説明

水系固形化粧料

【課題】塗布時のみずみずしさに優れ、肌への伸び広がりが良好で、化粧持続性が良好であり、しかも経時安定性に優れた水系固形化粧料を提供する。
【解決手段】次の成分((a)脂肪酸または脂肪酸石鹸(b)カチオンポリマー(c)水を配合することを特徴とする水系固形化粧料。また、成分(a)及び成分(c)の配合質量比(a)/(c)が0.05〜0.3であることを特徴とする前記水系固形化粧料、成分(a)及び成分(b)の配合質量比(a)/(b)が10〜500であることを特徴とする前記水系固形化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脂肪酸または脂肪酸石鹸、カチオンポリマー、水を配合する水系固形化粧料に関するものであり、塗布時に肌にみずみずしい感触を与え、化粧料の伸び広がりが良好で、化粧持続性が良好であり、しかも経時安定性に優れた水系固形化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、固形化粧料は、携帯性や使用簡便性からファンデーション、白粉、チークカラー、アイシャドウ等のメーキャップ化粧料に汎用されている剤型である。このような固形化粧料には、粉体と油分を混合して圧縮成形した粉末固形タイプ、ワックス等で油を固めて成形した油性固形タイプ、ワックス等で油を固め、水分を内相に含んだW/O固形タイプ、外相の水分を固化剤により固めた水系固形タイプなどがある。
【0003】
水系固形化粧料とは、外相の水分に、固化剤として脂肪酸石鹸、粘土鉱物、水溶性高分子等を添加し、油剤や粉末を分散させ、加熱溶融充填等により固形に成形した化粧料のことである。主成分が水であるため、使用時にそのゲル構造が破壊されると非常にみずみずしさを感じやすく、さっぱりとした使用感が得られる。
【0004】
しかしながら、水系固形化粧料はみずみずしさを肌に多く与えようとすると固形の構造が弱くなりやすく、長期保存時に離水等の経時安定性不良が起きやすくなってしまう。また、逆に経時安定性を良好にしようとすると、固化剤の配合量が多くなり、みずみずしさをほとんど得られないものになるという問題点がある。
【0005】
上記の問題点を解決する試みとして、脂肪酸石鹸と水溶性高分子自体のゲルの硬さを利用して水を固めた水系固形化粧料がある。例えば、特許文献1では、必須成分としてカラギーナン、ジェランガム、及び水膨潤性粘土鉱物を配合する水系固形化粧料が提案されている。この水系固形化粧料は、塗布時のみずみずしさ、化粧料の肌移りが良好で、使用時のよれを生じないため、使用時の使用性の観点では優れている。しかしながら、特許文献1に開示された技術では、化粧料において求められる長時間の化粧持続性に問題があった。
【0006】
また、異なる試みとして、特許文献2では、特定の脂肪酸石鹸量、油分、粉末を必須成分とし、脂肪酸石鹸の硬さを利用して水を固めた固形化粧料が提案されている。この技術によれば、みずみずしさを有し、携帯性に優れた水系固形状のメイクアップ化粧料が得られる。しかしながら、脂肪酸石鹸による硬さのコントロールが難しく、経時的に硬さが変化しやすいので経時安定性に問題があった。
【0007】
【特許文献1】特開2002-265314号公報(第1頁−第13頁)
【特許文献2】特許2949356号公報(第1頁−第4頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明では、化粧料を肌に塗布したときにみずみずしさを与え、化粧料の肌への伸び広がりが良好で、化粧効果の持続性に優れ、且つ経時安定性の良好な水系固形化粧料の開発を課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、脂肪酸または脂肪酸石鹸、カチオンポリマー、水を必須成分とする水系固形化粧料が上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
すなわち本発明は、次の成分(a)〜(c);
(a)脂肪酸または脂肪酸石鹸
(b)カチオンポリマー
(c)水
を配合することを特徴とする水系固形化粧料を提供するものである。
【0011】
更に成分(a)及び成分(b)の配合質量比(a)/(b)が10〜500であることを特徴とする水系固形化粧料を提供するものである。更に成分(a)及び成分(c)の配合質量比(a)/(c)が0.05〜0.3であることを特徴とする水系固形化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の水系固形化粧料は、塗布時の使用感に優れ、また化粧持続性が良好である。このため、汗や水分に対して良好な化粧持ちが要求されるメイクアップ化粧料や日焼け止め化粧料において本発明は有用である。また、水系固形であるため、使用性が簡便であり、かつ、みずみずしい使用感を肌に与えることができることから、スティック状の制汗剤や目元用化粧料、美白用化粧料、整髪料等にも本発明は応用できる。これらの化粧料に応用した場合にも、長時間化粧効果を持続させることができるという点で、本発明は有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の水系固形化粧料に用いられる成分(a)の脂肪酸/脂肪酸石鹸は、成分(b)及び成分(c)とともに水系固形化粧料のゲル構造を形成し、経時安定性を良好にする目的で、また化粧持続性を良好にする目的で配合されるものである。
【0014】
成分(a)に用いられる脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等が挙げられ、これらを一種又は二種以上用いることができる。これらの中でも固形化粧料の硬さを保持するためには、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等の融点が50℃以上の脂肪酸を選択することが好ましい。
【0015】
成分(a)に用いられる脂肪酸石鹸は、予め中和された脂肪酸石鹸であっても、脂肪酸を製造工程内でアルカリで中和して配合しても良い。また、成分(a)に用いられる脂肪酸の対塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノールアミン、アルギニン等が挙げられる。中でも、経時安定性の観点から、水酸化ナトリウムが特に好ましい。尚、中和量は、脂肪酸の等量によって決定されるが、完全に中和するよりも、一部未中和の脂肪酸が存在する程度の中和量であると、pHの上昇が抑えられ、皮膚刺激抑制の観点からも好ましく、中和率としては30〜95%が好ましい。
【0016】
本発明の水系固形化粧料における成分(a)の配合量は、脂肪酸または脂肪酸石鹸として1〜20質量%(以下、単に「%」と略す。)が好ましい。
【0017】
本発明の水系固形化粧料に用いられる成分(b)のカチオンポリマーは、化粧料を塗布した時にみずみずしさを与え、肌への伸び広がりを良好なものとし、化粧持続性を向上させ、更に成分(a)、成分(c)とともにゲル構造を形成し、経時安定性を向上させる目的で配合されるものである。
【0018】
具体的には塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース、塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(ラウリルジメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース等のカチオン化セルロース、塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]グアーガム等のカチオン化グアーガム、塩化ヒドロキシプロピルトリモニウムデンプン等のカチオン化デンプン、ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリド、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体等が挙げられ、このような市販品として、カチナールHC−100(東邦化学工業社製)、ジャガーC−13S(Rhodia社製)、センサマーCI−50、マーコート100、マーコート550(NALCO社製)等を例示することができる。特に、塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース、塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(ラウリルジメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース等のカチオン化セルロースが成分(a)とのゲル構造を良好に形成し、経時安定性を向上させるのでより好ましい。
【0019】
本発明の水系固形化粧料における成分(b)の配合量は、0.01〜1%が好ましく、0.05〜0.75%が特に好ましい。
【0020】
本発明において、成分(a)と成分(b)の配合質量比(a)/(b)は10〜500が好ましく、20〜250が特に好ましい。この範囲で用いると、より化粧料の伸び広がりが良好となり、経時安定性の向上に効果を奏する。
【0021】
本発明の水系固形化粧料に用いられる成分(c)の水は、本発明の基本となる必須成分であり、塗布時に肌にみずみずしい感触を付与する目的で配合されるものである。
【0022】
本発明の水系固形化粧料における成分(c)の配合量は、30〜95%が好ましく、35〜80%が特に好ましい。この範囲で用いると塗布時にみずみずしく、肌への伸び広がりがよく、経時安定性が良好な水系固形化粧料を得ることができる。
【0023】
本発明において、成分(a)と成分(c)の配合質量比(a)/(c)は0.05〜0.3が好ましく、0.075〜0.25が特に好ましい。成分(a)と成分(c)の配合質量比がこの範囲であると水系固形化粧料の経時安定性がより優れたものとなる。
【0024】
本発明の水系固形化粧料に更に粉体を加えると、肌に均一に化粧料を塗布することができ、また、適度な隠蔽性と美麗性のような化粧効果も得られる。このような粉体としては、通常化粧料に用いられる粉体であれば良く、球状、板状、針状等の形状、煙霧状、微粒子、顔料級等の粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、色素粉体類、複合粉体類等が挙げられる。
【0025】
本発明で用いると好適な粉体を具体的に例示するのであれば、酸化チタン、黒色酸化チタン、コンジョウ、群青、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、無水ケイ酸、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、水酸化クロム、カーボンブラック、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、マイカ、合成マイカ、セリサイト、タルク、カオリン、炭化珪素、硫酸バリウム、窒化硼素等の無機粉体類、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆マイカ、酸化鉄被覆マイカ、酸化鉄被覆マイカチタン、有機顔料被覆マイカチタン、アルミニウムパウダー等の光輝性粉体類、ナイロンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、アクリロニトリル−メタクリル酸共重合体パウダー、塩化ビニリデン−メタクリル酸共重合体パウダー、ポリエチレンパウダー、ポリスチレンパウダー、オルガノポリシロキサンエラストマーパウダー、ポリメチルシルセスキオキサンパウダー、ポリウレタンパウダー、ウールパウダー、シルクパウダー、結晶セルロースパウダー、N−アシルリジンパウダー等の有機粉体類、有機タール系顔料、有機色素のレーキ顔料等の色素粉体類、微粒子酸化チタン被覆マイカチタン、微粒子酸化亜鉛被覆マイカチタン、硫酸バリウム被覆マイカチタン、酸化チタン配合無水ケイ酸、酸化亜鉛配合無水ケイ酸等の複合粉体等が挙げられ、これらを一種又は二種以上を用いることができる。尚、これら粉体は、フッ素化合物、シリコーン化合物、界面活性剤等の通常公知の処理剤により表面処理を施して用いても良い。なかでも、化粧持続性を得やすく、配合が容易という観点においては、酸化チタン、タルク、シリカ、マイカ、マイカチタン等を好ましいものとして例示することができる。
【0026】
本発明で用いると好適な粉体の配合量は、その見かけ上のかさ、屈折率等により、相違するものではあるが、5〜40%が好ましく、10〜30%が特に好ましい。この範囲で用いるのであれば、水系固形化粧料の化粧持続性に優れた効果を奏する。
【0027】
本発明の水系固形化粧料における固形とは、通常化粧料を使用する温度範囲(0℃〜50℃)で固化していて流動性がないものをいう。
【0028】
本発明の水系固形化粧料には、上記成分の他に、通常、化粧料に使用される成分、油剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、水溶性高分子、トリメチルシロキシケイ酸等の油溶性被膜形成剤、水性成分、パラオキシ安息香酸誘導体、フェノキシエタノール等の防腐剤、ビタミン類、保湿剤、酸化防止剤、美容成分、pH調整剤、香料等を本発明の効果を損なわない範囲内で適宜配合することができる。
【0029】
本発明の水系固形化粧料は、日焼け止め料、ボディ用マッサ−ジ、目元用化粧料、制汗剤、フレグランス等のスキンケア化粧料や整髪剤、ヘアカラー等の毛髪化粧料、ファンデーション、おしろい、頬紅、アイシャドウ、アイブロウ、コンシーラー等のメイクアップ化粧料が挙げられる。これらの中でも、ファンデーション、おしろい、頬紅、アイシャドウ、アイブロウ、コンシーラー等のメイクアップ化粧料が、本発明の効果である化粧持続性が商品価値を高め、好ましいものである。
【0030】
また、本発明の水系固形化粧料の剤型としては、油剤の配合していない水系、油剤が可溶化されている可溶化系、油剤を乳化している水中油系等が挙げられ、本発明の水系固形化粧料の形態は、ケーキ状、スティック状等が挙げられる。
【0031】
本発明の水系固形化粧料の製造方法は、特に限定されないが、例えば、成分(a)、(b)、(c)を80〜90℃で加熱溶解し、成分(a)の融点以上(75〜85℃程度)に再加熱し、金皿やスティック容器、ボトル容器等に溶融充填し、35℃以下まで冷却して成型化する方法等を挙げることができる。
【実施例】
【0032】
以下に実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。尚、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【0033】
実施例1〜10及び比較例1〜5:水系固形状おしろい(クリ−ム瓶)
表1〜表3に示す組成の水系固形状おしろいを下記製造方法により調製し、「塗布時のみずみずしさ」、「肌への伸び広がり」、「化粧膜の均一性」、「化粧持続性」、「経時安定性」の各項目について、以下に示す評価方法及び判定基準により評価判定し、結果を併せて表1〜表3に示した。
【0034】
【表1】

【0035】
【表2】

【0036】
【表3】

【0037】
(製造方法)
A:成分2〜5と成分6の一部を80℃にて加熱膨潤する。
B:加熱溶解した成分1に残りの成分6に溶解させた成分7、8を添加し、
ディスパ−ミキサ−にて分散する。
C:A及び成分9〜14をBに添加混合する。
D:Cを脱泡する。
E:Dを80℃に再加熱溶解し、クリ−ム瓶容器(容積20mL、材質ガラス)
に充填、35℃以下まで冷却し、おしろいとする。
【0038】
〔評価方法1〕
化粧品評価専門パネル20名に、実施例及び比較例の水系固形状おしろいを使用してもらい、「塗布時のみずみずしさ」、「肌への伸び広がり」、「化粧膜の均一性」、「化粧持続性」の其々の項目について、各自が以下の評価基準に従って5段階評価し、各おしろい毎に評点を付し、更に全パネルの評点の平均点を以下の判定基準に従って判定した。尚、「化粧持続性」については、おしろい塗布後、日常生活を6時間した後に化粧持ちを評価してもらった。
評価基準:
[評価結果]:[評点]
非常に良好:5点
良好:4点
普通:3点
やや不良:2点
不良:1点
判定基準:
[評点の平均点]:[判定]
4.5以上:◎
3.5以上〜4.5未満:○
1.5以上〜3.5未満:△
1.5未満:×
【0039】
〔評価方法2〕
経時安定性の評価としては、50℃の恒温槽に2週間静置後の状態を目視にて確認し、離水等の状態変化を観察した。
判定基準:
[評点の平均点]:[判定]
何の変化もない:◎
容器壁面等に若干の水滴が見られるが、室温に戻すと水滴がなくなり、使用には全く問題がない:○
バルク中に廃液(離水)があり、使用するにはやや支障がある:△
分離、液化してしまい、使用できない:×
【0040】
表1及び表2の結果から明らかなように、実施例1〜10は「塗布時のみずみずしさ」、「肌への伸び広がり」、「肌への伸び広がり」、「化粧膜の均一性」、「化粧持続性」、「経時安定性」の全ての項目に優れた水系固形化粧料であった。これに対して、表3から成分(a)の脂肪酸または脂肪酸石鹸がない比較例1は固形とはならず経時安定性に問題があり、成分(b)カチオンポリマーがない比較例2及び比較例3は、肌への均一な伸び広がり及び化粧持続性に問題があった。また、成分(b)の代わりに他の水溶性高分子を用いた比較例4及び5は、肌への伸び広がり、化粧膜の均一性、化粧持続性、経時安定性に問題があった。
【0041】
実施例11:ケーキ状コンシ−ラ−
(成分) (質量%)
1.ベヘニン酸 12
2.顔料級酸化チタン 10
3.微粒子酸化チタン 5
4.ベンガラ 0.1
5.黄酸化鉄 1
6.黒酸化鉄 0.1
7.マイカ 5
8.スメクタイト(注4) 1
9.塩化ジメチルジアリルアンモニウム・
アクリルアミド共重合体液(注5) 2.5
10.セスキオレイン酸ソルビタン 0.3
11.精製水 残量
12.ジプロピレングリコール 15
13.水酸化カリウム 1

注4:スメクトン SA−2(クニミネ工業社製)
注5:マーコート550(純分9%)(NALCO社製)
【0042】
(製造方法)
A:成分1、9〜13を85℃にて加熱溶解する。
B:Aに成分2〜8を添加し、ディスパ−ミキサ−にて分散する。
C:Bを脱泡する。
D:Cを85℃に再加熱溶解し、金皿容器(容積5mL、材質金属)に
充填、35℃以下まで冷却し、コンシ−ラ−とする。
【0043】
実施例11のケーキ状コンシ−ラ−は、塗布時にみずみずしく、肌への伸び広がりが良好で、化粧膜が均一であり、化粧もちといった化粧持続性、経時安定性に優れたものであった。
【0044】
実施例12:スティック状アイシャドウ
(成分) (質量%)
1.ベヘニン酸 7
2.12−ヒドロキシステアリン酸 5
3.合成金雲母(注3) 5
4.ベンガラ被覆雲母チタン 5
5.酸化チタン被覆ガラス末(注6) 5
6.ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(注7) 1
(HLB6.5)
7.テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット(注8) 0.5
(HLB11.5)
8.塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)
プロピル]ヒドロキシエチルセルロース(注9) 0.5
9.水素添加大豆リン脂質(注10) 0.3
10.精製水 残量
11.塩化ナトリウム 0.1
13.1,3−ブチレングリコール 15
14.水酸化ナトリウム 1

注6:メタシャイン1080RC−S(日本板硝子社製)
注7:NIKKOL HCO−10(日光ケミカルズ社製)
注8:NIKKOL GO−430N(日光ケミカルズ社製)
注9:カチナールHC−100(東邦化学社製)
注10:NIKKOL レシノールS−10E(日光ケミカルズ社製)
【0045】
(製造方法)
A:成分1〜2、6〜14を90℃にて加熱溶解する。
B:Aに成分3〜5を添加し、ディスパ−ミキサ−にて分散する。
C:Bを脱泡とする。
D:Cを90℃に再加熱溶解し、スティック容器(容積10mL、材質金属)に
充填、35℃以下まで冷却し、アイシャドウとする。
【0046】
実施例12のスティック状アイシャドウは、塗布時にみずみずしく、肌への伸び広がりが良好で、化粧膜が均一であり、化粧もちといった化粧持続性、経時安定性に優れたものであった。
【0047】
実施例13:スティック状制汗剤
(成分) (質量%)
1.ベヘニン酸カリウム 12
2.トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 3
3.無水ケイ酸 5
4.イソプロピルメチルフェノール 0.4
5.精製水 20
6.塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)
プロピル]ヒドロキシエチルセルロース(注9) 0.5
7.精製水 残量
8.ジプロピレングリコール 15
9.精製水 9
【0048】
(製造方法)
A:成分1〜2を90℃にて加熱溶解する。
B:Aに成分9を添加し、ディスパ−ミキサ−にて分散する。
C:成分3〜5を混合分散し、成分6〜8を膨潤する。
D:BにCを添加混合し、脱泡する。
E:Cを90℃に再加熱溶解し、スティック容器(容積10mL、材質金属)に
充填、35℃以下まで冷却し、制汗剤とする。
【0049】
実施例13のスティック状制汗剤は、塗布時にみずみずしく、肌に均一で良好に伸び広がり、制汗効果の持続性、経時安定性に優れたものであった。
【0050】
実施例14:美白用水系固形化粧料
(成分) (質量%)
1.ステアリン酸 10
2.無水ケイ酸 5
3. 顔料級酸化チタン 3
4.精製水 20
5.塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)
プロピル]ヒドロキシエチルセルロース(注1) 0.05
6.精製水 残量
7.1,3−ブチレングリコール 15
8.アスコルビン酸グルコシド 2
9.水酸化カリウム 0.5
10.精製水
【0051】
(製造方法)
A:成分1を90℃にて加熱溶解する。
B:Aに成分8〜10を添加し、ディスパ−ミキサ−にて分散する。
C:成分2〜4を混合分散し、成分5〜7を膨潤する。
D:BにCを添加混合し、脱泡する。
E:Dを90℃に再加熱溶解し、クリ−ム瓶容器(容積20mL、材質ガラス)に
充填、35℃以下まで冷却し、美白用水系固形化粧料を得た。
とする。
【0052】
実施例14の美白用水系固形化粧料は、塗布時にみずみずしく、肌に均一で良好に伸び広がり、美白効果の持続性といった化粧持続性、経時安定性に優れたものであった。
【0053】
実施例15:スティック状整髪剤
(成分) (質量%)
1.ステアリン酸 5
2.メチルフェニルポリシロキサン 1
3.トリ−2エチルヘキサン酸セチル 1
4.塩化ジメチルジアリルアンモニウム・
アクリルアミド共重合体液(注5) 5
5.1,3−ブチレングリコール 15
6.水酸化カリウム 0.5
7.精製水 残量
【0054】
(製造方法)
A:成分1〜3を90℃にて加熱溶解する。
B:Aに成分4〜7を添加し、ディスパ−ミキサ−にて分散する。
C:Bを脱泡する。
D:Cを90℃に再加熱溶解し、スティック容器(容積10mL、材質金属)に
充填、35℃以下まで冷却し、スティック状整髪剤を得た。
【0055】
実施例15のスティック状整髪剤は、塗布時にみずみずしく、毛髪に良好に伸び広がり、整髪効果の持続性、経時安定性に優れたものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(a)〜(c);
(a)脂肪酸または脂肪酸石鹸
(b)カチオンポリマー
(c)水
を配合することを特徴とする水系固形化粧料。
【請求項2】
前記成分(a)及び成分(b)の配合質量比(a)/(b)が10〜500であることを特徴とする請求項1記載の水系固形化粧料。
【請求項3】
前記成分(a)及び成分(c)の配合質量比(a)/(c)が0.05〜0.3であることを特徴とする請求項1又は2記載の水系固形化粧料。

【公開番号】特開2006−45163(P2006−45163A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−231620(P2004−231620)
【出願日】平成16年8月6日(2004.8.6)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】