説明

水素含有ガス生成装置

【課題】装置の小型化及びコストの低減を図ることができながら、変成処理部が過熱状態となるのを防止することも可能とする。
【解決手段】装置本体1を形成する容器Bとして、予熱用流体にて水蒸気生成部3に供給する水を予熱する水予熱部E2を構成する水予熱部用の容器B7が備えられ、その水予熱部用の容器B7は、容器Bの並び方向Xにおいて変成処理部用の容器B6、B8に隣接して配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体を処理する処理空間を形成する容器を密接状態に複数並べて装置本体が形成され、その装置本体を形成する前記容器として、供給される水を加熱して水蒸気を生成する水蒸気生成部を構成する水蒸気生成部用の容器と、供給される炭化水素系の原燃料を前記水蒸気生成部にて生成した水蒸気により改質処理して水素ガスを主成分とする改質ガスを生成する水蒸気改質部を構成する水蒸気改質部用の容器と、その水蒸気改質部にて生成された改質ガス中の一酸化炭素ガスを二酸化炭素ガスに変成処理する変成処理部を構成する変成処理部用の容器とが備えられている水素含有ガス生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような水素含有ガス生成装置は、水蒸気生成部にて水から水蒸気を生成し、その生成された水蒸気を用いて水蒸気改質部にて原燃料を改質処理して改質ガスを生成しており、その生成された改質ガス中の一酸化炭素ガスを変成処理部にて二酸化炭素ガスに変成処理している(例えば、特許文献1参照。)。そして、この特許文献1に記載の装置では、変成処理部から排出された改質ガス中に残存している一酸化炭素ガスを除去する選択酸化部も備えており、この選択酸化部にて一酸化炭素ガス含有量の少ない水素含有ガスを生成し、その生成された水素含有ガスを燃料電池の燃料等に用いている。
【0003】
特許文献1に記載の装置では、装置本体が、処理空間を形成する容器を密接状態に複数並べて形成されており、装置本体を形成する容器によって水蒸気生成部と水蒸気改質部と変成処理部と選択酸化部の夫々が構成されている。この特許文献1に記載の装置では、水蒸気生成部と水蒸気改質部と変成処理部と選択酸化部に加えて、炭化水素系の原燃料を脱硫処理する脱硫処理部と、燃焼用燃料を燃焼用空気にて燃焼させて水蒸気改質部を加熱する燃焼部とが備えられており、装置本体を形成する容器として、脱硫処理部を構成する脱硫処理部用の容器と燃焼部を構成する燃焼部用の容器も備えられている。また、特許文献1に記載の装置では、変成処理部から選択酸化部に供給される変成処理後の改質ガスにて水蒸気生成部に供給する水を予熱する水予熱器が備えられており、この水予熱器は、装置本体とは別に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−219991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の装置では、水予熱器が装置本体とは別に設けられているので、装置本体とは別に設置スペースが必要となり、装置の大型化を招くことになる。そして、装置本体とは別に水予熱器を設けた場合には、水予熱器自体や配管等からの放熱量が多くなり、水蒸気生成部に供給する水を十分に予熱できなくなる可能性も生じる。この為に、保温を強化する等、水予熱器自体や配管等からの放熱を抑制するための構成が必要となり、コストアップを招くことになる。
【0006】
また、上記特許文献1に記載の装置では、燃焼部から排出される燃焼排ガスを水蒸気生成部に供給してその燃焼排ガスが有する熱にて水を加熱して水蒸気を生成しており、水蒸気生成部を通過して低温となった燃焼排ガスを変成処理部に供給している。そして、変成処理部での変成処理は、発熱反応であるので、供給される低温の燃焼排ガスにより変成処理部を冷却するようにしている。しかしながら、変成処理部を冷却するための熱媒体がガスであるため、熱容量が小さく、夏季等には運転条件によっては、冷却不足となって変成処理部が過熱状態となってしまう可能性があった。
【0007】
本発明は、かかる点に着目してなされたものであり、その目的は、装置の小型化及びコストの低減を図ることができながら、変成処理部が過熱状態となるのを防止することも可能となる水素含有ガス生成装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、本発明に係る水素含有ガス生成装置の特徴構成は、流体を処理する処理空間を形成する容器を密接状態に複数並べて装置本体が形成され、その装置本体を形成する前記容器として、供給される水を加熱して水蒸気を生成する水蒸気生成部を構成する水蒸気生成部用の容器と、供給される炭化水素系の原燃料を前記水蒸気生成部にて生成した水蒸気により改質処理して水素ガスを主成分とする改質ガスを生成する水蒸気改質部を構成する水蒸気改質部用の容器と、その水蒸気改質部にて生成された改質ガス中の一酸化炭素ガスを二酸化炭素ガスに変成処理する変成処理部を構成する変成処理部用の容器とが備えられている水素含有ガス生成装置において、
前記装置本体を形成する前記容器として、予熱用流体にて前記水蒸気生成部に供給する水を予熱する水予熱部を構成する水予熱部用の容器が備えられ、その水予熱部用の容器は、前記容器の並び方向において前記変成処理部用の容器に隣接して配置されている点にある。
【0009】
本特徴構成によれば、水予熱部が水予熱部用の容器にて構成されており、その水予熱部用の容器が、水蒸気生成部用の容器、水蒸気改質部用の容器、及び、変成処理部用の容器と同様に構成されている。そして、その水予熱部用の容器を含む、水蒸気生成部用の容器、水蒸気改質部用の容器、及び、変成処理部用の容器等の複数の容器を密接状態に並べることで装置本体が形成されている。これにより、装置本体とは別に水予熱部の設置スペースが不要となることに加え、水予熱部を装置本体に一体的に備えさせることができるので、装置全体として小型化を図ることができる。また、水予熱部を装置本体に一体的に備えさせることで、水予熱部からの放熱を抑えることができ、保温を強化する等の構成を追加しなくても、水蒸気生成部に供給する水を十分に予熱することができる。
しかも、装置本体における容器の並び方向において、水予熱部用の容器を変成処理部用の容器に隣接して配置するので、水予熱部を通流する水にて変成処理部用の容器を冷却させて変成処理部の冷却を行うことができるとともに、その変成処理部の冷却を行うことで水予熱部を通流する水については予熱されることになる。
以上のことから、装置の小型化及びコストの低減を図ることができながら、水予熱部での水の予熱を十分に行うことができ、変成処理部が過熱状態となるのを防止することも可能となる。
【0010】
本発明に係る水素含有ガス生成装置の更なる特徴構成は、前記装置本体には、前記容器の並び方向において、前記水予熱部用の容器とその水予熱部用の容器に隣接して位置する別の前記容器との間にヒーターが配置されている点にある。
【0011】
水素含有ガス生成装置の起動時には、例えば、ヒーターにより装置本体を形成する複数の容器を加熱することで、水蒸気生成部や変成処理部等の反応器の昇温を行う。ここで、水予熱部では水を通流させることから、容器の並び方向で水予熱部用の容器に隣接する容器では昇温させ難くなることが考えられる。そこで、本特徴構成によれば、ヒーターを容器の並び方向において水予熱部用の容器とその水予熱部用の容器に隣接して位置する別の容器との間に配置している。このような配置とすることで、容器の並び方向で水予熱部用の容器に隣接する容器の昇温も適切に行うことができ、起動時における反応器の昇温を適切に行うことができる。
【0012】
本発明に係る水素含有ガス生成装置の更なる特徴構成は、前記水予熱部用の容器は、皿形状の一対の容器形成用部材を、それらの間に平板状の仕切り部材を位置させた状態で溶接接続し、2つの前記処理空間を備えるように構成され、2つの前記処理空間の一方には前記水蒸気生成部に供給する水を通流させ、且つ、他方には前記予熱用流体として、前記変成処理部にて変成処理された改質ガス、又は、燃焼用燃料を燃焼用空気にて燃焼させて前記水蒸気改質部を加熱する燃焼部から排出される燃焼排ガスを前記水蒸気生成部に供給してその水蒸気生成部から排出される燃焼排ガスを通流させている点にある。
【0013】
本特徴構成によれば、皿形状の一対の容器形成用部材と平板状の仕切り部材とから2つの処理空間を備えた水予熱部を適切に構成することができる。そして、2つの処理空間の他方に、変成処理部にて変成処理された改質ガスを通流させることで、改質ガスが有する熱を活用して水蒸気生成部に供給する水の予熱を行うことができる。また、2つの処理空間の他方に燃焼排ガスを通流させる場合には、燃焼部から排出される燃焼排ガスを水蒸気生成部に供給してその燃焼排ガスが有する熱を活用して水蒸気を生成させるとともに、更に水蒸気生成部から排出される燃焼排ガスが有する熱を活用して水蒸気生成部に供給する水の予熱を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】水素含有ガス生成装置における装置本体の断面図
【図2】装置本体を形成する容器の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る水素含有ガス生成装置の実施形態を図面に基づいて説明する。
この水素含有ガス生成装置の装置本体1は、図1に示すように、流体を処理する処理空間を形成する容器Bを密接状態に複数並べて形成されている。装置本体1は、水素ガスを主成分とする改質ガスを生成するための複数の反応器(脱硫処理部2、水蒸気生成部3、燃焼部4、水蒸気改質部5、変成処理部6、選択酸化部7)を備えており、それら複数の反応器の夫々が装置本体1を形成する容器Bにて構成されている。図1は、装置本体1の断面図を示している。
【0016】
まず、脱硫処理部2から選択酸化部7に至るガスの流路について説明する。
図1に示すように、脱硫処理部2に原燃料ガス供給路21を接続しており、原燃料ガス供給路21を通して原燃料ガスを脱硫処理部2に供給している。原燃料ガス供給路21には、第1制御弁S1が備えられており、その第1制御弁S1の開度を制御することで、脱硫処理部2への原燃料ガスの供給を断続自在であり且つその供給量も調整自在に構成されている。そして、脱硫処理部2、被改質ガス予熱用熱交換器E1の被改質ガス通流部11、水蒸気改質部5、保温用通流部12、被改質ガス予熱用熱交換器E1の改質ガス通流部13、変成処理部6、原料水予熱用熱交換器E2の変成処理後改質ガス通流部16の順に流れるガス処理経路を形成するように、それらをガス処理用流路22で接続している。原料水予熱用熱交換器E2の変成処理後改質ガス通流部16に変成処理後改質ガス排出路23を接続しており、変成処理後改質ガス通流部16を通流した変成処理後の改質ガスを変成処理後改質ガス排出路23にて装置本体1の外部に排出している。また、選択酸化部7に変成処理後改質ガス流入路24を接続して、装置本体1の外部に排出された変成処理後の改質ガスを変成処理後改質ガス流入路24にて選択酸化部7に供給している。
【0017】
脱硫処理部2は、供給される都市ガス等の炭化水素系の原燃料ガス(炭化水素系の原燃料)を脱硫処理する。水蒸気生成部3は、燃焼部4から排出された燃焼排ガスを通流させる水蒸気生成用加熱通流部14と、供給される原料水を水蒸気生成用加熱通流部14による加熱にて蒸発させる蒸発部15とを備えている。燃焼部4は、燃焼用燃料ガス(燃焼用燃料)を燃焼用空気にて燃焼させて燃焼熱を発生させる。燃焼用燃料ガスとしては、燃料電池Nから排出された排燃料ガス(発電反応に用いられなかった水素を含むガス)を用いることができ、必要に応じて原燃料ガスを追加することができる。水蒸気改質部5は、燃焼部4で発生された燃焼熱を利用して原燃料ガスを水蒸気にて改質処理して改質ガスを生成する。具体的には、水蒸気改質部5には、ルテニウム、ニッケル、白金等の改質触媒を保持したセラミック製の多孔質粒状体の多数が通気可能な状態で充填されている。そして、水蒸気改質部5に被改質ガス(脱硫原燃料ガスと水蒸気との混合ガス)を通流させて、原燃料ガスを水素と一酸化炭素と二酸化炭素とを含む改質ガスに改質する。原燃料ガスが、メタンを主成分とする天然ガスである場合、水蒸気改質部5では、燃焼部4によって例えば650℃〜750℃程度の加熱下でメタンと水蒸気とが下記の〔化1〕及び〔化2〕の反応式にて改質反応して、水素と一酸化炭素と二酸化炭素を含むガスに改質処理される。
【0018】
〔化1〕
CH4+H2O→CO+3H2
〔化2〕
CH4+2H2O→CO2+4H2
【0019】
変成処理部6は、水蒸気改質部5にて生成された改質ガスに含まれる一酸化炭素を低減するように処理する。具体的には、変成処理部6においては、改質処理ガス中の一酸化炭素と水蒸気とが、例えば200℃〜300℃程度の反応温度で下記の〔化3〕の反応式にて変成反応して、一酸化炭素が二酸化炭素に変成処理される。
【0020】
〔化3〕
CO+H2O→CO2+H2
【0021】
選択酸化部7は、変成処理部6から排出される変成処理後の改質ガス中に残留している一酸化炭素を除去する。具体的には、選択酸化部7においては、ルテニウムや白金、パラジウム、ロジウム等の触媒作用によって、100℃〜200℃程度の反応温度で変成処理後の改質ガス中に残っている一酸化炭素が、添加された空気中の酸素によって酸化される。その結果、一酸化炭素濃度の低い(例えば10ppm以下)、水素リッチな燃料ガスが生成される。
【0022】
生成された燃料ガスは、燃料ガス路25を通じて燃料電池Nに供給される。本実施形態では、選択酸化部7から排出された選択酸化処理ガス(燃料電池Nに供給される燃料ガス)の温度は100℃〜200℃程度であり、例えば固体高分子型の燃料電池の動作温度は70℃〜80℃程度である。そこで、燃料ガス路25には、選択酸化部7から排出された選択酸化処理ガスを、燃料電池Nの動作温度付近にまで冷却する燃料ガス冷却用熱交換器(図示せず)が設けられている。
【0023】
また、燃料電池Nから排出される排燃料ガス(発電反応に用いられなかった水素を含むガス)は、排燃料ガス路26及び原燃料ガス供給路21から分岐された原燃料ガス分岐路27を通じて一対のパイプバーナ41に燃焼用燃料ガスとして供給される。
【0024】
〔水蒸気生成部への原料水の供給経路〕
次に、水蒸気生成部3の蒸発部15への原料水(水)の供給経路について説明する。
原料水予熱用熱交換器E2の原料水通流部17に原料水供給路28を接続して、原料水ポンプ42により原料水を原料水供給路28にて原料水予熱用熱交換器E2に供給する。原料水通流部17と水蒸気生成部3の蒸発部15とを原料水処理用流路29にて接続しており、原料水予熱用熱交換器E2にて予熱された原料水を原料水処理用流路29にて水蒸気生成部3の蒸発部15に供給している。
【0025】
〔燃焼部への燃料ガス及び燃焼用空気の供給経路〕
燃焼部4には、一対のパイプバーナ41が備えられており、一方のパイプバーナ41から燃焼用燃料ガスを噴出させ、他方のパイプバーナ41から燃焼用燃料ガスに衝突させるように燃焼用空気を噴出させて、火炎を形成する状態で燃焼させている。
【0026】
一方のパイプバーナ41への燃料ガスの供給経路について説明する。
上述の如く、パイプバーナ41に供給する燃焼用燃料ガスとしては、燃料電池Nから排出された排燃料ガス(発電反応に用いられなかった水素を含むガス)を用いることができ、必要に応じて原燃料ガスを追加することができる。原燃料ガス供給路21から分岐された原燃料ガス分岐路27をパイプバーナ41に接続して、原燃料ガスを原燃料ガス供給路21及び原燃料ガス分岐路27にてパイプバーナ41に供給している。原燃料ガス分岐路27には、第2制御弁S2が備えられ、第2制御弁S2の開度を制御することで、パイプバーナ41への原燃料ガスの供給を断続自在で且つその供給量も調整自在に構成されている。排燃料ガス路26には、その途中部位に逆止弁Gが備えられており、原燃料ガス分岐路27の途中部位に接続されている。これにより、燃料電池Nから排出された排燃料ガスを排燃料ガス路26及び原燃料ガス分岐路27にてパイプバーナ41に供給している。
【0027】
他方のパイプバーナ41への燃焼用空気の供給経路について説明する。
図1において一点鎖線矢印にて示すように、燃焼用空気供給路30をパイプバーナ41に接続して、燃焼用空気を燃焼用空気ブロア43から燃焼用空気供給路30にてパイプバーナ41に供給している。燃焼用空気ブロア43を作動させるか否か及び燃焼用空気ブロア43の回転速度を制御することで、パイプバーナ41への燃焼用空気の供給を断続自在で且つその供給量を調整自在に構成されている。
【0028】
〔装置本体を通流するガスの熱交換〕
次に、装置本体1を通流するガスの熱交換について説明する。
装置本体1には、水蒸気改質部5から排出された高温の改質ガスを通流させて、水蒸気改質部5を保温する保温用通流部12と、高温の改質ガスにより水蒸気改質部5に供給される被改質ガスを加熱する被改質ガス予熱用熱交換器E1と、変成処理部6にて変成処理された改質ガスにより水蒸気生成部3に供給する原料水を予熱する原料水予熱用熱交換器E2(水予熱部に相当する)とが備えられている。また、図示は省略するが、変成処理部6及び選択酸化部7を冷却する冷却用ファンも設けられている。
【0029】
被改質ガス予熱用熱交換器E1では、保温用通流部12から排出された改質ガスを通流させる改質ガス通流部13と、水蒸気改質部5に供給する被改質ガスを通流させる被改質ガス通流部11との間で熱交換が行われる。
原料水予熱用熱交換器E2では、変成処理部6にて変成処理された改質ガスを通流させる変成処理後改質ガス通流部16と、原料水供給路28にて供給される原料水を通流させる原料水通流部17との間で熱交換が行われる。
【0030】
〔水蒸気と原燃料ガスとの混合〕
原燃料ガス供給路21から供給される原燃料ガスを脱硫処理部2で脱硫処理し、その脱硫原燃料ガスと水蒸気路31からの水蒸気とを混合する。具体的には、図1に示すように、蒸発部15にて生成された水蒸気を送出する水蒸気路31を、脱硫処理部2と被改質ガス予熱用熱交換器E1の被改質ガス通流部11とを接続するガス処理用流路22に接続する。これにより、ガス処理用流路22を通流する脱硫原燃料ガスに改質用の水蒸気が混合される。
【0031】
〔燃焼部から排出される燃焼排ガスの利用形態〕
図1において、破線矢印にて示すように、燃焼部4から排出された燃焼排ガスを、水蒸気生成部3の水蒸気生成用加熱通流部14に供給して通流させた後、装置本体1の外部に排出するように、燃焼部4と水蒸気生成用加熱通流部14とが燃焼排ガス路32により接続されている。そして、水蒸気生成用加熱通流部14においては、燃焼排ガスによって蒸発部15を加熱している。
【0032】
〔装置本体の構成〕
図1及び図2に示すように、装置本体1に備えられる複数の反応器(脱硫処理部2、水蒸気生成部3、燃焼部4、水蒸気改質部5、変成処理部6、選択酸化部7)は、上記改質ガスの生成処理工程で用いられる処理空間を内部に備えた平板型モジュールとしての容器Bを用いて構成されている。図2は、平板型モジュールとしての容器Bについての斜視図である。また、装置本体1には、上述の複数の反応器だけでなく、熱交換器(被改質ガス予熱用熱交換器E1、原料水予熱用熱交換器E2)も備えられており、これらの熱交換器も平板型モジュールとしての容器Bを用いて構成されている。
【0033】
容器B(平板型モジュール)については、図2に示すように、基本的には、どの容器Bも同様に構成されており、皿形状の容器形成用部材b1と板状の仕切り部材b2とから構成されている。そして、容器Bは、一対の容器形成用部材b1の間に仕切り部材b2を位置させた状態で溶接接続して、2つの処理空間を備えるように構成されている。このような容器Bを並列に密着して複数並べることで装置本体1を形成している。複数の容器Bを並べるに当たっては、上述したような伝熱させる必要のあるもの同士は互いに密着させた状態で並べ、且つ、伝熱量を調節する必要のあるもの同士の間に伝熱量調節用の断熱材18を介在させた状態で並べてある。
【0034】
図1に示すように、本実施形態では、容器Bの並び方向Xにおいて左側から順に第1容器B1〜第9容器B9の9つの容器Bを密接状態で並べるように配置して装置本体1を形成している。第1容器B1、第3〜第6容器B3〜B6、第8容器B8、及び、第9容器B9については、図2(a)にて示した容器Bと同一の構成となっている。第2容器B2は、詳細な図示は省略するが、一対の容器形成用部材b1の間に仕切り部材b2を位置させた状態で溶接接続するとともに、一方の容器形成用部材b1の外側に更に別の容器形成用部材b1を溶接接続して、合計3つの処理空間を備えるように構成されている。第7容器B7は、図2(b)に示すように、一対の容器形成用部材b1の間に仕切り部材b2を位置させた状態で溶接接続して、2つの処理空間を備える構成となっているが、一方の処理空間は、容器Bの横幅方向の一方側から他方側に向けて流体を通流させ、容器Bの横幅方向の他端部にてその通流方向を反転させて、容器Bの横幅方向の他方側から一方側に向けて流体を通流させる千鳥の流路状に形成されている。
【0035】
第1容器B1では、2つの処理空間の一方にて水蒸気生成用加熱通流部14が構成され、他方の処理空間にて蒸発部15が構成されており、第1容器B1は、水蒸気生成部3を構成する水蒸気生成部用の容器となっている。第2容器B2では、3つの処理空間のうち、容器Bの並び方向Xで左側の処理空間にて燃焼部4が構成されており、容器Bの並び方向Xで中央の処理空間にて水蒸気改質部5が構成されており、容器Bの並び方向Xで右側の処理空間にて保温用通流部12が構成されている。これにより、第2容器B2は、燃焼部4を構成する燃焼部用の容器と水蒸気改質部5を構成する水蒸気改質部用の容器とを兼用している。
【0036】
第3容器B3は、2つの処理空間の一方にて改質ガス通流部13が構成され、他方の処理空間にて被改質ガス通流部11が構成されており、第3容器B3は、被改質ガス予熱用熱交換器E1を構成する被改質ガス予熱用熱交換器用の容器となっている。第4容器B4及び第5容器B5では、2つの処理空間の両方が脱硫処理部2として構成されており、第4容器B4及び第5容器B5は、脱硫処理部2を構成する脱硫処理部用の容器となっている。第6容器B6では、2つの処理空間の一方にて脱硫処理部2が構成され、他方の処理空間にて変成処理部6が構成されており、第6容器B6は、脱硫処理部用の容器と変成処理部用の容器とを兼用している。
【0037】
第7容器B7では、2つの処理空間の一方にて変成処理後改質ガス通流部16が構成され、他方の処理空間にて原料水通流部17が構成されており、第7容器B7が原料水予熱用熱交換器E2を構成する原料水予熱用熱交換器用の容器となっている。このように、2つの処理空間の一方には水蒸気生成部3に供給する原料水(水)を通流させ、且つ、他方には予熱用流体として変成処理部6にて変成処理された改質ガスを通流させている。これにより、原料水予熱用熱交換器E2では、変成処理部6にて変成処理された改質ガスが有する熱を有効に活用して原料水の予熱を行うようにしている。そして、第7容器B7については、図2(b)に示すように、千鳥の流路状に形成された処理空間にて変成処理後改質ガス通流部16が構成されており、変成処理後の改質ガスが変成処理後改質ガス通流部16を通流する距離を極力長くして、変成処理後の改質ガスにて原料水の予熱を十分に行えるようにしている。
【0038】
第8容器B8では、2つの処理空間の両方が変成処理部6として構成されており、第8容器B8は、変成処理部6を構成する変成処理部用の容器となっている。第9容器B9では、2つの処理空間の一方にて選択酸化部7が構成されており、第9容器B9は、選択酸化部7を構成する選択酸化部用の容器となっている。
【0039】
このようにして、本実施形態では、装置本体1を形成する容器Bとして、原燃料水予熱用熱交換器用の容器(水予熱部用の容器に相当する)である第7容器B7が備えられており、原料水予熱用熱交換器E2(水予熱部に相当する)を装置本体1に一体的に備えさせている。そして、原燃料水予熱用熱交換器用の容器(水予熱部用の容器に相当する)である第7容器B7は、容器Bの並び方向Xにおいて変成処理部用の容器である第6容器B6及び第8容器B8に隣接して配置されている。これにより、変成処理部用の容器にて原燃料水予熱用熱交換器用の容器を挟み込むように配置させており、第7容器B7を通流する原料水にて第6容器B6及び第8容器B8を冷却させて変成処理部6の冷却を行うことができるとともに、その変成処理部6の冷却を行うことで第7容器B7を通流する原料水の予熱を行うこともできる。
【0040】
装置本体1には、容器Bの並び方向Xにおいて、水蒸気生成部3と燃焼部4との間、被改質ガス予熱用熱交換器E1と脱硫処理部2との間、変成処理部6と原料水予熱用熱交換器E2との間、及び、変成処理部6と選択酸化部7との間の夫々には、燃焼部4及び水蒸気改質部5を除く複数の反応器、及び、被改質ガス予熱用熱交換器E1を加熱する板状のヒーターHが備えられている。そして、変成処理部6と原料水予熱用熱交換器E2との間に配置されているヒーターHについては、原燃料水予熱用熱交換器用の容器(水予熱部用の容器に相当する)である第7容器B7と、その第7容器B7に隣接して位置する第6容器B6及び第8容器B8との間にヒーターHが配置されている。このような配置とすることで、容器Bの並び方向Xで第7容器B7に隣接する第6容器B6及び第8容器B8の昇温を適切に行うことができ、起動時等における変成処理部6の昇温を適切に行うことができる。
【0041】
本実施形態では、水素含有ガス生成装置の運転を制御する制御部Cが備えられている。制御部Cは、第1制御弁S1及び第2制御弁S2の開度を制御するとともに、原料水ポンプ42及び燃焼用空気ブロア43の作動状態を制御するように構成されている。そして、水素含有ガス生成装置の運転中には、制御部Cが、第1制御弁S1の開度を制御することで、原燃料ガスの供給量を調整するとともに、第2制御弁S2の開度及び燃焼用空気ブロア43の回転速度を制御することで、パイプバーナ41への燃焼用燃料及び燃焼用空気の供給量を調整している。また、水素含有ガス生成装置を起動させる場合には、制御部CがヒーターHを作動させることで、複数の反応器を昇温させることができるようになっている。
【0042】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、原料水予熱用熱交換器用の容器である第7容器B7の一方の処理空間に、予熱用流体として、変成処理部6にて変成処理された改質ガスを通流させるようにしているが、この改質ガスに代えて、水蒸気生成部3から排出される燃焼排ガスを通流させて、その燃焼排ガスが有する熱を活用して原料水の予熱を行うこともできる。
【0043】
(2)上記実施形態では、脱硫処理部2や選択酸化部7等の反応器についても装置本体1を形成する容器Bにて構成するようにしているが、例えば、装置本体1とは別に、脱硫処理部2や選択酸化部7を設けることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、流体を処理する処理空間を形成する容器を密接状態に複数並べて装置本体が形成され、その装置本体を形成する前記容器として、供給される水を加熱して水蒸気を生成する水蒸気生成部を構成する水蒸気生成部用の容器と、供給される炭化水素系の原燃料を前記水蒸気生成部にて生成した水蒸気により改質処理して水素ガスを主成分とする改質ガスを生成する水蒸気改質部を構成する水蒸気改質部用の容器と、その水蒸気改質部にて生成された改質ガス中の一酸化炭素ガスを二酸化炭素ガスに変成処理する変成処理部を構成する変成処理部用の容器とが備えられ、装置の小型化及びコストの低減を図ることができながら、変成処理部が過熱状態となるのを防止することも可能となる各種の水素含有ガス生成装置に適応可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 装置本体
3 水蒸気生成部
4 燃焼部
5 水蒸気改質部
6 変成処理部
B 容器
B1 第1容器(水蒸気生成用の容器)
B2 第2容器(水蒸気改質部用の容器)
B6 第6容器(変成処理部用の容器)
B7 第7容器(原料水予熱用熱交換器用の容器、水予熱部用の容器)
B8 第8容器(変成処理部用の容器)
b1 容器形成用部材
b2 仕切り部材
E2 原料水予熱用熱交換器(水予熱部用の容器)
H ヒーター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を処理する処理空間を形成する容器を密接状態に複数並べて装置本体が形成され、その装置本体を形成する前記容器として、供給される水を加熱して水蒸気を生成する水蒸気生成部を構成する水蒸気生成部用の容器と、供給される炭化水素系の原燃料を前記水蒸気生成部にて生成した水蒸気により改質処理して水素ガスを主成分とする改質ガスを生成する水蒸気改質部を構成する水蒸気改質部用の容器と、その水蒸気改質部にて生成された改質ガス中の一酸化炭素ガスを二酸化炭素ガスに変成処理する変成処理部を構成する変成処理部用の容器とが備えられている水素含有ガス生成装置であって、
前記装置本体を形成する前記容器として、予熱用流体にて前記水蒸気生成部に供給する水を予熱する水予熱部を構成する水予熱部用の容器が備えられ、その水予熱部用の容器は、前記容器の並び方向において前記変成処理部用の容器に隣接して配置されている水素含有ガス生成装置。
【請求項2】
前記装置本体には、前記容器の並び方向において、前記水予熱部用の容器とその水予熱部用の容器に隣接して位置する別の前記容器との間にヒーターが配置されている請求項1に記載の水素含有ガス生成装置。
【請求項3】
前記水予熱部用の容器は、皿形状の一対の容器形成用部材を、それらの間に平板状の仕切り部材を位置させた状態で溶接接続し、2つの前記処理空間を備えるように構成され、2つの前記処理空間の一方には前記水蒸気生成部に供給する水を通流させ、且つ、他方には前記予熱用流体として、前記変成処理部にて変成処理された改質ガス、又は、燃焼用燃料を燃焼用空気にて燃焼させて前記水蒸気改質部を加熱する燃焼部から排出される燃焼排ガスを前記水蒸気生成部に供給してその水蒸気生成部から排出される燃焼排ガスを通流させている請求項1又は2に記載の水素含有ガス生成装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−206904(P2012−206904A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−74545(P2011−74545)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】