説明

水路の生活雑排水浄化装置

【課題】 生活雑排水を効率的に浄化できると共に、水路の通水断面積を減少させることが少なく、またメンテナンスに要する労力も少なくて済む生活雑排水浄化装置を提供する。
【解決手段】各戸で発生した生活雑排水を水路2に排水する排水管3が、一戸毎に、水路の延長方向に間隔を置いて設けられる。水路2には、排水管3に対応させて設けられた植生浄化部5が水路の延長方向に間隔を置いて独立的に設置される。植生浄化部5は、上端開放の収容枡6内に、凝灰岩の充填材7を充填して形成されており、収容枡6の最上流側で、排水管3から植生浄化部内に生活雑排水が流入する。収容枡6内を流下した生活雑排水は、収容枡6の下流端で水路2に放流される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生活雑排水が流される水路において、該生活雑排水を効率的に浄化し得る水路の生活雑排水浄化装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
家庭から排出される生活雑排水については現在のところ何らの法規制がなされていないため、下水道未整備の住宅地にあっては、生活雑排水が未処理のまま水路に垂れ流しされているのが現状である。生活雑排水の垂れ流しは農業用水路等の水路における水質汚濁の原因となり、悪臭を発生させて周辺環境を悪化させている。
【0003】
かかる従来の問題点を解決せんとして、特開平11−104686号公報が開示する河川浄化装置が提案されている。該装置は、生活雑排水が流れ込む河川に、植生浄化部と河川流下部とが流れに沿って区分して設けられ、該植生浄化部は河川の流れに沿って連続した帯状に設けられていた。そして該植生浄化部は、生活雑排水が流入する浄化枡と、この浄化枡と連通されて水路内方に張り出す浄化水路とを具え、該浄化枡には礫が収納されると共に前記浄化水路には、下層に礫が、中層に蛎殻が、上層に土壌が収納され、水生植物等を植生可能となされると共に、前記浄化水路と前記河川流下部とが連通されていた。又、住宅群から排出される生活雑排水を前記浄化枡に向けて排出させる排水管が該浄化枡の延長方向に間隔を置いて配設されていた。かかる構成の河川浄化装置による生活雑排水の浄化作用については、公報の段落0011〜0015に次の記載がある。
【0004】
「排水管3から放流された生活雑排水2が浄化枡8に流入すると、浄化枡8内の礫10表面に付着している微生物の作用により汚濁物の一部が分解されると共に、通水孔7aを介して浄化水路9内に導入される。この浄化水路9内には前記のように蛎殻12が充填されており、この蛎殻12の表面に付着している微生物により浄化水路9内の汚水は生物分解され、浄化される。蛎殻12の表面は面積が大きく、微生物の付着や汚濁物の補足に有利である。又、浄化水路9の上部の土壌13に植生している水生植物14も、汚水中に含まれる窒素分や燐分を吸収除去して汚水の浄化に寄与することができる。浄化された水は、一部は隔壁4の通水孔4aを介して河川流下部6に流れ込み、残りは下流の浄化水路9へと流下するが、最終的には河川1に全量が放流される。このようにして、植生浄化部5により生活雑排水2を浄化し、併せて水生植物14等を生育させることで河川の景観を向上させることができる。」
【0005】
前記公報にはこのように記載されてはいるが、かかる河川浄化装置によるときは、前記浄化枡が河川の流れに沿って帯状連続状態に設けられており、該浄化枡に生活雑排水を流入させる排水管が、帯状連続状態の該浄化枡の延長方向に間隔を置いて配設されていたため、次のような問題点があった。
【0006】
(1) 各住宅から排出される生活雑排水が、帯状に設けられた同一の浄化枡に流入し、且つ該浄化枡の下流端のみが各排水管からの流入水の放流部となるため、該浄化枡の上流側においては汚濁物の量が少なくても下流側に向かうにつれて汚濁物の量が徐々に増えることになり、下流側においては浄化枡の内部が目詰まり状態になると考えられる。その結果、浄化枡の内部は、上流側に向かって目詰まりが進行しやすく、予定された浄化作用が発揮されなくなると共に悪臭を発生させる問題があった。
このように目詰まりを起こした場合は、前記浄化枡内の礫を全て取り出して浄化枡内を洗浄しなければならなくなるが、このような洗浄作業は大変であった。又、このように洗浄を行ったとしても、前記のように、下流側から上流側に向けの目詰まりの進行が速いことから、装置の維持管理に多大の労力と時間を要する問題があった。
【0007】
(2) 又前記河川浄化装置は、河川にその流れに沿って帯状連続状態に設けられていた植生浄化部が、生活雑排水を浄化する浄化枡と、これと連通されて水路内方に張り出す如く設けられた植生用の浄化水路の2種類の帯状部の組み合わせによって構成されていたため、この張り出し形成された浄化水路は河川の通水断面積をより減少させた。そのため、大量降雨等により水量が増加したときには水位が急激に上昇して危険であった。
【0008】
(3) 又前記河川浄化装置によるときは、河川流下部の水位が下がった場合、土壌は保水性に乏しいために、浄化水路の上部の土壌に植生している水生植物の生育が厳しく、枯死し易い問題があった。
【特許文献1】特開平11−104686号公報(2−3頁、図1、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前記従来の問題点に鑑みて開発されたものであり、生活雑排水を効率的に浄化できると共に、生活雑排水の浄化と水生植物の植生を1種類の枡で同時に行うことができて水路の通水断面積を減少させることが少なく、又、メンテナンスに要する労力も少なくて済み、しかも水路の水位が下がった場合にも植物が枯死するのを防止でき、植物による水質浄化機能を保持できる生活雑排水浄化装置の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明は以下の手段を採用する。
即ち本発明に係る水路の生活雑排水浄化装置(以下浄化装置という)は、各戸で発生した生活雑排水を水路に排水する排水管が、一戸毎に、水路の延長方向に間隔を置いて設けられると共に、該水路には、前記排水管に対応させて設けられた植生浄化部が水路の延長方向に間隔を置いて独立的に設置されており、該植生浄化部は、水路の延長方向に長い上端開放の収容枡内に、凝灰岩からなる充填材を充填して形成されており、又該収容枡の最上流側で、前記排水管から前記植生浄化部内に生活雑排水が流入するようになされると共に、該収容枡内を流下した生活雑排水が前記収容枡の下流端で前記水路に放流されることを特徴とするものである。
【0011】
本発明に係る浄化装置のより具体的な態様は、各戸で発生した生活雑排水を水路に排水する排水管が、一戸毎に、水路の延長方向に間隔を置いて設けられると共に、該水路には、前記排水管に対応させて設けられた植生浄化部が水路の延長方向に間隔を置いて独立的に設置されており、該植生浄化部は、水路の延長方向に長い上端開放の収容枡内に凝灰岩からなる充填材を充填して形成されており、該収容枡は、上端開放の枡体の複数個が、その端部相互が通水可能に連結されて水路の延長方向に設置されることにより構成され、各枡体内に前記充填材が充填され、最上流側に位置する枡体内に前記排水管から生活雑排水が流入するようになされると共に、該収容枡内を流下した生活雑排水が前記収容枡の下流端で前記水路に放流されることを特徴とするものである。
【0012】
該浄化装置において、前記枡体の連結側の端部となる端部壁に通水孔を設け、該通水孔相互を連通させて前記端部相互を通水可能に連結するのがよい。或いは、前記枡体の連結側の端部となる端部壁をポーラスコンクリート製とし、該端部壁相互を当接させて前記端部壁相互を通水可能に連結するのがよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明は以下の如き優れた効果を奏する。
(1) 本発明に係る浄化装置は、各戸で発生した生活雑排水を水路に排水する排水管が、一戸毎に、水路の長さ方向に間隔を置いて設けられると共に、該水路に、該排水管に対応させて設けられた植生浄化部が水路の延長方向に間隔を置いて独立的に設置されている。
従って本発明によるときは、全長の長い植生浄化部を具えた従来装置における場合とは異なり、植生浄化部が短期間のうちに目詰まりするのを防止でき、浄化装置の維持管理に要する労力と時間を低減させ得る。
【0014】
(2) 本発明に係る浄化装置は、植生浄化部を構成する充填材として凝灰岩を用いるため、凝灰岩による窒素や燐の吸着による効果的な水質浄化作用と植生浄化部に植えられた植物による窒素や燐、有機物の吸収作用が発揮され、従って、効率的な水質浄化を、一戸毎に独立的に設置した植生浄化部で省ペースを図って達成できる。
かかることから本発明によるときは、全長の長い植生浄化部を具えた大規模な従来装置とは異なり、小規模な設備でありながら生活雑排水を効率的に浄化できる利点がある。
【0015】
(3) 本発明に係る浄化装置によるときは、生活雑排水の浄化と水生植物の植生を、一つの植生浄化部で同時に行うことができるため、生活雑排水の浄化枡と植生用浄化水路の2種類の組み合わせからなって多くの設置スペースを要した従来装置のように、水路の通水断面積を減少させることが少ない。
加えて本発明は、植生浄化部を水路の延長方向に間隔を置いて独立的に設置するため、植生浄化部を帯状連続状態で設ける従来装置に比し、植生浄化部間のスペースの分だけ水路の通水断面積の減少を少なくできることともなる。
【0016】
(4) 保水性に優れた凝灰岩を充填材とする本発明によるときは、植生浄化部における水位が低いときにも植物が枯死するのを防止できるため、植物による水質浄化機能を保持できる。
【0017】
(5) 特に収容枡を、上端開放の枡体の複数個を水路の延長方向に設置すると共に該枡体の端部相互を通水可能に連結して構成することにより、施工の簡易化を達成できると共に、下水道が整備された後はこれを撤去し、下水道未整備の場所に移して再利用できる。その際、収容枡が個々の枡体に分離できることからその運搬が容易である。
【実施例1】
【0018】
図1〜4において本発明に係る浄化装置1は、各戸で発生した生活雑排水を水路(例えば農業用水路)2に排水する排水管3が、一戸毎に、該水路2の長さ方向に間隔を置いて設けられると共に、水路2には、図2に示すように、前記排水管3に対応させて設けられた植生浄化部5が水路2の延長方向に間隔を置いて独立的に設置されている。該植生浄化部5は、本実施例においては水路2の一方の側部分に寄せて設けられている。
【0019】
該植生浄化部5は、図1、図3〜4に示すように、上端開放の収容枡6を具え、該収容枡6に、凝灰岩を破砕して形成した充填材7が充填されている。該収容枡6のより具体的な構成は図3、図5〜7に示すように、上端開放の枡体9の複数個が、その端部10,10相互が通水できるように連通されて水路2の長さ方向に設置され、各枡体9には前記充填材7が充填されている。
【0020】
該枡体9は、図8〜11に示すように、上端開放で内面がテーパ状を呈する収容凹部11を具えた有底のもので、水路の延長方向に長い直方体箱状を呈し、全体が不透水性のコンクリートで一体に形成されている。前記連結側の端部10となる矩形板状の端部壁12には、例えばその四隅部分に位置させて4個のテーパ状の通水孔13,13,13,13が貫設されており、該端部壁12の中央部分にはテーパ状の連結孔15が貫設されている。かかる構成を有する枡体9の各部の寸法を例示すれば、その長辺寸法が約1000mm、短辺寸法が約500mm、高さが約500mm、肉厚が約70mm、収容凹部11の深さが約400mmに設定されると共に、前記通水孔13の最小直径は、上の通水孔13aの最小直径が約110mmで下の通水孔13bの最小直径が約80mmに、前記連結孔15の最小直径は約18mmに設定されている。そして前記収容凹部11に収容される充填材(凝灰岩)7の粒径は30〜100mm程度であり、例えば50mm程度の粒径の充填材を用いる。
【0021】
図9は、最上流側に設置される枡体9aを示すものであり、前記通水孔13と前記連結孔15が下流側の端部壁12aにのみ設けられている。図10、図8は、中間に設置される枡体9bを示すものであり、前記通水孔13と前記連結孔15が、下流側の端部壁12aと上流側の端部壁12bの双方に設けられている。又図11は、最下流側に設置される枡体9cを示すものであり、前記通水孔13と連結孔15が上流側の端部壁12bに設けられると共に、下流側の端部壁12aには排出孔16が設けられている。該排出孔16の配置状態及び寸法は前記通水孔13におけると同様である。
【0022】
これらの枡体9において、図8に示すように、下側に位置する前記2個の通水孔13b,13bの下端17,17は、前記枡体9の底面20から例えば50mm程度上側に位置させてあり、該通水孔13b,13bの下側に沈殿部(泥溜め部)21が形成されるようになされている。又図12に示すように、下側に位置する前記2個の排出孔16a,16aの下端19,19も、前記枡体9の底面20から例えば50mm程度上側に位置させてあり、該排出孔16a,16aの下側に沈殿部(泥溜め部)21が形成されるようなされている。
【0023】
図1〜3は、かかる3種類の枡体9a,9b,9cを用い且つ相互を連結して構成された前記植生浄化部5を示すものであり、前記最上流側の枡体9aが前記排水管3の下端22の下側に位置するように水路の底部23に設置されている。
【0024】
このように設置された最上流側の枡体9aに、図3、図6〜7に示すように、前記中間の枡体9bを、前記通水孔13,13相互及び前記連結孔15,15相互を連通させて水路の底部23に設置する。その後、図6に示すように、両連結孔15,15にステンレス製等の耐食性を有する連結ボルト25を挿通させ且つナット26を螺合して締め付けることにより枡体9a,9b相互を連結する。同様の要領によって中間の枡体9b,9b相互を順次連結する。最後に、端部に位置する中間の枡体9bに、前記最下流側の枡体9cを、前記通水孔13,13相互及び前記連結孔15,15相互を連通させて水路の底部23に設置すると共に、両連結孔15,15に連結ボルト25を挿通させ且つナット26を螺合し締め付けることにより枡体9b,9c相互を連結する。これにより枡体9b,9c相互が直線状にボルト連結されることになる。かかる構成の枡体9の高さは、原則として、水路の水位が最上昇位置にあるときにも該枡体9が水没しないように設定される。なお、水路断面積を極力減少させたくない場合は、年間日数の10%程度は、水路の水位が前記植生浄化部5の上端を越えるように設計されることもある。
【0025】
枡体9,9相互をこのように直線状に連結した後、各枡体9の収容凹部11に前記充填材7を、例えばバラバラの状態で充填することにより前記植生浄化部5が形成される。該植生浄化部5には、窒素や燐の吸収能力の高い葦等の水生植物を栽培する。なお、植生浄化部5を構成する枡体9の個数は、各戸の住人数と各人の1日当たりの使用水量(例えば1日当たり200リットル)を考慮して設定され、例えば、前記寸法の枡体9を5個用いる。
【0026】
このように構成された植生浄化部5の最上流側で、図3に矢印で示すように、前記排水管3の下端22から生活雑排水が落水されると、植生浄化部5に流入した生活雑排水は、最上流側の枡体9aから最下流側の枡体9cに向けて、前記通水孔13を通して各枡体9内を流下し、最終的に、最下流側の枡体9cの前記排出孔16から水路2に放流される。
【0027】
そして、このように流下する間に、生活雑排水が徐々に浄化される。かかる水質浄化は次のようにして行われる。即ち、各枡体9に収容されている凝灰岩(充填材7)は、天然ゼオライトを含んでおり高い陽イオン吸着能力を有するため、生活雑排水に含まれている窒素や燐が該凝灰岩の細かな空隙や細孔内に効果的に吸着されることで水質浄化が図られる。又、凝灰岩の吸着した窒素や燐、有機物が、凝灰岩の表面に形成された生物膜の微生物により分解されることで水質浄化が図られる。加えて、このように分解された窒素や燐、有機物は、その一部が前記水生植物に吸収されることで水質浄化が図られる。又、植物の根の表面に形成された生物膜の微生物によって窒素や燐、有機物が分解されることで水質浄化が図られる。
【0028】
又、前記凝灰岩は高い吸水率を有するため、凝灰岩(充填材7)を充填して形成された植生浄化部に水生植物を栽培した場合、これらの植物は、植生浄化部における水位が低いときにも枯死するのが防止される。
【0029】
生活雑排水は、このようにして植生浄化部5で浄化された後に水路に放流されるため、生活雑排水による水路水の汚れを軽減でき環境への負荷を低減させ得る。
【0030】
なお、水路の水位が上昇して枡体9の上端が水没する場合は、前記植生浄化部5による水質浄化作用は低下するが、これは一時的な現象に過ぎない。
【0031】
前記植生浄化部5は1戸毎に独立して設けられているため、該植生浄化部5の全長は短い。そして生活雑排水は、全長の短い該植生浄化部5を上流側から下流側に流れる間に浄化され、夫々の収容枡の下流端で水路に放流される。このようなことから本発明によるときは、全長の長い浄化枡を具え且つその下流端のみが各排水管からの流入水の放流部となる従来装置とは異なり、植生浄化部5が短期間の内に目詰まりする恐れがない。
【0032】
なお、半年〜1年等の長期間の浄化作用によって前記植生浄化部5内が目詰まり状態になったときは、枡体9内の充填材7を取り上げて洗浄して再び充填したり、充填材7を交換する。この場合、各枡体9の底部分に前記のように沈殿部21(図8、図12)が形成されているため、上流側の幾つかの枡体9についてだけ洗浄を行えばよいこともある。なお吸着を終えた充填材7は、窒素や燐を十分に含んでいるために、土壌改良材として再利用することもできる。
【0033】
図13〜15は、本発明に係る浄化装置1の他の実施例を示すものであり、所要間隔(例えば10〜15cm程度)を置いて枡体9を水路2の延長方向に配置すると共に、隣り合う枡体9,9相互を連通パイプ27で連結している。このように構成する場合は、連結側の端部壁12に設ける通水孔13をテーパ状の孔として形成することにより、図13に示すように、水路2のカーブ部分において、枡体9,9相互を屈曲状態に連結できる。
【0034】
図16〜18は、本発明に係る浄化装置1の他の態様を示すものであり、最上流側に位置する枡体9aにあっては、下流側の端部壁12がポーラスコンクリート製とされており、又中間の枡体9bにあっては、上流側の端部壁12aと下流側の端部壁12bが共にポーラスコンクリート製とされており、又最下流側の枡体9cにあっては、上流側の端部壁12cと下流側の端部壁12dがポーラスコンクリート製とされている。そして、枡体9,9相互は、図18に示すように、その上流側の端部壁12と下流側の端部壁12を当接状態にすると共に、立壁の中央部分に貫設された連結孔15,15に前記連結ボルト25を挿通し、ナット26を螺合し締め付けることにより枡体9,9相互を連結している。この連結により、端部10,10となるポーラスコンクリート製の端部壁12,12相互が通水可能となる。
【0035】
然して、図17に矢印で示すように、前記排水管3の下端22から生活雑排水が落水されると、植生浄化部5に流入した生活雑排水は、最上流側の枡体9aから最下流側の枡体9cに向けて、前記通水孔13を通して各枡体9内を流下し、最終的に、最下流側の枡体9cの前記排出孔16から水路2に放流される。
【実施例2】
【0036】
図19〜20は、本発明に係る浄化装置1の他の実施例を示すものであり、前記植生浄化部5は、水路の延長方向に長い直方体箱状を呈する収容枡6内に、凝灰岩を破砕して形成した充填材7を充填して形成されている。該収容枡6は、上端開放で内面がテーパ状を呈する収容凹部29を具えた有底のもので、該収容枡6の下流端側の端部壁12dには、その四隅部分に位置させて4個の円形状の排出孔30,30,30,30が貫設されている。該収容枡6は、全体がコンクリートで一体に形成されており、各部の寸法を例示すれば、その長辺寸法が約5000mm、短辺寸法が約500mm、高さが約500mm、肉厚が約70mm、収容凹部29の深さが約400mmに設定されると共に、前記排出孔16の直径は、上の排出孔30aの最小直径が約110mmで下の排出孔30bの最小直径が約80mmに設定されている。
【0037】
そして、前記充填材7が前記収容凹部29に充填されて前記植生浄化部5が形成されるのであるが、該充填材(凝灰岩)の粒径は30〜100mm程度であり、例えば50mm程度の粒径の充填材を用いる。
【0038】
該植生浄化部5には、前記と同様にして水生植物が植生される。然して、該植生浄化部5の最上流側で、前記排水管3の下端から生活雑排水が落水されると、植生浄化部5に流入した生活雑排水は該植生浄化部5内を流下し、流下する間に徐々に浄化され、浄化された水が前記排出孔30から水路2に放流される。
【0039】
なお前記枡体の収容凹部11や前記収容枡6の収容凹部29に充填材7を収容する際、バラバラの状態で充填材7を収容することの他、図示しない網状籠に入れた状態で充填材7を収容してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に係る浄化装置をその使用状態で示す斜視図である。
【図2】その側面図である。
【図3】その縦断面図である。
【図4】その横断面図である。
【図5】収容枡を示す斜視図である。
【図6】枡体相互の連結状態を示す断面図である。
【図7】枡体の通水孔相互を連通させた状態を示す断面図である。
【図8】枡体を示す断面図である。
【図9】最上流側に配置される枡体を示す斜視図である。
【図10】中間に配置される枡体を示す斜視図である。
【図11】最下流側に配置される枡体を示す斜視図である。
【図12】その部分断面図である。
【図13】枡体相互を連通パイプで連結して構成された浄化装置を示す平面図である。
【図14】連通パイプによる枡体相互の連結状態を示す部分斜視図である。
【図15】その断面図である。
【図16】端部壁がポーラスコンクリート製とされた枡体相互を連結して構成された浄化装置を示す斜視図である。
【図17】その浄化装置を示す部分断面図である。
【図18】ポーラスコンクリート製の端部壁相互の連結状態を示す断面図である。
【図19】水路の延長方向に長い収容枡内に充填材を充填して構成された浄化装置を使用状態で示す斜視図である。
【図20】その断面図である。
【符号の説明】
【0041】
1 浄化装置
2 水路
3 排水管
5 植生浄化部
6 収容枡
7 充填材
9 枡体
10 端部
11 収容凹部
12 端部壁
13 通水孔
15 連結孔
16 排出孔
21 沈殿部
25 連結ボルト
27 連通パイプ
30 排出孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各戸で発生した生活雑排水を水路に排水する排水管が、一戸毎に、水路の延長方向に間隔を置いて設けられると共に、該水路には、前記排水管に対応させて設けられた植生浄化部が水路の延長方向に間隔を置いて独立的に設置されており、該植生浄化部は、水路の延長方向に長い上端開放の収容枡内に、凝灰岩からなる充填材を充填して形成されており、又該収容枡の最上流側で、前記排水管から前記植生浄化部内に生活雑排水が流入するようになされると共に、該収容枡内を流下した生活雑排水が前記収容枡の下流端で前記水路に放流されることを特徴とする水路の生活雑排水浄化装置。
【請求項2】
各戸で発生した生活雑排水を水路に排水する排水管が、一戸毎に、水路の延長方向に間隔を置いて設けられると共に、該水路には、前記排水管に対応させて設けられた植生浄化部が水路の延長方向に間隔を置いて独立的に設置されており、該植生浄化部は、水路の延長方向に長い上端開放の収容枡内に凝灰岩からなる充填材を充填して形成されており、該収容枡は、上端開放の枡体の複数個が、その端部相互が通水可能に連結されて水路の延長方向に設置されることにより構成され、各枡体内に前記充填材が充填され、最上流側に位置する枡体内に前記排水管から生活雑排水が流入するようになされると共に、該収容枡内を流下した生活雑排水が前記収容枡の下流端で前記水路に放流されることを特徴とする水路の生活雑排水浄化装置。
【請求項3】
前記枡体の連結側の端部となる端部壁に通水孔が設けられ、該通水孔相互を連通させて前記端部相互が通水可能に連結されていることを特徴とする請求項2記載の水路の生活雑排水浄化装置。
【請求項4】
前記枡体の連結側の端部となる端部壁がポーラスコンクリート製とされ、該端部壁相互を当接させて前記端部相互が通水可能に連結されていることを特徴とする請求項2記載の水路の生活雑排水浄化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2006−43527(P2006−43527A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−225383(P2004−225383)
【出願日】平成16年8月2日(2004.8.2)
【出願人】(000137074)株式会社 ホクコン (40)
【Fターム(参考)】