説明

水道水の増圧装置

【課題】水道水を十分の加圧できて、多用途の水圧駆動機器を駆動できる。
【解決手段】大径のピストン12を有する加圧シリンダ11のピストンロッド20Aと、小径のピストン22を有する増圧シリンダ21のピストンロッド20Bとを連結部材36により連結し、加圧シリンダ11の進展側の水室13,14に水道水を交互に供給するとともに、収縮側の水室14,13から水を大気圧側に排出し、増圧シリンダ21の進展側の水室13,14に水道水を交互に供給してビストン22を駆動するとともに、収縮側の水室24,23で加圧された高圧水をアキュムレータ30に送り込んで蓄圧し、アキュムレータ30の高圧水で駆動シリンダ41を駆動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭用水道管の水圧を増圧して駆動装置の駆動源として利用する水道水の増圧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、家庭用水道管の水圧を利用して駆動する駆動装置が開示されている。この装置は、水道管に介在させた減圧弁の上流側から取り出した水道水を複動式の第1シリンダに供給して往復駆動し、第1シリンダから排出された水道水を減圧弁の下流側に排出し、第1シリンダよりピストンの外径の小さい第2シリンダをピストンロッドを介して連動させ、第2シリンダから給排出される水圧または油圧を駆動源とする第3シリンダを設けたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3601857号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記構成によれば、ピストン径の差により増圧する第2シリンダを具備しているが、水道管路に接続された閉回路により第1シリンダを駆動することから、取り出せる駆動源の圧力が小さいこと、第1シリンダを駆動した水道水を水道管に戻すことから、この水道水が汚染されやすく、水道水の使用用途が限られることなどの問題があった。
【0005】
本発明は上記問題点を解決して、水道水を十分の加圧できて、多用途の水圧駆動機器を駆動できる水道水の増圧装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、複動式の加圧シリンダと、当該加圧シリンダのピストンより小径のピストンを有する複動式の増圧シリンダとをピストンロッドを介して連結し、
水道水圧源から水道水を前記加圧シリンダの進展側の水室に導入するとともに、当該加圧シリンダの収縮側の水室の水を大気側に排出する加圧側切換弁を設け、
水道水圧源から水道水を前記増圧シリンダの進展側の水室に導入するとともに、当該増圧シリンダの収縮側の水室から高圧水を蓄圧器に導入する増圧側切換弁を設け、
前記増圧シリンダの両水室に接続された配管にそれぞれ圧力制御弁を設け、
前記加圧シリンダまたは前記増圧シリンダのピストン位置を検出する位置検出器を設け、
当該位置検出器の検出信号に基づき、加圧側切換弁および増圧側切換弁を操作して前記加圧シリンダおよび前記増圧シリンダを往復駆動するとともに、前記圧力制御弁を操作して増圧シリンダの収縮側の水室から排出される高圧水の圧力を調整可能な増圧制御装置を設けたものである。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の構成において、
加圧シリンダのシリンダチューブの周囲に、当該加圧シリンダを中心として対称位置に互いに平行な複数の増圧シリンダのシリンダチューブを配置し、
前記加圧シリンダのピストンロッドと前記各増圧シリンダのピストンロッドを連結部材により連結したものである。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の構成において、増圧シリンダにピストンロッドを介して連結されて前記増圧シリンダのピストンより小径のピストンを有する補助加圧シリンダを設け、
蓄圧器または前記増圧シリンダの高圧水の一部を、前記補助加圧シリンダの進展側の水室に導入するとともに、収縮側の水室の水をタンクまたは大気側に排出する補助加圧側切換弁を設けたものである。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の構成において、加圧シリンダのシリンダチューブの周囲に、当該加圧シリンダを中心として対称位置に複数の増圧シリンダのシリンダチューブを互いに平行に配置するとともに、当該加圧シリンダを中心として対称位置に複数の補助加圧シリンダのシリンダチューブを互いに平行に配置し、
前記加圧シリンダ、前記増圧シリンダおよび前記補助加圧シリンダのそれぞれのピストンロッドを共通の連結部材により連結したものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、加圧シリンダのピストンと増圧シリンダのピストンの受圧面積比で増圧シリンダの収縮側の水室を加圧して高圧水とし、増圧シリンダの進展側の水室に導入した水道水圧を利用して、収縮側の水室で加圧された高圧水を蓄圧器に供給することで、水道水を効果的に増圧して蓄圧することができる。そして増圧された水道水を蓄圧器に蓄えることにより、複数のシリンダやストロークの長いシリンダを効果的に駆動することができる。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、加圧シリンダを中心として対称位置に増圧シリンダを配置し、ピストンロッドを連結部材で互いに連結することにより、全体をコンパクトに構成してストロークの長いシリンダを使用することができる。また加圧シリンダの駆動力を、連結部材により均等に分離して増圧シリンダに伝達することができ、安定して作動させることができる。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、加圧シリンダにより増圧シリンダを駆動してそれぞれのピストンの受圧面積比により、増圧シリンダの収縮側の水室で高圧水を形成して蓄圧器に溜め、蓄圧器または増圧シリンダの高圧水の一部を補助加圧シリンダの進展側の水室に導入して駆動することにより、増圧シリンダに伝達される駆動力を増加させて、増圧シリンダの収縮側の水室をさらに増圧することができるとともに、増圧シリンダから蓄圧器により高圧の高圧水をスムーズに供給することができ、また増圧装置の各シリンダをスムーズに駆動することができる。
【0013】
請求項4記載の発明によれば、加圧シリンダを中心として増圧シリンダと補助加圧シリンダとをそれぞれ対称位置に配置することにより、コンパクトに構成することができるとともに、加圧シリンダおよび補助加圧シリンダの駆動力を連結部材により均等に分離して増圧シリンダに良好に伝達することができ、安定して作動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る水道水の増圧装置の実施例1を示す構成図である。
【図2】(a)および(b)は増圧装置の動作説明図で、(a)は進展時、(b)は収縮時を示す。
【図3】(a)および(b)は実施例1の具体例を示し、(a)は正面図、(b)は図3(a)に示すA−A断面図である。
【図4】本発明に係る水道水の増圧装置の実施例2を示す構成図である。
【図5】(a)および(b)は増圧装置の動作説明図で、(a)は進展時、(b)は収縮時を示す。
【図6】(a)および(b)は実施例2の具体例を示し、(a)は正面図、(b)は図6(a)に示すB−B断面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0015】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
[実施例1]
水道水の増圧装置の実施例1を図1〜図3を参照して説明する。
【0016】
図1は増圧装置の基本構造と水道水用駆動装置を示す配管図である。図1において、11は水道水圧源(家庭用水道管)により往復駆動される複動式の加圧シリンダで、大径のピストン12を有し、後水室(水室)13と前水室(水室)14に加圧給排水管15A,15Bがそれぞれ接続されている。これら加圧給排水管15A,15Bと、水道水圧源に接続された給水管17およびタンク19(または下水管)に接続されて大気側に開放された排水管18との間に、給水と排水とを交互に切り換える加圧側切換弁(電磁式4ポート3位置切換弁)16が介在されている。
【0017】
21は加圧シリンダ11のピストン12より小径のピストン22を有し、加圧シリンダ11と同一ストロークに形成された複動式の増圧シリンダで、加圧シリンダ11に並設され、増圧シリンダ21のピストンロッド20Bと加圧シリンダ11のピストンロッド20Aとが連結部材36を介して連結されている。そして増圧シリンダ21の後水室(水室)23と前水室(水室)24とに増圧給排水管25A,25Bがそれぞれ接続されており、これら増圧給排水管25A,25Bと、水道水圧源に接続された給水管27、およびチェック弁29を介してアキュムレータ(蓄圧器)30の入口に接続された高圧水吐出管28との間に、給水と排水とを交互に切り換える増圧側切換弁(電磁式4ポート3位置切換弁)26が介在されている。
【0018】
また加圧シリンダ11(または増圧シリンダ21)のシリンダチューブには、ピストン12の移動限位置を検出する非接触式の位置検出器(磁気センサ)32が設けられており、この検出信号が増圧制御装置31に出力されている。増圧制御装置31は、操作器38により操作されるとともに、位置検出器32の検出信号に基づいて加圧側切換弁16および増圧側切換弁26を同期して操作する。また増圧給排水管25A,25Bには、増圧制御装置31により、水室23,24から排出される高圧水の水圧を調整可能な外部パイロット式の圧力制御弁33A,33Bがそれぞれ介在されており、増圧給排水管25A,25Bで圧力制御弁33A,33Bの出口と入口間に、増圧シリンダ21への流入のみを許容するチェック弁35A,35Bが介在されたバイパス管34A,34Bが接続されている。
【0019】
したがって、増圧制御装置31では、位置検出器32により検出されたピストン12の移動限位置の検出信号に基づいて、加圧側切換弁16と増圧側切換弁26をI−III位置の間で操作することにより、加圧シリンダ11および増圧シリンダ21を往復駆動し、増圧シリンダ21の収縮側の水室23または24から排出される高圧水をアキュムレータ30に供給し蓄圧することができる。
【0020】
41は水道水圧用駆動装置40に設けられた4本の駆動シリンダで、各駆動シリンダ41の後水室および前水室に駆動給排水管42A,42Bがそれぞれ接続され、これら駆動給排水管42A,42Bと、アキュムレータ30の出口に接続された駆動給水管43およびタンク19(または下水管)に接続された駆動排水管44との間に、駆動切換弁(電磁式4ポート3位置切換弁)45が介在されている。これら駆動シリンダ41は、たとえば舞台装置において昇降床を上げ下げする昇降装置として使用される。
【0021】
図2(a)に示すように、水道水圧Pi、ピストン12の受圧面積をA1とすると、加圧シリンダ11の後水室13に水道水圧Piを供給した時にピストン20Aに発生する駆動力F1aは、
F1a=Pi×A1…(1)式である。
増圧シリンダ21のピストン12の受圧面積をA2とすると、増圧シリンダ21の後水室23に水道水圧Piを供給した時にピストン20Bに発生する駆動力F2aは、
F2a=Pi×A2…(2)式である。
したがって、増圧シリンダ21のピストン22に加わる駆動力Paは、
Fa=P1a+P2a=Pi×(A1+A2)…(3)式となり、
増圧シリンダ21の前水室24で加圧される高圧水の圧力Paは、
Pa=Fa/A2=[Pi×(A1+A2)]/A2…(4)式となる。
これにより、増圧シリンダ21の前水室24を加圧することができる。
【0022】
図2(b)に示すように、加圧シリンダ11のピストンロッド20Aの断面積をs1とすると、加圧シリンダ11の前水室14に水道水圧Piを供給した時にピストン20Aに発生する駆動力F1bは、
F1b=Pi×(A1−s1)…(5)式であり、
また増圧シリンダ21のピストンロッド20Bの断面積をs2とすると、増圧シリンダ21の前水室24に水道水圧Piを供給した時にピストン20Bに発生する駆動力F2bは、
F2b=Pi×(A2−s2)…(6)式である。
したがって、増圧シリンダ21のピストン22に加わる駆動力Fbは、
Fb=P1b+P2b
=Pi×(A1−s1)+Pi×(A2−s2)…(7)式となり、
増圧シリンダ21の前水室24で加圧される高圧水の圧力Pbは、
Pb=Fb/(A2−s2)
=Pi×(A1−s1)+Pi×(A2−s2)/(A2−s2)
=Pi×(A1−s1)/(A2−s2)+Pi…(8)式となる。これにより、増圧シリンダ21の前水室24を加圧することができる。
【0023】
(具体例)
図3は、実施例1の具体例であり、1本の加圧シリンダ11と2本の増圧シリンダ21とを具備し、その配管装置を省略している。
【0024】
基台46にアキュムレータ30が設置され、その上部のシリンダ保持フレーム47で中央部に、加圧シリンダ11のシリンダチューブが固定され、加圧シリンダ11のシリンダチューブの左右両側で対称位置(または上部および下部の対象位置でもよい)に増圧シリンダ21のシリンダチューブが互いに平行に並設固定されている。またその上部に増圧制御装置32が設けられている。
【0025】
加圧シリンダ11のピストンロッド20Aと増圧シリンダ21のピストンロッド20Bとが連結部材36を介して互いに連結されており、連結部材36の中央部に加圧シリンダ11のピストンロッド20Aが連結固定され、連結部材36の両端部で長さ方向に形成された長穴に、増圧シリンダ21のピストンロッド20Bがピン37を介して連結されて、長いストロークの加圧シリンダ11と増圧シリンダ21の設置誤差を吸収している。
【0026】
ここで、増圧シリンダ21が2本使用されることで、増圧シリンダ21のピストンの受圧面積は2倍となり、(5)式〜(8)式における増圧シリンダ21の後水室23の受圧面積は2×A2、前水室24の受圧面積は2×(A2−a2)となる。
【0027】
上記実施例1によれば、加圧シリンダ11と増圧シリンダ21のピストン12,22の受圧面積の差により、増圧シリンダ21の収縮側の水室23または24を加圧して高圧水を形成し、増圧シリンダ21の進展側の水室に導入した水道水圧を利用して増圧シリンダ21の収縮側の水室23または24から高圧水をアキュムレータ30に排出することで、水道水を増圧して効果的に蓄圧することができる。また高圧水をアキュムレータ30に蓄えることにより、複数のシリンダやストロークの長いシリンダを駆動することができる。
【0028】
また加圧シリンダ11を中心として両側の対称位置に増圧シリンダ21を並設し、ピストンロッド20A,20Bを連結部材36で連結したので、増圧装置の設置面積を減少させることができる。また加圧シリンダ11のピストンロッド20Aの駆動力を、連結部材36により均等に分離して増圧シリンダ21のピストンロッド20Bに伝達することができ、連結部材36などに余分な負荷をかけることがなく、安定して作動させることができる。
【0029】
なお、上記実施例1では、加圧シリンダ11と増圧シリンダ21とを並列に配置してピストンロッド20A,20Bを連結部材36により連結したが、直列に配置してピストンロッドを互いに連結することもできる。
【0030】
[実施例2]
水道水の増圧装置に係る実施例2を図4〜図6を参照して説明する。なお、実施例1と同一部材には、同一符号を付して説明を省略する。
【0031】
この実施例2は、図4に示すように、アキュムレータ30に蓄圧された高圧水により駆動される補助加圧シリンダ51を並設したものである。
この補助加圧シリンダ51は、増圧シリンダ21のピストン22より小径のピストン52を有し、増圧シリンダ21と同一のストロークに形成されるとともに、シリンダチューブが互いに平行に配置されている。そして各シリンダ11,21,51のピストンロッド20A〜20Cが共通の連結部材60により連結されている。
【0032】
この補助加圧シリンダ51の後水室53と前水室54とに補助加圧給排水管55A,55Bがそれぞれ接続され、これら補助加圧給排水管55A,55Bと、アキュムレータ30に接続された高圧水供給管57およびタンク59に接続された排水管58との間に、給水と排水とを交互に切り換える電磁式の補助加圧側切換弁(4ポート3位置切換弁)56が介在され、増圧制御装置31により補助加圧側切換弁56が同期して操作される。なお、この補助加圧側切換弁56では、中立位置(II位置)で補助加圧シリンダ51をフリー状態とするために、排水管58を大気圧のタンク59に接続して吐出口から吸水可能とし、ピストンロッド20Cの容積変化による移動水量の増減に対応しているが、たとえば補助加圧シリンダ51をダブルロッド型として後水室53と前水室54の受圧面積を均等にすることで、排水管58の吐出口を開放して下水管などに接続し、大気側に開放することもできる。
【0033】
なお、図4に仮想線で示すように、高圧水供給管57を、チェック弁29とアキュムレータ30の間の高圧水吐出管28に接続して、高圧水を増圧シリンダ21から取り出すこともできる。
【0034】
図5(a)に示すように、加圧シリンダ11の進展時において、補助加圧シリンダ51のピストン52の受圧面積をA3とすると、補助加圧シリンダ51の後水室54にアキュムレータ30から圧力APの高圧水を供給した時に発生する駆動力F3aは、
F3a=AP×A3…(9)式であり、
増圧シリンダ21のピストン22に加わる駆動力Fcは、
Fc=P1a+P2a+P3a、(3)式から
=Pi×(A1+A2)+(AP×A3)…(10)式となる。
したがって、増圧シリンダ21の前水室24で加圧される水の圧力Pcは、
Pc=Fc/A2=[Pi×(A1+A2)+(AP×A3)]/A2…(11)式となり、増圧シリンダ21の前水室24において水を良好に加圧することができる。
【0035】
図5(b)に示すように、加圧シリンダ11の収縮時において、補助加圧シリンダ51のピストンロッド20Cの断面積をa3とすると、アキュムレータ30から圧力AP高圧水を補助加圧シリンダ51の前水室54に供給した時に発生する駆動力F3bは、
F3b=AP×(A3−a3)…(12)式であり、
増圧シリンダ21のピストン22に加わる駆動力Fdは、
Fd=P1b+P2b+P3b、(7)式から
=Pi×[(A1+A2)−(s1+s2)]+AP×(A3−a3)
…(13)式となり、
増圧シリンダ21の前水室24で加圧される高圧水の圧力Pdは、
Pd=Fd/(A2−s2)={[(A1+A2)−(s1+s2)]+AP×(A3−a3)}/(A2−s2)…(14)式となる。
【0036】
(具体例)
図6は、実施例2の具体例であり、2本の補助加圧シリンダ51を具備し、その配管装置は省略している。
【0037】
基台46の上部のシリンダ保持フレーム47には、加圧シリンダ11のシリンダチューブの上下両側で対称位置に、補助加圧シリンダ51のシリンダチューブが互いに平行に並設固定されている。
【0038】
そして、これら5本のシリンダ11,21,51を連動する連結部材60は、左右方向アーム60aと上下方向アーム60bとで正面視が十字形に形成され、左右方向アーム60aと上下方向アーム60bの交差部に加圧シリンダ11のピストンロッド20Aが連結され、左右方向アーム60aの両端部で長さ方向に形成された長穴にピン61を介して増圧シリンダ21のピストンロッド20Bが連結され、上下方向アーム60bの両端部で長さ方向に形成された長穴にピン62を介して補助加圧シリンダ51のピストンロッド20Cが連結され、これにより長いストロークの加圧シリンダ11と増圧シリンダ21と補助加圧シリンダ51の設置誤差を許容している。
【0039】
ここで、増圧シリンダ21および補助加圧シリンダ51がそれぞれ2本ずつ使用されることで、ピストン22,52の受圧面積は2倍となり、(9)式〜(14)式における増圧シリンダ21の後水室23の受圧面積は2×A2、前水室24の受圧面積は2×(A2−a2)となり、また補助加圧シリンダ51の後水室53側の受圧面積は2×A3、前水室24の受圧面積は2×(A3−a3)となる。
【0040】
上記実施例2によれば、実施例1において、アキュムレータ30に蓄圧した高圧水または増圧シリンダから排出された高圧水の一部を、補助加圧シリンダ51の進展側の水室53または54に供給し、収縮側の水室54または53を大気側に排出することにより、補助加圧シリンダ51の駆動圧を連結部材60を介して増圧シリンダ21に伝達し、増圧シリンダ21の収縮側の水室23または24をさらに増圧することができ、また加圧シリンダ11および増圧シリンダ21の動きをスムーズに行うことができる。
【0041】
なお、実施例1,2において、増圧シリンダ21および補助加圧シリンダ51を4本以上とすることもできる。
また上記実施例2では、加圧シリンダ11、増圧シリンダ21および補助加圧シリンダとを並列に配置してピストンロッド20A〜20Cを共通の連結部材60により連結したが、加圧シリンダ11、増圧シリンダ21および補助加圧シリンダの少なくとも2種類を直列に配置して接続したり、すべて直列に配置し増圧シリンダ21をダブルロッド型として各ピストンロッドを直列に接続することもできる。
【符号の説明】
【0042】
11 加圧シリンダ
12 ピストン
13 後水室
14 前水室
16 加圧側切換弁
19 タンク
20A〜20C ピストンロッド
21 増圧シリンダ
22 ピストン
23 後水室
24 前水室
26 増圧側切換弁
30 アキュムレータ(蓄圧器)
31 増圧制御装置
32 位置検出器
33A,33B 圧力制御弁
34A,34B バイパス管
35A,35B チェック弁
36 連結部材
37 ピン
40 水道水圧用駆動装置
41 駆動シリンダ
45 駆動切換弁
51 補助加圧シリンダ
52 ピストン
53 後水室
54 前水室
56 補助加圧切換弁
60 連結部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複動式の加圧シリンダと、当該加圧シリンダのピストンより小径のピストンを有する複動式の増圧シリンダとをピストンロッドを介して連結し、
水道水圧源から水道水を前記加圧シリンダの進展側の水室に導入するとともに、当該加圧シリンダの収縮側の水室の水を大気側に排出する加圧側切換弁を設け、
水道水圧源から水道水を前記増圧シリンダの進展側の水室に導入するとともに、当該増圧シリンダの収縮側の水室から高圧水を蓄圧器に導入する増圧側切換弁を設け、
前記増圧シリンダの両水室に接続された配管にそれぞれ圧力制御弁を設け、
前記加圧シリンダまたは前記増圧シリンダのピストン位置を検出する位置検出器を設け、
当該位置検出器の検出信号に基づき、加圧側切換弁および増圧側切換弁を操作して前記加圧シリンダおよび前記増圧シリンダを往復駆動するとともに、前記圧力制御弁を操作して増圧シリンダの収縮側の水室から排出される高圧水の圧力を調整可能な増圧制御装置を設けた
ことを特徴とする水道水の増圧装置。
【請求項2】
加圧シリンダのシリンダチューブの周囲に、当該加圧シリンダを中心として対称位置に互いに平行な複数の増圧シリンダのシリンダチューブを配置し、
前記加圧シリンダのピストンロッドと前記各増圧シリンダのピストンロッドを連結部材により連結した
ことを特徴とする請求項1記載の水道水の増圧装置。
【請求項3】
増圧シリンダにピストンロッドを介して連結されて前記増圧シリンダのピストンより小径のピストンを有する補助加圧シリンダを設け、
蓄圧器または前記増圧シリンダの高圧水の一部を、前記補助加圧シリンダの進展側の水室に導入するとともに、収縮側の水室の水をタンクまたは大気側に排出する補助加圧側切換弁を設けた
ことを特徴とする請求項1記載の水道水の増圧装置。
【請求項4】
加圧シリンダのシリンダチューブの周囲に、当該加圧シリンダを中心として対称位置に複数の増圧シリンダのシリンダチューブを互いに平行に配置するとともに、当該加圧シリンダを中心として対称位置に複数の補助加圧シリンダのシリンダチューブを互いに平行に配置し、
前記加圧シリンダ、前記増圧シリンダおよび前記補助加圧シリンダのそれぞれのピストンロッドを共通の連結部材により連結した
ことを特徴とする請求項3記載の水道水の増圧装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−195520(P2010−195520A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−41594(P2009−41594)
【出願日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【出願人】(501481621)株式会社ノムラフォーシーズ (15)
【出願人】(597052330)株式会社 東京建設コンサルタント (8)
【Fターム(参考)】