説明

水溶性抗菌ワックスおよびその製造方法

【課題】ディスプレイの画面の表面を帯電しにくくするとともに、その画面の表面に油性分を付着しにくくし、さらに、その画面の表面を損傷しにくいとともに、その表面に抗菌性を与えることができる、水溶性抗菌ワックスおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】水溶性抗菌ワックスは、ディスプレイの画面の表面に塗布されて使用される水溶性抗菌ワックスであって、植物性抗菌剤及び界面活性剤を精製水に混合してなる水溶性抗菌剤原液と、シリコンエマルジョンと洗浄液と安定剤と洗浄付与剤と希釈剤とを混合してなる水溶性シリコン原液とを含み、別々に配合された前記抗菌剤原液と水溶性シリコン原液とを精製水に混合してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、水溶性抗菌ワックスおよびその製造方法に関し、特に、水溶性および抗菌性を有するワックスであって、たとえば、テレビ用ディスプレイおよびパーソナルコンピュータ用ディスプレイなどのディスプレイの画面の表面や、iPhone(登録商標)などのスマートフォン、携帯ゲーム機およびiPad(登録商標)などのタブレット型コンピュータに用いられるタッチパネル機能を有するディスプレイの画面の表面に塗布されて使用される水溶性抗菌ワックスおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、テレビやパーソナルコンピュータ用ディスプレイの発売当初、ディスプレイの画面の表面がガラス製であったので、ディスプレイの画面の表面を洗浄するために、化学薬品および油性の洗浄液・ワックスが主流として用いられていた。
そのような化学薬品および油性の洗浄液・ワックスは、昨今、樹脂製で繊細な液晶画面が主流になってきているために、画面の損傷、溶解、通電性および油膜の問題で使用できなくなってきている。
そこで、洗浄を目的とした、エタノールなどを成分とする希釈な洗浄液、ウエットティッシュタイプ、ほこりを取るモップタイプおよび拭き取り用クロスで対応しているのが、現状である。
この発明の背景となる従来のディスプレイ画面用クリーナーが、たとえば特開平11−302692号公報に開示されている(特許文献1参照)。特許文献1に開示されているディスプレイ画面用クリーナーは、炭素数8〜15の飽和炭化水素溶剤を用いることを特徴とするディスプレイ画面用クリーナーである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−302692号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来、特許文献1に開示されているディスプレイ画面用クリーナーを用いても、ディスプレイの画面の表面を帯電しにくくするとともに、その画面の表面に油性分を付着しにくくし、さらに、その画面の表面を損傷しにくいとともに、その表面に抗菌性を与えることが一括してできない。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、ディスプレイの画面の表面に油性分を付着しにくくし、さらに、その画面の表面を損傷しにくいとともに、その表面に抗菌性を与えることができる、水溶性抗菌ワックスおよびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明にかかる水溶性抗菌ワックスは、植物性抗菌剤及び界面活性剤を精製水に混合してなる水溶性抗菌剤原液と、シリコンエマルジョンと洗浄液と安定剤と洗浄付与剤と希釈剤とを混合してなる水溶性シリコン原液とを含み、別々に配合された前記抗菌剤原液と水溶性シリコン原液とを精製水に混合してなる、水溶性抗菌ワックスである。
この発明の請求項2にかかる水溶性抗菌ワックスにおいては、水溶性抗菌剤原液が、大豆アミノ酸類を含有する大豆抽出エキス抽出液、タンポポの根の抽出エキス、竹の抽出エキス等の植物性抗菌剤8〜12容量%と、殺菌・抗菌効果を有するアルキルメチルベンジルコニュームクロライドなどの陽イオン系界面活性剤0.8〜1.2容量%と、安定剤としてのラウリルイミノジブロピオン酸などの両性イオン系界面活性剤0.4〜0.6容量%と、安定剤としてのポリオキシプロピレングリコールなどの非イオン系界面活性剤0.4〜0.6容量%と、希釈純水などの精製水85.6〜90.4容量%とを混合してつくられた、請求項1に記載の水溶性抗菌ワックスである。
この発明の請求項3にかかる水溶性抗菌ワックスにおいては、水溶性抗菌剤原液が、大豆アミノ酸類を含有する大豆抽出エキス抽出液、タンポポの根の抽出エキス、竹の抽出エキス等の植物性抗菌剤10容量%と、殺菌・抗菌効果を有するアルキルメチルベンジルコニュームクロライドなどの陽イオン系界面活性剤1容量%と、安定剤としてのラウリルイミノジブロピオン酸などの両性イオン系界面活性剤0.5容量%と、安定剤としてのポリオキシプロピレングリコールなどの非イオン系界面活性剤0.5容量%と、希釈純水などの精製水88容量%とを混合し、常温にて、撹拌機で混合し成分分離が無いよう安定させてつくられた、請求項1又は請求項2に記載の水溶性抗菌ワックスである。
この発明の請求項4にかかる水溶性抗菌ワックスにおいては、水溶性シリコン原液が、艶出効果を有するシリコンエマルジョン12〜18容量%と、洗浄液としてのイソパラフィン4.8〜7.2容量%と、安定剤としてのポリオキシプロピレングリコールなどの非イオン系界面活性剤1.6〜2.4容量%と、洗浄付与剤としてのジエタノールアミン1.6〜2.4容量%と、希釈純水としての精製水70〜80容量%とを混合してつくられた、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の水溶性抗菌ワックスである。
この発明の請求項5にかかる水溶性抗菌ワックスにおいては、水溶性シリコン原液が、艶出効果を有するシリコンエマルジョン15容量%と、洗浄液としてのイソパラフィン6容量%と、安定剤としての非イオン系界面活性剤2容量%と、洗浄付与剤としてのジエタノールアミン2容量%と、希釈純水としての精製水75容量%とを常温にて、撹拌機で混合し成分分離が無いよう安定させてつくられた、請求項4に記載の水溶性抗菌ワックスである。
この発明の請求項6にかかる水溶性抗菌ワックスの製造方法は、ディスプレイの画面の表面に塗布されて使用される水溶性抗菌ワックスを製造するための水溶性抗菌ワックスの製造方法であって、植物性抗菌剤及び界面活性剤を精製水に混合して水溶性抗菌原液をつくるステップと、シリコンエマルジョンと洗浄液と安定剤と洗浄付与剤と希釈剤とを混合して水溶性シリコン原液をつくるステップと、別々に配合された前記抗菌剤原液と水溶性シリコン原液とを精製水に混合するステップとを含む、水溶性抗菌ワックスの製造方法である。
この発明の請求項7にかかる水溶性抗菌ワックスの製造方法は、水溶性抗菌剤原液をつくるステップのあとに、水溶性抗菌剤原液と精製水とを下記割合で混合し、常温にて、攪拌機で混合し、成分分離が無いように安定させて、水溶性抗菌剤を得るステップを加える、請求項6に記載の水溶性抗菌ワックスの製造方法である。
水溶性抗菌剤原液1.4〜2.4容量%,
精製水97.6〜98.6容量%
この発明の請求項8にかかる水溶性抗菌ワックスの製造方法は、前記ステップで混合させて安定させた水溶性抗菌剤と前記ステップで混合させて安定させた水溶性シリコン原液とを、下記の割合で攪拌機で混合し、成分分離がないように安定させて、混合液を得る、請求項7に記載の水溶性抗菌ワックスの製造方法である。
水溶性抗菌剤2〜3容量%,
水溶性シリコン原液8〜10容量%
この発明の請求項9にかかる水溶性抗菌ワックスの製造方法は、前記ステップで得た、水溶性抗菌剤と水溶性シリコン原液との混合液を精製水に、下記の割合で混ぜて、水溶性抗菌ワックスを得る、請求項7に記載の水溶性抗菌ワックスの製造方法である。
混合液10〜13容量%,
精製水87〜90容量%
この発明の請求項10にかかる水溶性抗菌ワックスの製造方法においては、水溶性抗菌剤原液が、大豆アミノ酸類を含有する大豆抽出エキス抽出液、タンポポの根の抽出エキス、竹の抽出エキス等の植物性抗菌剤8〜12容量%と、殺菌・抗菌効果を有するアルキルメチルベンジルコニュームクロライドなどの陽イオン系界面活性剤0.8〜1.2容量%と、安定剤としてのラウリルイミノジブロピオン酸などの両性イオン系界面活性剤0.4〜0.6容量%と、安定剤としてのポリオキシプロピレングリコールなどの非イオン系界面活性剤0.4〜0.6容量%と、希釈純水などの精製水85.6〜90.4容量%とを混合してつくられた、請求項6ないし請求項9のいずれかに記載の水溶性抗菌ワックスの製造方法である
この発明の請求項11にかかる水溶性抗菌ワックスの製造方法においては、水溶性抗菌剤原液が、大豆アミノ酸類を含有する大豆抽出エキス抽出液、タンポポの根の抽出エキス、竹の抽出エキス等の植物性抗菌剤10容量%と、殺菌・抗菌効果を有するアルキルメチルベンジルコニュームクロライドなどの陽イオン系界面活性剤1容量%と、安定剤としてのラウリルイミノジブロピオン酸などの両性イオン系界面活性剤0.5容量%と、安定剤としてのポリオキシプロピレングリコールなどの非イオン系界面活性剤0.5容量%と、希釈純水などの精製水88容量%とを混合し、常温にて、撹拌機で混合し成分分離が無いよう安定させてつくられた、請求項10に記載の水溶性抗菌ワックスの製造方法である。
この発明の請求項12にかかる水溶性抗菌ワックスの製造方法においては、水溶性シリコン原液が、艶出効果を有するシリコンエマルジョン12〜18容量%と、洗浄液としてのイソパラフィン4.8〜7.2容量%と、安定剤としてのポリオキシプロピレングリコールなどの非イオン系界面活性剤1.6〜2.4容量%と、洗浄付与剤としてのジエタノールアミン1.6〜2.4容量%と、希釈純水としての精製水70〜80容量%とを混合してつくられた、請求項6ないし請求項11のいずれかに記載の水溶性抗菌ワックスの製造方法である。
この発明の請求項13にかかる水溶性抗菌ワックスの製造方法においては、水溶性シリコン原液が、艶出効果を有するシリコンエマルジョン15容量%と、洗浄液としてのイソパラフィン6容量%と、安定剤としての非イオン系界面活性剤2容量%と、洗浄付与剤としてのジエタノールアミン2容量%と、希釈純水としての精製水75容量%とを常温にて、撹拌機で混合し成分分離が無いよう安定させてつくられた、請求項12に記載の水溶性抗菌ワックスの製造方法である。
【発明の効果】
【0007】
この発明にかかる水溶性抗菌ワックスによれば、ディスプレイの画面の表面に油性分を付着しにくくし、さらに、その画面の表面を損傷しにくいとともに、その表面に抗菌性を与えることができる。
この発明の請求項6にかかる水溶性抗菌ワックスの製造方法によれば、ディスプレイの画面の表面に油性分を付着しにくくし、さらに、その画面の表面を損傷しにくいとともに、その表面に抗菌性を与えることができる、水溶性抗菌ワックスを得ることができる。
【0008】
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための形態の説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本件発明にかかる水溶性抗菌ワックスの説明図である。
【図2】樹脂製液晶画面の傷の補修原理を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
大豆アミノ酸類を含有する大豆抽出エキス抽出液、タンポポの根の抽出エキス、竹の抽出エキス等の植物性抗菌剤8〜12容量%と、殺菌・抗菌効果を有するアルキルメチルベンジルコニュームクロライドなどの陽イオン系界面活性剤0.8〜1.2容量%と、安定剤としてのラウリルイミノジブロピオン酸などの両性イオン系界面活性剤0.4〜0.6容量%と、安定剤としてのポリオキシプロピレングリコールなどの非イオン系界面活性剤0.4〜0.6容量%と、希釈純水などの精製水85.6〜90.4容量%とを混合し、常温(20度)にて、撹拌機で混合し成分分離が無いよう安定させて、水溶性抗菌剤原液を得た(ステップ1)。
最終的な水溶性抗菌ワックスにおいて、精製水は1.712〜2.712容量%とした。
【0011】
次に、前記ステップ1で得た水溶性抗菌剤原液と、精製水とを下記の割合で混合し、常温(20度)にて、攪拌機で混合し、成分分離が無いように安定させて、水溶性抗菌剤を得た(ステップ2)。
水溶性抗菌剤原液1.4〜2.4容量%,
精製水97.6〜98.6容量%
【0012】
次に、艶出効果を有するシリコンエマルジョン12〜18容量%と、洗浄液としてのイソパラフィン4.8〜7.2容量%と、安定剤としてのポリオキシプロピレングリコールなどの非イオン系界面活性剤1.6〜2.4容量%と、洗浄付与剤としてのジエタノールアミン1.6〜2.4容量%と、希釈純水としての精製水70〜80容量%とを、常温(20度)にて、撹拌機で混合し、成分分離が無いよう安定させて、水溶性シリコン原液を得た(ステップ3)。
最終的な水溶性抗菌ワックスにおいて、精製水は5.6〜8.0容量%とした。
【0013】
次に、前記ステップ2で混合させて安定させた水溶性抗菌剤と前記ステップ3で混合させて安定させた水溶性シリコン原液とを、下記の割合で攪拌機で混合し、成分分離がないように安定させて、混合液を得た(ステップ4)。
水溶性抗菌剤2〜3容量%,
水溶性シリコン原液8〜10容量%
【0014】
次に、前記ステップ4で得た混合液を精製水に、下記の割合で混ぜて、水溶性抗菌ワックスを得た。
混合液10〜13容量%,
精製水87〜90容量%
【0015】
穀類抽出エキスが、0.36容量%を超えると、安定性の欠落のような不都合がある。
穀類抽出エキスが、0.16容量%未満であると、抗菌効果が減少するような不都合がある。
陽イオン系界面活性剤が0.036容量%を超えると、成分分離現象をおこし、0.06容量%未満であると、抗菌効果が減少する不都合がある。
両性イオン系界面活性剤が0.018容量%を超えると、成分分離現象をおこし、0.008容量%を未満であると、成分分離現象をおこすという不都合がある。
非イオン系界面活性剤が0.018容量%を超えると、成分分離現象をおこし、0.008容量%未満であると、成分分離現象をおこすという不都合がある。
【0016】
シリコンエマルジョンが、1.8容量%を超えると、乱反射現象をおこすような不都合がある。
シリコンエマルジョンが、0.96容量%未満であると、保護効果が低下するような不都合がある。
イソパラフィンが、0.72容量%を超えると、成分分離現象をおこすような不都合がある。
イソパラフィンが、0.384容量%未満であると、洗浄効果が低下するような不都合がある。
非イオン界面活性剤が、0.24容量%を超えると、安定性の欠落のような不都合がある。
非イオン界面活性剤が、0.128容量%未満であると、安定性の欠落のような不都合がある。
ジエタノールアミンが、0.24容量%を超えると、安定性が低下するような不都合がある。
ジエタノールアミンが、0.128容量%未満であると、洗浄効果が低下するような不都合がある。
(実施例1)
【0017】
大豆アミノ酸類を含有する大豆抽出エキス抽出液を含む植物性抗菌剤10容量%と、陽イオン系界面活性剤としてアルキルメチルベンジルコニュームクロライド1容量%と、両性イオン系界面活性としてラウリルイミノジブロピオン酸0.5容量%と、非イオン系界面活性剤としてポリオキシプロピレングリコール0.5容量%と、希釈純水88容量%とを混合し、常温(20度)にて、撹拌機で混合し成分分離が無いよう安定させて、水溶性抗菌剤原液を得た(ステップ1)。
【0018】
次に、前記ステップ1で得た水溶性抗菌剤原液と、精製水とを下記の割合で混合し、常温(20度)にて、攪拌機で混合し、成分分離が無いように安定させ、水溶性抗菌剤を得た(ステップ2)。
水溶性抗菌剤原液2容量%,
精製水98容量%
【0019】
次に、シリコンエマルジョン15容量%と、イソパラフィン6容量%と、非イオン系界面活性剤2容量%と、ジエタノールアミン2容量%と、希釈純水75容量%とを、常温(20度)にて、撹拌機で混合し、成分分離が無いよう安定させて水溶性シリコン原液を得た(ステップ3)。
【0020】
次に、前記ステップ2で混合させて安定させた水溶性抗菌剤と前記ステップ3で混合させて安定させた水溶性シリコン原液とを下記の割合で攪拌機で混合し、成分分離がないように安定させて、混合液を得た(ステップ4)。
水溶性抗菌剤2容量%,
水溶性シリコン原液8容量%
【0021】
次に、ステップ4で得た混合液を下記の割合で精製水に混ぜて、水溶性抗菌ワックスを得た。
混合液10容量%,
精製水90容量%
(実施例2)
【0022】
大豆アミノ酸類を含有する大豆抽出エキス抽出液を含む植物性抗菌剤10容量%と、陽イオン系界面活性剤としてアルキルメチルベンジルコニュームクロライド1容量%と、両性イオン系界面活性としてラウリルイミノジブロピオン酸0.5容量%と、非イオン系界面活性剤としてポリオキシプロピレングリコール0.5容量%と、希釈純水88容量%とを混合し、常温(20度)にて、撹拌機で混合し成分分離が無いよう安定させて、水溶性抗菌剤原液を得た(ステップ1)。
【0023】
次に、前記ステップ1で得た水溶性抗菌剤原液と、精製水とを下記の割合で混合し、常温(20度)にて、攪拌機で混合し、成分分離が無いように安定させ、水溶性抗菌剤を得た(ステップ2)。
水溶性抗菌剤原液2容量%,
精製水98容量%
【0024】
次に、シリコンエマルジョン15容量%と、イソパラフィン6容量%と、非イオン系界面活性剤2容量%と、ジエタノールアミン2容量%と、希釈純水75容量%とを、常温(20度)にて、撹拌機で混合し、成分分離が無いよう安定させて水溶性シリコン原液を得た(ステップ3)。
【0025】
次に、前記ステップ2で混合させて安定させた水溶性抗菌剤と前記ステップ3で混合させて安定させた水溶性シリコン原液とを下記の割合で攪拌機で混合し、成分分離がないように安定させて、混合液を得た(ステップ4)。
水溶性抗菌剤3容量%,
水溶性シリコン原液10容量%
【0026】
次に、ステップ4で得た混合液を下記の割合で精製水に混ぜて、水溶性抗菌ワックスを得た。
混合液13容量%,
精製水87容量%
【0027】
このようにして得られた、水溶性抗菌ワックスを、噴霧容器に充填し、携帯電話の液晶ディスプレイ等の表面に噴霧したところ、手等の油により液晶ディスプレイの表面が汚れるのを長時間防ぐことができた。
【0028】
その他、次のような効果を得られた。
樹脂製液晶画面を傷めず保護する。
指紋・油膜・ホコリ等が樹脂製液晶画面に付き難い。
加工後、ティッシュペーパ・布等で、樹脂製液晶画面を乾拭きするだけで、効果が持続する。
水溶性なので樹脂製液晶画面を、損傷・溶解する怖れが無い。
水溶性の保護幕で樹脂製液晶画面の傷を埋め見易く成る。
加工後、油膜等による乱反射が無くなり、樹脂製液晶画面が見易く成る。
樹脂製液晶画面を傷めず、水拭きで簡単に拭き取る事ができる。
加工後、抗菌効果を有する。
(比較例)
【0029】
穀類抽出エキスが、0.3容量%を超えて配合すると、安定性が落ちた。
穀類抽出エキスが、0.2容量%未満であると、抗菌性が落ちた。
陽イオン系界面活性剤が0.03容量%を超えて配合すると、成分分離現象をおこしやすかった。
陽イオン系界面活性剤が0.02容量%未満であると、抗菌効果が落ちた。
両性イオン系界面活性剤が0.015容量%を超えて配合すると、成分分離現象をおこしやすかった。
両性イオン系界面活性剤が0.01容量%未満であると、成分分離現象をおこしやすかった。
非イオン系界面活性剤が0.015容量%を超えて配合すると、成分分離現象をおこしやすかった。
非イオン系界面活性剤が0.01容量%未満であると、成分分離現象をおこしやすかった。
【0030】
シリコンエマルジョンが、1.5容量%を超えて配合すると、乱反射現象をおこしやすかった。
シリコンエマルジョンが、1.2容量%未満であると、保護効果が落ちた。
イソパラフィンが、0.6容量%を超えて配合すると、成分分離現象をおこしやすかった。
イソパラフィンが、0.48容量%未満であると、洗浄効果が落ちた。
非イオン界面活性剤が、0.2容量%を超えて配合すると、安定性が落ちた。
非イオン界面活性剤が、0.16容量%未満であると、安定性が落ちた。
ジエタノールアミンが、0.2容量%を超えて配合すると、安定性が落ちた。
ジエタノールアミンが、0.16容量%未満であると、洗浄効果が落ちた。
【0031】
本件発明にかかる水溶性抗菌ワックスは、防汚皮膜形成成分であるシリコン系化合物のエマルジョンで、図1に示すような分散状態のコロイド粒子になっている。
【0032】
図2に示すような極浅い鋭角の傷は本件発明にかかる水溶性抗菌ワックスの粒子が表面に並び、又傷の溝に入り込み、拭くことによって面一の膜となる。
傷が埋まると乱反射が無くなるので、傷が見えなくなる。
【0033】
本件発明にかかる水溶性抗菌ワックスは、エマルジョン(すなわち水に粒子が分散している)であり、水溶性抗菌ワックスをスプレーしたそのままの状態で乾燥したとき、粒子によって乱反射し、粉をふいたような白化現象となる。
そこで、濡れているときに擦るように拭くと粒子がつぶれて面一の膜となり、白化しない。
【産業上の利用可能性】
【0034】
この発明にかかる水溶性抗菌ワックスは、携帯電話、携帯端末等のほか、たとえばテレビ用ディスプレイなどの樹脂製液晶画面の表面に塗布されて使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイの画面の表面に塗布されて使用される水溶性抗菌ワックスであって、
植物性抗菌剤及び界面活性剤を精製水に混合してなる水溶性抗菌剤原液と、
シリコンエマルジョンと洗浄液と安定剤と洗浄付与剤と希釈剤とを混合してなる水溶性シリコン原液とを含み、
別々に配合された前記抗菌剤原液と水溶性シリコン原液とを精製水に混合してなる、水溶性抗菌ワックス。
【請求項2】
水溶性抗菌剤原液は、大豆アミノ酸類を含有する大豆抽出エキス抽出液、タンポポの根の抽出エキス、竹の抽出エキス等の植物性抗菌剤8〜12容量%と、殺菌・抗菌効果を有するアルキルメチルベンジルコニュームクロライドなどの陽イオン系界面活性剤0.8〜1.2容量%と、安定剤としてのラウリルイミノジブロピオン酸などの両性イオン系界面活性剤0.4〜0.6容量%と、安定剤としてのポリオキシプロピレングリコールなどの非イオン系界面活性剤0.4〜0.6容量%と、希釈純水などの精製水85.6〜90.4容量%とを混合してつくられた、請求項1に記載の水溶性抗菌ワックス。
【請求項3】
水溶性抗菌剤原液は、大豆アミノ酸類を含有する大豆抽出エキス抽出液、タンポポの根の抽出エキス、竹の抽出エキス等の植物性抗菌剤10容量%と、殺菌・抗菌効果を有するアルキルメチルベンジルコニュームクロライドなどの陽イオン系界面活性剤1容量%と、安定剤としてのラウリルイミノジブロピオン酸などの両性イオン系界面活性剤0.5容量%と、安定剤としてのポリオキシプロピレングリコールなどの非イオン系界面活性剤0.5容量%と、希釈純水などの精製水88容量%とを混合し、常温にて、撹拌機で混合し成分分離が無いよう安定させてつくられた、請求項1又は請求項2に記載の水溶性抗菌ワックス。
【請求項4】
水溶性シリコン原液は、艶出効果を有するシリコンエマルジョン12〜18容量%と、洗浄液としてのイソパラフィン4.8〜7.2容量%と、安定剤としてのポリオキシプロピレングリコールなどの非イオン系界面活性剤1.6〜2.4容量%と、洗浄付与剤としてのジエタノールアミン1.6〜2.4容量%と、希釈純水としての精製水70〜80容量%とを混合してつくられた、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の水溶性抗菌ワックス。
【請求項5】
水溶性シリコン原液は、艶出効果を有するシリコンエマルジョン15容量%と、洗浄液としてのイソパラフィン6容量%と、安定剤としての非イオン系界面活性剤2容量%と、洗浄付与剤としてのジエタノールアミン2容量%と、希釈純水としての精製水75容量%とを常温にて、撹拌機で混合し成分分離が無いよう安定させてつくられた、請求項4に記載の水溶性抗菌ワックス。
【請求項6】
ディスプレイの画面の表面に塗布されて使用される水溶性抗菌ワックスを製造するための水溶性抗菌ワックスの製造方法であって、
植物性抗菌剤及び界面活性剤を精製水に混合して水溶性抗菌原液をつくるステップと、
シリコンエマルジョンと洗浄液と安定剤と洗浄付与剤と希釈剤とを混合して水溶性シリコン原液をつくるステップと、
別々に配合された前記抗菌剤原液と水溶性シリコン原液とを精製水に混合するステップとを含む、水溶性抗菌ワックスの製造方法。
【請求項7】
水溶性抗菌剤原液をつくるステップのあとに、水溶性抗菌剤原液と精製水とを下記割合で混合し、常温にて、攪拌機で混合し、成分分離が無いように安定させて、水溶性抗菌剤を得るステップを加える、請求項6に記載の水溶性抗菌ワックスの製造方法。
水溶性抗菌剤原液1.4〜2.4容量%,
精製水97.6〜98.6容量%
【請求項8】
前記ステップで混合させて安定させた水溶性抗菌剤と前記ステップで混合させて安定させた水溶性シリコン原液とを、下記の割合で攪拌機で混合し、成分分離がないように安定させて、混合液を得る、請求項7に記載の水溶性抗菌ワックスの製造方法。
水溶性抗菌剤2〜3容量%,
水溶性シリコン原液8〜10容量%
【請求項9】
前記ステップで得た、水溶性抗菌剤と水溶性シリコン原液との混合液を精製水に、下記の割合で混ぜて、水溶性抗菌ワックスを得る、請求項7に記載の水溶性抗菌ワックスの製造方法。
混合液10〜13容量%,
精製水87〜90容量%
【請求項10】
水溶性抗菌剤原液は、大豆アミノ酸類を含有する大豆抽出エキス抽出液、タンポポの根の抽出エキス、竹の抽出エキス等の植物性抗菌剤8〜12容量%と、殺菌・抗菌効果を有するアルキルメチルベンジルコニュームクロライドなどの陽イオン系界面活性剤0.8〜1.2容量%と、安定剤としてのラウリルイミノジブロピオン酸などの両性イオン系界面活性剤0.4〜0.6容量%と、安定剤としてのポリオキシプロピレングリコールなどの非イオン系界面活性剤0.4〜0.6容量%と、希釈純水などの精製水85.6〜90.4容量%とを混合してつくられた、請求項6ないし請求項9のいずれかに記載の水溶性抗菌ワックスの製造方法。
【請求項11】
水溶性抗菌剤原液は、大豆アミノ酸類を含有する大豆抽出エキス抽出液、タンポポの根の抽出エキス、竹の抽出エキス等の植物性抗菌剤10容量%と、殺菌・抗菌効果を有するアルキルメチルベンジルコニュームクロライドなどの陽イオン系界面活性剤1容量%と、安定剤としてのラウリルイミノジブロピオン酸などの両性イオン系界面活性剤0.5容量%と、安定剤としてのポリオキシプロピレングリコールなどの非イオン系界面活性剤0.5容量%と、希釈純水などの精製水88容量%とを混合し、常温にて、撹拌機で混合し成分分離が無いよう安定させてつくられた、請求項10に記載の水溶性抗菌ワックスの製造方法。
【請求項12】
水溶性シリコン原液は、艶出効果を有するシリコンエマルジョン12〜18容量%と、洗浄液としてのイソパラフィン4.8〜7.2容量%と、安定剤としてのポリオキシプロピレングリコールなどの非イオン系界面活性剤1.6〜2.4容量%と、洗浄付与剤としてのジエタノールアミン1.6〜2.4容量%と、希釈純水としての精製水70〜80容量%とを混合してつくられた、請求項6ないし請求項11のいずれかに記載の水溶性抗菌ワックスの製造方法。
【請求項13】
水溶性シリコン原液は、艶出効果を有するシリコンエマルジョン15容量%と、洗浄液としてのイソパラフィン6容量%と、安定剤としての非イオン系界面活性剤2容量%と、洗浄付与剤としてのジエタノールアミン2容量%と、希釈純水としての精製水75容量%とを常温にて、撹拌機で混合し成分分離が無いよう安定させてつくられた、請求項12に記載の水溶性抗菌ワックスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−25703(P2012−25703A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−166913(P2010−166913)
【出願日】平成22年7月26日(2010.7.26)
【出願人】(510203533)株式会社シード (1)
【出願人】(510203429)
【Fターム(参考)】