説明

永久磁石用磁粉の製造方法と製造装置、永久磁石の製造方法と製造装置および製造システム

【課題】永久磁石の保磁力性能を向上させる金属粒を永久磁石の深部を含む全領域の磁粉表面に形成でき、しかも、主相が金属粒によって改質されることを抑止して永久磁石の磁化特性をも向上させることができ、さらには、永久磁石用磁粉や永久磁石を効率的に製造することのできる、永久磁石用磁粉の製造方法と製造装置、永久磁石の製造方法と製造装置および製造システムを提供する。
【解決手段】一つの閉空間Hの中に磁粉Mを投入し、閉空間H内で磁場を発生させるとともに該磁場の方向を変化させることにより、閉空間H内で磁粉Mをその飛翔方向を変化させながら飛翔させ、閉空間H内で、飛翔する磁粉に対して物理蒸着法(PVD法)を適用して保磁力性能を高める金属粒Pを該磁粉M表面に付着させて、永久磁石用の磁粉を製造する、永久磁石用磁粉の製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、永久磁石用磁粉の製造方法と製造装置、永久磁石の製造方法と製造装置および製造システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ブラシレスDCモータをはじめとする各種モータの中で、ロータコア内部に複数の永久磁石が埋め込まれてなる永久磁石埋込型のロータを具備するモータ(以下、IPMモータという)はよく知られるところである。例えば、ハイブリット車両の駆動用モータには、上記するIPMモータが使用されている。
【0003】
モータ等のアクチュエータに適用される上記永久磁石に関してさらに言及するに、Nd−Fe−B系焼結永久磁石(たとえば、NdFe14B)はその優れた磁気特性ゆえにその用途が広範囲に広がっており、たとえば、近時の自動車産業界を牽引するといってもよいハイブリッド車をはじめとする車両、産業機械、現在クリーンエネルギとして注目を集めている風力発電機器など、その用途は広範に及んでいる。
【0004】
ところで、磁石性能の指標として残留磁束密度と保磁力を挙げることができるが、Nd−Fe−B系焼結永久磁石に関して言えば、体積率を増大させること、結晶配向度を向上させることでその残留磁束密度を増大させることができ、結晶粒の微細化を図ること、Nd量の多い組成合金を用いること、保磁力性能の高い金属粒を添加すること、などによってその保磁力を増大させることができる。
【0005】
その中でも現在一般に適用されている保磁力性能向上のための方策として、保磁力性能の高い金属である、Dy(ジスプロシウム)、Tb(テルビウム)などでNd−Fe−B系合金のうちのNdの一部を置換することにより、金属化合物の異方性磁界を増大させ、これによって保磁力増大を図る方策がある。
【0006】
しかし、上記するジスプロシウムやテルビウムの使用量は、希土類元素の自然存在比を大きく超過していることに加えて、商業的に開発されている鉱床の推定埋蔵量は極めて少なく、さらには、鉱床存在地域も世界的に偏在していることから、元素戦略の必要性が認識されるに至っている。なお、テルビウムの存在比率はジスプロシウムのそれに比して格段に低いことが知られている。
【0007】
上記するように、ジスプロシウムやテルビウムをNdの一部と置換することで永久磁石の保磁力が高められる一方で、この置換物が存在することで永久磁石の飽和磁気分極を減少させることも知られており、したがって、ジスプロシウム等を使用して永久磁石の保磁力を増大させようとする場合には、少なからずその残留磁束密度の低下を許容せざるを得ない。さらには、ジスプロシウムやテルビウムがレアメタルであることより、資源リスクや材料コストの観点から、その使用量を可及的に低減する必要があることは言うまでもない。
【0008】
そこで、ジスプロシウムやテルビウム等の金属粒を永久磁石表面から粒界拡散させ、該永久磁石を構成する粒界表面もしくはその近傍のみに濃化させて合金を形成する方法などが現在検討されており、たとえばその一例が、特許文献1に開示されている。具体的には、液相焼結によってNd−Fe−B系焼結永久磁石を得た後、この焼結磁石を処理室に収納して焼結温度より低い温度にて真空雰囲気中で加熱することにより、液相成分中の蒸気圧の高い元素を優先的に蒸発させ、液相の体積比を減少させつつ、焼結磁石と同一または異なる処理室に収納したDyやTbの金属蒸発材料を真空雰囲気中にて加熱して蒸発させ、この蒸発した金属原子を焼結磁石表面に付着させ、この付着した金属原子を、金属蒸発材料からなる薄膜が形成される前に焼結磁石の結晶粒界相に拡散させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−88191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1に開示の永久磁石の製造方法をはじめ、磁粉がプレス等されてなる永久磁石のバルク体を形成し、その表面にジスプロシウム等を付着させ、加熱処理して粒界拡散させる従来の方法では、ある程度の深部まで、磁粉の金属組織を構成する粒界相を介してジスプロシウム等を拡散させるために、加熱処理時間が比較的長時間に及んでいる。そのため、この加熱処理の過程でジスプロシウム等が粒界相を浸透するのみならず、主相の内部にも浸透することとなってしまい、主相も改質されることで、永久磁石の磁化特性、すなわち残留磁束密度を低下させる一つの要因となっている。また、粒界拡散による方法では、永久磁石の部位ごとに粒界相の性状が相違していることから、部位ごとにジスプロシウム等による改質の程度に差があり、したがって、永久磁石に保磁力分布が生じてしまうことから、永久磁石の品質面での課題の一つとなっている。
【0011】
本発明は、上記する問題に鑑みてなされたものであり、永久磁石の保磁力性能を向上させる金属粒を永久磁石の深部を含む全領域の磁粉表面に形成でき、しかも、主相が金属粒によって改質されることを抑止して永久磁石の磁化特性をも向上させることができ、さらには、永久磁石用磁粉や永久磁石を効率的に製造することのできる、永久磁石用磁粉の製造方法と製造装置、永久磁石の製造方法と製造装置および製造システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成すべく、本発明による永久磁石用磁粉の製造方法は、一つの閉空間の中に磁粉を投入し、前記閉空間内で磁場を発生させるとともに該磁場の方向を変化させることにより、閉空間内で磁粉をその飛翔方向を変化させながら飛翔させ、前記閉空間内で、飛翔する磁粉に対して物理蒸着法(PVD法)を適用して保磁力性能を高める金属粒を該磁粉表面に付着させて、永久磁石用の磁粉を製造するものである。
【0013】
ここで、本発明の製造方法が対象としている磁粉からなる永久磁石は、希土類磁石やフェライト磁石、アルニコ磁石等を包含するものであり、この磁粉は、磁化に寄与する主相と保磁力に寄与する粒界相からなる金属組織を有していれば特に限定されるものではない。また、本発明でいう「永久磁石」とは、着磁後の前記希土類磁石等のほかに、着磁前の焼結体やただの圧粉体をも含む意味である。希土類磁石としては、ネオジムに鉄とボロンを加えた3成分系のネオジム磁石(Nd−Fe−B系焼結永久磁石)、サマリウムとコバルトとの2成分系の合金からなるサマリウムコバルト磁石、サマリウム鉄窒素磁石、プラセオジム磁石などを挙げることができる。中でも、希土類磁石はフェライト磁石やアルニコ磁石に比して最大エネルギー積(BH)maxが高いことから、高出力が要求されるハイブリッド車等の駆動用モータへの適用に好適である。
【0014】
本発明の磁粉の製造方法は、一つの閉空間を画成する容器等の該閉空間内に磁粉を投入し、閉空間内で磁場を交互に形成させる等して磁場方向を変化させ、この方向が変化した磁場によって磁粉の飛翔方向を変化させ(左右方向、上下方向、左右および上下方向、回転しながら還流するなど)、この飛翔姿勢の磁粉に対して、保磁力性能を高める金属粒を付着させて多数の磁粉を一度に製造するものである。
【0015】
そして、この金属粒の付着方法としては、蒸着(閉空間内を真空雰囲気とした真空蒸着を含む)、スパッタリング等の物理蒸着法(PVD法)が適用される。
【0016】
なお、上記する金属粒としては、ジスプロシウムやテルビウム等の重希土類元素金属のほか、製造される永久磁石がNd−Fe−B系焼結永久磁石の場合には、その粒界相を構成するリッチなNdを改質できる典型金属、遷移金属およびこれらの金属と希土類の合金などであってもよい。たとえば、Cu、Al、Cu−Nd、Al−Ndなどを挙げることができる。
【0017】
磁粉をプレス等してバルク体を形成し、このバルク体の表面から保磁力性能を高める金属粒を粒界拡散させる従来の製造方法に対し、本発明の磁粉の製造方法では、バルク体を形成する磁粉に直接的に上記金属粒を付着させる方法であり、しかも、閉空間内で磁粉を複数の方向に飛翔させながらその付着を実施することで、各磁粉に対して金属粒を可及的に均一で、しかも効率的に付着させることを可能とする。
【0018】
なお、閉空間内に投入される磁粉は、ジェットミル等の粉砕装置にて事前に磁粉原料が粉砕されたものが使用される。
【0019】
また、前記磁粉は、水素の吸収による分解と脱水素による再結合(水素化脱水素化不均化反応(HDDR:Hydrogenation Disproportionation Desorption Recombination))によって微細化された結晶粒からなるものであってもよい。重希土類元素金属の使用量を低減しながら、結晶粒微細化、すなわち組織制御によって永久磁石の保磁力性能を向上させる方策の一つである。
【0020】
また、本発明による永久磁石の製造方法は、前記製造方法にて製造された永久磁石用磁粉を、前記閉空間内の一箇所に集め、プレス成形してバルク体を形成し、前記バルク体を前記閉空間内で焼成することで永久磁石を製造するものである。
【0021】
ここで、前記閉空間内が不活性ガス雰囲気とされ、酸素濃度を低下させた状態で磁粉の製造、もしくは前記焼成が実施されるのが好ましい。
【0022】
本発明の永久磁石の製造方法は、既述する本発明の永久磁石用磁粉の製造方法の際に使用される閉空間を有する同一の容器を使用して、その磁粉の製造から最終的な永久磁石の製造までを一貫しておこなうことができるものである。
【0023】
すなわち、多数の磁粉それぞれの表面に対して可及的均一にジスプロシウム等を付着させること、次いでジスプロシウム等が付着された多数の磁粉を一箇所に集め、プレスしてバルク体を形成すること、バルク体を所定の高温雰囲気下で焼成して永久磁石を製造すること、が一つの閉空間内で連続的に実施できるため、永久磁石の製造効率は従来製法に比して格段に向上する。
【0024】
しかも、バルク体を形成した後にその表面からジスプロシウム等を粒界拡散させる方法のように、加熱処理に比較的長い時間をかけて粒界拡散を実施する必要がない。これは、各磁粉の表面に既にジスプロシウム等が付着しているからであり、比較的短い加熱処理時間で各磁粉の金属組織を構成する粒界相の一部を改質することができる。そのため、加熱処理に比較的長い時間をかけて粒界拡散を実施していた従来製法の場合のように、ジスプロシウム等が主相内部にまで浸透してその磁化特性を阻害するといった課題は生じ得ない。すなわち、上記する本発明による永久磁石の製造方法によれば、保磁力性能のみならず、磁化特性にも優れた永久磁石を効率的に得ることができるのである。
【0025】
また、本発明による永久磁石用磁粉の製造装置は、磁粉が収容される閉空間を備えた容器と、前記閉空間内で磁場を発生させるとともに該磁場の方向を変化自在な磁場形成手段と、閉空間内において、磁粉に対してその保磁力性能を高める金属粒を付着させる物理蒸着手段と、を少なくとも備え、前記磁場形成手段を作動させることにより、閉空間内で磁粉をその飛翔方向を変化させながら飛翔させ、前記閉空間内で、物理蒸着手段を作動させることにより、飛翔する磁粉に対して前記金属粒を付着させて、永久磁石用の磁粉を製造するものである。
【0026】
本発明の製造装置は、既述する本発明の永久磁石用磁粉の製造方法を実施するための装置であり、磁粉の飛翔方向を変化自在な磁場形成手段と、飛翔姿勢の磁粉に金属粒を付着させる物理蒸着手段と、を少なくとも具備するものである。
【0027】
ここで、磁場形成手段としては、たとえば6面体からなる容器を構成する側壁(天上や底版も含む)のすべてに、もしくは少なくとも2つの側壁に、電磁石や磁場コイルを装着もしくは埋設しておき、複数の電磁石や磁場コイルを交互に、あるいは、間欠的に、それぞれのON制御とOFF制御を繰り返すことで、磁粉を飛翔させるだけでなく、その飛翔方向を自在に変化させることができる。
【0028】
磁粉の飛翔方向が時々刻々、もしくは一定の時間間隔で変化することにより、ジスプロシウム等を磁粉の全表面に均一に蒸着等させることができる。
【0029】
また、本発明による永久磁石の製造装置は、前記永久磁石用磁粉の製造装置と、前記閉空間内で移動するパンチを備えたプレス手段と、加熱手段と、を少なくとも備え、金属粒が付着された磁粉を前記磁場形成手段にて前記閉空間内の一箇所に集め、前記プレス手段を作動させてパンチにて集められた磁粉をプレスしてバルク体を形成し、加熱手段を作動させて前記バルク体を焼成して永久磁石を製造するものである。
【0030】
この製造装置は、永久磁石用磁粉の製造装置を構成する容器に、さらに、プレス手段と加熱手段が具備されたものであり、この装置を使用することで、多数の磁粉それぞれの表面に対して可及的均一にジスプロシウム等を付着させること、次いでジスプロシウム等が付着された多数の磁粉を一箇所に集め、プレスしてバルク体を形成すること、バルク体を所定の高温雰囲気下で焼成して永久磁石を製造すること、を一つの閉空間内で連続的に実施することができる。
【0031】
ここで、上記する永久磁石の製造装置の一実施の形態として、以下の構成の装置を挙げることができる。すなわち、前記容器を形成し、閉空間を画成する複数の側壁のうちの一つである第1の側壁に該閉空間に臨む溝が開設され、かつ、該第1の側壁に前記磁場形成手段を構成する第1の磁場コイルもしくは第1の電磁石が埋設されており、該第1の側壁に対向する第2の側壁に前記磁場形成手段を構成する第2の磁場コイルもしくは第2の電磁石が埋設されており、前記第1の磁場コイルもしくは第1の電磁石、第2の磁場コイルもしくは第2の電磁石の一方をON、他方をOFFするON−OFF制御を交互に実行することで磁粉を閉空間内で飛翔させ、前記第1の磁場コイルもしくは第1の電磁石をONし、第2の磁場コイルもしくは第2の電磁石をOFFすることで、金属粒が付着された磁粉を前記溝内に集め、前記パンチを該溝内に摺動させて前記バルク体を形成するものである。
【0032】
ここで、上記する溝の側面を、閉空間側に向かって溝断面が大きくなるようにテーパー面としておくことで、このテーパー面をプレス時のパンチの案内ガイドとすることができ、さらには、プレスされてできたバルク体を溝内から閉空間内へ取り出し易くできる。さらに、テーパー角の異なる2つの溝を連通させるようにし、閉空間内側の一方の溝のテーパー角度が相対的に大きくなっている2つの連通溝からなる実施の形態であってもよい。
【0033】
ここで、前前記閉空間内に不活性ガスを導入し、該閉空間内から酸素を排出してその酸素濃度を低減させるガス提供/排気手段をさらに備えているのが好ましく、前記ガス提供/排気手段を作動させて前記閉空間内を不活性ガス雰囲気としながら酸素濃度を低下させ、その後に磁粉の製造、もしくは前記バルク体の焼成が実施される。
【0034】
さらに、本発明による永久磁石の製造システムは、磁粉原料を粉砕して前記磁粉を製造する粉砕装置と、前記永久磁石の製造装置と、前記粉砕装置および前記永久磁石の製造装置を収容し、その内部が不活性ガス雰囲気に調整されるグローブボックスと、からなり、前記粉砕装置にて粉砕された磁粉が、前記グローブボックス内の不活性ガス雰囲気下で前記永久磁石の製造装置に手動もしくは自動搬送手段にて搬送され、前記永久磁石の製造装置にて永久磁石が製造されるようになっているものである。
【0035】
本発明の永久磁石の製造システムは、既述する永久磁石の製造装置と、この製造装置に投入される磁粉を磁粉原料から得る粉砕装置と、を不活性ガス雰囲気下で磁粉搬送自在に繋ぎ、粉砕された磁粉を外気に曝露させることなく永久磁石の製造装置に投入可能としたことで、磁粉表面に金属酸化物が形成されるのを効果的に抑止でき、磁粉原料から最終的な永久磁石の製造までを一貫して実施可能なシステムである。なお、粉砕装置で粉砕されてできた磁粉の永久磁石の製造装置への搬送は、グローブボックス内に挿入された作業員の人手による方法であってもよいし、双方の装置がベルトコンベア等の自動搬送手段で繋がれ、磁粉がこのコンベア上に載置されて自動搬送される方法であってもよい。
【発明の効果】
【0036】
以上の説明から理解できるように、本発明の永久磁石用磁粉の製造方法と製造装置によれば、磁粉の飛翔方向を変化させながら飛翔姿勢の磁粉にジスプロシウム等を付着させることにより、多数の磁粉それぞれの全表面に均一に、しかも効率的にジスプロシウム等を付着させることができる。また、本発明の永久磁石の製造方法と製造装置、および製造システムによれば、多数の磁粉に対して可及的均一にジスプロシウム等を付着させること、次いでジスプロシウム等が付着された多数の磁粉を一箇所に集め、プレスしてバルク体を形成すること、バルク体を所定の高温雰囲気下で焼成して永久磁石を製造すること、を一つの閉空間内で連続的かつ効率的に実施することができる。特に、本発明の永久磁石の製造システムによれば、磁粉原料を粉砕して磁粉を得ることを含めて、磁粉表面にジスプロシウム等の粒界拡散を阻害する金属酸化物が形成されるのを抑制でき、より一層品質に優れた永久磁石を製造することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の永久磁石の製造装置の一実施の形態を示した模式図である。
【図2】容器の閉空間内で飛翔する磁粉に金属粒が蒸着されている状況を説明した模式図である。
【図3】金属粒が付着された磁粉が容器を構成する側壁の溝内に集められ、パンチがこの溝内に進入しようとしている状況を説明した模式図である。
【図4】(a)は、従来の製造方法によって金属粒が永久磁石の粒界相を粒界拡散している状況を説明した模式図であり、(b)は、本発明の製造方法によって金属粒が永久磁石の粒界相を粒界拡散している状況を説明した模式図である。
【図5】本発明の永久磁石の製造システムの一実施の形態を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、図面を参照して本発明の永久磁石の製造装置、製造システムと永久磁石の製造方法を説明する。なお、図示する永久磁石の製造装置は、本発明の永久磁石用磁粉の製造装置をも含むものである。すなわち、図示する永久磁石の製造装置は、永久磁石用磁粉の製造装置をも兼ねるものであるが、永久磁石用磁粉のみを製造する装置の場合には、バルク体形成用のプレス手段等は不要である。また、このように永久磁石用磁粉のみを製造する装置を適用する場合には、この永久磁石用磁粉のみを製造する装置と、この装置に原料を粉砕してなる磁粉を提供するための粉砕装置と、製造された永久磁石用磁粉をプレス加工する不図示のプレス装置と、がグローブボックス内に収容されて永久磁石の製造システムが構成されることとなる。
【0039】
図1は、本発明の永久磁石の製造装置の一実施の形態を示した模式図である。図示する製造装置100は、6面体(図1の前壁、後壁の図示は省略)を画成する側壁11,12,13,14からなる容器10と、側壁11に埋設された第1の磁場コイル21とこれに対向する位置にスライド自在に設けられた第2の磁場コイル22とからなる磁場形成手段20と、第2の磁場コイル22と同期してスライド自在でテーパー溝11a,11bまで案内されるパンチ30(プレス手段)と、テーパー溝11bの周囲に配された加熱コイル40(加熱手段)と、側壁13,14に開設された溝坩堝51とその周囲に配された加熱コイル52とからなる物理蒸着手段50と、から大略構成されている。なお、第1、第2の磁場コイル21,22を交互にスイッチング制御(ON−OFF制御)し、かつ、物理蒸着手段50の加熱コイル52を所定のタイミングで作動し、かつ、パンチ30を所定のタイミングおよび速度でスライドさせてプレス加工を実施する、等の各種制御は、不図示のコンピュータ(CPU,制御部、RAM,ROM等がバスにて電気的に連通している)にて実行できるようになっている。また、図示を省略するが、永久磁石の製造装置の各所には、温度センサ、圧力センサ、酸素センサ、流量センサなどが配されている。
【0040】
容器10には、その前壁に一点鎖線で示した磁粉投入扉15が開閉自在に設けてあり、不図示の粉砕装置にて磁粉原料が粉砕されてできた磁粉Mは、この磁粉投入扉15を介して容器10の閉空間H内に投入される。
【0041】
第2の磁場コイル22とパンチ30は、相互に一体に構成され、閉空間H内で側壁11,12間を延設するガイド24,24に案内されてスライド自在となっており(X4方向)、閉空間H内で磁場を発生させるとともに該磁場の方向を変化させ、磁粉Mを飛翔させながらその表面に金属粒を蒸着させる段階では、図2で示すように、第2の磁場コイル22は側壁12の溝12a内に収容されている。なお、この収容姿勢においては、第2の磁場コイル22が側壁12内に埋設されている固定コイル23に磁気吸引されている。
【0042】
まず、閉空間H内に所定量の磁粉Mが投入されると、側壁12を介して閉空間Hに流体連通する真空引き流路16を介して閉空間H内を真空引きし(X2方向)、これと同時に、不活性ガス導入流路17を介して閉空間H内にアルゴンガス等の不活性ガスを導入し(X3方向)、これを繰り返しながら閉空間H内の酸素分圧を所定分圧以下とする。
【0043】
閉空間H内が、所定分圧以下の酸素分圧を有する不活性ガス雰囲気となった段階で、磁場形成手段20を構成する第1の磁場コイル21と第2の磁場コイル22を交互にON−OFF制御し、磁粉を側壁11側へ飛翔させ、次いで側壁12側へ飛翔させる、といった具合に、その飛翔方向を変化させながら閉空間H内で飛翔させる。なお、磁場コイルを側壁13,14側にも設けることで、磁粉Mの飛翔方向にバリエーションを付与でき、図で見て、上下方向に飛翔させることのみならず、左右方向への飛翔、上下および左右が組み合わされた方向への飛翔、回転方向の飛翔などが実現できる。
【0044】
図2で示すように、閉空間H内で、多数の磁粉Mをその飛翔方向を変えながら飛翔させた状態(X1方向)で、加熱コイル52を作動し、溝坩堝51内の金属粒、より具体的には、永久磁石の保磁力性能を向上させる、ジスプロシウムやテルビウム等の重希土類元素金属からなる金属粒Pを蒸発させ、フィルター60を通過させながら飛翔姿勢の磁粉M側へ金属粒Pを移動させる(X5方向)。
【0045】
磁粉M側へ移動した金属粒Pは、閉空間H内でその方向を変化させながら飛翔する磁粉Mの表面に付着し、磁粉Mの表面に金属粒Pが付着してなる薄層が形成される。
【0046】
物理蒸着処理を所定時間実施したら、交互にON−OFF制御されていた第1の磁場コイル21と第2の磁場コイル22のうち、第2の磁場コイル22をOFF制御し、第1の磁場コイル21をON制御することで、金属粒Pが付着してなる薄層が形成された多数の磁粉Mは、第1の磁場コイル21に隣接するテーパー溝11aを介してテーパー溝11b内に収容される。ここで、たとえば、磁場コイル21をON制御して2T(テスラ)程度の磁界を作用させ、テーパー溝11b内に収容された磁粉Mのすべてに磁場コイル21側へ向かう磁気配向を付与することができる。
【0047】
ここで、連通する2つのテーパー溝11a、テーパー溝11bの各テーパー角α2、α1は、閉空間に直接臨むテーパー溝11aのテーパー角α2が相対的に大きく形成されている(α2>α1)。たとえば、α1を0.2〜0.5の勾配とし、α2をこれよりも大きな勾配とした形態とできる。
【0048】
磁粉Mがテーパー溝11b内に収容されると、固定コイル23からの磁気吸引が解除され、さらに、第2の磁場コイル22の側方に設けられた不図示のスライド機構が作動して、ガイド24に沿って第2の磁場コイル22とパンチ30が側壁11のテーパー溝11a、11b側にスライドする(X4方向)。ここで、不図示のスライド機構とは、ガイド24とともに形成されるボールネジ機構、サーボモータの回転軸がガイド24表面の溝と噛み合い係合した形態、などの適宜の形態を挙げることができる。
【0049】
スライドするパンチ30は、テーパー溝11a内に進入し、場合によっては、テーパー溝11aのテーパー壁にその進入を案内されて、その先端をテーパー溝11b内に進入させ、該テーパー溝11bに磁気吸引されて収容された多数の磁粉Mをプレスする。
【0050】
所定の押圧力で多数の磁粉Mをプレス加工してバルク体を成形したら、今度は、テーパー溝11bの周囲に配された加熱コイル40を作動して、所定の加熱温度にてバルク体を加熱処理する。
【0051】
この加熱処理により、バルク体を焼成(焼結)して永久磁石が形成されるとともに、このバルク体を構成する磁粉周りに付着した金属粒が、磁粉を構成する粒界相内に粒界拡散して粒界相を改質する。なお、バルク体の焼成の後に、金属粒の粒界拡散のための加熱処理を別途実施してもよい。ここで、従来の製造方法によって金属粒が永久磁石の粒界相を粒界拡散している状況を説明した図4aの模式図と、本発明の製造方法によって金属粒が永久磁石の粒界相を粒界拡散している状況を説明した図4bの模式図を比較しながら、双方の粒界拡散に要する時間の相違、すなわち、加熱処理に要する時間の相違を概説する。
【0052】
永久磁石であるネオジム磁石等の希土類磁石やフェライト磁石は、磁化(残留磁束密度)に寄与する主相Sと、保磁力に寄与する粒界相Rからなる金属組織を有している。そして、ジスプロシウム等の金属粒Pは、粒界相Rを浸透路として永久磁石の内部に粒界拡散していく。ここで、図4aのごとく、従来の製造方法によって粒界拡散する方法、すなわち、磁粉がプレス等されてなる永久磁石のバルク体を形成し、その表面にジスプロシウム等を付着させ、加熱処理して粒界拡散させる方法では(X5方向)、永久磁石のある程度の深部まで、磁粉の金属組織を構成する粒界相Rを介してジスプロシウム等を拡散させるために、加熱処理時間が比較的長時間に及んでしまう。そのため、金属粒Pは、粒界相のみならず、主相S内にも浸透してしまい(X6方向)、主相Sが改質されてその磁気特性が低下する。
【0053】
一方、本発明の製造方法の場合には、図4bから明らかなように、磁粉Mは、所定寸法に形成された永久磁石に比してその大きさは極めて小さく、したがって、磁粉Mを構成する粒界相Rの全領域に金属粒Pを粒界拡散させるための加熱処理は、極めて短時間でよい。そのため、この加熱処理の過程で主相までも金属粒にて改質されるといった問題は生じ得ない。
【0054】
加熱処理された磁粉Mに関し、その主相Sは金属粒によって改質されることなく、本来の磁化性能が担保され、これに加えて、その粒界相Rは金属粒によって十分に改質されて保磁力性能が向上される。そして、この磁粉Mから永久磁石が形成されていることから、製造された永久磁石は、その表層領域のみならず、その内部(深部)を含めて、保磁力性能が高められ、しかも、磁化特性に優れた永久磁石となる。なお、加熱処理して永久磁石が得られたら、閉空間H内に窒素ガスを提供して急冷することで、その保磁力性能は一層高められる。
【0055】
製造された永久磁石のテーパー溝1bからの取り出しは、今度は、第1の磁場コイル21をOFF制御し、第2の磁場コイル22をON制御して、永久磁石を閉空間H側に磁気吸引する方法や、これに加えて、側壁11内に内蔵された不図示の押出し装置にて永久磁石を押出す方法、などにより、閉空間H内に製造された永久磁石を押出し、これを作業員が磁粉投入扉15を介して装置外へ取り出すことができる。
【0056】
図5は、本発明の永久磁石の製造システムの一実施の形態を示した模式図である。
【0057】
図示するシステム1000は、既に説明した永久磁石製造装置100と、この製造装置100内に投入される磁粉Mを磁粉原料から粉砕して得るための粉砕装置200と、これらの装置100,200を繋いで装置100で製造された磁粉Mを製造装置100へ自動搬送する(X9方向)ベルトコンベアからなる自動搬送手段300と、これらを収容したグローブボックス400と、から大略構成される。
【0058】
この磁粉Mの自動搬送に際しては、グローブボックス400に流体連通した真空引き流路401を介してボックス400内のエアを吸引し(X7方向)、これと同時に、不活性ガス導入流路402を介して不活性ガスをボックス400内に提供し(X8方向)、ボックス400内の酸素分圧が所定分圧以下に調整されることで、搬送時に磁粉表面に金属酸化物が生成されるのが抑制される。
【0059】
図示するシステム1000を適用することで、磁粉原料を粉砕して磁粉を得る初期工程から、最終の永久磁石を焼結にて得る工程までの全工程を通じて、磁粉表面に金属酸化物が生成されるのを効果的に抑止することができ、より一層品質に優れた永久磁石を得ることができるものである。
【0060】
なお、粉砕後の磁粉に対して、水素の吸収による分解と脱水素による再結合(水素化脱水素化不均化反応(HDDR))を実施して微細化された結晶粒からなる磁粉としたものを使用してもよく、この場合には、重希土類元素金属の使用量を低減しながら、結晶粒微細化、すなわち組織制御によって永久磁石の保磁力性能を一層向上させることができる。
【0061】
[本発明の製造方法によって得られた永久磁石の保磁力性能、磁化特性を検証した実験とその結果]
本発明者等は、従来の製造方法(焼成された永久磁石表面からジスプロシウムを粒界拡散させるもの)、本発明の製造方法によってそれぞれ永久磁石(比較例、実施例)を製造し、双方の永久磁石の磁化特性(残留磁束密度)と保磁力を測定した。
【0062】
ここで、使用される永久磁石は、Nd30.9Fe66.81.08の原料配合を使用し、HDDR処理した粒径100μmの磁粉を利用し、蒸着される元素金属にジスプロシウムを使用した。なお、比較例、実施例ともに、製造条件として、プレス圧力は200MPa、拡散温度×時間は900℃×1時間、焼結温度×時間は800℃×1時間、熱処理温度×時間は500℃×1時間、磁石サイズはφ10mm×長さ8mmであった。測定結果を以下の表1に示す。
【0063】
[表1]

【0064】
比較例の永久磁石に対し、実施例の永久磁石では、残留磁束密度で50%程度、保磁力で60%程度もの性能向上が確認できる。
【0065】
これは、永久磁石を構成する磁粉の主相がジスプロシウムにて改質されていないこと、および、その粒界相が永久磁石の深部に至るまでジスプロシウムにて効果的に改質されていること、さらには、永久磁石を形成する磁粉表面に金属酸化物が生成されない、もしくは生成され難く、結果としてジスプロシウムの粒界拡散が促進されていること、などがその理由である。
【0066】
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0067】
10…容器、11,12,13,14…側壁、15…磁粉投入扉、16…真空引き流路、17…不活性ガス導入流路、11a,11b…テーパー溝、20…磁場形成手段、21…第1の磁場コイル、22…第2の磁場コイル、23…固定用コイル、24…ガイド、30…パンチ(プレス手段)、40…加熱コイル(加熱手段)、50…物理蒸着手段、51…溝坩堝、52…加熱コイル、100…永久磁石製造装置、200…粉砕装置、300…自動搬送手段、400…グローブボックス、1000…永久磁石製造システム、H…閉空間、M…磁粉、P…金属粒、S…主相、R…粒界相

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つの閉空間の中に磁粉を投入し、
前記閉空間内で磁場を発生させるとともに該磁場の方向を変化させることにより、閉空間内で磁粉をその飛翔方向を変化させながら飛翔させ、
前記閉空間内で、飛翔する磁粉に対して物理蒸着法(PVD法)を適用して保磁力性能を高める金属粒を該磁粉表面に付着させて永久磁石用の磁粉を製造する永久磁石用磁粉の製造方法。
【請求項2】
前記磁粉は、水素の吸収による分解と脱水素による再結合(HDDR)によって微細化された結晶粒からなる、請求項1に記載の永久磁石用磁粉の製造方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の製造方法にて製造された永久磁石用磁粉を、前記閉空間内の一箇所に集め、プレス成形してバルク体を形成し、
前記バルク体を前記閉空間内で焼成することで永久磁石を製造する永久磁石の製造方法。
【請求項4】
前記閉空間内が不活性ガス雰囲気とされ、酸素濃度を低下させた状態で磁粉の製造、もしくは前記焼成が実施される、請求項3に記載の永久磁石の製造方法。
【請求項5】
磁粉が収容される閉空間を備えた容器と、
前記閉空間内で磁場を発生させるとともに該磁場の方向を変化自在な磁場形成手段と、
閉空間内において、磁粉に対してその保磁力性能を高める金属粒を付着させる物理蒸着手段と、を少なくとも備え、
前記磁場形成手段を作動させることにより、閉空間内で磁粉をその飛翔方向を変化させながら飛翔させ、
前記物理蒸着手段を作動させることにより、前記閉空間内で飛翔する磁粉に対して前記金属粒を付着させて永久磁石用の磁粉を製造する永久磁石用磁粉の製造装置。
【請求項6】
請求項5に記載の永久磁石用磁粉の製造装置と、前記閉空間内で移動するパンチを備えたプレス手段と、加熱手段と、を少なくとも備え、
金属粒が付着された磁粉を前記磁場形成手段にて前記閉空間内の一箇所に集め、前記プレス手段を作動させて、集められた磁粉をパンチでプレスしてバルク体を形成し、
前記加熱手段を作動させて前記バルク体を焼成して永久磁石を製造する永久磁石の製造装置。
【請求項7】
前記容器を形成し、閉空間を画成する複数の側壁のうちの一つである第1の側壁に該閉空間に臨む溝が開設され、かつ、該第1の側壁に前記磁場形成手段を構成する第1の磁場コイルもしくは第1の電磁石が埋設されており、該第1の側壁に対向する第2の側壁に前記磁場形成手段を構成する第2の磁場コイルもしくは第2の電磁石が埋設されており、
前記第1の磁場コイルもしくは第1の電磁石、第2の磁場コイルもしくは第2の電磁石の一方をON、他方をOFFするON−OFF制御を交互に実行することで磁粉を閉空間内で飛翔させ、
前記第1の磁場コイルもしくは第1の電磁石をONし、第2の磁場コイルもしくは第2の電磁石をOFFすることで、金属粒が付着された磁粉を前記溝内に集め、前記パンチを該溝内に摺動させて前記バルク体を形成する、請求項6に記載の永久磁石の製造装置。
【請求項8】
前記閉空間内に不活性ガスを導入し、該閉空間内から酸素を排出してその酸素濃度を低減させるガス提供/排気手段をさらに備え、
前記ガス提供/排気手段を作動させて前記閉空間内を不活性ガス雰囲気としながら酸素濃度を低下させ、その後に磁粉の製造、もしくは前記バルク体の焼成が実施される、請求項6または7に記載の永久磁石の製造装置。
【請求項9】
磁粉原料を粉砕して前記磁粉を製造する粉砕装置と、
請求項6〜8のいずれかに記載の永久磁石の製造装置と、
前記粉砕装置および前記永久磁石の製造装置を収容し、その内部が不活性ガス雰囲気に調整されるグローブボックスと、からなり、
前記粉砕装置にて粉砕された磁粉が、前記グローブボックス内の不活性ガス雰囲気下で前記永久磁石の製造装置に手動もしくは自動搬送手段にて搬送され、前記永久磁石の製造装置にて永久磁石が製造されるようになっている永久磁石の製造システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−165739(P2011−165739A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−24046(P2010−24046)
【出願日】平成22年2月5日(2010.2.5)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】