説明

永久変形可能な材料片を使用した口腔ケア物質用繰出システム

【課題】歯白色化物質などの活性剤提供物質の量を最小限に抑えることができると共に、活性剤を迅速に繰り出すために適当な口腔表面とぴったり接触した低コストの市販の繰出システムを提供することである。
【解決手段】歯白色化物質などの口腔ケア物質用の繰出システム24は、繰出システムを押し付けた時、約250,000パスカル未満の圧力下での永久変形によって歯22およびそれの隣接軟組織の形状にほぼ整合するような降伏点および厚さを有する材料片を含む。材料片に塗布される口腔ケア物質も含み、繰出システムを歯の表面および隣接軟組織に当てた時、その物質が表面と接触してその表面に活性剤を与える。物質は、材料片と表面との間を接着させて、活性剤が表面に作用することができる十分な時間にわたって繰出システムを所定位置に保持する。物質は、材料片を変形させるために加えられる垂直力に耐えることができる押し出し抵抗力を有して、材料片の手動変形中に材料片と表面との間から物質が大幅に押し出されることはない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯白色化物質などの口腔ケア物質を、口腔組織、歯の表面、多数の隣り合った歯またはそれらの組み合わせに繰り出すシステムに関し、特にその物質によって与えられる活性剤が治療的効果を与えることができる十分な時間にわたって、その物質が口の中で浸食されないように保護するそのような繰出システムに関する。さらに詳細には、本発明は、歯科診療所外で使用され、低価格で、そして目立たないため、通常の社会生活を営むための会話の邪魔になることなく使用可能である使い捨ての繰出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
歯科衛生の最も一般的な用具は、歯ブラシである。歯ブラシの剛毛の機械的作用は、食べ物粒や歯垢などの除去を助ける。歯ブラシは、通常、練り歯磨きと共に使用される。1955年頃より前は、一般的な練り歯磨きは、界面活性剤と研磨剤とで構成されていた。これらの製品は、単に歯磨きの機械的作用を増大させるためのものであった。
【0003】
1955年に、オハイオ州、シンシナチのザ、プロクター、エンド、ギャンブル、カンパニーの商標であるフッ化物入り練り歯磨きの「クレスト(CREST(商品名))」が紹介され、歯ブラシとフッ化物入り練り歯磨きとの組み合わせが、歯の表面にフッ化物処理を施すのに適した手段であることがわかった。その後、さらなる歯科衛生の効果を得るために、歯石抑制剤などの他の活性成分が練り歯磨きに添加されてきた。消費者も、デンタルケアの美容面、たとえば歯列矯正や白色化に関心を向けるようになった。
【0004】
口腔ケアに治療的効果を与える薬品の繰り出しの成功を考えれば、毎日の歯磨きで美容的効果を得ることに同様な成功を期待するのも理にかなっている。たとえば、歯を白くすると主張する製品が紹介された。しかし、その主張にもかかわらず、口内で使用される薬品の許容強度が低いことと、白色化が効果的に起きるために必要な接触時間が相当に長いこととが合わさって、通常の歯磨きで十分な白色化を得ることができない。その結果、歯を白くしたいと真剣に考えているが、白色化練り歯磨きの結果に失望した人は、歯を白くするために、専門家の助けを求めることが多い。
【0005】
歯医者が提供する専門的な歯白色化プログラムは、一般的に、診療所での漂白処置と、診療所外での漂白処置との2種類に分類される。診療所での処置には、数回の通院が必要であり、通院毎に、最初に口の中にぴったり合わせたゴム製のダムを作製して、漂白剤が、一般的には過酸化水素が、口腔の軟組織に触れないようにする。患者の口の中にゴム製ダムを作製することは、痛みを伴うと共に時間がかかるであろう。しかし、過酸化物漂白剤の強度から、ダムを使用せざるをえない。診療所での処置は、また、歯を熱いものや冷たいものに対して過敏にするであろうし、費用が非常に高い。
【0006】
診療所外での漂白プログラムは、患者がより低い強度の薬品を長時間、一般的に1日数時間ずつ数週間にわたって使用して、自分の歯に漂白剤を塗布する点で異なっている。診療所外プログラムは、一般的に、個々の患者専用の器具を、歯科診療所で最初に準備する必要がある。その器具は、患者の歯に正確に適合するように作製されて、尿素/過酸化水素錯体を含有するゲルなどの漂白剤を患者の歯に繰り出すために使用される装置である。患者は、自分の責任で、繰出しおよび収容用手段として器具を使用して、漂白剤を計量して歯の表面に塗布しなければならない。
【0007】
器具は再使用されるため、ハンドリング、洗浄、フィリング(filing)、取り付けおよび装着の繰り返しに耐える十分な強度を有していなければならない。そのような器具は、反復使用する間も適合状態を維持するために比較的剛直である。その結果、器具の縁部がやや硬く、歯肉の炎症を起こすことが多く、また相当に厚いために、一般的に使用者および他人の両方に見え易い。一般的に、患者は、社会生活を営む上での接触を避けることができる時間に、この装置を使用する。
【0008】
現在では、薬局で入手できる市販品を使用した、歯を白くすることに興味がある人が利用可能な非専門的プログラムがある。市販品は、一般用器具および漂白剤ゲル容器を含むキットを提供している。明白な魅力は、そのプログラムの低コストにある。この「万人用(one size fit all)」器具の主な欠点は、器具の内壁と歯との間にできる隙間が、専門家が合わせた器具より大きいことである。したがって、漂白剤ゲルと歯の表面とを確実に密接させるため、より多くの漂白剤ゲルが必要である。さらに、適合性が劣るということは、より多くの漂白剤ゲルが歯肉上へこぼれて口腔内に入り、最終的に摂取されることを意味している。診療所外の専門家の管理によるプログラムと同様に、市販キットは、ユーザが器具を洗浄して再使用する必要がある。一般用器具は、個々のユーザに合わされていないため、それらは適合した器具より口の中でさらに嵩張り、したがって、社会生活を営む会話を制限する度合いが大きくなる。
【0009】
市販キットの問題の一部を解決する1つの方法は、1996年11月19日にフォンテノット(Fontenot)に許可された特許文献1に開示されている。この特許文献1であるフォンテノット特許は、広範囲の様々な寸法の歯列弓に適合することができ、事前に測定された量の医薬または漂白剤を含有する包装済みの成形可能な歯科器具を開示している。使用するには、歯科器具を包装から取り出して、歯の縁部に平行になるように位置を調整し、それが歯の表面を覆うまで、歯の上で歯周組織の方向へ押し付ける。フォンテノット特許に開示されている装置の主な利点は、器具の計量および充填(filling)がなくなり、各使用後に廃棄できることである。しかし、この装置には、嵩張ることと適合が不十分であるという問題が頻繁に生じることが認められる。
【0010】
1994年5月10日にカーチス(Curtis)他に許可された特許文献2に第2の解決方法が開示されている。この特許文献2であるカーチス他特許は、歯に押し付けることによって形成されたパテ様材料を開示している。それは、アンダーカット表面との機械的係合と摩擦とによって所定位置に保持される。調合物は、活性剤を包含している。活性剤は、調合物から歯肉および歯表面へ移るのであって、それらに直接的に接触しない。恐らく、必要装着時間が増加すると思われ、これは大きな欠点であろう。
また、表面に貼付される貼付層中に歯の美白成分を配合してなることを特徴とする口腔貼付材も知られている(例えば、特許文献3参照)。さらに、薬剤に直接接触する吸水性弾性片が表層を形成し、かつこの吸水性弾性片の裏側に金属箔が中間層を形成すると共に、この金属箔の裏側に電気絶縁性材料が裏層を形成した平面馬蹄形状でかつ平板状の積層材料からなることを特徴とする歯科用薬剤塗布トレイが知られている(例えば、特許文献4参照)。またさらに、歯牙に沿う形状に変形させて使用するパテ状材料も知られている(例えば、特許文献5参照)。さらに、使用者の歯に歯科用組成物を適用するための歯科用キットも知られている(例えば、特許文献6参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第5,575,654号明細書
【特許文献2】米国特許第5,310,563号明細書
【特許文献3】特開平10−17448号公報
【特許文献4】特開昭57−103640号公報
【特許文献5】米国特許第5,326,685号明細書
【特許文献6】特開平9−224963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
必要とされているものは、個々に合わせて、歯白色化物質などの活性剤提供物質の量を最小限に抑えることができると共に、活性剤を迅速に繰り出すために適当な口腔表面とぴったり接触した低コストの市販繰出システムである。また、必要とされているものは、使用者の会話や外観の邪魔になることなく、使用者が社会生活を営む上での会話中にシステムを使用できるようにする、嵩張らない活性剤収容手段である。また、物質を口の内表面との接触による浸食から保護する収容手段も必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明を実施するには、最初は平坦な材料片を使用者が1本の歯の一部分、1本の歯の全体、または隣接歯列に当てる。材料の歯に面する側に物質を塗布するか、歯に物質を塗布してから、材料片を物質に当てる。いずれの場合も、歯白色化物質などの物質は、好ましくは、ゲルなどの高粘度状態にあって、それが活性剤を与えるだけでなく、歯表面と材料片との間に粘着性を与えて、材料片を所定位置に保持できるようにする。なじみ易い材料片は、好ましくは、歯に押し付けた時に歯の上列全体または下列全体に個別に合う寸法である。材料片は、軽く押し付けることによって、容易に歯と整合する。材料片は、使用後に引き剥がすことによって、簡単に取り外される。連続処置の各々で新しい材料片を使用する。
【0014】
比較的薄い被膜であることによって、物質は、適合するか、適合していない剛直なトレーによって収容された物質と比較して、容積が小さい。したがって、物質は浪費されず、誤って摂取されたり、他の方法で意図しない口腔表面の炎症を起こすことがほとんどない。
【0015】
本発明の1つの態様では、口腔ケア物質用の繰出システムは、約250,000パスカル未満の圧力下による永久変形によって、歯およびそれの隣接軟組織の形状にほぼ整合するような降伏点および厚さを有する材料片を含む。繰出システムは、また、材料片に塗布される口腔ケア物質を含み、繰出システムを歯の表面および隣接軟組織に当てた時、その物質が表面と接触してその表面に活性剤を与える。物質は、また、材料片と表面との間を接着させて、活性剤が表面に作用することができる十分な時間にわたって、繰出システムを所定位置に保持する。物質は、材料片を変形させるために加えられる垂直力に耐えることができる押し出し抵抗力を有しているため、材料片の手動変形中に、材料片と表面との間から物質が大幅に押し出されることはない。
【0016】
好ましくは、物質は、ゲルの形態であり、それは材料片上のほぼ均一な連続被膜である。材料片は、好ましくは公称フィルム厚さが約0.8mmのワックスからなり、これはほぼ平坦で、丸い隅部を有する矩形であり、物質を塗布した材料片は、全厚が約1.5mm未満である。材料片は、使用者の口の湾曲および複数の隣り合った歯の間の隙間に整合しながら、隣り合った歯を覆うことができる十分な長さを有することができる。
【0017】
本発明の別の態様によれば、口腔ケア物質を歯の表面および隣接軟組織に繰り出す方法は、約250,000パスカル未満の圧力による永久変形によって、歯およびそれの隣接軟組織の形状にほぼ整合するような降伏点および厚さを有するなじみ易い材料片に物質を塗布する段階を含む。あるいは、この段階は、物質を直接的に歯の表面および隣接軟組織に塗布する段階を含むことができる。別の段階で、物質が材料片と表面との間に位置するようにして、なじみ易い材料片を当てる。物質は、表面に活性剤を与え、また、材料片と表面との間を接着させて、活性剤が表面に作用することができる十分な時間にわたって、繰出システムを所定位置に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】丸い隅部を有するほぼ平坦な材料片の斜視図である。
【図2】口腔ケア物質で被覆された図1の平坦な材料片を示す、本発明の実施形態の斜視図である。
【図3】平坦な材料片の厚さがそれを被覆している物質より薄いことを示す、図2の3−3線に沿った断面図である。
【図4】材料片内に浅いポケットが示され、それが材料片を被覆している追加物質の溜め部として機能する、本発明の変更形実施形態を示す断面図である。
【図5】本発明の材料片が歯と整合し、歯と材料片との間に位置する物質によって歯に接着されているところを示す、歯および隣接軟組織の縦断面図である。
【図6】本発明の材料片が隣り合った歯と整合し、歯と材料片との間に位置する物質によってそれらの歯に接着されているところを示す、横断面図である。
【図7】本発明の材料片が歯および隣接軟組織の両方と整合して、歯と材料片との間に位置する物質によって歯に接着されているところを示す、図5と同様な縦断面図である。
【図8】本発明の材料片が歯および隣接軟組織と整合して、歯と材料片との間に位置する物質によって歯に接着されているところを示す、図6と同様な横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
明細書は、本発明を特に指摘して明確に主張する請求の範囲に結論が示されているが、同一番号で同様部材を表す添付図面を参照した好適な実施形態の以下の説明から本発明がさらに十分に理解されると考えられる。
【0020】
次に図面を、特に図1および図2を参照すると、包括的に符号10で表された本発明の好適な第1実施形態が示されている。実施形態10は、歯白色化物質などの口腔ケア物質用の繰出システムを表している。繰出システム10は、最初はほぼ平坦で丸い隅部を有する材料片12を有する。材料片12は、ワックス、パテ、薄箔または他の永久的に変形可能な材料の単層か、積層などのそれらの組み合わせにすることができる。
【0021】
材料片12上に口腔ケア物質14が塗布または被膜化されている。好ましくは、物質14は、図3に示されているように、材料片12を均一かつ連続的に被覆する均質流体である。しかし、物質14は、成分を積層または個別層にしたものか、成分を非結晶質混合したものか、異なった成分を個別の縞またはスポットまたは他の模様にしたものか、材料片12の一部分の長手方向軸線に沿った口腔ケア物質14の連続被膜を含めたこれらの構造の組み合わせでもよい。
【0022】
物質14は、好ましくは、それが接触する表面の外観および構造の両方またはいずれか一方に影響を与える、すなわち、所望の変化を加えることができる調合物、化合物または混合物などの活性剤を含むか、それ自体が活性剤である。活性剤の例として、過酸化水素、過酸化カルバミド、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、ピロリン酸塩、クロルヘキシジン、ポリリン酸塩、トリクロサン(triclosan)、および酵素がある。外観および構造変化の例として、白色化、漂白、しみ抜き、フッ素りん灰石を形成する再石灰化、歯垢除去および歯石除去があるが、それらに必ずしも限定されない。
【0023】
変更形実施形態として、材料片16に浅いポケット18を形成してもよい。物質14を材料片16の物質被覆側に塗布した時、図4に示されているように、追加物質14が浅いポケット18を満たして、追加物質14の溜め部になる。
【0024】
図5および図6は、1本の歯または隣り合った歯の表面に当てた本発明の繰出システム24を示している。隣接軟組織20内に歯22が植え込まれている。歯22は、ここでは、1本の歯の一部分、1本の歯または隣り合った1組の歯と定義される。図6は、たとえば、隣り合った1組の歯を示している。隣接軟組織は、ここでは、歯肉縁、歯肉溝(gingiva sulculus)、歯間歯肉、粘膜/歯肉接合部まで延びてそれを含む舌側およびほお側表面の歯肉構造、およびパレット(pallet)を含む歯構造の周囲の組織表面と定義される。
【0025】
図5および図6の両方において、繰出システム24は、材料片12と物質14とを備え、物質14は材料片12の歯22に面する側に配置されている。物質14は、材料片12に予め塗布されているか、繰出システムの使用者が材料片に塗布するか、直接的に歯22に塗布してから材料片12で覆うことができる。これらのいずれの場合でも、材料片12は、約250,000パスカル未満の圧力による永久変形によって、歯およびそれの隣接軟組織の形状にほぼ整合するような降伏点および厚さを有する。好適な材料片は、数本の歯にまたがって使用者の口の歯列弓に沿って整合するためのクリープ(creep)および曲がりを可能にする粘弾性を備えている。使用者によって加えられる最小の垂直力で、必要な永久的変形が生じることが重要である。小さい力であれば、物質14を材料片12と歯22および隣接軟組織20の表面との間から大幅に押し出すことなく、材料片を歯22および隣接軟組織20の輪郭表面に合わせて手動成形することが可能である。「大幅に押し出される」とは、物質14の50%以上が材料片12と歯22および隣接軟組織20の表面との間から押し出されることを意味する。
【0026】
使用者は、約1平方センチメートルの表面積を有する1本の指先を使用して材料片を各歯に押し付けることがわかっている。使用者は、一般的に、各歯に1秒間以下の時間で力を加える。一般的な付着圧力は、約100,000パスカル〜約250,000パスカルの範囲である。
【0027】
材料片12は、物質14の保護壁として機能して、物質に接触する使用者の唇、舌、他の軟組織および唾液による歯22の表面からの物質14の滲出および浸食の両方またはいずれか一方を大幅に防止することができる。口腔ケア物質14内の活性剤が、数分から数時間の長い時間にわたって歯22の表面に作用できるようにするために、そのような滲出および浸食の両方またはいずれか一方を最小限に抑えることが重要である。「作用する」とは、ここでは、所望の変化を起こすことであると定義される。たとえば、物質が過酸化物である場合、それは歯の内部の色素体(color bodies)を漂白して白色化を起こし、活性剤がフッ化ナトリウムである場合、それはエナメル質内のフッ素リン灰石の形成を促進し、エナメル質を酸に溶け難い物質に変化させる。
【0028】
材料片12は、物質14によって与えられる接着力によって、歯22の上に固定される。物質14の粘性および一般的粘着性によって、材料片12が歯22の周囲に接着され、会話や飲食などに伴った口の動きの間に材料片12を擦る唇や舌や他の軟組織の潜在的摩擦を受けても大して滑らない。
【0029】
図7および図8は、歯22の表面および隣接軟組織20に塗布された本発明の繰出システム26を示している。繰出システム26は、材料片12および物質14を備え、物質14は材料片12の歯22および隣接軟組織20に面する側に配置されている。材料片26は、隣接軟組織20に接着されないであろうが、歯22に接着されることによって固定されるであろう。
【0030】
本発明の特に好適な実施形態では、物質14は、30〜85%のグリセリンまたはポリエチレングリコールと、10〜22%の尿素/過酸化水素錯体と、0〜12%のカルボキシポリメチレンと、0〜1%の水酸化ナトリウムと、0〜10%のトリエタノールアミン(TEA)と、0〜40%の水と、0〜1%の香料と、0〜15%のクエン酸ナトリウムと、0〜5%のエチレンジアミン四酢酸とを含む歯白色化ゲルである。好適なゲルは、低せん断速度(1リットル/秒未満)で200〜1,000,000cpsの粘度を有する。さらに好ましくは、歯白色化剤は、70%のグリセリンと、5%のカルボキシポリメチレンと、10%の過酸化カルバミドと、15%の水酸化ナトリウムでpH6.5に調整された水とを含むゲルである。この製剤は、押し出しに対して十分な抵抗力を有しており、0.25mmの被膜を材料片に塗布して、片を歯の形に変形させるために材料片を133,000パスカル未満の圧力で歯の表面に手で押し付けた時、材料片と歯表面との間から押し出される歯白色化物質は、50%未満である。オパレセンス(Opalescence)およびニュー−プロゴールド(Nu-Pro Gold)などの市販の歯白色化剤も本発明の繰出システムで使用可能である。
【0031】
本繰出システムで使用可能な別の口腔ケア製品として、好適な実施形態と同様な粘度を有し、虫歯予防を助けるためにフッ素の局所塗布を行うためのフッ素局所ゲル(fluoride topical gel)がある。
【0032】
材料片12は、好ましくは0.8mm厚さのワックス片、たとえばオハイオ州、クリーブランドのフリーマン、エム・エフ・ジー、エンド、サプライ、コンパニー(Freeman Mfg. & Supply Co.)が配合および製造している#165シートワックスである。この特別なワックスは、使用者が約1平方センチメートルの面積に約1.36kg(3ポンド)の垂直力を加えた時に発生する圧力である約133,000パスカルの圧力を受けて容易に歯の形状と整合する。
【0033】
繰出システムの全厚は、好ましくは約1.5mm未満である。物質14の層の厚さは、好ましくは約0.4mmである。
【0034】
好ましくは、本発明の繰出システムは、歯白色化剤を歯に1日1回120分間、約7〜14日連続して塗布して使用することによって、ドイツ国、バドザッキンゲン(BadSackingen)のフィータ歯工場(VITA Zahnfabrik)の製品であるフィータ・ルーメン真空色彩等級色相指標(VITA LUMEN Vacuum Farbskala Shade Guides)によって測定した時に、1〜4色相指標(shade guide)の改善という白色化の効果が達成される。
【0035】
フッ素ゲルなどの口腔ケア製品の場合、本発明の繰出システムは、ゲルを歯および隣接軟組織の両方またはいずれか一方に1年に1回、約4分間連続的に塗布することによって、虫歯予防を助けることができる。
【0036】
使用者が歯および隣接軟組織から材料片を取り外した時、これらの表面に残留物質が残る可能性がある。残留物質は、ブラシで磨くか、すすぐことによって簡単に除去できる。
【0037】
本発明の特定の実施形態を説明してきたが、発明の精神および範囲から逸脱することなく様々な変更および修正を加えることができることは、当該技術分野の専門家には明らかであり、発明の精神に入るそのような変更はすべて、添付の請求の範囲に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0038】
10 繰出システム
12 材料片
14 口腔ケア物質
16 材料片
18 ポケット
20 隣接軟組織
22 歯
24 繰出システム
26 繰出システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔ケア物質用繰出システムであって、
a)該繰出システムを押し付けた時、約250,000パスカル未満の圧力下での永久変形によって歯およびそれの隣接軟組織の形状にほぼ整合するような降伏点および厚さを有する材料片と、
b)該材料片に塗布される口腔ケア物質とを含み、該繰出システムを前記歯の表面および隣接軟組織に当てた時、前記物質が前記表面と接触して前記表面に活性剤を与え、前記物質はまた、前記材料片と前記表面との間を接着させて、前記活性剤が前記表面に作用することができる十分な時間にわたって所定位置に保持することができ、前記物質は、前記材料片を変形させるために加えられる垂直力に耐えることができる押し出し抵抗力を有して、前記材料片の手動変形中に前記材料片と前記表面との間から前記物質が大幅に押し出されることがないようにしたことを特徴とする繰出システム。
【請求項2】
前記物質は、歯白色化物質である請求項1記載の繰出システム。
【請求項3】
前記物質は、前記材料片上のほぼ均一な連続被膜である請求項1または2記載の繰出システム。
【請求項4】
前記材料片は、公称フィルム厚さが約0.8mmのワックスからなる請求項1、2または3記載の繰出システム。
【請求項5】
前記材料片は、ほぼ平坦で、丸い隅部を有する矩形であり、前記物質を塗布した前記材料片は、全厚が約1.5mm未満である請求項1、2、3または4記載の繰出システム。
【請求項6】
前記材料片は、使用者の口の湾曲および複数の隣り合った歯の間の隙間に整合しながら、前記複数の隣り合った歯を覆うことができる十分な長さを有する請求項1、2、3、4または5記載の繰出システム。
【請求項7】
口腔ケア物質を歯の表面および隣接軟組織に繰り出す方法であって、
a)約250,000パスカル未満の圧力下での永久変形によって歯およびそれの隣接軟組織の形状にほぼ整合するような降伏点および厚さを有するなじみ易い材料片に前記物質を塗布する段階と、
b)前記物質を付着させた前記なじみ易い材料片を、前記物質が前記表面と接触するようにして前記表面に当てる段階とを含み、前記物質は、前記表面に活性剤を与え、前記物質はまた、前記材料片と前記表面との間を接着させて、前記活性剤が前記表面に作用することができる十分な時間にわたって繰出システムを所定位置に保持することができ、前記物質は、前記材料片を変形させるために加えられる垂直力に耐えることができる押し出し抵抗力を有して、前記材料片の手動変形中に前記材料片と前記表面との間から前記物質が大幅に押し出されることがないようにしたことを特徴とする方法。
【請求項8】
口腔ケア物質を歯の表面および隣接軟組織に繰り出す方法であって、
a)前記物質を前記歯の前記表面および隣接軟組織に塗布する段階と、
b)前記表面上の前記物質の上に、約250,000パスカル未満の圧力下での永久変形によって歯およびそれの隣接軟組織の形状にほぼ整合するような降伏点および厚さを有するなじみ易い材料片を当てる段階とを含み、前記物質は、前記表面に活性剤を与え、前記物質はまた、前記材料片と前記表面との間を接着させて、前記活性剤が前記表面に作用することができる十分な時間にわたって繰出システムを所定位置に保持することができ、前記物質は、前記材料片を変形させるために加えられる垂直力に耐えることができる押し出し抵抗力を有して、前記材料片の手動変形中に前記材料片と前記表面との間から前記物質が大幅に押し出されることがないようにしたことを特徴とする方法。
【請求項9】
前記物質は、歯白色化物質である請求項7または8記載の方法。
【請求項10】
前記材料片は、公称フィルム厚さが約0.8mmのワックスからなる請求項7、8または9記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−101198(P2009−101198A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−25203(P2009−25203)
【出願日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【分割の表示】特願2007−321576(P2007−321576)の分割
【原出願日】平成10年8月4日(1998.8.4)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】