説明

水硬性成形体の製造方法、水硬性成形体、耐火二層管および耐火二層管用継手

【課題】均一な白色で美観の優れた水硬性成形体を容易に効率よく製造できる水硬性成形体の製造方法を提供する。
【解決手段】カルシウム化合物を含有する水硬性材料と水とを少なくとも含む組成物を混練して混練物とする混錬工程と、前記混練物を成形して未硬化成形体とする成形工程と、前記未硬化成形体を養生して硬化成形体とする養生工程とを備え、前記未硬化成形体の表面を、前記養生工程を開始するまでの間、大気雰囲気下で加温加湿する予備養生工程を行なう水硬性成形体の製造方法とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水硬性成形体の製造方法、水硬性成形体、耐火二層管および耐火二層管用継手に関し、特に、美観の優れた水硬性成形体を容易に効率よく製造できる水硬性成形体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、水硬性成形体は、モルタル(砂(細骨材)含有)やコンクリート(砂利(粗骨材)含有)等のセメント配合物などの水硬性材料に、水を加えて混練した後、成形し、養生することによって製造されている。水硬性成形体の強度は、水硬性材料が水と水和反応して水酸化カルシウムを放出しながら硬化することによって得られる。水和反応によって放出される水酸化カルシウムは、水硬性成形体中に残存する水分が蒸発する際、あるいは一度乾いた成形体中に浸入した外部水が蒸発する際に、成形体表面に溶出する。この成形体表面に溶出した水酸化カルシウムが、水の存在下で空気中の炭酸ガスと反応すると、エフロレッセンスと称されるシミのように見える炭酸カルシウムの白色難水溶性結晶が生成される。エフロレッセンスは、水硬性成形体の美観を損なうものであるため、水硬性成形体を美観が重視される製品として用いる場合には、水硬性成形体の表面を塗装したりエフロレッセンスを除去したりする必要があった。
【0003】
エフロレッセンスを除去する方法としては、エフロレッセンスを溶解除去する方法がある(例えば、特許文献1,特許文献2参照)。また、エフロレッセンスの発生を防止するために、炭酸塩または炭酸水素塩をセメント原料に混合する方法(特許文献3)や、アルカリ金属炭酸塩またはアルカリ金属炭酸水素塩を含有する成形体に二酸化炭素処理を施す方法(特許文献4)などが提案されている。
【特許文献1】特開平8−81289号公報
【特許文献2】特開2005−255771号公報
【特許文献3】特開昭55−75957号公報
【特許文献4】特開平11−246251号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1,2に記載の方法では、エフロレッセンスを溶解除去する工程が必要であるため、製造に要する時間が長くなり、製品の生産性を低下させる要因となることや、コストアップとなるという不都合がある。
また、特許文献3に記載の技術では、エフロレッセンスを十分に防止することができなかった。また、特許文献4に記載の方法では、エフロレッセンスによる白斑を防止することはできるが、二酸化炭素処理を行なう工程が必要であるため、製造に要する時間が長くなり、製品の生産性を低下させる要因となることや、コストアップになるという不都合がある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、均一な白色で美観の優れた水硬性成形体を容易に効率よく製造できる水硬性成形体の製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明の水硬性成形体の製造方法によって得られる均一な白色で美観の優れた水硬性成形体、耐火二層管および耐火二層管用継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明者らは鋭意研究を重ね、未硬化成形体を成形してから養生を開始するまでの間の雰囲気に着目し、未硬化成形体を成形してから養生を開始するまでの間の雰囲気によって、水硬性成形体に発生するエフロレッセンスの状態が異なることを見出した。そして、本発明者らは、成形された未硬化成形体の表面の水分が、養生を開始するまでの間に過剰に蒸発することにより、水硬性成形体の表面にシミのように存在する不均一な炭酸カルシウムの白色難水溶性結晶(エフロレッセンス)が発生するものと考えた。
【0007】
そして、本発明者らは、未硬化成形体を成形してから養生を開始するまでの間の雰囲気について検討を重ねた。その結果、未硬化成形体の表面を加温することにより、未硬化成形体中の水硬性材料と水との水和反応を促進させるとともに、未硬化成形体の表面を加湿することにより、未硬化成形体の表面の水分の蒸発を防止することで、大気中の炭酸ガスと未硬化成形体中に含まれる水酸化カルシウムとによる炭酸カルシウムの生成反応を促進させて、未硬化成形体の表面に均一に十分な量の炭酸カルシウムを析出させることができ、均一な白色で美観に優れた水硬性成形体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は以下に関する。
(1) カルシウム化合物を含有する水硬性材料と水とを少なくとも含む組成物を混練して混練物とする混錬工程と、前記混練物を成形して未硬化成形体とする成形工程と、前記未硬化成形体を養生して硬化成形体とする養生工程とを備え、前記未硬化成形体の表面を、前記養生工程を開始するまでの間、大気雰囲気下で加温加湿する予備養生工程を行なうことを特徴とする水硬性成形体の製造方法。
【0009】
(2) 前記予備養生工程を、前記成形工程を終了してから3分以内に開始することを特徴とする(1)に記載の水硬性成形体の製造方法。
(3) 前記養生工程を、前記予備養生工程を終了してから3分以内に開始することを特徴とする(1)または(2)に記載の水硬性成形体の製造方法。
(4) 前記予備養生工程が、温度35℃〜100℃、相対湿度45%〜100%の大気雰囲気下で、前記未硬化成形体を保管する工程であることを特徴とする(1)乃至(3)のいずれかに記載の水硬性成形体の製造方法。
【0010】
(5) 前記成形工程が、n(nは2以上の整数)個の未硬化成形体を1個目からn個目まで順々に成形する工程であり、前記予備養生工程が、1個目の未硬化成形体を成形してからn個目の未硬化成形体を成形するまでの間、1個目からn−1個目までの未硬化成形体に対して前記成形工程が終了した順に開始する工程であり、前記養生工程が、前記n個の未硬化成形体の全てを同時に養生してn個の硬化成形体とする工程であることを特徴とする(1)乃至(4)のいずれかに記載の水硬性成形体の製造方法。
【0011】
(6) 前記予備養生工程および前記養生工程を行うことによって、前記水硬性成形体の表面に前記水溶性高分子と炭酸カルシウムとからなる白色皮膜を形成することを特徴とする(1)乃至(5)のいずれかに記載の水硬性成形体の製造方法。
【0012】
(7) カルシウム化合物を含有する水硬性材料と水とを少なくとも含む組成物を混練して混練物とする混錬工程と、前記混練物を成形して未硬化成形体とする成形工程と、前記未硬化成形体を養生して硬化成形体とする養生工程とを備え、前記養生工程を、前記成形工程を終了してから3分以内に開始することを特徴とする水硬性成形体の製造方法。
【0013】
(8) 前記養生工程が、2時間〜10時間、温度35℃〜100℃、相対湿度45%〜100%の大気雰囲気下で、前記未硬化成形体を保管する工程であることを特徴とする(1)乃至(7)のいずれかに記載の水硬性成形体の製造方法。
【0014】
(9) 前記組成物が、水溶性高分子を含むことを特徴とする(1)乃至(8)のいずれかにに記載の水硬性成形体の製造方法。
(10) 前記水溶性高分子が、セルロース誘導体であることを特徴とする(9)に記載の水硬性成形体の製造方法。
(11) 前記水溶性高分子の配合量が、水を除く前記組成物100質量部に対して0.3〜10質量部であることを特徴とする(9)または(10)に記載の水硬性成形体の製造方法。
【0015】
(12) 前記水硬性材料が、セメント配合物であることを特徴とする(1)乃至(11)のいずれかに記載の水硬性成形体の製造方法。
【0016】
(13)(1)乃至(12)のいずれかに記載の製造方法により製造された水硬性成形体。
(14)合成樹脂からなる内管と、前記内管の外周に形成された外管とを有する耐火二層管であって、前記外管が、(13)に記載の水硬性成形体からなることを特徴とする耐火二層管。
(15)合成樹脂からなる内管と、前記内管の外周に形成された外管とを有する耐火二層管用継手であって、前記外管が、(13)に記載の水硬性成形体からなることを特徴とする耐火二層管用継手。
【発明の効果】
【0017】
本発明の水硬性成形体の製造方法は、混錬工程と、成形工程と、養生工程とを備え、未硬化成形体の表面を、前記養生工程を開始するまでの間、大気雰囲気下で加温加湿する予備養生工程を行なう方法であるので、未硬化成形体の表面に均一に十分な量の炭酸カルシウムを析出させることができ、均一な白色で美観に優れた水硬性成形体を容易に製造できる。
また、本発明の水硬性成形体の製造方法における予備養生工程は、成形工程において得られた未硬化成形体に対して、養生工程を開始するまでの間に行なう工程であるので、予備養生工程を行なわない場合と比較して、製造に要する時間を長くする必要はなく、効率よく美観の優れた水硬性成形体を製造できる。
【0018】
また、混錬工程と、成形工程と、養生工程とを備え、前記養生工程を、前記成形工程を終了してから3分以内に開始する水硬性成形体の製造方法とした場合にも、未硬化成形体の表面に均一に十分な量の炭酸カルシウムを析出させることができるので、均一な白色で美観に優れた水硬性成形体を容易に製造できる。
また、このような水硬性成形体の製造方法とした場合、製造に要する時間を長くする必要がないので、効率よく美観の優れた水硬性成形体を製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明ついて例を挙げて詳細に説明する。
本実施形態においては、本発明の水硬性成形体の一例として、耐火二層管用継手を例に挙げて説明する。
図1は、本発明の耐火二層管用継手の一例を説明するための図面であって、図1(a)は側面図であり、図1(b)は断面図である。図1に示す耐火二層管用継手1は、図1(a)に示すように側面視略く字型、図1(b)に示すように断面視円形の形状を有しており、図1(a)に示すように、耐火二層管(図示略)と接続される両端部が拡径されている。また、図1に示す耐火二層管用継手1は、図1(b)に示すように、例えば、内径が20mm〜150mmの内管2と、内管2の外周に形成された外管3とからなるものである。内管2は、硬質塩化ビニルなどの合成樹脂からなるものであり、外管3は、本発明の水硬性成形体からなるものである。
【0020】
次に、本発明の水硬性成形体の製造方法の一例として、耐火二層管用継手の製造方法を例に挙げて説明する。
本実施形態の耐火二層管用継手1を製造するには、まず、硬質塩化ビニルなどの合成樹脂を射出成形する方法などによって内管2を形成する。次いで、内管2の外周を覆うように本発明の水硬性成形体からなる外管3を形成する。
本実施形態の耐火二層管用継手1の外管3を形成するには、以下に示す混錬工程と成形工程と予備養生工程と養生工程とを行なう。
【0021】
「混錬工程」
混錬工程においては、カルシウム化合物を含有する水硬性材料と、水溶性高分子と、水とを少なくとも含む組成物を混練して混練物とする。
本発明の水硬性成形体の製造方法において使用することができる水硬性材料は、水で練ったときに硬化する性質を有するカルシウム化合物を含有するものであれば特に限定はなく、一般的なモルタル、コンクリート等のセメント配合物を好ましく用いることができる。ここで用いるセメントとしては、ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、低熱セメント、高炉セメント、フライアッシュセメント、アルミナセメントおよび低収縮セメントなどが挙げられる。
【0022】
本発明において使用される水溶性高分子としては、特に限定されないが、具体的にはメチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体や、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド等が挙げられる。上記の水溶性高分子の中でも、粘性付与、流動調節作用の点で優れているセルロース誘導体を用いることが好ましい。さらに、セルロース誘導体の中でも特に、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロースなどを用いることが好ましい。また、水溶性高分子としてメチルセルロースを用いると、成形体表面に艶のある光沢を有する美観に優れた白色皮膜を形成できるので、特に好ましい。
【0023】
水溶性高分子の配合量は、水を除く組成物(すなわち、水硬性材料と水溶性高分子に加え、後述する珪酸質材料や骨材、補強繊維等を含む)100質量部に対して、0.3〜10質量部とすることが好ましく、0.5〜4質量部とすることがより好ましい。水溶性高分子を上記の範囲の配合量で配合することにより、エフロレッセンスの部分的な発生を効果的に防止できるとともに、光沢性を有する白色を発現させることができ、水硬性成形体の美観をより一層高めることができる。
水溶性高分子の配合量が0.3質量部より少ないと、混練物の粘度が不足して、成形性が悪化する場合がある。また、水溶性高分子の配合量が10質量部を超えると、組成物の硬化不良を起こしたり、混練物の粘度が高くなりすぎて成形しにくくなったりするおそれがある。また、セルロース誘導体は他の原料と比べて高価な材料であるため、水溶性高分子としてセルロース誘導体を用いる場合、水溶性高分子を大量に配合すると高価な水硬性成形体となるため経済的に好ましくない。
【0024】
また、水は組成物中に20〜40質量%含有させることが好ましい。水の含有量が20質量%より少ないと混練物の流動性が不足して、成形性が悪化する場合がある。また、水の含有量が40質量%より多いと混練物の流動性が高くなり過ぎて、成形性が悪化する場合がある。
【0025】
また、組成物中には、上述した水硬性材料と水溶性高分子と水に加えて、必要に応じて珪酸質材料や骨材、補強繊維、成形助剤などの添加剤が含まれていてもよい。
珪酸質材料は、非晶質、結晶質のいずれであっても良く、具体的には珪砂、珪藻土、珪石、石英、珪石を含んだ鉱物、粘土鉱物、砂利、砕石、活性白土などの天然品が挙げられる。また、珪酸質材料は、シリコンダストなどの工業副産物でもよい。組成物中に珪酸質原料を配合することにより、水硬性成形体の強度を高めることができる。また、珪酸質原料の配合量は、水硬性材料100質量部に対して10〜150質量部とされることが好ましい。
【0026】
骨材としては、粗骨材、細骨材、軽量粗骨材、軽量細骨材、軽量骨材などが用いられる。より具体的には、骨材として、砂、石、シラスバルーン、パーライト、発泡ポリエチレンなどを用いることができる。骨材の配合量は、水硬性材料100質量部に対して1〜200質量部とされることが好ましい。
【0027】
補強繊維としては、パルプなどの天然繊維、ガラス繊維、炭素繊維などの無機繊維、ポリプロピレン繊維などの有機繊維など公知の繊維状物質を用いることができる。これらの補強繊維は、単独もしくは2種以上混合して用いても良い。組成物中に補強繊維を配合することにより、水硬性成形体の強度を向上させることができる。また、補強繊維の配合量は、水硬性材料100質量部に対して0.5〜20質量部とされることが好ましい。
【0028】
成形助剤としては、減水剤、膨張剤、凝結剤、凝結遅延剤等、一般に成形助剤として配合される成形助剤が使用できる。
【0029】
「成形工程」
成形工程においては、混錬工程で得られた混練物を成形して所定の形状に賦形された未硬化成形体とする。
本実施形態においては、混練物の賦形の方法として、金型打設法を用いる。金型としては、耐火二層管用継手1の内管2を保持することができ、内管2の外周を覆う形状を有するものを用いる。このような金型内に、混練物を注入し、例えば、圧力30kgf/mm、温度95℃で数秒加圧して、脱型することにより、内管2の外周に図1に示す外管3の形状を有する未硬化成形体を成形する。
【0030】
成形工程において加圧成型を行うと、図2に示すように混錬物5の内部に含有されていた水分4が、図3に示すように未硬化成形体の表面に浸み出して来る。混錬工程において十分な混練りを行って得られた混錬物は、水硬性材料と水との水和反応が進行している。したがって、成形工程において未硬化成形体から浸み出して来た水分4中には、混練物の原料に起因するCaイオンやOHイオン、Siイオンの他、水溶性高分子や添加剤に起因する有機物等々が溶存している。また、成形工程において未硬化成形体から浸み出して来た水分4中には、空気中の炭酸ガスが溶解するため、炭酸イオンも含まれている。
【0031】
「予備養生工程」
予備養生工程においては、成形工程で得られた未硬化成形体の表面を、養生工程を開始するまでの間、大気雰囲気下で加温加湿する。
【0032】
ここで、本実施形態の水硬性成形体の表面が白色となる原理について説明する。成形された未硬化成形体は、表面における大気(空気)との接触により、成形工程において未硬化成形体の表面から浸み出して来た図3に示す水分4が蒸発して乾燥していく。このような表面の乾燥に伴って、未硬化成形体の表面には、大気中の炭酸ガスと未硬化成形体中の水酸化カルシウムとによって生成される炭酸カルシウムなどの塩類の結晶が析出する。未硬化成形体には水溶性高分子が含まれているので、未硬化成形体の表面には、図4に示すように、表面に析出した炭酸カルシウム(エフロレッセンス)と水溶性高分子とからなるコンパウンド被膜6が形成される。炭酸カルシウムは白色であるため、未硬化成形体の表面に形成された炭酸カルシウムと水溶性高分子とのコンパウンド被膜6は白色となり、水硬性成形体の表面が白色となる。なお、水溶性高分子がメチルセルロースであると、コンパウンド被膜6が艶のある光沢を有するものとなるため、より美観に優れた白色皮膜となる。
【0033】
しかし、水硬性成形体の表面の乾燥速度が速いと、未硬化成形体の表面に浸み出した水分中への空気中の炭酸ガスの溶解が少なくなるため、大気中の炭酸ガスと未硬化成形体中の水酸化カルシウムとによって生成される炭酸カルシウムの量が少なくなり、未硬化成形体の表面に析出する炭酸カルシウムの量が僅かとなる。
また、成形された未硬化成形体では、未硬化成形体中の水硬性材料と水との水和反応が生じているが、この水和反応が遅いと、水和反応による水酸化カルシウムの放出量が少なくなり、未硬化成形体の表面から浸み出して来る水酸化カルシウムの量が不十分となるので、大気中の炭酸ガスと未硬化成形体中の水酸化カルシウムとによって生成される炭酸カルシウムの量が少なくなる。
【0034】
未硬化成形体の表面に析出する炭酸カルシウムの量が不十分であると、水硬性成形体の表面が不均一な白色となるため、優れた美観が得られない。また、水硬性成形体の表面の乾燥速度が速いと、未硬化成形体の表面に炭酸カルシウムおよび水溶性高分子が不均一に析出する。
【0035】
これに対し、本実施形態においては、未硬化成形体の表面を、養生工程を開始するまでの間、大気雰囲気下で加温加湿する予備養生工程を行なうので、未硬化成形体の表面に均一に十分な量の炭酸カルシウムを析出させて、水硬性成形体の表面に析出した炭酸カルシウムと未硬化成形体に含まれる水溶性高分子とからなる均一な白色表面を有するコンパウンド被膜6を形成させることができる。
【0036】
また、本実施形態においては、予備養生工程を、成形工程を終了してから3分以内に開始することが好ましい。より好ましくは、予備養生工程を、成形工程を終了後、可及的に速やかに開始する。例えば、打設雰囲気温度40℃で成形した後、3分以上室温(25℃)の大気雰囲気で放置した場合、予備養生工程を開始するまでの間に水硬性成形体の表面の乾燥が急速に進むことと、予備養生工程を開始するまでの間の水和反応の反応速度が遅いこととにより、その後の予備養生工程および養生工程において加温加湿を行っても、未硬化成形体の表面に析出する炭酸カルシウムの量が不十分となり、予備養生工程および養生工程による白色皮膜形成効果が十分に得られず、未硬化成形体の表面が雨だれ状や斑点状などの不均一な白色となる恐れがある。すなわち、成形工程を終了してから予備養生工程を開始するまでの間の時間が3分を越えると、生成される炭酸カルシウムの量が不足したり、未硬化成形体の表面に炭酸カルシウムおよび水溶性高分子が不均一に析出したりする場合があるため、均一な白色表面を有する美観に優れた水硬性成形体が得られない恐れがある。
【0037】
また、予備養生工程は、温度35℃〜100℃、相対湿度45%〜100%の大気雰囲気下で、未硬化成形体を保管する工程であることが好ましい。
予備養生工程の温度は、35℃〜100℃とすることが好ましく、45℃〜75℃とすることがより好ましく、45℃〜60℃とすることがさらに好ましい。予備養生工程の温度は35℃未満であると、水和反応による水酸化カルシウムの放出量が少なくなり、白色で均一なコンパウンド皮膜が形成されず、未硬化成形体の表面が雨だれ状や斑点状などの不均一な白色となる場合がある。また、予備養生工程の温度が75℃を超えると、耐火二層管用継手1の内管2を構成する合成樹脂が硬質塩化ビニルである場合に、内管2の変形を招く恐れがあるため好ましくない。なお、内管2として使用する材質の耐熱(軟化)温度が、予備養生工程の温度の上限温度となるので、内管2として軟化温度が硬質塩化ビニルより高い材質からなるものを使用する場合には、使用する材質の軟化温度に応じて予備養生工程の温度の上限温度を、例えば100℃程度のより高温とすることができる。
【0038】
予備養生工程の相対湿度は、45%〜100%とすることが好ましく、60%〜100%とすることがより好ましい。予備養生工程の相対湿度が45%未満であると、未硬化成形体の表面に浸み出した水分中への空気中の炭酸ガスの溶解が少なくなるため、未硬化成形体の表面に析出する炭酸カルシウムの量が十分に確保できず、水硬性成形体の表面の色が灰色に近くなる場合がある。
【0039】
「養生工程」
養生工程においては、予備養生工程後の未硬化成形体を、大気雰囲気下で加温加湿しながら保管する養生を行なって硬化成形体とすることで、内管2の外周に図1に示す外管3を形成し、図1に示す耐火二層管用継手1とする。
【0040】
養生工程は、予備養生工程を終了してから3分以内に開始することが好ましく、予備養生工程を終了後、可及的に速やかに開始することがより好ましい。予備養生工程を終了してから養生工程を開始するまでの間の時間が3分を越えると、養生工程を開始するまでの間に水硬性成形体の表面の乾燥が急速に進むことと、養生工程を開始するまでの間の水和反応の反応速度が遅いこととにより、その後の養生工程において加温加湿を行っても、未硬化成形体の表面に析出する炭酸カルシウムの量が不十分となり、未硬化成形体の表面が雨だれ状や斑点状などの不均一な白色となる場合がある。
【0041】
養生工程の温度は、予備養生工程と同様の理由により、35℃〜100℃とすることが好ましく、45℃〜75℃とすることがより好ましく、45℃〜60℃とすることがさらに好ましい。また、養生工程の相対湿度は、予備養生工程と同様の理由により、45%〜100%とすることが好ましく、60%〜100%とすることがより好ましい。
【0042】
また、養生工程は2時間〜10時間行なうことが好ましく、2時間〜3時間行なうことがより好ましい。養生時間が2時間未満であると、水硬性成形体の表面が不均一な白色となったり、十分な強度が得られなかったりする場合がある。また、養生時間が10時間を超えると、養生工程に要する時間が長時間となり、効率よく製造できなくなるため好ましくない。
【0043】
本実施形態の耐火二層管用継手1は、外管3が、本発明の水硬性成形体からなるものであるので、均一な白色で美観に優れたものとなる。
【0044】
また、本実施形態の水硬性成形体の製造方法は、混錬工程と、成形工程と、養生工程とを備え、未硬化成形体の表面を、養生工程を開始するまでの間、大気雰囲気下で加温加湿する予備養生工程を行なう方法であるので、未硬化成形体の表面に均一に十分な量の炭酸カルシウムを析出させて、水硬性成形体の表面に析出した炭酸カルシウムと未硬化成形体に含まれる水溶性高分子とからなるコンパウンド被膜を水硬性成形体の表面に形成させることができ、均一な白色で美観に優れた水硬性成形体を容易に製造できる。
【0045】
また、本実施形態の水硬性成形体の製造方法では、予備養生工程を、成形工程を終了してから3分以内に開始するので、未硬化成形体の表面に均一に十分な量の炭酸カルシウムを析出させることができ、より均一でより表面の白い美観に優れた水硬性成形体を製造できる。
また、本実施形態の水硬性成形体の製造方法では、養生工程を、予備養生工程を終了してから3分以内に開始するので、未硬化成形体の表面に均一に十分な量の炭酸カルシウムを析出させることができ、より均一でより表面の白い美観に優れた水硬性成形体を製造できる。
【0046】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、例えば、耐火二層管用継手1の外管3を構成する水硬性成形体は、以下に示す製造方法により製造してもよい。
すなわち、成形工程において、n(nは2以上の整数)個の未硬化成形体を1個目からn個目まで順々に、上述した実施形態と同様にして成形し、予備養生工程を、1個目の未硬化成形体を成形してからn個目の未硬化成形体を成形するまでの間、上述した実施形態と同様の大気雰囲気下での加温加湿を、1個目からn−1個目までの未硬化成形体に対して成形工程が終了した順に開始する工程とし、養生工程において、n個の未硬化成形体の全てを同時に、上述した実施形態と同様にして養生してn個の硬化成形体としてもよい。
【0047】
このように、成形工程において、n(nは2以上の整数)個の未硬化成形体を1個目からn個目まで順々に成形する場合には、1個目の未硬化成形体が形成(脱型)されてからn個目の未硬化成形体が形成(脱型)されるまでの間に時間差が発生する。このため、例えば、n個目の未硬化成形体を形成した後、予備養生工程を行なわずに、得られたn個の未硬化成形体の全てに対して同時に養生工程を開始すると、1個目の未硬化成形体では、n個目の未硬化成形体と比較して、成形工程を終了してから養生工程を開始するまでの時間が長くなる。
【0048】
これに対し、上記の製造方法では、予備養生工程を、1個目の未硬化成形体を成形してからn個目の未硬化成形体を成形するまでの間、大気雰囲気下での加温加湿を、1個目からn−1個目までの未硬化成形体に対して成形工程が終了した順に開始する工程とするので、1個目の未硬化成形体とn個目の未硬化成形体とにおける成形工程を終了してから予備養生工程を開始するまでの時間の差が、非常に小さくなる。したがって、上記の製造方法で得られた水硬性成形体は、製造工程に起因する誤差の小さいものとなり、高い歩留まりが得られる。
【0049】
しかも、上記の製造方法においては、予備養生工程は、成形工程において得られた未硬化成形体に対して、1個目の未硬化成形体を成形してからn個目の未硬化成形体を成形するまでの間に行なう工程であるので、予備養生工程を行なわない場合と比較して、製造に要する時間を長くする必要はなく、効率よく美観の優れた水硬性成形体を製造できる。
さらに、上記の製造方法では、n(nは2以上の整数)個の未硬化成形体を1個目からn個目まで順々に成形し、予備養生工程後の養生工程においてn個の未硬化成形体の全てを同時に養生して硬化成形体とするので、効率よく製造できる。
【0050】
なお、上述した実施形態においては、混練物の賦形の方法として、金型打設法を例に挙げて説明したが、混練物の賦形の方法は、金型打設法に限定されるものではなく、押出成形、抄造法など公知の成形方法を用いることができる。
【0051】
また、上述した実施形態においては、耐火二層管用継手の外管を構成する水硬性成形体の製造工程を養生工程を完了することにより終了する場合を例に挙げて説明したが、養生工程を終了した後、得られた水硬性成形体に対して熱風養生してもよい。熱風養生は、温度50℃〜75℃の範囲で1時間〜3時間行なうことが好ましい。養生工程を終了した後に熱風養生を行なうことにより、所定の強度を有する水硬性成形体とすることができるとともに、表面を乾燥させることができるので、箱詰め可能な状態とすることができる。
【0052】
また、上述した実施形態においては、本発明の水硬性成形体の製造方法の一例として、組成物が、水溶性高分子を含むものを例に挙げて説明したが、水溶性高分子は必ずしも含まれていなくても良い。
この場合においても、未硬化成形体の表面に均一に十分な量の炭酸カルシウムを析出させることができ、均一な白色で美観に優れた水硬性成形体を容易に製造できる。
【0053】
また、上述した実施形態においては、本発明の水硬性成形体の製造方法の一例として、予備養生工程を備える方法について説明したが、養生工程を、成形工程を終了してから3分以内に開始する場合には、予備養生工程を行なわなくてもよい。
この場合においても、未硬化成形体の表面に均一に十分な量の炭酸カルシウムを析出させて、水硬性成形体の表面に析出した炭酸カルシウムと未硬化成形体に含まれる水溶性高分子とからなるコンパウンド被膜を水硬性成形体の表面に形成させることができ、均一な白色で美観に優れた水硬性成形体を容易に製造できる。
【0054】
また、上述した実施形態においては、本発明の水硬性成形体の一例として、耐火二層管用継手を例に挙げて説明したが、本発明の水硬性成形体は、耐火二層管用継手に限定されるものではなく、例えば、耐火二層管であってもよい。本発明の耐火二層管は、例えば、図1に示す耐火二層管用継手と接続される耐火二層管とすることができ、図1に示す耐火二層管用継手と同様に、硬質塩化ビニルなどの合成樹脂からなる内管と、内管の外周に形成された本発明の水硬性成形体からなる外管とを有するものとすることができる。
【0055】
このような耐火二層管は、外管が、本発明の水硬性成形体からなるものであるので、均一な白色で美観に優れたものとなる。
【0056】
また、本発明の水硬性成形体は、上述した例に限定されるものではなく、例えば、外壁材、内装材、屋根材、化粧ブロック、インターロッキングブロック、コンクリート平板などのコンクリート建築・土木材料などにも適用できる。
【0057】
次に、実施例を挙げて本発明をより詳しく説明する。
<実験例1〜13>
ポルトランドセメント100質量部、骨材(珪砂)80質量部、補強繊維(パルプ、ビニロン)6質量部、メチルセルロース1.5質量部および水60質量部からなる組成物を混練して混練物と(混錬工程)し、得られた混練物を100℃に保持された金型内に流し込み、圧力30kgf/mm、温度95℃で数秒加圧成形し、縦200mm、横50mm、厚み50mmの評価用サンプル(未硬化成形体)を得た(成形工程)。
【0058】
<実験例14>
組成物としてメチルセルロースを含まないものを用いたこと以外は、実験例5と同様にして、縦200mm、横50mm、厚み50mmの評価用サンプル(未硬化成形体)を得た。
【0059】
このようにして得られた評価用サンプルに対し、大気雰囲気下の表1に示す条件で予備養生工程を行なった。そして、予備養生工程後の評価用サンプルに対し、温度60℃、相対湿度90%の大気雰囲気下で2.3時間蒸気養生する養生工程を行った。なお、養生工程は、予備養生工程を終了してから2分後に開始した。その後、養生工程を終了した評価用サンプルに対し、55℃で2時間熱風養生工程を行ない実験例1〜14の水硬性成形体を得た。
【0060】
【表1】

【0061】
なお、上記の予備養生工程、養生工程および熱風養生工程においては、恒温恒湿装置を用いた。ここで用いた恒温恒湿装置は、恒温恒湿槽内を所定の温度および湿度雰囲気に保持できるものであり、恒温恒湿槽内の受け皿上におかれた評価用サンプルは、スパージャーから恒温恒湿槽内に供給されるスチームと空気との混合流体によって所定の温度および湿度の雰囲気で保管した。
また、表1における「時間」とは、成形工程を終了してから予備養生工程を開始するまでにかかった時間であり、金型内から脱型してから恒温恒湿槽内に収納するまでにかかった時間を意味する。
【0062】
次に、このようにして得られた実験例1〜14の水硬性成形体の表面状態を目視観察し、以下に示す評価基準に基づいて評価した。その結果を表1に示す。
評価基準は以下の通りである。
◎全面が均一で光沢を有する白色である。
○全面が均一で白色である。
△全面均一な薄茶色で光沢無し、または薄い白茶色の縞模様である。
×濃い白色または茶色の縞模様である。
【0063】
表1より、温度35℃〜60℃、相対湿度45%〜100%の条件で、時間3分以下で予備養生工程を行なった場合には、組成物としてメチルセルロースを含むか否かにかかわらず評価が◎または○となり、温度35℃未満、相対湿度45%未満である実験例10や、相対湿度45%未満である実験例11、温度60℃、相対湿度100%の条件であって、時間4分である実験例9、温度60℃、相対湿度100%の条件であって、時間5分である実験例12と比較して、美観に優れる白色表面が得られることが分かった。
特に、温度45℃〜60℃、相対湿度60%〜100%の条件で、時間3分以下で予備養生工程を行なった場合には、評価が◎となり、光沢のある美観に優れる白色表面が得られることが分かった。
【0064】
また、エネルギー分散型X線分析装置(EDX)を用いて、実験例8の水硬性成形体と実験例11の水硬性成形体の表面のCa、Si濃度を分析した。その結果を図5に示す。
図5は、分析エネルギー(kV)と、Ca、Si濃度(質量%)との関係を示したグラフである。なお、分析エネルギーは水硬性成形体の表面からの深さに対応する。すなわち、分析エネルギー20kVの結果は表面から約5μmの深さに対応し、分析エネルギー10kVの結果は表面から約2μmの深さに対応し、分析エネルギー5kVの結果は表面から1μm未満の深さに対応する。また、図5において、黒丸、黒四角は実験例8の水硬性成形体の結果であり、白丸、白四角は実験例11の水硬性成形体の結果である。また、丸はCaの結果、四角はSiの結果を示す。
【0065】
図5に示すように、白色表面を有する実験例8の水硬性成形体では、5kVの値が45質量%であるが、全面が均一な薄茶色となった実験例11の水硬性成形体では、5kVの値が45質量%を超えている。このことより、実験例8の水硬性成形体では、表面に近い部分で、全面が均一な薄茶色となった実験例11の水硬性成形体と比較して、Caが多くなっていることが明らかとなった。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】図1は、本発明の耐火二層管用継手の一例を説明するための図面である。
【図2】図2は、本発明の水硬性成形体の製造方法の一例を説明するための図であって、本発明の水硬性成形体の製造方法の一工程を示した図面である。
【図3】図3は、本発明の水硬性成形体の製造方法の一例を説明するための図であって、本発明の水硬性成形体の製造方法の一工程を示した図面である。
【図4】図4は、本発明の水硬性成形体の製造方法の一例を説明するための図であって、本発明の水硬性成形体の製造方法の一工程を示した図面である。
【図5】図5は、エネルギー分散型X線分析装置(EDX)を用いて、水硬性成形体の表面のCa濃度とSi濃度とを分析した結果を示したグラフである。
【符号の説明】
【0067】
1・・・耐火二層管用継手、2・・・内管、3・・・外管、4・・・水分、5・・・混錬物、6・・・コンパウンド被膜。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルシウム化合物を含有する水硬性材料と水とを少なくとも含む組成物を混練して混練物とする混錬工程と、
前記混練物を成形して未硬化成形体とする成形工程と、
前記未硬化成形体を養生して硬化成形体とする養生工程とを備え、
前記未硬化成形体の表面を、前記養生工程を開始するまでの間、大気雰囲気下で加温加湿する予備養生工程を行なうことを特徴とする水硬性成形体の製造方法。
【請求項2】
前記予備養生工程を、前記成形工程を終了してから3分以内に開始することを特徴とする請求項1に記載の水硬性成形体の製造方法。
【請求項3】
前記養生工程を、前記予備養生工程を終了してから3分以内に開始することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の水硬性成形体の製造方法。
【請求項4】
前記予備養生工程が、温度35℃〜100℃、相対湿度45%〜100%の大気雰囲気下で、前記未硬化成形体を保管する工程であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の水硬性成形体の製造方法。
【請求項5】
前記成形工程が、n(nは2以上の整数)個の未硬化成形体を1個目からn個目まで順々に成形する工程であり、
前記予備養生工程が、1個目の未硬化成形体を成形してからn個目の未硬化成形体を成形するまでの間、1個目からn−1個目までの未硬化成形体に対して前記成形工程が終了した順に開始する工程であり、
前記養生工程が、前記n個の未硬化成形体の全てを同時に養生してn個の硬化成形体とする工程であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の水硬性成形体の製造方法。
【請求項6】
前記予備養生工程および前記養生工程を行うことによって、前記水硬性成形体の表面に前記水溶性高分子と炭酸カルシウムとからなる白色皮膜を形成することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の水硬性成形体の製造方法。
【請求項7】
カルシウム化合物を含有する水硬性材料と水とを少なくとも含む組成物を混練して混練物とする混錬工程と、
前記混練物を成形して未硬化成形体とする成形工程と、
前記未硬化成形体を養生して硬化成形体とする養生工程とを備え、
前記養生工程を、前記成形工程を終了してから3分以内に開始することを特徴とする水硬性成形体の製造方法。
【請求項8】
前記養生工程が、2時間〜10時間、温度35℃〜100℃、相対湿度45%〜100%の大気雰囲気下で、前記未硬化成形体を保管する工程であることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の水硬性成形体の製造方法。
【請求項9】
前記組成物が、水溶性高分子を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の水硬性成形体の製造方法。
【請求項10】
前記水溶性高分子が、セルロース誘導体であることを特徴とする請求項9に記載の水硬性成形体の製造方法。
【請求項11】
前記水溶性高分子の配合量が、水を除く前記組成物100質量部に対して0.3〜10質量部であることを特徴とする請求項9または請求項10に記載の水硬性成形体の製造方法。
【請求項12】
前記水硬性材料が、セメント配合物であることを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれかに記載の水硬性成形体の製造方法。
【請求項13】
請求項1乃至請求項12のいずれかに記載の製造方法により製造された水硬性成形体。
【請求項14】
合成樹脂からなる内管と、前記内管の外周に形成された外管とを有する耐火二層管であって、
前記外管が、請求項13に記載の水硬性成形体からなることを特徴とする耐火二層管。
【請求項15】
合成樹脂からなる内管と、前記内管の外周に形成された外管とを有する耐火二層管用継手であって、
前記外管が、請求項13に記載の水硬性成形体からなることを特徴とする耐火二層管用継手。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−96038(P2009−96038A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−268894(P2007−268894)
【出願日】平成19年10月16日(2007.10.16)
【出願人】(000187194)昭和電工建材株式会社 (36)
【Fターム(参考)】