説明

水道用メータホルダーにおける逆止弁の装嵌構造

【課題】メータ器端部のフランジ体と逆止弁外殻体とをボルト締めによって接合して逆止弁を配管の軸方向に着脱するためには、配管の軸上に逆止弁を押さえる部品を工具で取り外さなければならないが、フランジ穴に通る突起が工具の回動範囲に干渉して工具が使えないため、逆止弁を設定できない問題がある。
【解決手段】2次側ホルダーの端面に形成されたスペースに逆止弁カートリッジを収嵌し、該収嵌スペースの外殻周に複数のボルトアダプタを着脱可能に植設すると共に、その先端を、被支持メータの2次側端部フランジ体に前記ボルトアダプタの植設位置に対応して設定された嵌合孔に嵌入して前記フランジ体と2次側ホルダーの端面とを接合してメータホルダーに逆止弁を装嵌するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、呼び径が50以上の水道メータの両端を着脱可能に支持して配管部に連結する水道用メータホルダーにおいて逆止弁を設定する場合における逆止弁の装嵌構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、呼び径が50以上になると水道用メータホルダーからメータ器を取り外す際に多くの戻り水が出てくるのを避けるため、メータ器の2次側に逆止弁又は仕切弁を取り付けてきているが、配管の上部から着脱する形式の逆止弁では、メータボックス内に逆止弁と仕切弁の両方を嵌入するスペースがないので、逆止弁を配管の軸方向に取り外す構造を採ってきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
配管の軸方向に着脱する形式の具体的な構造として例えば特許文献1に記載のように、メータ器端部と配管流路の端部にフランジ体を設け、フランジ穴にボルトを通してのフランジ体のボルト締めによってメータ器端部と配管流路の接合が行われているが、2次側の逆止弁は設定されていない。
【特許文献1】特開2005−60963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
即ち、メータホルダーの逆止弁を配管の軸方向に着脱するために、メータ器端部のフランジ体と逆止弁外殻体とをボルト締めによって接合すると、逆止弁着合時には問題はないが、図5に示すように2次側嵌着面2bとメータ器端部のフランジ体5とが密着して、配管の軸上に取り外す逆止弁を押さえる部品をパイプレンチ等の工具で螺子を緩めて外す場合に、図4に示すように両フランジ穴に通るボルトDの頭等の突起が工具の回動範囲に干渉して工具を使うことができなくなり、逆止弁の着脱、交換ができない問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記した課題に対応しようとするものであり、2次側ホルダーの端面に形成されたスペースに逆止弁カートリッジを収嵌し、該収嵌スペースの外殻周に複数のボルトアダプタを着脱可能に植設すると共に、その先端を、被支持メータの2次側端部フランジ体に前記ボルトアダプタの植設位置に対応して設定された嵌合孔に嵌入して前記フランジ体と2次側ホルダーの端面とを接合してメータホルダーに逆止弁を装嵌するようにした。
【0006】
このように構成することにより、ボルトアダプタの基部と収嵌スペースの外殻周に設定した植設螺子との螺合を外すだけで、被支持メータの2次側端部フランジ体のフランジ穴に嵌入しているボルトアダプタの先端を抜き出すことができ、逆止弁収嵌スペースを覆蓋して逆止弁カートリッジを固定する逆止弁押さえを取り外すことができる。
【発明の効果】
【0007】
上記のように、メータ器のフランジ体に逆止弁外殻体の外周を直接ボルト締めすることなく、ボルトアダプタの先端をフランジ穴にフリー状態で嵌入し、メータホルダーの逆止弁を配管の軸方向に着脱するようにしたので、逆止弁の着脱交換を迅速に行うことがでると共に、呼び径が50以上の水道メータホルダーにおける逆止弁、仕切弁の設定にも対応できる効果がある。
また、本発明のボルトアダプタは逆止弁装嵌スペースの造成以外にも、面間距離が短いために装嵌が困難な場合に、機器の装嵌スペースの造成に応用可能なものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施例を示すもので、仕切弁を設定した2次側ホルダー端面のカートリッジ収嵌スペースと逆止弁カートリッジ、逆止弁押さえ、ボルトアダプタの関係を示す2次側メータホルダー構造部の分解縦断面側面正面図
【図2】同じく、2次側メータホルダー部に逆止弁カートリッジを収嵌し、ボルトアダプタを着合した状態を示す2次側メータホルダー構造部の縦断面側面正面図
【図3】同じく、メータボックス内にメータホルダーを格納してメータ器を着装した状態におけるホルダー部の状况を示す、要部を縦断面としたメータボックスとメータ器及びメータホルダーの全体側面図
【図4】同じく、従来例におけるメータ器フランジ体のボルト締め接合部において、ボルトの頭等の突起が工具の回動範囲に干渉する状况を示す、フランジ体の軸方向からの正面図
【図5】同じく、従来例におけるメータ器フランジ体とメータホルダー端部仕切弁との締着状况を示す2次側メータホルダー構造部の縦断面側面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明すると、1はメータホルダーの本体で、両側に対峙する1次側ホルダー1aと2次側ホルダー1bの一対から成り、それぞれ、内側端面にはメータ器Aの端部に着合する嵌着部2a、2bが設けられると共に、1次側の嵌着部2aにはメータ器Aの端部着合端に対して前進後退の作動をする締着筒Bが嵌装され、締着筒Bの前進により1次側ホルダー1aが締付けホルダー、2次側ホルダー1bが受けホルダー、として水道メータ器Aの両端に圧着してメータ器Aをメータホルダー1の中軸レベルに支持するようになっている。
【0010】
2次側ホルダー1bの嵌着部2bの端面には、逆止弁カートリッジ3を収嵌する収嵌スペース31が形成され、その外殻部32の基部にホルダーベース11に着合するフランジ部33が形成され、更に、仕切弁Cの外殻34と2次側配管Dとの接合構造部12が構成される。
【0011】
ホルダーベース11とホルダーフランジ部33との着合は、フランジ部33のフランジ穴35とホルダーベース11に穿設された通孔を挿通する雄螺子杆36とナット37の締め付けによって行われ、ナット37から突出する雄螺子杆36の先端部にボルトアダプタ4の基部に穿設された雌螺子孔41が螺合されてボルトアダプタ4が植設される。
【0012】
メータ器Aの2次側端部には、フランジ体5が設定されており、ホルダーフランジ部33に設けられたフランジ穴35と対応する位置にフランジ穴51が開口している。収嵌スペース31に逆止弁カートリッジ3を嵌入した後、逆止弁押さえ6の内周部雌螺子と収嵌スペース31の外殻部32外周の雄螺子を螺合して覆蓋し、ホルダーベース11の通孔とフランジ穴35とを合わせて雄螺子杆36を挿通してナット37により締め付け固定する。
【0013】
ナット37から突出した雄螺子杆36の先端にボルトアダプタ4の基部を螺合して収嵌スペース31外殻の外周にボルトアダプタ4を植設し、その先端をそれぞれ対応するホルダーベースのフランジ穴51に挿嵌すると共に、1次側ホルダー1aの締着筒Bを前進させてメータ器Aの1次側端を押して2次側端を2次側ホルダー1bの嵌着部2bの端面に圧接させる。
【0014】
ボルトアダプタ4の先端は、それぞれ対応するホルダーベースのフランジ穴51にフリー状態で挿嵌されているので、メータ器Aのフランジ体5が嵌着部2bの端面となっている逆止弁押さえ6を押圧して、逆止弁カートリッジ3を収嵌する収嵌スペース31内に安定的に固定するものである。
【0015】
逆止弁押さえ6にはメータ器Aの2次側通水路と接合する通孔61が開口し、その2次側端部には逆止弁カートリッジ3の弁座部38と弁体39の部分が嵌入する嵌合部62となっている。従って、1次側からの通水はメータ器Aを通過して通孔61から閉鎖方向に付勢された弁体39を押して、仕切弁Cの水路を通り、2次側配管13に通水する。
【0016】
逆止弁カートリッジ3を取り外す場合には、1次側仕切弁Dにより水流を止め、2次側仕切弁Cにより戻り水の水路を閉止してから、1次側ホルダー1aの締着筒Bを操作ハンドル42により後退させてメータ器Aを取り外し、更に、回動に制約のないボルトアダプタ4と雄螺子杆36の螺合を解けば、ボルトアダプタ4を容易に除去することができる。
【0017】
ボルトアダプタ4を除去すれば、逆止弁押さえ6は、収嵌スペース31の外殻部32外周の雄螺子を螺合してあるだけなので容易に解離することができ、収嵌スペース内の逆止弁カートリッジ或いは逆止弁機構を簡単に取り出すことができ、修理、交換を行える。
【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明に係る水道用メータホルダーにおける逆止弁の装嵌構造は、メータボックス内に逆止弁と仕切弁の両方を嵌入するスペースがない場合、特に、呼び径が50以上の水道メータのホルダーに逆止弁を設定しようとする場合に、逆止弁を配管の軸方向に取り外す構造を採ることを可能にしたので、水道施設産業上に高度の利用価値を有するものである。
【符号の説明】
【0019】
1 メータホルダー本体
1a 1次側ホルダー
1b 2次側ホルダー
11 ホルダーベース
12 2次側配管との接合構造部
13 2次側の連結配管
2a 1次側メータ端部嵌着部
2b 2次側メータ端部嵌着部
3 逆止弁カートリッジ
31 収嵌スペース
32 収嵌スペースの外殻部
33 ホルダーフランジ部
34 仕切弁の外殻
35 ホルダーフランジ部のフランジ穴
36 雄螺子杆
37 雄螺子杆ナット
38 カートリッジの弁座部
39 逆止弁体
4 ボルトアダプタ
41 ボルトアダプタ基部の雌螺子孔
42 締着筒進退操作ハンドル
5 メータ器のフランジ体
51 メータ器フランジ体のフランジ穴
6 逆止弁押さえ
61 逆止弁押さえの通孔
62 逆止弁押さえの逆止弁嵌合部
63 収嵌スペースの外殻外周に螺合する逆止弁押さえの雌螺子
A 水道用メータ器
B 1次側締め付けホルダーの締着筒
C 仕切弁
D メータ器締着ボルト
P メータボックス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2次側ホルダーの端面に形成されたスペースに逆止弁カートリッジを収嵌し、該収嵌スペースの外殻周に複数のボルトアダプタを着脱可能に植設すると共に、その先端を、被支持メータの2次側端部フランジ体に前記ボルトアダプタの植設位置に対応して設定された嵌合孔に嵌入して前記フランジ体と2次側ホルダーの端面とを接合してメータホルダーに逆止弁を装嵌することを特徴とする逆止弁の装嵌構造

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−46935(P2012−46935A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−189058(P2010−189058)
【出願日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(000201593)前澤給装工業株式会社 (78)
【Fターム(参考)】