説明

汎用ポテトチップクッカー

【課題】数種類の別々の様式のポテトチップを高い均一性基準で調理する融通性のあるシステムを提供する。
【解決手段】本発明のポテトチップ調理方法及び装置では、ポテトスライスを初期調理ステージから最終調理ステージまで制御下で調理する。スライスを高温調理油中に堆積させてスライスパックを形成し、このスライスパックを調理経路に沿って運び、その間、パックをパドル手段(24)によって攪拌すると共に混合し又は転動させ、個々のスライスが調理媒体との最大限の接触関係をなすようにする。調理経路を1つ以上のステージ(11,12,13)に分割するのが良く、各ステージにおいて、調理時間及び調理温度は、最終水分が1.2〜2%の種々の様式のポテトチップを製造するよう選択・維持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非常に高感度の温度制御装置及び製品運動制御装置を用いることにより、標準チップから「ハードバイト(噛みごたえのある)」又はケトル様式のポテトチップまでの種々のチップを連続的に製造することができる程度まで融通性のある装置及び方法でポテトチップを調理することに関する。
【背景技術】
【0002】
伝統的に、ポテトチップの製造は、市場で広く受けられている伝統的なスタンダードバイト(さくさくした歯ごたえの)チップから例えばケトル又は連続ポテトチップクッカーで製造されるこれよりも固いチップまでのチップの特定の形式又は様式に専用のクッカーで製造されている。種々のポテトチップの全体的特性は、米国特許第5,137,740号明細書の第2〜4コラムに開示されている。製造業者が万が一、或る1つの様式のチップの製造から別の様式のチップの製造に切り替えたいと思った場合、製造業者は、種々の製造設備を置き換え又は自分の既存の設備に対して大規模な改造を施す際に相当大きな投資をしなければならないことに直面する。これら代替策はどれも財政上魅力的であるわけではなく、したがって、通常、製造業者は、自分の専用設備を使い続け又は別の様式のポテトチップを製造するための全く新しい設備ラインを購入している。
【0003】
将来を考えている設備製造業者並びにポテトチップ製造業者は、ポテトチップ調理方法に対する制御を向上させた装置及びシステムを開示した。ベンソン等(Benson, et al.)に付与された米国特許第5,137,740号明細書は、連続調理経路に沿う多数の場所で調理油から水分を除去し、調理油を種々の温度でクッカー内に導入してポテトチップクッカー内に所望の時間‐温度プロフィールをシミュレートすることを教示している。これについては、米国特許第4,738,193号明細書及び同第4,942,808号明細書を参照されたい。なお、これら3つの米国特許は、本発明の譲受人であるヒート・アンド・コントロール・インコーポレイテッド(Heat and Control, Inc.)によって所有されている。連続クッカー内への調理油の注入による調理油温度のプロセス制御及び次の高温油の注入は、米国特許第7,303,777号明細書において教示されている。この場合、目的は、ハードバイトチップを調理するためのバッチケトル油揚器内で見受けられる“U”字形時間‐温度調理曲線を連続クッカー内でエミュレートすることにあった。「ダンカーコンベヤ(dunker conveyor)」及び「パドル(paddle)」の使用によるスナック食品クッカー中の製品運動の制御は、米国特許第6,865,983号明細書及び同第5,580,598号明細書に教示されている。この場合、回転可能なパドルは、調理油の速度に対して製品の自由運動を拘束するのに役立つ一方で、ダンカーコンベヤは、製品を調理油浴中に押し込んで製品の浮遊を回避すると共により完全な製品調理を促進するのに役立つ。ポテトチップ製造業者の長年にわたって求められていて望ましい目的は、チップ間の外観、水分及びチップ油含有量について高レベルの一貫性を得ることである。完成品のチップ中の水分が所望のエンドポイントまで制御される場合、製品の商業上の保存寿命は、最終消費者が良好であると予想できる製品を購入してこれを気持ちよく食べることについて信頼をもつことができるよう制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5,137,740号明細書
【特許文献2】米国特許第4,738,193号明細書
【特許文献3】米国特許第4,942,808号明細書
【特許文献4】米国特許第7,303,777号明細書
【特許文献5】米国特許第6,865,983号明細書
【特許文献6】米国特許第5,580,598号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
概要を述べると、本発明は、その広義の観点において、多数の別々の調理ステージを提供するよう多数の別々の調理油浴を有するよう構成されたポテトチップクッカーである。各調理ステージは、別個独立の油加熱、油循環及び温度制御手段を備えている。さらに、各ステージは、かかるステージでポテトスライスのパックを選択された攪拌速度及び選択された持続時間で激しくかき回し、混ぜ合わせ、かき混ぜて、チップ調理様式の如何に係わらず、水分及び外観が実質的に均一の最終品としてのポテトチップを製造するための多数の手段を備えている。
【0006】
本発明の全体的な目的は、幾つかの別々の様式のポテトチップを高い均一性基準に合わせて調理し、パッケージ入りチップの商業的受け入れ及び長い保存寿命を補償するための融通性のあるシステムを提供することにある。
【0007】
本発明の別の目的は、各々が互いに異なる時間‐温度調理プロフィールを有するが、ハードバイト又は他のポテトチップを調理する場合、公知の“U”字形時間及び温度曲線に従うことはない多様なポテトチップ製品に対応するようになった連続調理システムを提供することにある。
【0008】
本発明の更に別の目的は、油浴のうちの1つだけ又は数個を一度に使用できる多数の油浴を備えた多製品調理システムを提供することにある。
【0009】
本発明の更に別の目的は、製品が調理システム中を動いているときに、多様な調理時間に対応するよう変速型製品かき回し、かき混ぜ、混ぜ合わせ及び衝突ユニットを備えた改良型ポテトチップ調理システムを提供することにある。
【0010】
本発明の上記目的及び他の目的は、図面を参照して行われる好ましい実施形態の以下の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明を実施する好ましい調理装置の部分断面側面図である。
【図1A】図1の1Aで囲んだ部分の拡大図であり、本発明のステージIに含まれる調理ステップを実行することが望ましい装置を示す図である。
【図1B】図1の1Bで囲んだ部分の拡大図であり、本発明のステージIIに含まれる調理ステップを実行することが望ましい装置を示す図である。
【図1C】図1の1Cで囲んだ部分の拡大図であり、本発明のステージIIIに含まれる調理ステップを実行することが望ましい装置を示す図である。
【図2】図1と同様な図であるが、本発明のステージIIIにおいてポテトチップパックを制御するためのサブマージャ(浸漬)型コンベヤを示す図である。
【図2A】図2の2Aで囲んだ部分の拡大図であり、サブマージャ型コンベヤの細部を示す図である。
【図3】クッカーのフードが取り外された状態の図1の調理装置の断面側面図である。
【図4】本発明の3つのステージの各々のための別個独立の調理油加熱及び循環システムの略図である。
【図5】ステージIとステージIIとの間及びステージIIとステージIIIとの間の典型的な移行中におけるチップパックの転動動作を示す拡大側面図である。
【図6】チップパックに対するパドルの激しいかき回し及び混ぜ合わせ作用を示す拡大部分側面図である。
【図7】図6と同様な図であるが、図1の装置のステージIIIからのチップパックの放出状態を示す図である。
【図8A】本発明において有用な回転可能なパドル、かき回しパドルと制御パドルの両方についての1つの構成の斜視図である。
【図8B】本発明において有用な回転可能なパドル、かき回しパドルと制御パドルの両方についての1つの構成の斜視図である。
【図9】本発明において有用な回転可能なパドル、かき回しパドルと制御パドルの両方についての別の構成の斜視図である。
【図10】本発明において有用な回転可能なパドル、かき回しパドルと制御パドルの両方についての別の構成の斜視図である。
【図11】本発明において有用な回転可能なパドル、かき回しパドルと制御パドルの両方についての別の構成の斜視図である。
【図12】本発明において有用な回転可能なパドル、かき回しパドルと制御パドルの両方についての別の構成の斜視図である。
【図13】本発明において有用な回転可能なパドル、かき回しパドルと制御パドルの両方についての別の構成の斜視図である。
【図14】本発明において有用な回転可能なパドル、かき回しパドルと制御パドルの両方についての別の構成の斜視図である。
【図15A】本発明において有用な回転可能なパドル、かき回しパドルと制御パドルの両方についての別の構成の主として斜視図である。
【図15B】本発明において有用な回転可能なパドル、かき回しパドルと制御パドルの両方についての別の構成の主として斜視図である。
【図16】本発明の調理ステージの各々のための別個独立の制御システムの略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に従って構成され、本発明の方法を実施することができるポテトチップクッカー10が、図面に示されており、図1を参照すると、このポテトチップクッカーは、例えば、3つのステージ、即ち、図1Aに示されている第1のステージ11、図1Bに示されている第2のステージ12及び図1Cに示されている第3のステージ13を有している。本明細書におけるこれら3つのステージの図示、説明及び議論は、例示であり、本発明を限定するものではない。これは、ポテトチップパック(図5〜図7参照)が製品調理経路(この経路は、図面の図1及び図2では左側から右側に向いている)に沿って順次クッカー10を通って送り進められているときにポテトチップパックの処理に言及するのに都合の良い仕方であると考えられる。
【0013】
各ステージでは、ポテトチップパック14は、高温調理油の別々の浴中に浸漬され、あらかじめ選択された時間にわたって高温油中に維持され、油は、所望のあらかじめ選択された温度に維持される。同様に、各ステージにおけるパック14は、かき混ぜを激しく受け、この場合、チップは、分離され、かき回され、混ぜ合わされ、転がされて調理油への最大限の暴露が達成され、チップ調理速度が増大する。別の見方をすると、上述の激しいかき混ぜは、パックによりチップ表面から外部に且つチップ内から内部に運ばれた製品水を蒸発させるのに役立ち、それにより、チップごとの一様な調理が得られると共にチップ相互の「クランピング(clumping)」が事実上なくなる。後者は、よく見られる業界における現象であり、この場合、2つ又は3つ以上のポテトチップの群が調理経路を沿うどこかの場所で互いに結合し、結局、この結果として、ポテトチップクランプが生じ、かかるクランプを検出して完成状態の製品から除去する必要がある。
【0014】
ポテトチップクッカー10は、全部で3つのステージ11〜13を含む単一の長手方向に延びるパン16内に形成されても良く、或いは、このクッカーは、これらステージを含む多数のパンユニット(図示せず)から構成されても良い。パン16の全長にわたって延びる蒸気閉じ込めフード17が、調理プロセス中に生じた蒸気及び調理油のミストをクッカーそれ自体に封じ込め、排気煙突18が、ミストを制御してこれをドアの外に差し向ける。垂直脚支持体19が、クッカーをポテトチップ調理ライン中の他の製造ユニット(図示せず)の高さと捕捉し合う高さ位置に維持する。
【0015】
当該技術分野において周知である回転型のポテトスライサ21は、ポテトスライスを図1Aに示されているように高温調理油22内に直接排出するようクッカーに対して配置されているのが良い。変形例として、洗浄済みの又は洗浄されていない、皮むきされた又は皮むきされていないポテトスライスを先ず最初に移動中のベルト(図示せず)上に配置し、次に油中に落下させても良い。両方の場合において、高温油中へのポテトスライスの投入は、ポテトスライスからの水がすぐに蒸気になることにより引き起こされる乱流沸騰を促進する。これは、調理方法における第1のステージを開始させ、かかる第1のステージでは、図6及び図7に示されているポテトスライスのパック14を生じさせると共に制御し、そして第1のステージ11内に維持されている量の調理油内で指定された期間にわたり指定された調理温度でかき回す。以下により完全に説明する制御パドルユニット24及びかき回しパドルユニット26は、パック14の制御機能、かき回し機能及び混ぜ合わせ機能を実施する。しかしながら、この時点で言及できることとしては、2008年4月30日に出願され、本発明の譲受人に譲渡されている同時係属中の米国特許出願第12/150,856号明細書に開示されているように構成されたパドルユニットは、本発明における作用にとり満足の行くものである。この特許出願を参照により引用し、その開示内容を本明細書の一部とする。パドルユニット24,26は、各々、独立制御可能なモータ27(図3)により駆動され、これらモータは、モータ駆動制御装置48(図16)と連絡してパドル回転度及びパドル回転方向を、慎重な時間制御方式でパックをステージ中で推進する目的に合わせて細かく制御することができるようになっている。
【0016】
調理油22は、油入口28を通ってクッカーパン16内に圧送され、そしてこれから取り出されて油ドレン又は吐出管29を通って循環方式で加熱されたり補充されたりし、かかる管29は、このステージの下流側端部のところに設けられた油溜め31内に位置決めされている。可動ベルト型の傾斜ポテトチップテイクアウトコンベヤ32は、図1Aに示されているように、下端部が油溜め31内に且つこのステージ内の公称調理油レベルよりも下のところに位置決めされた状態で配置されている。コンベヤ32は、モータ駆動制御装置28(図16)によりポテトチップテイクアウト速度及びポテトチップパック滞留時間について調整されるコンベヤ駆動モータ33(図3)によって駆動される。ポテトチップのパックは、制御パドル24の組み合わせ作用により順次テイクアウトコンベヤ32上に動かされ、かかる制御パドルは、油入口28及び油吐出管29を通ってパン内で循環している調理油22の流れと協調して(前方とその逆の後方の両方に)作用する。テイクアウトコンベア32は、一ステージから別のステージへのポテトチップパック14の移行を行うのに役立ち、チップパックを図5に示されているように転動動作で連続している次のステージ中に推進する。この自由落下転動動作により、調理用ポテトチップパックが次の調理ステージであるステージIIに丁度入ったときに調理用ポテトチップパックの一段のかき回し及び混ぜ合わせが生じる。
【0017】
図1Bに明確に示されているステージII(12)は、ステージI(11)に関して上述した装置に類似した装置を有しており、これらにはプライム記号(′)が付けてある。特に、ステージ12は、ステージIの調理油浴とは別の調理油22′のそれ自体の別の容量又は浴と、制御パドルユニット24′と、混ぜ合わせ及びかき回しパドルユニット26′を有している。高温油入口28′、油吐出部29′、油溜め31′及びテイクアウトコンベヤ32′は全て、ステージ12に存在する。しかしながら、理解されるように、上述のことは、ステージIIにおけるパドル回転速度、油の量及び温度並びにパック滞留時間に関し、ステージIのものとは異なっている。これにより、このステージ12では、ステージIに関する制御装置(図16)に設定されたパラメータと同じであっても良く、或いはこれらパラメータとは実質的に異なっていても良いポテトチップのパックの調理に対する非常に細かく且つ厳密な制御が可能である。ポテトチップのパックは、ステージII中で混ぜ合わされ、かき回され、制御され、推進され、そしてテイクアウトコンベヤ32′上に押圧されて、転動動作状態で図1Cに示されている次の調理ステージ、即ちステージIII(13)に移送される。
【0018】
ポテトチップのパックを調理するための3つのステージが図示されていて、本明細書において説明されるが、或る特定のポテトチップ調理用途は、最終製品に望まれる質及び量に応じて、3つよりも少ない数のステージ又は3つよりも多い数のステージを採用することが望ましい場合がある。ステージIII(13)は、ステージI(11)及びステージII(12)に関して上述した装置に類似した装置を有しており、これらにはプライム記号(″)が付けてある。特に、ステージ13は、ステージI又はステージIIの調理油浴とは別の調理油22″のそれ自体の別の容量又は浴と、制御パドルユニット24″と、混ぜ合わせ及びかき回しパドルユニット26″を有している。高温油入口28″、油吐出部29″、油溜め31″及びテイクアウトコンベヤ32″は全て、ステージ13に存在する。しかしながら、理解されるように、上述のことは、ステージI又はステージIIにおけるパドル回転速度、油の量及び温度並びにパック滞留時間に関し、ステージI又はステージIIのものとは異なっている。この構成により、このステージ13では、ステージI又はステージIIに関する制御装置(図16)に設定されたパラメータと同じであっても良く、或いはこれらパラメータとは実質的に異なっていても良いポテトチップのパックの調理に対する非常に細かく且つ厳密な制御が可能である。ポテトチップのパックは、ステージIII中で混ぜ合わされ、かき回され、制御され、推進され、そして図7に示されているように、テイクアウトコンベヤ32″上に押圧されて、当業界では良く理解されているように次の処理ステップ(図示せず)、例えばシーズニング、検査及び包装等に転動動作状態で移送されたり送り出されたりする。
【0019】
特に図4を参照すると、調理油加熱、循環及び補充システムが、3つの個々のステージ11,12,13について示されている。各システムは、熱交換器36、油循環ポンプ37、制御弁38及び連結管39を有している。次に図16を参照すると、循環ポンプの速度、調理油温度、油レベル、油量及び補給油のための制御システム41は、当業者には十分理解される細かい程度まで概略的に開示されており、したがってそれ以上の説明は不要であると考えられる。
【0020】
図6、図8A及び図8Bは、図1B、図1C及び図2に示されたパドルホイールのより詳細な記載である4ブレードセグメント状パドルホイール25を示している。4つのブレード43の各々は、ゲージ金属薄板に金属プレスブレーキで2回の処理を施すことによって形成されており、それ故、2屈曲ブレードという用語が用いられる。ブレードの屈曲部又は金属曲げ変形部は、各々、ブレード25の先端部又は端部がシャフト44上のそのベース取り付け位置から遠ざかって延びるよう角度をなしている。隣り合うブレードセグメント43相互間の空間又はスロット46は、ポテトの公称幅又は全体幅よりも小さいよう選択されるのが良く、ポテトスライスはスロット又は隙間46を通過するのが阻まれる一方で、調理油の流れはこれを通ることができる。
【0021】
さらに、パドルホイールユニット25は、クッカーパン16内で垂直に位置決めされるのが良く、ブレードセグメント43は、パンの底部から、ブレードセグメント43の下におけるポテトスライスの運動を阻止する距離だけ間隔を置いて位置するようになっている。ブレード43の幅は、ポテトチップパック14を制御したりかき回したりするのに有効であるが、かかるブレードの幅は又、製品が流動中の調理油により自由に運ばれる傾向を抑えるのに役立つ。それ故、セグメント状ブレードパドルホイールは、調理経路に沿うポテトチップパック14の流れを妨げてかかる流れの調整を助ける。
【0022】
図1B、図1C、図6及び図8に矢印47で示されているように、セグメント状パドルホイール25は、時計回りの方向と反時計回りの方向に回転可能である。図1及び図2を見て、ポテトチップパック14が左側から右側にポテトチップクッカー10(調理経路)中を流れると仮定すると、反時計回りの方向のセグメント状パドルホイール25の回転は、チップパック14の運動に抵抗するのに役立つ。パドルホイール25は、時計回りの方向に回転すると、チップパック14をひったくるようにこの中に入り、チップパックをかき混ぜて幾分かの製品をパック内の別の場所にシフトさせるのに役立つ。セグメント状パドルホイール25を連続回転パターンで回転させる際並びに最初に一方向に、次に逆の方向に揺動パターンで回転する際に利点が得られる。結果は、調理作業中、パック14内でのポテトスライス製品の激しいかき回し及び混ぜ合わせが生じる。
【0023】
図9、図13及び図15は、他の多ブレードセグメント状パドルホイール25、25′25″、25′″の図であり、これらセグメント状パドルホイールは、図1及び図2に示されているパドルホイール25のより詳細な内容である。ブレード49の各々は、ゲージ金属薄板に金属プレスブレーキで2回又は3回の処理を施すことによって形成されており、それ故、2又は3屈曲ブレードという用語が用いられ、これらは全て、ブレード43と関連して上述されている。8ブレード形態25′″(図13及び図15)は、パドルホイール25と関連して上述した基本的機能をまかなうことができるが、この場合、8ブレード付きパドルの一目的は、少量のポテトスライス製品14に係合することにある。換言すると、ブレード相互間の小さな「ポケット」により、製品の小さなパックに係合してこれを保持することができる。この結果、パドルが下流側に回転しているときに放出されるべき製品のより頻繁な小さな「バッチ」が生じる。別の特徴としては、8ブレード付きパドルは、パドルホイール25′″が製品の流れ方向に回転しているときに、ポテトチップパックに係合したときにより積極的な作用をもたらすことができるということにある。
【0024】
図10及び図14は、それぞれ、セグメント状パドルホイールの2つの他の形態51,52を示しており、これらは、中心軸シャフト54から半径方向に延びるフィンガ状ブレード又は歯53を備えており、かかるシャフト54は、方向を表す矢印47によって示されているように回転可能である。これら歯又はブレード53の各々は、シャフト54に対して横方向の少なくとも3つの平面内に延びるよう曲げられており、かかる歯又はブレードは、製造中、少なくとも3回の屈曲処理を受ける。端面図で視覚化される場合、歯又はブレード53は、シャフト54回りに形成された“S”曲線形態を取ることが認識されよう。フィンガ状ブレードの重要な特性及び機能は、これらフィンガ状ブレードが、ポテトチップパックの激しいかき回し及び混ぜ合わせを提供し、調理油との一様な接触を促進すると共に互いにくっつきあった製品のクランプとして、即ち望ましくない状態をなくすことにある。
【0025】
図11は、全体が図1及び図2に示されているパドルホイール24を更に詳細に示している。この場合、ブレード又は羽根56は、筒体又はドラム57の表面から斜めの角度をなして延びるよう取り付けられている。作動にあたり、ドラム57は、ブレード56が激しいかき回し状態でポテトチップパック中に入りながらポテトチップパックを押し下げる際にサブマージャ機能を受け持つ。ドラムは、矢印47によって示されている方向にモータ駆動されるよう中心シャフト58に対して適当に取り付けられている。
【0026】
図12は、全体が図1及び図2に示されているパドルホイール26を更に詳細に示している。この場合、互いに間隔を置いたブレード又はフィンガ59は、断面が全体として長方形であり、かかるブレード又はフィンガは、矢印47によって示されている方向に回転可能な中心シャフト61から半径方向外方に突き出ている。作動にあたり、パドルホイール26は、激しいかき混ぜ及びかき回し動作でポテトチップパック14に侵入し、それにより未調理チップのかき混ぜ及び高温調理油への未調理チップのそれ以上の暴露を促進する。
【0027】
特に図2及び図2Aを参照すると、第3ステージ13′において、サブマージャ型コンベヤユニット63が示されており、このサブマージャ型コンベヤユニットは、外方に突き出ると共に側方に延びる羽根66を備えた可動連続ベルト64を有している。サブマージャは、ポテトチップのパック14に係合してテイクアウトコンベヤ32″に向かうパックの運動を制御するようコンベヤベルト64の下側走行部が調理油のレベル又はそれよりも僅かに下のレベルのところに位置した状態でクッカー10内に配置されている。サブマージャ型コンベヤ63は、ポテトチップパック14を調理油と密な接触状態に維持してクッカー10からのパックの取り出し前に完全な調理が起こることができるようにするのに役立つ。サブマージャ型コンベヤは、クッカー10を通る製品運動方向に駆動されるよう構成されており、チップパックの調理時間の細かい制御が可能になる。
【0028】
図17及び図18を参照すると、ハードバイトポテトチップ及び伝統的なポテトチップの写真がそれぞれ示されており、両方のチップ様式は、本明細書において開示した方法の実施によりポテトチップクッカー10で製造可能である。予備調理ステップは、生のポテトに適用されるものとして選択可能であり、これらステップは、生のポテト全体の皮むきステップを含む。しかしながら、このステップは、調理後における特定のポテトチップテキスチャ及び外観を達成するために省かれる場合がある。別の予備調理ステップは、スライス作業中に壊れる非結合ポテト細胞又はでんぷん粒子を除去するよう生のポテトスライスを洗浄するステップに関する。生の洗浄済みポテトスライスを調理した結果として、図18に示されているような標準型の完成状態のチップが得られる。これとは逆に、生の未洗浄ポテトスライスを完全に調理した結果として、図17に示されているような完成状態のハードバイトチップが得られる。図17及び図18に示されている洋式のポテトチップの両方及びこれら2つの様式に由来するポテトチップは、市場で商業的に受け入れられると共に望まれており、本発明の装置10は、洗浄済みポテトスライスと未洗浄ポテトスライスの両方並びに多様式のチップを開示されている方法で調理するようになっている。調理済みポテトチップの魅力としての質を一段と高めることは、適当な媒体、例えば乾燥窒素、乾燥蒸気等内でチップを乾燥させるステップである。
【0029】
調理済みポテトチップの望ましい最終水分は、約1.2%〜約2.0%であることが判明しており、この範囲は、図17のハードバイトチップ又は図18の標準型の伝統的なチップのいずれにも当てはまる。
【0030】
概略制御図としての図16は、クッカー10の各ステージにおける油温度及び流量の厳密な調整を可能にする機能コンポーネント並びにモータ駆動制御装置48を示している。これらにより、各調理ステージにおいてポテトチップパックを制御してこれを所望の時間にわたり維持するよう制御パネルの回転速度及び回転方向の調整が可能である。さらに、第1ステージ11では、駆動モータ制御装置28は、約10秒〜約120秒のチップパックの滞留時間の実現を可能にする。調理油温度を図16に示されているように温度制御装置68に結合された温度センサ67の作用により第1ステージにおいて270°F(132℃)〜約410°F(210℃)に保持されるのが良い。モータ駆動制御装置28により、パドルは、1rpmという低い回転速度から100rpmという高い回転速度まで選択的に回転可能に動作することができ、上限は、ポテトスライスを空気により運ばれるようにならないよう制御すると共にパックの一体性を保持するようになっている。
【0031】
さらに、図16に示されている上述のコンポーネントは、第2ステージ12(図1B)において、約30秒〜約720秒のポテトチップパック滞留時間の実現を可能にする。調理油温度を220°F(104℃)〜約370°F(188℃)に維持するのが良い。
【0032】
第3ステージ13に関し、図16に示されているコンポーネントは、約30〜約120秒のポテトチップパック滞留時間及び220°F(104℃)〜約370°F(188℃)の調理油温度の実現を可能にする。理解されるべきこととして、各ステージに関する熱交換器36の容量は、ステージの各々における調理油温度の制御を約2°F(1.1℃)〜約40°F(22℃)の温度差(ΔT)に維持することができるようなものである。
【0033】
ポテトチップの多ステージ調理では、各調理ステージの終わりに依然として調理を行いながらポテトチップの所定の水分を達成することを目的とすることが望ましい。これは、ポテトスライスのステージからステージへの小刻みの水分減少プロセスである。例示の目的は、第1のステージ11の終わりで且つテイクアウトコンベヤ32を介する第2ステージ12に入る前において、チップ水分が約10%〜約60%減少するということにある。同様に、目的は、第2ステージ12の終わりにおいて、スライスの水分を約5%〜約35%に減少させることができるということにある。達成可能な目的は、第3ステージ13の終わりに、スライスの水分が約1.2重量%〜約2.0重量%に達することができるということにある。
【0034】
本発明の構造及び方法に対して種々の改造を施すことができ、これら改造例は、本発明の範囲に依然として含まれることは容易に理解されよう。特に、本発明の装置がセグメント状パドルホイールの有効回転速度だけでなく、回転方向においても又はパドルホイールの揺動速度の調節を可能にするということは、当業者であれば上述の説明から容易に理解できよう。この調節可能性というこの特徴は、良好な調理時間及び水分、品質及び外観に関する最終製品又は完成品の結果として得られる一様性に一致する。したがって、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によってのみ定められる。
【符号の説明】
【0035】
10 ポテトチップクッカー
11 第1ステージ
12 第2ステージ
13 第3ステージ
14 ポテトチップパック
16 パン
19 支持体
21 ポテトスライサ
22 調理油
24 制御パドルユニット
25 パドルホイール
26 攪拌パドルユニット
28 油入口
32 テイクアウトコンベヤ
36 熱交換器
37 油循環ポンプ
43 羽根

【特許請求の範囲】
【請求項1】
様々な様式及び形式のポテトチップを調理油中で調理する方法であって、
別々の調理ステージを有する少なくとも3つの別々の調理油浴を収容するよう構成されたクッカーであって、各ステージが、独立した油加熱手段、油循環手段及び温度制御手段を備えたクッカーを用意するステップと、
所与の量の未調理ポテトスライスを前記第1の調理ステージ中に導入して前記第1のステージの前記調理油浴中に未調理スライスのパックを生じさせるステップと、
前記第1の調理ステージにおいて前記未調理ポテトスライスパックを所定の滞留時間にわたり激しくかき回し、混ぜ合わせ、かき混ぜるステップと、
前記ポテトチップパックを前記第1の調理ステージから前記第2の調理ステージにかき回し転動作用で移送するステップと、
前記スライスパックを第2の所定の滞留調理時間にわたり激しくかき回し、混ぜ合わせ、かき混ぜながら前記スライスパックを前記第2の調理ステージ中に維持するステップと、
前記ポテトスライスパックを前記第2の調理ステージから前記第3の調理ステージにかき回し転動作用で移送するステップと、
前記スライスパックを第3の所定の滞留調理時間にわたり激しくかき回し、混ぜ合わせ、かき混ぜながら前記スライスパックを前記第3の調理ステージ中に維持するステップと、
次に、連続して、前記スライスパックを前記第3の調理ステージから取り出すステップとを有する、
ことを特徴とするポテトチップ調理方法。
【請求項2】
生のポテトスライスを水で洗浄し、次に洗浄した前記スライスを前記第1の調理ステージ中に導入するステップと、
前記調理時間及び油温度を全ての調理ステージにおいて制御して最終水分が約1.20%〜約2.00%の標準様式のポテトチップを製造するステップとを有する、
請求項1記載のポテトチップ調理方法。
【請求項3】
未洗浄の生のポテトスライスを前記第1の調理ステージ中に導入するステップと、
前記調理時間及び油温度を全ての調理ステージで制御して最終水分が約1.20%〜約2.00%のハードバイトのポテトチップを製造するステップとを有する、
請求項1記載のポテトチップ調理方法。
【請求項4】
前記第1ステージでは、前記滞留時間は、約10〜約120秒であり、調理油温度は、270°F(132℃)〜約410°F(210℃)である、
請求項1記載のポテトチップ調理方法。
【請求項5】
前記第2ステージでは、前記滞留時間は、約30〜約720秒であり、調理油温度は、220°F(104℃)〜約370°F(188℃)である、
請求項1記載のポテトチップ調理方法。
【請求項6】
前記第3ステージでは、前記滞留時間は、約30〜約120秒であり、調理油温度は、220°F(104℃)〜約370°F(188℃)である、
請求項1記載のポテトチップ調理方法。
【請求項7】
前記ステージの各々の内部に約2°F(1.1℃)〜約40°F(22℃)の流入調理油温度と流出調理油温度の差(ΔT)を維持するステップを有する、
請求項1記載のポテトチップ調理方法。
【請求項8】
第1ステージでは、前記調理時間は、前記ポテトスライスの水分を約10%〜約60%に減少させるのに役立つ、
請求項1記載のポテトチップ調理方法。
【請求項9】
第2ステージでは、前記調理時間は、前記ポテトスライスの水分を約5%〜約35%に減少させるのに役立つ、
請求項1記載のポテトチップ調理方法。
【請求項10】
第3ステージでは、前記調理時間は、前記ポテトスライスの水分を約1.2%〜約2%に減少させるのに役立つ、
請求項1記載のポテトチップ調理方法。
【請求項11】
前記第3ステージにおける次の処理では、前記ポテトスライスを、真空油揚げ、脱油、及び乾燥を含む群から選択された次のプロセスに導入するステップを有する、
請求項1記載のポテトチップ調理方法。
【請求項12】
ポテトチップを連続パック形成方式で調理する装置であって、
複数個の個々の別々の調理油浴を収容するよう構成された細長いポテトチップ油揚器と、
各々が前記調理油浴の各々にそれぞれ専用となっている複数の熱交換手段と、
各々が前記調理油浴の各々にそれぞれ専用となっている複数の油循環手段及び温度制御手段と、
前記油揚器の一端部から他端部への前記ポテトチップパックの運動を制御するのに役立つ第1及び第2の形式の回転可能なポテトチップパックかき回し及び混ぜ合わせ手段と、
前記第1の形式の混ぜ合わせ手段を第1の回転パターンで回転させるのに役立つと共に前記第2の形式の混ぜ合わせ手段を第2の回転パターンで回転させるのに役立つモータ及び制御手段とを有し、前記ポテトチップパックを完全にかき混ぜ、混ぜ合わせ、かき混ぜることにより、前記個々のポテトチップスライスの調理均一性を促進する、
ポテトチップ調理装置。
【請求項13】
前記第1の形式の混ぜ合わせ手段は、回転可能なシャフトを有し、複数の互いに間隔を置いたブレードが前記シャフトから半径方向に延びており、前記ブレードは、前記ポテトチップの幅よりも短い距離にわたり互いに間隔を置いて位置している、
請求項12記載のポテトチップ調理装置。
【請求項14】
前記第2の形式の混ぜ合わせ手段は、回転可能なシャフトを有し、複数の互いに間隔を置いた歯が前記シャフトから半径方向に突き出ている、
請求項12記載のポテトチップ調理装置。
【請求項15】
前記第2の形式の混ぜ合わせ手段は、フィンガ状の形態に形成された歯を有する、
請求項14記載のポテトチップ調理装置。
【請求項16】
前記第1の形式の混ぜ合わせ手段は、回転可能なシャフトと、前記シャフトに取り付けられた円筒形外面を備えたドラムと、前記ドラム外面から外方に延びる複数の羽根等を有する、
請求項12記載のポテトチップ調理装置。
【請求項17】
前記羽根は、前記ドラムの軸方向に延びていて、前記ドラムから一回転方向に突き出るよう構成されている、
請求項16記載のポテトチップ調理装置。
【請求項18】
前記ブレードは、前記シャフトから2屈曲形態で延びている、
請求項13記載のポテトチップ調理装置。
【請求項19】
前記ブレードは、前記シャフトに4枚のブレードの組をなして取り付けられている、
請求項13記載のポテトチップ調理装置。
【請求項20】
前記ブレードは、前記シャフトに8枚のブレードの組をなして取り付けられている、
請求項13記載のポテトチップ調理装置。

【図1】
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【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図2A】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−22371(P2010−22371A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−187538(P2009−187538)
【出願日】平成21年7月22日(2009.7.22)
【出願人】(505384380)ヒート アンド コントロール インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】