説明

水質改質装置

【課題】 メンテナンス性がよく、メンテナンススペースの省スペース化、装置そのものが設置スペースの省スペース化を図ることができる水質改質装置を得る。
【解決手段】 被処理水に溶解しているイオンや分子或いは混入している不純物を取り除く濾過膜部1と、濾過膜部に被処理水を供給する加圧ポンプ2と、被処理水中の溶存気体を脱気する膜式脱気部3と、溶存気体吸引用の真空ポンプ4を備えている水質改質装置において、 濾過膜部を構成する濾過膜モジュール6をベッセル7の一側から膜エレメント8を出し入れする構造とし、該構造の複数の濾過膜モジュールを、その膜エレメントの出し入れ側を装置の正面へ向けて横置き縦積みに配置し、膜式脱気部を構成する複数の脱気膜モジュール17を、濾過膜モジュールの側面側に、濾過膜モジュールと並設状態で横置き縦積みに配置し、加圧ポンプを装置の背面側に配置し、真空ポンプを膜式脱気部の下側に配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理水に溶解しているイオンや分子或いは混入している不純物を取り除き、更に被処理水中の溶存気体を脱気して処理する水質改質装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、被処理水に溶解しているイオンや分子或いは混入している不純物を取り除き、更に被処理水中の溶存気体を脱気して処理する水質改質装置として、給水配管に、被処理水に溶解しているイオンや分子或いは混入している不純物を取り除く濾過膜部と、濾過膜部に被処理水を供給する加圧ポンプと、被処理水中の溶存気体を脱気する膜式脱気部と、溶存気体吸引用の真空ポンプを備えている水質改質装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
前記の水質改質装置にあって、前記濾過膜部は、一般に複数の濾過膜モジュールから構成され、また、膜式脱気部も複数の脱気膜モジュールから構成されており、濾過膜モジュールや脱気膜モジュールの個数は被処理水の処理量に応じて設定されている。この複数の濾過膜モジュールや脱気膜モジュールの配置にあっては、特に統一されたものとはなっておらず、また、前記加圧ポンプ、真空ポンプの配置にあっても、また、前記濾過膜部、加圧ポンプ、膜式脱気部、膜式脱気部に接続する配管の配置にあっても、特に統一されたものとはなっておらず、これらの配置は水質改質装置によってまちまちとなっている。
【特許文献1】特開平5−220480号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記のように、従来知られている水質改質装置にあって、濾過膜部を構成する複数の濾過膜モジュールや膜式脱気部を構成する脱気膜モジュールの配置や、前記加圧ポンプ、真空ポンプの配置、また、前記濾過膜部、加圧ポンプ、膜式脱気部、膜式脱気部に接続する配管の配置が特に統一されたものとはなっていないため、配置によってはメンテナンス性が悪く、広いメンテナンススペースを必要とし、更には、装置そのものが広い設置スペースを必要としてしまう、といった問題があった。
【0005】
また、濾過膜部を構成する濾過膜モジュールの個数や膜式脱気部を構成する脱気膜モジュールの個数は、被処理水の処理量に応じて設定され、処理量の多い水質改質装置と少ない水質改質装置が別々に製造されているのが一般であって、かかる水質改質装置において、必要とする処理水量の変更に伴い、濾過膜部を構成する濾過膜モジュールの個数や膜式脱気部を構成する脱気膜モジュールの個数を変更するといったことは、極めて困難な作業となるといった問題があった。
【0006】
本発明者等は、上記問題点を解決すべく研究の結果、メンテナンス性がよく、メンテナンススペースの省スペース化、装置そのものの設置スペースの省スペース化を可能にした濾過膜部を構成する複数の濾過膜モジュールや膜式脱気部を構成する脱気膜モジュールの配置や、前記加圧ポンプ、真空ポンプの配置、また、前記濾過膜部、加圧ポンプ、膜式脱気部、膜式脱気部に接続する配管の配置を見出し、本発明を完成させた。また、処理水量の変更は、水質改質装置をユニット化することにより解決することを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
即ち、本発明の目的とするところは、メンテナンス性がよく、メンテナンススペースの省スペース化、装置そのものが設置スペースの省スペース化を図ることができる水質改質装置を提供することにある。
本発明の他の目的とするところは、必要とする処理水量の変更に容易に対応できる水質改質装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、被処理水に溶解しているイオンや分子或いは混入している不純物を取り除く濾過膜部と、濾過膜部に被処理水を供給する加圧ポンプと、被処理水中の溶存気体を脱気する膜式脱気部と、溶存気体吸引用の真空ポンプを備えている水質改質装置において、 前記濾過膜部を構成する濾過膜モジュールをベッセルの一側から膜エレメントを出し入れする構造とし、該構造の複数の濾過膜モジュールを、その膜エレメントの出し入れ側を装置の正面へ向けて横置き縦積みに配置し、前記膜式脱気部を構成する複数の脱気膜モジュールを、前記濾過膜モジュールの側面側に、濾過膜モジュールと並設状態で横置き縦積みに配置し、前記加圧ポンプを装置の背面側に配置し、前記真空ポンプを膜式脱気部の下側に配置し、更に、前記濾過膜部、加圧ポンプ、膜式脱気部、膜式脱気部に接続する配管を装置の背面側にまとめたことを特徴とする。
【0009】
かかる構成から、濾過膜モジュールにおける膜エレメントの交換といった濾過膜部のメンテナンスが装置の正面側で行えるのでメンテナンス性がよく、また、濾過膜モジュールにおける膜エレメントの交換が装置の正面側だけで行えるので広いメンテナンススペースを必要としない。
【0010】
また、前記濾過膜部を構成する複数の濾過膜モジュールを横置き縦積みに配置し、前記膜式脱気部を構成する複数の脱気膜モジュールを、前記濾過膜モジュールの側面側に、濾過膜モジュールと並設状態で横置き縦積みに配置し、前記加圧ポンプを装置の背面側に配置し、前記真空ポンプを膜式脱気部の下側に配置し、更に、前記濾過膜部、加圧ポンプ、膜式脱気部に接続する配管を装置の背面側にまとめたので、濾過膜部、膜式脱気部、加圧ポンプ、真空ポンプ間の無駄な空間が無くなり、装置の設置に広いスペースを必要としない。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の、前記濾過膜部と、前記膜式脱気部と、前記加圧ポンプと、前記真空ポンプとを同じベース上に固定して水質改質装置ユニットとし、必要な処理水量に応じて複数の水質改質装置ユニットを並設して給水配管と接続可能としたことを特徴とする。
【0012】
かかる構成から、必要とする処理水量の変更に対して、水質改質装置ユニットを増減して給水配管と接続することにより、容易に対応することができ、また、水質改質装置ユニットの濾過膜モジュールにおける膜エレメントの交換といった濾過膜部のメンテナンスが装置の正面側で行え、濾過膜モジュールの側面側にメンテナンススペースが不要となるので、各水質改質装置ユニットは、濾過膜部を構成する複数の濾過膜モジュールの側面側に密着させて並設することができ、装置全体としての省スペース化が図れる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る水質改質装置によれば、濾過膜モジュールにおける膜エレメントの交換といった濾過膜部のメンテナンスが装置の正面側で行えるのでメンテナンス性がよく、また、濾過膜モジュールにおける膜エレメントの交換が装置の正面側だけで行えるのでメンテナンススペースの省スペース化を図ることができ、また、濾過膜部、膜式脱気部、加圧ポンプ、真空ポンプ間の無駄な空間が無くなり、装置の設置の省スペース化を図ることができる。
【0014】
また、水質改質装置ユニットとし、必要な処理水量に応じて複数の水質改質装置ユニットを並設して給水配管と接続可能としたので、必要とする処理水量の変更に対して、水質改質装置ユニットを増減して給水配管と接続することにより、容易に対応することができ、また、水質改質装置ユニットの濾過膜モジュールにおける膜エレメントの交換といった濾過膜部のメンテナンスが装置の正面側で行え、濾過膜モジュールの側面側にメンテナンススペースが不要となるので、各水質改質装置ユニットは、濾過膜部を構成する複数の濾過膜モジュールの側面側に密着させて並設することができ、装置全体としての省スペース化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る水質改質装置を実施するための最良の形態を説明する。
図1乃至図3は本発明に係る水質改質装置の実施の形態の一例を示すものであり、図1は本例の水質改質装置の一部を省略した一側面側斜視図、図2は図1に示す水質改質装置の一部を省略した他側面側斜視図、図3は濾過膜部を構成する濾過膜モジュールの拡大断面図である。
【0016】
本例の水質改質装置は、被処理水に溶解しているイオンや分子或いは混入している不純物を取り除く濾過膜部1と、濾過膜部1へ被処理水を供給する加圧ポンプ2と、被処理水中の溶存気体を脱気する膜式脱気部3と、溶存気体吸引用の真空ポンプ4を備えており、前記濾過膜部1、加圧ポンプ2、膜式脱気部3は配管5により接続されている。
【0017】
前記濾過膜部1を構成する濾過膜モジュール6は、図3に示すように、ベッセル7の一側から膜エレメント8を交換のために出し入れできる構造となっている。図3に示す濾過膜モジュール6は、筒状体9の一端側に着脱可能に取り付けられた閉鎖蓋10に被処理液供給口部11を有し、他端側に着脱可能に取り付けられた閉鎖蓋12に処理液導出口部13と濃縮液排出口部14を有するベッセル7の内部に膜エレメント8が収容され、膜エレメント8の被処理液供給口部11側の外周端部15とベッセル7の内周面との間をシールするブラインシールリング16が、前記膜エレメント8の被処理液供給口部11側の外周端面に当接するように装着されている。
【0018】
そして、前記ベッセル7内への膜エレメント8の出し入れは、被処理液供給口部11を有する閉鎖蓋10を外して被処理液供給口部11側から行うようになっており、膜エレメント8の出し入れに際し、前記ブラインシールリング16にあっては、ベッセル7へ膜エレメント8を挿入した後に、ブラインシールリング16を前記膜エレメント8の被処理液供給口部11側の外周端面と当接するように装着し、また、膜エレメント8を取り出す際には、先ずブラインシールリング16をベッセル7から取り出した後に膜エレメント8をベッセル7から引き出すようになっている。
【0019】
前記濾過膜部1は前記のように構成された複数の濾過膜モジュール6が、ベッセル7の前記膜エレメント8の出し入れ側、即ち被処理液供給口部11側を装置の正面へ向けて横置き縦積みに配置して構成されている。本例では、前記複数の濾過膜モジュール6は、上部に制御ボックスと操作パネル18を備えたケース19の一側に取り付けられている。
【0020】
また、前記膜式脱気部3は、複数の脱気膜モジュール17が、前記濾過膜部1を構成する縦積みされた濾過膜モジュール6の側面側に、濾過膜モジュール6と並設状態で横置き縦積みに配置して構成されている。本例では、前記ケース19内に取り付けられている。
【0021】
また、前記加圧ポンプ2は、装置の背面側に配置されている。本例では前記膜式脱気部3の背面側に配置されている。また、前記真空ポンプ4は、前記膜式脱気部3の下側に配置されている。更に、前記濾過膜部1、加圧ポンプ2、膜式脱気部3と接続する配管5は、装置の背面側にまとめて配置されている。
【0022】
更に、本例では、前記のように配置された濾過膜部1と膜式脱気部3と加圧ポンプ2と真空ポンプ4とが、1つのベース20上に固定され、水質改質装置ユニット21として構成されている。
【0023】
上記のように構成された水質改質装置によれば、濾過膜モジュール6における膜エレメント8の交換は、装置の正面側で行えるので濾過膜部1のメンテナンス性がよく、また、濾過膜モジュール6における膜エレメント8の交換が装置の正面側だけで行えるので広いメンテナンススペースを必要とせず、省スペース化が図れる。
【0024】
また、前記濾過膜部1を構成する複数の濾過膜モジュール6を横置き縦積みに配置し、前記膜式脱気部3を構成する複数の脱気膜モジュール17を、前記濾過膜モジュール6の側面側に、濾過膜モジュール6と並設状態で横置き縦積みに配置し、前記加圧ポンプ2を装置の背面側に配置し、前記真空ポンプ4を膜式脱気部3の下側に配置し、更に、前記濾過膜部1、加圧ポンプ2、膜式脱気部3に接続する配管5を装置の背面側にまとめたので、濾過膜部1、加圧ポンプ2、膜式脱気部3、真空ポンプ4間の無駄な空間が無くなり、装置の設置に広いスペースを必要とせず、省スペース化が図れる。
【0025】
更に、本例では、前記のように配置された濾過膜部1と膜式脱気部3と加圧ポンプ2と真空ポンプ4とが、1つのベース20上に固定され、水質改質装置ユニット21として構成されているので、必要とする処理水量の変更に対して、水質改質装置ユニット21を増減して給水配管(図示省略)に接続することにより、容易に対応することができる。また、水質改質装置ユニット21の濾過膜モジュール6における膜エレメント8の交換といった濾過膜部1のメンテナンスが装置の正面側で行え、濾過膜モジュール6の側面側にメンテナンススペースが不要となるので、図4、図5に示すように、各水質改質装置ユニット21は、濾過膜部1を構成する複数の濾過膜モジュール6の側面側に密着させて並設することができ、装置全体としての省スペース化を図ることができる。なお、図4、図5では、ケース19にカバー22が取り付けられており、膜式脱気部3及びその下側に配置されている真空ポンプ4はカバー22により覆われている。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る水質改質装置の実施の形態の一例を示す一部を省略した一側面側斜視図。
【図2】図1に示す水質改質装置の一部を省略した他側面側斜視図。
【図3】濾過膜部を構成する濾過膜モジュールの拡大断面図。
【図4】本発明に係る水質改質装置を並設した状態を示す一側面側斜視図。
【図5】図3に示す水質改質装置を並設した状態を示す他側面側斜視図。
【符号の説明】
【0027】
1 濾過膜部
2 加圧ポンプ
3 膜式脱気部
4 真空ポンプ
5 配管
6 濾過膜モジュール
7 ベッセル
8 膜エレメント
9 筒状体
10 閉鎖蓋
11 被処理液供給口部
12 閉鎖蓋
13 処理液導出口部
14 濃縮液排出口部
15 外周端部
16 ブラインシールリング
17 脱気膜モジュール
18 操作パネル
19 ケース
20 ベース
21 水質改質装置ユニット
22 カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理水に溶解しているイオンや分子或いは混入している不純物を取り除く濾過膜部と、濾過膜部に被処理水を供給する加圧ポンプと、被処理水中の溶存気体を脱気する膜式脱気部と、溶存気体吸引用の真空ポンプを備えている水質改質装置において、
前記濾過膜部を構成する濾過膜モジュールをベッセルの一側から膜エレメントを出し入れする構造とし、該構造の複数の濾過膜モジュールを、その膜エレメントの出し入れ側を装置の正面へ向けて横置き縦積みに配置し、前記膜式脱気部を構成する複数の脱気膜モジュールを、前記濾過膜モジュールの側面側に、濾過膜モジュールと並設状態で横置き縦積みに配置し、前記加圧ポンプを装置の背面側に配置し、前記真空ポンプを膜式脱気部の下側に配置し、更に、前記濾過膜部、加圧ポンプ、膜式脱気部、膜式脱気部に接続する配管を装置の背面側にまとめたことを特徴とする水質改質装置。
【請求項2】
前記濾過膜部と、前記膜式脱気部と、前記加圧ポンプと、前記真空ポンプとを同じベース上に固定して水質改質装置ユニットとし、必要な処理水量に応じて複数の水質改質装置ユニットを並設して給水配管と接続可能としたことを特徴とする請求項1に記載の水質改質装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2006−272282(P2006−272282A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−99554(P2005−99554)
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【出願人】(504143522)株式会社三浦プロテック (488)
【Fターム(参考)】