説明

水盤、灌水装置、屋上緑化装置及び給水方法

【課題】水やりの手間の掛からない灌水装置、屋上緑化装置及び給水方法の提供。
【解決手段】鉢台付き水盤3と植木鉢9とで水盤付植木鉢10を構成し、吸上部材9bを取り付ける。複数の水盤付植木鉢10を適宜間隔を空けて並べ水盤3の間を連結樋4で連結する。植木鉢9の底面9cを連結樋4より低い位置とし、最上流に位置する水盤3に水を給水するためのバルブを設け、最下流に位置する水盤3に水位センサ12を取り付けた屋上緑化装置10及び給水方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の目的は、その上に植木鉢を載せて水を供給する水盤、複数の水盤と連結樋の組み合わせからなる灌水装置、灌水装置に植物を植えた植木鉢を載せてなる屋上緑化装置さらには水盤への給水方法に関し、自動的に植物に水やりすることを可能にすることにより、建物の屋上を緑化することに適した装置を得ることにある。
【背景技術】
【0002】
都市部の温度が高くなるヒートアイランド現象の緩和や、屋上の断熱性を高めることによる冷暖房に掛かるエネルギの減少や、光合成によるCO2の削減など大気の浄化及び目の疲れを癒し精神的な安らぎを得るなどの目的で建物の屋上緑化が進められている。
しかし建物の屋上を緑化するときに、多年草を植えた場合は秋から冬にかけて枯れた葉を刈り取って春に新芽が出るようにする手間が掛かり、木を植えた場合は枯れ葉の処理や剪定の手間が掛かり、さらには水やりの負担が大きい問題があった。
従来の屋上緑化装置には上部コンテナと下部コンテナを積み重ねた栽培コンテナを並べ、連結管によって接続連通するものがあった(例えば、特許文献1参照)、しかし前記発明は広いスペースを栽培コンテナで埋め尽くす発明であるので、枯れた葉を刈り取ったり、落ち葉を集めたり、木を剪定したり、植物を植え替えるときなどに、栽培コンテナの上に人が乗って歩かなければならない問題があった。
人が乗るためには栽培コンテナの強度を高くしなければならず、強度を高くするために栽培コンテナの重量が重くなり、積載重量の軽量化が求められる建物の屋上に設置することは困難となる問題があった。
また前記発明は下部コンテナの側面を連結管が貫通する構成で取り付けてあるので、組み付けや分解に手間と時間が掛かるだけでなく、周りを複数の栽培コンテナに囲まれた栽培コンテナが破損した場合に、破損した栽培コンテナだけを抜き取って交換することができない問題があった。
また前記発明は連結管より上に植物を植える上部コンテナの下面を位置させているので、下部コンテナに給水した水は直接上部コンテナの土壌に供給されることがない問題があった。もちろん毛細管現象により吸上部材を通って下部コンテナの水は上部コンテナに供給されるが、夏の暑い盛りに植物に十分な水を供給することができない問題があった。
さらに前記発明は使用する栽培コンテナの形状や色彩について、個人の趣味や好みに合わせることが困難となる問題を有していた。人の目の疲れを癒し精神的な安らぎを得ることのできる屋上緑化装置とするためには、実際に接する人達の好みに合わせて自由に植木鉢や植物を選ぶことを可能にすることが求められる。
【特許文献1】特開平11− 98929号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は上記した従来技術の欠点をなくすためになされたもので、その目的とするところは、水やりの手間の掛からない灌水装置、屋上緑化装置及び給水方法を提供することにある。
また水盤の上に植物を植えた植木鉢を積載して水盤付植木鉢を構成し、水盤付植木鉢を互いに適宜隙間を設けて置くことにより、灌水装置や屋上緑化装置の上に乗らずに植物の間を人が歩くことができるようにして、高い強度を要さず軽量で安価な屋上緑化装置を提供することにある。
また複数の水盤の間を取り付け取り外し容易な連結樋により結合することにより、組み付けや分解に手間や時間が掛からず、周りを複数の水盤付植木鉢に囲まれた水盤付植木鉢が破損した場合にも、破損した水盤付植木鉢だけを抜き取って交換することが容易な屋上緑化装置を提供することにある。
また毛細管現象により吸上材や吸上部材を通って植木鉢に水を供給するだけではなく、給水時には水盤に給水した水に植木鉢の底面が直接浸るようにして、十分な水を植物に供給することのできる屋上緑化装置を提供することにある。
また水盤の上に積載する植木鉢の形状や色彩さらには植木鉢に植える植物の種類について、屋上緑化装置を設置する人や、実際に植物を見て目の疲れを癒し精神的な安らぎを得る人達が、それぞれの好みに合わせて自由に選択することのできる屋上緑化装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
水盤と植物を植えた植木鉢とで水盤付植木鉢を構成し、鉢足部を有する植木鉢又は鉢台を有する水盤を使用することにより水盤の底板からその底面を浮かせて植木鉢を載せるようにする。そして鉢足部の空洞に詰めた吸上材又は植木鉢の底面から水盤の底まで垂らした吸上部材により、毛細管現象を利用して水盤の水を植木鉢の土壌まで吸い上げるようにする。
また複数の水盤付植木鉢を適宜間隔を空けて並べ水盤の間を連結樋で連結する。水盤の壁板に上方を開放した切欠部を設け、壁板の切欠部に連結樋の端部を挿入して連結するが、このとき切欠部又は連結樋のいずれか片方に凹部を設け他方に凸部を設けて、凹部に凸部をはめ込む構成とする。このとき水盤に給水した水が植木鉢の底面を浸した後に連結樋を通って下流に流れるよう構成することが好ましい。
また上記した水盤と、上記した複数組の水盤と連結樋の組み合わせを並べて、最上流に位置する水盤に水を給水するためのバルブを設け、さらに最下流に位置する水盤に水位センサを取り付けた灌水装置とする。
また上記した灌水装置のそれぞれの水盤に植物を植えた植木鉢を積載し、それぞれ上記した水盤付植木鉢を構成するようにしてなる屋上緑化装置とする。
さらに水位センサが水を検知する信号がOFFになることを起点として所定時間後にバルブを開いて給水し、給水後に水位センサが水を検知する信号がONになることを起点として直ちに又は所定時間後にバルブを閉じて止水する給水方法とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明により、水やりの手間の掛からない灌水装置、屋上緑化装置及び給水方法を提供することができた。
また装置の上に乗らずに植物の間を人が歩くことのできる屋上緑化装置としたので、高い強度を要さず軽量で安価な屋上緑化装置を提供することができた。
また複数の水盤の間に取り付け取り外し容易な連結樋を取り付けて結合したので、組み付けや分解に手間や時間が掛からず、周りを複数の水盤付植木鉢に囲まれた水盤付植木鉢が破損した場合にも、破損した水盤付植木鉢だけを抜き取って交換することのできる屋上緑化装置を提供することができた。
また毛細管現象により吸上材又は吸上部材を通って植木鉢に水を供給するだけではなく、給水時には水盤の水に植木鉢の底面が浸るようにしたので、水盤に水が無くなって所定時間経過後毎に十分な水を植物に供給することのできる屋上緑化装置を提供することができた。
また水盤の上に積載する植木鉢の形状や色彩さらには植木鉢に植える植物について、屋上緑化装置を設置する人や、実際に植物を見て目の疲れを癒し精神的な安らぎを得る人達が、それぞれの好みに合わせて自由に選択することのできる屋上緑化装置を提供することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
底板と壁板を有する上方を開放した水盤であって、底板から適宜離れた高さの位置において連結樋を取り付けるための切欠部を壁板に設けた水盤とする。
水盤の材料としては合成樹脂が好ましい、安価で軽量な水盤とするためである。コストを問題としないで軽量化のみを問題とする顧客に対しては、いわゆるファインセラミックスやアルミ合金を使用すると豪華な水盤となるため好ましい。水盤の平面視の形状は正方形、長方形、円形及び楕円形など考えられる。
連結樋の取り付け取り外しを容易にするため切欠部は上方を開放したものとすることが好ましい。最上流や最下流に置く水盤など他の水盤と1方向にのみ連結する場合もあれば、他の水盤と2方法、3方向さらには4方向の水盤と連結する場合があるので、水盤を置く位置関係により1〜4個の切欠部を設けることが好ましい。
鉢台のない水盤においては鉢足部を有する植木鉢を積載して、植木鉢の底面を水盤の底板から浮かせるようにする。切欠部の最下面の高さは積載する植木鉢の鉢足部の高さと同じ又はより高い位置として、水盤に水を給水したときに植木鉢の底面が水に浸るまで水盤に水を溜めた後に、切欠部を通って流出するように構成することが好ましい。
また底板と壁板を有する上方を開放した水盤であって、底板から適宜離れた高さの位置において植木鉢を積載可能な鉢台を設け、連結樋を取り付けるための切欠部を壁板に設けた水盤とする。
底板から植木鉢を浮かせて載せる構成にしたのは、給水時に植木鉢の底面を水に浸して十分に水を植物に与えた後は、毛細管現象により吸い上げる水だけを植物に与えるようにして水の消費を押さえると共に、植物への水のやりすぎを防ぐためである。
また上記した鉢台を有する水盤であって、切欠部の最下面の高さを鉢台の上面と同一の高さ又は鉢台の上面より高い位置に構成した水盤とする。
鉢台の上面に対して切欠部の最下面の位置を同一又は高い位置にしたのは、水盤に水を給水したときに植木鉢の底面が水に浸るまで水盤に水を貯めた後に、切欠部を通って流出するように構成したものである。
また上記した鉢台を有する水盤であって、鉢台の上面に対して切欠部の最下面の位置を1〜15mm高い位置とした水盤とする。この程度の高さの差を設ければ植木鉢の底面の下に高台がある場合であっても底面を水に浸すことが可能であり、過度に水に浸けることも好ましくないからである。
上記したいずれかの水盤であって、切欠部の形状が下方が尖ったV形、下方が円弧の半円弧形又は台形を逆さにした逆さ台形のいずれかである水盤とする。このように上側が広く下側が狭い形状とすると連結樋を挿入することが容易であり、単純な断面形状なため製作も容易だからである。
【0007】
上記したいずれかに記載した水盤と、水盤同士の間を連結して水を流すための連結樋の組み合わせであって、水盤の切欠部に連結樋の端部を挿入することにより水盤と連結樋を結合するものとし、水盤の切欠面に設けた凹部に連結樋に設けた凸部をはめ込む構成、又は水盤の切欠部の壁板を凸部として連結樋に設けた凹部にはめ込む構成のいずれかの構成とした水盤と連結樋の組み合わせとする。
連結樋の材料としては合成樹脂が好ましい、安価で軽量な水盤とするためである。コストを問題としないで軽量化のみを問題とする顧客に対しては、ファインセラミックスやアルミ合金などを使用すると豪華な連結樋となるため好ましい。
連結樋の断面形状は水盤の切欠部の形状に合わせた外形を有するものとする。例えば切欠部の形状がV形、半円弧形、逆さ台形であれば連結樋の外形もV形、半円固形、逆さ台形の形状を有するものとする。連結樋は上方を開放してもよいし、上方を塞いで筒状の連結樋としてもよい。
凹部に凸部をはめ込む構成にしたのは、切欠部の面と連結樋の外面の間に生じる隙間にラビリンスを設けて水漏れを防止すると共に、水盤と連結樋との間に水平方向の相対的な位置ずれが起きないように互いに固定するためである。
上記したいずれかに記載した水盤と、複数組の上記した水盤と連結樋の組み合わせからなる灌水装置であって、最上流に位置する水盤に水を給水するためのバルブを設け、最下流に位置する水盤に水位センサを取り付けた灌水装置とする。
バルブは所定の信号に従って自動的に作動して最上流に位置する水盤に水を給水したり止水したりするもので、水位センサは最下流に位置する水盤の水が無くなったこと及び給水した水が最下流に位置する水盤に届いたことを検知するためのものである。鉢台がない場合は使用する植木鉢の底面より下とし、鉢台がある場合は鉢台より下とし、それぞれ水盤の底板に近い位置に水位センサ取り付けると、水が無くなった時点を正確に把握できるので好ましい。
上記した灌水装置において、鉢台を有さない水盤を使用し、水盤に植物を植えた植木鉢を積載し、植木鉢にはその底面を水盤の底板から浮かすための鉢足部を設ける。
そして鉢足部はその中に空洞を有するものとして、空洞に水を吸い上げるための吸上材を入れ、空洞に水盤の水を通水する通水穴と、空洞から水を植木鉢の土壌に供給する吸水穴とを設けた屋上緑化装置とする。
又は植木鉢の底面に水盤の水を吸い上げるための吸上部材を設けてなる屋上緑化装置とする。
さらに上記した灌水装置において、鉢台を有する水盤を使用し、鉢台の上に植物を植えた植木鉢を積載し、植木鉢の下部には水盤の水を吸い上げるための吸上部材を設けてなる屋上緑化装置とする。
本発明では植木鉢の形状やサイズについてこだわるものでなく、水盤の中に収まるものであればどんなものでも構わない。植木鉢の材料としては合成樹脂が好ましい、安価で軽量な水盤とするためである。コストを問題としないで軽量化のみを問題とする顧客に対しては、ファインセラミックスやアルミ合金などを使用すると豪華な植木鉢となるため好ましい。
植物としては風知草、擬宝珠、葉蘭などの多年草やツツジやサツキなどの木を植えることが考えられる。特に風知草は葉が茂って日陰を作り、茎がしなやかで風になびいて倒れないことから屋上緑化に適している。
吸上材としては砂、砂利、合成樹脂の粉粒体やこれらの混合物など好ましく、吸上部材としては織布、不織布、スポンジなど好ましく、いずれも毛細現象により水を吸い上げるものであればその材質や組織や形状についてこだわるものではない。
【0008】
また上記した灌水装置又は屋上緑化装置に使用する、水盤に水を供給するための給水方法であって、水位センサが水を検知する信号がOFFになることによりタイマ1を作動させるステップと、タイマ1がタイムアップした信号によりバルブを開いて給水するステップと、給水後に水位センサが水を検知する信号がONになることによりバルブを閉じて止水するステップとを有する給水方法とする。
本発明は上記した灌水装置や屋上緑化装置を制御する方法に関するものである。最下流にある水位センサが水を検知しなくなってタイマー1に設定した時間経過後にバルブを開いて最上流の水盤に給水を始めるようにしたのは、水盤の水が無くなってすぐに給水する必要はなく、一度水盤の中を乾燥させてぼうふらなどの発生を防いだ後に水を供給するためである。タイマの設定時間は短くて30分長くて12時間程度とすることが好ましい。
また時計機能を有する制御装置として、夕方から翌日の朝までの間の適当な時刻に給水を行い、日中の給水を避けるように構成するとさらに好ましい。
給水を始めた後に最下流にある水位センサが水を検知した時点でバルブを閉じて止水するようにした本発明は、最上流の水盤から最下流の水盤までの間に多数の水盤がある場合であって、最下流の水盤に水が届いた時点でバルブを閉じても、流域に流れる水が十分あって、最下流の水盤に必要な量の水が確保できる場合に適している。
さらに上記した灌水装置又は屋上緑化装置に使用する、水盤に水を供給するための給水方法であって、水位センサが水を検知する信号がOFFになることによりタイマ1を作動させるステップと、タイマ1がタイムアップした信号によりバルブを開いて給水するステップと、給水後に水位センサが水を検知する信号がONになることによりタイマ2を作動させるステップと、タイマ2がタイムアップした信号によりバルブを閉じて止水するステップとを有する給水方法とする。
上記した給水方法の発明に対し、本発明はタイマ2を使用し、給水後に最下流にある水位センサが水を検知してからタイマ2に設定した時間経過後にバルブを閉じる点で異なる。重複した記載を避け異なる点について述べる。
本発明は最上流の水盤から最下流の水盤までの間の水盤の数が少なく、タイマ2に設定した時間給水を続けなければ最下流にある水盤に十分な水が供給できない場合に適している。タイマ2の設定時間は数秒から最大10分程度でよい。
【実施例1】
【0009】
以下実施例1を図1及び図3に示して説明する。実施例1は、底板3dと4枚の壁板3aとからなる上方を開放した平面視で正方形の形状を有する水盤3と、上方を開放した断面V形の外形を有する連結樋4の組み合わせ及び水盤付植木鉢10である。
水盤3には4個の鉢台3eと3個の上方を開放したV形の切欠部3bを設け、さらに切欠部3bの上面にはそれぞれ溝の凹部3cを設けた。
実施例1では平面視における正方形の水盤3の一辺の長さAを240mmとし、底板3dの下面から鉢台3eの上面までの高さCを30mmとし、鉢台3eの上面から切欠部3bの最下面までの高さDを10mmとし、切欠部3bの最下面から壁板3aの上面までの高さEを20mmとした。この結果水盤の全高は60mmとなった。
連結樋4は細長い樋であって、切欠部3bと同じ外形寸法の断面を有するものとし、両端にV字形状を有するフランジ形の凸部4aを設けた。連結樋4の全長は268mmとして、両端の凸部4aをそれぞれ水盤3の凹部3cにはめ込んで取り付けると、水盤3の中心間距離Bが500mmになるようにした。
水盤3の鉢台3eの上には風知草8を植えた植木鉢9を載せて水盤付植木鉢10を構成した。植木鉢9の中の土壌9aに片方の端部を挿入させて不織布からなる吸上部材9bを取り付け、吸上部材9bの他方の端部が水盤3の底板3dに接触するようにした。
図3では左側が上流の水盤3で右側が最下流の水盤3である。最下流の水盤3には水位センサ12を取り付け、水位センサ12の検知部が底板3dの近傍に位置するように配置した。
図3の左側の水盤3に上流側の連結樋から水を供給すると、まず水は底板3dと植木鉢9の底面9cとの間に溜まり、植木鉢9の底面9c及び土壌9aの最下部が水に浸った後に、下流側の連結樋4を通って右側の水盤3に水が流れる。
右側の水盤3は最下流の水盤3であるので、水位センサ12が水を検知すると最下流の水盤3に水が届いたことになる。
実施例1では水盤3の凹部3cに連結樋4の凸部4aをはめ込んで取り付けたので、切欠部3bと連結樋4の間にラビリンスを設けて水漏れを防止すると共に、水盤3と連結樋4との間に水平方向の相対的な位置ずれが起きないよう互いに固定することができた。
【実施例2】
【0010】
次に実施例2について図2に示し説明する。実施例2は底板5dと4枚の壁板5aとからなる上方を開放した平面視で正方形の形状を有する水盤5と、上方を開放した断面半円弧形の外形を有する連結樋6の組み合わせである。
実施例1とは切欠部5bの形状と数、連結樋の断面形状、ラビリンスを構成する凸部5cと凹部6cの構成が異なるだけである、重複した記載を避けて異なる部分について記載する。
水盤5は底板5dと4枚の壁板5aと4個の鉢台5eを有するものとし、壁板5aの2カ所には上方を開放した半円弧形の切欠部5bを設け、切欠部5bの外縁の部分を凸部5cとした。
連結樋6は細長い樋であって、切欠部5bと同じ外形寸法の断面を有するものとし、両端部に半円形状のフランジ6a、6bを設けて、2個のフランジ6a、6bの間の空間を凹部6cとした。
連結樋6の両端部の凹部6cを水盤5の凸部5cにはめ込んで取り付けると、切欠部5bと連結樋6の間にラビリンスを設けて水漏れを防止すると共に、水盤5と連結樋6との間に水平方向の相対的な位置ずれが起きないよう互いに固定することができた。
【実施例3】
【0011】
続いて実施例3について図4に示し説明する。陸屋根と呼ばれる一般的な建物の屋上は1/100〜2/100の勾配が設けてあり、図4では左側が上流で右側が下流になるように配置してある。実施例3は左から右に20個の水盤3を一列に並べてなる灌水装置1aと、灌水装置1aを7列平行に並べ水盤3に植木鉢9を積載してなる屋上緑化装置1の実施例である。
各灌水装置1aの最上流の水盤3に水を給水したり止水するためのバルブ11をそれぞれ取り付け、水盤3の間には連結樋4を取り付け、最下流にある水盤3には水位センサ12をそれぞれ取り付けた。
また各水盤3に、風知草8などの多年草を植えた植木鉢9であって吸上部材9bを取り付けた植木鉢9を置き、それぞれを水盤付植木鉢10とすることにより屋上緑化装置1を構成した。
実施例3の灌水装置1aでは最下流の水盤3に水がある間は、水位センサ12で水を検知してバルブ11は閉じて止水する。最下流の水盤3の水が無くなると水位センサ12が水を検知する信号がOFFになりタイマ1が作動する。
実施例3ではタイマ1の設定時間である6時間経過後にタイマ1はタイムアップする。タイマ1がタイムアップした信号によりバルブ11を開いて給水を開始する。水は上流から各水盤3毎にそれぞれ満水にした後に下流に流れて最後に最下流の水盤3に達する。
水位センサ12が水を検知する信号がONになると直ちにバルブを閉じて止水する。実施例3では最上流の水盤3から最下流の水盤3までの水盤3の数が多く、水が流れる流域の長さが長いので、水位センサ12が水を検知して直ちにバルブを閉じても、最下流にある水盤3に必要な水量は供給されていて既に流域途中を流れているからである。
【実施例4】
【0012】
さらに実施例4について図5に示し説明する。図5では左側が上流で右側が下流になるように配置してある。実施例4は横に5列縦に4列にして合計20個の水盤3を並べてなる灌水装置2aと、灌水装置2aの水盤3に植木鉢9を積載してなる屋上緑化装置2の実施例である。
最上流の水盤3に水を給水したり止水するためのバルブ11を取り付け、水盤3の間には連結樋4を取り付け、最下流にある水盤3には水位センサ12を取り付けた。一番左上の水盤に水を供給したときに、本実施例では一番右下の水盤に最後に水が流れたが、屋上の水平方向と傾斜方向の関係は建物によって異なるので、一度水を流してどの水盤に最後に水が到着するか確認することが好ましい。
また各水盤3に、風知草8などの多年草を植えた植木鉢9であって吸上部材9bを取り付けた植木鉢9を置き、それぞれを水盤付植木鉢10とすることにより屋上緑化装置2を構成した。
実施例4の灌水装置2aでは最下流の水盤3に水がある間は、水位センサ12で水を検知してバルブ11は閉じて止水する。最下流の水盤3の水が無くなると水位センサ12が水を検知する信号がOFFになりタイマ1が作動する。
実施例4ではタイマ1の設定時間である6時間経過後にタイマ1はタイムアップするが、実施例4の制御装置には時計機能が内蔵されており、タイマ1のタイムアップした後であっても朝の10時から夕方の4時までの間(以下単に「給水停止時間」という。)は給水しないように設定されている。
このため給水停止時間外であればタイマ1がタイムアップした信号によりバルブ11を開いて給水を開始するが、給水停止時間内にタイマ1がタイムアップした場合は夕方の4時になってからバルブ11を開いて給水を開始する。水は上流から各水盤3をそれぞれ満水にした後に下流の水盤3に流れて最後に最下流の水盤3に達する。
水位センサ12が水を検知する信号がONになるとタイマ2が作動する。実施例4ではタイマ2は1分に設定されており、タイマ2がタイムアップした信号によりバルブ11を閉じて止水する。
実施例4では最上流の水盤3から最下流の水盤3までの水盤3の数が少なく、水が流れる流域の長さが短いので、水位センサ12が水を検知して直ちにバルブを閉じると、最下流にある水盤3に必要な水量が供給されないため、タイマ2に設定した時間だけ給水するものである。
【実施例5】
【0013】
さらに他の水盤付植木鉢15である実施例5について図6に示し説明する。実施例5は、底板16dと4枚の壁板16aとからなる上方を開放した平面視で正方形の形状を有する水盤16と、上方を開放した断面V形の外形を有する連結樋4の組み合わせ及び水盤付植木鉢15である。
水盤16の壁板16aには上方を開放したV形の切欠部16bを設け、さらに切欠部16bの上面にはそれぞれ溝の凹部16cを設けた。
連結樋4は細長い樋であって、切欠部16bと同じ外形寸法の断面を有するものとし、両端にV字形状を有するフランジ形の凸部4aを設けた。連結樋4の凸部4aをそれぞれ水盤16の凹部16cにはめ込んで取り付けた。
水盤16の底板16dの上には風知草8を植えた植木鉢7を載せて水盤付植木鉢15を構成した。植木鉢の底面7fの下には空洞を有する鉢足部7cを設け、空洞と外気とを導通する通水穴7eと空洞と植木鉢の土壌7aの下部とを導通する吸水穴7dを明けておき、鉢足部7cの空洞の中に吸上材7bとして砂利と砂を詰めた。
図6では左側が上流の水盤16で右側が最下流の水盤16である。最下流の水盤16には水位センサ12を取り付け、水位センサ12の検知部が底板16dの近傍に位置するように配置した。
図6の左側の水盤16に上流側の連結樋から水を供給すると、まず水は底板16dと植木鉢7の底面7fとの間に溜まり、底面7f及び土壌7aの最下部が水に浸った後に、下流側の連結樋4を通って右側の水盤16に水が流れる。
右側の水盤16は最下流の水盤16であるので、水位センサ12が水を検知すると最下流の水盤16に水が届いたことになる。
水盤16の水は通水穴7eを通って吸上材7bにしみ込み、毛細管現象によって吸い上げられ、吸水穴7dを通って土壌7aに供給される。
実施例5では水盤16の凹部16cに連結樋4の凸部4aをはめ込んで取り付けたので、切欠部16bと連結樋4の間にラビリンスを設けて水漏れを防止すると共に、水盤16と連結樋4との間に水平方向の相対的な位置ずれが起きないよう互いに固定することができた。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明は、植木屋、花屋、庭師などの緑化サービスを行う産業や建築産業だけでなく、屋上緑化装置の製造販売を行う製造産業や、所有する建物の屋上緑化を求める行政や事業所など全ての産業で利用される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例1の水盤と連結樋の斜視図である。
【図2】実施例2の水盤と連結樋の斜視図である。
【図3】水盤付植木鉢を並べた状態の正面視の一部を表した断面図である。
【図4】実施例3の屋上緑化装置の平面図である。
【図5】実施例4の屋上緑化装置の平面図である。
【図6】水盤付植木鉢を並べた状態の正面視の一部を表した断面図である。
【符号の説明】
【0016】
1 :屋上緑化装置 1a:灌水装置 2 :屋上緑化装置
2a:灌水装置 3 :水盤 3a:壁板
3b:切欠部 3c:凹部 3d:底板
3e:鉢台 4 :連結樋 4a:凸部
5 :水盤 5a:壁板 5b:切欠部
5c:凸部 5d:底板 5e:鉢台
6 :連結樋 6a:フランジ 6b:フランジ
6c:凹部 7 :植木鉢 7a:土壌
7b:吸上材 7c:鉢足部 7d:吸水穴
7e:通水穴 7f:底面 8 :風知草
9 :植木鉢 9a:土壌 9b:吸上部材
9c:底面 10 :水盤付植木鉢 11 :バルブ
12 :水位センサ 15 :水盤付植木鉢 16 :水盤
16a:壁板 16b:切欠部 16c:凹部
16d:底板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板と壁板を有する上方を開放した水盤であって、前記底板から適宜離れた高さの位置において連結樋を取り付けるための切欠部を前記壁板に設けたことを特徴とする水盤。
【請求項2】
底板と壁板を有する上方を開放した水盤であって、前記底板から適宜離れた高さの位置において植木鉢を積載可能な鉢台を設け、連結樋を取り付けるための切欠部を前記壁板に設けたことを特徴とする水盤。
【請求項3】
請求項2に記載した水盤であって、鉢台の上面に対して切欠部の最下面の位置を1〜15mm高い位置としたことを特徴とする水盤。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載した水盤であって、切欠部の形状がV形の溝、半円弧形の溝又は逆さ台形の溝のいずれかであることを特徴とする水盤。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載した水盤と、前記水盤同士の間を連結して水を流すための連結樋の組み合わせであって、前記水盤の切欠部に前記連結樋の端部を挿入することにより前記水盤と前記連結樋を結合するものとし、
前記水盤の切欠面に設けた凹部に前記連結樋に設けた凸部をはめ込む構成、又は前記水盤の切欠部の壁板を凸部として前記連結樋に設けた凹部にはめ込む構成のいずれかの構成としたことを特徴とする水盤と連結樋の組み合わせ。
【請求項6】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載した水盤と、複数組の請求項5に記載した水盤と連結樋の組み合わせからなる灌水装置であって、最上流に位置する水盤に水を給水するためのバルブを設け、最下流に位置する水盤に水位センサを取り付けたことを特徴とする灌水装置。
【請求項7】
請求項6に記載した灌水装置において、鉢台を有さない水盤を使用し、前記水盤に植物を植えた植木鉢を積載し、前記植木鉢にはその底面を水盤の底板から浮かすための鉢足部を設け、
前記鉢足部はその中に空洞を有するものとして、前記空洞に水を吸い上げるための吸上材を入れ、前記空洞に水盤の水を通水する通水穴と、前記空洞から水を植木鉢の土壌に供給する吸水穴とを設けたことを特徴とする屋上緑化装置、
又は前記植木鉢の底面に水盤の水を吸い上げるための吸上部材を設けてなることを特徴とする屋上緑化装置。
【請求項8】
請求項6に記載した灌水装置において、鉢台を有する水盤を使用し、前記鉢台の上に植物を植えた植木鉢を積載し、前記植木鉢の底面に水盤の水を吸い上げるための吸上部材を設けてなることを特徴とする屋上緑化装置。
【請求項9】
請求項6に記載した灌水装置、請求項7又は請求項8に記載した屋上緑化装置のいずれかに使用する、水盤に水を供給するための給水方法であって、
水位センサが水を検知する信号がOFFになることによりタイマ1を作動させるステップと、前記タイマ1がタイムアップした信号によりバルブを開いて給水するステップと、給水後に水位センサが水を検知する信号がONになることによりバルブを閉じて止水するステップとを有することを特徴とする給水方法。
【請求項10】
請求項6に記載した灌水装置、請求項7又は請求項8に記載した屋上緑化装置のいずれかに使用する、水盤に水を供給するための給水方法であって、
水位センサが水を検知する信号がOFFになることによりタイマ1を作動させるステップと、前記タイマ1がタイムアップした信号によりバルブを開いて給水するステップと、給水後に水位センサが水を検知する信号がONになることによりタイマ2を作動させるステップと、タイマ2がタイムアップした信号によりバルブを閉じて止水するステップとを有することを特徴とする給水方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−113653(P2008−113653A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−165414(P2007−165414)
【出願日】平成19年6月22日(2007.6.22)
【出願人】(592107680)
【Fターム(参考)】