説明

水素生成用触媒の製造方法

本発明は、白金、バナジウムおよびコバルトを表面に沈着させる方法に関する。本発明はまた白金およびナトリウム含有触媒の製造にも関する。さらに詳しくは、本発明は、水含有合成ガス混合物のような一酸化炭素と水を含むガス混合物から水素富化ガスを生成させるための貴金属含有触媒および貴金属を含まない触媒の両方を製造する方法を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2002年12月20日出願の米国特許仮出願第60/434,728号に基づく遡及の特典を主張するものであり、該仮出願を、あらゆる目的のためにそのすべてを参照により本明細書に組み込む。また、本出願は、発明者がハーゲマイヤーらの本出願と同日に出願した「水素生成用触媒の製造方法」と題した米国特許出願(代理人整理番号7080−011−01)を参照により組み込む。
【0002】
本発明は、白金、バナジウム、モリブデン、およびコバルトを表面に沈着させる改良法に関する。本発明はまた、白金−および/またはナトリウム−含有触媒の改良製造法にも関する。より詳しくは、本発明は、水含有合成ガス混合物のような一酸化炭素と水を含むガス混合物から水素富化ガスを生成させるための貴金属含有触媒および非貴金属含有触媒の両方を製造する方法を含む。
【背景技術】
【0003】
WGS反応は、水(蒸気)と一酸化炭素からだけで水素富化ガスを製造するもう1つの機構である。下記に示す、平衡過程である水性ガスシフト反応により、水と一酸化炭素が水素と二酸化炭素に変換され、逆もまた同様である。
【0004】
【化1】

【0005】
WGS反応を触媒するための各種触媒が開発されている。一般に、これらの触媒は、450℃を超える温度および/または1バールより高い圧力で使用されることが想定されている。例えば米国特許第5,030,440号には、550℃〜650℃でのシフト反応を触媒するためのパラジウムおよび白金を含有する触媒配合物が開示されている。鉄/銅をベースにした触媒配合物に関する米国特許第5,830,425号を参照のこと。
【0006】
水性ガスシフト反応の条件下での水と一酸化炭素の触媒的変換は、水素に富み一酸化炭素の乏しいガス混合物を製造するのに使用されている。しかし、既存のWGS触媒は、所定の温度で、その生成ガスを続いて水素供給流として使用できるような水素と一酸化炭素との熱力学的平衡濃度に到達あるいは接近するに十分な活性を示さない。特に、既存の触媒配合物は、低温、すなわち約450℃未満での活性が十分でない。米国特許第5,030,440号を参照のこと。
【0007】
多くの化学工程およびエネルギー生成工程には、水素富化組成物(例えば供給流)が必要である。典型的には、水素富化供給流を他の反応物と組合せて様々な工程を実施する。工程によっては、水素富化供給流はその工程に有害な成分を含むべきでない。ポリマー電解質膜(「PEM」)燃料電池などの燃料電池は、水素富化供給流からエネルギーを発生させる。PEM燃料電池は、一般に、450℃未満の供給流ガス入り口温度で稼動する。一酸化炭素を、典型的には白金含有触媒である電解触媒の被毒を防ぐことが可能な程度にまで、供給流から排除する。米国特許第6,299,995号を参照のこと。
【0008】
水素富化ガスを作るための1つの方法が、炭化水素の水蒸気改質である。炭化水素の水蒸気改質では、水蒸気を、メタン、イソ−オクタン、トルエンなどの炭化水素燃料と反応させて水素ガスと二酸化炭素を生じさせる。メタン(CH4)について下に示した反応は、強度に吸熱性であり、反応にはかなりの熱量が必要である。
【0009】
CH4+2H2O→4H2+CO2
石油化学工業において、天然ガスの炭化水素水蒸気改質は、900℃を超える温度で実施されるのが典型的である。触媒で支援された炭化水素水蒸気改質の場合でも、要求される温度は、やはり700℃を超えることが多い。例えば米国特許第6,303,098号を参照のこと。ニッケルおよび金含有触媒ならびに450℃を超える温度を利用する、メタンなどの炭化水素の水蒸気改質が、米国特許第5,997,835号に記載されている。触媒を使用する方法は、カーボン形成を抑えながら水素富化ガスを形成する。
【0010】
白金(Pt)は、炭化水素の水蒸気改質および水性ガスシフト反応の双方に対する周知の触媒である。高温(850℃を超える)および高圧(10バールを超える)の代表的な炭化水素水蒸気改質条件の下では、高温と概して非選択的な触媒組成物のために、WGS反応が炭化水素水蒸気改質触媒上で後改質を起こすことがある。水性ガスシフト反応が後改質を起こすかもしれない各種の触媒組成物および反応条件については、例えば米国特許第6,254,807号、第5,368,835号、第5,134,109号および第5,030,440号を参照のこと。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、貴金属−および非貴金属−含有触媒を製造する改良方法に対する必要性が存在する。特に、水素富化合成ガスなどの水素富化ガス生成のための高活性で高選択性の触媒を製造する改良法に対する必要性が存在する。
【0012】
本発明は貴金属−および非貴金属−含有触媒を製造する改良法に対する必要性に対応するものである。好ましくは、この方法は、水素の生成と一酸化炭素の酸化のための触媒の製造に適用し、それによって少なくとも一酸化炭素と水のガス混合物から、水素富化合成ガスなどの水素富化ガスを供給する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1の一般的実施形態として、本発明は、酸または塩基の存在下に表面を白金塩で処理し、続いて表面を十分に洗浄して実質上すべての白金を含まない溶解性塩を除去するか、または別法として揮発性の白金を含まない生成物が生成する場合は表面を加熱して揮発性生成物を追い出すことを含む、表面上に白金を沈着させる方法である。表面は次いで約250℃以上で高くとも約550℃の範囲の温度で仮焼することができ、あるいは先行する仮焼を行わずに約150℃〜約350℃の温度で還元してもよい。
【0014】
第2の一般的実施形態として、本発明は、触媒組成物のナトリウムを含まない全ての成分を表面上に沈着させ、続いて該表面にナトリウム含有成分を含浸させ、次いで表面を約200℃〜約350℃の温度で仮焼することを含む、ナトリウム含有触媒の製造方法である。
【0015】
第3の一般的実施形態として、本発明は、先ず触媒組成物の白金を含まない全ての成分およびナトリウムを含まない全ての成分を表面上に沈着させ、続いて白金含有およびナトリウム含有前駆物質を順次または同時に適用することを含む、白金含有触媒およびナトリウム含有触媒の製造方法である。白金単独でのまたはナトリウムと一緒での適用の後、仮焼工程が続き、一方ナトリウム含有前駆物質の適用は仮焼工程よりも一般に低い温度での乾燥によって引続いて処理できる。
【0016】
第4の一般的実施形態として、本発明は、表面を硝酸コバルト(+3)または亜硝酸錯体で処理し、続いて表面を約425℃以下の温度で仮焼することを含む、表面上にコバルトを沈着させる方法である。
【0017】
第5の一般的実施形態として、本発明は、例えばギ酸バナジウム(+5)錯体、あるいはH22中V25またはNH4VO3によって生成したバナジウム錯体を含むバナジウム(+5)錯体の水溶液で表面を処理し、続いて約500℃未満の温度で表面を仮焼することを含む、バナジウムを表面上に沈着させる方法である。
【0018】
第6の一般的実施形態として、本発明は、安定化したZrO2触媒担体をつくるため、例えばCe、La、W、Ta、Nb、Ti、Mo、V、およびSiを含むスタビライザーをZr(OH)4に加えることを含む、触媒担体を製造する方法である。得られた安定化ジルコニアは機械的担体上のプライム層として使用して適当な触媒担体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明は、貴金属含有触媒および非貴金属含有触媒の両方を製造する改良法、ならびに金属を表面に沈着させる方法に関する。好ましくは、本方法は、水素の生成と一酸化炭素の酸化用触媒の製造に向けられ、それによって少なくとも一酸化炭素と水のガス混合物から水素富化合成ガスなどの水素富化ガスを供給する。そのような触媒は、バルクの金属上に担持してもよいし、またはアルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニア、セリア、マグネシア、ランタニア、ニオビア、ゼオライト、ペルボスカイト、シリカ、イットリア、および酸化鉄の任意の1種または組合わせなどの適当な担体上に担持してもよい。
【0020】
1.定義
水性ガスシフト(「WGS」)反応:水と一酸化炭素から水素と二酸化炭素を生成させる反応、およびその逆反応、すなわち
【0021】
【化2】

【0022】
一般には、また、そうでないことを明示しない限り、本発明の各WGS触媒は、上記前向きの反応(すなわち、H2の生成)、あるいは上記逆向きの反応(すなわち、COの生成)の両方に関して有利に適用できる。
【0023】
メタン化反応:一酸化炭素または二酸化炭素などの炭素源と水素から、メタンと水を生成する反応、すなわち
CO+3H2→CH4+H2
CO2+4H2→CH4+2H2
「合成ガス」:水素(H2)および一酸化炭素(CO)を含むガス混合物で、二酸化炭素(CO2)、水(H2O)、メタン(CH4)および窒素(N2)を含んでいてもよい。
【0024】
炭化水素:水素、炭素、および所望により酸素を含む化合物。
【0025】
元素周期表は、現行のIUPAC規約に基づくものであり、したがって、例えば11族にはCu、AgおよびAuが含まれる(2002年5月30日付けhttp://www.iupac.orgを参照のこと)
本明細書で記述されるように、触媒組成物の命名では、1つの触媒が各成分群に列挙された触媒成分の1種以上を含んでもよい場合に触媒成分群を区別するためにダッシュ(すなわち「−」)を使用し、触媒成分群の構成物質を囲うために括弧(すなわち「{}」)を使用し、触媒組成物中に触媒成分群中の2種以上の構成物質の存在が必要なら「{....の二つ}」を使用し、その群の元素を加えない選択が可能なことを示すために「{}」の内部に「ブランク」を使用し、担持される触媒成分をもしあればその支持体材料から区別するためにスラッシュ(すなわち「/」)を使用する。また、触媒組成物中の元素は、酸化物、塩またはそれらの混合物といったあらゆる可能な酸化状態をとることができる。
【0026】
本明細書中でこの略記法を使用すると、例えば、「Pt−{Rh,Ni}−{Na、K、Fe、Os}/ZrO2」は、ZrO2上に担持されたPt、ならびにRhおよびNiの1種以上、ならびにNa、K、FeおよびOsの1種以上を含有する触媒組成物を表し、すべての触媒元素は、別途に明示しない限り、任意の可能な酸化状態でよい。「Pt−Rh−Ni−{Na、K、Fe、Osの二つ}」は、Pt、RhおよびNi、ならびにNa、K、FeおよびOsの中の2種以上を含有する担持または非担持触媒組成物を表す。「Rh−{Cu、Ag、Au}−{Na、K、ブランク}/TiO2」は、Rh、ならびにCu、AgおよびAuの中の1種以上、ならびに所望によりNaまたはKの中の1種を含有するTiO2上に担持された触媒組成物を表す。
2.白金の析出
本発明は、酸、または酸塩、または塩基の存在下、塩化白金(+4)などの白金塩で表面を処理し、続いて該表面を十分に洗浄して実質的にすべての白金を含まない水溶性塩を除去するか、あるいは別法として十分に高温に加熱してすべての揮発性塩の副生物を分解させて追い出すことを含む表面上に白金を析出させる方法を提供する。次いで該表面を約250℃〜約350℃の温度で仮焼する。好ましくは、この表面は、触媒担体の表面またはバルク触媒の表面である。好ましいのはまた、触媒が水性ガスシフト触媒組成物のものである。
【0027】
白金と酸、酸塩、または塩基との間の相互作用はさまざまな方法で達成できる。1つの方法は、白金塩を表面に適用し、次いで酸、酸塩、または塩基にさらすことであり、別の方法は酸、酸塩、または塩基を該表面に適用してから白金を加えることである。さらに別の方法は、酸、酸塩、または塩基と白金を同時に表面に加えることである。
【0028】
水酸化テトラメチルアンモニウムは好適な塩基の一例であり、次に示すように触媒表面上に水酸化白金の析出を生じさせる:
PtCl4 + NMe4OH → 不溶Pt(OH)4 + 溶解性NMe4Cl
オキサミン酸は好適な酸の一例であり、次に示すように触媒表面上にオキサミン酸白金の析出を生じさせる:
PtCl4 + H2NCOCO2H → 不溶オキサミン酸白金 +揮発性HCl
Pt前駆物質として塩化白金(+4)を使用することの利点には、低コストと水への溶解度が高いことがある。しかしながら、塩化物イオンは触媒毒なので、析出した白金塩(上に示したようにPt(OH)4またはオキサミン酸白金など)は、塩化物塩副生物(上に示したようにNMe4ClまたはHClなど)を効果的に除去するため、十分な量の水などの溶媒で洗浄するか、または揮発性塩化物塩副生物をすべて分解して追い出すのに十分に高い温度に加熱しなければならない。
【0029】
具体的には、白金を沈着させる改良法は次の工程を含む:
(a)白金塩溶液を表面に適用してコーティングした表面を形成させ;
(b)コーティングした表面上の溶液に酸、酸塩、または塩基を加えて表面上にPt化合物を析出させてPt含有表面を形成させる。別の方法は、先ず表面に酸、酸塩、または塩基を含浸させ、次いで白金塩を導入することである。
【0030】
Pt化合物を析出させるため酸、または酸塩を使用するときは、Pt含有表面を次の(i)および(ii)によって(順序に関係なく)処理する:
(i)Pt含有表面を溶媒で洗浄して本質的にすべての水溶性塩を十分に除去し;次いで
(ii)Pt含有表面を約250℃〜約500℃未満の温度、好ましくは約250℃〜約350℃の温度で仮焼する。
【0031】
白金を含まない塩が適当な温度で分解可能のときは、Pt含有表面を約450℃〜約550℃の温度で仮焼することによってさらに処理できる。
【0032】
Pt化合物を析出させるのに塩基を利用するときは、該表面は以下のいずれかによってさらに処理することができる:
(i)Pt含有表面を以下の工程により(順序に関係なく)処理し;
(ii)Pt含有表面を溶媒で洗浄して本質的にすべての水溶性塩を十分に除去し;次いで
(ii)Pt含有表面を約250℃〜500℃未満、好ましくは約250℃〜約350℃の温度で仮焼するか、または
白金を含まない塩が適当な温度で分解可能なときは、場合によって表面を約60℃〜約400℃の温度で乾燥し;次いで該表面を約300℃〜約550℃の温度で仮焼する。
【0033】
本発明の別の方法は、洗浄した表面を約150℃〜約300℃で直接還元して仮焼工程を行わないことである。
【0034】
上記方法に使用できる白金塩としては、例えばPtCl2、PtCl3、PtCl4、PtBr4、Pt(SO42、PtCl2(NH34、PtCl4(NH32、H2PtCl6、K2PtCl6、Na2PtCl6、(NH42PtCl6、K2PtCl4、Na2PtCl4、Pt(NO32 およびすべてのそれらのアミン塩が挙げられる。特に好ましい白金塩はPtCl4であり、該白金塩は水溶液状であるのが好ましい。
【0035】
上記方法で使用に適する酸および酸塩としては、例えばオキサミン酸、蓚酸、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、酢酸、ギ酸およびそれらの塩が挙げられる。好ましい酸はオキサミン酸である。上記方法に使用するのに好適な塩基としては、例えばN(CH34OH、NH4OH、(NH42CO3、(NH4)HCO3、NaOH、KOH、CsOH、Na2CO3、K2CO3、NaHCO3およびKHCO3が挙げられる。しかしながら、これらのうち、N(CH34OH、NH4OH、(NH42CO3および(NH4)HCO3などのアンモニウムまたはアンモニウム誘導体を含む塩基は白金を含まない塩を生成し、このものは加熱によって容易に分解するので洗浄工程を必要としない。
【0036】
塩基性のPt前駆物質を析出させるのに無機酸が使用できる。例えば、仮焼に際して無害または有利な金属酸化物を与える無機酸が使用できる。好適な無機酸としては、例えば、過レニウム酸、ケイ酸、モリブデン酸、およびモリブデンケイ酸またはモリブデンバナジン酸などのヘテロポリ酸が挙げられる。
【0037】
上記の方法はさらにPt化合物を還元する工程を含んでもよい。また、製造方法には、表面上にPt化合物が析出後、約60℃〜約400℃の温度の乾燥工程をさらに含むことができる。Pt化合物が表面に析出後乾燥を実施するにはフラッシュ乾燥工程を使用できる。触媒のフラッシュ乾燥によって金属の分散を高めることができる。任意の適当なフラッシュ乾燥法が使用できる。酸、その酸塩、または塩基が先ず加えられる方法では、Pt塩の添加前に乾燥工程を配置することもできる。
【0038】
白金を沈着させる本発明の特に好ましい方法は以下の工程を含む:
(a)白金塩の溶液、好ましくは水溶液を表面に適用する;
(b)前記表面に水酸化物溶液を加えて表面に水酸化白金を析出させ;次いで
(c)析出した水酸化白金を含む表面を溶媒、好ましくは水で洗浄して実質的にすべての水溶性塩化物イオンを十分に除去し;次いで
(d)前記水酸化白金を還元剤、好ましくは水素ガスで約150℃〜約350℃の温度で処理する。
【0039】
別の好ましい方法は工程(a)と(b)を逆の順序で実施することである。
【0040】
この方法に利用できる水酸化物溶液は、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウムまたはそれらの混合物からなる。
【0041】
ナトリウム含浸法
本発明は、触媒組成物のナトリウムを含まないすべての成分を表面に含浸させ、続いてナトリウム含有成分で表面を含浸させることを含む、ナトリウム含有触媒組成物の製造方法を提供する。前記表面を次いで約200℃〜約400℃の比較的穏やかな温度で加熱または仮焼する。好ましいナトリウム含有成分の1つは水酸化ナトリウムである。好ましい触媒配合物の1つは水性ガスシフト触媒である。
【0042】
そのような方法でのナトリウム含有成分による触媒表面の処理は、熱的に敏感なナトリウムを触媒製造に通常伴う高い仮焼温度にかけない利点を有する。高温処理は白金(特に還元白金)に対しても有害であるので、PtおよびNa含有触媒にも同じ触媒調製方法が使用できる。例えば、触媒表面上にPt含有種およびNa含有種の両者を後で共含浸させる場合は、この触媒は本発明の比較的おだやかな温度条件を受けることになるであろう。
【0043】
本方法の1つの実施形態は、ナトリウムを含まないすべての触媒成分を表面上に析出し、次いで約350℃を超える温度で仮焼するという調製順序である。この仮焼した表面には次いでナトリウム含有前駆物質が加えられ、次いで約200℃〜約400℃、好ましくはナトリウム含有触媒で触媒される反応温度を超えない温度で乾燥を受ける。
【0044】
本方法の別の実施形態は、触媒上に存在する溶媒または蒸発性物質の減圧、例えば大気圧未満の圧力下での除去を含む製造工程とすることができる。さまざまな手段を実施して触媒表面の圧力を大気圧未満に達成でき、次いで表面を加熱して望ましくない物質を除くことができる。
【0045】
本発明のさらに他の実施形態では、ナトリウムおよび白金を含まないすべての触媒成分を表面上に沈着させ、次いで白金含有成分を沈着させる製造順序とすることができる。次いで該表面を約350℃を超える温度で仮焼し、続いて水酸化ナトリウムなどのナトリウム含有前駆物質を加え、約400℃未満、好ましくは約200℃未満、最も好ましくはナトリウム含有触媒によって触媒される反応の温度を超えない温度で仮焼する。
【0046】
本方法にはさまざまのナトリウム含有前駆物質を使用することができ、これらの前駆物質は、例えばNaOH、Na2CO3、NaHCO3、Na22およびNaOOCHなどのように、約400℃未満の温度で分解するのが好ましい。
【0047】
PtおよびNa含有触媒製造方法
本発明の一般的な実施形態は、触媒組成物の白金およびナトリウムを含まないすべての成分を表面上に沈着させ、次いで白金含有前駆物質およびナトリウム含有前駆物質を別々または一緒に、白金およびナトリウム塩の混合物または複合物として表面に適用することによって白金およびナトリウム含有触媒を製造する方法である。次の段階は触媒成分を含むコーティングされた表面を約200℃〜約400℃の温度で仮焼することである。本明細書中で使用するように、触媒組成物の成分の沈着は、前駆物質成分を触媒担体に含浸させるかまたは接触させ、続いて仮焼して前駆物質成分を分解して触媒成分を形成させることを含む。
【0048】
この実施形態において、白金含有前駆物質およびナトリウム含有前駆物質は、個々にまたは混合物として表面に適用することができる。混合物は白金含有前駆物質とナトリウム含有前駆物質の混合物であってもよく、あるいは混合物は、例えばNa2Pt(OH)6などの白金とナトリウムの両方を含む複合塩であってもよい。本方法はさらに、白金含有前駆物質およびナトリウム含有前駆物質を表面に適用後、事実上すべての水溶性塩を完全に除去するため、仮焼工程の前または後のいずれでもよいが、溶媒で表面を洗浄することを含む。本方法はさらに白金を還元する工程を含むことができる。
【0049】
本発明にしたがう白金およびナトリウム含有触媒を製造する別の方法は以下の各工程を含む:
(a)触媒構成物の白金およびナトリウムを含まないすべての成分を表面上に沈着させて第1の表面を形成させ;
(b)白金含有前駆物質溶液を該第1の表面に適用して白金含有表面を形成させ;
(c)前記白金含有表面を約200℃〜約400℃の温度で仮焼して仮焼した白金含有表面を形成させ;
(d)ナトリウム含有前駆物質溶液を仮焼した白金含有表面に適用して第2の表面を形成させ;そして
(e)前記第2の表面を、好ましくは約110℃〜約400℃、より好ましくは白金およびナトリウム含有触媒によって触媒される反応の反応温度を超えない温度で乾燥させる。工程(c)の後に白金を還元する工程を追加することも好ましい。
【0050】
白金およびナトリウム含有触媒を製造する他の方法は、次の(a)および(b)の工程を含む:
(a)触媒構成物の白金およびナトリウムを含まないすべての成分を表面上に沈着させて第1の表面を形成させ;
(b)前記第1の表面を、次の(i)および(ii)によって処理する(ただし連続順序に関係なく):
(i)白金含有前駆物質溶液を適用した後、仮焼する;および
(ii)ナトリウム含有前駆物質溶液を適用した後、乾燥する。
【0051】
適用工程の順序は、非白金−および非ナトリウム−成分の酸性度または塩基度に応じるのが好ましい。これらの成分が酸性の場合は、最初にナトリウム含有前駆物質を適用して乾燥させ、続いて白金含有前駆物質を適用し、仮焼するのが好ましい。非白金および非ナトリウム成分が塩基性の場合は反対の順序が望ましい。好ましくは、仮焼工程は約250℃〜約500℃の温度で実施され、一方乾燥工程は約110℃〜約400℃の温度で行われる。いずれにせよ白金は仮焼後に還元するのが好ましい。さらに、白金および酸、その塩または塩基との間の反応は上に掲げたさまざまな方法で起り得る。
【0052】
本発明にしたがう白金およびナトリウム含有触媒の別の改良製造法は次の諸工程を含む:
(a)触媒組成物の白金およびナトリウムを含まないすべての成分を表面上に沈着させ;
(b)PtCl4の溶液を表面に適用し;
(c)酸または塩基を表面上の溶液に加えてPt化合物を表面上に析出させる。
【0053】
Pt化合物を析出させるため酸を使用する場合は、以下の諸工程によって表面をさらに処理する:
(d)表面を約450℃〜約500℃の温度で仮焼して仮焼した表面を形成させ;
(e)水酸化ナトリウムの溶液を仮焼した表面に適用し;次いで
(f)表面を約200℃〜約250℃の温度で仮焼させる。
【0054】
Pt化合物を析出させるのに塩基を使用する場合は、さらに以下の諸工程によって表面を処理する:
(d)本質的にすべての水溶性塩を十分に除去するため溶媒で表面を洗浄すること、および該表面を約250℃〜約350℃の温度で仮焼すること(連続の順序に関係なく)によって表面を処理し;
(e)水酸化ナトリウムの溶液を表面に適用し;次いで
(f)該表面を約200℃〜約250℃の温度で仮焼する。
【0055】
これらのいずれの方法でも、析出した白金は上述の酸または塩基のどちらかを加えることによって還元することができる。
【0056】
好ましいナトリウム含有前駆物質としては、例えばNaOH、Na2CO3、NaHCO3、Na22およびNaOOCHが挙げられ、一方好ましい白金含有前駆物質としては、例えばPt(NH34(NO32、Pt(NH32(NO22、Pt(NH34(OH)2、K2Pt(NO24、Pt(NO32、H2PtCl6、PtCl4、Pt(NH34(HCO32、Pt(NH34(HPO4)、(NMe42 Pt(OH)6、H2Pt(OH)6、K2Pt(OH)6、Na2Pt(OH)6、K2Pt(CN)6、およびK2Pt(C242が挙げられる。特に好ましい前駆物質はNa2Pt(OH)6とすることができ、このものは白金およびナトリウムの両方を含む。いずれの洗浄工程にも好ましい溶媒は水である。
【0057】
触媒製造用Coソースとしての硝酸Co(+3)および亜硝酸Co(+3)
本発明はまた、表面をコバルト(+3)塩、特に硝酸コバルト(+3)および亜硝酸コバルトで処理し、続いて約425℃を超えない温度で仮焼することを含む、表面にコバルトを析出させる方法を提供する。
【0058】
本方法で使用できるコバルト(+3)塩としては、例えばNH3CO(NO26、Co(NH36(NO33、Co(H2N−CH2−CH2−NH23(NO33、およびCo(NR36(NO33が挙げられ、ここでRは炭素原子数1〜4を有するアルキル基であり;特に好ましいのはコバルト(+3)塩:Co(NH36(NO33、Na3Co(NO26、またはこれらの混合物である。好ましいのは、例えば、60℃〜100℃範囲の還流水熱水中で可溶化された硝酸コバルト(+3)ヘキサアミンなどの安定な水溶液であるコバルト(+3)含有溶液である。
【0059】
硝酸コバルト(+3)ヘキサアミンは、その熱水中への溶解度、コバルトの+3という高い酸化状態、および約300℃で酸化コバルトへの容易な分解性のため、好ましい硝酸塩であることがわかった。硝酸コバルト(+3)ヘキサアミンは、Co含有水性ガスシフト触媒組成物中の硝酸コバルト(+2)よりも触媒活性が大きいことがわかった。表面は触媒の担体表面またはバルクの触媒表面が好ましい。また触媒組成物が水性ガスシフト触媒組成物であることが好ましい。仮焼温度を約300℃未満に限定することがさらに好ましい。
【0060】
触媒製造のためのバナジウム源としてのギ酸バナジウム(+5)アンモニウムおよびV(+5)ペルオクソ錯体
本発明はまた、表面をバナジウム(+5)化合物、例えばH22 中V25 またはNH4VO3 によって生成したギ酸バナジウム(+5)またはバナジウム錯体で処理し、次いで約500℃未満の温度で仮焼することを含む、表面にバナジウムを沈着させる方法を提供する。ギ酸バナジウム(+5)アンモニウムが好ましいギ酸塩であることがわかった。表面は触媒の担体表面またはバルク触媒の表面が好ましい。また触媒の組成は水性ガスシフト触媒の組成が好ましい。
【0061】
通常使用される2種類のバナジウム前駆物質は幾つかの欠点を有することがわかった。V25を蓚酸水溶液中に溶解して製造した蓚酸バナジルは+4の酸化状態にあるバナジウムを有する。メタバナジウム酸アンモニウムは既に+5の酸化状態にあるバナジウムを有するが、水への溶解度が劣るのが欠点である。都合のよいことに、ギ酸バナジウム(+5)アンモニウムおよびバナジウム(+5)ペルオクソ錯体はバナジウムが+5の高い酸化状態にあり、水に容易に溶解性で室温において安定である。
【0062】
本方法に使用できる可能性のある他のバナジウム前駆物質には、アンモニウムが置換されているギ酸バナジウム(+5)アンモニウム誘導体、例えばギ酸バナジウム(+5)テトラメチルアンモニウム、または他のアンモニウム誘導体、NR4(Rは1〜4の炭素原子数を有するアルキル基である)が含まれる。該前駆物質は水溶液中で可溶化できることが好ましい。好ましいバナジウム種のギ酸バナジウム(+5)アンモニウムは、NH4VO3、ギ酸およびアンモニアを熱水(80℃〜100℃還流)で反応させることによってバナジウム濃度が約0.3〜約0.5Mの水溶液として製造できる。クエン酸バナジウムをベースとした化合物は水に対する高い溶解度と比較的低い分解温度の両方を持つことができる。別の実施形態ではNH4VO3を約30%H22溶液中に15分間攪拌して溶解させ、おだやかに加温して安定なオレンジ色のV(+5)前駆物質溶液を製造することを含む。この反応スキームによってバナジウムの1モル濃度溶液をつくることができる。
【0063】
バナジウム含浸に続く仮焼工程の温度は、約150℃〜550℃または約300℃〜約550℃とすることができ、最も好ましくは該仮焼工程を約150℃〜約250℃の温度に限定することである。
【0064】
触媒組成
上に検討した製造方法で製造した触媒、触媒前駆物質および含浸順序は貴金属および非貴金属成分の両方を構成する。触媒成分は一般に還元または酸化物形態の混合物中に存在し;通常混合物中で一方の形態が優位を占める。触媒は、元素状あるいは酸化物または塩としての金属および/またはメタロイドを混合して触媒前駆物質を生成させることによって製造できる。この触媒前駆物質混合物は一般に使用前にその場(反応器内)で仮焼および/または還元処理を受ける。理論に拘束されることなく、触媒的に活性な種類は一般に還元された元素状態または他の可能な高酸化状態にある種類と考えられる。触媒前駆物質種は使用前処理によって触媒的に活性な種類に実質上完全に転化すると信じられている。それにも拘らず、仮焼および/または還元後に存在する触媒成分種は、還元された金属または他の可能な高酸化状態などの触媒的に活性な種類と仮焼および/または還元状態の効率による未仮焼または未還元の種類との混合物の可能性がある。本発明の好ましい実施形態は水性ガスシフト反応用の触媒の製造である。
【0065】
E.支持体
本製造方法(触媒前駆体と含浸方法)で製造した触媒は担持できる。好ましくは、支持体または担体は、水性ガスシフト反応が進行することを可能にする触媒と共に使用される任意の支持体または担体でよい。支持体または担体は、多孔性で吸着作用のある、約25〜約500m2/gの表面積を有する高表面積の支持体でよい。多孔性担体材料は、WGS工程で利用される条件に対して比較的不活性で、(1)活性炭、コークス、または木炭、(2)シリカまたはシリカゲル、炭化ケイ素、クレイ、および合成的に調製されたおよび天然に産出するものを含むケイ酸塩、例えば白陶土、珪藻土、フーラー土、カオリンなど、(3)セラミックス、磁器、ボーキサイト、(4)アルミナ、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、マグネシアなどの耐火性無機酸化物、(5)天然に産出するまたは調製したモルデン沸石および/またはフォージャサイトなどの結晶性および非晶質アルミノケイ酸塩、および(6)これらの群の組合せなど、炭化水素の水蒸気改質法で従来から利用されている担体材料が挙げられる。
【0066】
Ptを唯一の活性貴金属として含有する触媒を用いた担体のスクリーニングにより、水性ガスシフト触媒も、アルミナ、ジルコニア、チタニア、セリア、マグネシア、ランタニア、ニオビア、ゼオライト、ペロブスカイト、シリカクレイ、イットリアおよび酸化鉄を含む担体上に担持できることが判った。ペロブスカイトは、本発明の触媒配合物に対する支持体として、または貴金属の分散剤として利用できる。
【0067】
安定化したジルコニア担体は、安定化剤(スタビライザー)をZr(OH)4に加えて、スタビライザーとして例えばCe、La、W、Ta、Nb、Ti、Mo、V、およびSiを含む安定化したZrO2触媒担体をつくることにより製造できる。スタビライザーは、例えば全担体の5モル%濃度で加えることができる。混合物を約400℃〜約800℃に加熱して安定化したZrO2触媒担体をつくることができる。好ましくは、出発物のジルコニウムテトラハイドロオキサイドは約200〜約400m2/gの表面積を有する。得られる安定化したジルコニアは、仮焼後、安定化されていない、ドープされていない水酸化ジルコニウム錯体よりも大きな表面積を有し、機械的な担体上にプライマー層として使用して好適な触媒担体を提供することができる。
【0068】
ガンマ−、デルタ−、あるいはテータ−アルミナなどの表面積の大きなアルミナは好ましいアルミナ担体である。混合シリカアルミナ、ゾルーゲルアルミナ、ならびにゾルーゲルまたは共晶アルミナ−ジルコニア担体、またはジルコニウムプライムアミナ担体などの他のアルミナ担体も使用できる。アルミナは通常、ジルコニアなどの担体よりも大きな表面積と大きな細孔容積を有し、他のより高価な担体よりも価格的に有利である。ファウジャサイト(X,Yゼオライト)を含めてゼオライトは好適な担体となり得る。
【0069】
前述の説明は本発明の好ましい実施形態についてのものであるが、他の変形および改良も当業者にとっては明らかなことであり、本発明の技術思想から逸脱することなくなしうる。
【0070】
ここに引用したすべての参考文献の完全な開示を、すべての目的のため全部本明細書中に取り入れる。
【実施例】
【0071】
概要
少量の触媒組成物試料を、一般に、自動液体分注ロボット(カボロサイエンティフィックインスツルメント製)を用いて平らな石英の試験ウェハ上に調製する。
【0072】
担持触媒は、一般に、触媒支持体(例えばアルミナ、シリカ、チタニアなど)を、基板上の個別の領域または位置に液体処理ロボットを使用して典型的にはスラリー組成物としてウェハ基板上に供給すること、または当業者に周知の技術を用いて基板表面を洗浄コーティングすること、および乾燥させて基板上に乾燥した固体支持体材料を形成することによって調製される。次いで、支持体を含む基板の個別領域を、触媒または触媒前駆物質として機能させるように、金属(例えば、遷移金属塩の各種組合せ)を含む特定の組成物で含浸する。ある場合には、組成物を、異なる金属を含有する成分の混合物としてその領域に配送し、またある場合には、異なる金属を含有する前駆物質を使用して(追加的または交互的に)繰返しまたは反復的な含浸段階を実施する。組成物を乾燥して担持触媒前駆物質を形成する。触媒前駆物質に仮焼および/または還元処理を施してウェハ基板上の個別領域に活性な担持触媒材料を形成する。
【0073】
バルク触媒(例えば、貴金属を含まないNi含有触媒)も基板上に調製できる。このような多成分バルク触媒は、商業的供給元から購入され、および/または、沈殿もしくは共沈殿法によって調製され、次いで、場合によっては、機械的前処理(粉砕、篩い分け、圧縮)を含む処理を施される。バルク触媒は、典型的にはスラリー分注および乾燥により基板上に配置され、次いで、場合によっては、さらに、当業者にとって通常周知である含浸および/またはインシピエントウェットネス法により追加の金属含有成分でドープされ、バルク触媒前駆物質が形成される。このバルク触媒前駆物質に仮焼および/または還元の処理を施し、ウェハ基板上の個別領域に活性なバルク触媒材料を形成する。
【0074】
基板上の触媒材料(例えば、担持またはバルク)のWGS反応に対する活性および選択性を、走査/吸入プローブを具備した走査型質量分析計(「SMS」)を使用して試験する。走査型質量分析装置およびスクリーニング手順についてのさらなる詳細は、米国特許第6,248,540号、欧州特許第1019947号中、およびワンらによる欧州特許出願EP1186892およびそれに対応する2000年8月31日出願の米国特許出願第09/652,489号に示されており、そのそれぞれすべての開示をそのまま本明細書に組み込む。一般に、走査型質量分析計触媒スクリーニング反応器に関する反応条件(例えば、接触時間および/または空間速度、温度、圧力など)は、スクリーニングされる各種触媒材料の触媒活性を判断してランクを付けるために、走査型質量分析計中での転化が部分的(すなわち、例えば転化率が約10%〜約40%の範囲の非平衡転化)であるように制御される。さらに、反応条件および触媒装填量を、結果が、WGS反応のためのより大きな規模の実験室的研究用反応器の反応条件および触媒装填量と相似するように設定する。走査型質量分析計を使用して判断した結果とWGS反応のための実験室的研究用反応器を使用した結果との比較可能性を実証するために、限られた組での基準点実験を実施する。例えば、ハーゲマイヤーらによる2002年12月20日出願の「水素生成用白金−ルテニウム含有触媒配合物」と題する米国予備特許出願第60/434,708号の実施例12を参照されたい。
【0075】
調製および試験法
本発明の触媒の製造方法は、先に概要を説明し、より詳細を以下で説明するライブラリーフォーマット中で触媒を調製かつ試験する高処理量実験技術を利用して確認した。特に、WGS触媒としての活性および選択性を有する触媒組成を確認するのに、このような技術を使用した。これらの実施例で、「触媒ライブラリー」とは、ウェハ基板上に配列され、少なくとも2種の、典型的には3種以上の共通金属成分(完全還元状態の、または金属塩のように部分的もしくは完全酸化状態の金属を含む)を有するが、共通金属成分の相対的化学量論が互いに相違するWGS触媒候補の関連集合を指す。
【0076】
典型的には、ライブラリー設計および特定ライブラリーに関する調査範囲に応じて、各ウェハ基板上に複数(すなわち、2個以上)のライブラリーを形成した。第1群の試験ウェハには、1枚につき、3インチのウェハ基板上に、典型的にはほとんどの触媒を少なくとも3種の異なる金属を使用して形成した約100種の異なる触媒組成物を含めた。第2群の試験ウェハには、1枚につき、4インチのウェハ基板上に、やはり典型的にはほとんどの触媒を少なくとも3種の異なる金属を使用して形成した約225種の異なる触媒組成物を含めた。典型的には、各試験ウェハ自体に、複数のライブラリーを含めた。典型的には、各ライブラリーに、二元、三元またはより高次元の組成物を−すなわち、例えば、異なる相対比率で組み合わせた少なくとも3種の成分(例えば、A、B、C)を含めた三元組成物として含め、注目範囲(例えば、典型的には各成分について約20%から約80%強(例えば、場合によっては約100%まで)の範囲)を包含するモル化学量論を有する触媒材料を形成した。担持触媒の場合には、三元組成物に対する成分の化学量論を変化させることに加え、相対的な金属総装填量および触媒製造方法と技術についても調べた。
【0077】
第1群の(3インチ)試験ウェハ上に形成される典型的なライブラリーには、例えば「5点ライブラリー」(例えば、それぞれが5種の異なる関連触媒組成物を有する20個のライブラリー)、または「10点ライブラリー」(例えば、それぞれが10種の異なる関連触媒組成物を有する10個のライブラリー)、または「15点ライブラリー(例えば、それぞれが15種の異なる関連触媒組成物を有する6個のライブラリー)、または「20点ライブラリー」(例えば、それぞれが20種の異なる関連触媒組成物を有する5個のライブラリー)が含まれる。第2群の(4インチ)試験ウェハ上に形成される典型的なライブラリーには、例えば「9点ライブラリー」(例えば、それぞれが9種の異なる関連触媒組成物を有する25個のライブラリー)、または「25点ライブラリー」(例えば、それぞれが25種の異なる関連触媒組成物を有する9個のライブラリー)が含まれる。「50点ライブラリー」(例えば、試験ウェハ上にそれぞれが50種の関連触媒組成物を有する2個以上のライブラリー)を含むより広範囲の組成調査も行った。典型的には、候補となる触媒ライブラリー構成物質の化学量論的増分は、約1.5%(例えば、「55点三元」の場合)から約15%(例えば「5点」三元の場合)の範囲である。ライブラリー設計および配列構成に関するより詳細な説明については、例えばWO00/17413をに参照されたい。本願の図5A〜5Fは、ライブラリースタジオ(登録商標)(シミックステクノロジー社製、サンタクララ、カリフォルニア州)を使用してグラフで表した場合の、共通試験ウェハ上に調製されるライブラリーのためのライブラリー設計を示し、ライブラリーは、化学量論および触媒装填量の両方に関して変えることができる。相対的化学量論および/または相対的触媒装填量に関して変化できる触媒材料のライブラリーは、本出願のいくつかの実施例で示されるように、組成表で表すこともできる。
【0078】
例えば、図5Aを参照すると、この試験ウェハには、9個のライブラリーが含まれ、9個のライブラリーのそれぞれが、同じ3成分系の9種の異なる三元組成物を含む。以下の実施例における命名法では、このような試験ウェハを、9個の9点−三元(「9PT」)ライブラリーを含むと言う。この試験ウェハの右上隅に描かれたライブラリーには、9種の異なる化学量論で成分A、BおよびX1を含有する触媒組成物が含まれる。もう1つの例として、図5Bを参照すると、15種の様々な化学量論でPt、PdおよびCuの触媒成分を有する15点−三元(「15PT」)ライブラリーを含む試験ウェハ部分が描かれている。一般に、1つのライブラリー内に含まれる各触媒の組成は、組成物中の個別成分の相対量(例えばモルまたは重量)とその成分に対応するように表示される相対面積とを関連させることによって図的に表現される。したがって、図5Bに示した試験ウェハ部分に描かれた15種の触媒組成を再度参照すると、各組成はPt(濃灰色)、Pd(薄灰色)およびCu(黒色)を含み、Ptの相対量は縦列1から縦列5に向かって増加し(しかし、所定の縦列内の横列間で比較すると同一である)、Pdの相対量は横列1から横列5に向かって減少し(しかし、所定の横列内の縦列間で比較すると同一である)、Cuの相対量は横列5縦列1の最大値から例えば横列1縦列1の最小値に向かって減少することが判る。図5Cは、50種の異なる化学量論のPt、PdおよびCuからなる触媒組成を有する1個の50点−三元(「50PT」)ライブラリーを含む試験ウェハを示す。この試験ライブラリーには、例えば注目する3種の異なる成分によるもう1つの50点−三元ライブラリー(表示していない)を含めることもできる。
【0079】
図5D〜5Fは、異なる調製段階での2個の50点−三元ライブラリー(「bis50PTライブラリー」)のグラフ表示であり、Pt−Au−Ag/CeO2ライブラリー(図5Eの右上の三元ライブラリーとして示される)およびPt−Au−Ce/ZrO2ライブラリー(図5Eの左下の三元ライブラリーとして示される)を含む。Pt−Au−Ag/CeO2ライブラリーには、二元含浸組成物すなわちPt−Au/CeO2二元触媒(横列2)およびPt−Ag/CeO2(縦列10)も含まれていることに留意されたい。同様に、Pt−Au−Ce/ZrO2ライブラリーには、二元含浸組成物すなわちPt−Ce/ZrO2(横列11)およびAu−Ce/ZrO2(縦列1)が含まれる。要するに、bis50PTライブラリーは、図5Dにグラフに表したように、試験ウェハのそれぞれの部分にCeO2およびZrO2支持体を沈着させることによって調製した。液体処理ロボットを使用して、支持体を液体媒体中のスラリーとして試験ウェハ上に沈着させ、引き続きその試験ウェハを乾燥して乾燥支持体を形成した。その後、CeO2支持体を含む試験ウェハの区域に、図5E(右上手のライブラリー)に示したような異なる相対的な化学量論で、Pt、AuおよびAgの塩を含浸させた。同様に、ZrO2支持体を含む試験ウェハの区域に、図5E(左下手のライブラリー)に示したような異なる相対的な化学量論で、Pt、AuおよびCeの塩を含浸させた。図5Fは、相対量の触媒支持体を含む複合体ライブラリーのグラフ表現である。
【0080】
試験した本発明の触媒材料の具体的組成については、選抜したライブラリーについての以下の実施例中で詳述する。
【0081】
試験ウェハ上のライブラリーの触媒組成物を比較するための基準として、石英製の各触媒試験ウェハ上に性能水準点および対照実験(例えばブランク)も準備した。水準点となる触媒材料配合物としては、約3%(触媒および支持体の総重量に対する重量で)の触媒装填量を有するPt/ジルコニア触媒標準を選んだ。Pt/ジルコニア標準は、典型的には、例えば重量で1.0%または2.5%のPt原液3μLをウェハ上のジルコニア支持体に含浸させ、その後、仮焼および還元前処理を施すことによって合成した。
【0082】
典型的には、ウェハを、空気中、300℃〜500℃の範囲の温度で仮焼、および/または5%水素の連続流下、約200℃〜約500℃の範囲の温度(例えば、450℃)で還元する。具体的な処理手順は、実施例の各ライブラリーについて以下に記載する。走査型質量分析計を利用して試験する場合には、触媒ウェハを、XY平面で移動できるウェハ保持台に載せた。走査型質量分析計の吸入/走査プローブは、Z方向(ウェハ保持台に対するXY平面の移動に対して垂直方向)に移動し、ウェハの直近に接近して独立した各触媒構成物質を取り囲み、供給ガスを配送し、生成物流を触媒表面から四重極型質量分析計に移動させる。各構成物質は、約200℃〜約600℃の範囲の接近可能な温度を見越して、CO2レーザーを利用して背面から局部的に加熱される。質量分析計で、水素、メタン、水、一酸化炭素、アルゴン、二酸化炭素およびクリプトンに対応する7種の質量、すなわち2、16、18、28、40、44および84をそれぞれ監視した。
【0083】
典型的には、例えば、約300℃、350℃および/または400℃、および通常、より活性のある処方については200℃または250℃を含む様々な反応温度で触媒組成物を試験した。供給ガスは、典型的には、51.6%のH2、7.4%のKr、7.4%のCO、7.4%のCO2および26.2%のH2Oから構成される。単一型ガスシリンダー中でH2、CO、CO2およびKr内部標準を事前混合し、次いで供給水と混合する。バーンステッドナノピュアウルトラウォーター装置で製造した処理水(27.5℃で18.1メガオーム−cm)を脱気しないで使用した。
【0084】
データ処理および解析
データ解析は、CO転化率をCO2生成量に対するプロットした物質収支プロットに基づいて行った。COおよびCO2に対する質量分析計の信号は、較正しなかったが、Kr−標準化質量分析計信号を基準にした。データを視覚化するために、ソフトウェアパッケージ、スポットファイアー(商標)(マサチューセッツ州、ソマービルのスポットファイアー社が販売)を使用した。
【0085】
WGSにおけるCO2生成量に対するCO転化率の代表的なプロットを図6Aに示すが、説明のために、図6Aには、図5D〜5Fに関連して前に説明した2つの三元触媒系、すなわちPt−Au−Ag/CeO2触媒ライブラリーおよびPt−Au−Ce/ZrO2触媒ライブラリーを含める。これらライブラリーの触媒組成物を4つの温度、すなわち250℃、300℃、350℃および400℃でスクリーニングした。図6B、6Cに示した模式図を参照すると、活性でかつ高選択性のWGS触媒(例えば、図6Bの線I)は、比較的高い転化率(すなわち、熱力学的平衡転化率に近いCO転化率(図6Bの「TE」点))においてさえ、水性ガスシフト反応に対する物質収支によって決まる線(「WGS対角線」)に、最小の偏差で接近する。高活性触媒は、競合するメタン化反応への移行により(図6Cの点「M」)WGS対角線から逸脱し始める。しかし、このような逸脱を示す触媒組成物は、このような逸脱が発生する転化率のレベルに応じてWGS触媒としてやはり有用である。例えば、より高い転化率レベルでようやくWGS対角線から逸脱する触媒(図6Bの線II)は、総括転化率をWGS対角線に近い操作点まで低下させることによって(例えば、触媒装填量を低下させること、あるいは空間速度を増加させることによって)有効なWGS触媒として採用できる。対照的に、低い転化率レベルでWGS対角線から逸脱する触媒(例えば、図6Bの線III)は、低い転化率においてさえWGS反応に対して選択的でないので、WGS触媒としては比較的あまり有効ではない。温度は、熱力学的最大CO転化率に影響を及ぼし、低い温度は一般に触媒活性を低下させるので、物質収支WGS対角線からの逸脱点および逸脱軌道の全体形状に影響を与える。組成物によっては、温度を下げると、WGS物質収支対角線により接近するWGS軌道によって示されるより選択性の高い触媒となる(図6C参照)。再び図6Aを参照すると、Pt−Au−Ag/CeO2およびPt−Au−Ce/ZrO2触媒組成物は、各スクリーニング温度、特に低い温度において活性で選択性のあるWGS触媒であることが判る。
【0086】
一般に、所定のウェハ基板上の組成物は、走査型質量分析計を使用して、共通の実験操作で一緒に試験され、結果も一緒に検討される。この適用に際しては、基板上の特定ライブラリーの候補触媒の製造方法および手法(例えば3種以上の3元または多元触媒)を、そのウェハ上に含めたPt/ZrO2基準組成物との比較に基づいて、WGS反応のための活性で選択性のある工業用触媒としての見込みのある触媒の製造法と考えた。具体的には、そのライブラリー中の有意な数の触媒組成物が、触媒性能に関して、ウェハ基板に含めたPt/ZrO2標準組成物に有利に匹敵するとの結果が得られたら、そのライブラリーの触媒製造方法は特に好ましい触媒の製造方法であると考えた。ここで、有意な数の組成物とは、一般に、所定ライブラリー中の供試組成物の少なくとも3つであると考えた。また、ここで、有利に匹敵するとは、その組成物が、転化率、選択性および触媒装填量などの要因を考慮した場合に、そのウェハ上の標準と同等またはそれ以上に良好な触媒性能を有することを意味する。若干のライブラリー構成物質のみがPt/ZrO2標準に有利に匹敵し、そのライブラリー内のその他の組成物がPt/ZrO2標準に匹敵するとは言い難い状況でも、多くの場合、所定ライブラリーのすべての触媒組成物を活性で選択性のあるWGS触媒として肯定的に識別した。このような状況で、基準に対して有利に匹敵すると言うには若干不足しているライブラリー構成物質をも含める根拠は、これらの構成物質が現実にWGS反応を前向きに触媒することである(すなわち、この反応に対する触媒として有効であった)。さらに、このような組成物は、ライブラリーフォーマットでの実際の試験中に起こったよりもより最適に調節された条件(例えば、合成条件、処理条件および/または試験条件(例えば温度))の下で合成および/または試験できること、および、重要なことであるが、試験される特定の触媒材料に対する最適条件は、Pt/ZrO2標準に対する最適条件とは異なるかもしれない、すなわち、実際の試験条件が若干の特定構成物質に対するよりも基準に対する最適条件に近かったかもしれないことに留意されたい。したがって、本明細書中で示した本発明の一般的定義範囲で、合成、処理および/またはスクリーニング条件を最適化すると、本発明を裏付ける実験で示されたものよりもさらにより活性で選択性のあるWGS触媒が現れることが、明らかに予想された。それ故、前記の考察から考えて、各特許請求組成物で定義されるすべての範囲の組成物(例えば、各3成分触媒材料、または各4成分触媒材料)を、WGS反応を触媒するのに有効であるとして説明した。所望のまたは必要とされる注目する工業的応用に応じて、各種の特定触媒組成物に関連する各種の特定の利点を有するさらなる最適化が検討される。このような最適化は、例えば、すべての目的についてそのそれぞれが参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,149,882号、あるいはWO01/66245およびそれに対応するベルグらが2001年3月7日に「平行流プロセス最適化反応器」の名称で出願した米国特許出願第09/801,390号、およびベルグらが2001年3月7日に「可変供給物組成を有する平行流反応器」の名称で出願した米国特許出願第09/801,389号に記載されたような技術および装置を使用して達成できる。
【0087】
さらに、最初のライブラリーのスクリーニング結果に基づいて、選択的な追加の「重点」ライブラリーを選択的に調製、試験して、最初のライブラリースクリーニングの結果を確認し、さらに、場合によっては同一および/または異なる条件下でより良好に機能する触媒製造方法を確認した。重点ライブラリー用の試験ウェハには、典型的には、各試験ウェハ上に1個または複数のライブラリー(例えば、関連する三元組成物A、B、C)を形成して、4インチウェハ基板上に形成された約225種の異なる候補触媒組成物を含めた。さらに、所定ライブラリーの金属含有組成物を典型的には異なる相対比率で組み合わせて、各成分について約0%〜約100%の範囲の化学量論を有し、かつ、例えば約10%弱、典型的には約2%弱の化学量論的増分(例えば、「56点三元」に対して)を有する触媒を形成した。重点ライブラリーについては、例えばWO00/17413でより一般的に説明されている。このような重点ライブラリーを、初めのライブラリーに対する前記実験計画に従って評価した。
【0088】
質量分析計によって生じる個々のガスに対する未処理残ガス分析計([rga])のシグナル値は未較正であり、したがって、異なるガスを直接比較できない。対照としてメタン(質量16)のデータを集めた。典型的には、クリプトン(質量84)に対する未処理rgaシグナルを利用してシグナルを標準化し、ガスの流速変動の影響を取り除く。このようにして、各ライブラリー構成物質に対して標準化シグナルを、例えばsH2O=未処理H2O/未処理Kr、sCO=未処理CO/未処理Kr、sCO2=未処理CO2/未処理Kr等々として判定する。
【0089】
すべてのブランクライブラリー構成物質、すなわち組成物がせいぜい支持体のみを含むライブラリー構成物質に対する標準化シグナルの平均値から、ブランクすなわち入り口濃度を判定する。例えば、bavg2O=ライブラリー中のすべてのブランク構成物質に対する平均のsH2O、bavgCO=ライブラリー中のすべてのブランク構成物質に対する平均のsCO、等々。
【0090】
ブランク平均を用いて転化パーセントを計算し、入力レベル(例えば、bavgCO)および注目する各ライブラリー構成物質に対する出力としての標準化シグナル(例えば、sCO)を推算する。したがって、各ライブラリー構成物質に対して、COconversion=100×(bavgCO−sCO)/bavgCO、およびH2conversion=100×(bavg2O−sH2O)/bavg2Oである。
【0091】
一酸化炭素(CO)から二酸化炭素(CO2)への選択性は、CO2生成量(sCO2−bavgCO2)をCO消費量(bavgCO−sCO)で割ることによって推算する。CO2とCOのシグナルは、rgaシグナルが未較正なので直接には比較できない。しかし、高選択性標準触媒組成物の挙動に基づいて、経験的変換定数(0.6CO2単位=1CO単位)が導かれている。高選択性標準触媒組成物の選択性は、低い転化率で100%の選択性に近い。したがって、それぞれのライブラリー構成物質に関しては、COからCO2への推算選択性=100×0.6×(sCO2−bavgCO2)/(bavgCO−sCO)である。COの消費速度が遅いと、大きく変動する結果を生じさせることができ、このようにして、人為的にCO2選択性を0〜140%の範囲に制限することによって、CO2選択性の値の再現性を維持する。
【0092】
以下の実施例は、本願発明の確認につながるライブラリーのスクリーニングに関する典型例である。
実施例1
4インチ石英ウェハ上の15×15正方桝目の各構成物質に3μL(EG/H2O/MEOが32.5:30:37.5の混合液4mL中に1.5gのZrO2)をスラリー分注することによって、ウェハをZrO2(XZ16052)担体でプレコートした。次いで、ウェハを70℃で12分間オーブン乾燥した。
【0093】
Cavroで対応する最初の横列/最後の縦列の位置に3μLのPt(NH32(NO22原液(2.5%Pt)をスポットすることによって6つの内部標準を合成した。Cavroで対応する原液バイエル瓶からウェハに分注することによって(2.5μLの分注容積)、ウェハを、次のPt前駆物質、すなわち、それぞれPt(NH32(NO22、Na2Pt(OH)6および(NMe42Pt(OH)6の均一層で含浸し、ウェハ上に3つの5×15長方桝目を形成した。
【0094】
ウェハを室温で4時間乾燥し、Cavroで対応する原液バイエル瓶からマイクロタイタープレートに分注し、そして蒸留水で希釈することによって、ウェハの上半分を、上端から下端までの次の金属勾配液すなわちNaOH(1M溶液)、NaHCO3(1M)、NaOH(0.5M)で、LiOH(0.5M)、NaOH(0.5M)の下端から上端までの逆勾配液で、ギ酸Li(0.5M)およびギ酸バナジウム(+5)アンモニウム(0.25M)の下端から上端まで逆勾配液で共含浸した。続いて、マイクロタイタープレートのパターンをウェハにレプリカ移送して(ウェル当たり2.5μLの分注容積)、ウェハ上に3つの5×8点長方桝目を形成した。
【0095】
ウェハを室温で4時間乾燥し、次いで、CavroでNaOH(1M)の上端から下端までの3番目の金属勾配液を分注し、そして蒸留水で希釈することによって、ウェハを被覆した。続いて、マイクロタイタープレートのパターンをレプリカ移送し(ウェル当たり2.5μLの分注容積)、ウェハ上に3つの8点勾配を形成した。
【0096】
ウェハを室温で1夜乾燥し、次いで、空気中、350℃で2時間仮焼きした。Cavroで対応する原液バイエル瓶からマイクロタイタープレートに分注し、そして蒸留水で希釈することによって、ウェハの下半分を、上端から下端までの次の金属勾配液すなわちNaOH(1M)、NaHCO3(1M)、NaOH(0.5M)で、LiOH(0.5M)、NaOH(0.5M)の下端から上端までの逆勾配液で、ギ酸Li(0.5M)およびギ酸バナジウム(+5)アンモニウム(0.25M)の下端から上端までの逆勾配液で後含浸した。続いて、マイクロタイタープレートのパターンをウェハにレプリカ移送して(ウェル当たり2.5μLの分注容積)、ウェハ上に3つの5×7点長方桝目を形成した。
【0097】
ウェハを室温で4時間乾燥し、その後、CavroでNaOH(1M)の上端から下端までの3番目の金属勾配液を分注し、そして蒸留水で希釈することによって、ウェハを含浸した。続いて、マイクロタイタープレートのパターンをウェハにレプリカ移送して(ウェル当たり2.5μLの分注容積)、ウェハ上に3つの7点勾配を形成した。
【0098】
ウェハを室温で3時間乾燥し、そして350℃で2時間仮焼きし、続いて5%H2/N2を用いて250℃で2時間還元した、図1A〜1Iに、この試験ウェハの調製過程を示す。
【0099】
NaとPt間の交互作用の利点、および添加順序の影響を示す結果が得られた。
実施例2:0.25Mギ酸バナジウム(+5)アンモニウム溶液の調製
292mgの酸化バナジウムアンモニウム(NH4VO3)を9.87mLのH2Oに溶解して0.25MのV溶液を調製した。25%NH4OHを5滴、および98%ギ酸を7滴添加すると、透明橙色の0.25Mギ酸バナジウム(+5)アンモニウム溶液が生成した。
【0100】
この溶液は、少なくとも1週間安定であることが判った(安定剤が乳酸およびクエン酸の場合と対照的に透明橙色が保たれバナジウム還元の兆候は無い)。
実施例3
4インチ石英ウェハ上の15×15正方桝目の各構成物質に3μL(EG/H2O/MEOが32.5:30:37.5の混合液4mL中に1.5gのZrO2)をスラリー分注することによって、ウェハをZrO2(XZ16052)担体でプレコートした。次いで、ウェハを70℃で12分間オーブン乾燥した。
【0101】
Cavroで対応する最初の横列/最後の縦列の位置に3μLのPt(NH32(NO22原液(2.5%Pt)をスポットすることによって6つの内部標準を合成した。次いで、Cavroで縦列2〜15にPt(NH32(NO22原液(1%Pt)を分注し(2.5μLの分注容積)、ウェハ上に14×15長方桝目を形成した。
【0102】
Cavroで対応する原液バイエル瓶からマイクロタイタープレートに分注し、そして蒸留水で希釈することによって、非含浸(Ptを含まない)の最初の縦列を、上端から下端までの2つの0.75M 硝酸Co(+2)勾配液で(8および7点勾配)コーティングした。続いて、マイクロタイタープレートのパターンをウェハにレプリカ移送して(ウェル当たり2.5μLの分注容積)、ウェハ上に15点縦列を形成した。
【0103】
ウェハを室温で2時間乾燥し、次いで、Cavroで対応する原液バイエル瓶からマイクロタイタープレートに分注し、そして蒸留水で希釈することによって、ウェハを、硝酸Co(+2)(0.75M)の上端から下端までの2番目の金属層勾配液で含浸した。続いて、マイクロタイタープレートのパターンをウェハにレプリカ移送して(ウェル当たり2.5μLの分注容積)、ウェハ上に6×15点長方桝目を形成した。
【0104】
1.39gのCo(NH36(NO33を9.2mLのH2Oに溶解して0.4MのCo(+3)溶液を調製した。約100℃まで加熱して完全に溶解した後、Cavroで対応する原液バイエル瓶からウェハに熱時分注することによって、硝酸ヘキサアンミンCo(III)をウェハの縦列9〜15に均一層として含浸させ、ウェハ上に7×15長方桝目を形成した。
【0105】
ウェハを室温で4時間乾燥した。次いで、Cavroで対応する原液バイエル瓶からマイクロタイタープレートに分注し、そして蒸留水で希釈することによって、ウェハを、下端から上端までの次の3番目の金属層勾配液、すなわちHReO4(0.1M)、ギ酸バナジウム(+5)アンモニウム(0.25M)、H2MoO4(0.25M)、Ce(NO33(0.25M)、NaAu(OH)4(0.1M)およびCo(NO32(0.75M)で被覆した。続いて、マイクロタイタープレートのパターンをウェハにレプリカ移送し(ウェル当たり2.5μLの分注容積)、ウェハ上に5×15および6×15点長方桝目を形成した。
【0106】
ウェハを室温で1夜の乾燥段階で乾燥し、次いで、空気中、300℃で2時間仮焼きし、そしてCavroでそれぞれの原液バイエル瓶からウェハに分注することによって、ウェハの下半分(7×15点長方桝目)をNaHCO3(1M)の均一層で後含浸した。次いで、ウェハを110℃で4時間オーブン乾燥した。図2A〜2Jにこの試験ウェハの調製過程を示す。
【0107】
ライブラリーを、スクリーニングし、そして200℃で、H2/CO/CO2/H2O混合供給流を用いてWGS活性についてSMS中、その場で還元した。
実施例4
4インチ石英ウェハ上の15×15正方桝目の各構成物質に3μL(エチレングリコール(EG)/H2Oが50:50の混合液4μL中に1gのγ−Al23)をスラリー分注することによって、ウェハをγ−Al23(カタロックスSba−150)担体でプレコートした。次いで、ウェハを70℃で12分間オーブン乾燥した。
【0108】
Cavroで対応する最初の横列/最後の縦列の位置に3μLのPt(NH32(NO22原液(2.5%Pt)をスポットすることによって6つの内部標準を合成した。ウェハの縦列C1〜C5にNa2Pt(OH)6原液(粉末から、1%Pt)を分注することによって(ウェル当たり2.5μLの分注容積)、ウェハを均一なPt層で含浸した。
【0109】
次いで、Cavroでそれぞれの原液バイエル瓶からマイクロタイタープレートに分注し、そして蒸留水で希釈することによって、ウェハの縦列C6〜C15を、次の上端から下端までの金属勾配液、すなわちZrO(NO32、La(NO33、Y(NO33、Ce(NO33、H2MoO4、Fe(NO33、Co(NO32、ZrO(OAc)2、Mn(NO32およびKRuO4で含浸した。続いて、マイクロタイタープレートのパターンをウェハ上にレプリカ移送し(ウェル当たり2.5μLの分注容積)、ウェハ上に10×15点長方桝目を形成した(金属勾配を有する10本の縦列)。
【0110】
ウェハを室温で3.5時間乾燥し、次いで、Cavroで対応する原液バイエル瓶からマイクロタイタープレートに分注し、そして蒸留水で希釈することによって、ウェハの初めの縦列各4本を個別にそれぞれ、CsOH−NaOH、LiOH−NaOH、RbOH−NaOHおよびKOH−NaOHを含む塩基勾配液(0.5M、逆勾配)で、および縦列5〜15をNaOH(下端から上端までの勾配を有する1M塩基)でコーティングした。続いて、マイクロタイタープレートのパターンをウェハ上にレプリカ移送し(ウェル当たり2.5μLの分注容積)、ウェハ上に15×15点長方桝目を形成した(塩基勾配を有する15本の縦列)。ウェハを室温で1夜乾燥し、さらに2分間オーブン乾燥した。
【0111】
Na2Pt(OH)6(粉末から、1%Pt)の原液バイエル瓶からウェハ(縦列6〜15)に3番目の層として均一分注して最後の含浸とした(ウェル当たり2.5μLの分注容積、10×15点正方桝目を得る)。
【0112】
ウェハを室温で4時間乾燥し、次いで、空気中、450℃で2時間仮焼きし、続いて5%H2/N2を用いて250℃で2時間還元した。最初の横列および最後の縦列の5箇所に外部標準として市販触媒をスラリーで添加した(3μL)。図3A〜3Fを参照のこと。
【0113】
ライブラリーを、SMS中、200℃、230℃、および260℃で、H2/CO/CO2/H2O混合供給流を用いてWGS活性についてスクリーニングした。
【0114】
この実験により、NaOH−LiOH混合物に関する相乗効果が観察され、活性で選択性のある触媒を明らかにした。また、他にドープしていない系の場合、最初にPt、最後にNaの順序が最適の添加順序になることが観察された。酸性のドーパント前駆物質(例えばCo、Fe、Ceの硝酸塩、など)の存在する場合、塩基性NaOH層によってPt(塩基性)前駆物質を酸性ドーパント層から隔離する(すなわち、最初にCo、次にNa、最後にPt、あるいは最初にPt,次にNa、最後にCo)のが好ましいことが観察された。
実施例5
スラリー分注によって(ZrO2 XZ16052、分注容積3μL、EG/H2O/MEOが32.5:30:37.5の混合液4mL中に1.5gのZrO2)、4インチ石英ウェハをジルコニア担体でプレコートした。ウェハを70℃で12分間オーブン乾燥した。
【0115】
対応する最初の横列/最後の縦列の位置にCavroで3μLのPt(NH32(NO22原液(2.5%Pt)を分注することによって、6つの内部標準を合成した。
【0116】
CavroでPtCl4溶液(1%Pt、分注容積2.5μL)を原液バイエル瓶からウェハ上に直接分注した(一様で均一なPtプライマー層、勾配なし)。ウェハを室温で1時間、次いで、110℃で3時間、さらに室温で1夜乾燥した。
【0117】
縦列1、横列10〜16に、ピペットを用いてNH3中の(NH42Co(OX)2(OX=シュウ酸根)の溶液を手動で分注した(分注容積2.5μL、一様で均一なCo層)。
【0118】
Cavroで原液バイエル瓶からマイクロタイタープレートに分注し、そして蒸留水で希釈することによって、マイクロタイタープレート中で28種の金属前駆物質溶液の7点および8点金属勾配液(上端から下端までの)を事前混合した(容積100μL/ウェル、AuおよびRu以外は0.25M金属原液)。以下を参照のこと。
【0119】
縦列2、横列2〜9: 酢酸Co(II)
縦列2、横列10〜16: 硝酸Ce(III)
縦列3、横列2〜9: 硝酸Ce(IV)
縦列3、横列10〜16: (NH42Ce(NO36
縦列4、横列2〜9: 酢酸Ce(III)
縦列4、横列10〜16: ギ酸アンモニウム塩 NH4OOCH
縦列5、横列2〜9: NH4NO3
縦列5、横列10〜16: (NH42CO3
縦列6、横列2〜9: カルバミン酸アンモニウム NH4CO2NH2
縦列6、横列10〜16: NMe4OH
縦列7、横列2〜9: ギ酸 HCOOH
縦列7、横列10〜16: 酢酸 CH3COOH
縦列8、横列2〜9: オキサミン酸 H2N(O)C−COOH
縦列8、横列10〜16: シュウ酸 HOOC−COOH
縦列9、横列2〜9: H3PO4
縦列9、横列10〜16: H2MoO4
縦列10、横列2〜9: (NH42Fe(OX)3
縦列10、横列10〜16:酢酸Fe(II)
縦列11、横列2〜9: Fe2OX3
縦列11、横列10〜16:酢酸La
縦列12、横列2〜9: 酢酸Eu
縦列12、横列10〜16:V(OX)2 シュウ酸バナジル
縦列13、横列2〜9: 0.3Mクエン酸中のNH4VO3
縦列13、横列10〜16:シュウ酸Ge
縦列14、横列2〜9: 酢酸ニトロシルRu RuNO(OAc)3 0.5%Ru
縦列14、横列10〜16:NaHCO3
縦列15、横列2〜9: 0.25M NaOH中のNaAu(OH)4 0.1M Au
縦列15、横列10〜16:NMeOH中の酒石酸Sn SnC446
ウェハを室温で4時間乾燥し、次いで、空気中、400℃で2時間仮焼きし、次いで5%H2/N2中、200℃で2時間還元した。図4A〜4Dに調製段階の概略を図で示す。
【0120】
ウェハを、200℃、230℃、および260℃で、WGS活性についてSMSでスクリーニングし、活性なPt前駆物質としてPtCl4を突き止めた。図4E〜4Iは、3つの上記温度におけるCO転化率対CO生成量の結果を表す。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1A】ライブラリー試験ウェハの製造過程を示す図である。
【図1B】ライブラリー試験ウェハの製造過程を示す図である。
【図1C】ライブラリー試験ウェハの製造過程を示す図である。
【図1D】ライブラリー試験ウェハの製造過程を示す図である。
【図1E】ライブラリー試験ウェハの製造過程を示す図である。
【図1F】ライブラリー試験ウェハの製造過程を示す図である。
【図1G】ライブラリー試験ウェハの製造過程を示す図である。
【図1H】ライブラリー試験ウェハの製造過程を示す図である。
【図1I】ライブラリー試験ウェハの製造過程を示す図である。
【図2A】ライブラリー試験ウェハの製造過程を示す図である。
【図2B】ライブラリー試験ウェハの製造過程を示す図である。
【図2C】ライブラリー試験ウェハの製造過程を示す図である。
【図2D】ライブラリー試験ウェハの製造過程を示す図である。
【図2E】ライブラリー試験ウェハの製造過程を示す図である。
【図2F】ライブラリー試験ウェハの製造過程を示す図である。
【図2G】ライブラリー試験ウェハの製造過程を示す図である。
【図2H】ライブラリー試験ウェハの製造過程を示す図である。
【図2I】ライブラリー試験ウェハの製造過程を示す図である。
【図2J】ライブラリー試験ウェハの製造過程を示す図である。
【図3A】典型的なライブラリー試験ウエハの組成物構成(担体および/または水の有無による)を示す図である。
【図3B】典型的なライブラリー試験ウエハの組成物構成(担体および/または水の有無による)を示す図である。
【図3C】典型的なライブラリー試験ウエハの組成物構成(担体および/または水の有無による)を示す図である。
【図3D】典型的なライブラリー試験ウエハの組成物構成(担体および/または水の有無による)を示す図である。
【図3E】典型的なライブラリー試験ウエハの組成物構成(担体および/または水の有無による)を示す図である。
【図3F】典型的なライブラリー試験ウエハの組成物構成(担体および/または水の有無による)を示す図である。
【図4A】ライブラリー試験ウェハの製造過程を示す図である。
【図4B】ライブラリー試験ウェハの製造過程を示す図である。
【図4C】ライブラリー試験ウェハの製造過程を示す図である。
【図4D】ライブラリー試験ウェハの製造過程を示す図である。
【図4E】異なる温度のWGS条件下での、ウェハに対するCO転化率対CO2生成に関するスポットファイヤー(SpotFire)プロットを示す図である。
【図4F】異なる温度のWGS条件下での、ウェハに対するCO転化率対CO2生成に関するスポットファイヤー(SpotFire)プロットを示す図である。
【図4G】異なる温度のWGS条件下での、ウェハに対するCO転化率対CO2生成に関するスポットファイヤー(SpotFire)プロットを示す図である。
【図4H】異なる温度のWGS条件下での、ウェハに対するCO転化率対CO2生成に関するスポットファイヤー(SpotFire)プロットを示す図である。
【図4I】異なる温度のWGS条件下での、ウェハに対するCO転化率対CO2生成に関するスポットファイヤー(SpotFire)プロットを示す図である。
【図5A】各種の典型的ライブラリー試験ウェハの組成物構成を示す図である。
【図5B】各種の典型的ライブラリー試験ウェハの組成物構成を示す図である。
【図5C】各種の典型的ライブラリー試験ウェハの組成物構成を示す図である。
【図5D】各種の典型的ライブラリー試験ウェハの組成物構成を示す図である。
【図5E】各種の典型的ライブラリー試験ウェハの組成物構成を示す図である。
【図5F】各種の典型的ライブラリー試験ウェハの組成物構成を示す図である。
【図6A】各温度での、原型のライブラリーウェハに対するCO転化率対CO2生成に関する代表的なプロットを示す図である。
【図6B】WGS物質収支に対する触媒の選択性および活性の影響を示す図である。
【図6C】WGS条件下での触媒性能に対する温度の影響を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次のa)、b)、およびc)を含むことを特徴とする、白金を沈着させる方法。
a)白金塩の溶液を表面に適用する;
b)酸、酸塩、または塩基を前記表面に適用する;
c)前記溶液を前記酸、酸塩、または塩基と反応させてPt含有物質を析出させ、表面上にPt含有コーティングを形成させる。
【請求項2】
前記白金塩溶液を適用する前に、前記表面に酸、酸塩、または塩基を含浸させる、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記方法が酸または酸の塩を表面に適用することを含み、およびさらに前記Pt含有コーティングを以下;
Pt含有コーティングを溶媒で洗浄し、次いで該Pt含有コーティングを約250℃〜約500℃未満の温度で仮焼する;および
Pt含有コーティングを約450℃〜約550℃の温度で仮焼する;
の少なくとも一方によって処理することを含む請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記Pt含有コーティングを約250〜約350℃の温度で仮焼する、請求項3記載の方法。
【請求項5】
前記方法が、酸または酸塩を表面に適用することを含み、およびさらに該Pt含有コーティングを還元することを含む請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記方法が、塩基を表面に適用することを含み、および
Pt含有コーティングを溶媒で洗浄し、次いで該Pt含有コーティングを約250℃〜約500℃未満の温度で仮焼する;および
前記表面を約60℃〜約400℃の温度で乾燥後、該表面を約300℃〜約550℃の温度で仮焼する;
の少なくとも一方によって処理することを含む請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記Pt含有コーティングを約250℃〜約350℃の温度で仮焼する、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記方法が、塩基を表面に適用することを含み、およびさらにPt含有コーティングを洗浄し該Pt含有コーティングを還元することを含む請求項1記載の方法。
【請求項9】
白金塩が、PtCl2、PtCl3、PtCl4、PtBr4、Pt(SO42、PtCl2(NH34、PtCl4(NH32、H2PtCl6、K2PtCl6、Na2PtCl6、(NH42 PtCl6、K2PtCl4、Na2PtCl4、Pt(NO32、およびそれらのアミン塩の少なくとも1種を含む、請求項1記載の方法。
【請求項10】
白金塩がPtCl4を含む、請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記酸または酸塩が、オキサミン酸、蓚酸、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、酢酸、ギ酸およびそれらの塩の少なくとも1種を含む、請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記酸がペレニン酸、ケイ酸、モリブデン酸、およびMo含有ヘテロポリ酸の少なくとも1種を含む、請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記酸がケイモリブデン酸およびバナジウムモリブデン酸の少なくとも1種を含む、請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記塩基がN(CH34OH、NH4OH、(NH42CO3、(NH4)HCO3、NaOH、KOH、CsOH、Na2CO3、K2CO3、NaHCO3およびKHCO3の少なくとも1種を含む、請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記Pt含有コーティングを還元することをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記Pt含有コーティングを約60℃〜約400℃の温度で乾燥することをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項15】
前記Pt含有コーティングをフラッシュ乾燥することをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項16】
次の(a)〜(e)を含むことを特徴とする、白金を析出させる方法。
(a)白金塩溶液を表面に適用する;
(b)水酸化物溶液を表面に適用する;
(c)前記白金塩溶液を前記水酸化物溶液と反応させて水酸化白金含有物質を析出させて表面上に水酸化白金含有コーティングを形成させる;
(d)前記水酸化白金含有コーティングを溶媒で洗浄する;および
(e)水酸化白金含有コーティングを約150℃〜約350℃の温度で還元剤と反応させる。
【請求項17】
前記表面に水酸化物溶液を含浸させた後白金塩溶液を適用する、請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記水酸化物溶液が、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、およびそれらの混合物の少なくとも1種を含む、請求項16記載の方法。
【請求項19】
前記還元剤が水素ガスを含む、請求項16記載の方法。
【請求項20】
下記工程を含むことを特徴とする、触媒の製造方法。
・表面に触媒組成物のナトリウム非含有成分を含浸させる;
・前記表面を約250℃〜約500℃に加熱する;
・前記表面に触媒組成物のナトリウム含有成分を含浸させる;および
・表面を約200℃〜約400℃に加熱する;
【請求項21】
前記ナトリウム含有成分が、NaOH、Na2CO3、NaHCO3、Na22およびNaOOCHの少なくとも1種を含む、請求項20記載の方法。
【請求項22】
前記触媒組成物が水性ガスシフト触媒組成物である、請求項20記載の方法。
【請求項23】
下記工程を含むことを特徴とする、触媒の製造方法。
・触媒組成物のすべての白金およびナトリウムを含まない成分を表面上に含浸させる;
・白金含有前駆物質およびナトリウム含有前駆物質を前記表面に含浸させる;
・白金およびナトリウム含有触媒物質を表面上に形成させる:および
・前記表面を約200℃〜約400℃の温度で仮焼する;
【請求項24】
前記白金含有前駆物質およびナトリウム含有前駆物質を別々に含浸させることを含む、請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記白金含有前駆物質およびナトリウム含有前駆物質を前記表面に一緒に含浸させる、請求項23記載の方法。
【請求項26】
下記工程を含むことを特徴とする、白金およびナトリウム含有触媒の製造方法。
・触媒組成物の白金およびナトリウムを含まない成分のすべてを表面上に含浸させて第1の表面を形成させる;
・白金含有溶液を前記第1の表面に含浸させて白金含有表面を形成させる;
・前記白金含有表面を仮焼して仮焼した白金含有コーティングを形成させる;
・ナトリウム含有溶液を前記仮焼した白金含有コーティングに含浸させて第2の表面を形成させる;および
・前記第2の表面を乾燥させる;
【請求項27】
前記乾燥が、約110℃〜約400℃の温度である、請求項26記載の方法。
【請求項28】
前記仮焼が、約250℃〜約500℃の温度である、請求項26記載の方法。
【請求項29】
前記仮焼した白金含有コーティングを還元することをさらに含む、請求項26記載の方法。
【請求項30】
前記白金含有表面に酸、または塩基を適用して白金含有物質を析出させることをさらに含む、請求項26記載の方法。
【請求項31】
前記方法が白金含有表面に塩基を適用すること含み、およびさらに
・前記表面を溶媒で洗浄する;
・該表面を仮焼する;
・該表面に水酸化ナトリウム溶液を適用する;および
・該表面を仮焼する;
ことによって表面を処理することを含む、請求項30記載の方法。
【請求項32】
前記ナトリウム含有溶液が、NaOH、Na2CO3、NaHCO3、Na22、およびNaOOCHの少なくとも1種を含む、請求項26記載の方法。
【請求項33】
前記白金含有溶液が、Pt(NH34(NO32、Pt(NH32(NO22、Pt(NH34(OH)2、K2Pt(NO24、Pt(NO32、H2PtCl6、PtCl4、Pt(NH34(HCO32、Pt(NH34(HPO4)、(NMe42 Pt(OH)6、H2Pt(OH)6、K2Pt(OH)6、Na2Pt(OH)6、K2Pt(CN)6、およびK2Pt(C242の少なくとも1種を含む、請求項26記載の方法。
【請求項34】
コバルト(+3)含有塩を表面に適用すること;および該表面を425℃を超えない温度で仮焼することを含む、表面にコバルトを沈着させる方法。
【請求項35】
前記コバルト(+3)含有塩が、Na3Co(NO26、Co(NH36(NO33、Co(H2N−CH2−CH2−NH23(NO33、およびCo(NR36(NO33、またはそれらの混合物の少なくとも1種を含み、およびRは炭素原子数が1〜4のアルキル基を含む、請求項34記載の方法。
【請求項36】
前記仮焼が約300℃未満の温度である、請求項34記載の方法。
【請求項37】
ジルコニア含有物質を1種以上の安定化剤と接触させてジルコニア−安定化剤含有物質を生成させ;
前記ジルコニア−安定化剤含有物質を加熱して安定化したジルコニア担体物質を生成させる;
ことを含む、担体物質を製造する方法。
【請求項38】
前記ジルコニア含有物質がジルコニウムテトラヒドロキシドを含む、請求項37記載の方法。
【請求項39】
前記安定化剤が、Ce、La、W、Ta、Nb、Ti、Mo、VおよびSiの少なくとも1種を含む、請求項37記載の方法。
【請求項40】
前記安定化したジルコニア担体物質が約5モル%の安定化剤を含む、請求項37記載の方法。
【請求項41】
加熱が約400℃〜約800℃の温度である、請求項37記載の方法。
【請求項42】
前記ジルコニア含有物質が、約200m2/g〜約400m2/gの表面積を有する、請求項37記載の方法。

【図4E】
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【図4F】
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【図4G】
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【図4H】
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【図4I】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図1F】
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【図1G】
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【図1H】
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【図1I】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図2G】
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【図2H】
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【図2I】
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【図2J】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図5F】
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【公表番号】特表2006−511331(P2006−511331A)
【公表日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−563885(P2004−563885)
【出願日】平成15年12月18日(2003.12.18)
【国際出願番号】PCT/US2003/040805
【国際公開番号】WO2004/058396
【国際公開日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【出願人】(500006557)シミックス・テクノロジーズ・インコーポレイテッド (10)
【氏名又は名称原語表記】Symyx Technologies,Inc.
【住所又は居所原語表記】3100 Central Expressway,Santa Clara,California,USA
【Fターム(参考)】