説明

水素添加長鎖トリグリセリド油を含み、硬質粒子から軟質粒子に変化する化粧用粒子

【課題】局所用製剤、特に界面活性剤ベースの局所用製剤に導入された後に軟質化粧用粒子に変化する硬質化粧用粒子を形成するように適合された化粧用粒子組成物が提供される。
【解決手段】前記組成物は、部分的にまたは完全に水素添加された1種または複数種のトリグリセリド油を含み、その少なくとも50%は炭素鎖長がC18以上の脂肪酸部分を少なくとも15重量%有する。硬質化粧用粒子中または上に添加剤が配置されていてもよく、哺乳類の対象の皮膚、毛髪または爪などの標的あるいは別の標的の近くで前記化粧用粒子が破壊すると送達される。変化可能な硬質化粧用粒子は、無傷の化粧用粒子の保管および輸送を可能にする一方で、in situで変化して軟質化粧用粒子の効果を実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によって本明細書に組み込まれる、2008年6月23日に出願された、「安定なキャリア粒子のための組成物および方法(COMPOSITION AND METHODS FOR STABLE CARRIER PARTICLES)」を発明の名称とする米国仮特許出願第61/074,872号の利益を主張するものである。本出願はさらに、やはり参照によって本明細書に組み込まれる、2009年6月19日に出願された、「水素添加長鎖トリグリセリド油を含み、硬質粒子から軟質粒子に変化する化粧用粒子(COSMETIC PARTICLES THAT TRANSFORM FROM HARD TO SOFT PARTICLES COMPRISING HYDROGENATED LONG-CHAIN TRIGLYCERIDE OILS)」を発明の名称とする米国特許出願第12/488,205号の利益も主張するものである。
【0002】
発明の分野
本発明は全般的には化粧用粒子に関し、より詳細には、局所用製剤に製剤化されると軟質化粧用粒子に変化する、水素添加長鎖トリグリセリド油の硬質化粧用粒子の形成に適合した、化粧用粒子に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
化粧用粒子については当該技術分野において公知である。化粧用粒子は、化粧料用および皮膚用の活性薬剤を含む様々な添加剤を取り込むことができ、添加剤の保管性の向上および/または放出の制御を可能にする。化粧用粒子は、化粧用粒子を組み込む局所用製剤の外観および使用感を高めるため、添加剤を送達するため、ならびにエモリエント性を与えるために、軟質に製剤化することができる。軟質化粧用粒子は、皮膚に擦り込まれ、実質的に認識可能な破片を残さずに、添加剤を使用者の皮膚、毛髪および/または爪に送達することができる。また、化粧用粒子は、外観を高めるため、および機械的な剥離効果を提供するために、硬質に製剤化してもよい。化粧用粒子は典型的には、局所用製剤に組み込まれたときに構造の完全性(structural integrity)を保つ(すなわち、一般に実質的に変形しない)。
【0004】
化粧用粒子の硬さは概して、化粧用粒子の変形に必要とされる、指先の間に印加された圧力量を主観的に測定する触覚評価(tactile scale)を用いて決定される。硬さは、化粧用粒子の変形に圧力がほとんど必要とされない高軟質から、一般に通常の圧力下でビーズは変形せず構造の完全性が保たれて皮膚上でざらつきがあるために機械的な剥離効果を与える高硬質まで多岐にわたり得る。硬質化粧用粒子は概して、相当な圧力によってしか変形しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
残念ながら、軟質化粧用粒子の変形にはほとんど圧力を必要としないため、化粧用および皮膚用薬剤が局所使用の前に軟質化粧用粒子から放出されて望ましくない場合がある。さらに、軟質化粧用粒子は、たとえば、上にあるビーズの重量により構造の完全性を失い、1つの塊に融合するため、軟質化粧用粒子の保管および運送が問題となる場合がある。一方、硬質化粧用粒子は一般に保管および輸送の間、さらに局所用製剤に組み込んでも構造の完全性を保つものの、かかる硬質化粧用粒子の化粧品は概して、添加剤を送達せず、軟質化粧用粒子が提供する感触およびエモリエント性の特徴を持たない。
【0006】
そのため、硬質化粧用粒子が保管および運送の後、さらに局所用製剤に組み込まれた後に軟質化粧用粒子に都合よく変化できる化粧用粒子組成物を提供することが望ましい。また、変化した化粧用粒子が哺乳類の対象の皮膚、毛髪および爪、または別の標的に良好な触感覚を与え、エモリエント性を付与できることが望ましい。さらに、本発明の他の望ましい特徴および特性については、以下の発明を実施するための形態および添付の特許請求の範囲、ならびにこの背景技術により明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の概要
化粧用粒子組成物であって、少なくとも部分的に水素添加された1種または複数種のトリグリセリド油を含み、その少なくとも50%は炭素鎖長がC18を超える脂肪酸部分を少なくとも15重量%有し、前記化粧用粒子組成物は、局所用製剤に組み込まれると軟質化粧用粒子に変化する硬質化粧用粒子を形成するように適合され得る化粧用粒子組成物を提供する。少なくとも1種の添加剤を、硬質化粧用粒子内または上に取り込むか、同伴させるか(entrained)、懸濁させるか、あるいは配置してもよい。
【0008】
化粧用粒子組成物は、硬質化粧用粒子として形成され、局所用製剤への導入後に軟質化粧用粒子に変化する、実質的に100%完全に水素添加されたカメリナ・サティバ(Camelina sativa)種油を含んでもよい。変化した化粧用粒子は、哺乳類の対象の皮膚、毛髪および/または爪あるいは別の標的にエモリエント性を与えるように適合され得る。
【発明を実施するための形態】
【0009】
発明の詳細な説明
以下の発明を実施するための形態は単に例示的性質のものであり、本発明または本出願および本発明の使用を限定することを意図するものではない。さらに、前述の背景技術または以下の本発明の例示的な実施形態の詳細な説明に示すいかなる理論にも拘泥されるものでもない。
【0010】
種々の例示的な実施形態による化粧用粒子組成物は、少なくとも部分的に水素添加された1種または複数種のトリグリセリド油を含み、その少なくとも50%は、炭素鎖長がC18を超える脂肪酸部分を少なくとも15重量%有する。こうした化粧用粒子組成物は、局所用製剤に組み込むと軟質化粧用粒子に変化する硬質化粧用粒子を形成するように適合され得る。化粧用粒子組成物はさらに、硬質化粧用粒子内または上に、取り込むか、同伴させるか、懸濁させるか、あるいは配置した少なくとも1種の添加剤を含んでもよい。
【0011】
本明細書において、「硬質」化粧用粒子は一般に、化粧用粒子の変形に必要とされる通常圧力を超える圧力が印加されるまで変形しないものであり、「軟質」化粧用粒子は一般に、通常圧力未満の圧力で変形するものであり、指先の間に印加された圧力量を主観的に測定する触覚評価により判定される。本明細書において、「通常圧力」とは、典型的には相当な圧力をかけることなく、かつ道具を使用せずに印加される圧力である。変化した化粧用粒子は、局所用製剤において見かけは無傷でも触覚的に軟質であればよい。
【0012】
化粧用粒子は室温で実質的に固形であってもよく、種々の形状およびサイズ(ただし、特に球、ミクロスフェアまたはビーズの形態)で提供することができる。本明細書において、単数および複数の「粒子」という用語は、球、ミクロスフェア、ビーズおよび/または同種のものだけでなく、実質的に球状ではなくとも任意の小型の形状(たとえば、ペレット、環状体、無定形のものなど)も指す。代表的な例示的実施形態では、化粧用粒子は、約50ミクロンから約5,000ミクロン程度の目視可能な直径のビーズを含んでもよく、局所用製剤内で実質的に目視可能なように着色してもよい。こうした化粧用粒子は、本発明の代表的な実施形態によれば、種々の植物源の種子に由来する、部分的に水素添加された、および/または完全に水素添加されたトリグリセリド油から生成することができる。炭素鎖長がC18を超える脂肪酸部分を少なくとも15重量%有する好適なトリグリセリド油の非限定的な例としては、リムナンテス・アルバ(Limnanthes alba)(メドウフォーム)、カメリナ・サティバ(Camelina sativa)(カメリナ)、クランベ・アビシニカ(Crambe abyssinica)(クランベ)、トロパエオルム(Tropaeolum)属、高エルカ酸ナタネ(HEAR)、エルカ(eruca)属、ルナリア(lunaria)属および大部分のアブラナ科(Cruciferae)種子由来のものがある。これら以外の少なくとも部分的に水素添加されたトリグリセリド油(すなわち炭素鎖長がC18を超える脂肪酸部分を少なくとも15重量%有しないもの)が化粧用粒子組成物内に存在する場合、キャノーラ油、マカダミア油、オリーブ油、サフラワー油、大豆油、ヒマワリ油および他の多くの油が挙げられる。
【0013】
トリグリセリド油自体は、優れたエモリエント剤である。エモリエント剤は通常、皮膚を柔軟にしたり、または滑らかにしたりし、荒れ、乾き、ひび割れおよび刺激を抑える傾向がある任意の材料と定義される。一般に、滑らかさは、浸透時にこすったり、マッサージしたりすることで、エモリエント剤が組織の表層(たとえば、角質層および真皮の上層など)に浸透することよって得られると考えられる。
【0014】
トリグリセリド油は、ヨウ素価が約10以下になるまで部分的に水素添加してもよいし、またはヨウ素価が1未満になるまで完全に水素添加してもよい。水素添加は、任意の既知の方法により行えばよい。代表的な実施形態では、使用するであろう全トリグリセリド油を完全に水素添加してもよい。このトリグリセリド油により、実質的に球状の形状を持つ実質的に硬質な化粧用粒子が形成される。化粧用粒子は少なくとも部分的に水素添加された1種または複数種のトリグリセリド油100%からなっていてもよい。生成される化粧用粒子は硬質かつ滑らであり、一般に通常を超える圧力が印加されるまで変形しにくいものであり得る。
【0015】
代表的な実施形態では、本発明の実施形態による硬質化粧用粒子を形成するように適合されたトリグリセリド油は、実質的に完全に水素添加されたカメリナ種油を含む。カメリナ種油は、少なくとも17重量%の、18炭素長を超える脂肪酸部分を有する。カメリナ種油は一般に、カメリナ・サティバ(Camelina sativa)から得られる。カメリナ種油は、他の多くの種油と比較して比較的安価であり、したがってカメリナ種油で形成される化粧用粒子は比較的安価な天然物である。
【0016】
別の代表的な例示的実施形態では、化粧用粒子組成物は、硬質化粧用粒子中または上に取り込むか、同伴させるか、懸濁させるか、あるいは配置した少なくとも1種の添加剤をさらに含む。少なくとも1種の添加剤は、本明細書に意図した任意の化粧用粒子を介して送達することができる。また、一部の添加剤は、活性薬剤であってもよい。一例に過ぎないが、顔料は残留して皮膚の外観を変化させるため、2%顔料(添加剤)は化粧用粒子の着色剤としてもよいが、20%顔料は活性薬剤を含んでもよい。
【0017】
添加剤の非限定的な例として、α−およびβ−ヒドロキシ酸、アミノ酸、抗生物質、抗真菌剤、抗菌剤、制汗剤、植物抽出物、着色剤、冷感剤、化粧料活性成分、デオドラント、脱毛剤、皮膚活性薬剤、洗浄剤、染料、エモリエント剤、精油、香料、香料固定剤、フレグランス、果実および/または野菜の抽出物および/または汁、光輝剤、ヘアリラクシング剤、ヘアパーマ剤、湿潤剤、ヒアルロン酸、昆虫忌避剤、薬物、天然エモリエント剤、栄養補助剤、ペプチド配合物、ペプチド、芳香剤、医薬品、顔料、重合剤、ポリマー、防腐剤、プロバイオティクス、プロビタミン、タンパク質、皮膚保護剤、皮膚美白剤、滑り剤(Teflon(登録商標)、タルクなど)、石鹸、収斂剤、サンレスタンニング剤、日焼け止め、合成エモリエント剤、UV遮断剤、ビタミン、および温感剤が挙げられる。
【0018】
化粧用粒子組成物は、以下に限定されるものではないが、トコフェロール、着色剤および非水素添加油から完全に水素添加された油などの他の油のほか、防腐剤、および他の化粧料成分または皮膚成分など他の添加剤を含んでもよい。非水素添加油は、化粧用粒子の最初と最後のテクスチャを調整するために加えてもよい。
【0019】
たとえば、代表的な例示的実施形態では、水素添加カメリナ種油をコペルニシア・セリフェラ(Copernicia cerifera)(カルナウバ)ロウおよびシモンジア・チネンシス(Simmondsia chinensis)種油(ホホバ油)と組み合わせてもよい。ホホバ油は、ほとんどトリグリセリドがないか、あるいはまったくトリグリセリドが存在しておらず、ほぼすべてワックスエステルからなる。好ましい実施形態では、化粧用粒子組成物は、約98重量%の実質的に完全に水素添加されたカメリナ種油、約1重量%のコペルニシア・セリフェラ(Copernicia cerifera)(カルナウバ)ロウおよび約1重量%のシモンジア・チネンシス(Simmondsia chinensis)種油を含む。
【0020】
一般に、少なくとも1種の添加剤は、既知の方法により、硬質化粧用粒子中または上に、取り込んでも、同伴させても、懸濁させても、あるいは配置してもよく、その硬質化粧用粒子は少なくとも部分的に水素添加された1種または複数種のトリグリセリド油を含み、その少なくとも50%は、炭素鎖長がC18.を超える脂肪酸部分を少なくとも15重量%有する。化粧用粒子組成物は一般に約50重量%〜約100重量%、代表的には約70重量%以上の少なくとも部分的に水素添加されたトリグリセリド油(その少なくとも50%は炭素鎖長がC18を超える脂肪酸部分を少なくとも15重量%有する)と、約0重量%〜約30重量%の添加剤とを含む。好ましい例示的組成物は、約80重量%のトリグリセリド油および約20重量%の添加剤を含む。
【0021】
化粧用粒子組成物は一般に、以下の通り調製することができる:
最初にトリグリセリド油に、当初のトリグリセリド油のヨウ素価の多くて約25%のヨウ素価まで、または代表的には1未満のヨウ素価まで、既知の方法により水素添加を行えばよい。この固形の水素添加トリグリセリド油は、少なくとも1種の添加剤と混合してもよい。トリグリセリド油(および存在する場合は少なくとも1種の添加剤)はその融解温度(ほとんどの場合80℃で十分である)まで加熱して油を液化することができる。その後、液化した油(存在する場合は少なくとも1種の添加剤を含む)を冷却し、たとえば、1893年4月25日に発行された米国特許第496,044号(現在期間満了)および1955年8月2日に発行された米国特許第2,714,224号(現在期間満了)に記載されているような既知の方法により、ビーズ、球、ミクロスフェア、または同種のものなどの硬質化粧用粒子として形成すればよい。
【0022】
例示的実施形態では、100%カメリナ種油からなる化粧用粒子組成物を調製してもよい。この場合、カメリナ種油に実質的に完全に水素添加を行い、約50℃〜約60℃のその融解温度まで加熱して油を液化すればよい。その後、液化した材料を冷却し、既知の方法により、100%水素添加カメリナ種油からなる硬質化粧用粒子に形成することができる。
【0023】
なお別の例示的実施形態では、約80wt%のカメリナ種油および20wt%の添加剤からなる化粧用粒子組成物を調製してもよい。最初にカメリナ種油に水素添加を行ってから、添加剤と共に融解すればよい。その後、この液化した混合物を冷却し、既知の方法により、水素添加カメリナ種油と添加剤の比率が約80:20の硬質化粧用粒子に形成することができる。
【0024】
なお別の例示的実施形態では、約75wt%の水素添加カメリナ種油(炭素鎖長がC18以上の脂肪酸部分を少なくとも15重量%有するトリグリセリド油)、約5wt%の水素添加モリンガ油および約20wt%の水素添加ヒマシ油(どちらもトリグリセリド油だが、炭素鎖長がC18以上の脂肪酸部分を少なくとも15重量%含まない)からなる化粧用粒子組成物を調製してもよい。トリグリセリド油を融解してから、冷却し、既知の方法により硬質化粧用粒子に形成することができる。
【0025】
硬質化粧用粒子は、たとえば、ゲル、ローション、クリーム、エマルジョンなどの局所用製剤に実質的に懸濁して、化粧用粒子を皮膚、毛髪および/または爪の表面の近くに送達するように適合された化粧用組成物を形成し得る。本発明の例示的な実施形態による化粧用粒子は、約0.01%〜約50%、代表的には約1%〜約5%の濃度で局所用製剤に組み込んでもよいが、これらの範囲は局所用製剤に求める美観および機能によって変化する場合がある。局所用製剤に組み込まれると、一般に硬質化粧用粒子は軟質化粧用粒子に変化する。得られる軟質化粧用粒子は、局所用製剤において見かけは無傷でも触覚的には感知できないことがある。変化には数日または数週間を要する場合がある。また、例示的実施形態では、硬質化粧用粒子の柔軟化を促進するため、局所用製剤の温度を約50℃〜約60℃まで上昇させてもよい。
【0026】
例示的実施形態では、局所用製剤は一般に、界面活性剤ベースの局所用製剤を含む。界面活性剤ベースの局所用製剤の非限定的な例として、ボディウォッシュ、ハンドソープ、ボディポリッシャー(body polisher)、洗顔スクラブ、シャンプーまたは同種のものを挙げることができる。界面活性剤ベースの製剤製剤の界面活性剤としては、カルボキシレート、脂肪アルコール、グルコシド、ポロキサマー、ポリエチレングリコール、第四級アミン、サルフェート、スルホネート、トウィーンおよびベタイン、ならびに他のグリシン誘導体を挙げることができる。
【0027】
得られた軟質化粧用粒子は、使用者が機械的剪断力を印加したとき、実質的に崩壊、破断、破裂、または他の現象(本明細書ではまとめて「破壊」という)が起こるように適合され得る。化粧用粒子内または上に取り込まれるか、同伴させるか、懸濁されるか、あるいは配置された添加剤がない場合、破壊された軟質化粧用粒子自体が局所用製剤にエモリエント性を与え、さらに高められた外観および使用感を付与してもよい。化粧用粒子が少なくとも1種の添加剤を含む場合、破壊された軟質化粧用粒子は少なくとも1種の添加剤を放出するため、添加剤は皮膚、毛髪または爪の表面に遊離する。哺乳類の対象の皮膚、毛髪または爪の表面に少なくとも1種の添加剤が実質的に均一に広がるように、遊離する際、少なくとも1種の添加剤および少なくとも部分的に水素添加された1種または複数種のトリグリセリド油を局所用製剤と混合することができる。
【0028】
本明細書に記載するような例示的な実施形態により処方された硬質化粧用粒子は、硬質化粧用粒子を局所用製剤に加える局所用製剤の製造者、化粧用組成物の製造者または同種の者に、安定な無傷の形態で受け渡すことができる。例示的実施形態では、局所用製剤を加温してエモリエント性(少なくとも1種または複数種のトリグリセリド油による)を与え、および/または少なくとも1種の添加剤を送達するように軟質化粧用粒子への変化を促進してもよい。
【0029】
以上のように、局所用製剤に加えると軟質化粧用粒子に変化する硬質化粧用粒子を形成するように適合された化粧用粒子組成物を提供する。粒子自体と、粒子内または上に取り込むか、同伴させるか、懸濁させるか、あるいは配置した任意の添加剤とを保護するために硬さが化粧用粒子に必要とされる保管および輸送時には、化粧用粒子は硬質の状態のままであり、局所用製剤に組み込まれた後にのみ軟質化粧用粒子に変化する。この変化能力により、硬質ビーズの望ましい特性と軟質ビーズの望ましい特性とが組み合わされる。
【0030】
哺乳類の対象の皮膚、毛髪および/または爪の表面への化粧用粒子の送達について記載してきたが、本発明はこれに限定されるものではない。化粧用粒子は、たとえば哺乳類以外の動物、ならびに植物、家具または同種のもののような局所使用の他の標的に、添加剤およびエモリエント性を送達するために用いることができる。
【0031】
上記の発明を実施するための形態では、少なくとも1つの例示的実施形態を示してきたが、多くの変更が存在することを理解されたい。さらに、例示的実施形態は単に例に過ぎず、いかなる意味でも本発明の範囲、適用性または構造を限定することを意図するものではないことも理解されたい。上記の詳細な説明はむしろ、本発明の例示的実施形態を実施するための簡便な行程表を当業者に提供するものであり、添付の特許請求の範囲に示したような本発明およびその法的均等物の範囲から逸脱しない範囲で例示的実施形態に記載した要素の機能および構成に関して種々の変更が可能であることが理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧用粒子組成物であって、
少なくとも部分的に水素添加された1種または複数種のトリグリセリド油を含み、その少なくとも50%が、炭素鎖長がC18を超える脂肪酸部分を少なくとも15重量%有し、前記化粧用粒子組成物は、局所用製剤に組み込むと軟質化粧用粒子に変化する硬質化粧用粒子を形成するように適合される化粧用粒子組成物。
【請求項2】
前記少なくとも部分的に水素添加された1種または複数種のトリグリセリド油が、前記化粧用粒子組成物の約70重量%〜約100重量%の量で存在する、請求項1に記載の化粧用粒子組成物。
【請求項3】
前記化粧用粒子組成物の約30重量%以下の量で少なくとも1種の添加剤をさらに含む、請求項2に記載の化粧用粒子組成物。
【請求項4】
前記少なくとも部分的に水素添加された1種または複数種のトリグリセリド油が前記化粧用粒子組成物の約80重量%の量で存在し、前記少なくとも1種の添加剤が前記化粧用粒子組成物の約20重量%の量で存在する、請求項3に記載の化粧用粒子組成物。
【請求項5】
前記少なくとも部分的に水素添加された1種または複数種のトリグリセリド油が、リムナンテス・アルバ(メドウフォーム)、カメリナ・サティバ(カメリナ)、クランベ・アビシニカ(クランベ)、トロパエオルム属、高エルカ酸ナタネ(HEAR)、エルカ属、ルナリア属および大部分のアブラナ科ならびにこれらの組み合わせに由来する、少なくとも部分的に水素添加されたトリグリセリド種油からなる群から選択される、請求項1に記載の化粧用粒子組成物。
【請求項6】
前記少なくとも部分的に水素添加された1種または複数種のトリグリセリド油が、完全に水素添加されたカメリナ・サティバトリグリセリド種油を含む、請求項5に記載の化粧用粒子組成物。
【請求項7】
コペルニシア・セリフェラ(カルナウバ)ロウおよび水素添加ホホバ油をさらに含む、請求項6に記載の化粧用粒子組成物。
【請求項8】
前記完全に水素添加されたカメリナ・サティバトリグリセリド油が前記化粧用粒子組成物の約98重量%を構成し、約1重量%のコペルニシア・セリフェラ(カルナウバ)ロウおよび約1重量%の水素添加ホホバ油を含む、請求項7に記載の化粧用粒子組成物。
【請求項9】
前記局所用製剤が界面活性剤ベースの局所用製剤を含む、請求項1に記載の化粧用粒子組成物。
【請求項10】
化粧用粒子組成物であって、
少なくとも部分的に水素添加された1種または複数種のトリグリセリド油(その少なくとも50%は、炭素鎖がC18を超える脂肪酸部分を少なくとも15重量%有する)からなる硬質化粧用粒子;および
前記硬質化粧用粒子中または上に配置された少なくとも1種の添加剤;
を含み、前記硬質化粧用粒子は局所用製剤に組み込むと軟質化粧用粒子に変化する化粧用粒子組成物。
【請求項11】
前記少なくとも部分的に水素添加された1種または複数種のトリグリセリド油が前記化粧用粒子組成物の約70%〜約100重量%の量で存在する、請求項10に記載の化粧用粒子組成物。
【請求項12】
前記化粧用粒子組成物の約30重量%以下の量で少なくとも1種の添加剤をさらに含む、請求項11に記載の化粧用粒子組成物。
【請求項13】
前記少なくとも部分的に水素添加された1種または複数種のトリグリセリド油が前記化粧用粒子組成物の約80重量%の量で存在し、前記少なくとも1種の添加剤が前記化粧用粒子組成物の約20重量%の量で存在する、請求項12に記載の化粧用粒子組成物。
【請求項14】
前記少なくとも部分的に水素添加された1種または複数種のトリグリセリド油が、リムナンテス・アルバ(メドウフォーム)、カメリナ・サティバ(カメリナ)、クランベ・アビシニカ(クランベ)、トロパエオルム属、高エルカ酸ナタネ(HEAR)、エルカ属、ルナリア属および大部分のアブラナ科ならびにこれらの組み合わせに由来する、少なくとも部分的に水素添加されたトリグリセリド種油からなる群から選択される、請求項10に記載の化粧用粒子組成物。
【請求項15】
前記少なくとも部分的に水素添加された1種または複数種のトリグリセリド油が、完全に水素添加されたカメリナ・サティバトリグリセリド種油を含む、請求項14に記載の化粧用粒子組成物。
【請求項16】
コペルニシア・セリフェラ(カルナウバ)ロウおよびホホバエステルをさらに含む、請求項15に記載の化粧用粒子組成物。
【請求項17】
前記完全に水素添加されたカメリナ・サティバトリグリセリド油が前記化粧用粒子組成物の約98重量%を構成する、請求項16に記載の化粧用粒子組成物。
【請求項18】
化粧用組成物であって、
少なくとも部分的に水素添加された1種または複数種のトリグリセリド油(その少なくとも50%は、炭素鎖長がC18を超える脂肪酸部分を少なくとも15重量%有する)からなる複数種の硬質化粧用粒子;および
局所用製剤;
を含み、前記硬質化粧用粒子は、前記局所用製剤に導入されると軟質化粧用粒子に変化し、標的にエモリエント性を与えるように適合される、化粧用組成物。
【請求項19】
前記複数種の硬質化粧用粒子の少なくとも1種の粒子中または上に配置された少なくとも1種の添加剤をさらに含む、請求項18に記載の硬質化粧用粒子。
【請求項20】
前記少なくとも部分的に水素添加された1種または複数種のトリグリセリド油が、完全に水素添加されたカメリナ種油を含む、請求項18に記載の硬質化粧用粒子。

【公表番号】特表2012−500777(P2012−500777A)
【公表日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−514882(P2011−514882)
【出願日】平成21年6月22日(2009.6.22)
【国際出願番号】PCT/US2009/048135
【国際公開番号】WO2010/008791
【国際公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(500176311)インターナショナル フローラ テクノロジーズ,リミテッド (15)
【Fターム(参考)】