水車発電ユニット
【課題】小型で水車の回転効率を高めた構成とし、ごみ除去が確実に行える安定した水車発電ユニットである。
【解決手段】水車発電ユニット1は、水路2に流入室5を有する枠体4が設置される。流入室5へ導かれた流水は湾曲したスクリーン10でごみが除去され、上部壁板8に衝接させて水車6に落下される。水流は水車6の羽根車6a外周に衝接しながら流入し、羽根車6aの中央部を通過し再び羽根車6a外周に衝接して流出し水車6を回転させる。スクリーン10で除去されたごみは枠体4内上部の空間部を通過させ放流させる。スクリーン10を通過した細かいごみは、水流とともに羽根車6aの中央部を通過し、更に羽根車6aに沿って設けられた下部壁板9の揺動動作で枠体4外に放流される。枠体4の下部に堆積した土砂等は、土砂排除装置の土砂吐弁19の開閉操作で下流に流される。
【解決手段】水車発電ユニット1は、水路2に流入室5を有する枠体4が設置される。流入室5へ導かれた流水は湾曲したスクリーン10でごみが除去され、上部壁板8に衝接させて水車6に落下される。水流は水車6の羽根車6a外周に衝接しながら流入し、羽根車6aの中央部を通過し再び羽根車6a外周に衝接して流出し水車6を回転させる。スクリーン10で除去されたごみは枠体4内上部の空間部を通過させ放流させる。スクリーン10を通過した細かいごみは、水流とともに羽根車6aの中央部を通過し、更に羽根車6aに沿って設けられた下部壁板9の揺動動作で枠体4外に放流される。枠体4の下部に堆積した土砂等は、土砂排除装置の土砂吐弁19の開閉操作で下流に流される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水車発電ユニットに関する。更に詳しくは、水路に設置される水車で発電を行う水車発電ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から農業用等の水路に設置される小型の水車発電装置は知られている。この水車発電装置が設置される水路にはごみ等が流れていることが多く、そのごみ除去のための除塵装置が付属されている発電装置も知られている。又、水車へガイドベーンを設け、ランナに流入する水流を制御する水車発電装置も知られている。これらの従来技術の中で、例えばごみを除去することで、水力発電等で取水口のカバーにスクリーンを設置する構成のものは公知である。
【0003】
例えば、一端を取水口の上部に、他端を取水口の上流側水底に固定した湾曲状のスクリーンが提案されている(例えば、特許文献1参照)。又、ガイドベーンを流入側に設けるものとしては、ランナに先端部を接近させ、ガイドベーンの背を通る水流をスクリーン上の流れとの間で分離し水車に導くもの(例えば、特許文献2参照)、或いはケーシングの上部壁と下部壁との間に設けられ上部壁側に流れる水流方向を制御する回動自在なガイドベーンのもの(例えば特許文献3参照)が知られている。
【0004】
更に、農業用等の用水路の水力発電装置として、水流を絞って水車の下方向に流し水車を回転させるユニット構成のものに加え、水平に設置されたスクリーン上をオーバーフローした水流がごみとともに下流へ流れる構成のものも知られている(例えば、特許文献4参照)。又、スクリーンを傾斜させて設置した構成であるが、水流がオーバーフローしたときにごみを含めて余剰水を通過させる構成としたものも知られている(例えば特許文献5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−150830号公報
【特許文献2】実公昭62−26622号公報
【特許文献3】実開昭63−51163号公報
【特許文献4】特開2003−269315号公報
【特許文献5】特開2008−121652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ごみ除去のためのスクリーン設置の装置は、用水路等に設置した場合には、水流に沿って効率的にごみを除去できる構成になっているとは言いがたい。例えば直線的に傾斜させたスクリーンで除去されたごみは、スクリーン上に堆積してくるので、どうしてもこのごみを人為的に取り除くためのメンテナンスが必要となる。又、現状において、スクリーンを通過して水車側に流入した細かいごみの処理について、有効なトラブル解決の技術は開示されていない。
【0007】
又、従来のベーン構成は、流入側に設けられているものであって、回動する構成ではあるが、水流を水車側に案内する機能のものである。又このガイドベーンについては、流水する水流の方向や水量の調整を行う機能を有するもので、水車への水流方向に沿ってベーンが回動するものである。水車の下部に設けられているものは水量を調整する調整装置で、固定的に設置されその調整操作は人為的に行わざるを得ないものである。
【0008】
この調整装置は、水量を限定させる必要性から前述のように固定的な構成になっていて、ごみ等の侵入があると、その装置にトラブルが発生するおそれのある構成である。又、これら従来のガイドベーンや調整装置は、いずれにしても水中において、あるいは水流に影響されない状態にしておいてからメンテナンスを施す必要がある。従来の構成になる装置は、スクリーンを含めると小型と称しているとはいえ、実際はかなり大きな装置になっていた。本発明は、このような従来の問題点を解決するために創案されたものであり、次の目的を達成する。
【0009】
本発明の目的は、小型でどの水路であっても容易な設置が可能で、水車の回転トルクを強化した水車発電ユニットの提供にある。
本発明の他の目的は、一体的なユニットとして構成し、水車の回転領域へのごみの侵入を阻止するとともに、浸入したごみはスムースに排出できるように構成した水車発電ユニットの提供にある。
本発明の更に他の目的は、低コストで且つメンテナンスの容易な構成とした水車発電ユニットの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記目的を達成するために、次の手段で達成される。即ち、
本発明1の水車発電ユニットは、
水路に設置される小型の水車発電ユニットであって、
前記水路(2)の流入側に流入室(5)を構成し、前記水路(2)に設置される枠体(4)と、
前記枠体(4)に保持され前記水路(2)の上流水面より底部側に浸され前記流入室(5)に流入する水流により回転自在な水車(6)と、
前記枠体(4)の上部に設けられ前記水車(6)に接続して回転駆動される発電機(15)と、
前記枠体(4)内の上部に設けられ湾曲形状をなして前記流入室(5)を覆いごみを除去するためのスクリーン(10)と、
前記水車(6)の羽根車(6a)の回転方向に沿って前記枠体(4)の下部に曲面状に設けられ、前記羽根車(6a)との間で水を前記羽根車(6a)の羽根翼面で受けるように流入側から流出側に向けて連続的に小さくなる隙間を有して配置される下部壁板(9)と、
前記水車(6)を挟んで前記下部壁板(9)と対向する前記枠体(4)内上部に位置し、前記水車(6)の羽根車(6a)先端部の接線方向に近接して配置され、前記流入室(5)の流入水を衝突させて落下させて前記羽根車(6a)に導く上部壁板(8)とからなることを特徴とする。
【0011】
本発明2の水車発電ユニットは、本発明1において、前記下部壁板(9)は、前記枠体(4)に支軸(13)を介して揺動自在な構成になっていることを特徴とする。
本発明3の水車発電ユニットは、本発明1又は2において、前記枠体(4)は、前記枠体(4)の側面部に前記水路(2)の水流を前記枠体(4)内部に導くための案内板(7)を前記水路(2)の両側の側壁(3)に跨って設けられていることを特徴とする。
【0012】
本発明4の水車発電ユニットは、本発明1又は2において、前記枠体(4)の下部は、水流を通過させる流路である通過路(4d)が形成されていることを特徴とする。
本発明5の水車発電ユニットは、本発明1又は2において、前記枠体(4)の下部は、前記水路(2)の底部(2a)に堆積する土砂を排出して下流に流すための流路であり、開閉弁を有する土砂排除装置(19)を設けていることを特徴とする。
【0013】
本発明6の水車発電ユニットは、本発明1又は2において、前記スクリーン(10)上部には、ごみと余剰水の通過を可能とする空間部(11)を前記枠体(4)内に設けたことを特徴とする。
本発明7の水車発電ユニットは、本発明1又は2において、前記上部壁板(8)は、前記水車(6)に対向し鉛直方向に設置されていることを特徴とする。
【0014】
本発明8の水車発電ユニットは、本発明1又は2において、前記水車(6)は、水流が前記羽根車(6a)外周から流入し、前記羽根車(6a)の中央部を貫流し前記羽根車(6a)を押圧し、前記羽根車(6a)の外周に流れるものであることを特徴とする。
本発明9の水車発電ユニットは、本発明1又は2において、前記水車(6)は、前記羽根車(6a)の羽根間隔が前記スクリーン(10)を通過したごみの通過を可能とする隙間を有することを特徴とする。
【0015】
本発明10の水車発電ユニットは、本発明1又は2において、前記下部壁板(9)は、上部が前記上部壁板(8)側に張出し前記上部壁板(8)との間で流水が前記羽根車(6a)の羽根間へ集中して流れる構成とし、前記枠体(4)内に流入した水流を前記上部壁板(8)に衝接させて落下させ前記羽根車(6a)の接線方向に導く構成の突き出し形状部(9a)にしたことを特徴とする。
【0016】
本発明11の水車発電ユニットは、本発明1又は2において、前記上部壁板(8,32)は、上下方向に高さ位置調整し、流入口(31)の面積を変えられるようにしたことを特徴とする。
本発明12の水車発電ユニットは、本発明1又は2において、前記枠体(4)は、前記水路(2)に固定されていることを特徴とする。
【0017】
本発明13の水車発電ユニットは、本発明1又は2において、前記枠体(4)は、両側面部に案内部(43a)を有する水門の扉体(43)と一体構成をなし、上下方向に定姿勢で移動可能な構成になっていることを特徴とする。
本発明14の水車発電ユニットは、本発明1又は2において、前記枠体(4)は、両側面部に案内部(61)を有し、前記枠体(4)を上下方向に定姿勢で移動可能にするために水路側に固定された案内体(62)を有することを特徴とする。
【0018】
本発明15の水車発電ユニットは、本発明3において、前記案内板(7,58,59)は、端部に止水ゴム(60)を有し、水路側に固定された止水板(56,57)との間で重ね合わせていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の水車発電ユニットは、一体構成で水車の羽根車に対し効果的な水流になるような構成にし、水車の回転トルクが高く安定したユニットとなった。又、小型のユニットとしたことで、どのような水路にも対応できるものとなった。ごみの処理においては、スクリーンを通過して水車側に浸入した細かいごみであっても、自然流の過程の中でスムースに水車外へ排出できるようになった。従って、ごみにより水車の回転が阻止されるようなトラブルは避けられ、メンテナンスの容易なユニットとなった。
【0020】
又、水車発電ユニットを水門の扉体と一体構成とすることにより、水門の昇降装置で上下に開閉させることで、台風(大雨)等による予想外の水位変化に対応が可能となり、水路上流域の溢水を防止することができるようになった。
又、水車発電ユニットを昇降装置で上下に開閉させることで、台風(大雨)等による予想外の水位変化に対応が可能となり、水路上流域の溢水を防止することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1を示す水車発電ユニットの断面図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態1を示す水車発電ユニットの平面図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態2を示す水車発電ユニットの断面図である。
【図4】図4は、本発明の実施の形態3における下部壁板の変形例を示す水車発電ユニットの部分断面図である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態4における上部壁板を示し、高さ位置調整を可能とする可動ノズル形態の水車発電ユニットの部分断面図である。
【図6】図6は、本発明の実施の形態5で、本体を水門と一体形式で昇降可能とする構成を示す水車発電ユニットの側面断面図である。
【図7】図7は、本発明の実施の形態5で、本体を水門と一体形式で昇降可能とする構成を示す水車発電ユニットの正面図である。
【図8】図8は、本発明の実施の形態6で、本体を簡易に昇降可能とする構成を示す水車発電ユニットの正面図である。
【図9】図9は、本発明の実施の形態6で、本体を簡易に昇降可能とする構成を示し水路に設置された状態の水車発電ユニットの平面図である。
【図10】図10は、本発明の実施の形態6で、本体を簡易に昇降可能とする構成を示し水路上の地上空間位置に引き上げられた状態の水車発電ユニットの側面断面図である。
【図11】図11は、本発明の実施の形態7で、底部が傾斜面である水路に設置された状態を示す水車発電ユニットの部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[実施の形態1]
以下、本発明の実施の形態1を、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施の形態1を示す断面図である。図2はその平面図である。水車発電ユニット1は、コンクリートで形成された水路2の水路側壁3に固定して設置されるものである。水路2を流れる水流は、水位の高い上流側から水位の低い下流側に緩やかな勾配をなして流れている。この水車発電ユニット1は、鋼板等の金属製の枠体4が水路2の底部2a及び水路側壁3に固定されて設置されている。枠体4には、水車6が配置され収納されている。
【0023】
水車発電ユニット1は、水流に対し枠体4の上流側に開口した流入室5を構成し、ごみが除去されてこの流入室5に流入した水を鉛直方向(重力方向)に落下させて位置水頭から速度水頭に変換させている。この落下水流を水車6の羽根車6aの羽根に当てて、羽根車6aを回転させて発電するものである。水路2は、コンクリートで形成されている両側壁面と底面部の3面からなり、断面形状がコ字状、又は逆台形状の3面水路である。ただし、この3面水路は、設置場所によっては、水車発電ユニット1を設置する近辺のみをコンクリートで形成する場合もある。水車発電ユニット1は、このような水路2に据え付けられ、低落差、小水量であっても発電可能とするものである。
【0024】
水車発電ユニット1は、外部を鋼板の枠体4で構成されていて、本例では主に水路2の底部2aに設置され、固定されている。この枠体4は、鋼板である両側の側面部板4aと底面部板4bと上面部板4cとで構成されている。即ち、概略すると箱状の枠体4は、四方向が板材でカバーされ、水が流れる方向である2方向に開口していることになる。この枠体4の内部には、対向する側面部板4aの間に、回転軸を介して回転自在に支持された羽根車6aが配置されている。この羽根車6aの基本構造は、公知の構成のものであり、中心軸に放射状(半径方向)に複数の円弧状に翼をなす羽根を有するものである。
【0025】
羽根車6aは種々のタイプがあり公知であるが、本実施の形態1においては、矢印で水の流れを示すように、水流が羽根車6aの外周から流入し、羽根車6aの中央部を貫流し、この羽根を押圧し羽根車6a外周に流れる構成の水車、いわゆるクロスフロータイプの水車である。クロスフロータイプの水車は、空調用シロッコファンのように短冊形の長い羽根が円盤に複数取り付けられた形状の水車である。パイプ等の配管中に設置され、パイプから放出される水の中で羽根が回転することにより動力を得、衝動水車と反動水車の双方の性質を有している。
【0026】
これに対し、本実施の形態1に使用する水車は、一般的なクロスフロータイプの水車と異なり、パイプ等の配管中に設置されるものではない。開放された水路に設置され、水路のごみの通過を可能にするため、従来のクロスフロータイプの水車における羽根枚数が30枚前後であるのに対して、羽根枚数を12〜16枚の範囲に設定(本実施の形態では12枚)にして、羽根車6aの羽根枚数を減じ羽根間隔を広くした水車である。このことにより、羽根車6aの中央部での水の通過性がよくなり、かつごみの通過性もよくなる。
【0027】
水車6の羽根車6aの下方の略半分を水路に浸し、羽根車6aの外周から羽根車6aの中央部に流入した水流を、再度中央部から羽根車6aの外周方向へ吐き出させ、羽根車6aを回転させる構成になっている。これにより、水流は流入するときと流出するときの両方の流れで羽根車6aを駆動する。この結果、羽根車6aに対し、鉛直方向からの落下に伴う重力による作用と、水流の運動エネルギーによる反動作用で効率的に羽根車6aに回転力を与えることになる。
【0028】
枠体4の底面部板4bは、水路2の底部2aから若干の隙間を配置して設置されている。又、枠体4の流入口側の側面部板4aの上流側には、水路2の水流を案内するための2枚の案内板7が設置されている。具体的には、この側面部板4aの上流側の端部には、案内板7の一端が固定されている。案内板7の他端部は、水路2の水路側壁3に固定されている。従って、水路2を流れる水流は、両案内板7に案内されて水車に流れ込むことになる。図2の平面図に示すように、両案内板7は平面から見ればハの字状に配置されている。両案内板7は、水路2での一種の堰の役割を果たしている。底面部板4bは、水路2の底部2aに強固に固定されているので、枠体4は水流の抵抗があっても押し流されることはない。
【0029】
枠体4内の羽根車6aの上部位置には、この羽根先端の接線方向(羽根翼面の延長方向)に近接して、上部壁板8が鉛直方向に向けて固定して配置されている。水流の流入室5の下部から水車6の羽根車6aの外周に沿うように、かつ下方に向けて、羽根車6aとの間で、隙間を有して下部壁板9が配置されている。この隙間は、流入側から流出側に向けて連続的に小さくなっている。即ち、水を前記羽根車6aの羽根翼面の略直角方向に衝接させるように、即ち下部壁板9は羽根車6aとの間で適切な隙間となるように配置されている。
【0030】
枠体4の内部は、水流の流れを効果的にするため、この下部壁板9と上部壁板8とで羽根車6aを挟み、更に、その両側を側面部板4aで囲った空間である流入室5を形成している。水路2の上流から流れてきた水流は、この流入室5の上部壁板8に衝突して、これに案内されて直下に落下し、前述したように水を羽根車6aの接線方向に対し適切な角度になるように導き、羽根車6aの翼面を押圧して羽根車6aを図に示す時計方向(図1の図示上)に回転させる。このような構成にすることで、落下水流に加え羽根車6aと下部壁板9の隙間に流入した水流も羽根裏面に衝接することを防ぎ、常に羽根翼面に衝接し大半の水流は羽根車6aの中央部に導かれる。流出側の端部の隙間は小さいので、水流の無駄な放出は少なくなり又水流摩擦も小さく、結果的に水車の回転効率を高めている。
【0031】
上部壁板8の設置構成は、前述のように羽根車6aの羽根先端の接線方向としており、かつ鉛直方向に設置し、水流をこの上部壁板8に衝接させて下方向に落下させるものである。この落下による水流は、効率よく羽根の翼面に重量体として衝接することになる。言い換えると、上部壁板8は、位置水頭を速度水頭に変換する機能と、上流から流れてくる水流を鉛直下方に方向変換する機能を果たすものである。この流入室5の上面開口には、湾曲形状(円弧の一部)のスクリーン10が蓋状に配置されている。このスクリーン10は、水車6の中心として円弧状になるように配置されているバースクリーンであり、上部が水平で上流側が下部に沿ってカーブを描く形状になっている。
【0032】
水流は複数のバー間を通して流入室5に導かれるが、木片等の浮遊ごみはこのバーに引っかかり、流入室5に流入しない。ごみが水流と共に流れてくる場合、ごみは湾曲したスクリーン10上を水流で押し流されながら上方の水平部位にもたらされ、上部の空間部11からエプロン12に案内されて水流とともに枠体4外の下流方向へ放流される。空間部11は枠体4内にあり、スクリーン10と上面部板4cとの間に構成されている。又、水路2の水量が多い場合も、オーバーフローした越流としてごみとともに上部の空間部11を通過し、エプロン12を介して下流へ流れる。この構造により、水路2の水流が多いとき、余剰の水量によって水車6にトラブルを起こすようなことは避けられる。ごみはエプロン12の下に回収部材を設けて自然回収して水路外へ取り出すことも可能である。
【0033】
ごみはスクリーン10に留まることはないので、従来のようにスクリーンに留まったごみを除去する等の人為的作業は必要ない。従って、水車発電ユニット1においては、スクリーン10のごみを回収するためのメンテナンスは必要ない。水車6の下部には、前述したように枠体4の底面部板4b側に羽根車6aの形状に沿って、下部壁板9が配置されている。本実施の形態1における下部壁板9は、下部壁板9の一端が枠体4の側面部板4aに設けられた支軸13により揺動自在に支持され、揺動可能となっている。
【0034】
この下部壁板9は裏面から、主に静圧による圧力を受けており、枠体4に設けられたストッパー14によりその移動は制限されている。下部壁板9は、羽根車6aの形状に沿って半円形状の構成となっている。通常、この下部壁板9は、羽根車6aとの間で適切な間隔を維持している。この下部壁板9は、形状が羽根車6aの外周に対応し、水が羽根車6aの接線方向に対し適切な角度で導かれる形状になっており、羽根車6aに流入する過大な水圧、或いは異物が混入したときにその押圧力により揺動可能としている。ただし、下部壁板9は、揺動自在ではなく、弾性板材のような可撓性の金属部材で構成すると、必ずしも揺動可能に設ける必要はない。
【0035】
スクリーン10を通過した細かいごみが、羽根車6aの外周と下部壁板9との間に挟みこまれると、下部壁板9が支軸13を支点に揺動し羽根車6aとの隙間を押し広げ、ごみはこの隙間から離れる。例えば、小さい石塊状の硬いごみは羽根車6aを損傷するおそれがあり、トラブルの原因となる。下部壁板9が開くことでこれらのごみは除去される。押し広げ間隔はスクリーン10のバー幅に合わせているので、侵入するごみは全て排出することができる。
【0036】
従って、ごみは自然流の過程で除去されるので、羽根車6aはこの隙間に挟まれたごみによって回転が阻止されるようなトラブルは避けられる。下部壁板9を揺動可能な構成にした大きな目的は、前述したように、この羽根車6aと下部壁板9との隙間にごみが侵入したときに下部壁板9を開放させてそのごみを排出させる。ごみが除去された後は羽根車6aと下部壁板9との隙間を自然に元の状態にし、常に最適な稼動状態を維持し水車の効率化をはかっている。流入室5に流入した水流は、羽根車6a翼面に衝接しながら羽根車6aの中央部を通って下流に流される。又、羽根車6aは羽根数を減じ羽根間の間隔をスクリーン10のバー幅に合わせて広くしている。このためバー間を通過して羽根車6aに流入した細かいごみは水流とともに羽根車6aの中央部を通過し下流に放出可能となっている。
【0037】
枠体4の上面部板4cは蓋状のステーを構成し、その上面に発電機15が固定されている。この上面部板4cは、水路2の水流高さが満水時であっても冠水しない高さに設定されている。この発電機15と羽根車6aとはローラチェーン16によって連結されている。軸受けで支持された羽根車6aの回転軸と発電機15の回転軸には、各々スプロケット17,18が取り付けられており、ローラチェーン16はこのスプロケット17,18に無端チェーンとして巻きかけられている。
【0038】
一方、水路2には浮遊するごみ以外に土砂等の異物も、水路2の底部2aに沿って流れている。この土砂等は重いので枠体4の下部に堆積するおそれがある。この土砂等を除去するための機構が枠体4の底面部板4bに設けられている。枠体4の底面部板4bは、断面形状が長方形状の空間部4dを有する箱形状となっている。この空間部4dは、貫通穴であり水流の通過を可能とする水の流路を形成している。なお、この空間部4dは、長方形状であるが水路底側が開口したコ字状の形状であってもよい。枠体4の底面部板4bの上流側の端部に、即ち空間部4dの流入口に開閉自在の土砂吐弁19が設けられている。この土砂吐弁19は、通常は閉じているが底部2aに土砂等が堆積すると土砂吐弁19を開くと、流入口が開放可能な構造になっている。土砂吐弁19の開放に伴い、空間部4dを介して水流と共に土砂等を下流に放出する。
【0039】
この土砂吐弁19の開閉構成は、土砂吐弁19の一端に棒、ワイヤ、又は鎖19aを取り付け、この鎖等を地上で支持し底部2aに土砂等の堆積が多くなったときに引っ張り上げられる構成としている。従って、底部2aに土砂等が堆積すると、手動操作で土砂吐弁19の弁を揺動させて弁を開き開放する。土砂吐弁19が開放されると、土砂等は水流の勢いで底面部板4bの空間部4dを貫流し下流に流れる。この土砂吐弁19を配置したことで、下部壁板9への土砂浸入を防止できるので、下部壁板9の揺動動作に悪影響を及ぼすことはない。なお、土砂吐弁19を配置せずに、空間部4dを水が流れる流路とし、底部の砂等を常時流しても良い。
【0040】
水車発電ユニット1はこのような構成になっていて、次のような動作を伴って稼動する。水路2の水流は先ずスクリーン10を通過し流入室5に導かれる。流入室5に導かれた水流は、流れの勢いで上部壁板8に衝接する。衝接した水流は下方向に落下、及び方向変換されて速度を増して羽根車6aの翼面を動圧で押圧する。この押圧を伴いながら水流は羽根車6a外周より羽根車6aの中央部を矢印で示すように通過し、再び羽根車6aの翼面を動圧で押圧し外周に流出する。この水流の押圧により羽根車6aは回転し、ローラチェーン16を介して発電機15が回転する。
【0041】
スクリーン10で除去されたごみは、オーバーフローした水流とともにスクリーン10の上部の空間部11を通過し、エプロン12を介して下流に放流される。又、スクリーン10をごみが通過したとしても自然流の過程で、羽根車6aと下部壁板9との隙間に入ったごみは下部壁板9の揺動で押し拡げられた隙間を経て下流へ放流される。又、羽根車6aに流入したごみは水流とともに羽根車6aの中央部を通過し下流へ放出される。更に、水路2の底に堆積した土砂等は、枠体4の底面部板4bに設けられた土砂吐弁19の人為的開閉操作で空間部4dを貫流させ下流に放流させる。
【0042】
[実施の形態2]
以上詳記したように、本実施の形態1は、基本的に以上説明した構成になっているが、次に実施の形態2について説明する。図3に示すものは、基本的に前述と同様構成の揺動可能な下部壁板9を有する水車発電ユニット20を、水路底に段差がある水路2に適用した例を示す。この実施の形態2の構成は、水車6の中心部が水路2の底部2aより下方に設置させた構成とし、水路2の底部2aが下部壁板9の上端部に位置する例である。この例の場合は水路の深さが浅い場合に適用され、スクリーン10全体を水路2の水面から底部2aまでの部位に跨って設置することができる構成になっている。
【0043】
即ち、この水車発電ユニット20の上流側(流入側)を水路端の段差部に設置し、水流の落下エネルギーを効果的に利用する構造としている。上部壁板8に水流を衝接させ水車6を回転させる構成は前述したものと同様である。前述のものと同様に、羽根車6aと下部壁板9とは適切な隙間を維持して、ごみがその隙間に流入したときにはこの下部壁板9が揺動して開き排除することができる。図示していないが、下部壁板9は底面部板4bに取り付けられたバネ等の押圧材により枠体4に設けられたストッパー14に押し付けられて移動を制限されている。尚、図1と同様に静圧による圧力で下部壁板9をストッパー14に押し付けて移動を制限する方法も使用できる。スクリーン10の上部の空間部21が高くなっているが、これは浅い水路の場合水位高さの変動が大きいことと、浅い水路であっても前述したものと同様に余剰の水量が流れることを考慮して高くしている。
【0044】
[実施の形態3]
図4は、実施の形態3であり、下部壁板9の変形例を示す部分断面図である。羽根車6aの回転トルクを高めるための一方法である。前述した実施の形態1及び2に示すものは、下部壁板9を羽根車6aの形状に沿って曲線状のものとしているが、水流は必ずしも全てが上部壁板8に衝接する構成ではない。上部壁板8に達した水流の一部は上部壁板8に衝接せずに落下し、羽根車6aの羽根裏面に衝接してしまうおそれがある。そこで、これを回避し有効に落下エネルギーを得るため、下部壁板9の上部を図4に示すように、上部壁板8側に向くように平面状の突き出し形状部9aを形成した。突き出し形状部9aは、水平から鋭角である角度θを成している。即ち、水平に流れてくる水流の速度エネルギーを、水平から角度θだけ上向きの流れを形成するものである。これにより、より多くの水流が上部壁板8に衝接し落下する。このことで羽根車6aに対しての落下エネルギーを高めることが可能である。
【0045】
前述した実施の形態1及び2では、水流の一部は羽根車6aの翼面の裏面に衝接すると回転トルクを減じて水車の回転効率を低下させてしまうおそれがある。これを避ける一方策であって、流入室5への水流は矢印で示すように全て上部壁板8に衝接させ鉛直方向に落下させ、羽根車6aの羽根翼面に当たるように流入スペース22を構成し、確実に羽根車6aの翼面に衝接させる構成とした。この構成であると、水車の回転トルクを高める可能性がある。又、本例においては、突き出し形状部9aを下部壁板9の一部で構成するとしたが、この部位に追加の別部材として設けてもよい。
【0046】
[実施の形態4]
図5は、前述の上部壁板8の上下方向の高さ位置調整を可能にした水車発電ユニット30を示す実施の形態4の部分図である。前述の上部壁板8は、上下方向の高さ位置を変えることで、下部壁板9との間の流入口31の面積を変えることができる。即ち、この上部壁板8を可動ノズル32として、水車6への流入量を変えることができる。この可動ノズル32は、板部材32aにねじを有する2本の調整棒32bの下端を溶接し、更にその調整棒32bの位置に沿って板部材32aから2つのステー部32cを張り出した構成のものである。
【0047】
この調整棒32bの上端部は、枠体4の上部に張り出し、調整棒32bの位置決めがなされるようになっている。この可動ノズル32は、調整棒32bの端部にねじ込まれたナット33により枠体4の上部に支持され、このナット33の位置調整により高さが決められる。この調整位置は、枠体4上部で水車発電ユニット30が水路中に設置されていても、操作のできる水路上の地上空間位置である。
【0048】
ステー部32cには、上下方向にスリットである通し溝32dが調整棒32bの長さ方向に沿って設けられている。この通し溝32dには、枠体4の両側壁に支持される支持棒34が2つのステー部32cに跨って挿入されている。この支持棒34は固定されているので、可動ノズル32が上下方向に移動し位置調整される場合であっても、この支持棒34と相対移動しつつ可動ノズル32の姿勢は保持されることになる。
【0049】
この支持棒34があることで、可動ノズル32に水流の圧力を受けても、可動ノズル32は高さ調整のどの位置であっても支持棒34で支持され、倒れることはない。このように可動ノズル32で区画された流入口31は、水中では水車6の下部に位置しているが、この流入口31の面積を変えるための位置調整は地上の枠体4上部で行うことができる。この結果、メンテナンスも容易である。
【0050】
[実施の形態5]
図6、図7は、水車発電ユニット40本体を上下方向に昇降可能な構成にした実施の形態5を示す図である。即ち、水車発電ユニット40本体を水路から引き上げ、水路上の地上空間位置でメンテナンス、ゴミの除去等を可能とするものである。本実施の形態5は、水路2に水門41が設けられている場合に効果的な構成である。即ち、水門41には通常水門41の扉体を上下して開閉させる昇降装置42が付随して設けられているので、この昇降装置42を利用するものである。
【0051】
水車発電ユニット40の枠体4には、水路2の幅に合わせた扉体43を設け、この扉体43の岸側両端部に、水門41の案内部44に案内可能な張り出し部43aを設ける。この張り出し部43aは、岸側の案内部44に沿って上下方向に案内される。更に、この枠体4と一体の構成をなす扉体43の上部に昇降用の支持具45を設ける。この支持具45にラック46、チェーン、ワイヤ等を取付け、昇降装置42により駆動させると、水車発電ユニット40本体を上下方向に昇降させることができる。
【0052】
図の二点鎖線位置47は、昇降装置42により水車発電ユニット40を水路上、地上空間位置に引き上げた状態を示している。このように枠体4を扉体43と一体化させて水門41の上下方向に定姿勢で案内可能な構成にすることで、水門41にもこの水車発電ユニット40をほぼ原形のまま適用することができ、水車発電ユニット40のメンテナンスを容易にすることができる。又、通常のメンテナンス以外にも、台風等の異常出水時にはこの扉体43を引き上げ、水車発電ユニット40を地上に保持してその保全を行うと同時に水路の流れをスムースにさせ、水路上流域の溢水を防止できる。又、図示していないが、水路上流側に水位計を設置し、水位計のデータにより水門を自動的に上下させることにより更に溢水防止の効果が上がる。
【0053】
既存の水門に適用する場合には、既存の扉体の一部を水車発電ユニットの構造に合わせて変更し、この扉体と水車発電ユニット40とを一体的なものに構成すればよい。又当初から水車発電ユニット40を設ける新しい水門の形成の場合には、水路に合わせた効率のよい構成の水門形式の水車発電ユニット40の設計を行えばよい。又、図示していないが、水車発電ユニット40に適用した扉体で、水路の水流を遮断する場合には、この扉体43に第2の扉体を設けて対処することができる。
【0054】
[実施の形態6]
図8〜図10に示すものは、本発明の実施の形態6である。この実施の形態6は、水路のどの位置であっても、水車発電ユニット50が設置できるとともに、水車発電ユニット50を水路上に引き上げ、地上空間位置でメンテナンスを行うことができる構成である。これらの図に示した構造は、簡易的な構成のメンテナンス用の昇降装置51を水車発電ユニット50に跨がせて両岸に設け、前述同様にチェーン又はワイヤ等の昇降具52を介して、水車発電ユニット50を水路上の地上空間に引き上げることを可能としたものである。
【0055】
図8、図9は、両岸に水車発電ユニット50を跨ぐ位置に設けられた昇降装置51のフレーム体51aの構成を示している。このフレーム体51aは門型になっていて、その下部は両岸のコンクリートにボルト締めされる。又、フレーム体51a上部の中央部には、昇降駆動体53又はその支持体が設けられるようになっている。この昇降駆動体53又はその支持体は、水路2に設置されている水車発電ユニット50の上部に位置し、水車発電ユニット50の上部に取り付けられる取付具54を介して水車発電ユニット50本体を上下方向に昇降させることができる。
【0056】
本実施の形態6は簡易形式としているので、昇降駆動体53はチェーンブロックとしている。従って、手動でチェーンを巻くことにより、水車発電ユニット50を水路上の地上空間位置に容易に引き上げることができる。図10の二点鎖線位置55は、地上空間位置に水車発電ユニット50を引き上げた位置を示す。フレーム体51aにはチェーンブロック等の昇降駆動体53を取付ける支持体が設けられていて、これに引っ掛けることで容易に取付け可能である。又、図示はしていないが、フレーム体51aに沿ってローラー等を介して水平方向に移動させ水車発電ユニット50を岸側に寄せることも可能である。
【0057】
一方、本実施の形態6の水路2は、水路断面が逆台形形状をなしている。従って河岸の水路側面は傾斜面2b,2cとなっている。このため水流を堰きとめ、水車側に水流を案内するための止水板56,57は、水路側面2b,2cへの取り付け面が傾斜をなし、又、水路側端部が水車側に折り曲げられた形状部56a,57bをなしている。この2つの止水板56,57は、水路壁の形状に合わせて構成されるので、両岸の水路側壁形状によって異なる。分割されている各々の止水板56,57は水路両岸に各々固定されている。
【0058】
一方、水車発電ユニット50の枠体4に取り付けられた案内板58,59には、止水ゴム60が取り付けられている。水車発電ユニット50が水中に設置されている場合には、この止水ゴム60の端部は止水板56,57に重ね合わせられ、止水板56,57側に水流で押圧されている。従って、水流は止水板56,57と止水ゴム60で遮断され、効率よく水車側の流入室5に流入するようになっている。
【0059】
又、枠体4の両側壁には、水路2の両岸に向けて張り出す形で、案内部61が上下方向に沿って設けられている。この案内部61は水路2に設けられたフレーム構成体62の案内レール62aに上下方向移動自在に案内される。即ち、この水車発電ユニット50はこの案内部61によって定姿勢を保持して昇降させることができる。
【0060】
両岸に跨って設置された昇降装置51により、水車発電ユニット50が昇降中でも、水流によって流されることなく上下方向の定姿勢を維持することができる。この水車発電ユニット50を前述の構成で水路上の地上空間位置に引き上げた状態が、前述のように図10に示す二点鎖線位置55のようになる。このように本実施の形態6は、水路2の任意位置に設置する場合には、両岸に跨がせて昇降装置51を、又、枠体4に案内部61と案内板58,59へ止水ゴム60を設けると同時に、水路2に上下方向案内用のフレーム構成体62を設けることで、簡易的な構造でメンテナンスの容易な構成にすることが可能である。
【0061】
又、通常のメンテナンス以外にも、台風等の異常出水時にはこの水車発電ユニット50を引き上げ、水車発電ユニット50を地上に保持してその保全を行うと同時に水路の流れをスムースにさせ、水路上流域の溢水を防止できる。更に、例えばカーブを描いて水流の方向が変化する水路2であっても、又傾斜面を有する水路2であっても、水車発電ユニット50の設置は可能であるとともに、水路上の地上空間位置でのメンテナンスを行うことができる。又、昇降駆動体53をチェーンブロックとして説明したが、他の手段、例えば動力のある駆動装置としてもよいことはいうまでもない。
【0062】
[実施の形態7]
図11は、水路の底部2aが傾斜(水平に対して)している場合に適用した実施の形態7を示す部分断面図である。水車発電ユニット1,50を傾斜した底部2aに設置すると、水車発電ユニット1,50は傾斜する。これを防止する一つの手段として、枠体4下部に底部2aに合わせ上面を水平にしたライナー70を当てる。これにより水車発電ユニット1,50は、水平に設置することができる。
【0063】
実施の形態7は、底部2aの傾斜がα度である場合に、α度の傾斜角に合わせて作成したライナー70を枠体4の下部に設置し、水車発電ユニット1,50の設置姿勢を水平にした構成を示したものである。このライナー70は、底部2aの傾斜角に応じて枠体4と底部2aの間に設置すればよいが、角度が固定的に設定される場合には、枠体底部を傾斜面にし、一体構成にしてもよい。
【実施例】
【0064】
本実施の形態6による水車発電ユニットで得られる発電量の一例は以下のとおりである。
流量:0.096m3/s(5.76m3/min)
有効落差:0.9m
想定効率:30%
水のエネルギー:0.85kw
想定発電量:0.255kw
【符号の説明】
【0065】
1…水車発電ユニット
2…水路
3…水路側壁
4…枠体
5…流入室
6…水車
7…案内板
8…上部壁板
9…下部壁板
10…スクリーン
15…発電機
19…土砂吐弁
【技術分野】
【0001】
本発明は、水車発電ユニットに関する。更に詳しくは、水路に設置される水車で発電を行う水車発電ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から農業用等の水路に設置される小型の水車発電装置は知られている。この水車発電装置が設置される水路にはごみ等が流れていることが多く、そのごみ除去のための除塵装置が付属されている発電装置も知られている。又、水車へガイドベーンを設け、ランナに流入する水流を制御する水車発電装置も知られている。これらの従来技術の中で、例えばごみを除去することで、水力発電等で取水口のカバーにスクリーンを設置する構成のものは公知である。
【0003】
例えば、一端を取水口の上部に、他端を取水口の上流側水底に固定した湾曲状のスクリーンが提案されている(例えば、特許文献1参照)。又、ガイドベーンを流入側に設けるものとしては、ランナに先端部を接近させ、ガイドベーンの背を通る水流をスクリーン上の流れとの間で分離し水車に導くもの(例えば、特許文献2参照)、或いはケーシングの上部壁と下部壁との間に設けられ上部壁側に流れる水流方向を制御する回動自在なガイドベーンのもの(例えば特許文献3参照)が知られている。
【0004】
更に、農業用等の用水路の水力発電装置として、水流を絞って水車の下方向に流し水車を回転させるユニット構成のものに加え、水平に設置されたスクリーン上をオーバーフローした水流がごみとともに下流へ流れる構成のものも知られている(例えば、特許文献4参照)。又、スクリーンを傾斜させて設置した構成であるが、水流がオーバーフローしたときにごみを含めて余剰水を通過させる構成としたものも知られている(例えば特許文献5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−150830号公報
【特許文献2】実公昭62−26622号公報
【特許文献3】実開昭63−51163号公報
【特許文献4】特開2003−269315号公報
【特許文献5】特開2008−121652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ごみ除去のためのスクリーン設置の装置は、用水路等に設置した場合には、水流に沿って効率的にごみを除去できる構成になっているとは言いがたい。例えば直線的に傾斜させたスクリーンで除去されたごみは、スクリーン上に堆積してくるので、どうしてもこのごみを人為的に取り除くためのメンテナンスが必要となる。又、現状において、スクリーンを通過して水車側に流入した細かいごみの処理について、有効なトラブル解決の技術は開示されていない。
【0007】
又、従来のベーン構成は、流入側に設けられているものであって、回動する構成ではあるが、水流を水車側に案内する機能のものである。又このガイドベーンについては、流水する水流の方向や水量の調整を行う機能を有するもので、水車への水流方向に沿ってベーンが回動するものである。水車の下部に設けられているものは水量を調整する調整装置で、固定的に設置されその調整操作は人為的に行わざるを得ないものである。
【0008】
この調整装置は、水量を限定させる必要性から前述のように固定的な構成になっていて、ごみ等の侵入があると、その装置にトラブルが発生するおそれのある構成である。又、これら従来のガイドベーンや調整装置は、いずれにしても水中において、あるいは水流に影響されない状態にしておいてからメンテナンスを施す必要がある。従来の構成になる装置は、スクリーンを含めると小型と称しているとはいえ、実際はかなり大きな装置になっていた。本発明は、このような従来の問題点を解決するために創案されたものであり、次の目的を達成する。
【0009】
本発明の目的は、小型でどの水路であっても容易な設置が可能で、水車の回転トルクを強化した水車発電ユニットの提供にある。
本発明の他の目的は、一体的なユニットとして構成し、水車の回転領域へのごみの侵入を阻止するとともに、浸入したごみはスムースに排出できるように構成した水車発電ユニットの提供にある。
本発明の更に他の目的は、低コストで且つメンテナンスの容易な構成とした水車発電ユニットの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記目的を達成するために、次の手段で達成される。即ち、
本発明1の水車発電ユニットは、
水路に設置される小型の水車発電ユニットであって、
前記水路(2)の流入側に流入室(5)を構成し、前記水路(2)に設置される枠体(4)と、
前記枠体(4)に保持され前記水路(2)の上流水面より底部側に浸され前記流入室(5)に流入する水流により回転自在な水車(6)と、
前記枠体(4)の上部に設けられ前記水車(6)に接続して回転駆動される発電機(15)と、
前記枠体(4)内の上部に設けられ湾曲形状をなして前記流入室(5)を覆いごみを除去するためのスクリーン(10)と、
前記水車(6)の羽根車(6a)の回転方向に沿って前記枠体(4)の下部に曲面状に設けられ、前記羽根車(6a)との間で水を前記羽根車(6a)の羽根翼面で受けるように流入側から流出側に向けて連続的に小さくなる隙間を有して配置される下部壁板(9)と、
前記水車(6)を挟んで前記下部壁板(9)と対向する前記枠体(4)内上部に位置し、前記水車(6)の羽根車(6a)先端部の接線方向に近接して配置され、前記流入室(5)の流入水を衝突させて落下させて前記羽根車(6a)に導く上部壁板(8)とからなることを特徴とする。
【0011】
本発明2の水車発電ユニットは、本発明1において、前記下部壁板(9)は、前記枠体(4)に支軸(13)を介して揺動自在な構成になっていることを特徴とする。
本発明3の水車発電ユニットは、本発明1又は2において、前記枠体(4)は、前記枠体(4)の側面部に前記水路(2)の水流を前記枠体(4)内部に導くための案内板(7)を前記水路(2)の両側の側壁(3)に跨って設けられていることを特徴とする。
【0012】
本発明4の水車発電ユニットは、本発明1又は2において、前記枠体(4)の下部は、水流を通過させる流路である通過路(4d)が形成されていることを特徴とする。
本発明5の水車発電ユニットは、本発明1又は2において、前記枠体(4)の下部は、前記水路(2)の底部(2a)に堆積する土砂を排出して下流に流すための流路であり、開閉弁を有する土砂排除装置(19)を設けていることを特徴とする。
【0013】
本発明6の水車発電ユニットは、本発明1又は2において、前記スクリーン(10)上部には、ごみと余剰水の通過を可能とする空間部(11)を前記枠体(4)内に設けたことを特徴とする。
本発明7の水車発電ユニットは、本発明1又は2において、前記上部壁板(8)は、前記水車(6)に対向し鉛直方向に設置されていることを特徴とする。
【0014】
本発明8の水車発電ユニットは、本発明1又は2において、前記水車(6)は、水流が前記羽根車(6a)外周から流入し、前記羽根車(6a)の中央部を貫流し前記羽根車(6a)を押圧し、前記羽根車(6a)の外周に流れるものであることを特徴とする。
本発明9の水車発電ユニットは、本発明1又は2において、前記水車(6)は、前記羽根車(6a)の羽根間隔が前記スクリーン(10)を通過したごみの通過を可能とする隙間を有することを特徴とする。
【0015】
本発明10の水車発電ユニットは、本発明1又は2において、前記下部壁板(9)は、上部が前記上部壁板(8)側に張出し前記上部壁板(8)との間で流水が前記羽根車(6a)の羽根間へ集中して流れる構成とし、前記枠体(4)内に流入した水流を前記上部壁板(8)に衝接させて落下させ前記羽根車(6a)の接線方向に導く構成の突き出し形状部(9a)にしたことを特徴とする。
【0016】
本発明11の水車発電ユニットは、本発明1又は2において、前記上部壁板(8,32)は、上下方向に高さ位置調整し、流入口(31)の面積を変えられるようにしたことを特徴とする。
本発明12の水車発電ユニットは、本発明1又は2において、前記枠体(4)は、前記水路(2)に固定されていることを特徴とする。
【0017】
本発明13の水車発電ユニットは、本発明1又は2において、前記枠体(4)は、両側面部に案内部(43a)を有する水門の扉体(43)と一体構成をなし、上下方向に定姿勢で移動可能な構成になっていることを特徴とする。
本発明14の水車発電ユニットは、本発明1又は2において、前記枠体(4)は、両側面部に案内部(61)を有し、前記枠体(4)を上下方向に定姿勢で移動可能にするために水路側に固定された案内体(62)を有することを特徴とする。
【0018】
本発明15の水車発電ユニットは、本発明3において、前記案内板(7,58,59)は、端部に止水ゴム(60)を有し、水路側に固定された止水板(56,57)との間で重ね合わせていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の水車発電ユニットは、一体構成で水車の羽根車に対し効果的な水流になるような構成にし、水車の回転トルクが高く安定したユニットとなった。又、小型のユニットとしたことで、どのような水路にも対応できるものとなった。ごみの処理においては、スクリーンを通過して水車側に浸入した細かいごみであっても、自然流の過程の中でスムースに水車外へ排出できるようになった。従って、ごみにより水車の回転が阻止されるようなトラブルは避けられ、メンテナンスの容易なユニットとなった。
【0020】
又、水車発電ユニットを水門の扉体と一体構成とすることにより、水門の昇降装置で上下に開閉させることで、台風(大雨)等による予想外の水位変化に対応が可能となり、水路上流域の溢水を防止することができるようになった。
又、水車発電ユニットを昇降装置で上下に開閉させることで、台風(大雨)等による予想外の水位変化に対応が可能となり、水路上流域の溢水を防止することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1を示す水車発電ユニットの断面図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態1を示す水車発電ユニットの平面図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態2を示す水車発電ユニットの断面図である。
【図4】図4は、本発明の実施の形態3における下部壁板の変形例を示す水車発電ユニットの部分断面図である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態4における上部壁板を示し、高さ位置調整を可能とする可動ノズル形態の水車発電ユニットの部分断面図である。
【図6】図6は、本発明の実施の形態5で、本体を水門と一体形式で昇降可能とする構成を示す水車発電ユニットの側面断面図である。
【図7】図7は、本発明の実施の形態5で、本体を水門と一体形式で昇降可能とする構成を示す水車発電ユニットの正面図である。
【図8】図8は、本発明の実施の形態6で、本体を簡易に昇降可能とする構成を示す水車発電ユニットの正面図である。
【図9】図9は、本発明の実施の形態6で、本体を簡易に昇降可能とする構成を示し水路に設置された状態の水車発電ユニットの平面図である。
【図10】図10は、本発明の実施の形態6で、本体を簡易に昇降可能とする構成を示し水路上の地上空間位置に引き上げられた状態の水車発電ユニットの側面断面図である。
【図11】図11は、本発明の実施の形態7で、底部が傾斜面である水路に設置された状態を示す水車発電ユニットの部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[実施の形態1]
以下、本発明の実施の形態1を、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施の形態1を示す断面図である。図2はその平面図である。水車発電ユニット1は、コンクリートで形成された水路2の水路側壁3に固定して設置されるものである。水路2を流れる水流は、水位の高い上流側から水位の低い下流側に緩やかな勾配をなして流れている。この水車発電ユニット1は、鋼板等の金属製の枠体4が水路2の底部2a及び水路側壁3に固定されて設置されている。枠体4には、水車6が配置され収納されている。
【0023】
水車発電ユニット1は、水流に対し枠体4の上流側に開口した流入室5を構成し、ごみが除去されてこの流入室5に流入した水を鉛直方向(重力方向)に落下させて位置水頭から速度水頭に変換させている。この落下水流を水車6の羽根車6aの羽根に当てて、羽根車6aを回転させて発電するものである。水路2は、コンクリートで形成されている両側壁面と底面部の3面からなり、断面形状がコ字状、又は逆台形状の3面水路である。ただし、この3面水路は、設置場所によっては、水車発電ユニット1を設置する近辺のみをコンクリートで形成する場合もある。水車発電ユニット1は、このような水路2に据え付けられ、低落差、小水量であっても発電可能とするものである。
【0024】
水車発電ユニット1は、外部を鋼板の枠体4で構成されていて、本例では主に水路2の底部2aに設置され、固定されている。この枠体4は、鋼板である両側の側面部板4aと底面部板4bと上面部板4cとで構成されている。即ち、概略すると箱状の枠体4は、四方向が板材でカバーされ、水が流れる方向である2方向に開口していることになる。この枠体4の内部には、対向する側面部板4aの間に、回転軸を介して回転自在に支持された羽根車6aが配置されている。この羽根車6aの基本構造は、公知の構成のものであり、中心軸に放射状(半径方向)に複数の円弧状に翼をなす羽根を有するものである。
【0025】
羽根車6aは種々のタイプがあり公知であるが、本実施の形態1においては、矢印で水の流れを示すように、水流が羽根車6aの外周から流入し、羽根車6aの中央部を貫流し、この羽根を押圧し羽根車6a外周に流れる構成の水車、いわゆるクロスフロータイプの水車である。クロスフロータイプの水車は、空調用シロッコファンのように短冊形の長い羽根が円盤に複数取り付けられた形状の水車である。パイプ等の配管中に設置され、パイプから放出される水の中で羽根が回転することにより動力を得、衝動水車と反動水車の双方の性質を有している。
【0026】
これに対し、本実施の形態1に使用する水車は、一般的なクロスフロータイプの水車と異なり、パイプ等の配管中に設置されるものではない。開放された水路に設置され、水路のごみの通過を可能にするため、従来のクロスフロータイプの水車における羽根枚数が30枚前後であるのに対して、羽根枚数を12〜16枚の範囲に設定(本実施の形態では12枚)にして、羽根車6aの羽根枚数を減じ羽根間隔を広くした水車である。このことにより、羽根車6aの中央部での水の通過性がよくなり、かつごみの通過性もよくなる。
【0027】
水車6の羽根車6aの下方の略半分を水路に浸し、羽根車6aの外周から羽根車6aの中央部に流入した水流を、再度中央部から羽根車6aの外周方向へ吐き出させ、羽根車6aを回転させる構成になっている。これにより、水流は流入するときと流出するときの両方の流れで羽根車6aを駆動する。この結果、羽根車6aに対し、鉛直方向からの落下に伴う重力による作用と、水流の運動エネルギーによる反動作用で効率的に羽根車6aに回転力を与えることになる。
【0028】
枠体4の底面部板4bは、水路2の底部2aから若干の隙間を配置して設置されている。又、枠体4の流入口側の側面部板4aの上流側には、水路2の水流を案内するための2枚の案内板7が設置されている。具体的には、この側面部板4aの上流側の端部には、案内板7の一端が固定されている。案内板7の他端部は、水路2の水路側壁3に固定されている。従って、水路2を流れる水流は、両案内板7に案内されて水車に流れ込むことになる。図2の平面図に示すように、両案内板7は平面から見ればハの字状に配置されている。両案内板7は、水路2での一種の堰の役割を果たしている。底面部板4bは、水路2の底部2aに強固に固定されているので、枠体4は水流の抵抗があっても押し流されることはない。
【0029】
枠体4内の羽根車6aの上部位置には、この羽根先端の接線方向(羽根翼面の延長方向)に近接して、上部壁板8が鉛直方向に向けて固定して配置されている。水流の流入室5の下部から水車6の羽根車6aの外周に沿うように、かつ下方に向けて、羽根車6aとの間で、隙間を有して下部壁板9が配置されている。この隙間は、流入側から流出側に向けて連続的に小さくなっている。即ち、水を前記羽根車6aの羽根翼面の略直角方向に衝接させるように、即ち下部壁板9は羽根車6aとの間で適切な隙間となるように配置されている。
【0030】
枠体4の内部は、水流の流れを効果的にするため、この下部壁板9と上部壁板8とで羽根車6aを挟み、更に、その両側を側面部板4aで囲った空間である流入室5を形成している。水路2の上流から流れてきた水流は、この流入室5の上部壁板8に衝突して、これに案内されて直下に落下し、前述したように水を羽根車6aの接線方向に対し適切な角度になるように導き、羽根車6aの翼面を押圧して羽根車6aを図に示す時計方向(図1の図示上)に回転させる。このような構成にすることで、落下水流に加え羽根車6aと下部壁板9の隙間に流入した水流も羽根裏面に衝接することを防ぎ、常に羽根翼面に衝接し大半の水流は羽根車6aの中央部に導かれる。流出側の端部の隙間は小さいので、水流の無駄な放出は少なくなり又水流摩擦も小さく、結果的に水車の回転効率を高めている。
【0031】
上部壁板8の設置構成は、前述のように羽根車6aの羽根先端の接線方向としており、かつ鉛直方向に設置し、水流をこの上部壁板8に衝接させて下方向に落下させるものである。この落下による水流は、効率よく羽根の翼面に重量体として衝接することになる。言い換えると、上部壁板8は、位置水頭を速度水頭に変換する機能と、上流から流れてくる水流を鉛直下方に方向変換する機能を果たすものである。この流入室5の上面開口には、湾曲形状(円弧の一部)のスクリーン10が蓋状に配置されている。このスクリーン10は、水車6の中心として円弧状になるように配置されているバースクリーンであり、上部が水平で上流側が下部に沿ってカーブを描く形状になっている。
【0032】
水流は複数のバー間を通して流入室5に導かれるが、木片等の浮遊ごみはこのバーに引っかかり、流入室5に流入しない。ごみが水流と共に流れてくる場合、ごみは湾曲したスクリーン10上を水流で押し流されながら上方の水平部位にもたらされ、上部の空間部11からエプロン12に案内されて水流とともに枠体4外の下流方向へ放流される。空間部11は枠体4内にあり、スクリーン10と上面部板4cとの間に構成されている。又、水路2の水量が多い場合も、オーバーフローした越流としてごみとともに上部の空間部11を通過し、エプロン12を介して下流へ流れる。この構造により、水路2の水流が多いとき、余剰の水量によって水車6にトラブルを起こすようなことは避けられる。ごみはエプロン12の下に回収部材を設けて自然回収して水路外へ取り出すことも可能である。
【0033】
ごみはスクリーン10に留まることはないので、従来のようにスクリーンに留まったごみを除去する等の人為的作業は必要ない。従って、水車発電ユニット1においては、スクリーン10のごみを回収するためのメンテナンスは必要ない。水車6の下部には、前述したように枠体4の底面部板4b側に羽根車6aの形状に沿って、下部壁板9が配置されている。本実施の形態1における下部壁板9は、下部壁板9の一端が枠体4の側面部板4aに設けられた支軸13により揺動自在に支持され、揺動可能となっている。
【0034】
この下部壁板9は裏面から、主に静圧による圧力を受けており、枠体4に設けられたストッパー14によりその移動は制限されている。下部壁板9は、羽根車6aの形状に沿って半円形状の構成となっている。通常、この下部壁板9は、羽根車6aとの間で適切な間隔を維持している。この下部壁板9は、形状が羽根車6aの外周に対応し、水が羽根車6aの接線方向に対し適切な角度で導かれる形状になっており、羽根車6aに流入する過大な水圧、或いは異物が混入したときにその押圧力により揺動可能としている。ただし、下部壁板9は、揺動自在ではなく、弾性板材のような可撓性の金属部材で構成すると、必ずしも揺動可能に設ける必要はない。
【0035】
スクリーン10を通過した細かいごみが、羽根車6aの外周と下部壁板9との間に挟みこまれると、下部壁板9が支軸13を支点に揺動し羽根車6aとの隙間を押し広げ、ごみはこの隙間から離れる。例えば、小さい石塊状の硬いごみは羽根車6aを損傷するおそれがあり、トラブルの原因となる。下部壁板9が開くことでこれらのごみは除去される。押し広げ間隔はスクリーン10のバー幅に合わせているので、侵入するごみは全て排出することができる。
【0036】
従って、ごみは自然流の過程で除去されるので、羽根車6aはこの隙間に挟まれたごみによって回転が阻止されるようなトラブルは避けられる。下部壁板9を揺動可能な構成にした大きな目的は、前述したように、この羽根車6aと下部壁板9との隙間にごみが侵入したときに下部壁板9を開放させてそのごみを排出させる。ごみが除去された後は羽根車6aと下部壁板9との隙間を自然に元の状態にし、常に最適な稼動状態を維持し水車の効率化をはかっている。流入室5に流入した水流は、羽根車6a翼面に衝接しながら羽根車6aの中央部を通って下流に流される。又、羽根車6aは羽根数を減じ羽根間の間隔をスクリーン10のバー幅に合わせて広くしている。このためバー間を通過して羽根車6aに流入した細かいごみは水流とともに羽根車6aの中央部を通過し下流に放出可能となっている。
【0037】
枠体4の上面部板4cは蓋状のステーを構成し、その上面に発電機15が固定されている。この上面部板4cは、水路2の水流高さが満水時であっても冠水しない高さに設定されている。この発電機15と羽根車6aとはローラチェーン16によって連結されている。軸受けで支持された羽根車6aの回転軸と発電機15の回転軸には、各々スプロケット17,18が取り付けられており、ローラチェーン16はこのスプロケット17,18に無端チェーンとして巻きかけられている。
【0038】
一方、水路2には浮遊するごみ以外に土砂等の異物も、水路2の底部2aに沿って流れている。この土砂等は重いので枠体4の下部に堆積するおそれがある。この土砂等を除去するための機構が枠体4の底面部板4bに設けられている。枠体4の底面部板4bは、断面形状が長方形状の空間部4dを有する箱形状となっている。この空間部4dは、貫通穴であり水流の通過を可能とする水の流路を形成している。なお、この空間部4dは、長方形状であるが水路底側が開口したコ字状の形状であってもよい。枠体4の底面部板4bの上流側の端部に、即ち空間部4dの流入口に開閉自在の土砂吐弁19が設けられている。この土砂吐弁19は、通常は閉じているが底部2aに土砂等が堆積すると土砂吐弁19を開くと、流入口が開放可能な構造になっている。土砂吐弁19の開放に伴い、空間部4dを介して水流と共に土砂等を下流に放出する。
【0039】
この土砂吐弁19の開閉構成は、土砂吐弁19の一端に棒、ワイヤ、又は鎖19aを取り付け、この鎖等を地上で支持し底部2aに土砂等の堆積が多くなったときに引っ張り上げられる構成としている。従って、底部2aに土砂等が堆積すると、手動操作で土砂吐弁19の弁を揺動させて弁を開き開放する。土砂吐弁19が開放されると、土砂等は水流の勢いで底面部板4bの空間部4dを貫流し下流に流れる。この土砂吐弁19を配置したことで、下部壁板9への土砂浸入を防止できるので、下部壁板9の揺動動作に悪影響を及ぼすことはない。なお、土砂吐弁19を配置せずに、空間部4dを水が流れる流路とし、底部の砂等を常時流しても良い。
【0040】
水車発電ユニット1はこのような構成になっていて、次のような動作を伴って稼動する。水路2の水流は先ずスクリーン10を通過し流入室5に導かれる。流入室5に導かれた水流は、流れの勢いで上部壁板8に衝接する。衝接した水流は下方向に落下、及び方向変換されて速度を増して羽根車6aの翼面を動圧で押圧する。この押圧を伴いながら水流は羽根車6a外周より羽根車6aの中央部を矢印で示すように通過し、再び羽根車6aの翼面を動圧で押圧し外周に流出する。この水流の押圧により羽根車6aは回転し、ローラチェーン16を介して発電機15が回転する。
【0041】
スクリーン10で除去されたごみは、オーバーフローした水流とともにスクリーン10の上部の空間部11を通過し、エプロン12を介して下流に放流される。又、スクリーン10をごみが通過したとしても自然流の過程で、羽根車6aと下部壁板9との隙間に入ったごみは下部壁板9の揺動で押し拡げられた隙間を経て下流へ放流される。又、羽根車6aに流入したごみは水流とともに羽根車6aの中央部を通過し下流へ放出される。更に、水路2の底に堆積した土砂等は、枠体4の底面部板4bに設けられた土砂吐弁19の人為的開閉操作で空間部4dを貫流させ下流に放流させる。
【0042】
[実施の形態2]
以上詳記したように、本実施の形態1は、基本的に以上説明した構成になっているが、次に実施の形態2について説明する。図3に示すものは、基本的に前述と同様構成の揺動可能な下部壁板9を有する水車発電ユニット20を、水路底に段差がある水路2に適用した例を示す。この実施の形態2の構成は、水車6の中心部が水路2の底部2aより下方に設置させた構成とし、水路2の底部2aが下部壁板9の上端部に位置する例である。この例の場合は水路の深さが浅い場合に適用され、スクリーン10全体を水路2の水面から底部2aまでの部位に跨って設置することができる構成になっている。
【0043】
即ち、この水車発電ユニット20の上流側(流入側)を水路端の段差部に設置し、水流の落下エネルギーを効果的に利用する構造としている。上部壁板8に水流を衝接させ水車6を回転させる構成は前述したものと同様である。前述のものと同様に、羽根車6aと下部壁板9とは適切な隙間を維持して、ごみがその隙間に流入したときにはこの下部壁板9が揺動して開き排除することができる。図示していないが、下部壁板9は底面部板4bに取り付けられたバネ等の押圧材により枠体4に設けられたストッパー14に押し付けられて移動を制限されている。尚、図1と同様に静圧による圧力で下部壁板9をストッパー14に押し付けて移動を制限する方法も使用できる。スクリーン10の上部の空間部21が高くなっているが、これは浅い水路の場合水位高さの変動が大きいことと、浅い水路であっても前述したものと同様に余剰の水量が流れることを考慮して高くしている。
【0044】
[実施の形態3]
図4は、実施の形態3であり、下部壁板9の変形例を示す部分断面図である。羽根車6aの回転トルクを高めるための一方法である。前述した実施の形態1及び2に示すものは、下部壁板9を羽根車6aの形状に沿って曲線状のものとしているが、水流は必ずしも全てが上部壁板8に衝接する構成ではない。上部壁板8に達した水流の一部は上部壁板8に衝接せずに落下し、羽根車6aの羽根裏面に衝接してしまうおそれがある。そこで、これを回避し有効に落下エネルギーを得るため、下部壁板9の上部を図4に示すように、上部壁板8側に向くように平面状の突き出し形状部9aを形成した。突き出し形状部9aは、水平から鋭角である角度θを成している。即ち、水平に流れてくる水流の速度エネルギーを、水平から角度θだけ上向きの流れを形成するものである。これにより、より多くの水流が上部壁板8に衝接し落下する。このことで羽根車6aに対しての落下エネルギーを高めることが可能である。
【0045】
前述した実施の形態1及び2では、水流の一部は羽根車6aの翼面の裏面に衝接すると回転トルクを減じて水車の回転効率を低下させてしまうおそれがある。これを避ける一方策であって、流入室5への水流は矢印で示すように全て上部壁板8に衝接させ鉛直方向に落下させ、羽根車6aの羽根翼面に当たるように流入スペース22を構成し、確実に羽根車6aの翼面に衝接させる構成とした。この構成であると、水車の回転トルクを高める可能性がある。又、本例においては、突き出し形状部9aを下部壁板9の一部で構成するとしたが、この部位に追加の別部材として設けてもよい。
【0046】
[実施の形態4]
図5は、前述の上部壁板8の上下方向の高さ位置調整を可能にした水車発電ユニット30を示す実施の形態4の部分図である。前述の上部壁板8は、上下方向の高さ位置を変えることで、下部壁板9との間の流入口31の面積を変えることができる。即ち、この上部壁板8を可動ノズル32として、水車6への流入量を変えることができる。この可動ノズル32は、板部材32aにねじを有する2本の調整棒32bの下端を溶接し、更にその調整棒32bの位置に沿って板部材32aから2つのステー部32cを張り出した構成のものである。
【0047】
この調整棒32bの上端部は、枠体4の上部に張り出し、調整棒32bの位置決めがなされるようになっている。この可動ノズル32は、調整棒32bの端部にねじ込まれたナット33により枠体4の上部に支持され、このナット33の位置調整により高さが決められる。この調整位置は、枠体4上部で水車発電ユニット30が水路中に設置されていても、操作のできる水路上の地上空間位置である。
【0048】
ステー部32cには、上下方向にスリットである通し溝32dが調整棒32bの長さ方向に沿って設けられている。この通し溝32dには、枠体4の両側壁に支持される支持棒34が2つのステー部32cに跨って挿入されている。この支持棒34は固定されているので、可動ノズル32が上下方向に移動し位置調整される場合であっても、この支持棒34と相対移動しつつ可動ノズル32の姿勢は保持されることになる。
【0049】
この支持棒34があることで、可動ノズル32に水流の圧力を受けても、可動ノズル32は高さ調整のどの位置であっても支持棒34で支持され、倒れることはない。このように可動ノズル32で区画された流入口31は、水中では水車6の下部に位置しているが、この流入口31の面積を変えるための位置調整は地上の枠体4上部で行うことができる。この結果、メンテナンスも容易である。
【0050】
[実施の形態5]
図6、図7は、水車発電ユニット40本体を上下方向に昇降可能な構成にした実施の形態5を示す図である。即ち、水車発電ユニット40本体を水路から引き上げ、水路上の地上空間位置でメンテナンス、ゴミの除去等を可能とするものである。本実施の形態5は、水路2に水門41が設けられている場合に効果的な構成である。即ち、水門41には通常水門41の扉体を上下して開閉させる昇降装置42が付随して設けられているので、この昇降装置42を利用するものである。
【0051】
水車発電ユニット40の枠体4には、水路2の幅に合わせた扉体43を設け、この扉体43の岸側両端部に、水門41の案内部44に案内可能な張り出し部43aを設ける。この張り出し部43aは、岸側の案内部44に沿って上下方向に案内される。更に、この枠体4と一体の構成をなす扉体43の上部に昇降用の支持具45を設ける。この支持具45にラック46、チェーン、ワイヤ等を取付け、昇降装置42により駆動させると、水車発電ユニット40本体を上下方向に昇降させることができる。
【0052】
図の二点鎖線位置47は、昇降装置42により水車発電ユニット40を水路上、地上空間位置に引き上げた状態を示している。このように枠体4を扉体43と一体化させて水門41の上下方向に定姿勢で案内可能な構成にすることで、水門41にもこの水車発電ユニット40をほぼ原形のまま適用することができ、水車発電ユニット40のメンテナンスを容易にすることができる。又、通常のメンテナンス以外にも、台風等の異常出水時にはこの扉体43を引き上げ、水車発電ユニット40を地上に保持してその保全を行うと同時に水路の流れをスムースにさせ、水路上流域の溢水を防止できる。又、図示していないが、水路上流側に水位計を設置し、水位計のデータにより水門を自動的に上下させることにより更に溢水防止の効果が上がる。
【0053】
既存の水門に適用する場合には、既存の扉体の一部を水車発電ユニットの構造に合わせて変更し、この扉体と水車発電ユニット40とを一体的なものに構成すればよい。又当初から水車発電ユニット40を設ける新しい水門の形成の場合には、水路に合わせた効率のよい構成の水門形式の水車発電ユニット40の設計を行えばよい。又、図示していないが、水車発電ユニット40に適用した扉体で、水路の水流を遮断する場合には、この扉体43に第2の扉体を設けて対処することができる。
【0054】
[実施の形態6]
図8〜図10に示すものは、本発明の実施の形態6である。この実施の形態6は、水路のどの位置であっても、水車発電ユニット50が設置できるとともに、水車発電ユニット50を水路上に引き上げ、地上空間位置でメンテナンスを行うことができる構成である。これらの図に示した構造は、簡易的な構成のメンテナンス用の昇降装置51を水車発電ユニット50に跨がせて両岸に設け、前述同様にチェーン又はワイヤ等の昇降具52を介して、水車発電ユニット50を水路上の地上空間に引き上げることを可能としたものである。
【0055】
図8、図9は、両岸に水車発電ユニット50を跨ぐ位置に設けられた昇降装置51のフレーム体51aの構成を示している。このフレーム体51aは門型になっていて、その下部は両岸のコンクリートにボルト締めされる。又、フレーム体51a上部の中央部には、昇降駆動体53又はその支持体が設けられるようになっている。この昇降駆動体53又はその支持体は、水路2に設置されている水車発電ユニット50の上部に位置し、水車発電ユニット50の上部に取り付けられる取付具54を介して水車発電ユニット50本体を上下方向に昇降させることができる。
【0056】
本実施の形態6は簡易形式としているので、昇降駆動体53はチェーンブロックとしている。従って、手動でチェーンを巻くことにより、水車発電ユニット50を水路上の地上空間位置に容易に引き上げることができる。図10の二点鎖線位置55は、地上空間位置に水車発電ユニット50を引き上げた位置を示す。フレーム体51aにはチェーンブロック等の昇降駆動体53を取付ける支持体が設けられていて、これに引っ掛けることで容易に取付け可能である。又、図示はしていないが、フレーム体51aに沿ってローラー等を介して水平方向に移動させ水車発電ユニット50を岸側に寄せることも可能である。
【0057】
一方、本実施の形態6の水路2は、水路断面が逆台形形状をなしている。従って河岸の水路側面は傾斜面2b,2cとなっている。このため水流を堰きとめ、水車側に水流を案内するための止水板56,57は、水路側面2b,2cへの取り付け面が傾斜をなし、又、水路側端部が水車側に折り曲げられた形状部56a,57bをなしている。この2つの止水板56,57は、水路壁の形状に合わせて構成されるので、両岸の水路側壁形状によって異なる。分割されている各々の止水板56,57は水路両岸に各々固定されている。
【0058】
一方、水車発電ユニット50の枠体4に取り付けられた案内板58,59には、止水ゴム60が取り付けられている。水車発電ユニット50が水中に設置されている場合には、この止水ゴム60の端部は止水板56,57に重ね合わせられ、止水板56,57側に水流で押圧されている。従って、水流は止水板56,57と止水ゴム60で遮断され、効率よく水車側の流入室5に流入するようになっている。
【0059】
又、枠体4の両側壁には、水路2の両岸に向けて張り出す形で、案内部61が上下方向に沿って設けられている。この案内部61は水路2に設けられたフレーム構成体62の案内レール62aに上下方向移動自在に案内される。即ち、この水車発電ユニット50はこの案内部61によって定姿勢を保持して昇降させることができる。
【0060】
両岸に跨って設置された昇降装置51により、水車発電ユニット50が昇降中でも、水流によって流されることなく上下方向の定姿勢を維持することができる。この水車発電ユニット50を前述の構成で水路上の地上空間位置に引き上げた状態が、前述のように図10に示す二点鎖線位置55のようになる。このように本実施の形態6は、水路2の任意位置に設置する場合には、両岸に跨がせて昇降装置51を、又、枠体4に案内部61と案内板58,59へ止水ゴム60を設けると同時に、水路2に上下方向案内用のフレーム構成体62を設けることで、簡易的な構造でメンテナンスの容易な構成にすることが可能である。
【0061】
又、通常のメンテナンス以外にも、台風等の異常出水時にはこの水車発電ユニット50を引き上げ、水車発電ユニット50を地上に保持してその保全を行うと同時に水路の流れをスムースにさせ、水路上流域の溢水を防止できる。更に、例えばカーブを描いて水流の方向が変化する水路2であっても、又傾斜面を有する水路2であっても、水車発電ユニット50の設置は可能であるとともに、水路上の地上空間位置でのメンテナンスを行うことができる。又、昇降駆動体53をチェーンブロックとして説明したが、他の手段、例えば動力のある駆動装置としてもよいことはいうまでもない。
【0062】
[実施の形態7]
図11は、水路の底部2aが傾斜(水平に対して)している場合に適用した実施の形態7を示す部分断面図である。水車発電ユニット1,50を傾斜した底部2aに設置すると、水車発電ユニット1,50は傾斜する。これを防止する一つの手段として、枠体4下部に底部2aに合わせ上面を水平にしたライナー70を当てる。これにより水車発電ユニット1,50は、水平に設置することができる。
【0063】
実施の形態7は、底部2aの傾斜がα度である場合に、α度の傾斜角に合わせて作成したライナー70を枠体4の下部に設置し、水車発電ユニット1,50の設置姿勢を水平にした構成を示したものである。このライナー70は、底部2aの傾斜角に応じて枠体4と底部2aの間に設置すればよいが、角度が固定的に設定される場合には、枠体底部を傾斜面にし、一体構成にしてもよい。
【実施例】
【0064】
本実施の形態6による水車発電ユニットで得られる発電量の一例は以下のとおりである。
流量:0.096m3/s(5.76m3/min)
有効落差:0.9m
想定効率:30%
水のエネルギー:0.85kw
想定発電量:0.255kw
【符号の説明】
【0065】
1…水車発電ユニット
2…水路
3…水路側壁
4…枠体
5…流入室
6…水車
7…案内板
8…上部壁板
9…下部壁板
10…スクリーン
15…発電機
19…土砂吐弁
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水路に設置される小型の水車発電ユニットであって、
前記水路(2)の流入側に流入室(5)を構成し、前記水路(2)に設置される枠体(4)と、
前記枠体(4)に保持され前記水路(2)の上流水面より底部側に浸され前記流入室(5)に流入する水流により回転自在な水車(6)と、
前記枠体(4)の上部に設けられ前記水車(6)に接続して回転駆動される発電機(15)と、
前記枠体(4)内の上部に設けられ湾曲形状をなして前記流入室(5)を覆いごみを除去するためのスクリーン(10)と、
前記水車(6)の羽根車(6a)の回転方向に沿って前記枠体(4)の下部に曲面状に設けられ、前記羽根車(6a)との間で水を前記羽根車(6a)の羽根翼面で受けるように流入側から流出側に向けて連続的に小さくなる隙間を有して配置される下部壁板(9)と、
前記水車(6)を挟んで前記下部壁板(9)と対向する前記枠体(4)内上部に位置し、前記水車(6)の羽根車(6a)先端部の接線方向に近接して配置され、前記流入室(5)の流入水を衝突させて落下させて前記羽根車(6a)に導く上部壁板(8)とからなることを特徴とする水車発電ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の水車発電ユニットにおいて、
前記下部壁板(9)は、前記枠体(4)に支軸(13)を介して揺動自在な構成になっていることを特徴とする水車発電ユニット。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の水車発電ユニットにおいて、
前記枠体(4)は、前記枠体(4)の側面部に前記水路(2)の水流を前記枠体(4)内部に導くための案内板(7)を前記水路(2)の両側の側壁(3)に跨って設けられていることを特徴とする水車発電ユニット。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の水車発電ユニットにおいて、
前記枠体(4)の下部は、水流を通過させる流路である通過路(4d)が形成されていることを特徴とする水車発電ユニット。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の水車発電ユニットにおいて、
前記枠体(4)の下部は、前記水路(2)の底部(2a)に堆積する土砂を排出して下流に流すための流路であり、開閉弁を有する土砂排除装置(19)を設けていることを特徴とする水車発電ユニット。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の水車発電ユニットにおいて、
前記スクリーン(10)上部には、ごみと余剰水の通過を可能とする空間部(11)を前記枠体(4)内に設けたことを特徴とする水車発電ユニット。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の水車発電ユニットにおいて、
前記上部壁板(8)は、前記水車(6)に対向し鉛直方向に設置されていることを特徴とする水車発電ユニット。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の水車発電ユニットにおいて、
前記水車(6)は、水流が前記羽根車(6a)外周から流入し、前記羽根車(6a)の中央部を貫流し前記羽根車(6a)を押圧し、前記羽根車(6a)の外周に流れるものであることを特徴とする水車発電ユニット。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の水車発電ユニットにおいて、
前記水車(6)は、前記羽根車(6a)の羽根間隔が前記スクリーン(10)を通過したごみの通過を可能とする隙間を有することを特徴とする水車発電ユニット。
【請求項10】
請求項1又は2に記載の水車発電ユニットにおいて、
前記下部壁板(9)は、上部が前記上部壁板(8)側に張出し前記上部壁板(8)との間で流水が前記羽根車(6a)の羽根間へ集中して流れる構成とし、前記枠体(4)内に流入した水流を前記上部壁板(8)に衝接させて落下させ前記羽根車(6a)の接線方向に導く構成の突き出し形状部(9a)にしたことを特徴とする水車発電ユニット。
【請求項11】
請求項1又は2に記載の水車発電ユニットにおいて、
前記上部壁板(8,32)は、上下方向に高さ位置調整し、流入口(31)の面積を変えられるようにしたことを特徴とする水車発電ユニット。
【請求項12】
請求項1又は2に記載の水車発電ユニットにおいて、
前記枠体(4)は、前記水路(2)に固定されていることを特徴とする水車発電ユニット。
【請求項13】
請求項1又は2に記載の水車発電ユニットにおいて、
前記枠体(4)は、両側面部に案内部(43a)を有する水門の扉体(43)と一体構成をなし、上下方向に定姿勢で移動可能な構成になっていることを特徴とする水車発電ユニット。
【請求項14】
請求項1又は2に記載の水車発電ユニットにおいて、
前記枠体(4)は、両側面部に案内部(61)を有し、前記枠体(4)を上下方向に定姿勢で移動可能にするために水路側に固定された案内体(62)を有することを特徴とする水車発電ユニット。
【請求項15】
請求項3に記載の水車発電ユニットにおいて、
前記案内板(7,58,59)は、端部に止水ゴム(60)を有し、水路側に固定された止水板(56,57)との間で重ね合わせていることを特徴とする水車発電ユニット。
【請求項1】
水路に設置される小型の水車発電ユニットであって、
前記水路(2)の流入側に流入室(5)を構成し、前記水路(2)に設置される枠体(4)と、
前記枠体(4)に保持され前記水路(2)の上流水面より底部側に浸され前記流入室(5)に流入する水流により回転自在な水車(6)と、
前記枠体(4)の上部に設けられ前記水車(6)に接続して回転駆動される発電機(15)と、
前記枠体(4)内の上部に設けられ湾曲形状をなして前記流入室(5)を覆いごみを除去するためのスクリーン(10)と、
前記水車(6)の羽根車(6a)の回転方向に沿って前記枠体(4)の下部に曲面状に設けられ、前記羽根車(6a)との間で水を前記羽根車(6a)の羽根翼面で受けるように流入側から流出側に向けて連続的に小さくなる隙間を有して配置される下部壁板(9)と、
前記水車(6)を挟んで前記下部壁板(9)と対向する前記枠体(4)内上部に位置し、前記水車(6)の羽根車(6a)先端部の接線方向に近接して配置され、前記流入室(5)の流入水を衝突させて落下させて前記羽根車(6a)に導く上部壁板(8)とからなることを特徴とする水車発電ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の水車発電ユニットにおいて、
前記下部壁板(9)は、前記枠体(4)に支軸(13)を介して揺動自在な構成になっていることを特徴とする水車発電ユニット。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の水車発電ユニットにおいて、
前記枠体(4)は、前記枠体(4)の側面部に前記水路(2)の水流を前記枠体(4)内部に導くための案内板(7)を前記水路(2)の両側の側壁(3)に跨って設けられていることを特徴とする水車発電ユニット。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の水車発電ユニットにおいて、
前記枠体(4)の下部は、水流を通過させる流路である通過路(4d)が形成されていることを特徴とする水車発電ユニット。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の水車発電ユニットにおいて、
前記枠体(4)の下部は、前記水路(2)の底部(2a)に堆積する土砂を排出して下流に流すための流路であり、開閉弁を有する土砂排除装置(19)を設けていることを特徴とする水車発電ユニット。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の水車発電ユニットにおいて、
前記スクリーン(10)上部には、ごみと余剰水の通過を可能とする空間部(11)を前記枠体(4)内に設けたことを特徴とする水車発電ユニット。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の水車発電ユニットにおいて、
前記上部壁板(8)は、前記水車(6)に対向し鉛直方向に設置されていることを特徴とする水車発電ユニット。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の水車発電ユニットにおいて、
前記水車(6)は、水流が前記羽根車(6a)外周から流入し、前記羽根車(6a)の中央部を貫流し前記羽根車(6a)を押圧し、前記羽根車(6a)の外周に流れるものであることを特徴とする水車発電ユニット。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の水車発電ユニットにおいて、
前記水車(6)は、前記羽根車(6a)の羽根間隔が前記スクリーン(10)を通過したごみの通過を可能とする隙間を有することを特徴とする水車発電ユニット。
【請求項10】
請求項1又は2に記載の水車発電ユニットにおいて、
前記下部壁板(9)は、上部が前記上部壁板(8)側に張出し前記上部壁板(8)との間で流水が前記羽根車(6a)の羽根間へ集中して流れる構成とし、前記枠体(4)内に流入した水流を前記上部壁板(8)に衝接させて落下させ前記羽根車(6a)の接線方向に導く構成の突き出し形状部(9a)にしたことを特徴とする水車発電ユニット。
【請求項11】
請求項1又は2に記載の水車発電ユニットにおいて、
前記上部壁板(8,32)は、上下方向に高さ位置調整し、流入口(31)の面積を変えられるようにしたことを特徴とする水車発電ユニット。
【請求項12】
請求項1又は2に記載の水車発電ユニットにおいて、
前記枠体(4)は、前記水路(2)に固定されていることを特徴とする水車発電ユニット。
【請求項13】
請求項1又は2に記載の水車発電ユニットにおいて、
前記枠体(4)は、両側面部に案内部(43a)を有する水門の扉体(43)と一体構成をなし、上下方向に定姿勢で移動可能な構成になっていることを特徴とする水車発電ユニット。
【請求項14】
請求項1又は2に記載の水車発電ユニットにおいて、
前記枠体(4)は、両側面部に案内部(61)を有し、前記枠体(4)を上下方向に定姿勢で移動可能にするために水路側に固定された案内体(62)を有することを特徴とする水車発電ユニット。
【請求項15】
請求項3に記載の水車発電ユニットにおいて、
前記案内板(7,58,59)は、端部に止水ゴム(60)を有し、水路側に固定された止水板(56,57)との間で重ね合わせていることを特徴とする水車発電ユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−7376(P2013−7376A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−53864(P2012−53864)
【出願日】平成24年3月9日(2012.3.9)
【出願人】(000168193)株式会社ミゾタ (12)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年3月9日(2012.3.9)
【出願人】(000168193)株式会社ミゾタ (12)
【Fターム(参考)】
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