説明

水性頭皮外用剤

【課題】安全性や感触を損なわずに、発毛あるいは伸長してくる毛髪のハリコシやツヤを改善できる、頭皮に直接作用させる外用剤を提供する。
【解決手段】水性頭皮外用剤は、(a)ユーカリエキス、(b)血行促進剤、(c)抗炎症剤、(d)アクリル酸/アクリル酸アルキル(C10−30)コポリマー、(e)エタノールを含有する。成分(b)の血行促進剤としては、センブリエキス、ビタミンE類、及びニコチン酸類から選ばれるものが好ましい。また、(c)抗炎症剤としては、グリチルレチン類が好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪のハリコシを改善し且つ毛髪のツヤを高めることのできる水性頭皮外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、頭部の毛髪発毛領域の減少を抑止し、更に減少したその領域の回復を目的に、種々の作用を有する合成薬剤又は天然物抽出エキス等を配合したものが提案されている。例えば、血行促進剤または毛包賦活剤とユーカリの極性溶媒抽出物とを含有する育毛剤(特許文献1)や、フラバノノール類、ユーカリエキス及びメントールを含有する養毛・育毛剤(特許文献2)が提案されている。
【0003】
ところで、従来の養毛・育毛剤の効果に関連して、発毛あるいは伸長してくる毛髪のハリコシやツヤにも注目が集まっている。これは、毛髪のハリコシやツヤは、頭髪が少ない人だけでなく、毛髪の量に問題がない人にも、加齢によりそれらが失われる傾向があるからである。最近では、後者の、発毛あるいは伸長してくる頭髪のハリコシやツヤを改善したい、という要望が人々の間で強まっている。
【0004】
しかしながら、特許文献1,2の養毛・育毛剤を含む従来の養毛・育毛剤は、安全性や毛髪の感触を損なわずに養毛・育毛を促進することを目的としているため、毛髪のハリコシやツヤを改善するという課題に対する対応がなされておらず、実際、毛髪のハリコシやツヤを改善するという効果を与えることができていないというのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−2532号公報
【特許文献2】特開2006−143640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、安全性や感触を損なわずに、発毛あるいは伸長してくる毛髪のハリコシやツヤを改善できる、頭皮に直接作用させる外用剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、ユーカリエキスと血行促進剤と抗炎症剤と特定の増粘剤とエタノールとを含む新規な構成の水性頭皮外用剤により、上述の目的を達成できることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
即ち、本発明は、次の成分(a)〜(e)及び水を含有する水性頭皮外用剤を提供する。
【0009】
(a)ユーカリエキス
(b)血行促進剤
(c)抗炎症剤
(d)アクリル酸/アクリル酸アルキル(C10−30)コポリマー
(e)エタノール
【発明の効果】
【0010】
本発明の水性頭皮外用剤は上述した特定の成分(a)〜(e)を含有している。このため、本発明の水性頭皮外用剤を頭皮に直接的に作用させると、それらの成分が頭皮から浸透して毛根に相乗的に作用し、安全性や毛髪の感触を損なわずに、発毛あるいは伸長してくる毛髪のハリコシを改善し、ツヤも高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の水性頭皮外用剤は、少なくとも(a)ユーカリエキス、(b)血行促進剤、(c)抗炎症剤、(d)アクリル酸/アクリル酸アルキル(C10−30)コポリマー、(e)エタノール及び水から構成されるものであり、発毛あるいは伸長してくる毛髪のハリコシを改善し、ツヤも高めることができるものである。
【0012】
本発明の水性頭皮外用剤の効果である毛髪の“ハリコシ”は、毛髪の硬さに密接に関係しており、毛髪の硬さが強くなるとハリコシが増すと感じられ、逆に毛髪の硬さが弱くなるとハリコシが減ると感じられる。ここで、毛髪の硬さは、毛髪のヤング率で評価することができ、毛髪のヤング率が大きくなると毛髪が硬いと評価でき、反対に小さくなると毛髪が柔らかいと評価できる。従って、毛髪のハリコシの具体的な評価指標として、毛髪のヤング率は適切なものとなる。
【0013】
なお、毛髪のヤング率は、以下の数式(1)に従って算出することができる。なお、毛髪径は一般的なレーザー外径器(例えば、ダイアストロン社製、カトーテック株式会社製)を用いて測定でき、曲げ応力も一般的な曲げ応力計(例えば、ダイアストロン社製、カトーテック株式会社製)を用いて測定できる。
【0014】
【数1】

【0015】
数式(1)における変数、係数は以下の意味を有する。
M:曲げ応力[gf・cm]
1/ρ:曲率
E:ヤング率[GPa]
I=πab/64
a:毛髪の長径[μm]
b:毛髪の短径[μm]
【0016】
また、毛髪のツヤは、例えば、特開2000−206043号公報あるいは特開2000−206044号公報に開示された簡易型ツヤ測定装置を用いて測定することができる。この場合、毛髪に光源からの光を照射し、相対的な正反射強度を測定し、ツヤ指数としてもよい。
【0017】
本発明の水性頭皮外用剤を構成する成分(a)のユーカリエキスは、フトモモ科ユーカリ属植物であるユーカリプタス・グロブラス〔学名:Eucalyptus globulus、ユーカリノキ〕の葉、枝等をそのまま、又は乾燥粉砕して、溶剤抽出し、濃縮することにより得られる。かかるユーカリエキスは、保湿効果、抗菌効果、殺菌効果、血行促進効果、収斂効果等を示すことが知られている。また、成分(a)のユーカリエキスとして市販品を利用することもできる。なお、抽出溶剤としては、通常、植物成分の抽出に用いられる溶剤、例えば、水、石油エーテル、n−ヘキサン、トルエン、ジクロロエタン、クロロホルム、エーテル、酢酸エチル、アセトン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等を用いることができる。特に水、エタノール、プロピレングリコール、ブチレングリコールを好ましく使用でき、これらを2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、抽出条件も従来のユーカリエキスの抽出条件を踏襲することができ、例えば上記植物を抽出溶剤に3〜100℃で数時間〜数週間浸漬したり、抽出溶剤を加熱還流させたりすることが挙げられる。
【0018】
ユーカリエキスは、そのまま本発明の育毛剤組成物の有効成分として使用できるが、さらに適当な分離手段、例えばゲル濾過、クロマトグラフィー、精密蒸留等により活性の高い画分を分画して用いることもできる。
【0019】
水性頭皮外用剤中の成分(a)のユーカリエキスの含有量は、乾燥質量として、水性頭皮外用剤全量中に好ましくは0.00001〜1質量%、より好ましくは0.0001〜0.1質量%、特に好ましくは0.001〜0.05質量%である。この範囲での配合により、毛髪の感触を損なわないように、頭皮や毛髪のべたつきをより抑制し、且つ毛髪のハリコシをより改善し、毛髪のツヤをさらに高めることができる。
【0020】
本発明の水性頭皮外用剤を構成する成分(b)の血行促進剤としては、センブリエキス、ビタミンE類(DL−α−トコフェロール、D−α−トコフェロール、酢酸DL−α−トコフェロール、酢酸D−α−トコフェロール等)、ニコチン酸類(ニコチン酸、DL−α−トコフェロールニコチン酸エステル、ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル等)等を挙げることができる。中でも、効果の観点から、ニコチン酸アミド、センブリエキスを好ましく使用できる。これらは2種以上を併用してもよい。
【0021】
水性頭皮外用剤中の成分(b)の血行促進剤の含有量は、血行促進剤の種類により異なるが、水性頭皮外用剤全量中に好ましくは0.00001〜10質量%、より好ましくは0.0001〜7質量%、特に好ましくは0.001〜5質量%である。この範囲での配合により、本発明の効果をより高いレベルで得ることができる。具体的には、成分(b)の血行促進剤としてセンブリエキスを使用する場合、蒸発残分として、好ましくは0.00001〜1質量%、より好ましくは0.0001〜0.1質量%、特に好ましくは0.001〜0.05質量%である。ビタミンE類もしくはニコチン酸類を使用する場合には、好ましくは0.0001〜3質量%、より好ましくは0.001〜1質量、特に好ましくは0.01〜0.5質量%である。
【0022】
本発明の水性頭皮外用剤を構成する成分(c)の抗炎症剤としては、グリチルリチン酸及びその誘導体、グリチルレチン酸及びその誘導体等のグリチルレチン類が好ましく挙げられる。中でも、効果の観点から、グリチルリチン酸ジカリウム、β−グリチルレチン酸を好ましく使用することができる。これらは2種以上を併用してもよい。
【0023】
水性頭皮外用剤中の成分(c)の抗炎症剤の含有量は、水性頭皮外用剤全量中に好ましくは0.0001〜5質量%、好ましくは0.001〜1質量%、特に好ましくは0.01〜0.5質量%である。この範囲での配合により、本発明の効果をより高いレベルで得ることができる。
【0024】
本発明の水性頭皮外用剤を構成する成分(d)のアクリル酸/アクリル酸アルキル(C10−30)コポリマーは、C10−30アルキルアクリレートと、アクリル酸、メタクリル酸又はショ糖アリルエーテルもしくはペンタエリスリトールアリルエーテルで架橋された単純なアクリル酸エステルもしくはメタクリル酸エステルとを共重合して得られるコポリマーであり、増粘剤やエマルジョン分散安定剤として通常用いられているものである。
【0025】
このような成分(d)のアクリル酸/アクリル酸アルキル(C10−30)コポリマーは、エタノールが比較的多量に含有している水性組成物においても好適な増粘挙動を示し、水性組成物を増粘させない場合よりもヤング率やツヤ強度の改善作用を強く発現することができる。このような、アクリル酸/アクリル酸アルキル(C10−30)コポリマーを用いることで得られるヤング率やツヤ強度の改善作用は、旧来の増粘性ポリマーであるカーボポールを用いた場合には得られない効果である。
【0026】
成分(d)のアクリル酸/アクリル酸アルキル(C10−30)コポリマーの具体例としては、グッドリッチ社から市販されている、ペムレンTR−1、ペムレンTR−2を好ましく使用することができる。これらのコポリマーは、皮膚外用剤の分野において、乳化作用を有する増粘剤として使用されているものである。
【0027】
本発明においては、成分(d)のアクリル酸/アクリル酸アルキル(C10−30)コポリマーを中和して水性ゲルを形成させることが好ましく、その場合には、水性頭皮外用剤に塩基性物質を配合する。塩基性物質としては、例えば、トリエタノールアミン、モノエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等の有機アミン、アンモニア、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の無機塩基等が挙げられる。このような塩基性物質の配合量は、成分(d)のアクリル酸/アクリル酸アルキル(C10−30)コポリマーを中和して水性ゲルを形成させるに充分な量を、塩基性物質の種類に応じて適宜決定すればよい。
【0028】
水性頭皮外用剤中の成分の(d)アクリル酸/アクリル酸アルキル(C10−30)コポリマーの含有量は、水性頭皮外用剤全量中に好ましくは0.001〜3質量%、より好ましくは0.005〜2質量%、特に好ましくは0.01〜1質量%である。この範囲での配合により、本発明の効果をより高いレベルで得ることができる。
【0029】
本発明の水性頭皮外用剤を構成する成分(e)エタノールの含有量は、水性頭皮外用剤全量中に好ましくは20〜60質量%、より好ましくは23〜40質量%、特に好ましくは25〜35質量%である。この範囲での配合により、本発明の効果をより高いレべルで得ることができる。
【0030】
本発明の水性頭皮外用剤の媒体となる水の含有量は、好ましくは30〜75質量%、より好ましくは50〜73質量%、特に好ましくは55〜70質量%である。かかる水としては、イオン交換水、精製水、蒸留水等を好ましく使用することができる。
【0031】
本発明の水性頭皮外用剤には、必要に応じて、更に、抗菌剤、毛包賦活剤、保湿剤、角質溶解剤、抗脂漏剤、局所刺激剤、抗男性ホルモン剤、カリウムチャンネルオープナー及び抗酸化剤から選ばれる成分を1種又は2種以上を組み合わせて配合することができる。これらの成分は、本発明の水性頭皮外用剤中に、好ましくは0.001〜30質量%、より好ましくは0.01〜15質量%で配合する。この範囲での配合により、本発明の効果をより高いレベルで得ることができる。
【0032】
抗菌剤としては、例えばイソプロピルメチルフェノール、塩化ベンザルコニウム、オクトピロックス、感光色素101、感光色素201、クロルヘキシジン、サリチル酸、ジンクピリチオン、ソルビン酸カリウム、ヒノキチオール、フェノール等が挙げられる。これらのうち、特にイソプロピルメチルフェノール、塩化ベンザルコニウム、オクトピロックス、ジンクピリチオン、ヒノキチオール等が好ましく挙げられる。
【0033】
毛包賦活剤としては、例えばトランス−3,4′−ジメチル−3−ヒドロキシフラバノン、アデノシン、パントテニルエチルエーテル、サイトプリン、N−アセチル−L−メチオニン、タマサキツヅラフジ、セファランチン、アデノシン三リン酸ジナトリウム、アスパラギン酸カリウム、感光色素301、ペンタデカン酸グリセリド、パントテン酸エチル、チクセツニンジン、ビオチン、モノニトログアヤコールナトリウム、酵母エキス、ニンニク成分、真珠蛋白抽出液、タイソウエキス、プラセンタエキス、ローヤルゼリー、ソフォラ抽出ペースト(クジン)、6−ベンジルアミノプリン、ジアルキルモノアミン誘導体等が挙げられる。これらのうち、特にタマサキツヅラフジ、セファランチン、アデノシン三リン酸ジナトリウム、ペンタデカン酸グリセリド、パントテン酸エチル、チクセツニンジン、ビオチン、モノニトログアヤコールナトリウム、プラセンタエキス、ローヤルゼリー等が好ましく挙げられる。
【0034】
保湿剤としては、例えばオトギリソウエキス、カラスムギエキス、可溶性コラーゲン、グリセリン、コンドロイチン硫酸、チューベロースポリサッカライド、プロピレングリコール、冬虫夏草エキス、延命草エキス、オオムギエキス、オレンジエキス、ブドウエキス、海藻エキス、ボタンピエキス、ジオウエキス、デュークエキス、マイカイ花エキス、ヨクイニンエキス、パナックスジンセンエキス、デルアミド、アルテア抽出液、クアチャララーテ抽出液、ヒレハリソウ抽出物、コリアンダー抽出液、サンショウ抽出物、アマチャ抽出液、ホップエキス等が挙げられる。これらのうち、特にオトギリソウエキス、カラスムギエキス、グリセリン、チューベロースポリサッカライド、冬虫夏草エキス、延命草エキス、オオムギエキス、ブドウエキス、海藻エキス、ボタンピエキス、ジオウエキス、デュークエキス、マイカイ花エキス、ヨクイニンエキス等が好ましく挙げられる。
【0035】
角質溶解剤としては、例えばアスピリン等が挙げられる。抗脂漏剤としては、例えばイオウ、レシチン、カシュウエキス、チオキソロン等が挙げられる。
【0036】
局所刺激剤としては、例えばカンファー、トウガラシチンキ、l−メントール、ノニル酸ワニリルアミド、ショウキョウチンキ、オランダガラシ、カンタリスチンキ、サンショウエキス、ハッカ油、ワサビ大根エキス等が挙げられる。抗男性ホルモン剤としては、例えば、サイプロテロンアセテート、11α−ハイドロキシプロゲステロン、フルタマイド、3−デオキシアデノシン、酢酸クロルマジノン、エチニルエストラジオール、スピロノラクトン、エピテステロン、アロエ、サンショウ、オタネニンジン等が挙げられる。
【0037】
カリウムチャンネルオープナーとしては、例えば、ミノキシジル、クロマカリウム、ジアゾキシド及びその誘導体、ピナシジル等が挙げられる。
【0038】
抗酸化剤としては、例えば紅茶エキス、茶エキス、チョウジエキス、エイジツエキス、黄杞エキス、ビタミンC及びその誘導体、エリソルビン酸、没食子酸プロピル、ジブチルヒドロキシトルエン等が挙げられる。
【0039】
本発明の水性頭皮外用剤には、更に、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤及び両性界面活性剤から選ばれる一種以上の界面活性剤を配合することができる。かかる界面活性剤としては、通常の化粧料等に用いられるものであれば特に制限されず、例えば非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル等が挙げられ、陽イオン性界面活性剤としては、アルキルアミン塩、第4級アンモニウム塩等が挙げられ、陰イオン性界面活性剤としては、ラウリル硫酸塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸塩等が挙げられ、そして両性界面活性剤としては、アルキルベタイン、アミンオキサイド等が挙げられる。
【0040】
本発明の水性頭皮外用剤における界面活性剤の配合量は、水性頭皮外用剤全量中に好ましくは0.005〜20質量%、より好ましくは0.01〜10質量%である。この範囲での配合により、本発明の効果をより高いレベルで得ることができる。
【0041】
本発明の水性頭皮外用剤は、通常の方法に従って製造することができ、例えば、前述の成分(a)〜(e)及び水、更には、必要に応じて用いられる他の成分とを、常法に従って均一に混合することにより製造することができる。
【0042】
本発明の水性頭皮外用剤は、配合する他の添加剤や剤形に応じて、化粧品、医薬品、医薬部外品等として使用することができる。ここで、剤形としては、頭皮に本発明の水性頭皮外用剤を適用できる剤形であれば特に制限されず、例えばローション、トニック、クリーム、ジェル、フォーム、スプレー、エアゾールなどの剤形とすることができる。また、噴射剤を含有したエアゾール剤とする場合、噴射剤としては、例えば炭酸ガス、LPG、ジメチルエーテル、窒素ガス、イソペンタン、亜酸化窒素等が挙げられ、これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、使用感の点から、特に炭酸ガスが好ましい。
【0043】
本発明の水性頭皮外用剤の使用方法としては、頭皮に水性頭皮外用剤が付着するような態様であれば特に制限されることはない。
【実施例】
【0044】
以下、実施例及び比較例を挙げ、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0045】
実施例1及び比較例1〜4
表1に示す組成の成分を均一に混合することにより、水性頭皮外用剤を調製した。なお、表1中、成分の配合量の単位は質量%である。
【0046】
得られた各水性頭皮外用剤3gを被験者5名(40〜45歳日本人女性)に、1日に2回、頭皮に塗布した。水性頭皮外用剤の塗布開始時と、塗布を3ヶ月継続した後に、毛髪を根元から刈り取り、それぞれの毛髪の太さと曲げ応力とを測定した。毛髪の太さについては、レーザー外径器(カトーテック株式会社製)を用いて測定した。また、曲げ応力については、曲げ応力計(カトーテック株式会社製)を用いて測定し、前述の数式(1)に従ってヤング率を算出した。そして、得られた3ヶ月後のヤング率の数値を開始時のヤング率の数値で除した値(ヤング率比)を求め、それを表1に示す。
【0047】
また、塗布開始時と塗布3ヶ月後のそれぞれの時点における毛髪のツヤ強度については、特開2000−206044号公報(図1〜図3、段落0006〜0019、0026等参照)に記載のツヤ評価装置を用い、同公報(段落0020〜0024、0027等参照)に記載の評価方法により求めた輝度分布曲線を微分して輝度の変化量を求め、その変化量の絶対値をツヤ強度とした。そして得られた3ヶ月後のツヤ強度の数値を開始時のツヤ強度の数値で除した値(ツヤ強度比)を求め、それを表1に示す。
【0048】
【表1】

【0049】
表1から、成分(a)〜(e)を含有する実施例1の水性頭皮外用剤は、ヤング率比もツヤ強度比も1を大きく超えており、毛髪のハリコシとツヤが大きく改善されていることがわかる。それに対し、(a)〜(d)のいずれかが配合されていないと、ヤング率比もツヤ強度比も1以下であり、毛髪のハリコシとツヤが改善されていないことがわかる。
【0050】
実施例2〜5、比較例5〜9
表2に示す組成の成分を均一に混合することにより、水性頭皮外用剤を調製した。なお、表2中、成分の配合量の単位は質量%である。
【0051】
得られた各水性頭皮外用剤1gを、被験者3名に対し、1日に2回、約10cm四方の頭皮部分に塗布した。開始時と比較した、塗布を1ヶ月継続した後の毛髪のハリコシ及びツヤについて、3名の熟練した評価者が目視および触診で以下の0〜3点の4段階で評価し、各スコアを平均した。得られた結果を表2に示す。
3点: 明らかに改善が認められる
2点: やや改善が認められる
1点: 改善が認められない
0点: 明らかに悪化が認められる
【0052】
【表2】

【0053】
表2から、成分(a)〜(e)を含有する実施例2〜5の水性頭皮外用剤は、毛髪のハリコシとツヤが大きく改善されていることがわかる。それに対し、(a)〜(d)のいずれかが配合されていないと、毛髪のハリコシとツヤが改善されていないことがわかる。
【0054】
実施例6
表3に示す組成の養毛・育毛剤(ジェル)を常法により製造した。得られた養毛・育毛剤を、実施例1と同様に被験者5名(40〜45歳日本人女性)の頭皮に適用したところ、3ヶ月経過後には、毛髪のハリコシとツヤが適用前に比べ大きく改善された。
【0055】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明の水性頭皮外用剤は、特定の成分(a)〜(e)を含有しているため、それを頭皮に直接的に作用させると、それらの成分が頭皮から浸透して毛根に相乗的に作用し、安全性や毛髪の感触を損なわずに、発毛あるいは伸長してくる毛髪のハリコシを改善し、ツヤも高めることができる。従って、本発明の水性頭皮外用剤は、加齢による毛髪のハリコシやツヤの減少を抑制し、更に改善する毛髪化粧料等に非常に適している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(a)〜(e)及び水を含有する水性頭皮外用剤。
(a)ユーカリエキス
(b)血行促進剤
(c)抗炎症剤
(d)アクリル酸/アクリル酸アルキル(C10−30)コポリマー
(e)エタノール
【請求項2】
成分(b)の血行促進剤が、センブリエキス、ビタミンE類、及びニコチン酸類から選ばれる少なくとも一種である請求項1記載の水性頭皮外用剤。
【請求項3】
成分(c)の抗炎症剤が、グリチルレチン類である請求項1記載の水性頭皮外用剤。
【請求項4】
水性頭皮外用剤全量中に、成分(a)を乾燥質量として0.00001〜1質量%、成分(b)を0.00001〜10質量%、成分(c)を0.0001〜5質量%、成分(d)を0.001〜3質量%、及び成分(e)を20〜60質量%含有する請求項1記載の水性頭皮外用剤。

【公開番号】特開2012−214508(P2012−214508A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−176396(P2012−176396)
【出願日】平成24年8月8日(2012.8.8)
【分割の表示】特願2008−16153(P2008−16153)の分割
【原出願日】平成20年1月28日(2008.1.28)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】