水質浄化材
【課題】魚類の飼育に適した水質環境を容易に、かつ短期間に構築することのできる水質浄化材を提供することにある。
【解決手段】水質浄化材は、汚濁物質を分解する酵素と、酵素による分解生成物または汚濁物質を分解する分解微生物と、酵素または前記分解微生物による分解生成物を吸着する活性炭と、分解微生物の栄養源と、を含む。酵素は汚濁物質に含まれる脂質、タンパク質、炭水化物、繊維質等を、分解微生物が体内に取り込みやすい大きさまで分解する。また、活性炭は、汚濁物質やその分解生成物を吸着して飼育水から除去する。このようにして、酵素および活性炭は、飼育水中での汚濁物質の処理を補助するとともに、汚濁物質の負荷を低下させて分解微生物や硝酸菌が生育しやすい環境を整える。また、栄養源が分解微生物の繁殖を促進する。これにより、初心者であっても飼育水中に分解微生物や硝酸菌を繁殖・定着させて汚濁物質を充分に分解する環境を短期間で整えることができる。
【解決手段】水質浄化材は、汚濁物質を分解する酵素と、酵素による分解生成物または汚濁物質を分解する分解微生物と、酵素または前記分解微生物による分解生成物を吸着する活性炭と、分解微生物の栄養源と、を含む。酵素は汚濁物質に含まれる脂質、タンパク質、炭水化物、繊維質等を、分解微生物が体内に取り込みやすい大きさまで分解する。また、活性炭は、汚濁物質やその分解生成物を吸着して飼育水から除去する。このようにして、酵素および活性炭は、飼育水中での汚濁物質の処理を補助するとともに、汚濁物質の負荷を低下させて分解微生物や硝酸菌が生育しやすい環境を整える。また、栄養源が分解微生物の繁殖を促進する。これにより、初心者であっても飼育水中に分解微生物や硝酸菌を繁殖・定着させて汚濁物質を充分に分解する環境を短期間で整えることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水質浄化材に関する。
【背景技術】
【0002】
観賞魚を飼育するための水槽は閉鎖的な環境であるため、餌の食べ残しや魚の排泄物等の汚濁物質が徐々に蓄積し、腐敗していくことによって、窒素化合物やリン化合物の濃度が高くなる、いわゆる富栄養化が起こりやすい。そして、この富栄養化が悪臭発生や飼育している魚への健康被害の原因となっている。
【0003】
そこで、このような事態を防止するために、水槽内の飼育水をろ過するためのシステムが種々提案されている(例えば特許文献1および特許文献2参照)。一般に、ろ過のシステムは、フィルタにより汚濁物質を除去する物理的ろ過、活性炭のようなイオン交換能を持つ素材に汚濁物質を吸着させて除去する化学的ろ過、微生物により汚濁物質を分解して無毒化する生物的ろ過の3つに大別される。中でも、生物的ろ過は最も効率が良く、水槽中に順調に微生物が定着すれば、その後のメンテナンスも比較的容易になると言われている。
【特許文献1】特開2005−58137公報
【特許文献2】特開2004−81109公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、飼育初期の水槽内には汚濁物質を分解する微生物が極端に少ない状況であり、また、水槽中に分解微生物を定着させて生物的ろ過系を確立させることは、特に初心者にとっては容易なことではない。このため、水槽内の環境を悪化させて観賞魚を死滅させてしまい、そのような失敗体験によって鑑賞魚の飼育から遠ざかってしまう飼育者が多いのが現状である。
【0005】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、魚類の飼育に適した水質環境を容易に、かつ短期間に構築することのできる水質浄化材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、魚類の飼育に適した水質環境を容易に、かつ短期間に構築することのできる水質浄化材を開発すべく鋭意研究してきたところ、以下の知見を見出した。
【0007】
一般に生物的ろ過による水質浄化では、餌の食べ残しや魚の排泄物等の汚濁物質を分解することのできる微生物(以下、「分解微生物」という)を水中に添加する。添加された分解微生物は水中で繁殖し、汚濁物質を分解する。このとき、汚濁物質に含まれる成分のうち、糖分、脂肪などは二酸化炭素と水にまで分解されて除去されるが、窒素を含むタンパク質からはアンモニアが発生する。このアンモニアは魚にとって有害であるが、飼育時間が経過するにつれて、空気中に常在する硝酸菌が飼育水中で増殖し、アンモニアを亜硝酸を経て比較的無害な硝酸塩にまで分解するようになる。このようにして、飼育水中に汚濁物質をろ過するプロセスが確立する。
【0008】
しかし、特に飼育初期、あるいは水替えの直後などにおいては、飼育水中に分解微生物が充分に繁殖していないため、分解しきれない汚濁物質が飼育水中に一時的に蓄積される。また、硝酸菌は増殖スピードが比較的遅いため、分解微生物が分解活動を行うようになってから硝酸菌が繁殖するまでの間に、一時的にアンモニア等の有害物質が飼育水中に蓄積される。この蓄積期間が長いと魚が耐え切れず、死滅してしまうこととなる。さらに、汚濁物質やアンモニア等が過大に蓄積した環境は、微生物にとっても決して増殖しやすい環境とはいえないため、分解微生物や硝酸菌の生育が妨げられ、水質の浄化がさらに行われにくくなってしまうという悪循環を生じる。したがって、この蓄積期間を上手に乗り切って早期にろ過系を確立させることが飼育の成功のために重要となる。
【0009】
本発明者らは、鋭意研究の結果、汚濁物質の分解・除去を補助する成分としての酵素および活性炭を分解微生物とともに添加することにより、飼育水中の汚濁物質の過大な増加を抑えて、分解微生物や硝酸菌の増殖しやすい環境を整えることが可能であることを見出した。加えて、分解微生物の栄養源を併せて添加することにより、分解微生物の生育を促進することも効果的であることが分かった。本発明は、かかる新規な知見に基づいてなされたものである。
【0010】
すなわち、本発明の水質浄化材は、汚濁物質を分解する酵素と、前記酵素による分解生成物および前記汚濁物質のうち少なくとも一部を分解する分解微生物と、前記酵素による分解生成物および前記分解微生物による分解生成物のうち少なくとも一部を吸着する活性炭と、前記分解微生物の栄養源と、を含むものである。
【0011】
本発明の水質浄化材において、酵素、活性炭、分解微生物、および栄養源の混合物が透水性容器に収容されていることが好ましい。このような構成であれば、飼育者が水質浄化材を水槽内へセットする際に、各成分が直接手に触れることがないため、取り扱いやすい。また、飼育者が各成分を計量して混合する手間を省くことができ、作業性が良い。
【0012】
また、本発明の水質浄化材は、分解微生物が乾燥された状態で配合されたものであることが好ましい。分解微生物が乾燥された状態で配合されていれば、長期にわたって休眠状態で保存することが可能となる。しかし、販売店等では観賞魚が飼われた水槽が展示されていることが多く、このため、店内が高湿環境となりやすい。したがって、分解微生物の乾燥状態を保つため、防湿性を備える保存容器に入れた水質浄化材パックの状態で保存または販売されることが好ましい。
【0013】
また、本発明の水質浄化キットは、上記の水質浄化材と、分解微生物が進入可能な細孔を備えた多孔質セラミック材と、水質浄化材と多孔質セラミック材とを収容する透水ケースと、を備えるものである。このような構成であれば、分解微生物が住み着き、繁殖することのできる多孔質セラミック材が水質浄化材の近傍に配されるため、飼育環境中への分解微生物の定着が容易となり、好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、水質浄化材は、汚濁物質を分解する酵素と、酵素による分解生成物または汚濁物質を分解する分解微生物と、酵素または前記分解微生物による分解生成物を吸着する活性炭と、分解微生物の栄養源と、を含む。
【0015】
水質浄化材が飼育水に添加されると、酵素は汚濁物質に含まれる脂質、タンパク質、炭水化物、繊維質等を、分解微生物が体内に取り込みやすい大きさまで分解する。また、活性炭は、汚濁物質やその分解生成物を吸着して飼育水から除去する。このようにして、酵素および活性炭は、飼育水中での汚濁物質の処理を補助するとともに、汚濁物質の過剰な蓄積を抑えて分解微生物や硝酸菌が生育しやすい環境を整える。また、栄養源が分解微生物の繁殖を促進する。これにより、初心者であっても飼育水中に分解微生物や硝酸菌を繁殖・定着させてろ過系を短期間で立ち上げることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を具体化した実施形態について、図1〜図8を参照しつつ詳細に説明する。
【0017】
図1には、本発明を具体化した水質浄化キット1の外観斜視図を、図2には、この水質浄化キット1の分解斜視図を、それぞれ示す。この水質浄化キット1には、水質浄化材2と、分解微生物が進入可能な細孔を備えたセラミック棒4(本発明の多孔質セラミック材に該当する)と、これらの水質浄化材2とセラミック棒4とを収容する透水ケース5とが備えられている。
【0018】
水質浄化材2は、飼育水の浄化に寄与する成分が、透水性の袋体3(本発明の透水性容器に該当する)に内包されたものである。内包される成分のうち主たるものは、酵素、分解微生物、活性炭、および栄養源である。これらの成分は乾燥粉末状態で袋体3内に収容されている。
【0019】
酵素は、水中の汚濁物質を分解可能なものであればよい。鑑賞魚用の飼育水を対象とする場合、取り除かなければならない汚濁物質は主として魚の排泄物や餌の食べ残しであり、これらの成分は、脂質、デンプン質、タンパク質、繊維質に大別される。したがって、これらを分解する酵素としてはリパーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、およびセルロースのうち1種以上が含まれていればよく、4種全てが含まれていることが好ましい。
【0020】
分解微生物としては、汚濁物質、または、この汚濁物質の上記した酵素による分解物(グリセリン・脂肪酸・ブドウ糖・果糖・ペプチド・アミノ酸・単糖類等)を分解可能なものであればよい。好適な微生物の具体例としては、例えばバチルス属(Bacillus sp.)の菌体を主体とし、これにエンテロバクター属(Enterobacter sp.)、ミクロコッカス属(Micrococcus sp.)、フラボバクテリウム属(Flavobacterium sp.)、アルカリゲネス属(Alcaligenes sp.)、アシネトバクター属(Acinetobactor sp.)等に属する菌体を混合したものが挙げられる。
これらの配合割合はバチルス属が40〜60%、その他5種類の菌属が60〜40%であることが好ましい。その理由は、以下のようである。
飼育水中には、酵素によって分解されたあと、主としてタンパク質や糖類が多量に存在し、またその他少量ではあるが脂質が存在している。
一般的にバチルス属は増殖速度が速く、嫌気・好気の両条件下で選択的にタンパク質や糖質に対し優れた分解能力を有するので、他の菌体より配合割合を高くした方が、即効的な浄水効果が得られる。
また、他の5種類の菌体は、低温でも活発に増殖でき、塩濃度の高いタンパク質や糖質に対し優れた分解能力を有するが、特に脂質に対して最も有効に作用するというバチルス属にはない特性を有している。また、これら5種類の菌体も均等に配合されていた方が、より効率的に水の浄化が可能になると推量される。
【0021】
栄養源は、分解微生物の繁殖に必要な無機系、有機系の栄養素を含むものである。栄養源として適切な成分は、分解微生物の種類によっても変動し一概に限定できないが、例えば分解微生物の窒素源や炭素源となる有機系栄養剤として、グルコース、小麦ふすま、ポリペプトン等が挙げられる。また、分解微生物の活動に必要な微量金属やリン分の供給源となる無機塩類として、硫酸マグネシウム、無水硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、重炭酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム等が挙げられる。
【0022】
活性炭は、汚濁物質、または、上記した酵素や分解微生物の分解活動に伴って生じる分解生成物を吸着可能なものであれば良い。特に、ヤシ殻系活性炭を好適に使用できる。ヤシ殻系活性炭は、分解生成物のうち魚にとって有害なアンモニアの吸着能力に優れる。
【0023】
分解微生物・酵素・および栄養源の混合比率は、各成分の種類等によっても異なり一概に限定できないが、分解微生物と栄養源の混合物に対して、酵素の重量比率が0.7〜1.3、好ましくは1〜1.1とされることが好ましい。
分解微生物と栄養源の混合物に対して酵素の重量比率が1.3を越えると、酵素によって汚濁物質が分解されても、それをさらに分解する微生物の量が少なく活動が追いつかないために、水質が安全な状態まで浄化されない。また0.7未満であると、酵素によって分解される汚濁物質の割合が少なくなるために、微生物の活動が活発になってきてもその活動源が枯渇した状態となり、せっかく活動し始めた微生物の動きが鈍くなってしまい、汚濁物質が効率よく浄化されない。
また、活性炭の混合比率も、同様に各成分の種類等によっても異なり一概に限定できないが、分解微生物・酵素・および栄養源の混合物に対して、活性炭の重量比率が1〜10倍、好ましくは2.4倍以上とされることが好ましい。
水槽の水質は飼育する生体の種類や数、または餌の種類や量などによって様々であるが、活性炭の重量比率が1未満であると、少ない匹数を飼育している水槽でも活性炭による汚濁物質の除去効果は望めない。また、10倍を越えると、確かに汚濁物質は充分に除去できるが、活性炭が嵩高になるため、水槽の美観を損ねてしまう。
【0024】
なお、上記の成分に加えて、吸湿防止剤、pH安定剤等の役割を果たす成分が添加されていても良い。
【0025】
これらの成分の混合物は、袋体3に内包されている。袋体3は、不織布により作られたものであって、繊維間に多数の微小な隙間(孔部)を有する略網目構造をなしている。袋体3が水中に浸漬されたとき、微生物・酵素および栄養源はこの隙間を通過して袋体3の外に出て行くことが可能であるが、活性炭は通過不可能であり袋体3の内部に止まる。不織布の材質としては、耐久性に優れるポリエステルスパンボンド等を好適に使用できる。混合物の内包量は、飼育する魚の種類や数などにより変動し一概に限定できないが、例えば40リットルの水槽に対して1包を使用する場合には、5g以上、好ましくは7.5g以上とすることで充分な水質浄化効果が得られると考えられる。水質の汚濁状態は水槽の生体の飼育内容によって様々であるが、水質をそれほど汚さないカラシンやグッピー類を数匹飼育する程度であれば、5gで充分な効果が得られるし、飼育する種類や数を増やしさらに水質が汚れる場合であれば7.5g以上とすることで水質の浄化に対応できると考えられる。
【0026】
この水質浄化材2は、防湿性の高い保存容器内にパッキングされた状態で保存あるいは販売されることが好ましく、保存容器としては、例えば、防湿性の高いアルミ層をもつシート材料から作られるアルミパウチを好ましく使用できる。水質浄化材2に含まれる成分のうち、特に分解微生物は乾燥休眠状態に保つことによって長期保存が可能となるが、この種の水質浄化材2の販売店は、観賞魚を展示するための水槽が置かれているために、高湿な環境となっていることが多く、特に、熱帯魚等を飼う水槽が置かれている場合には高温・高湿環境になっていることがある。この環境に乾燥休眠中の分解微生物を放置しておくと、自ずと活動を始めるが、周囲に栄養源がないために数日のうちに死滅してしまう。したがって、水質浄化材2を防湿性のあるアルミパウチ内に収容することによって、含まれる成分、特に分解微生物が吸湿して保存性が低下することを防ぐことが好ましい。
【0027】
セラミック棒4は、多数の細孔を有する多孔質のセラミック材料により、細長い円柱状に形成されたものである。セラミック棒4は、細孔内に分解微生物が進入して定着できるよう、分解微生物の大きさに適合した孔径(約0.1〜1μm)の細孔を備えていることが好ましい。また、セラミック棒4の材質には特に制限はないが、飼育水中に浸漬させたときに飼育水のpHを変化させる物質が溶出しないものであることが好ましく、例えば、アルミナおよびシリカを主成分とするものを好適に使用できる。このようなセラミックス材は、例えばラジオライトとカオリン系粘土とクルミの粉末を水条件下で混練りし、押し出し成形後、ガス雰囲気窯において、最高温度930〜980℃、好ましくは950℃で焼成することによって作製することができる。
焼成温度の最高温度が930℃以下であると、セラミック棒4の充分な焼結が得られない可能性があるために、水中にpHの変化に影響する物質が溶出する場合があり、飼育生体によっては健康被害を受ける場合があるし、最高温度が980℃異常であると減量の焼結が進むため、微生物の棲息領域となる微細空間が減少してしまい、微生物の増殖活動が減少してしまう。
【0028】
これらの水質浄化材2およびセラミック棒4は、透水ケース5内に収容されている。この透水ケース5は、全体として扁平な箱形形状に形成されており、厚さ方向にほぼ2分された上ケース部6と下ケース部7とを組み合わせることによって構成されている(図3参照)。
【0029】
下ケース部7は、合成樹脂により、上面側が開放された扁平な箱型に形成されている。一方、上ケース部6は、合成樹脂により、下面側が開放された扁平な箱型に形成されており、下ケース部7に嵌め付けられてこの下ケース部7の開口部を覆蓋することが可能とされている。上ケース部6は、一対のヒンジ8によって下ケース部7に対して開閉自在に取り付けられている。
【0030】
上ケース部6の側壁部、および下ケース部7の側壁部には、それぞれその外周面下端部、内周面上端部が全周にわたって段付き状に凹まされることで、両ケース部6、7の嵌合時に透水ケース5の内外に重ね合わせられる嵌合壁部6A、7Aが形成されている。
【0031】
また、上ケース部6において、対向する一対の側壁部には、それぞれロック片9が設けられている。このロック片9は、内側に弾性変形可能な薄板状に形成されて、その上端にロック爪10が外側に向かって突設されたものである。このロック片9は、嵌合壁部6Aの下端に形成された切り欠き凹部の内側にロック爪10が突出するようにして、側壁部の内壁面に取り付けられている。一方、下ケース部7の嵌合壁部7Aにおいてロック片9と対応する位置には、ロック爪10を係止するためのロック突起11が内側方向に向かって突設されている。
【0032】
上ケース部6の天井面、および下ケース部7の床面において一の端縁(本実施形態ではヒンジ8が設けられている側の端縁)より僅かに内側位置には、セラミック棒4を保持するための保持リブ12、13が、それぞれ一対ずつ設けられている。上ケース部6側の一対の保持リブ12は、互いにその板面が平行方向を向き、かつ、上記端縁と直行方向を向くようにして、下側に向かって立設されている。そして、その下端縁には、セラミック棒4の外周面に整合する半円状の保持凹部12Aがそれぞれ設けられている。一方、下ケース部7側の一対の保持リブ13は、上ケース部6側の保持リブ12に対して板面と直交方向にずれた位置に、その板面が上ケース6側の保持リブ12と平行方向を向くようにして、上側に向かって立設されている。そして、その上端縁には、セラミック棒4における円柱の外周面に整合する半円状の保持凹部13Aがそれぞれ設けられている。
【0033】
上ケース部6および下ケース部7の壁部には、ほぼ全面にわたって、厚み方向に貫通する矩形状の透水窓14の複数が縦横に並列して設けられており、飼育水がこの透水窓14を通って透水ケース5の内外に自由に出入りできるようになっている。また、上ケース部6における天井壁には、透水ケース5を固定する吸盤16を取り付けるための吸盤取付孔15が貫通形成されている。透水ケース5を水槽20内の側壁20Aに取り付ける場合には、吸盤16を吸盤取付孔15に取り付け、この吸盤16を側壁20Aに吸着させることにより取り付けることができる。
【0034】
次に、本実施形態の水質浄化キット1を使用して、水槽内の飼育水の浄化を行う方法について説明する。
【0035】
まず、透水ケース5を開いて下ケース部7の内部に水質浄化材2を入れる(図4参照)。また、セラミック棒4を保持凹部13A上に保持させる。このとき、水質浄化材2を構成する各成分があらかじめ混合されて袋体3に内包されているので、各成分が直接手に触れることがなく、扱いやすい。また、各成分を計量して混合する手間を省くことができ、惑わしさが回避される。
【0036】
水質浄化材2およびセラミック棒4をセットしたら、上ケース部6を嵌合させて透水ケース5を閉じる。このとき、ロック片9のロック爪10が弾性変形しつつロック突起11を乗り越えて係止されると、上ケース部6と下ケース部7が互いに離間不能に嵌め合わせられる(図6参照)。両ケース部6、7の嵌合状態では、セラミック棒4は上ケース部6の保持リブ12と下ケース部7の保持リブ13との間で挟まれて固定される(図5および図7を併せて参照)。
【0037】
次いで、この透水ケース5を水槽20内にセットする。水槽20に物理的ろ過のためのフィルタ装置が併設されている場合には、透水ケース5をフィルタ装置の吸い込み口または吹き出し口の近傍に配することが好ましく、その他、敷砂の上、エアレーション装置の投げ込みフィルタの近傍などに配しても良い。なお、図8では、横掛け式のフィルタ装置21が併設される場合において、透水ケース5をフィルタ装置21の吹き出し口の近傍(透水ケース5A)、敷砂22の上(透水ケース5B)、エアレーション装置23の投げ込みフィルタ23Aの近傍(透水ケース5C)に設置する様子を例示している。透水ケース5の水槽20への設置数は図8に示す内容に限定されるものではなく、水槽の容量、水質浄化材2における各成分の内包量等に応じて決定すれば良い。
【0038】
なお、透水ケース5を縦置きとする場合には、セラミック棒4が配されている側を下側とすることが好ましい。袋体3から流れ出る分解微生物が水槽20の底に沈んでいく途中でセラミック棒4に付着し、定着しやすくなるためである。
【0039】
水質浄化キット1が飼育水にセットされると、酵素・分解微生物・栄養源はその粒径が不織布の網目を通過できる大きさであるため、袋体3から流れ出て飼育水中に拡散する。分解微生物は、飼育水中で、あるいはセラミック棒4の細孔内で、栄養源を餌として繁殖し、飼育水中の魚の餌の食べ残しや排泄物等を分解する。このとき、セラミック棒4が水質浄化材2とともに透水ケース5内に収められ、水質浄化材2の近傍に配されている。すなわち、分解微生物が住み着く場所が水質浄化材2のすぐ近くに用意されている。このため、分解微生物はセラミック棒4の細孔内に進入して繁殖し、容易に飼育水中に定着する。
【0040】
また、酵素は、魚の餌の食べ残しや排泄物等に含まれる脂質、タンパク質、炭水化物、繊維質等を、分解微生物が体内に取り込みやすい大きさまで分解することで、分解微生物の繁殖および分解作用を助ける。
【0041】
また、活性炭はその粒径が不織布の網目を通過できない大きさであるため、袋体3の内部に止まる。飼育水は透水ケース5の透水窓14を通ってケース内外に循環し、活性炭は、この飼育水に含まれる汚濁物質、およびその分解生成物を吸着して飼育水から除去する。
【0042】
さらに、飼育期間が経過するにつれ、空気中に常在しているニトロソモナス、ニトロバクター等の硝酸菌が徐々に飼育水中に繁殖し、分解生成物のうちアンモニアを、亜硝酸を経て比較的無害な硝酸塩にまで分解する硝化サイクルを行う。
このようにして汚濁物質が分解・無害化され、飼育水が浄化される。
【0043】
このように、酵素および活性炭は、飼育水中での分解微生物による汚濁物質の処理を補助する。特に、分解微生物が充分に繁殖していない飼育初期において、これらの酵素および活性炭が汚濁物質処理の強力な補佐役として働くとともに、汚濁物質の過大な蓄積を防いで分解微生物および硝酸菌が生育しやすい環境を整える。また、栄養源が分解微生物の繁殖を促進する。これにより、初心者であっても飼育水中に生物的ろ過系を容易に、かつ短期間で確立することが可能となる。
【0044】
飼育期間が経過するにつれて、水質浄化材2中の酵素および栄養源は消費され、あるいは劣化する。このため、定期的にこれらの成分の補充を行う必要がある。また、分解微生物は当初添加したものが飼育水中で繁殖するのであるが、活力を維持するためには時々新鮮な分解微生物を補充することが好ましい。さらに、活性炭は、その吸着限界まで汚濁物質等が吸着されるとそれ以上の吸着能を失うため、定期的な交換を要する。このとき、水質浄化材2は各成分が袋体3に内包されているものであるから、使用後の袋体3を透水ケース5から取り出し、新しい袋体3をセットするだけで、これらの成分の補充・交換を容易に行うことができる。
【0045】
なお、多孔質セラミックからなるセラミック棒4は分解微生物が住み着き、繁殖するための場所を提供するものであるから、交換することなく継続的に使用していくことが好ましい。ここで、例えば多孔質セラミックを水質浄化材2の成分と同胞されていると、水質浄化材2の交換の際に多孔質セラミックもともに交換されてしまうこととなる。しかし、本実施形態ではセラミック棒4は水質浄化材2とは別体として透水ケース5内に収容されているから、水質浄化材2のみを交換してセラミック棒4を継続的に使用することができ、飼育水中で分解微生物をより安定的に定着させることができる。
【実施例】
【0046】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
【0047】
[分解微生物と酵素との併用効果を確認する試験群]
1.試験方法
<試験例1−1>
(1)水質浄化材
分解微生物と栄養源とを含む微生物資材として、四国化成工業(株)製「ハイポルカ」を使用した。「ハイポルカ」に含まれる成分を表1に示した。
酵素剤としては、REALCO社製「バクティフローラ」を使用した。「バクティフローラ」は酵素としてプロテアーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、リパーゼを含んでいる。
【0048】
【表1】
【0049】
(2)飼育試験
実水量30〜35リットルの水槽を下記の条件で設定した。水質浄化材として、(1)に記載した微生物資材および酵素剤を各25mg/lとなるように加え、体長15〜20cmの金魚を2〜3匹入れて飼育した。餌としては、株式会社キョーリン製「ベビーゴールド」を使用し、飼育初日から0.67g/dayで給餌を行った。
フィルタ:テトラ ワンタッチフィルター(テトラジャパン株式会社製)
水温 :26℃(ヒータ有り)
ろ過材 :パワーハウス ソフトタイプ Mサイズ(クリオン株式会社製) 62粒
【0050】
飼育開始から1日毎に、pHメータを使用して飼育水のpHを測定した。また、中和滴定法によりアンモニア態窒素の濃度を、N−1−ナフチルエチレンジアミン吸光光度法で亜硝酸態窒素の濃度を測定した。ろ過系の立ち上がりは、亜硝酸態窒素出現の2日目からと評価した。
【0051】
<試験例1−2>
水槽に酵素剤のみを添加し、添加量を50mg/lとした。その他は、試験例1−1と同様にして飼育を行い、水質を測定した。
【0052】
<試験例1−3>
水槽に微生物資材のみを添加し、添加量を50mg/lとした。その他は、試験例1−1と同様にして飼育を行い、水質を測定した。
【0053】
<試験例1−4>
水質浄化材を使用しなかった他は、試験例1−1と同様にして飼育を行い、水質を測定した。
【0054】
2.結果と考察
微生物資材と酵素剤とを併用した試験例1−1では、5日目でろ過系が立ち上がり(図9)、次いで、酵素剤または微生物資材を単独で使用した試験例1−2および1−3が6日目に立ち上がる結果となった(図10、図11)。また、微生物資材と酵素剤とを併用した場合には、単独で使用した場合と比べてアンモニア態窒素および亜硝酸態窒素の濃度の最高値が低かった。
微生物資材と酵素剤とを併用することで、水中に存在する汚濁物質が酵素によって分解微生物が取り込みやすい大きさまで素早く分解され、分解微生物の増殖活動が盛んになるとともに、微生物等が飼育水中で増殖しやすい環境が早期に整った結果、ろ過系の立ち上がりが早くなったと考えられる。
【0055】
[活性炭による物理的処理併用効果を確認する試験群]
1.試験方法
<試験例2−1>
微生物資材および酵素剤としては、上記試験例1−1と同様のものを使用した。実水量35リットルの水槽を下記の条件で設定した。水質浄化材として、微生物資材と酵素剤を重量比率1:1.1で混合した混合物を10g加え、体長15〜20cmの金魚を2〜3匹入れて飼育した。試験例1−1と同様の条件で飼育初日から給餌を行い、pH、アンモニア態窒素濃度、亜硝酸態窒素濃度を測定した。
【0056】
フィルタ:テトラ ワンタッチフィルター(テトラジャパン株式会社製)
水温 :10〜18℃(ヒータ無し)
ろ過材 :パワーハウス ソフトタイプ Mサイズ(クリオン株式会社製) 63粒
【0057】
<試験例2−2>
活性炭として、株式会社キャタラー製のヤシ殻系活性炭WA−8〜32を使用した。
水質浄化材として、微生物資材と酵素剤の混合物を10g、活性炭を25g加えた他は、試験例2−1と同様にして試験を行った。
【0058】
<試験例2−3>
水質浄化材として、微生物資材と酵素剤の混合物を2.7g、活性炭を0.27g加えた他は、試験例2−1と同様にして試験を行った。
【0059】
<試験例2−4>
水質浄化材として、微生物資材と酵素剤の混合物を2.7g、活性炭を2.7g加えた他は、試験例2−1と同様にして試験を行った。
【0060】
<試験例2−5>
水質浄化材として、微生物資材と酵素剤の混合物を2.7g、活性炭を27g加えた他は、試験例2−1と同様にして試験を行った。
【0061】
<試験例2−6>
水質浄化材として、微生物資材と酵素剤の混合物を2.2g、活性炭を6g加えた他は、試験例2−1と同様にして試験を行った。
【0062】
2.結果と考察
試験例2−1と2−2との比較(図13および図14)より、微生物資材と酵素剤に加えて活性炭を使用した試験例2−2では、アンモニア態窒素の濃度が試験期間を通して2〜3mgN/l程度に抑制され、4日目にろ過系の立ち上がりが確認された。また、この試験例では亜硝酸態窒素が7日間出現した後、硝酸への分解が確認された。この蓄積期間中の亜硝酸態窒素の最高値は5mgN/lであった。
これに対し、活性炭を併用しなかった試験例2−1の場合には、ろ過系の立ち上がりが確認されたのが9日目であり、2日目から10日目までの間にアンモニア態窒素の多量の蓄積が観察された。
ヤシ殻系活性炭を併用した試験例2−2では、初期に増加するアンモニア態窒素が活性炭に吸着されることによって蓄積が抑制され、分解微生物に対する負荷が少なくなった為に、ろ過系の立ち上がりまでの期間が大幅に短縮され、速やかな硝化反応を得ることが出来たと推察される。
【0063】
また、試験例2−3〜2−5の比較(図15〜図17)より、活性炭の添加量を10倍量とした場合(試験例2−5)においてアンモニア態窒素の蓄積の大幅な抑制が観察された。また、この試験例では、硝化反応の次の過程で発生する亜硝酸態窒素が、微生物資材(分解微生物と栄養源との混合物)の重量に対して10分の1(試験例2−3)、および等量(試験例2−4)とした場合と比較して早期に出現した。このことから、硝酸菌の繁殖を待つ間、分解微生物の活動によって生産されるアンモニアを吸着して飼育水中でのアンモニアの蓄積を抑える役割を活性炭が担っており、分解微生物の添加量に対して活性炭の添加量が多いほど効果的であると推察される。しかし、実際に観賞魚を飼育する一般的な水槽においては、試験例2−5のような27gという活性炭の添加量は適切な量ではない。
試験例2−6に示すように、飼育水に対する水質浄化材の添加量をスケールダウンして実験を行った結果、35リットルの飼育水に対して微生物資材2.2g、ヤシ殻系活性炭6g程度としても水質浄化効果が奏されること、分解微生物・酵素・および栄養源の混合物に対して、活性炭の重量比率が約2.4倍程度であれば充分なアンモニア抑制効果を期待できることが確認された(図18)。
【0064】
[活性炭の種類による効果の違いを確認する試験群]
1.試験方法
<試験例3−1>
微生物資材および酵素剤としては、上記試験例1−1と同様のものを使用した。また、活性炭として、株式会社キャタラー製の石炭系活性炭DSW−38〜32を使用した。
実水量35リットルの水槽を下記の条件で設定した。水質浄化材として、微生物資材と酵素剤を重量比率1:1.1で混合した混合物を2.5g、活性炭を25g加え、体長15〜20cmの金魚を2〜3匹入れて飼育した。試験例1−1と同様の条件で飼育初日から給餌を行い、pH、アンモニア態窒素濃度、亜硝酸態窒素濃度を測定した。
【0065】
フィルタ:テトラ ワンタッチフィルター(テトラジャパン株式会社製)
水温 :10〜18℃(ヒータ無し)
ろ過材 :パワーハウス ソフトタイプ Mサイズ(クリオン株式会社製) 63粒
【0066】
<試験例3−2>
活性炭として株式会社キャタラー製のヤシ殻系活性炭WA−8〜32を使用し、水槽への添加量を12.5gとした他は、試験例3−1と同様にして試験を行った。
【0067】
<試験例3−3>
活性炭として株式会社キャタラー製の石炭系活性炭SE−P1を使用した他は、試験例3−1と同様にして試験を行った。
【0068】
2.結果と考察
各試験例において使用した活性炭の物性を表2に示す。
【0069】
【表2】
【0070】
ヤシ殻系活性炭を使用した試験例3−2において、5日目に立ち上がりが確信された(図20)。またこの試験ではアンモニア態窒素の蓄積が最高値2.4mgN/lと低い値であり、活性炭によるアンモニア態窒素の吸着・除去が確認された。水槽設置時から5日間位の期間において、アンモニア態窒素の蓄積の最高値を3.0mgN/l程度に抑制できると、硝化過程においてアンモニア態窒素の次に出現する亜硝酸態窒素の蓄積も最高値5〜10mgN/lに抑制され、その後もスムーズに硝酸態窒素へと反応を進行させることができる。
【0071】
一方、石炭系の活性炭(試験例3−1、3−3)は、ヤシ殻系活性炭より水槽中に出現しているアンモニア態窒素を物理的にろ過する効力が低いことが判明した(図19、図21)。この理由については必ずしも明らかではないが、以下のように推測される。
【0072】
すなわち、石炭を原料とした活性炭は、原料中に鉱物質が多く含まれているため、製造後の活性炭は結晶部が多いものとなっている。これに対し、ヤシ殻系活性炭は非晶質部分が多く含まれているため、ミクロポアが多数存在すると思われる。従って、石炭を原料とした活性炭に比べて、アンモニア態窒素などの有機物を多量に捕捉または吸着できる能力が優れていると推量される。また、非晶質部分は多くのバクテリアの生息場所としても適した細孔構造となっていると思われる。
【0073】
本発明の技術的範囲は、上記した実施形態によって限定されるものではなく、例えば、次に記載するようなものも本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、水質浄化材2を、各成分(酵素、分解微生物、栄養源および活性炭)を全て袋体3に内包したものとしたが、例えば各成分を袋体3に内包せず、直接に水槽内に添加するものであっても構わない。あるいは、複数種の成分のうち一部が袋体に内包され、残りの成分が別に保存されて使用時に水槽内に添加される形態であっても構わない。
【0074】
(2)上記実施形態では、袋体3とセラミック棒4とをともに透水ケース5に収容したが、水質浄化材と多孔質セラミック材とが透水ケースに収容されず、別々に水槽内に配される形態であっても構わない。また、多孔質セラミック材を用いず、水質浄化材のみを水槽内に配置しても構わない。
【0075】
(3)上記実施形態では、セラミック棒4が円柱状に形成されているが、多孔質セラミック材の形状は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば角柱状であっても良く、顆粒状であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本実施形態の水質浄化キットの外観斜視図
【図2】水質浄化キットの分解斜視図
【図3】透水ケースを開いた様子を示す斜視図
【図4】透水ケース内に水質浄化材およびセラミック棒をセットした様子を示す斜視図
【図5】水質浄化材およびセラミック棒を収容した透水ケースを上ケース側から見た図
【図6】水質浄化キットの断面図
【図7】水質浄化キットを水槽の側壁に吸盤を用いて取り付けた様子を示す側断面図
【図8】水質浄化キットを水槽内に配置した様子を示す斜視図
【図9】試験例1−1において、飼育水のpH、アンモニア態窒素濃度、および亜硝酸態窒素濃度の経時変化を示すグラフ
【図10】試験例1−2において、飼育水のpH、アンモニア態窒素濃度、および亜硝酸態窒素濃度の経時変化を示すグラフ
【図11】試験例1−3において、飼育水のpH、アンモニア態窒素濃度、および亜硝酸態窒素濃度の経時変化を示すグラフ
【図12】試験例1−4において、飼育水のpH、アンモニア態窒素濃度、および亜硝酸態窒素濃度の経時変化を示すグラフ
【図13】試験例2−1において、飼育水のpH、アンモニア態窒素濃度、および亜硝酸態窒素濃度の経時変化を示すグラフ
【図14】試験例2−2において、飼育水のpH、アンモニア態窒素濃度、および亜硝酸態窒素濃度の経時変化を示すグラフ
【図15】試験例2−3において、飼育水のpH、アンモニア態窒素濃度、および亜硝酸態窒素濃度の経時変化を示すグラフ
【図16】試験例2−4において、飼育水のpH、アンモニア態窒素濃度、および亜硝酸態窒素濃度の経時変化を示すグラフ
【図17】試験例2−5において、飼育水のpH、アンモニア態窒素濃度、および亜硝酸態窒素濃度の経時変化を示すグラフ
【図18】試験例2−6において、飼育水のpH、アンモニア態窒素濃度、および亜硝酸態窒素濃度の経時変化を示すグラフ
【図19】試験例3−1において、飼育水のpH、アンモニア態窒素濃度、および亜硝酸態窒素濃度の経時変化を示すグラフ
【図20】試験例3−2において、飼育水のpH、アンモニア態窒素濃度、および亜硝酸態窒素濃度の経時変化を示すグラフ
【図21】試験例3−3において、飼育水のpH、アンモニア態窒素濃度、および亜硝酸態窒素濃度の経時変化を示すグラフ
【符号の説明】
【0077】
1…水質浄化キット
2…水質浄化材
3…袋体(透水性容器)
4…セラミック棒(多孔質セラミック材)
5…透水ケース
【技術分野】
【0001】
本発明は、水質浄化材に関する。
【背景技術】
【0002】
観賞魚を飼育するための水槽は閉鎖的な環境であるため、餌の食べ残しや魚の排泄物等の汚濁物質が徐々に蓄積し、腐敗していくことによって、窒素化合物やリン化合物の濃度が高くなる、いわゆる富栄養化が起こりやすい。そして、この富栄養化が悪臭発生や飼育している魚への健康被害の原因となっている。
【0003】
そこで、このような事態を防止するために、水槽内の飼育水をろ過するためのシステムが種々提案されている(例えば特許文献1および特許文献2参照)。一般に、ろ過のシステムは、フィルタにより汚濁物質を除去する物理的ろ過、活性炭のようなイオン交換能を持つ素材に汚濁物質を吸着させて除去する化学的ろ過、微生物により汚濁物質を分解して無毒化する生物的ろ過の3つに大別される。中でも、生物的ろ過は最も効率が良く、水槽中に順調に微生物が定着すれば、その後のメンテナンスも比較的容易になると言われている。
【特許文献1】特開2005−58137公報
【特許文献2】特開2004−81109公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、飼育初期の水槽内には汚濁物質を分解する微生物が極端に少ない状況であり、また、水槽中に分解微生物を定着させて生物的ろ過系を確立させることは、特に初心者にとっては容易なことではない。このため、水槽内の環境を悪化させて観賞魚を死滅させてしまい、そのような失敗体験によって鑑賞魚の飼育から遠ざかってしまう飼育者が多いのが現状である。
【0005】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、魚類の飼育に適した水質環境を容易に、かつ短期間に構築することのできる水質浄化材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、魚類の飼育に適した水質環境を容易に、かつ短期間に構築することのできる水質浄化材を開発すべく鋭意研究してきたところ、以下の知見を見出した。
【0007】
一般に生物的ろ過による水質浄化では、餌の食べ残しや魚の排泄物等の汚濁物質を分解することのできる微生物(以下、「分解微生物」という)を水中に添加する。添加された分解微生物は水中で繁殖し、汚濁物質を分解する。このとき、汚濁物質に含まれる成分のうち、糖分、脂肪などは二酸化炭素と水にまで分解されて除去されるが、窒素を含むタンパク質からはアンモニアが発生する。このアンモニアは魚にとって有害であるが、飼育時間が経過するにつれて、空気中に常在する硝酸菌が飼育水中で増殖し、アンモニアを亜硝酸を経て比較的無害な硝酸塩にまで分解するようになる。このようにして、飼育水中に汚濁物質をろ過するプロセスが確立する。
【0008】
しかし、特に飼育初期、あるいは水替えの直後などにおいては、飼育水中に分解微生物が充分に繁殖していないため、分解しきれない汚濁物質が飼育水中に一時的に蓄積される。また、硝酸菌は増殖スピードが比較的遅いため、分解微生物が分解活動を行うようになってから硝酸菌が繁殖するまでの間に、一時的にアンモニア等の有害物質が飼育水中に蓄積される。この蓄積期間が長いと魚が耐え切れず、死滅してしまうこととなる。さらに、汚濁物質やアンモニア等が過大に蓄積した環境は、微生物にとっても決して増殖しやすい環境とはいえないため、分解微生物や硝酸菌の生育が妨げられ、水質の浄化がさらに行われにくくなってしまうという悪循環を生じる。したがって、この蓄積期間を上手に乗り切って早期にろ過系を確立させることが飼育の成功のために重要となる。
【0009】
本発明者らは、鋭意研究の結果、汚濁物質の分解・除去を補助する成分としての酵素および活性炭を分解微生物とともに添加することにより、飼育水中の汚濁物質の過大な増加を抑えて、分解微生物や硝酸菌の増殖しやすい環境を整えることが可能であることを見出した。加えて、分解微生物の栄養源を併せて添加することにより、分解微生物の生育を促進することも効果的であることが分かった。本発明は、かかる新規な知見に基づいてなされたものである。
【0010】
すなわち、本発明の水質浄化材は、汚濁物質を分解する酵素と、前記酵素による分解生成物および前記汚濁物質のうち少なくとも一部を分解する分解微生物と、前記酵素による分解生成物および前記分解微生物による分解生成物のうち少なくとも一部を吸着する活性炭と、前記分解微生物の栄養源と、を含むものである。
【0011】
本発明の水質浄化材において、酵素、活性炭、分解微生物、および栄養源の混合物が透水性容器に収容されていることが好ましい。このような構成であれば、飼育者が水質浄化材を水槽内へセットする際に、各成分が直接手に触れることがないため、取り扱いやすい。また、飼育者が各成分を計量して混合する手間を省くことができ、作業性が良い。
【0012】
また、本発明の水質浄化材は、分解微生物が乾燥された状態で配合されたものであることが好ましい。分解微生物が乾燥された状態で配合されていれば、長期にわたって休眠状態で保存することが可能となる。しかし、販売店等では観賞魚が飼われた水槽が展示されていることが多く、このため、店内が高湿環境となりやすい。したがって、分解微生物の乾燥状態を保つため、防湿性を備える保存容器に入れた水質浄化材パックの状態で保存または販売されることが好ましい。
【0013】
また、本発明の水質浄化キットは、上記の水質浄化材と、分解微生物が進入可能な細孔を備えた多孔質セラミック材と、水質浄化材と多孔質セラミック材とを収容する透水ケースと、を備えるものである。このような構成であれば、分解微生物が住み着き、繁殖することのできる多孔質セラミック材が水質浄化材の近傍に配されるため、飼育環境中への分解微生物の定着が容易となり、好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、水質浄化材は、汚濁物質を分解する酵素と、酵素による分解生成物または汚濁物質を分解する分解微生物と、酵素または前記分解微生物による分解生成物を吸着する活性炭と、分解微生物の栄養源と、を含む。
【0015】
水質浄化材が飼育水に添加されると、酵素は汚濁物質に含まれる脂質、タンパク質、炭水化物、繊維質等を、分解微生物が体内に取り込みやすい大きさまで分解する。また、活性炭は、汚濁物質やその分解生成物を吸着して飼育水から除去する。このようにして、酵素および活性炭は、飼育水中での汚濁物質の処理を補助するとともに、汚濁物質の過剰な蓄積を抑えて分解微生物や硝酸菌が生育しやすい環境を整える。また、栄養源が分解微生物の繁殖を促進する。これにより、初心者であっても飼育水中に分解微生物や硝酸菌を繁殖・定着させてろ過系を短期間で立ち上げることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を具体化した実施形態について、図1〜図8を参照しつつ詳細に説明する。
【0017】
図1には、本発明を具体化した水質浄化キット1の外観斜視図を、図2には、この水質浄化キット1の分解斜視図を、それぞれ示す。この水質浄化キット1には、水質浄化材2と、分解微生物が進入可能な細孔を備えたセラミック棒4(本発明の多孔質セラミック材に該当する)と、これらの水質浄化材2とセラミック棒4とを収容する透水ケース5とが備えられている。
【0018】
水質浄化材2は、飼育水の浄化に寄与する成分が、透水性の袋体3(本発明の透水性容器に該当する)に内包されたものである。内包される成分のうち主たるものは、酵素、分解微生物、活性炭、および栄養源である。これらの成分は乾燥粉末状態で袋体3内に収容されている。
【0019】
酵素は、水中の汚濁物質を分解可能なものであればよい。鑑賞魚用の飼育水を対象とする場合、取り除かなければならない汚濁物質は主として魚の排泄物や餌の食べ残しであり、これらの成分は、脂質、デンプン質、タンパク質、繊維質に大別される。したがって、これらを分解する酵素としてはリパーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、およびセルロースのうち1種以上が含まれていればよく、4種全てが含まれていることが好ましい。
【0020】
分解微生物としては、汚濁物質、または、この汚濁物質の上記した酵素による分解物(グリセリン・脂肪酸・ブドウ糖・果糖・ペプチド・アミノ酸・単糖類等)を分解可能なものであればよい。好適な微生物の具体例としては、例えばバチルス属(Bacillus sp.)の菌体を主体とし、これにエンテロバクター属(Enterobacter sp.)、ミクロコッカス属(Micrococcus sp.)、フラボバクテリウム属(Flavobacterium sp.)、アルカリゲネス属(Alcaligenes sp.)、アシネトバクター属(Acinetobactor sp.)等に属する菌体を混合したものが挙げられる。
これらの配合割合はバチルス属が40〜60%、その他5種類の菌属が60〜40%であることが好ましい。その理由は、以下のようである。
飼育水中には、酵素によって分解されたあと、主としてタンパク質や糖類が多量に存在し、またその他少量ではあるが脂質が存在している。
一般的にバチルス属は増殖速度が速く、嫌気・好気の両条件下で選択的にタンパク質や糖質に対し優れた分解能力を有するので、他の菌体より配合割合を高くした方が、即効的な浄水効果が得られる。
また、他の5種類の菌体は、低温でも活発に増殖でき、塩濃度の高いタンパク質や糖質に対し優れた分解能力を有するが、特に脂質に対して最も有効に作用するというバチルス属にはない特性を有している。また、これら5種類の菌体も均等に配合されていた方が、より効率的に水の浄化が可能になると推量される。
【0021】
栄養源は、分解微生物の繁殖に必要な無機系、有機系の栄養素を含むものである。栄養源として適切な成分は、分解微生物の種類によっても変動し一概に限定できないが、例えば分解微生物の窒素源や炭素源となる有機系栄養剤として、グルコース、小麦ふすま、ポリペプトン等が挙げられる。また、分解微生物の活動に必要な微量金属やリン分の供給源となる無機塩類として、硫酸マグネシウム、無水硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、重炭酸ナトリウム、リン酸水素ナトリウム等が挙げられる。
【0022】
活性炭は、汚濁物質、または、上記した酵素や分解微生物の分解活動に伴って生じる分解生成物を吸着可能なものであれば良い。特に、ヤシ殻系活性炭を好適に使用できる。ヤシ殻系活性炭は、分解生成物のうち魚にとって有害なアンモニアの吸着能力に優れる。
【0023】
分解微生物・酵素・および栄養源の混合比率は、各成分の種類等によっても異なり一概に限定できないが、分解微生物と栄養源の混合物に対して、酵素の重量比率が0.7〜1.3、好ましくは1〜1.1とされることが好ましい。
分解微生物と栄養源の混合物に対して酵素の重量比率が1.3を越えると、酵素によって汚濁物質が分解されても、それをさらに分解する微生物の量が少なく活動が追いつかないために、水質が安全な状態まで浄化されない。また0.7未満であると、酵素によって分解される汚濁物質の割合が少なくなるために、微生物の活動が活発になってきてもその活動源が枯渇した状態となり、せっかく活動し始めた微生物の動きが鈍くなってしまい、汚濁物質が効率よく浄化されない。
また、活性炭の混合比率も、同様に各成分の種類等によっても異なり一概に限定できないが、分解微生物・酵素・および栄養源の混合物に対して、活性炭の重量比率が1〜10倍、好ましくは2.4倍以上とされることが好ましい。
水槽の水質は飼育する生体の種類や数、または餌の種類や量などによって様々であるが、活性炭の重量比率が1未満であると、少ない匹数を飼育している水槽でも活性炭による汚濁物質の除去効果は望めない。また、10倍を越えると、確かに汚濁物質は充分に除去できるが、活性炭が嵩高になるため、水槽の美観を損ねてしまう。
【0024】
なお、上記の成分に加えて、吸湿防止剤、pH安定剤等の役割を果たす成分が添加されていても良い。
【0025】
これらの成分の混合物は、袋体3に内包されている。袋体3は、不織布により作られたものであって、繊維間に多数の微小な隙間(孔部)を有する略網目構造をなしている。袋体3が水中に浸漬されたとき、微生物・酵素および栄養源はこの隙間を通過して袋体3の外に出て行くことが可能であるが、活性炭は通過不可能であり袋体3の内部に止まる。不織布の材質としては、耐久性に優れるポリエステルスパンボンド等を好適に使用できる。混合物の内包量は、飼育する魚の種類や数などにより変動し一概に限定できないが、例えば40リットルの水槽に対して1包を使用する場合には、5g以上、好ましくは7.5g以上とすることで充分な水質浄化効果が得られると考えられる。水質の汚濁状態は水槽の生体の飼育内容によって様々であるが、水質をそれほど汚さないカラシンやグッピー類を数匹飼育する程度であれば、5gで充分な効果が得られるし、飼育する種類や数を増やしさらに水質が汚れる場合であれば7.5g以上とすることで水質の浄化に対応できると考えられる。
【0026】
この水質浄化材2は、防湿性の高い保存容器内にパッキングされた状態で保存あるいは販売されることが好ましく、保存容器としては、例えば、防湿性の高いアルミ層をもつシート材料から作られるアルミパウチを好ましく使用できる。水質浄化材2に含まれる成分のうち、特に分解微生物は乾燥休眠状態に保つことによって長期保存が可能となるが、この種の水質浄化材2の販売店は、観賞魚を展示するための水槽が置かれているために、高湿な環境となっていることが多く、特に、熱帯魚等を飼う水槽が置かれている場合には高温・高湿環境になっていることがある。この環境に乾燥休眠中の分解微生物を放置しておくと、自ずと活動を始めるが、周囲に栄養源がないために数日のうちに死滅してしまう。したがって、水質浄化材2を防湿性のあるアルミパウチ内に収容することによって、含まれる成分、特に分解微生物が吸湿して保存性が低下することを防ぐことが好ましい。
【0027】
セラミック棒4は、多数の細孔を有する多孔質のセラミック材料により、細長い円柱状に形成されたものである。セラミック棒4は、細孔内に分解微生物が進入して定着できるよう、分解微生物の大きさに適合した孔径(約0.1〜1μm)の細孔を備えていることが好ましい。また、セラミック棒4の材質には特に制限はないが、飼育水中に浸漬させたときに飼育水のpHを変化させる物質が溶出しないものであることが好ましく、例えば、アルミナおよびシリカを主成分とするものを好適に使用できる。このようなセラミックス材は、例えばラジオライトとカオリン系粘土とクルミの粉末を水条件下で混練りし、押し出し成形後、ガス雰囲気窯において、最高温度930〜980℃、好ましくは950℃で焼成することによって作製することができる。
焼成温度の最高温度が930℃以下であると、セラミック棒4の充分な焼結が得られない可能性があるために、水中にpHの変化に影響する物質が溶出する場合があり、飼育生体によっては健康被害を受ける場合があるし、最高温度が980℃異常であると減量の焼結が進むため、微生物の棲息領域となる微細空間が減少してしまい、微生物の増殖活動が減少してしまう。
【0028】
これらの水質浄化材2およびセラミック棒4は、透水ケース5内に収容されている。この透水ケース5は、全体として扁平な箱形形状に形成されており、厚さ方向にほぼ2分された上ケース部6と下ケース部7とを組み合わせることによって構成されている(図3参照)。
【0029】
下ケース部7は、合成樹脂により、上面側が開放された扁平な箱型に形成されている。一方、上ケース部6は、合成樹脂により、下面側が開放された扁平な箱型に形成されており、下ケース部7に嵌め付けられてこの下ケース部7の開口部を覆蓋することが可能とされている。上ケース部6は、一対のヒンジ8によって下ケース部7に対して開閉自在に取り付けられている。
【0030】
上ケース部6の側壁部、および下ケース部7の側壁部には、それぞれその外周面下端部、内周面上端部が全周にわたって段付き状に凹まされることで、両ケース部6、7の嵌合時に透水ケース5の内外に重ね合わせられる嵌合壁部6A、7Aが形成されている。
【0031】
また、上ケース部6において、対向する一対の側壁部には、それぞれロック片9が設けられている。このロック片9は、内側に弾性変形可能な薄板状に形成されて、その上端にロック爪10が外側に向かって突設されたものである。このロック片9は、嵌合壁部6Aの下端に形成された切り欠き凹部の内側にロック爪10が突出するようにして、側壁部の内壁面に取り付けられている。一方、下ケース部7の嵌合壁部7Aにおいてロック片9と対応する位置には、ロック爪10を係止するためのロック突起11が内側方向に向かって突設されている。
【0032】
上ケース部6の天井面、および下ケース部7の床面において一の端縁(本実施形態ではヒンジ8が設けられている側の端縁)より僅かに内側位置には、セラミック棒4を保持するための保持リブ12、13が、それぞれ一対ずつ設けられている。上ケース部6側の一対の保持リブ12は、互いにその板面が平行方向を向き、かつ、上記端縁と直行方向を向くようにして、下側に向かって立設されている。そして、その下端縁には、セラミック棒4の外周面に整合する半円状の保持凹部12Aがそれぞれ設けられている。一方、下ケース部7側の一対の保持リブ13は、上ケース部6側の保持リブ12に対して板面と直交方向にずれた位置に、その板面が上ケース6側の保持リブ12と平行方向を向くようにして、上側に向かって立設されている。そして、その上端縁には、セラミック棒4における円柱の外周面に整合する半円状の保持凹部13Aがそれぞれ設けられている。
【0033】
上ケース部6および下ケース部7の壁部には、ほぼ全面にわたって、厚み方向に貫通する矩形状の透水窓14の複数が縦横に並列して設けられており、飼育水がこの透水窓14を通って透水ケース5の内外に自由に出入りできるようになっている。また、上ケース部6における天井壁には、透水ケース5を固定する吸盤16を取り付けるための吸盤取付孔15が貫通形成されている。透水ケース5を水槽20内の側壁20Aに取り付ける場合には、吸盤16を吸盤取付孔15に取り付け、この吸盤16を側壁20Aに吸着させることにより取り付けることができる。
【0034】
次に、本実施形態の水質浄化キット1を使用して、水槽内の飼育水の浄化を行う方法について説明する。
【0035】
まず、透水ケース5を開いて下ケース部7の内部に水質浄化材2を入れる(図4参照)。また、セラミック棒4を保持凹部13A上に保持させる。このとき、水質浄化材2を構成する各成分があらかじめ混合されて袋体3に内包されているので、各成分が直接手に触れることがなく、扱いやすい。また、各成分を計量して混合する手間を省くことができ、惑わしさが回避される。
【0036】
水質浄化材2およびセラミック棒4をセットしたら、上ケース部6を嵌合させて透水ケース5を閉じる。このとき、ロック片9のロック爪10が弾性変形しつつロック突起11を乗り越えて係止されると、上ケース部6と下ケース部7が互いに離間不能に嵌め合わせられる(図6参照)。両ケース部6、7の嵌合状態では、セラミック棒4は上ケース部6の保持リブ12と下ケース部7の保持リブ13との間で挟まれて固定される(図5および図7を併せて参照)。
【0037】
次いで、この透水ケース5を水槽20内にセットする。水槽20に物理的ろ過のためのフィルタ装置が併設されている場合には、透水ケース5をフィルタ装置の吸い込み口または吹き出し口の近傍に配することが好ましく、その他、敷砂の上、エアレーション装置の投げ込みフィルタの近傍などに配しても良い。なお、図8では、横掛け式のフィルタ装置21が併設される場合において、透水ケース5をフィルタ装置21の吹き出し口の近傍(透水ケース5A)、敷砂22の上(透水ケース5B)、エアレーション装置23の投げ込みフィルタ23Aの近傍(透水ケース5C)に設置する様子を例示している。透水ケース5の水槽20への設置数は図8に示す内容に限定されるものではなく、水槽の容量、水質浄化材2における各成分の内包量等に応じて決定すれば良い。
【0038】
なお、透水ケース5を縦置きとする場合には、セラミック棒4が配されている側を下側とすることが好ましい。袋体3から流れ出る分解微生物が水槽20の底に沈んでいく途中でセラミック棒4に付着し、定着しやすくなるためである。
【0039】
水質浄化キット1が飼育水にセットされると、酵素・分解微生物・栄養源はその粒径が不織布の網目を通過できる大きさであるため、袋体3から流れ出て飼育水中に拡散する。分解微生物は、飼育水中で、あるいはセラミック棒4の細孔内で、栄養源を餌として繁殖し、飼育水中の魚の餌の食べ残しや排泄物等を分解する。このとき、セラミック棒4が水質浄化材2とともに透水ケース5内に収められ、水質浄化材2の近傍に配されている。すなわち、分解微生物が住み着く場所が水質浄化材2のすぐ近くに用意されている。このため、分解微生物はセラミック棒4の細孔内に進入して繁殖し、容易に飼育水中に定着する。
【0040】
また、酵素は、魚の餌の食べ残しや排泄物等に含まれる脂質、タンパク質、炭水化物、繊維質等を、分解微生物が体内に取り込みやすい大きさまで分解することで、分解微生物の繁殖および分解作用を助ける。
【0041】
また、活性炭はその粒径が不織布の網目を通過できない大きさであるため、袋体3の内部に止まる。飼育水は透水ケース5の透水窓14を通ってケース内外に循環し、活性炭は、この飼育水に含まれる汚濁物質、およびその分解生成物を吸着して飼育水から除去する。
【0042】
さらに、飼育期間が経過するにつれ、空気中に常在しているニトロソモナス、ニトロバクター等の硝酸菌が徐々に飼育水中に繁殖し、分解生成物のうちアンモニアを、亜硝酸を経て比較的無害な硝酸塩にまで分解する硝化サイクルを行う。
このようにして汚濁物質が分解・無害化され、飼育水が浄化される。
【0043】
このように、酵素および活性炭は、飼育水中での分解微生物による汚濁物質の処理を補助する。特に、分解微生物が充分に繁殖していない飼育初期において、これらの酵素および活性炭が汚濁物質処理の強力な補佐役として働くとともに、汚濁物質の過大な蓄積を防いで分解微生物および硝酸菌が生育しやすい環境を整える。また、栄養源が分解微生物の繁殖を促進する。これにより、初心者であっても飼育水中に生物的ろ過系を容易に、かつ短期間で確立することが可能となる。
【0044】
飼育期間が経過するにつれて、水質浄化材2中の酵素および栄養源は消費され、あるいは劣化する。このため、定期的にこれらの成分の補充を行う必要がある。また、分解微生物は当初添加したものが飼育水中で繁殖するのであるが、活力を維持するためには時々新鮮な分解微生物を補充することが好ましい。さらに、活性炭は、その吸着限界まで汚濁物質等が吸着されるとそれ以上の吸着能を失うため、定期的な交換を要する。このとき、水質浄化材2は各成分が袋体3に内包されているものであるから、使用後の袋体3を透水ケース5から取り出し、新しい袋体3をセットするだけで、これらの成分の補充・交換を容易に行うことができる。
【0045】
なお、多孔質セラミックからなるセラミック棒4は分解微生物が住み着き、繁殖するための場所を提供するものであるから、交換することなく継続的に使用していくことが好ましい。ここで、例えば多孔質セラミックを水質浄化材2の成分と同胞されていると、水質浄化材2の交換の際に多孔質セラミックもともに交換されてしまうこととなる。しかし、本実施形態ではセラミック棒4は水質浄化材2とは別体として透水ケース5内に収容されているから、水質浄化材2のみを交換してセラミック棒4を継続的に使用することができ、飼育水中で分解微生物をより安定的に定着させることができる。
【実施例】
【0046】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
【0047】
[分解微生物と酵素との併用効果を確認する試験群]
1.試験方法
<試験例1−1>
(1)水質浄化材
分解微生物と栄養源とを含む微生物資材として、四国化成工業(株)製「ハイポルカ」を使用した。「ハイポルカ」に含まれる成分を表1に示した。
酵素剤としては、REALCO社製「バクティフローラ」を使用した。「バクティフローラ」は酵素としてプロテアーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、リパーゼを含んでいる。
【0048】
【表1】
【0049】
(2)飼育試験
実水量30〜35リットルの水槽を下記の条件で設定した。水質浄化材として、(1)に記載した微生物資材および酵素剤を各25mg/lとなるように加え、体長15〜20cmの金魚を2〜3匹入れて飼育した。餌としては、株式会社キョーリン製「ベビーゴールド」を使用し、飼育初日から0.67g/dayで給餌を行った。
フィルタ:テトラ ワンタッチフィルター(テトラジャパン株式会社製)
水温 :26℃(ヒータ有り)
ろ過材 :パワーハウス ソフトタイプ Mサイズ(クリオン株式会社製) 62粒
【0050】
飼育開始から1日毎に、pHメータを使用して飼育水のpHを測定した。また、中和滴定法によりアンモニア態窒素の濃度を、N−1−ナフチルエチレンジアミン吸光光度法で亜硝酸態窒素の濃度を測定した。ろ過系の立ち上がりは、亜硝酸態窒素出現の2日目からと評価した。
【0051】
<試験例1−2>
水槽に酵素剤のみを添加し、添加量を50mg/lとした。その他は、試験例1−1と同様にして飼育を行い、水質を測定した。
【0052】
<試験例1−3>
水槽に微生物資材のみを添加し、添加量を50mg/lとした。その他は、試験例1−1と同様にして飼育を行い、水質を測定した。
【0053】
<試験例1−4>
水質浄化材を使用しなかった他は、試験例1−1と同様にして飼育を行い、水質を測定した。
【0054】
2.結果と考察
微生物資材と酵素剤とを併用した試験例1−1では、5日目でろ過系が立ち上がり(図9)、次いで、酵素剤または微生物資材を単独で使用した試験例1−2および1−3が6日目に立ち上がる結果となった(図10、図11)。また、微生物資材と酵素剤とを併用した場合には、単独で使用した場合と比べてアンモニア態窒素および亜硝酸態窒素の濃度の最高値が低かった。
微生物資材と酵素剤とを併用することで、水中に存在する汚濁物質が酵素によって分解微生物が取り込みやすい大きさまで素早く分解され、分解微生物の増殖活動が盛んになるとともに、微生物等が飼育水中で増殖しやすい環境が早期に整った結果、ろ過系の立ち上がりが早くなったと考えられる。
【0055】
[活性炭による物理的処理併用効果を確認する試験群]
1.試験方法
<試験例2−1>
微生物資材および酵素剤としては、上記試験例1−1と同様のものを使用した。実水量35リットルの水槽を下記の条件で設定した。水質浄化材として、微生物資材と酵素剤を重量比率1:1.1で混合した混合物を10g加え、体長15〜20cmの金魚を2〜3匹入れて飼育した。試験例1−1と同様の条件で飼育初日から給餌を行い、pH、アンモニア態窒素濃度、亜硝酸態窒素濃度を測定した。
【0056】
フィルタ:テトラ ワンタッチフィルター(テトラジャパン株式会社製)
水温 :10〜18℃(ヒータ無し)
ろ過材 :パワーハウス ソフトタイプ Mサイズ(クリオン株式会社製) 63粒
【0057】
<試験例2−2>
活性炭として、株式会社キャタラー製のヤシ殻系活性炭WA−8〜32を使用した。
水質浄化材として、微生物資材と酵素剤の混合物を10g、活性炭を25g加えた他は、試験例2−1と同様にして試験を行った。
【0058】
<試験例2−3>
水質浄化材として、微生物資材と酵素剤の混合物を2.7g、活性炭を0.27g加えた他は、試験例2−1と同様にして試験を行った。
【0059】
<試験例2−4>
水質浄化材として、微生物資材と酵素剤の混合物を2.7g、活性炭を2.7g加えた他は、試験例2−1と同様にして試験を行った。
【0060】
<試験例2−5>
水質浄化材として、微生物資材と酵素剤の混合物を2.7g、活性炭を27g加えた他は、試験例2−1と同様にして試験を行った。
【0061】
<試験例2−6>
水質浄化材として、微生物資材と酵素剤の混合物を2.2g、活性炭を6g加えた他は、試験例2−1と同様にして試験を行った。
【0062】
2.結果と考察
試験例2−1と2−2との比較(図13および図14)より、微生物資材と酵素剤に加えて活性炭を使用した試験例2−2では、アンモニア態窒素の濃度が試験期間を通して2〜3mgN/l程度に抑制され、4日目にろ過系の立ち上がりが確認された。また、この試験例では亜硝酸態窒素が7日間出現した後、硝酸への分解が確認された。この蓄積期間中の亜硝酸態窒素の最高値は5mgN/lであった。
これに対し、活性炭を併用しなかった試験例2−1の場合には、ろ過系の立ち上がりが確認されたのが9日目であり、2日目から10日目までの間にアンモニア態窒素の多量の蓄積が観察された。
ヤシ殻系活性炭を併用した試験例2−2では、初期に増加するアンモニア態窒素が活性炭に吸着されることによって蓄積が抑制され、分解微生物に対する負荷が少なくなった為に、ろ過系の立ち上がりまでの期間が大幅に短縮され、速やかな硝化反応を得ることが出来たと推察される。
【0063】
また、試験例2−3〜2−5の比較(図15〜図17)より、活性炭の添加量を10倍量とした場合(試験例2−5)においてアンモニア態窒素の蓄積の大幅な抑制が観察された。また、この試験例では、硝化反応の次の過程で発生する亜硝酸態窒素が、微生物資材(分解微生物と栄養源との混合物)の重量に対して10分の1(試験例2−3)、および等量(試験例2−4)とした場合と比較して早期に出現した。このことから、硝酸菌の繁殖を待つ間、分解微生物の活動によって生産されるアンモニアを吸着して飼育水中でのアンモニアの蓄積を抑える役割を活性炭が担っており、分解微生物の添加量に対して活性炭の添加量が多いほど効果的であると推察される。しかし、実際に観賞魚を飼育する一般的な水槽においては、試験例2−5のような27gという活性炭の添加量は適切な量ではない。
試験例2−6に示すように、飼育水に対する水質浄化材の添加量をスケールダウンして実験を行った結果、35リットルの飼育水に対して微生物資材2.2g、ヤシ殻系活性炭6g程度としても水質浄化効果が奏されること、分解微生物・酵素・および栄養源の混合物に対して、活性炭の重量比率が約2.4倍程度であれば充分なアンモニア抑制効果を期待できることが確認された(図18)。
【0064】
[活性炭の種類による効果の違いを確認する試験群]
1.試験方法
<試験例3−1>
微生物資材および酵素剤としては、上記試験例1−1と同様のものを使用した。また、活性炭として、株式会社キャタラー製の石炭系活性炭DSW−38〜32を使用した。
実水量35リットルの水槽を下記の条件で設定した。水質浄化材として、微生物資材と酵素剤を重量比率1:1.1で混合した混合物を2.5g、活性炭を25g加え、体長15〜20cmの金魚を2〜3匹入れて飼育した。試験例1−1と同様の条件で飼育初日から給餌を行い、pH、アンモニア態窒素濃度、亜硝酸態窒素濃度を測定した。
【0065】
フィルタ:テトラ ワンタッチフィルター(テトラジャパン株式会社製)
水温 :10〜18℃(ヒータ無し)
ろ過材 :パワーハウス ソフトタイプ Mサイズ(クリオン株式会社製) 63粒
【0066】
<試験例3−2>
活性炭として株式会社キャタラー製のヤシ殻系活性炭WA−8〜32を使用し、水槽への添加量を12.5gとした他は、試験例3−1と同様にして試験を行った。
【0067】
<試験例3−3>
活性炭として株式会社キャタラー製の石炭系活性炭SE−P1を使用した他は、試験例3−1と同様にして試験を行った。
【0068】
2.結果と考察
各試験例において使用した活性炭の物性を表2に示す。
【0069】
【表2】
【0070】
ヤシ殻系活性炭を使用した試験例3−2において、5日目に立ち上がりが確信された(図20)。またこの試験ではアンモニア態窒素の蓄積が最高値2.4mgN/lと低い値であり、活性炭によるアンモニア態窒素の吸着・除去が確認された。水槽設置時から5日間位の期間において、アンモニア態窒素の蓄積の最高値を3.0mgN/l程度に抑制できると、硝化過程においてアンモニア態窒素の次に出現する亜硝酸態窒素の蓄積も最高値5〜10mgN/lに抑制され、その後もスムーズに硝酸態窒素へと反応を進行させることができる。
【0071】
一方、石炭系の活性炭(試験例3−1、3−3)は、ヤシ殻系活性炭より水槽中に出現しているアンモニア態窒素を物理的にろ過する効力が低いことが判明した(図19、図21)。この理由については必ずしも明らかではないが、以下のように推測される。
【0072】
すなわち、石炭を原料とした活性炭は、原料中に鉱物質が多く含まれているため、製造後の活性炭は結晶部が多いものとなっている。これに対し、ヤシ殻系活性炭は非晶質部分が多く含まれているため、ミクロポアが多数存在すると思われる。従って、石炭を原料とした活性炭に比べて、アンモニア態窒素などの有機物を多量に捕捉または吸着できる能力が優れていると推量される。また、非晶質部分は多くのバクテリアの生息場所としても適した細孔構造となっていると思われる。
【0073】
本発明の技術的範囲は、上記した実施形態によって限定されるものではなく、例えば、次に記載するようなものも本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、水質浄化材2を、各成分(酵素、分解微生物、栄養源および活性炭)を全て袋体3に内包したものとしたが、例えば各成分を袋体3に内包せず、直接に水槽内に添加するものであっても構わない。あるいは、複数種の成分のうち一部が袋体に内包され、残りの成分が別に保存されて使用時に水槽内に添加される形態であっても構わない。
【0074】
(2)上記実施形態では、袋体3とセラミック棒4とをともに透水ケース5に収容したが、水質浄化材と多孔質セラミック材とが透水ケースに収容されず、別々に水槽内に配される形態であっても構わない。また、多孔質セラミック材を用いず、水質浄化材のみを水槽内に配置しても構わない。
【0075】
(3)上記実施形態では、セラミック棒4が円柱状に形成されているが、多孔質セラミック材の形状は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば角柱状であっても良く、顆粒状であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本実施形態の水質浄化キットの外観斜視図
【図2】水質浄化キットの分解斜視図
【図3】透水ケースを開いた様子を示す斜視図
【図4】透水ケース内に水質浄化材およびセラミック棒をセットした様子を示す斜視図
【図5】水質浄化材およびセラミック棒を収容した透水ケースを上ケース側から見た図
【図6】水質浄化キットの断面図
【図7】水質浄化キットを水槽の側壁に吸盤を用いて取り付けた様子を示す側断面図
【図8】水質浄化キットを水槽内に配置した様子を示す斜視図
【図9】試験例1−1において、飼育水のpH、アンモニア態窒素濃度、および亜硝酸態窒素濃度の経時変化を示すグラフ
【図10】試験例1−2において、飼育水のpH、アンモニア態窒素濃度、および亜硝酸態窒素濃度の経時変化を示すグラフ
【図11】試験例1−3において、飼育水のpH、アンモニア態窒素濃度、および亜硝酸態窒素濃度の経時変化を示すグラフ
【図12】試験例1−4において、飼育水のpH、アンモニア態窒素濃度、および亜硝酸態窒素濃度の経時変化を示すグラフ
【図13】試験例2−1において、飼育水のpH、アンモニア態窒素濃度、および亜硝酸態窒素濃度の経時変化を示すグラフ
【図14】試験例2−2において、飼育水のpH、アンモニア態窒素濃度、および亜硝酸態窒素濃度の経時変化を示すグラフ
【図15】試験例2−3において、飼育水のpH、アンモニア態窒素濃度、および亜硝酸態窒素濃度の経時変化を示すグラフ
【図16】試験例2−4において、飼育水のpH、アンモニア態窒素濃度、および亜硝酸態窒素濃度の経時変化を示すグラフ
【図17】試験例2−5において、飼育水のpH、アンモニア態窒素濃度、および亜硝酸態窒素濃度の経時変化を示すグラフ
【図18】試験例2−6において、飼育水のpH、アンモニア態窒素濃度、および亜硝酸態窒素濃度の経時変化を示すグラフ
【図19】試験例3−1において、飼育水のpH、アンモニア態窒素濃度、および亜硝酸態窒素濃度の経時変化を示すグラフ
【図20】試験例3−2において、飼育水のpH、アンモニア態窒素濃度、および亜硝酸態窒素濃度の経時変化を示すグラフ
【図21】試験例3−3において、飼育水のpH、アンモニア態窒素濃度、および亜硝酸態窒素濃度の経時変化を示すグラフ
【符号の説明】
【0077】
1…水質浄化キット
2…水質浄化材
3…袋体(透水性容器)
4…セラミック棒(多孔質セラミック材)
5…透水ケース
【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚濁物質を分解する酵素と、
前記酵素による分解生成物および前記汚濁物質のうち少なくとも一部を分解する分解微生物と、
前記酵素による分解生成物および前記分解微生物による分解生成物のうち少なくとも一部を吸着する活性炭と、
前記分解微生物の栄養源と、
を含む水質浄化材。
【請求項2】
前記酵素が、リパーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼのうち少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1に記載の水質浄化材。
【請求項3】
前記活性炭がヤシ殻系活性炭であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の水質浄化材。
【請求項4】
前記酵素、前記活性炭、前記分解微生物、および前記栄養源の混合物が透水性容器に収容されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の水質浄化材。
【請求項5】
前記透水性容器が、前記分解微生物の通過を許容するが前記活性炭の通過を妨げる大きさの孔部を備えたものであることを特徴とする請求項4に記載の水質浄化材。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれかに記載の水質浄化材が防湿性を備える保存容器中に保存されたものであって、
かつ、前記分解微生物が乾燥された状態で配合されているものである、水質浄化材パック。
【請求項7】
請求項1〜請求項5のいずれかに記載の水質浄化材と、
前記分解微生物が進入可能な細孔を備えた多孔質セラミック材と、
前記水質浄化材と前記多孔質セラミック材とを収容する透水ケースと、
を備える水質浄化キット。
【請求項1】
汚濁物質を分解する酵素と、
前記酵素による分解生成物および前記汚濁物質のうち少なくとも一部を分解する分解微生物と、
前記酵素による分解生成物および前記分解微生物による分解生成物のうち少なくとも一部を吸着する活性炭と、
前記分解微生物の栄養源と、
を含む水質浄化材。
【請求項2】
前記酵素が、リパーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼのうち少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1に記載の水質浄化材。
【請求項3】
前記活性炭がヤシ殻系活性炭であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の水質浄化材。
【請求項4】
前記酵素、前記活性炭、前記分解微生物、および前記栄養源の混合物が透水性容器に収容されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の水質浄化材。
【請求項5】
前記透水性容器が、前記分解微生物の通過を許容するが前記活性炭の通過を妨げる大きさの孔部を備えたものであることを特徴とする請求項4に記載の水質浄化材。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれかに記載の水質浄化材が防湿性を備える保存容器中に保存されたものであって、
かつ、前記分解微生物が乾燥された状態で配合されているものである、水質浄化材パック。
【請求項7】
請求項1〜請求項5のいずれかに記載の水質浄化材と、
前記分解微生物が進入可能な細孔を備えた多孔質セラミック材と、
前記水質浄化材と前記多孔質セラミック材とを収容する透水ケースと、
を備える水質浄化キット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2007−236341(P2007−236341A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−66172(P2006−66172)
【出願日】平成18年3月10日(2006.3.10)
【出願人】(000185949)クリオン株式会社 (105)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月10日(2006.3.10)
【出願人】(000185949)クリオン株式会社 (105)
【Fターム(参考)】
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