説明

水性頭皮外用剤

【課題】べたつかずに毛髪のボリューム感を改善する水性頭皮外用剤を提供する。
【解決手段】次の成分(A)〜(F):
(A)センブリエキス、ビタミンE類、およびニコチン酸類から選ばれる少なくとも1種の血行促進成分;
(B)ユーカリエキス;
(C)1×10−1〜1×10質量%のN−プロピオニルポリエチレンイミン・メチルポリシロキサン共重合体;
(D)5×10−2〜5質量%のN,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩・N,N−ジメチルアクリルアミド・ジメタクリル酸ポリエチレングリコール共重合体;
(E)2×10〜6×10質量%のエタノール;
及び(F)水を含有する水性頭皮外用剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性頭皮外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、養毛・育毛料に期待される機能として、薄毛の改善、抜け毛の減少、髪のハリコシ感の向上といった髪質改善効果が挙げられる。しかしながら、特許文献1に記載される養育毛剤等は、髪のハリコシ感の向上は得られるものの、髪のごわつきが残り、髪質改善効果には不十分である。また、特許文献2のように、ごわつきを改善した技術も公開されているが、べたつきは改善されていない。現在より優れた髪質の即効改善効果が望まれ、ポリマーの種類を変えた水性頭皮外用剤(特許文献3参照)等も報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−213637号公報
【特許文献2】特開2009−96765号公報
【特許文献3】特開2008−208117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の水性頭皮外用剤は、使用直後の髪において、べたつきが多く、ボリューム感がなく、満足のいく仕上がりではなかった。
そこで、本発明は、特定のポリマーを組み合わせることで、べたつかずに毛髪のボリューム感を改善する水性頭皮外用剤を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、(A)センブリエキス、ビタミンE類、ニコチン酸類から選ばれる少なくとも1種の血行促進成分および(B)ユーカリエキスに、特定の(C)N−プロピオニルポリエチレンイミン・メチルポリシロキサン共重合体および(D)N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩・N,N−ジメチルアクリルアミド・ジメタクリル酸ポリエチレングリコール共重合体を組み合せ、さらに(E)エタノール及び(F)水を含有する水性頭皮外用剤を提供するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、べたつかずに毛髪のボリューム感を改善する水性頭皮外用剤を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態を説明する。
本実施形態の水性頭皮外用剤は、
次の成分(A)〜(F):
(A)センブリエキス、ビタミンE類、およびニコチン酸類から選ばれる少なくとも1種の血行促進成分;
(B)ユーカリエキス;
(C)1×10−1〜1×10質量%のN−プロピオニルポリエチレンイミン・メチルポリシロキサン共重合体;
(D)5×10−2〜5質量%のN,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩・N,N−ジメチルアクリルアミド・ジメタクリル酸ポリエチレングリコール共重合体;
(E)2×10〜6×10質量%のエタノール;
及び(F)水を含有する水性頭皮外用剤であることが好ましい。次に各成分について詳細に説明する。
【0008】
(成分(A))
成分(A)は、センブリエキス、ビタミンE類、ニコチン酸類から選ばれる少なくとも1種の血行促進成分である。具体的には、センブリエキス、ビタミンE類(DL−α−トコフェロール、D−α−トコフェロール、酢酸DL−α−トコフェロール、酢酸D−α−トコフェロール等)、ニコチン酸類(ニコチン酸、DL−α−トコフェロールニコチン酸エステル、ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル等)を挙げることができる。なかでも、頭皮の血行を促進するうえで、酢酸DL−α−トコフェロール、ニコチン酸アミド、センブリエキスが好ましく、これらは1種または2種以上を組み合せて用いることができる。特に、頭皮の血行を促進し、毛髪のハリコシに寄与する観点で、ニコチン酸アミド、センブリエキスが好ましい。
【0009】
成分(A)の血行促進剤である、センブリエキスは、全組成中に、乾燥質量として1×10−5〜1質量%、好ましくは1×10−4〜1×10−1質量%、さらに頭皮の血行を促進する観点で、1×10−3〜5×10−2質量%含有されることが好ましい。ビタミンE類、ニコチン酸類は、1×10−4〜3質量%、好ましくは1×10−3〜1質量%、さらに頭皮の血行を促進する観点で、1×10−2〜5×10−1質量%含有されることが好ましい。
【0010】
(成分(B))
成分(B)のユーカリエキスは、フトモモ科ユーカリ属植物であるユーカリプタス・グロブラス〔学名:Eucalyptus globulus、ユーカリノキ〕の葉、枝等をそのまま、又は乾燥粉砕して、溶剤抽出し、濃縮することにより得られたエキスであり、保湿剤や抗菌、殺菌、血行促進、収斂効果などを有するものとして一般には使用されているものである。また、市販品を利用することもできる。なお、抽出溶剤としては、通常、植物成分の抽出に用いられる溶剤、例えば、水、石油エーテル、n−ヘキサン、トルエン、ジクロロエタン、クロロホルム、エーテル、酢酸エチル、アセトン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等を用いることができる、特に水、エタノール、プロピレングリコール、ブチレングリコールを好ましく使用できる。これらは2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、抽出条件も従来のユーカリエキスの抽出条件を踏襲することができ、例えば上記植物を抽出溶剤に3〜100℃で数時間〜数週間浸漬したり、抽出溶剤を加熱還流させたりすることが挙げられる。
【0011】
成分(B)のユーカリエキスは、全組成中に、乾燥質量として1×10−5〜1質量%、好ましくは1×10−4〜1×10−1質量%、より好ましくは1×10−3〜5×10−2質量%である。この範囲での配合により、頭皮や毛髪のべたつきを抑制し、毛髪の感触を損なわないようにできる。
【0012】
(成分(C))
成分(C)のN−プロピオニルポリエチレンイミン・メチルポリシロキサン共重合体は、下記一般式(1)で表される。
【0013】
【化1】

【0014】
(式中、RはCを示し、mは20〜10000の数を示し、nは20〜10000の数を示し、xおよびyはそれぞれ5〜100の数を示し、及びYは陰イオンを示す。)で表されるものが好ましい。
上記一般式(1)中の陰イオンYは、エチルスルフェート陰イオン等が挙げられる。)
【0015】
成分(C)の重量平均分子量(MWt)は、毛髪がべたつかない感触になることから、35000〜130000、なかでも85000〜120000が好ましい。
【0016】
成分(C)のポリ(N−プロピオニルポリエチレンイミン)セグメントの分子量(MWox)は、GPC測定法により測定される数平均分子量をいい、好ましくは700〜3000、より好ましくは1000〜2800である。これにより、毛髪を滑らかにし、ふんわりした仕上がりにすることができる。
【0017】
主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントの重量平均分子量(MWsi)は30000〜110,000であるが、毛髪を滑らかにし、ふんわりした仕上がりにする観点から、好ましくは80,000〜100,000が好ましい。
【0018】
重量平均分子量は、GPCにより下記条件で測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量である。
カラム:Super HZ4000+Super HZ2000(東ソー株式会社製)
溶離液:1mMトリエチルアミン/THF
流量 :0.35mL/min
カラム温度:40℃
検出器:UV
サンプル:50μL
【0019】
成分(C)重量平均分子量(MWt)中の主鎖であるメチルポリシロキサンセグメントの重量平均分子量(MWsi)の質量含有率が50〜98%のものが、毛髪がふんわりした感触で、ボリューム感が得られる。なかでも80〜95%が好ましい。
【0020】
成分(C)は、全組成中に、1×10−1〜1×10質量%含有できる。好ましくは1×10−1〜5質量%、特に好ましくは5×10−1〜3質量%である。また、この範囲での配合により、頭皮や毛髪のべたつきを抑制し、毛髪の感触を損なわないようにできる。
【0021】
(成分(D))
成分(D)のN,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩・N,N−ジメチルアクリルアミド・ジメタクリル酸ポリエチレングリコール共重合体は、分子量500〜3000の範囲のものが好ましく、なかでも、さらに1000〜2000の範囲、特に1200〜1800の範囲のものが好ましい。
【0022】
成分(D)のN,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩・N,N−ジメチルアクリルアミド・ジメタクリル酸ポリエチレングリコール共重合体の含有量は、水性頭皮外用剤全量中に好ましくは5×10−2〜5重量%、好ましくは1×10−1〜5質量%、特に好ましくは3×10−1〜3質量%である。また、この範囲での含有により、頭皮や毛髪のべたつきを抑制し、毛髪の感触に優れている。
水性頭皮外用剤中の成分(C)のN−プロピオニルポリエチレンイミン・メチルポリシロキサン共重合体と、成分(D)のN,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩・N,N−ジメチルアクリルアミド・ジメタクリル酸ポリエチレングリコール共重合体の含有比は、質量比で(C)/(D)=1/2〜10/1であることが好ましい。なかでも質量比で(C)/(D)=1/1〜5/1にすることで、成分(A)、成分(B)で血行促進された頭皮から生える毛髪の根元にこれらの成分が吸着し、クッションの役目をするため、毛髪を根元から立ち上げる効果が得られ、その結果、しなやかで、ボリューム感のある毛髪にすることができる。
【0023】
(成分(E))
成分(E)のエタノールの含有量は、全組成中に2×10〜6×10質量%である。
より好ましくは3×10〜5.5×10質量%である。
【0024】
(成分(F))
成分(F)の水の含有量は、全組成中に、好ましくは、3×10〜7.5×10質量%、より好ましくは、4×10〜7.3×10質量%である。
【0025】
本発明の水性頭皮外用剤には、さらに、成分(G)フラバノノール類を含有することができる。フラバノノール類としては、特開平8−157464号公報又は特開平8−157334号公報記載の合成フラバノノール類のいずれも使用することができる。これらのうち、特にトランス−3,4'−ジメチル−3−ヒドロキシフラバノンが好ましい。フラバノノール類は少なくとも1種または2種以上含有することができる。全組成中の含有量は、育毛効果及び健康な頭皮への改善効果の面から1×10−3〜2質量%が好ましく、なかでも5×10−3〜1質量%、特に1×10−2〜8×10−1質量%が好ましい。
【0026】
本発明の水性頭皮外用剤には、さらに、成分(H)グリチルレチン酸、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルレチン酸ステアリルを健康な頭皮への改善効果の面から少なくとも1種または2種以上含有することができる。全組成中の含有量は、健康な頭皮への改善効果の面から1×10−4〜5質量%が好ましく、なかでも5×10−3〜1質量%、特に1×10−2〜5×10−1質量%が好ましい。
【0027】
本発明の水性頭皮外用剤には、必要に応じて、更に、抗菌剤、毛包賦活剤、保湿剤、角質溶解剤、抗脂漏剤、局所刺激剤、抗男性ホルモン剤、カリウムチャンネルオープナー及び抗酸化剤から選ばれる成分を1種又は2種以上を組み合わせて配合することができる。これらの成分は、本発明の水性頭皮外用剤中に、1×10−3〜3×10質量%、好ましくは1×10−2〜1.5×10質量%で含有するのが好ましい。
【0028】
抗菌剤としては、例えばイソプロピルメチルフェノール、塩化ベンザルコニウム、オクトピロックス、感光色素101、感光色素201、クロルヘキシジン、サリチル酸、ジンクピリチオン、ソルビン酸カリウム、ヒノキチオール、フェノール等が挙げられる。これらのうち、特にイソプロピルメチルフェノール、塩化ベンザルコニウム、オクトピロックス、ジンクピリチオン、ヒノキチオール等が好ましく挙げられる。
【0029】
毛包賦活剤としては、例えばトランス−3,4′−ジメチル−3−ヒドロキシフラバノン、アデノシン、パントテニルエチルエーテル、サイトプリン、N−アセチル−L−メチオニン、タマサキツヅラフジ、セファランチン、アデノシン三リン酸ジナトリウム、アスパラギン酸カリウム、感光色素301、ペンタデカン酸グリセリド、パントテン酸エチル、チクセツニンジン、ビオチン、モノニトログアヤコールナトリウム、酵母エキス、ニンニク成分、真珠蛋白抽出液、タイソウエキス、プラセンタエキス、ローヤルゼリー、ソフォラ抽出ペースト(クジン)、6−ベンジルアミノプリン、ジアルキルモノアミン誘導体等が挙げられる。これらのうち、特にタマサキツヅラフジ、セファランチン、アデノシン三リン酸ジナトリウム、ペンタデカングリセリド、パントテン酸エチル、チクセツニンジン、ビオチン、モノニトログアヤコールナトリウム、プラセンタエキス、ローヤルゼリー等が挙げられる。
【0030】
保湿剤としては、例えばオトギリソウエキス、カラスムギエキス、可溶性コラーゲン、グリセリン、コンドロイチン硫酸、チューベロースポリサッカライド、プロピレングリコール、冬虫夏草エキス、延命草エキス、オオムギエキス、オレンジエキス、ブドウエキス、海藻エキス、ボタンピエキス、ジオウエキス、デュークエキス、マイカイ花エキス、ヨクイニンエキス、パナックスジンセンエキス、デルアミド、アルテア抽出液、クアチャララーテ抽出液、ヒレハリソウ抽出物、コリアンダー抽出液、サンショウ抽出物、アマチャ抽出液、ホップエキス等が挙げられる。これらのうち、特にオトギリソウエキス、カラスムギエキス、グリセリン、チューベロースポリサッカライド、冬虫夏草エキス、延命草エキス、オオムギエキス、ブドウエキス、海藻エキス、ポタンピエキス、ジオウエキス、デュークエキス、マイカイ花エキス、ヨクイニンエキス等が挙げられる。
【0031】
角質溶解剤としては、例えばアスピリン等が挙げられる。抗脂漏剤としては、例えばイオウ、レシチン、カシュウエキス、チオキソロン等が挙げられる。
【0032】
局所刺激剤としては、例えばカンファー、トウガラシチンキ、l−メントール、ノニル酸ワニリルアミド、ショウキョウチンキ、オランダガラシ、カンタリスチンキ、サンショウエキス、ハッカ油、ワサビ大根エキス等が挙げられる。抗男性ホルモン剤としては、例えばサイプロテロンアセテート、11α−ハイドロキシプロゲステロン、フルタマイド、3−デオキシアデノシン、酢酸クロルマジノン、エチニルエストラジオール、スピロノラクトン、エピテステロン、アロエ、サンショウ、オタネニンジン等が挙げられる。
【0033】
カリウムチャンネルオープナーとしては、例えばミノキシジル、クロマカリウム、ジアゾキシド及びその誘導体、ピナシジル等が挙げられる。
【0034】
抗酸化剤としては、例えば紅茶エキス、茶エキス、チョウジエキス、エイジツエキス、黄杞エキス、ビタミンC及びその誘導体、エリソルビン酸、没食子酸プロピル、ジブチルヒドロキシトルエン等が挙げられる。
【0035】
本発明の水性頭皮外用剤には、更に、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれる一種以上の界面活性剤を配合することができる。かかる界面活性剤としては、通常の化粧料等に用いられるものであれば特に制限されず、例えば非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル等が挙げられ、陽イオン性界面活性剤としては、第3級アミン塩、第4級アンモニウム塩等が挙げられ、陰イオン性界面活性剤としては、ラウリル硫酸塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸塩等が挙げられ、そして両性界面活性剤としては、アルキルベタイン、アミンオキサイド等が挙げられる。これらの成分は、全組成中には5×10−3〜2×10質量%、より好ましくは1×10−2〜1×10質量%である。
【0036】
本発明の水性頭皮外用剤は、通常の方法に従って製造することができ、例えば、前述の成分(A)〜(F)及び他の成分を、常法に従って均一に混合することにより製造することができる。また、前述の成分(D)、成分(E)、成分(G)を混合溶解し、さらに成分(A)、(B)、(C)、(F)、(H)及び他の成分を加え、混合溶解し、製造することができる。
【0037】
本発明の水性頭皮外用剤は、配合する他の添加剤や剤型に応じて、化粧品、医薬品、医薬部外品等として使用することができる。ここで、剤型としては、頭皮に本発明の水性頭皮外用剤を適用できる剤型であれば特に制限されず、例えばローション、トニック、クリーム、ジェル、フォーム、スプレー、エアゾールなどの剤形とすることができる。また、噴射剤を含有したエアゾール剤とする場合、噴射剤としては、例えば炭酸ガス、LPG、ジメチルエーテル、窒素ガス、イソペンタン、亜酸化窒素等が挙げられ、これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。噴射剤としては、使用感の点から、特に炭酸ガスが好ましい。
【0038】
本発明の水性頭皮外用剤の使用方法としては、頭皮に水性頭皮外用剤が付着するような態様であれば特に制限されることはない。
【実施例】
【0039】
以下、実施例を挙げ、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0040】
表−1で使用した成分(C)としてのN−プロピオニルポリエチレンイミン・メチルポリシロキサン共重合体C1、C2は以下の方法で製造した。
(C1の製造方法)
硫酸ジエチル0.8g(0.005モル)と2−エチル−2−オキサゾリン12.8g(0.14モル)、脱水した酢酸エチル29gから、数平均分子量2700のポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)を得た。更に、側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(重量平均分子量100000、アミン当量20000)100gを用いて、N−プロピオニルエチレンイミン−ジメチルシロキサン共重合体を淡黄色ゴム状固体(111g、収率98%)として得た。最終生成物のオルガノポリシロキサンセグメントの含有率は88質量%であり、重量平均分子量は114000であった。溶媒としてメタノールを使用した塩酸による中和滴定の結果、アミノ基は残存していないことがわかった。
【0041】
(C2の製造方法)
C1と同様の方法により、硫酸ジエチル6.5g(0.042モル)と2−エチル−2−オキサゾリン34.4g(0.36モル)、脱水した酢酸エチル87gから、数平均分子量1300のポリ(N−プロピオニルエチレンイミン)を得た。更に、側鎖一級アミノプロピル変性ポリジメチルシロキサン(重量平均分子量32000、アミン当量2000)100gを用いて、N−プロピオニルエチレンイミン−ジメチルシロキサン共重合体を淡黄色ゴム状半固体(138g、収率98%)として得た。最終生成物のオルガノポリシロキサンセグメントの含有率は71質量%、重量平均分子量は46000であった。溶媒としてメタノールを使用した塩酸による中和滴定の結果、約22質量%のアミノ基が残存していることがわかった。
【0042】
本実施例において使用するN−プロピオニルポリエチレンイミン・メチルポリシロキサン共重合体C1、C2の物性を表1に示す。
【0043】
【表1】

【0044】
MWsi/MWt:N−プロピオニルポリエチレンイミン・メチルポリシロキサン共重合体の全重量中のオルガノポリシロキサンセグメント(MWsi)の含有率
MWsi:主鎖を構成するオルガノポリシロキサンセグメントの重量平均分子量
MWox:ポリ(N−プロピオニルポリエチレンイミン)セグメントの数平均分子量
MWt :N−プロピオニルポリエチレンイミン・メチルポリシロキサン共重合体の重量平均分子量
【0045】
表−1で使用した成分(D1)は以下の方法で製造した。
(D1の製造方法)
【0046】
<カチオン性基含有共重合体の製造例1>
1Lビーカーにイオン交換水267.4g、MOEDES(ジメチルアミノエチルメタクリレートとジメチル硫酸の当モル付加物(有効分80重量%)。いずれも試薬、和光純薬工業(株)製)185.63g(有効分148.50g)、DMAAm(N,N−ジメチルアクリルアミド、試薬、和光純薬工業(株)製)110.46g、NK−14G(架橋剤、ポリエチレングリコールジメタクリレート、新中村化学(株)製)0.415g、V−50(重合開始剤、2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)・2塩酸塩、和光純薬工業(株)製)0.952gを混合し、モノマー水溶液Aとした。5Lのガラス容器にシクロヘキサン1648g、分散剤としてシュガーエステルS−770(三菱化成(株)製)を1.94g仕込み、60℃で1時間かけ均一に溶解せしめた。溶解後、30℃に冷却し、分散剤溶液Bとした。
【0047】
分散剤溶液Bに、前記モノマー水溶液Aを加え、ホモミキサー(ROBOMICS、特殊機化工業(株)製)にセットし、9000回転で4分間攪拌し、平均粒子径5μmのモノマー分散液を得た。全量を5Lの攪拌機と温度計、冷却管の付いたSUS槽に仕込み、窒素置換後、昇温し、55℃で1時間重合した。さらに70℃で1時間熟成した後、冷却管付きの脱水管を装着し、約2時間かけて系内から水269gを除去した。脱水が進むにつれ、槽内温度は70℃から90℃に上昇した。
【0048】
ついで40℃以下に冷却し、内容物をステンレス製トレーに移し、80℃、熱風乾燥して溶媒を除去し、白色・粒状のカチオン性基含有共重合体1を得た。なお、実施例で用いたカチオン性基含有共重合体1は、家庭用コーヒーミルで約1秒間、軽く粉砕し平均粒子径4.0μmのカチオン性基含有共重合体D1を得た。
【0049】
表2においてセンブリエキス、ユーカリエキスは、市販されている溶液状態での含有量に基づいて示されている。センブリエキスの乾燥質量の場合、市販品、例えば、(一丸ファルコス)原料名:スエルチアニンでは、乾燥質量:0.9〜1.1質量%である。また、ユーカリエキスの乾燥質量の場合、市販品、例えば(丸善製薬)原料名:ユーカリ抽出液BG−KAでは、乾燥残分:0.15〜0.25質量%である。
ここで、乾燥質量は、エキス10mlを105℃で6時間加熱し、乾燥した後の質量の当該10mlのエキスに対する比率(質量%)として得られる。
【0050】
(実施例1〜8及び比較例1〜3)
表2に示す組成の成分(D)、成分(E)、成分(G)を混合溶解し、さらに成分(A)、(B)、(C)、(F)、(H)及び他の成分を加え、混合溶解することにより、水性頭皮外用剤を調整した。なお、表2中、成分の含有量の単位は質量%である。実施例1と比較例1,2,3、実施例3と比較例1,2,3より、(C)成分、(D)成分が組み合わさることで、髪のハリコシ、しなやかさ、ボリューム感が顕著になることがわかる。
【0051】
得られた各水性頭皮外用剤1gを、被験者10名に対し、1日に2回、約10cm四方の頭皮部分に塗布し、開始時と比較した。評価項目は、塗布直後のべたつきのなさ、直後の髪のハリコシ、直後の髪の軽い滑らかさ、直後の髪のしなやかさ、直後の髪のボリューム感、塗布後2週間の髪のボリューム感について、2名の熟練した評価者が目視及び触診で以下の1〜5点の5段階で評価した。得られた結果を表2に示す。
9名以上効果ありと判定 :5
7、8名以上効果ありと判定:4
5、6名効果ありと判定 :3
3、4名効果ありと判定 :2
2名以下が効果ありと判定 :1
【0052】
【表2】

【0053】
(実施例9)
表3に示す組成の成分(D)、成分(E)、成分(G)を混合溶解し、さらに成分(A)、(B)、(C)、(F)、(H)及び他の成分を加え、混合溶解することにより、ローション原液を得る。このローションを97.5g、二酸化炭素を2.5g、それぞれエアゾール容器に充填し、エアゾールタイプの育毛剤を調整した。なお、表3中、成分の含有量の単位は質量%である。
【0054】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)〜(F):
(A)センブリエキス、ビタミンE類、およびニコチン酸類から選ばれる少なくとも1種の血行促進成分;
(B)ユーカリエキス;
(C)1×10−1〜1×10質量%のN−プロピオニルポリエチレンイミン・メチルポリシロキサン共重合体;
(D)5×10−2〜5質量%のN,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸ジエチル硫酸塩・N,N−ジメチルアクリルアミド・ジメタクリル酸ポリエチレングリコール共重合体;
(E)2×10〜6×10質量%のエタノール;
及び(F)水を含有する水性頭皮外用剤。
【請求項2】
前記成分(C)のN−プロピオニルポリエチレンイミン・メチルポリシロキサン共重合体が重量平均分子量35000〜130000で、主鎖であるメチルポリシロキサンの質量含有率が50〜98%である請求項1記載の水性頭皮外用剤。
【請求項3】
前記成分(C)と成分(D)との含有比が、質量比で、(C)/(D)=1/2〜10/1である請求項1または2記載の水性頭皮外用剤。
【請求項4】
さらに、(G)フラバノノール類を含む請求項1乃至3のいずれかに記載の水性頭皮外用剤。
【請求項5】
さらに、(H)グリチルレチン酸、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルレチン酸ステアリルから選ばれる少なくとも1種の抗炎症剤を0.001〜1質量%にて含有する請求項1乃至4のいずれかに記載の水性頭皮外用剤。

【公開番号】特開2011−16729(P2011−16729A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−160454(P2009−160454)
【出願日】平成21年7月7日(2009.7.7)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】