説明

水潤滑パッド型軸受装置及び水車

【課題】本発明は、水潤滑パッド型軸受装置に用いる摺接面に樹脂材料を用いた軸受パッドに対して高剛性化,耐食性向上および高信頼性化を図るとともに、またこの軸受パッドを組み込んで水潤滑パッド型軸受装置を構成し、さらにそのような水潤滑パッド型軸受装置を用いた水車を提供することにある。
【解決手段】本発明は、回転機械の回転軸を支持する水潤滑パッド型軸受装置において、該軸受パッドは摺接面に樹脂材料を用い、この樹脂材料を金属ケースより数ミリ摺動面側に突出させるように金属ケースに格納し、かつ、樹脂材料と金属ケースとで形成される隙間には接着剤(常温硬化型)を充満させて固定するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スリーブと軸受との摺接面の潤滑に水が用いられるパッド型軸受装置およびそれを用いた水車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水車の回転軸を支承する軸受としては、油潤滑軸受装置が主に用いられている。しかし、油流出等による河川汚染の心配から、水潤滑パッド型軸受装置が最近注目されてきた。水潤滑パッド型軸受装置にはセラミックスを用いたものがあるが、セラミックスは割れ易いことや高価であることからあまり使用されていない。
【0003】
一方、スーパーエンジニアリングプラスチックスの中でセラミックスよりも低コストで、水潤滑特性に優れたポリエーテルエーテルケトン樹脂,ポリフェニレンサルファイド樹脂やフッ素樹脂をパッド型軸受装置の摺接面に適用する試みが見られる。
【0004】
ところが、樹脂材料の軸受摺接面への適用に対しては、(1)樹脂材料のヤング率は金属より小さく変形し易いので、高剛性化が達成できる高信頼性の軸受パッド構造の確立。(2)軸受パッドは常時水中に浸漬した状態で使用されるため、耐食性を有する構造の確立。(3)軸受パッドの製造費用が安価であること。(4)軸受パッドの長寿命化等の技術課題があり、パッド型軸受装置の実用化が進まない状況にある。そのため摺接面側に樹脂材料を適用した高信頼性の軸受パッド構造が確立できればパッド型軸受装置の実用化が加速する可能性がある。
【0005】
水車ではその回転軸を支承する軸受装置として、摺接面が樹脂材料で形成され潤滑剤を水とする水潤滑セグメント型軸受装置が特許文献1に開示されている。特許文献1の水潤滑セグメント型軸受装置は回転軸に装着されたスリーブ,スリーブの外周に配置された軸受ケース、それぞれがスリーブに摺接するようにしてスリーブと軸受ケースの間でスリーブの周方向に沿ってセグメント化して複数配設された軸受、および軸受の摺接面をスリーブの摺接面に弾性的に押接させる弾性的押圧機構Pを有し、さらに、軸受の摺接面を樹脂部で形成するとともに、樹脂部の樹脂材料にポリフェニレンサルファイド系樹脂またはフッ素系樹脂を用いるようにしている。
【0006】
このため、セラミックス材料と比べて耐衝撃性とコストで優れることから、軸受装置の分解組立作業時における取扱い性の向上を図れ、また軸受装置の低コスト化も図れる。樹脂部は、例えばエポキシ系の接着剤で軸受に接着させて固定している。
【0007】
また、水潤滑を可能とする軸受装置として、回転体の荷重を支持するガイドセクタを備えた回転電機のガイド軸受装置が特許文献2に開示されている。このガイド軸受装置は、ガイドセクタの摺動面材料として、高分子材料ポリエーテルエーテルケトンに繊維材料を充填した材料を用い、回転体とガイドセクタ間にタービン油より低粘度の水等の潤滑流体を満たし、ガイドセクタを回転体に押し付けた状態で据え付けている構成とされている。このようなガイド軸受装置では運転時に回転体に過大な振動が発生することなく、ガイドセクタの摺動面材料が回転体と接触したとしても、損傷は軽微に抑えることができ、回転電機の運転を継続することができる。また、タービン油より低粘度の潤滑流体を使用しているので、ガイド軸受装置内で発生する損失を低減することができる。
【0008】
一方、油潤滑軸受装置として、水車発電機等の回転電機の回転体を支えるスラスト軸受が特許文献3に開示されている。このスラスト軸受はスラストセクタを製造する際の、金型の数を減らし、加熱及び加圧の精度を向上させ、加熱時間及び冷却時間を短くするため、薄い平板の表面にフッ素樹脂層を焼成してなるフッ素樹脂ボードを所要の形状に切断して形成したフッ素樹脂パッドを、所要の形状に形成されたスラストセクタ台金上に固定して構成している。
【0009】
また、特許文献4に油潤滑のスラスト軸受が開示されている。このスラスト軸受は、摺動面に熱可塑性高分子組成物のポリエーテルエーテルケトンを主成分とし、ポリテトラフルオロエチレン,炭素繊維,ふっ化化合物を添加した樹脂複合組成物の摺動部材を有し、この摺動部材の厚さTと裏金の厚さBとの関係をT<Bとし、摺動部材が熱と荷重により回転板側に凸に変形するたわみと、回転板の回転による油膜圧力により支点部側に摺動部材が凹に変形するたわみとを打ち消すように摺動部材の厚さを制定するように構成している。このように構成することで、運転起動時のトルク損失を低減並びに抑制することができる。その結果、運転信頼性および耐久信頼性の向上が可能となる。
【0010】
特許文献5には水中電動機,水中ポンプ等の水中回転機械に用いられる水中軸受が開示されている。この水中軸受は、摺動性のよい第1の軸受材料とカーボン繊維やガラス繊維等の補強材とを積層して積層部を形成し、かつ当該積層部の前記水中回転機械の軸との摺動面に、補強材のない摺動性のよい第2の軸受材料のみからなる軸受材層を設けて構成している。このように構成することで、使用中に軸受表面が摩耗しても補強材が露出せず、軸が補強材と接触しないため、軸は傷つくことがなくなる。また、摺動性のよい軸受材料と補強材とを積層または混合した複合材料のみから構成することにより、前述の金属板による補強と異なって、金属部分との接着部分がなくなるため、温度差による剥離の恐れがなくなる。さらに、積層部または混合部の軸受材料と軸受材層の軸受材料として、同一の材料を用いることにより、温度差による剥離の恐れがなくなる。
【0011】
【特許文献1】特開2005−249030号公報
【特許文献2】特開2003−28146号公報
【特許文献3】特開平9−303382号公報
【特許文献4】特開平10−89346号公報
【特許文献5】特開平8−109924号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
水車では、そのパッド型軸受装置における潤滑剤として水を利用できる構造であることが、油流出等による河川汚染を防止できるという点で望ましい。しかし、パッド型軸受装置の潤滑剤を油から水に変更する場合には、摺接面に樹脂材料を用いた軸受パッドの耐食性と高信頼性化が課題である。また、水車の場合、羽根車に作用する流体アンバランス力により、回転軸は一方向に押付けられた状態で始動する。このため、摺接面に使用する樹脂材料は起動・停止の繰返し動作に対する高耐摩耗性が必須である。
【0013】
特許文献1には、摺接面が樹脂材料で形成された水潤滑軸受装置が開示されている。摺接面が樹脂材料で形成された軸受パッドは樹脂部を、例えばエポキシ系の接着剤で軸受に接着させて固定している。しかしながらこの軸受パッドは樹脂部を接着剤のみで固定しているので、接着剤の劣化に伴う接着力の低下が懸念され、長期信頼性に対する十分な配慮がされていない。
【0014】
特許文献2に示す水潤滑を可能とする軸受装置は、ガイドセクタの摺動面材料として、高分子材料ポリエーテルエーテルケトンに繊維材料を充填した材料を用い、回転体とガイドセクタ間にタービン油より低粘度の水等の潤滑流体を満たし、ガイドセクタを回転体に押し付けた状態で据え付けている構成としていることが記載されているが、ガイドセクタの摺動面材料の取付け方法に関しては開示されていない。しかし、摺動面材料がガイドセクタ取付け面と同じ大きさであり、ガイドセクタの側面又は上下面を万一衝突させるようなことがあると、摺動面材料を損傷させる可能性が有り、ガイドセクタの取扱い性に対する考慮が十分とは言えない。
【0015】
特許文献3には、水車発電機等の回転電機の回転体を支える油潤滑のスラスト軸受が開示されているが、このスラスト軸受を水潤滑環境下で使用することを考えると、フッ素樹脂ボードやスラストセクタ台金等に鉄鋼材料を使用しているので、耐食性が十分でなく長期信頼性が維持できない可能性がある。また、フッ素樹脂ボードとスラストセクタ台金とは機械的に固定されているので、合わせ面が酸欠状態となり水環境下では隙間腐食の心配がある。
【0016】
特許文献4に示す油潤滑のスラスト軸受では、軸受パッドの接合層は裏金面への金属粒子による焼結接合層で構成されていることが開示されている。裏金に接合された金属粒子による焼結接合層は僅かな気孔を有することから、気孔に含水し隙間腐食を発生させる恐れがあり、水潤滑環境下では使用できない。
【0017】
特許文献5には水中電動機,水中ポンプ等の水中回転機械に用いられる水中軸受では、摺動性のよい第1の軸受材料とカーボン繊維やガラス繊維等の補強材とを積層して積層部を形成し、かつ当該積層部の前記水中回転機械の軸との摺動面に、補強材のない摺動性のよい第2の軸受材料のみからなる軸受材層を設けて構成していることが記載されている。このように樹脂材料の積層構造に関して開示されている。また、樹脂材料そのもので軸受パッドを構成することも示されている。低荷重を支持する水中ポンプ等のスラスト軸受では安定した軸受性能が期待できる。しかし、高荷重を支持する水車のパッド型軸受装置への適用を考えた場合、樹脂材料のみで構成した軸受パッドの荷重変形が大きく所定の負荷容量が得られない可能性が有る。したがって、高荷重下に対応するためには軸受パッドの高剛性化が課題である。
【0018】
以上のように、公知例では水環境下で使用する摺接面に樹脂材料を用いた軸受パッドに対して、高剛性化,耐食性向上および高信頼性化について配慮されていない。また、この軸受パッドを組み込んで水潤滑パッド型軸受装置を構成することについても十分な配慮がされていない。
【0019】
本発明の目的は、水環境下で使用する摺接面に樹脂材料を用いた軸受パッドに対して高剛性化,耐食性向上を水潤滑パッド型軸受装置を用いた水車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的は回転機械の回転軸を支持する水潤滑パッド型軸受装置において、前記軸受パッドは摺接面に樹脂材料を用い、この樹脂材料を金属ケースより摺接面側に数ミリ突出させて金属ケースに格納し、前記樹脂材料と金属ケースとで形成される隙間に接着剤を充満させてなることにより達成される。
【0021】
また上記目的は、前記金属ケースからの樹脂材料の突出量を2mm以下とし、前記樹脂材料の外周面曲率半径Rと対向面である金属ケース内周側曲率半径rとの関係をR≦rに設定したことにより達成される。
【0022】
また上記目的は、前記樹脂材料はカーボン繊維含有ポリフェニレンサルファイド樹脂で形成されていることにより達成される。
【0023】
また上記目的は、軸受装置で支承された回転軸を有する水車において、前記軸受装置として請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の水潤滑パッド型軸受装置が用いられていることを特徴とする水車。
【0024】
また、本発明では上記のような水潤滑パッド型軸受装置について、前記樹脂材料にカーボン繊維含有ポリフェニレンサルファイド樹脂を用いるものとしている。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、水環境下で使用する摺接面に樹脂材料を用いた軸受パッドに対して高剛性化,耐食性向上を水潤滑パッド型軸受装置を用いた水車を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の各実施例について図を用いて説明する。第2実施例以降の実施例においては第1実施例と共通する構成の重複する説明を省略する。各実施例の図における同一符号は同一物又は相当物を示す。なお、本発明は、軸受パッドの構成について工夫を施したものであるため、ここでは、軸受パッドについて詳細に説明し、水潤滑パッド型軸受装置,水車の構成については図10と図11を参照して説明する。
【実施例1】
【0027】
図1(a)〜(b)は実施例の形態に係る軸受パッドの斜視図である。
図1(c)のように、円筒形状(例えば内径800mm,外径850mm,幅200mm)の樹脂材料(カーボン繊維含有PPS樹脂材料)から、円弧形状に切断した円弧形樹脂片1を作成する。なお、円弧形樹脂片1は型成形で作成しても良い。また、円弧形樹脂片1を切断する前に、外周面寸法をRに加工しておく。
【0028】
次に、図1(b)に示すような円弧形樹脂片1を格納固定する金属ケース2を作成する。金属ケース2の摺接面側には円弧形樹脂片を格納するための溝2aが加工されている。溝の深さtは円弧形樹脂片の厚さTによって変化するが、金属ケース2からの突出量が数ミリ程度になるように設定する。また、金属ケース溝2aの曲率半径rは円弧形樹脂片の外周面曲率半径Rに対して、R≦rになるように設定されている。本実施例では、金属ケース2の外周面形状2bを円筒面にした場合について説明しているが、形状は特に限定するものではない。
【0029】
次に、円弧形樹脂片1の摺接面を除いた残りの面に常温硬化型接着剤を塗布し、金属ケース2の溝2aに装着する。このようにすることで、金属ケース2と円弧形樹脂片1とで構成される隙間には接着剤が充満するので、円弧形樹脂片1は接着剤を介して金属ケース2に密着固定される。その後、シャコ万力等(図示せず)で金属ケース2の外周面と円弧形樹脂片の摺接面とを挟み込んで接着剤が硬化するまで保持にしておく。
【0030】
図1(a)に示すように接着剤が硬化して軸受パッド9の製造が完成する。完成した軸受パッド9はその摺接面を所定の寸法に仕上げ加工を行い、水潤滑パッド型軸受装置に適用される。この場合、軸受パッド9は周方向に複数個配置して使用される。
【0031】
このようにして製造した軸受パッド9であると、樹脂材料の突出部と摺接面を除いた残りの部分は金属ケース2に格納されているので、金属ケースで補強され樹脂材料の摺接面の変形が防止できる。この結果、高剛性化が図れ、高荷重支持に対応できる軸受パッド9が提供できる。また、円弧形樹脂片1の金属ケース2に格納されている部分において、円弧形樹脂片1と金属ケース2とで形成される隙間には常温硬化型接着剤が充満している。そのため、円弧形樹脂片1は金属ケース2に密着固定されているのでずれ防止機能を有するので、新たなズレ防止部材が不要となり、低コスト化に寄与できる。
【0032】
また、円弧形樹脂片1のズレ止め機能を充填剤の接着力に期待しているのではないので、長期信頼性が向上する。さらに、充填剤に常温硬化型接着剤を用いているので、軸受パッド製造時加熱処理が不要となるので金属ケース2の熱変形の影響を受けることがなく、最終仕上げ加工は円弧形樹脂片1の摺接面のみで済み加工費用の低減が図れる。前述のように、円弧形樹脂片1と金属ケース2とは充填剤を介して密着固定されているので、金属ケースの隙間腐食が確実に防止できる。ここで使用している常温硬化型接着剤は水中で使用しても、膨潤が全くないものである。さらに、構成材料の熱膨張係数(充填剤>円弧形樹脂片>金属ケース)の関係を見ると、水温上昇に伴い軸受パッドが膨張しても円弧形樹脂片と金属ケース間での隙間の発生が防止できる。したがって、潤滑水の温度変化にも対応できることから、水潤滑パッド型軸受装置に適用できる高信頼性の軸受パッドが提供できる。また、上記のように、円弧形樹脂片は摺接面と突出部を除いた部分を金属ケースで囲っているので、円弧形樹脂片を保護でき、組立,分解作業時の取扱い性が改善でき作業効率が向上する。
【0033】
一方、金属ケース溝2aの曲率半径rは円弧形樹脂片の外周面曲率半径Rに対して、R≦rになるように設定されている。そのため、円弧形樹脂片の外周面の周方向中央部が金属ケースと直接接触した状態となり、摺動熱の放散性が改善でき摺接面の凸変形が防止できるので高荷重条件下でも安定した軸受性能が維持できる。
【0034】
図2は第2の実施例を備えた軸受パッドの斜視図である。
図2において、本実施形態の軸受パッドは基本的には第1の実施形態における軸受パッドと同様であるが、相違点は金属ケース2に加工される溝の構造において、上面のみを切欠いていることにある。上面側にはプレート21を取付けて円弧形樹脂片を押え付けている。この場合、プレート21は金属ケース2の背面からボルト等(図示せず)で固定されている。また、プレート21と金属ケース2との隙間には接着剤を充満し、空気だまり等の隙間が形成されないようにしている。このような構造であると、円弧形樹脂片1の交換を行う際、プレート21を外し、円弧形型樹脂材料を開口面側に押出して取り出せるので、円弧形樹脂片を金属ケースから容易に取り出せる。そのため、軸受パッドを構成する円弧形樹脂片の交換作業における作業性を改善することができる。その他の構成は第1の実施形態の場合と同様なので上記の効果を奏することができる。
【0035】
図3は第3の実施例を備えた軸受パッドの斜視図である。
図3において、本実施形態の軸受パッドは基本的には第1の実施形態における軸受パッドと同様であるが、相違点は金属ケースに加工される溝の構造において、左右両面を切欠いていることにある。周方向の両側にはサポート22を固定し、円弧形樹脂片1を金属ケース2に格納固定している。この場合、金属ケースと円弧形樹脂片とで構成される隙間、及びサポート22と円弧形樹脂片とで形成される隙間には接着剤が充満している。また、サポート22の接着面には接着剤を塗布して組み込んでいるので、接着面の隙間は接着剤で充満した状態となる。この実施例においては、金属ケースの溝部の加工が旋盤で行えるので、金属ケースの加工が容易で低コスト化につながる。また、サポート22を取外すことで金属ケース2から円弧形樹脂片1を容易に外せるので、円弧形樹脂片1の交換時、作業性が向上する。その他の構成は第1の実施形態の場合と同様なので上記の効果を奏することができる。
【0036】
図4は第4の実施例を備えた軸受パッドの斜視図である。
図4において、本実施形態の軸受パッドは基本的には第1の実施形態における軸受パッドと同様であるが、相違点は金属ケースに加工される溝の構造において、左右両面及び上面を切欠いていることにある。周方向の両側にサポート23、かつ、上面にプレート24を固定し円弧形樹脂片を金属ケースに格納固定している。この場合、金属ケースと円弧形樹脂片とで形成される隙間、及びプレート24と円弧形樹脂片1とで構成される隙間には接着剤が充満している。また、プレート24の接着面には接着剤を塗布して組み込んでいるので、接着面の隙間は接着剤で充満した状態となる。この実施例においては、溝部の3面が切欠いた構造であるため、円弧形樹脂片の交換時、作業性がさらに向上する。その他の構成は第1の実施形態の場合と同様なので上記の効果を奏することができる。
【0037】
図5は第5の実施例を備えた軸受パッドの斜視図である。
図5において、本実施形態の軸受パッドは基本的には第1の実施形態における軸受パッドと同様であるが、相違点は金属ケースに加工される溝の構造において、上下面を切欠いていることにある。上下にプレート25を配置し金属ケース2に固定し、円弧形樹脂片1を金属ケースに格納固定している。この場合、金属ケース2と円弧形樹脂片とで形成される隙間、及びプレート25と円弧形樹脂片1とで構成される隙間には接着剤が充満している。また、プレート25と金属ケース2との対向面には接着剤を塗布して組み込んでいるので、対向面の隙間は接着剤で充満した状態となる。
【0038】
この実施例においては、上下方向に配置したプレートが移動可能な状態にあるので、樹脂材料の高さ方向を高精度に加工する必要性がなく、樹脂材料の加工費を低減できる。その他の構成は第1の実施形態の場合と同様なので上記の効果を奏することができる。
【0039】
図6は第6の実施例を備えた軸受パッドの斜視図である。
図6において、本実施形態の軸受パッドは基本的には第1の実施形態における軸受パッドと同様であるが、相違点は金属ケースに加工される溝を別部材の金属枠26で構成したことにある。円弧形樹脂片1は金属ケース2に金属枠26により格納固定されている。金属枠26と円弧形樹脂片とで形成される隙間には接着剤が充満されている。また、金属枠と金属ケースの対向面にも接着剤が塗布されて組み込まれている。この実施例においては、金属枠を金属ケースから取外すだけで円弧形樹脂片を交換できる。したがって、円弧形樹脂片の交換作業が容易に行うことができる。その他の構成は第1の実施形態の場合と同様なので上記の効果を奏することができる。
【0040】
以下では樹脂材料に好ましいものとして用いるカーボン繊維含有PPS樹脂の膨潤特性,耐摩耗特性,剛性特性の評価試験について説明する。
図7は水車用水中軸受材料に用いられているフェノール樹脂とカーボン繊維含有PPS樹脂の膨潤特性を比較したグラフ図である。
図7において、膨潤特性は40℃の水道水に浸漬し、試験片(大きさ:160mm(長さ)*160mm(幅)*20mm(厚さ))の厚さ方向の変化を測定し評価した。縦軸に寸法変化((試験後の板厚−試験前の板厚)/試験前板厚)、横軸に試験時間を示している。フェノール樹脂の寸法変化は試験時間の増大に伴い、増加し1000時間で0.06% に達している。一方、カーボン繊維含有PPS樹脂の寸法変化率は試験時間に関係なく、試験開始当初からほとんど変化せず一定値で推移していることが確認できた。寸法変化率が大きいフェノール樹脂は含水状態にあることから、金属ケースに格納固定した場合、金属ケースに隙間腐食を発生する恐れがあり使用できない。この試験結果から、摺接面にカーボン繊維含有PPS樹脂を用いると、軸受隙間変化が無く、長期間安定した軸受性能が維持できる。また、金属ケースの隙間腐食が防止できるので、樹脂材料の摺接面側への凸変形が防止できる。
【0041】
一方、縦軸水車の回転軸は、回転軸の下端に固定された羽根車を囲むように設置したケーシング部に高圧流体が流入し、流体力で回転する。そのため、回転軸はケーシング内部の流体アンバランスにより一方向に押し付けられた状態で起動する。このため、摺接面に用いられる樹脂材料に対しては、流体アンバランスに相当する押付け力が軸受に常時作用した状態での起動停止繰返しに対して、十分な耐摩耗性を有することが必須である。そこで、カーボン繊維含有PPS樹脂を摺接面に適用した軸受パッドを用いて、起動停止繰返しに対する耐摩耗性を軸受試験装置で測定した。
【0042】
図8は摩擦係数と起動停止繰返し数の関係を示すグラフ図である。
図8において、試験は面圧0.32MPa を常時作用させた状態で起動停止を繰り返した。また、起動停止繰返し数は1回/日*10年を想定し約4000回とした。耐摩耗性は摩擦係数を測定し評価した。摺接面が荒損すると摩擦係数が上昇するので、耐摩耗性が評価できる。水車の構造を模擬した(羽根車の位置に荷重を作用させる構造)軸受試験装置の試験部に軸受パッドを複数個(試験では8個)周方向に配置し、回転軸に固定したスリーブに常時荷重を作用させた状態にしておき、回転軸と連結された駆動モータを起動停止し、試験を実施した。樹脂材料と摺接するスリーブの材質はSUS420J2とした。図8に試験結果を示す。試験開始直後から、摩擦係数は約0.3 の一定値で推移している。試験後の摺接面を観察して見ると、摺接面に点在するカーボン繊維が光沢を示していた。また、摺接面の損傷等は皆無であった。この結果から、水車用水潤滑軸受材料に適用できることが明らかになった。
【0043】
次に、軸受パッドの高剛性化について検討した。摺接面に用いた樹脂材料を金属ケースに埋没させてしまえば、荷重が作用しても樹脂材料の体積変化がないので格段に剛性が向上するが、安定した摺動特性を得るため摺接面を金属ケースから突出させた構造にする必要がある。そこで、樹脂材料の金属ケースからの突出量をパラメータに樹脂材料の変形特性を測定した。軸受パッドに適用している樹脂材料の剛性は以下示す(1)式で求めることができる。
【0044】
δ=A*E/L (1)
ここでは、δ:剛性 A:摺接面面積 樹脂材料の縦弾性係数 L:樹脂材料の金属ケースからの突出量を示す。
【0045】
計算式からも分るように、樹脂材料の金属ケースからの突出量を小さくすると高剛性化が達成できる。
【0046】
図9は測定した金属ケースからの樹脂材料の突出量と軸受剛性との関係を示すグラフ図である。
【0047】
図9において、試験では、各突出量において、10ton の荷重を作用させ、その時の変形量を測定し、荷重/変形量で軸受剛性を算出した。金属ケースからの樹脂材料の突出量が増大すると、軸受剛性は低下する。実機での軸受剛性を考えると、700ton /mm以上必要であることから金属ケースからの樹脂材料の突出量は2mm以下となる。したがって、カーボン繊維を含有するPPS樹脂でも、金属ケースからの樹脂材料の突出量を2mm以下に設定すれば軸受パッドに適用できることが分った。
【0048】
以上説明したように、カーボン繊維含有PPS樹脂材料を摺接面に適用した軸受パッド構造であると、膨潤特性,耐摩耗特性,剛性特性の評価試験結果から、水潤滑環境下で十分に使用できることが明らかになった。
【0049】
次に、本発明で製造した軸受パッドを適用した水潤滑パッド型軸受装置について説明する。
図10は水潤滑パッド型軸受装置の縦断面図をである。
図10において、水潤滑パッド型軸受装置30はスリーブ6,軸受ケース8,軸受パッド9,弾性的押圧機構P,弾性支持機構S、及び潤滑水貯水枠体Wを主な要素としている。スリーブ6は、スカート部5を有しており、このスカート部5を介して回転軸4に固定的に装着され、軸受パッド9による回転軸4の摺接支持を受けるのに機能する。またスリーブ6は、スカート部5の周囲にそって二分割できる筒構造とされ、その分割された半円筒部材はリーマボルト7により締結されている。スリーブ材質はSUS403で摺接面を焼入れ処理している。
【0050】
軸受ケース8は筒形をなしており、スリーブ6の外周に配置される。また、その軸方向の下端に下プレート8aが、また上端に上プレート8bが取付けられ、これら下プレート8aと上プレート8bで軸受パッド9の上下両端面を囲むようにされている。
【0051】
軸受パッド9は、スリーブ6と軸受ケース8の間でスリーブ6の周方向に沿って複数個がそれぞれスリーブ6に摺接するよう配設される。各軸受パッドのスリーブに対する摺接面9aは樹脂材料で形成する。軸受パッド9の摺接面9aをカーボン繊維含有PPS樹脂にすることで、長期にわたって安定した軸受性能が発揮できる。
【0052】
弾性的押圧機構Pは軸受パッド9を回転軸4の径方向で弾性的に支持する。そのために弾性的押圧機構Pは軸受パッド9をスリーブ7に対して回転軸4の径方向に弾性的に付勢する圧縮コイルばね10とこの圧縮コイルばね10のばね力を調整する調整体11を主な要素としてなっている。
【0053】
圧縮コイルばね10は軸受パッド9の外周面にたがいに対向するように突設させた一対の対向壁12,12とこの対向壁12,12の間で軸受パッド9の外周面を適切な深さに切削して形成した溝13とが形成する空間に保持された状態で、その一端を溝13の底で軸受パッド9に押接させ、その他端が板ばね14を介して調整体11に押圧支持それるように設けられている。
【0054】
調整体11は、軸受ケース8に径方向で貫通するように形成したねじ孔15に螺合させたボルト構造で形成されており、ねじ孔15への捻込み状態を調整することで板ばね14を介した圧縮コイルばね10にたいする押圧力を調整できるようにされ、その捻込み状態をナット17で固定できるようにされている。また調整体11は、その先端面がわずかに球面状とされており、この球面状先端面で板ばね14の中心部に押接するようにされている。
【0055】
ここで、圧縮コイルばね10と調整体11の間に介在する板ばね14は、軸受パッド9の調心機能を負っており、圧縮コイルばね10を図10の状態で上下に挟むようにして対にして設けられているピボット18,18により両端部を支持され、また上述のように調整体11の球面状先端面で中心部を押接支持されている。
【0056】
以上のような弾性的押圧機構Pによる軸受パッドの弾性的支持には2つの機能がある。一つは、軸受パッドの摺接面9aを回転軸の停止時にスリーブの摺接面6aに押接させるようにすることで、潤滑水に含まれる硬い粒子が軸受パッドの摺接面9aとスリーブの摺接面6aとの間に入り込むのを防止する機能である。他の一つは、軸受パッドの摺接面
9aが摩耗するようなことが仮にあった場合に、その摩耗で摺接面9aと摺接面6aの隙間が拡大するのを回避して潤滑用の水膜を形成するのに適した隙間に維持する機能である。
【0057】
このように弾性的押圧機構Pを設けることにより摺接面の摩耗問題に効果的に対処できるようになる。また、軸受パッドの摺接面にカーボン繊維含有PPS樹脂を用いているので、水潤滑という条件で安定した摺動特性が得られる。
【0058】
弾性支持機構Sは、軸受ケース8の下プレート8aと軸受パッドの下端面の間にもうけられたコイルばね19により形成されており、軸受ケースが軸受パッドを弾性的に支持する機能を負っている。このような弾性支持機構Sで軸受パッド9を弾性的に支持させるようにしたことにより、弾性的押圧機構Pにおける圧縮コイルばねによる適切な付勢力をより安定的に軸受パッドに働かせることができるようになる。この結果、軸受パッドの追従性が改善されるとともに、回転軸4の回転中における摺接面6aと摺接面9aの隙間での水膜形成がより安定的になり、したがって、反負荷側の軸受パッドの片当りによる損傷なども効果的に防止できる。なお、コイルばね19は軸受パッドの弾性的支持をより安定的なものとするには2本以上設けるのが好ましい。
【0059】
潤滑水貯水枠体Wは、摺接面6aと摺接面9aの潤滑に用いる水を貯水させるためのもので、それぞれ軸受ケース8に取付けられた内カバー31,外カバー32、および図11における天板部43で桝状に囲って形成され、その上部には潤滑水の飛散を防止する上板33が設けられている。
【0060】
以上説明したように、本発明で製造した軸受パッドを適用した水潤滑パッド型軸受装置であると、安定した摺動特性を提供できる。
【0061】
図11は水潤滑パッド型軸受装置30を適用した水車の断面図である。
図11において、水車は回転軸4と、回転軸4の下部に固定されたランナ41と、ランナ41の上部に配置され、回転軸4を挿通する固定体42と、固定体42に回転軸4を回転自在に支承する本実施例の水潤滑パッド型樹脂軸受装置30とを有している。固定体
42は中空形状をなしており、その天板部43に水潤滑パッド型樹脂軸受装置30を介し回転軸4を支承すると共に、上カバー44と回転軸4間に軸封装置45を設けている。また、固定体42の上カバー44と下カバー46とでケーシング47が形成され、ケーシング47からランナ41に流入する水の流量が、ガイドベーン48によって調整される。ガイドベーン48はケーシング47上に設けられたガイドリング49と連結され、油圧サーボ(図示せず)により駆動される。そして、水潤滑パッド型樹脂軸受装置30は、大別すると、スリーブ6と、軸受ケース8と、軸受パッド9と、弾性的押圧機構Pと、弾性支持機構Sとを備えている。
【0062】
このように水潤滑パッド型軸受装置を搭載しているので、河川汚染の心配が全くなく、環境に優しい水車が達成できる。また、水潤滑方式であるため、従来軸受のように潤滑油の定期的交換が不要となり、保守費用が節約できる。
【0063】
以上のごとく、本発明では水潤滑パッド型軸受装置を構成している軸受パッドを、摺接面に樹脂材料を用い、樹脂材料を金属ケースより摺動面側に数ミリ突出させるように金属ケースに格納し、かつ、樹脂材料と金属ケースとで形成される隙間には接着剤(常温硬化型)を充満し、樹脂材料と金属ケースが密着固定するようにして製造した。このようにして製造した軸受パッドであると、樹脂材料の突出部と摺接面を除いた残りの部分は金属ケースに格納されているので、金属ケースで補強され樹脂材料の摺接面の変形が防止できる。この結果、軸受パッドの高剛性化が図れ、高荷重支持に対応できる軸受パッドが提供できる。
【0064】
前述のように、樹脂材料と金属ケースとは密着固定されているので、金属ケースの隙間腐食が確実に防止できる。ここで使用している常温硬化型接着剤は水中で使用しても、膨潤が全くないものである。そのため、長期間使用しても軸受パッドの形状に変化がないので、高信頼性化が達成できる。
【0065】
さらに、構成材料の熱膨張係数(充填剤>樹脂材料>金属ケース)の関係を見ると、水温上昇に伴い軸受パッドが膨張しても樹脂材料と金属ケース間では隙間が発生することが防止できる。したがって、潤滑水の温度変化にも対応できることから、水潤滑パッド型軸受装置に適用できる高信頼性の軸受パッドが提供できる。
【0066】
また、樹脂材料の金属ケースに格納されている部分において、樹脂材料と金属ケースとで構成される隙間には常温硬化型接着剤が充満されている。そのため、樹脂材料は金属ケースに密着固定されているのでずれ防止ができ、新たな部材を用いてズレ防止する必要がなくなり、低コスト化に寄与できる。また、樹脂材料のズレ止め機能を充填剤の接着力を期待しているのではないので、長期信頼性が向上する。
【0067】
さらに、充填剤に常温硬化型接着剤を用いているので、軸受パッド製作時加熱処理が不要となるので金属ケースの熱変形の影響を受けることがなく、最終仕上げ加工は樹脂材料の摺接面のみで済み製造費用の低減が図れる。
【0068】
また、上記のように、樹脂材料は摺接面と突出部を除いた部分を金属ケースで囲っているので、樹脂材料を保護でき、組立,分解作業時の取扱い性が改善でき作業効率が向上する。
【0069】
前述した本発明の好ましい構成によれば、前記樹脂材料が水環境下で膨潤(吸水して膨れる現象)がなく、高耐摩耗性を有する炭素繊維を含有したPPS(ポリフェニレンサルファイド)で構成されているので、長期使用に対する摺接面の経時変化が防止でき、運転初期から継続して信頼性の高い状態を維持することができる。
【0070】
このような軸受パッドであると、樹脂材料の突出部と摺接面を除いた残りの部分は金属ケースに格納されているので、金属ケースで補強され樹脂材料の摺接面の変形が防止できる。この結果、軸受パッドの高剛性化が図れ、高荷重支持に対応できる軸受パッドとして使用できる。また、樹脂材料の金属ケースに格納されている部分において、樹脂材料と金属ケースとで構成される隙間には常温硬化型接着剤が充填されている。そのため、樹脂材料は金属ケースに密着固定されているのでずれ防止ができ、新たな部材を用いてズレ防止する必要がなくなり、低コスト化に寄与できる。前述のように、樹脂材料と金属ケースとは密着固定されているので、金属ケースの隙間腐食が確実に防止できる。試験結果から、摺接面にカーボン繊維含有PPS樹脂は膨潤がほとんど無いことが確認できた。また、常温硬化型接着剤の膨潤が全くないものである。そのため、長期間使用しても軸受パッドの形状に変化がないので、高信頼性化が達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の実施例1に係る軸受パッドの斜視図である。
【図2】本発明の実施例2に係る軸受パッドの斜視図である。
【図3】本発明の実施例3に係る軸受パッドの斜視図である。
【図4】本発明の実施例4に係る軸受パッドの斜視図である。
【図5】本発明の実施例5に係る軸受パッドの斜視図である。
【図6】本発明の実施例6に係る軸受パッドの斜視図である。
【図7】本発明の樹脂材料の水潤滑下での膨潤特性を示すグラフ図である。
【図8】本発明の水潤滑下での起動停止繰返し時の耐摩耗性を示すグラフ図である。
【図9】本発明の樹脂材料の剛性特性を示すグラフ図である。
【図10】本発明の水潤滑パッド型軸受装置を示す断面図である。
【図11】本発明の水潤滑パッド型軸受装置を搭載した水車を示す断面図である。
【符号の説明】
【0072】
1…円弧形樹脂片、2…金属ケース、2a…溝、9…軸受パッド、21,24,25…プレート、22,23…サポート、26…金属枠、4…回転軸、6…スリーブ、8…軸受ケース、P…弾性的押圧機構、S…弾性支持機構、W…潤滑水貯水枠体、10…圧縮コイルばね、11…調整体、12…対向壁、14…板ばね、19…コイルばね、31…内カバー、32…外カバー、33…上板、41…ランナ、42…固定体、43…天板部、44…上カバー、46…下カバー、47…ケーシング。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転機械の回転軸を支持する水潤滑パッド型軸受装置において、前記軸受パッドは摺接面に樹脂材料を用い、この樹脂材料を金属ケースより摺接面側に数ミリ突出させて金属ケースに格納し、前記樹脂材料と金属ケースとで形成される隙間に接着剤を充満させてなることを特徴とする水潤滑パッド型軸受装置。
【請求項2】
請求項1記載の水潤滑パッド型軸受装置において、
前記金属ケースからの樹脂材料の突出量を2mm以下とし、前記樹脂材料の外周面曲率半径Rと対向面である金属ケース内周側曲率半径rとの関係をR≦rに設定したことを特徴とする水潤滑パッド型軸受装置。
【請求項3】
請求項1若しくは2のいずれかに記載の水潤滑パッド型軸受装置において、
前記樹脂材料はカーボン繊維含有ポリフェニレンサルファイド樹脂で形成されていることを特徴とする水潤滑パッド型軸受装置。
【請求項4】
軸受装置で支承された回転軸を有する水車において、前記軸受装置として請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の水潤滑パッド型軸受装置が用いられていることを特徴とする水車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−247478(P2007−247478A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−70136(P2006−70136)
【出願日】平成18年3月15日(2006.3.15)
【出願人】(000233044)株式会社日立エンジニアリング・アンド・サービス (276)
【Fターム(参考)】