説明

永久染毛剤組成物

【課題】頭皮の刺激を低減するなどの優れた効果を有する永久染毛剤第2剤組成物を提供する。
【解決手段】特定のカチオン界面活性剤、特定のリン酸エステル、脂肪族アルコールを含有する永久染毛剤第2剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、永久染毛剤組成物に関し、詳しくは低刺激、低不快臭である永久染毛剤第2剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
永久染毛剤とは、通常はオルト、パラのフェニレンジアミン等の酸化染料中間体、レゾルシン等の調色剤、アルカリ剤等よりなる第1剤と、過酸化水素、過ホウ酸ナトリウム等の酸化剤よりなる第2剤との二剤型が一般的である。この永久染毛剤では、第1剤の酸化染料中間体、調色剤が、第2剤の酸化剤によって毛髪内で酸化され、重合して水に不溶性の色素となり毛髪を染色する。このような染毛剤は、要望に応じた色調に染色することができ、しかもその染色力は優れているが、その反面、アルカリ剤による不快臭やアルカリ剤、酸化剤により頭皮に刺激を与える等の危険性もある。そこで、この点を改善するために、リン酸エステルと脂肪族アルコールを用いたものが開発されている。(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−189680
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した従来の永久染毛剤のうち、リン酸エステルと脂肪族アルコールを用いたものは、染色性向上、ダメージ低減、シャンプー褪色での防止であって、不快臭低減や頭皮刺激の低減に対して抜本的な改善には至っていないという問題点があった。
【0004】
しかし、業界において染毛技術が発達したとはいえ、現状の製品よりも不快臭、刺激が低減した永久染毛剤組成物の提供が望まれている。
【0005】
本発明は、上記従来の永久染毛剤が有していた問題点の解決を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の問題を解決するために、カチオン界面活性剤とリン酸エステルと脂肪族アルコールは公知の物質であるが、種々の研究を重ねた結果、特定のカチオン界面活性剤、特定のリン酸エステル、脂肪族アルコールを混合したもの0.01〜30.0重量%配合することにより永久染毛剤第2剤に対して酸化剤による頭皮の刺激を低減する。
【発明の効果】
【0007】
本発明では、特定のカチオン界面活性剤、特定のリン酸エステル、脂肪族アルコールを混合した永久染毛剤組成物の乳化粒子は、ラメラ液晶構造を形成し、酸化剤を親水性部分に保持し、そのまわりを親油性部分で内包することにより、永久染毛剤第2剤に対して酸化剤による頭皮の刺激を低減する効果が顕著に現れるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の構成について詳述する。
【0009】
本発明に配合される特定のカチオン界面活性剤は、下記一般式(1)で示されるカチオン界面活性剤である。式中の置換基R1とR2は炭素数12〜22、好ましくは16〜22の炭化水素基であり、特に炭素数16〜22の直鎖状アルキル基であることが好ましい。特定のリン酸エステルは、下記一般式(2)で示されるリン酸エステルである。式中の置換基R3とR4は炭素数8〜24、好ましくは8〜18の炭化水素基であり、特に炭素数8〜18の直鎖状アルキル基であることが好ましい。脂肪族アルコールとしてはセチルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール等が好適である。
一般式(1)

本発明の永久染毛剤第2剤組成物に於ける、これらの混合物の含有量は、総量で0.1〜30.0重量%。好ましくは2.0〜18.0重量%である。
【0010】
次に本発明を実施例及び比較例によって更に具体的かつ詳細に説明するが、本発明はこの実施例によって限定されない。なお、以下に記す数値はいずれも重量%である。
【0011】
評価項目
【0012】
乳化粒子の状態
偏光顕微鏡を用いてラメラ液晶構造を形成しているか観察しその状態の評価を行う。
○:ラメラ液晶構造を形成している。
△:ラメラ液晶構造をわずかに形成している。
×:ラメラ液晶構造を形成していない。
【0013】
アンモニア臭
○:アンモニア臭が全くない。
△:若干アンモニア臭を感じる。
×:著しくアンモニア臭を感じる。
【0014】
頭皮の刺激
○:ピリピリしない。
△:若干ピリピリする。
×:著しくピリピリする。
【実施例】
【0015】
第1剤酸化染毛剤(色調:オレンジ)
処方

【0016】
製造方法
Part Aを温度85℃で溶解する。Part Bを乳化機調合槽に仕込み、パドルミキサーで撹拌を行いながら温度85℃まで加温する。Part BにPart Aを徐々に加えパドルミキサー及びホモミキサーで撹拌し、乳化を行う。乳化後、温度30℃以下まで冷却を行う。冷却後、Part Cを加えて均一にする。
【0017】
第2剤デベロッパー処方

【0018】
製造方法
Part Aを温度85℃で溶解する。Part Bを乳化機調合槽に仕込み、パドルミキサーで撹拌を行いながら温度85℃まで加温する。Part BにPart Aを徐々に加えパドルミキサー及びホモミキサーで撹拌し、乳化を行う。乳化後、温度30℃以下まで冷却を行う。冷却後、Part Cを加えて均一にする。
【0019】
染色条件
第1剤と第2剤デベロッパーの混合比率1:1
施術温度と時間36℃、30分間
【0020】
試験結果

【0021】
ブリーチ処方

【0022】
製造方法
Part Aを温度85℃で溶解する。Part Bを乳化機調合槽に仕込み、パドルミキサーで撹拌を行いながら温度85℃まで加温する。Part BにPart Aを徐々に加えパドルミキサー及びホモミキサーで撹拌し、乳化を行う。乳化後、温度30℃以下まで冷却を行う。冷却後、Part Cを加えて均一にする。
【0023】
第2剤デベロッパー処方

【0024】
製造方法
Part Aを温度85℃で溶解する。Part Bを乳化機調合槽に仕込み、パドルミキサーで撹拌を行いながら温度85℃まで加温する。Part BにPart Aを徐々に加えパドルミキサー及びホモミキサーで撹拌し、乳化を行う。乳化後、温度30℃以下まで冷却を行う。冷却後、Part Cを加えて均一にする。
【0025】
ブリーチ条件
第1剤と第2剤デベロッパーの混合比率1:1
施術温度と時間36℃、30分間
【0026】
試験結果

【0027】
以上のように、永久染毛剤組成物による頭皮の刺激は、第1剤のアルカリ剤と第2剤の過酸化水素水に起因し、不快臭は第1剤のアルカリ剤、特にアンモニア水に起因する。本発明の永久染毛剤第2剤組成物はラメラ液晶構造を形成することにより、頭皮の刺激の原因になる酸化剤を親水性部分に保持し、そのまわりを親油性部分で内包することにより、効果的に頭皮の刺激を低減するものである。本発明の永久染毛剤第2剤組成物使用時、好ましくは、永久染毛剤第1剤もラメラ液晶構造を形成しているとより効果的である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の一般式(1)で示されるカチオン界面活性剤と一般式(2)で示されるリン酸エステルと脂肪族アルコールを含有する永久染毛剤第2剤組成物。
一般式(1)

【請求項2】
一般式(1)で示されるカチオン界面活性剤の式中のR1、R2で示される置換基として炭素数12〜22の直鎖型アルキル基を有する化合物であることを特徴とする請求項1記載の永久染毛剤第2剤組成物。
【請求項3】
一般式(2)で示されるリン酸エステルの式中のR3、R4で示される置換基として炭素数8〜18の直鎖型アルキル基を有する化合物であることを特徴とする請求項1、2に記載した永久染毛剤第2剤組成物。
【請求項4】
脂肪族アルコールが炭素数8〜22の直鎖状アルキル基からなる脂肪族アルコールであることを特徴とする請求項1、2、3記載の永久染毛剤第2剤組成物。

【公開番号】特開2007−191458(P2007−191458A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−39941(P2006−39941)
【出願日】平成18年1月20日(2006.1.20)
【出願人】(500315884)株式会社ナンバースリー (7)
【Fターム(参考)】