレン基をエーテル基(−O−)で置き換えてもよい);フェノール、既知のクレゾール及びキシレノール異性体であり得るアルキルフェノール、1−及び2−ヒドロキシナフタレン、又はそれらの同属体、例えば、メチル、ジメチル若しくはエチルで置換されたヒドロキシナフタレン等の芳香族モノヒドロキシ化合物B214;並びに、ブタノンオキシム(butanonoxime)及びジエチルケトキシム及びフェニルメチルケトキシム等のジアルキル又はアリールアルキルケトキシムB215からなる群から選択される、一般にブロック剤とも称されるヒドロキシ官能性キャッピング剤B21(R−OH)の残基であり、
は、n個のイソシアネート基を有する多官能性イソシアネートB11
O=C=N−R−(N=C=O)n−1
の残基であり、
は、m個のイソシアネート基を有する多官能性イソシアネートB12
O=C=N−R−(N=C=O)m−1
の残基であり、
ここで、B11及びB12は、同一であっても又は互いに異なっていてもよく、独立して芳香族多官能性イソシアネート、複素環式芳香族多官能性イソシアネート、脂肪族多官能性イソシアネート、及び混合型芳香族−脂肪族多官能性イソシアネート、例えば、メタキシリレンジイソシアネートからなる群から選択され、n及びmはそれぞれ、いずれの場合にももう一方とは独立して、2以上、好ましくは2〜10の整数値と考えることができ、ウレタン基の形成下でのヒドロキシ官能性化合物との反応によって、又は尿素基の形成下でのアミノ官能性化合物との反応によって、R及び/又はR中のイソシアネート基の1つ又は複数が消費された可能性があることを考えることができ、
は、Rと同じであっても又はRと異なっていてもよく、1個〜20個の炭素原子を有する直鎖状脂肪族モノヒドロキシ化合物B221、例えば、メタノール、n−及びsec−ブタノール、1−ヘキサノール、デシルアルコール、トリデシルアルコール並びにステアリルアルコール;4個〜20個の炭素原子を有する分岐鎖状脂肪族モノヒドロキシ化合物B222、例えば、イソ−及びtert−ブタノール、アミルアルコール、2−エチル−1−ヘキサノール;及び、4個〜20個の炭素原子を有する脂環式モノヒドロキシ化合物B223、例えば、ヒドロキシシクロヘキサン、ボルネオール及びイソボルネオール(なお、B221、B222及びB223のいずれかにおいて、2つのエーテル基−O−が任意に置換されていてもよい少なくとも2つの連続するメチレン基によって分離されるように、1つ又は複数のメチレン基をエーテル基で置き換えてもよい);芳香族モノヒドロキシ化合物B224、例えば、フェノール、既知のクレゾール及びキシレノール異性体であり得るアルキルフェノール、1−及び2−ヒドロキシナフタレン;並びに、ジアルキル又はアリールアルキルケトキシムB225、例えば、ブタノンオキシム及びジエチルケトキシム及びフェニルメチルケトキシムからなる群から選択される、式R−OHのヒドロキシ官能性化合物B22の残基である)。
【0009】
好適な芳香族多官能性イソシアネートは、1,4−ジイソシアナトベンゼン、2,4−又は2,6−ジイソシアナトトルエン、及びこれらの異性体の混合物、4,4’−又は2,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、4,4’−ジイソシアナトジフェニルプロパン−(2,2)、1,2−、1,4−、2,3−及び1,8−ジイソシアナトナフタレンである。
【0010】
好適な複素環式芳香族多官能性イソシアネートは、1分子当たり少なくとも2つのイソシアネート基を有するメラミン又はグアナミンの誘導体である。
【0011】
好適な混合型芳香族−脂肪族多官能性イソシアネートは、好ましくはα,α,α’,α’−テトラメチル−m−又は−p−キシリレンジイソシアネート、及びこれらの化合物の2つ以上を含む混合物である。
【0012】
好適な脂肪族多官能性イソシアネートは、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,5−ジイソシアナト−2−メチルペンタン、1,8−オクタメチレンジイソシアネート、2,2,4−又は2,4,4−トリメチルヘキサメチレン−1,12−ジイソシアネート、1,12−ドデカメチレンジイソシアネート、1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、4,4’−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジイソシアナトジシクロヘキシルプロパン−(2,2)、1,4−ジイソシアナトベンゼン、2,4−又は2,6−ジイソシアナトトルエン、及びこれらの異性体の混合物、4,4’−又は2,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、4,4’−ジイソシアナトジフェニルプロパン−(2,2)、p−キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチル−m−又は−p−キシリレンジイソシアネート、並びにこれらの化合物を含む混合物である。
【0013】
脂肪族イソシアネートを、ケトキシムキャッピング剤B215及びB225と、又はフェノールキャッピング剤B214若しくはB224と組み合わせて使用することが好ましいが、芳香族イソシアネートは、B211、B212、B213、B221、B222及びB223による脂肪族キャッピング剤と最も良好に組み合わせられる。
【0014】
エポキシドA1は、モノエポキシドA11又はジエポキシドA12であり得る。エポキシド化合物の質量の合計に基づき最大10%の質量分率で、1分子当たり3つ以上のエポキシド基を有する、より高い官能性のエポキシドA13を使用することも可能である。より多くの量の三官能性又は多官能性エポキシドは、本発明のバインダにより調製されるコーティングの脆化をもたらすおそれがある。好適なモノエポキシドA11は、グリシドール(2,3−エポキシプロパノール)と、4個〜40個の炭素原子を有する単官能性脂肪族アルコールとのエーテル;及び、5個〜20個の炭素原子を有する脂肪族モノカルボン酸のグリシジルエステル(好ましくはアルコール又は酸が少なくとも1つの第三級又は第四級炭素原子を有する);並びに、また4個〜40個の炭素原子を有するエポキシアルカンである。エポキシド官能性化合物A12は、1分子当たり2つのエポキシド基を有する。二官能性エポキシド化合物のうち、好ましいものは、ジエポキシアルカン;グリシドール(2,3−エポキシプロパノール)と、分岐鎖状又は環状であってもよく、2個〜20個の炭素原子を有する(ただし、炭素原子の数の下限は分岐鎖状及び環状ジヒドロキシアルカンについては3である)ジヒドロキシアルカン、オリゴマー及びポリマージヒドロキシアルキレンエーテル
HO−[−(CH−O−]−(CH−OH
(式中、n=2〜4であり、m=1〜1000である)、特にポリオキシエチレングリコール及びポリオキシプロピレングリコール、及びこれらの混合エーテル、並びにポリオキシブチレングリコール、並びに、芳香族化合物が好ましくはレソルシノール、ハイドロキノン、ジヒドロキシナフタレン異性体、ビスフェノールA、ビスフェノールF、アルキル化ビスフェノールA、例えば、テトラメチルビスフェノールA、ハロゲン化ビスフェノールA、ジヒドロキシジフェニル、ジヒドロキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジフェニルスルホン及びジヒドロキシジフェニルエーテルからなる群から選択される、少なくとも1つの芳香族環を有するジヒドロキシ芳香族化合物から選択されるジヒドロキシ化合物とのエーテル;グリシドールと、直鎖状、分岐鎖状又は環状であってもよいアルキレン残基中に1個〜40個の炭素原子を有する有機アルキレン二価酸、特に好ましくはジカルボン酸、例えば、コハク酸、アジピン酸及び二量体脂肪酸とのエステル;並びに、イソフタル酸又はテレフタル酸等の芳香族二価酸のエステルである。とりわけ好ましいものは、ビスフェノールA及びビスフェノールFのジグリシジルエーテル、並びに、ビスフェノールA又はビスフェノールFをビスフェノールA又はビスフェノールFのジグリシジルエーテルと反応させることによって生成される、いわゆるそれらの先行生成物(advancement products)である。
【0015】
好ましくは、少なくとも1つの第一級又は第二級アミノ基を有するアミンA21は、脂肪族炭素原子に結合するアミノ基(複数も可)を有し、2個〜40個の炭素原子を有する。アミンA21は、m−キシリレンジアミン等の芳香脂肪族(araliphatic)アミン;少なくとも1つの第一級又は第二級アミノ基と、少なくとも1つのヒドロキシル基とを有するヒドロキシアミンA211、例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、4−ヒドロキシブチルアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン;少なくとも1つの第一級アミノ基及び少なくとも1つの第三級アミノ基を有するアミンA212、例えば、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、N,N−ジエチルアミノプロピルアミン、N−(2−アミノエチル)ピペリジン、N−(2−アミノエチル)ピロリジン、及びN−(2−アミノエチル)ピペラジン;又は特に好ましくは、少なくとも2つの第一級アミノ基及び少なくとも1つの第二級アミノ基を有するアミンA213、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、及びペンタエチレンヘキサミン、6〜100の重合度を有するオリゴマー又はポリマージアミノポリエチレンイミン、ジプロピレントリアミン、及びトリプロピレンテトラミン、及びN,N−ビス−(4−アミノブチル)−アミン、N,N’−ビス−(4−アミノブチル)−1,4−ジアミノブタン、並びにN,N−ビス−(6−アミノヘキシル)−アミン、及びN,N’−ビス−(6−アミノヘキシル)−1,6−ジアミノヘキサンであってもよい。上述のアミンの少なくとも2つの混合物を使用することも好ましい。
【0016】
フェノール化合物A22は、モノヒドロキシ又はジヒドロキシ芳香族化合物であり得る。好ましいものは、フェノールそれ自体、クレゾール異性体、特にo−及びp−クレゾール、並びにキシレノール、特に2,6−キシレノールであり、ジヒドロキシ芳香族化合物の中では、レソルシノール、ヒドロキノン、ジヒドロキシジフェニル、ジヒドロキシジフェニルエーテル、ジヒドロキシジフェニルスルホン、ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノールA)、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン(=ビスフェノールF)、及び2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン(=テトラメチルビスフェノールA)、並びに上述の化合物の他のアルキル化誘導体又はハロゲン化誘導体、並びに、これらの少なくとも2つの混合物である。
【0017】
有機酸A23は、好ましくは、直鎖状、分岐鎖状(最低4個の炭素原子を有する)又は環状(最低5個の炭素原子を有する)であり得る、2個〜40個の炭素原子を有する脂肪族モノカルボン酸であってもよく、更に好ましくは、少なくとも1つのオレフィン系不飽和を有していてもよい。特に好ましいものは、不飽和脂肪酸、例えば、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、パルミトレイン酸、エルカ酸及びリシノール酸、並びに天然原料から生成される脂肪酸の混合物であり、該混合物は、好ましくは、少なくとも20%、特に好ましくは少なくとも30%の質量分率の不飽和脂肪酸を含む。天然油から得られる脂肪酸混合物の中でも、アマニ油脂肪酸及びトール油脂肪酸がとりわけ好ましい。
【0018】
アミドアミンA3は、少なくとも1つの第一級又は第二級アミノ基と、少なくとも1つのアミド基とを有し、1つのカルボキシル官能基、及び6個〜40個の炭素原子、好ましくは8個〜36個の炭素原子を有する脂肪酸A31から誘導され、1分子当たり1つより多く存在する場合、優先的に非共役であるオレフィン二重結合をそれらの分子中に含んでいてもよく、また、それらの少なくとも1つが第一級アミノ基である少なくとも2つのアミノ基を有するアミンA32から誘導され、該アミンA32は、少なくとも1つの第一級アミノ基及び少なくとも1つの第二級アミノ基を有するアミンA321、例えば、N−メチルエチレンジアミン、N−(2−アミノエチル)ピロリジン及びN−(2−アミノエチル)ピペラジン;少なくとも2つの第一級アミノ基を有するアミンA322、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン及びペンタエチレンヘキサミン、6〜100の重合度を有するオリゴマー又はポリマージアミノポリエチレンイミン、ジプロピレントリアミン及びトリプロピレンテトラミン、及びN,N−ビス−(4−アミノブチル)−アミン、N,N’−ビス−(4−アミノブチル)−1,4−ジアミノブタン、並びにN,N−ビス−(6−アミノヘキシル)−アミン及びN,N’−ビス−(6−アミノヘキシル)−1,6−ジアミノヘキサンから選択され得る。
【0019】
好ましい脂肪酸A31は、飽和モノカルボン酸である、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸及びメリシン酸;不飽和酸である、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸(palmitoleic acid)、ペトロセリン酸、ペトロスエライジン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノールエライジン酸、リノレン酸、リノレンエライジン酸、ガドレイン酸、アラキドン酸、エルカ酸、ブラシジン酸及びクルパノドン酸である。これらの酸の混合物、特に天然のもの、及び精製された形で又は天然の植物油脂肪酸混合物からの幅広い留分で市販されているもの、例えば、トール油、ダイズ油、綿実油、ヒマシ油、アマニ油、パーム核油、トウモロコシ油、落花生油、ナタネ油、ヒマワリ油及びヤシ油も好ましい。
【0020】
水性自己架橋性バインダは好ましくは、以下のプロセスによって生成される:
第1の工程において、脂肪酸アミドアミンA3は、上記に規定されたような脂肪酸A31及びアミンA32から調製される。反応物A31及びA32の量は、脂肪酸アミドアミンA3が少なくとも1つの残る第一級又は第二級アミノ基を有するように選ばれる。
【0021】
次に、これらのアミノ官能性の脂肪酸アミドアミンA3を、第2の工程で、A2類の少なくとも2つの異なる化合物と混合し、この第2の工程では好ましくは大部分が(すなわち、この工程で使用されるエポキシド化合物の50%を超える質量分率で)モノエポキシドA11、又は2つ以上のモノエポキシドの混合物であるエポキシドA1の第1部分を添加し、このようにして得られる混合物を、好ましくは60℃〜100℃の温度に加熱して、それ以上エポキシド基を検出することができなくなるまで反応させる。
【0022】
第3の工程では、任意の好ましい実施形態において、更なる量のA2に記載の化合物のうちの少なくとも1つをその後添加し、次に強制的に、この第3の工程では好ましくは、任意に2つより多くの官能基を有するエポキシドA13の混和物と併せた、ジエポキシドA12であるエポキシド化合物A1の第2部分を添加し、エポキシド基が全て消費されるまで、反応塊を上記と同じ温度で処理する。
【0023】
別個の工程では、初めにキャッピング剤B2を装填するとともに、触媒を混和し、混合物を加熱し、イソシアネートB1を分割して添加し、温度を一定に維持して、イソシアネート基が完全に消費されるまで反応させることによって、硬化剤を、少なくとも二官能性のイソシアネートB1と、キャッピング剤B2とから調製する。
【0024】
第4の工程では、別個の工程において形成される硬化剤を、工程3の反応混合物に添加し、十分に均質化し、得られる均質な混合物を冷却するとともに、水中に分散させ、均質化した混合物の添加前に、これに中和剤を添加する。
【0025】
更なる任意の工程では、更なるジエポキシドA12を添加し、エポキシド基が全て消費されるまで、再度反応させる。
【0026】
好ましい反応順序は、第2の工程において、アミンA21の一部のみを添加し、残りのアミンA21を第3の工程前に添加することを示す。
【0027】
モノエポキシドA11とジエポキシドA12との物質量比が1:1.5〜1:5であるときに、最良の防食をもたらすことが、本発明へとつながる実験において見出された。好ましい比率は、1:2〜1:4.5、特に好ましくは1:2.5〜1:4である。
【0028】
また、ジエポキシドA12の2つの部分の物質量比が、第3の工程及び工程4の後の任意の工程において、10:1〜4:1、好ましくは9.5:1〜5:1、特に好ましくは9:1〜6:1の制限範囲内にある場合に、良好な防食をもたらすことができる。
【0029】
好ましくは、アミン水素原子は全てエポキシドとの反応によって第三級アミノ基へと変換されるため、残ったバインダ中にはアミン水素原子量は残存しない。したがって、エポキシドの量は、少なくともアミノ基を全て第三級アミノ基へと変換するように選ぶ必要がある。
【0030】
第2の工程におけるモノエポキシドA11の量は好ましくは、全てのアミン系NH基の4%〜30%、とりわけ好ましくは6%〜20%が、モノエポキシドA11の添加によって、β−ヒドロキシアミン構造へと変換されるように選ばれる。
【0031】
バインダのヒドロキシル価は好ましくは、20mg/g〜150mg/g、特に好ましくは30mg/g〜120mg/gの範囲である。
【0032】
本発明のバインダにより調製されるコーティングは、ほんの数例を挙げると、鋼、アルミニウム又は亜鉛であるベースメタルに対して良好な防食をもたらし、それらは、ウルトラマリン顔料、二酸化チタン顔料及び酸化鉄顔料等の無機顔料、並びにまたキナクリドン顔料及びフタロシアニン顔料等の有機顔料の両方に関して、良好な顔料(pigment)の湿潤を示す。
【0033】
特に重要な性質は、硬化中に分離する少量の有機化合物である。非アロファネート硬化剤と組み合わせる場合、同じ架橋度を実現するためにより多くの量のブロックしたイソシアネートを使用しなければならず、このため、架橋反応中に発生する揮発性産物の量の増大、及び本発明のアミド修飾エポキシアミン付加物Aと組み合わされる分散液の安定性の損失の両方がもたらされる。
【0034】
限定することを意図するものではない以下の実施例によって本発明を更に例示する。
【実施例】
【0035】
実施例1 脂肪酸アミドアミンの調製
アミノ基を含有する脂肪酸アミドを、以下の手順に従って合成した:
215g(1mol)のビス−ヘキサメチレントリアミン(BHMTA)を40℃に加熱した。560g(2mol)のトール油脂肪酸(TOFA)を15分間撹拌しながら添加し、その後、混合物を、僅かな発熱も利用して1時間で150℃まで加熱した。反応中に生成される水を分離し、混合物を150℃で更に3時間保持し、次に、更に2時間かけて180℃に加熱した。本実験では1molの物質量に相当するおよそ76mg/gのアミン価(DIN 53 176に従い、対象となる試料と同量の中和用の酸を消費する水酸化カリウムの質量m(KOH)と、その試料の質量m(B)、又は溶液若しくは分散液である場合には、試料中の固形分の質量との比率として求められる)に至るまで、この反応混合物をその温度で保持した。75.3mg/gのアミン価及び8.1mg/gの酸価を有する蝋状の褐色固体が得られた。
【0036】
酸価は、DIN EN ISO 3682(DIN 53 402)に従い、試験対象の試料を中和するのに必要とされる水酸化カリウムの質量m(KOH)と、この試料の質量m(B)、又は溶液若しくは分散液である場合には、試料中の固体の質量との比率として求めた。その慣習単位は「mg/g」である。
【0037】
表1に示されるような遊離物(出発物質)の質量及び種類に関して、更なる脂肪酸アミド1.2〜1.5を同様の手順に従って合成した。以下の略号はアミン及び脂肪酸についての「種類」の行において使用する:
BHMTA ビス−ヘキサメチレントリアミン
DETA ジエチレントリアミン
TETA トリエチレンテトラミン
POFA 落花生油脂肪酸、<M>=280g/mol
INA イソノナン酸、M=158g/mol
TOFA トール油脂肪酸、<M>=280g/mol
Mは上記の化合物のモル質量を表し、<M>は上記の化合物の数平均モル質量を表す。
【0038】
表1 脂肪酸アミドアミン
【表1】

【0039】
また、比較用化合物V(ヒドロキシアミン)を、ヘキサメチレンジアミン1molと、分岐鎖状デカン酸(「ネオデカン酸」とも称される)の混合物のグリシジルエステル(Hexion Specialty Chemicalsから(商標)Cardura E10Pとして入手可能)2molとの反応によって合成した。
【0040】
実施例2 アミド修飾エポキシ樹脂
バインダB1を以下の手順に従って合成した:
実施例1による739g(1mol)のアミン官能性脂肪酸アミド1.2を、280g(1mol)のトール油脂肪酸、及び215gのビス−ヘキサメチレントリアミン(1mol)、及び溶剤として1093gのメトキシプロパノールと90℃で混合し、透明な溶融物が形成されるまで撹拌した。冷却することにより温度を85℃〜90℃に保持しながら、1時間以内に、ネオデカン酸のグリシジルエステル774g(3.1mol)を添加した。更に1時間85℃で撹拌した後、以下の生成物:968g(4.24mol)のビスフェノールA(BA)、206g(1.96mol)のジエタノールアミン(DOLA)、及び184g(1.8mol)のジメチルアミノプロピルアミン(DMAPA)を順番に添加した。透明な溶融物が80℃で得られたら、ビスフェノールAをベースとし、かつ380g/molのモル質量を有する、3230g(8.5mol)の液体エポキシド樹脂の第1部分を添加すると、温度が反応熱に起因して約150℃まで上昇する。未反応のエポキシド基が検出可能でなくなるまで、この反応混合物を150℃で約1時間保持した。8800gの脱イオン水と450gの酢酸水溶液(60g/100gの濃度を有する、3mol)との混合物を装填することによって、希釈容器を調製し、その後、樹脂溶液を30分以内に撹拌しながら添加した。次に、温度を70℃に設定し、均質な分散液が得られるまで撹拌を更に1時間続けた。固体の最終質量分率が45%になるまで水を分割して添加した。このようにして得られる分散液を80℃に加熱し、400g(1.05mol)の上述のエポキシ樹脂の第2部分を添加し、遊離エポキシド基がこれ以上検出可能でなくなるまで、得られる混合物を撹拌しながら70℃〜80℃の温度に保持した。得られる生成物は、60cm/gのシュタウディンガーインデックスを有していた。
【0041】
更なるバインダを表2に従って生成した:
以下の略号を使用した:
CE:(商標)Cardura E10 P(ネオデカン酸のグリシジルエステル)
EP:ビスフェノールAジグリシジルエーテル(M=380g/mol)
m/g:構成成分の質量(g)
n/mol:構成成分の物質量(mol)
【0042】
表2:アミド修飾エポキシ樹脂
【表2】

【0043】
1.1〜1.5:実施例1による脂肪酸アミドアミン
Vは、1molのHDAと2molの(商標)Cardura E10 Pとから生成される付加物(上記参照)であり、
調製した樹脂を中和すると、表3に示されるような物理化学的性質を有していた:
【0044】
表3 樹脂の中和及び物理化学的性質
【表3】

【0045】
ηは、100s−1の剪断速度で測定される動的粘度についての通常の記号である。
【0046】
実施例3 アロファネートを含有するイソシアネート官能性の架橋剤の調製
1430g(11mol)の2−エチルヘキサノール及び3.1gのナトリウムフェノラートをガラス容器に装填し、80℃に加熱した。1740g(10mol)の2,4−トルイレンジイソシアネートを、温度を80℃〜85℃の範囲に維持するように冷却しながら分割して添加した。ジイソシアネートを全量添加したら、イソシアネート基が完全に消費されるまで、反応塊を80℃〜90℃に維持した。3170g/molの平均モル質量及び6.33mol/kgの架橋性イソシアネート基の比含有量を有する、アロファネートを含有するオリゴマーイソシアネートが得られた。
【0047】
実施例4 比較用架橋剤
134g(1mol)のトリメチロールプロパンを、2−エチルヘキサノールでセミブロックした(semi-blocked)851g(2.8mol)のトルイレンジイソシアネートと反応させることによって、比較用架橋剤を合成した。この架橋剤はアロファネート基を含まないものであった。架橋性イソシアネート基の比含有量は2.84mol/kgであった。
【0048】
実施例5 コーティング組成物
混合物を、バインダ2.1〜2.9と、実施例3の(本発明による)架橋剤及び実施例4の比較用架橋剤とにより調製した。バインダ2.1〜2.6、2.8及び2.9は本発明によるものであるのに対し、バインダ2.7はアミド構成成分を含まないで生成されたものである。これらの混合物を表4に詳述する。
【0049】
表4 コーティング組成物
【表4】

【0050】
m(B)はバインダ中の固体の質量である。
m(XL)は架橋剤中の固体の質量である。
ST:焼付け損失、焼付け中に分離する揮発物の質量と、コーティング組成物固体の質量との比率(%)。
【0051】
実施例6 コーティング試験の結果
実施例5のコーティング組成物(塗料)に関して、その組成を表4に示し、以下の試験を行った:
a)篩分け試験:1kgのコーティング組成物を、28μmのメッシュ幅を有する篩に通過させ、沈降物の量を秤量し、沈降物の質量と塗料の質量との比率(mg/kg)として示した。
b)3つの異なる種類の基板である、アルミニウムパネル(b1)、(商標)Gardobond試験パネルS26/6800 OC(亜鉛コーティングし、リン酸塩とした(phosphatised)鋼)(b2)、及び(商標)Gardobond試験パネルS26/6800 OC(電解による亜鉛コーティングが施された鋼)(b3)を用いた、コーティングした基板の外観;基板は、取得時の状態のものを使用し、コーティング前に脱イオン水でリンスした。
外観の評価は以下のとおりである:
「0」 光沢があり滑らか
「1」 絹のような光沢
「2」 光沢があるが単一ピンホールがある
「3」 無光沢
「4」 無光沢で単一ピンホールがある
「5」 無光沢でザラザラしている。
c)3つの異なる種類の基板である、アルミニウムパネル(b1)、(商標)Gardobond試験パネルS26/6800 OC(亜鉛コーティングし、リン酸塩とした鋼)(b2)、及び(商標)Gardobond試験パネルS26/6800 OC(電解による亜鉛コーティングが施された鋼)(b3)を用いた、コーティングした基板のクロスハッチ試験;基板は、取得時の状態のものを使用し、コーティング前に脱イオン水でリンスした。評価は、ASTM D3359の方法Bの基準(norm)に従うものである。
d)亜鉛コーティングし、リン酸塩とした鋼シートを用いた、ISO 6272に従う裏面衝撃試験。結果は、一般に使用される非SI単位で得て、SI単位に変換する(1in・lb=0.113J)。
e)亜鉛コーティングし、リン酸塩とした鋼シートに、DIN EN ISO 7253に従って塩水噴霧を施した塩水噴霧試験、錆の形成度合いe1は以下のように分級される:
「0」 錆汚れなし
「1」 単一の錆汚れ
「2」 表面の約20%が錆汚れで覆われている
「3」 表面の50%超が錆汚れで覆われている
「4」 錆が表面全体を覆っている。
また、e2は、塗膜中の引っ掻き傷からの腐食クリープの最前部の距離を示す。
【0052】
乾燥膜厚はいずれの場合も22μmであった。以下の試験結果は、塗料(コーティング組成物)バインダ1〜9を用いて得たものである:
【0053】
表5 コーティング試験
【表5】

【0054】
アミドを含有するエポキシアミン付加物をバインダとして使用することによって、表面の外観が改善されることが分かる(アミドを含まない塗料7に対して、アミドを含む塗料1〜6)。クロスハッチ試験の結果についても同じことが言える。
【0055】
「2..3」という形式の表中の数は、値が2と3との間であること等を意味する。
【0056】
エポキシアミン付加物中にアミド構成成分を含むバインダとともに、アロファネートを含有する架橋剤(塗料1〜6)と同量の、アロファネート基を含まない比較用架橋剤(塗料8)を使用することは、塩水噴霧試験結果によって立証されるように、はるかに低い衝撃値、及び腐食からの保護の顕著な低下をもたらす。また、クロスハッチ試験では、より悪い結果が見られる。
【0057】
比較用架橋剤の量を化学量論に従って増大すると(塗料9)、塗料8によるものよりも衝撃試験結果が改善され、クロスハッチ試験の結果も同様に改善されるものの、依然として塗料1〜塗料6ほど良好でない。また、腐食試験結果と同様に、表面の外観が深刻に損なわれることが確認され得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミド修飾エポキシアミン付加物Aと、構成要素としてアロファネートを有するキャップされたイソシアネートBとの混合物ABを含む、水性焼付けバインダ。
【請求項2】
前記アミド修飾エポキシアミン付加物Aが、エポキシド官能性化合物A1と、脂肪酸A31及び少なくとも1つが第一級アミノ基である少なくとも2つのアミノ基を有するアミンA32から調製されるアミドアミンA3と、エポキシド基に対して反応性である化合物A2との反応生成物であり、該化合物A2が、少なくとも1つが第一級アミノ基である少なくとも2つのアミノ基を有するアミンA21、少なくとも2つのフェノールヒドロキシ基を有するフェノール化合物A22、及び有機酸A23から選択されるが、ただし、少なくとも1つのアミンA21及び少なくとも1つのフェノール化合物A22が、前記付加物Aを調製する反応において使用される、請求項1に記載の水性焼付けバインダ。
【請求項3】
前記キャップされたイソシアネートBが、少なくとも2つのキャップされたイソシアネート構造−NH−CO−ORと、少なくとも1つのアロファネート構造(R−NH−CO−NR−CO−OR)とを有する、請求項1に記載の水性焼付けバインダ
(式中、
Rは、1個〜20個の炭素原子を有する直鎖状脂肪族モノヒドロキシ化合物B211;4個〜20個の炭素原子を有する分岐鎖状脂肪族モノヒドロキシ化合物B212;及び、4個〜20個の炭素原子を有する脂環式モノヒドロキシ化合物B213(なお、B211、B212及びB213のいずれかにおいて、2つのエーテル基が任意に置換されていてもよい少なくとも2つの連続するメチレン基によって分離されるように、1つ又は複数のメチレン基をエーテル基(−O−)で置き換えてもよい);芳香族モノヒドロキシ化合物B214;並びに、ジアルキル又はアリールアルキルケトキシムB215からなる群から選択される、一般にブロック剤とも称されるヒドロキシ官能性キャッピング剤B21(R−OH)の残基であり、
は、n個のイソシアネート基を有する多官能性イソシアネートB11
O=C=N−R−(N=C=O)n−1
の残基であり、
は、m個のイソシアネート基を有する多官能性イソシアネートB12
O=C=N−R−(N=C=O)m−1
の残基であり、
ここで、B11及びB12は、同一であっても又は互いに異なっていてもよく、独立して芳香族多官能性イソシアネート、複素環式芳香族多官能性イソシアネート、脂肪族多官能性イソシアネート、及び混合型芳香族−脂肪族多官能性イソシアネート、例えば、メタキシリレンジイソシアネートからなる群から選択され、n及びmはそれぞれ、いずれの場合にももう一方とは独立して、2以上、好ましくは2〜10の整数値と考えることができ、ウレタン基の形成下でのヒドロキシ官能性化合物との反応によって、又は尿素基の形成下でのアミノ官能性化合物との反応によって、R及び/又はR中のイソシアネート基の1つ又は複数が消費された可能性があることを考えることができ、
は、Rと同じであっても又はRと異なっていてもよく、1個〜20個の炭素原子を有する直鎖状脂肪族モノヒドロキシ化合物B221;4個〜20個の炭素原子を有する分岐鎖状脂肪族モノヒドロキシ化合物B222;及び、4個〜20個の炭素原子を有する脂環式モノヒドロキシ化合物B223(なお、B221、B222及びB223のいずれかにおいて、2つのエーテル基−O−が任意に置換されていてもよい少なくとも2つの連続するメチレン基によって分離されるように、1つ又は複数のメチレン基をエーテル基で置き換えてもよい);芳香族モノヒドロキシ化合物B224;並びに、ジアルキル又はアリールアルキルケトキシムB225からなる群から選択される、式R−OHのヒドロキシ官能性化合物B22の残基である)。
【請求項4】
前記芳香族多官能性イソシアネートが、1,4−ジイソシアナトベンゼン、2,4−及び2,6−ジイソシアナトトルエン、これらの異性体の混合物、4,4’−及び2,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、4,4’−ジイソシアナトジフェニルプロパン−(2,2)、1,2−、1,4−、2,3−及び1,8−ジイソシアナトナフタレンからなる群から選択される、請求項3に記載の水性焼付けバインダ。
【請求項5】
前記複素環式芳香族多官能性イソシアネートが、1分子当たり少なくとも2つのイソシアネート基を有するメラミン又はグアナミンの誘導体である、請求項3に記載の水性焼付けバインダ。
【請求項6】
前記混合型芳香族−脂肪族多官能性イソシアネートが、α,α,α’,α’−テトラメチル−m−及び−p−キシリレンジイソシアネート、並びにこれらの化合物の少なくとも2つを含む混合物からなる群から選択される、請求項3に記載の水性焼付けバインダ。
【請求項7】
前記脂肪族多官能性イソシアネートが、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,5−ジイソシアナト−2−メチルペンタン、1,8−オクタメチレンジイソシアネート、2,2,4−及び2,4,4−トリメチルヘキサメチレン−1,12−ジイソシアネート、1,12−ドデカメチレンジイソシアネート、1,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、4,4’−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジイソシアナトジシクロヘキシルプロパン−(2,2)、1,4−ジイソシアナトベンゼン、2,4−又は2,6−ジイソシアナトトルエン、並びにこれらの異性体の混合物、4,4’−又は2,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、4,4’−ジイソシアナトジフェニルプロパン−(2,2)、p−キシリレンジイソシアネート、α,α,α’,α’−テトラメチル−m−又は−p−キシリレンジイソシアネート、並びにこれらの化合物を含む混合物からなる群から選択される、請求項3に記載の水性焼付けバインダ。
【請求項8】
脂肪族イソシアネートが、ケトキシムキャッピング剤B215及びB225と、又はフェノールキャッピング剤B214若しくはB224と組み合わせて使用される、請求項3に記載の水性焼付けバインダ。
【請求項9】
芳香族イソシアネートが、請求項3に詳述したようなB211、B212、B213、B221、B222及びB223からなる群から選択される1つ又は複数の脂肪族キャッピング剤と組み合わせて使用される、請求項3に記載の水性焼付けバインダ。
【請求項10】
前記エポキシドA1が、モノエポキシドA11及びジエポキシドA12からなる群から選択され、前記モノエポキシドA11が、モノエポキシアルカン;グリシドールと、4個〜40個の炭素原子を有する単官能性脂肪族アルコールとのエーテル;及び5個〜20個の炭素原子を有する脂肪族モノカルボン酸のグリシジルエステルからなる群から選択され、前記ジエポキシドA12が、1分子当たり2つのエポキシド基を有し、かつジエポキシアルカン;グリシドールと、2個〜20個の炭素原子を有するジヒドロキシアルカン、オリゴマー及びポリマージヒドロキシアルキレンエーテル
HO−[−(CH−O−]−(CH−OH
(式中、n=2〜4であり、m=1〜1000である)、並びに少なくとも1つの芳香族環を有するジヒドロキシ芳香族化合物から選択されるジヒドロキシ化合物とのエーテル;グリシドールと、アリーレン残基又はアルキレン残基中に1個〜40個の炭素原子をそれぞれ有する、有機アリーレン二価酸及びアルキレン二価酸とのエステルからなる群から選択され、該アルキレン残基は直鎖状、分岐鎖状又は環状であってもよい、請求項2に記載の水性焼付けバインダ。
【請求項11】
前記アミンA21が、脂肪族炭素原子に結合する少なくとも1つの第一級又は第二級アミノ基を有し、かつ2個〜40個の炭素原子を有する、請求項2に記載の水性焼付けバインダ。
【請求項12】
前記フェノール化合物A22が、モノヒドロキシ又はジヒドロキシ芳香族化合物である、請求項2に記載の水性焼付けバインダ。
【請求項13】
前記有機酸A23が、2個〜40個の炭素原子を有する飽和又は不飽和脂肪族モノカルボン酸である、請求項2に記載の水性焼付けバインダ。
【請求項14】
前記アミドアミンA3が、少なくとも1つの第一級又は第二級アミノ基と、少なくとも1つのアミド基とを有し、6個〜40個の炭素原子を有する飽和又は不飽和脂肪酸A31、並びに少なくとも1つの第一級アミノ基と少なくとも1つの第2級アミノ基とを有するアミンA321、及び少なくとも2つの第一級アミノ基を有するアミンA322から選択される、少なくとも1つが第一級アミノ基である少なくとも2つのアミノ基を有するアミンA32から誘導される、請求項2に記載の水性焼付けバインダ。
【請求項15】
水性焼付けバインダを製造する方法であって、
第1の工程において、脂肪酸アミドアミンA3を、脂肪酸A31と、少なくとも1つが第一級アミノ基である少なくとも2つのアミノ基を有するアミンA32とから調製する工程であって、前記アミドA3が少なくとも1つの残る第一級又は第二級アミノ基を有するように、該反応物A31及びA32の量を選ぶ、調製する工程と、
第2の工程においてこれらのアミノ官能性脂肪酸アミドA3を、少なくとも1つが第一級アミノ基である少なくとも2つのアミノ基を有するアミンA21、少なくとも2つのフェノールヒドロキシ基を有するフェノール化合物A22、及び有機酸A23から選択される、A2類の少なくとも2つの異なる化合物と混合するが、ただし、少なくとも1つのアミンA21及び少なくとも1つのフェノール化合物A22を使用し、単官能性エポキシドA1の第1部分を添加し、それ以上エポキシド基を検出することができなくなるまで、このようにして得られる混合物を反応させる工程と、
任意の工程において、更なる量のA2に記載の化合物のうちの1つをその後添加する工程と、次に、
第3の工程において、前記エポキシド化合物A1の第2部分を添加し、エポキシド基が全て消費されるまで、該反応塊を上記のように反応させる工程と、
別個の工程において、初めにキャッピング剤B2を装填するとともに、触媒を混和し、該混合物を加熱し、イソシアネートB1を分割して添加し、温度を一定に維持して、該イソシアネート基が完全に消費されるまで反応させることによって、少なくとも二官能性のイソシアネートB1と、キャッピング剤B2とから硬化剤を調製する工程と、
第4の工程において、前記別個の工程において形成される前記硬化剤を、前記反応混合物に添加し、十分に均質化し、得られる均質な混合物を冷却するとともに、水中に分散させ、前記均質化した混合物の添加前に、これに中和剤を添加する工程と、
更なる任意の工程において、ジエポキシドA12を、前記第4の工程において形成される前記水性分散液に添加し、エポキシド基が全て消費されるまで、再度反応させる工程と、
を含む、水性焼付けバインダを製造する方法。

【公表番号】特表2013−507512(P2013−507512A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−533651(P2012−533651)
【出願日】平成22年10月16日(2010.10.16)
【国際出願番号】PCT/EP2010/065576
【国際公開番号】WO2011/045433
【国際公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(512015987)サイテク オーストリア ゲーエムベーハー (7)
【Fターム(参考)】