説明

汚染された物品の洗浄ための組成物及び方法

(a) 第一の圧力で沸点を有する少なくとも一種の可燃性溶媒;(b) 前記可燃性溶媒の前記第一圧力沸点付近よりも低い前記第一の圧力で沸点を有する少なくとも一種の第一非可燃性溶媒;及び (c) 前記可燃性溶媒の該第一圧力沸点付近よりも高い前記第一圧力で沸点を有する少なくとも一種の第二非可燃性溶媒を含む共沸性組成物の提供に基づく汚染された物品を洗浄するための組成物及び方法を開示する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の分野
本発明は汚染物を物品から除去するための組成物、方法及びシステムに関する。
発明の背景
ワックス類、グリース類、油類及び半田融剤残渣類等の汚染物類を除去するための製品類及び製品類の部品類を洗浄することは多くの製造、維持及び一新操作の不可欠の部分である。更に、多くの金属物品または構成部品類は二次加工中に油類または他の加工剤で処理され、そしてこの油は物品がいつでも使用または販売できる状態にする前に、或いは該部品が出来上がった製品に取り付けられる前に除去しなければならないことがしばしば要求される。また、過剰のロジン融剤を印刷回路版からそれが使用受理される前にしばしば除去しなければならない。このような物品類および部品類から汚染物類を除去するために溶媒洗浄方法がしばしば用いられる。
【0002】
広く知られた商業的溶媒洗浄方法は、半水性洗浄である。半水性洗浄は油類、グリース類及びワックス類に対して高度の親和性を有するテルペン類、エステル類または石油留出物等の比較的高沸点の溶媒中で物品を洗浄することを包含する。このような溶媒類は表面活性剤の助けを借りて、或いはその助けなしに用いることができる。一度汚染物類が洗浄されると、通常物品は純水を用いる多数のすすぎ工程で高沸点炭化水素溶媒をすすぐ。該炭化水素溶媒は次いで典型的には水から相分離されて洗浄溜めへ戻され、一方水性流出液は下水道へ排出する前に処理されなければならない。この方法の欠点は、該炭化水素溶媒が一般に低引火点を持ち、そのため溶媒は爆発の危険性を最小にするために注意深く取り扱わなければならず、或いは窒素等の不可燃性圧縮ガスで覆われしなければならない。窒素ガスは凝縮域に含まれるフルオロカーボンの濃厚な蒸気より遥かにとらえどころがない。更に、多くの応用において、洗浄される物品は炭化水素溶媒と相溶性がありうるが、プラスチック類または金属類は水性すすぎ溶媒と不相溶性であるものもあり、結果として水を吸収するか或いは該物品をさびさせる。
【0003】
1,1,2-トリクロロ-1,2,2-トリクロロエタン (CFC-113) 等のクロロフルオロカーボン類 (CFC) が、例えば、金属構成部品類、ガラス類、プラスチック類、複合材料等の種々様々の固体表面類を清浄にして脱脂するために工業的に幅広く用いられている。しかし、溶媒組成物は任意の溶媒のみの使用に比して、洗浄機能に重要な一種以上の特性を改良するために共溶媒を含むのが普通である。例えば、合衆国特許第6,133,221号は、ある種の臭化水素化化合物類をこの化合物と組み合わせた溶媒の有用性を有する一種以上の共溶媒と共に用いることを包含する洗浄方法を開示している。
【0004】
多くの先行技術の洗浄の応用において、洗浄組成物に用いられる溶媒類を熱源に曝すことに関連する潜在的火災または爆発の危険に関する懸念がある。溶媒類を熱源に曝すことに関連する潜在的危険を制限する一つの解決策は純粋に非可燃性溶媒のみを利用することである。
【0005】
材料から残留汚染物の除去するためにこれまで用いられていきた溶媒類の種類は多く且つ種々あるにも拘らず好ましい溶媒の多くは高度に可燃性である。単一溶媒のみを利用することもまた洗浄方法の有効性を限定する事となる。例えば、塩素化炭化水素類、脂肪族炭化水素類、アルコール類及びテルペン類はロジン融剤用溶剤類として知られている。それらの低蒸気圧で蒸気状態での良溶媒和能力のためにクロロフルオロカーボン類を含む塩素化炭化水素類が蒸気脱脂型方法において幅広く用いられてきた。しかし、塩素化炭化水素類は洗浄される基質上に存在するイオン残基類に対して一般に比較的貧溶媒類である。このため及び他の理由で塩素化炭化水素一般及び特にクロロフルオロカーボン類は他の低沸点溶媒類と組み合わせて用いられることがあった。
【0006】
単一成分溶媒を用いる別法の解決策は、例えば合衆国特許第6,133,221号に開示されているような引火点または燃焼点を有しない共溶媒類の組み合わせを用いるものである。この特許は、特に脱脂用途に好ましくはこのような共溶媒が一定の沸騰共沸混合物か、或いは少なくとも約24時間いかなる実質的な組成変化もなく蒸留する少なくとも一種の溶媒組成物を形成する洗浄溶媒組成物を提供するように選択され、その結果洗浄溶媒組成物は何れの成分をも優位に希釈乃至濃縮しないで再循環できる。引火点を示さない共沸混合物様の組成物を乾燥及び洗浄用途に用いることも合衆国特許第6,291,416号に開示されている。可燃性組成物が洗浄過程が進行するに連れて蒸気脱脂装置の一部分以上において発生する傾向があるため、可燃性溶媒を含む成分の非共沸混合物の使用は蒸気脱脂装置の使用において危険であるとこれまで一般的に認識されてきた。
【0007】
しかしながら、共沸組成物を形成する可燃性及び非可燃性溶媒の非分離性(共沸性)の非可燃性混合物の発見は困難であり予想できないものである。従って発明者等は共沸溶媒組成物を安全に用いて有効に物品を清浄にする洗浄方法に対する必要性を認識していた。特に、発明者等は洗浄操作中に分離するが洗浄操作を通して非可燃性である可燃性及び非可燃性溶媒の非共沸性組み合わせに対する必要性を認識していた。
【0008】
発明及び好ましい実施態様の記述
本発明の好ましい側面は、有効な溶媒和剤及び可燃性及び非可燃性溶媒の両方を含む溶媒組成物を用いて汚染物を含む物品を洗浄する方法を提供することにより上記必要性及びその他を満たす。本発明者らは、少なくとも一種の可燃性溶媒と複数の非可燃性溶媒類を含む溶媒のいくつかの組み合わせは、ある種の蒸気脱脂工程を含むある種の洗浄工程においては分離するが、このような洗浄工程中では可燃性溶媒混合物を創り出すよう方法では有利には分離しないことを見出した。いくつかの好ましい態様で、望ましい有効な洗浄組成物が、可燃性溶媒を、使用が意図される洗浄システムの好ましくは予想操作圧力である第一の圧力での沸点を有しその沸点は可燃性溶媒の該第一圧力での沸点よりも高い少なくとも一種の非可燃性溶媒と該可燃性溶媒の該第一圧力沸点よりも低い該第一圧力における沸点を有する少なくとも一種の非可燃性溶媒とに組み合わせることにより提供することができることを見出した。多くの好ましい態様において、システムの予想操作圧力は実質的には1気圧であり、従って多くの好ましい態様において、比較される沸点は溶媒の標準沸点である。本明細書において異なると記載されない限り、用語「沸点」は標準沸点を言う。
【0009】
本発明の好ましい洗浄方法は溶媒和方法により付着汚染物を物品類の表面から有効に除去するために本発明の溶媒和剤を用いることを包含する。追加的に、或いは代わりに、洗浄は物品を溶媒和剤と接触させ、それにより汚染物を溶媒和剤の動力学的な力により除去することにより達成される。本発明において用いられる用語「物品」は望ましくない物質により汚染される任意の装置、製造物品、或いは任意のそのような装置また物品の任意の部分または表面を指し、またはその意味に含む。従って、用語「物品」は、例えば機械部品、道具類、部品アセンブリ、印刷回路基板及び任意のこれらの何れかの部分または表面を包含する。用語「汚染物」は同様に広い意味で用いられ、例えば通常の機械的手段によっては容易に物品から除去されない望ましくない物質を示す。このように、用語「汚染物」はグリース類、ワックス類、油類、接着剤類及びロジン融剤類等の有機、無機材料を包含する。
【0010】
本方法は好ましくは洗浄される物品を本発明の液体または蒸気の溶媒和剤と接触させる工程を包含する。これに関連して、用語「溶媒和剤」は一緒に汚染物(類)を溶媒和する傾向を有する溶媒類の組み合わせを言う。本明細書において用いられ用語「溶媒」は別の物質(溶質)を溶解出来る化合物または二種以上の化合物の共沸混合物様な組み合わせ言う。ここにおいて、溶液は機械的懸濁物類、コロイド溶液類、真の溶液類等を包含する物質の不均一混合物を意味する。溶媒類の種類は水のような極性溶媒類及び炭化水素類のような非極性溶媒類を含む。他の溶媒群類はアルコ−ル類、エステル類、エーテル類、ケトン類、アミン類、ニトロ化及び塩素化炭化水素類を包含するがそれらに限定されない。
【0011】
一般的に、本明細書において用いられる用語「可燃性溶媒」及び「可燃性溶媒混合物」は容易に引火して急激に燃焼する溶媒または溶媒の混合物を言う。非可燃性溶媒類及び溶媒混合物類は結果として引火し難くゆっくりと燃焼するそれらの溶媒類及び溶媒混合物類である。
【0012】
いくつかの好ましい態様において、例えば本発明の可燃性溶媒が約20℃よりも高い標準沸点を有する態様において、該可燃性溶媒は、各々がそれらの標準沸点より低い引火点 [該引火点は各々が参考として本明細書に組み入れられるタグ開放式 (ASTM D-1310) またはタグ密閉式 (ASTM D-56) 基準で測定されるのである] を有する非可燃性溶媒類対して、標準沸点より低い引火点 [該引火点は各々が参考として本明細書に組み入れられるタグ開放式 (ASTM D-1310)またはタグ密閉式 (ASTM D-56) 基準で測定されるのである] を有する物質である。いくつかの好ましい態様において、例えば本発明の可燃性溶媒が約20℃よりも低い標準沸点を有する態様において、該可燃性溶媒は蒸気火炎限界を有しない非可燃性溶媒類対して、(参考として本明細書に組み入れられる) ASTM E-685により測定されるときの蒸気火炎限界を有する。
【0013】
広範囲の可燃性及び非可燃性溶媒のいずれもが本発明の使用に適する。適当な可燃性溶媒は、例えばペンタフルオロブタン(HFC-365)の異性体類等のヒドロフルオロカーボン類(HFC)、メチラール、エチラール、シス及びトランスジクロロエチレンの異性体類、特にシス及びトランス-1,2-ジクロロエチレン、塩化イソプロピル、ペンタン及び他の炭化水素類、アルコール類及びケトン類等を包含する。いくつかの好ましい可燃性溶媒はシス- 及びトランス-ジクロロエチレンを包含する。適当な非可燃性溶媒は、例えば1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン (HFC-245fa) 及び ペンタフルオロプロパン (HFC-245) の他の異性体類、ヘキサフルオロプロパン (HFC-236) の異性体類、ヘキサフルオロブタン (HFC-356) の異性体類、デカフルオペンタン (HFC-4310) 等のヒドロフルオロカーボン類 (HFC)、1,1-ジクロロ-1-フルオロエタン (HCFC-141b)、ジクロペンタフルオロエタン (HCFC-225)の異性体類、ジフルオロトリクロロエタン (HCFC-123) の異性体類、クロロテトラフルオロエタン (HCFC-124) の異性体類等のヒドロクロロフルオロカーボン類 (HCFC)、メチルパーフルオロブチルエーテル (HFE-7100) 及びエチルパーフルオロブチルエーテル (HFE-7200) 等の非可燃性ヒドロフルオロエーテル類、トリクロエチレン及びパークロロエチレン等の他の塩素化溶媒類、臭化n-プロピル及び非可燃性フルオロヨードカーボン類等を包含する。いくつかの好ましい非可燃性溶媒はHFC-245fa等の炭化水素類およびHFE-7100及びHFE-7200等のヒドロフルオロエーテル類を包含する。
【0014】
この発明の目的のためには、共沸性システムまたは組成物は、液体と実質的に平衡な蒸気が該液体中に存在するときと実質的に同一の成分の濃度を有する限り、実質的に単一化合物のように振舞う二種以上の化合物の組成物と定義される。用語「共沸混合物様」は共沸性組成物及び厳密には共沸性ではないが組成物の蒸気相における成分の濃度が該組成物の平衡液相における成分の濃度に近接していて実際には不可能である通常の蒸留により成分の分離を可能とする組成物を言うことを意図している。本質的には、該混和物は実質的にその組成を変えないで蒸留する。共沸混合物の分類は絶対共沸混合物 [共沸条件が (臨界段階までの) 全ての値にわたり満たされる組成] 及び限定共沸混合物 [共沸条件がある温度範囲においてのみ満たされる組成] を含む。共沸混合物は更に組成が単一液相に存在するホモ共沸混合物と該組成が二種以上の液相として存在するヘテロ共沸混合物とに分類される。(ヘテロ共沸性組成物類では蒸気組成物と同一の多液相の全液体組成物であることに留意。)また、共沸性組成物は、組成物が二種、三種、四種または五種の化合物で構成されているかにより各々二元、三元、四元または五元共沸混合物と記載することができる。
【0015】
共沸混合物の現象は数学的に表すことができる。任意の組成物の気液相平衡 (VLE) は、低乃至中庸圧で気相用の理想気体モデルを想定して修飾ラウールの法則 (式1) で適切に記載される。
【0016】
【数1】

【0017】
(式中、i = 1, 2, …, c
yi = 気相中の成分iのモル分率
xi = 気相中の成分iのモル分率
P = 系圧力
Psat =成分iの蒸気圧
γi =成分iの液相活量係数)
γi =1のとき、該組成物は理想的であると言われ、そして式1は 簡単にラウールの法則になる。非理想的組成物 (γi ≠1) はラウールの法則から正の (γi >1) または負の (γi <1) ずれを示す。多くの高度に非理想的組成物において、これらのずれは大きくなって圧力―組成物 (P-x,y) 及び温度―組成物 (T-x,y) 相図が最小または最大共沸点を示す。T-x,y相図の関連において、これらの点は (共沸混合物の沸騰温度が純粋な成分のそれよりも低い)“最小沸騰共沸混合物”、或いは (共沸混合物の沸騰温度が純粋な成分のそれよりも高い)“最大沸騰共沸混合物”と呼ばれる。公知の共沸混合物の少なくとも約90%は最小沸騰共沸混合物の種類である。これらの最小及び最大沸騰共沸混合物では、液相及びその平衡液相は同一の組成、すなわち、i=1…, c に対してxi = yiである。式 xi = yh から明らかなように、共沸混合物は特定のモル比においてのみ形成される。従って、50モル%の水と50モル%のエタノールの組成物は共沸混合物を形成しないが10.57モル%の水と89.43モル%のエタノールの組成物は78.15℃で共沸混合物を形成する。
【0018】
共沸性組成物と対照的に、本発明に用いられる非共沸性 (non-azeotropic) 組成物 [また“非共沸性液体組成物 (zeotropic)”として知られているのであるが) は本発明の可燃性溶媒と非可燃性溶媒類とは互いに共沸関係にない組成物である。従って、本発明の溶媒和剤類及び溶媒組成物類は純粋流体類とは明らかに異なる特徴を有する。例えば、一定圧力下での非共沸混合物の相変化は一定の温度では進行せず、むしろ温度範囲に亘って進行する。更に、運動量、エネルギー移動及び物質移動過程は密接に関連している。気液界面物質移動は蒸発または濃縮速度を制限し、今度はエネルギー移動速度を制限する。二元非共沸性組成物の例としては、メチルシクロヘキサンとトルエンとの混合物類;テトラクロロエチレンとアセトンとの混合物類;トリクロロエチレンとベンゼンとの混合物類;及びエチルアルコールとエチルベンゼンとの混合物類があるがそれらに限定されない。三元非共沸性組成物の例としては、四塩化炭素、メチルアルコール及びベンゼンの混合物類;クロロホルム、ギ酸及び酢酸の混合物類;及びHFC-245FA,トランス-1,2-DCE及びHFE-7100の混合物類があるがそれらに限定されない。
【0019】
しかし、当業者であれば、本溶媒組成物は、それ自体が共沸性でなければ組物中に一種以上の共沸性組み合わせを包含し得ることを認識するであろう。例えば、本発明の可燃性溶媒は、共沸混合物を形成するので意図した使用条件下で実質的に一定の温度で沸騰する二種以上の化合物の共沸性組み合わせを含んでも良い。本溶媒組成物は、可燃性及び非可燃性溶媒が互いに共沸混合物を形成しないならば、非共沸性組成物であるとも考えられる。事実、必ずしも好ましくはないが本非共沸性溶媒組成物が一種の共沸性可燃性溶媒と少なくとも二種の共沸性非可燃性溶媒を含んでも良いと考えられている。
【0020】
本発明の一つの態様によると、汚染した物品を非共沸性溶媒組成物と接触させて物品上の汚染物の程度を減少させる汚染した物品の洗浄方法が提供される。本発明のこの非共沸性溶媒組成物は少なくとも一種の可燃性溶媒、該可燃性溶媒の沸点よりも高い沸点を有する少なくとも一種の非可燃性溶媒及び該可燃性溶媒の沸点よりも低い沸点を有する少なくとも一種の非可燃性溶媒を包含する。本発明の方法により、少なくとも一種の可燃性溶媒と二種以上の非可燃性溶媒を含む任意の適当な非共沸性組成物が、結果的に非可燃性であれば用いることができる。好ましいいくつかの態様において、本発明の非共沸性組成物、システム及び溶媒和剤は一種の可燃性溶媒と二種の非可燃性溶媒を含む。例えば、本発明の一つの非共沸性組成物は可燃性溶媒としてトランス-1,2-ジクロロエチレン [標準沸点 (n.b.p.)=47℃]、該可燃性溶媒より低い沸点を有する非可燃性溶媒としてHFC-245fa (n.b.p.=15.3℃) 及び該可燃性溶媒より高い沸点を有する非可燃性溶媒としてHFE-7100 (n.b.p.=61℃) を包含する。好ましいいくつかの態様において、本発明の非共沸性組成物、薬剤及びシステムは二種以上の可燃性溶媒と三種以上の非可燃性溶媒を含む。二種以上の可燃性溶媒を含む態様において、組成物の各可燃性溶媒はシステムまたは組成物中の二種の非可燃性溶媒の沸点の間に入る沸点を有することが好ましい。
【0021】
本発明の溶媒システム及び組成物または薬剤を用いて物品から汚染物を除去するために多種様々の接触工程が利用できる。例えば、本発明の溶媒組成物を含む液体または気体蒸気を物品にわたって通過させること等により該物品に接触させる。別法の態様において、本溶媒組成物を含む液体または蒸気中に物品を浸漬するか、或いは本溶媒混合物を物品に噴霧しても良い。いくつかの非常に好ましい態様において、本溶媒組成物を蒸気の形で提供し、本溶媒組成物を蒸気脱脂方法におけるがごとく物品と接触させる。
【0022】
このような態様において、溶媒混合物が接触工程の少なくとも一部において蒸気相であることが好ましく、またいくつかの態様において、該溶媒混合物が実質的に全接触工程で蒸気相であることが好ましい。本明細書において用いられ用語「実質的に全接触工程」は一般的に、洗浄される物品が本発明の溶媒混合物と接触している間の時間の少なくとも約70%に等しい時間の量をいう。好ましくは、「実質的に全接触工程」は洗浄される物品が本発明の溶媒混合物と接触している間の時間の少なくとも約80%、更により好ましくは少なくとも約90%を含む。
【0023】
本発明の接触工程は、例えば反応槽、オートクレーブ、蒸気脱脂機等を包含する任意の適当な装置中で行うことができ、そして外気に対して開放されているか、或いは閉鎖されている間に行われても良い。いくつかの好ましい態様において、接触工程は蒸気脱脂機内で行われる。
【0024】
いくつかの他の好ましい態様において、本接触工程は容器中で行う必要はない。例えば、本溶媒組成物を含むエアゾールを提供して噴霧するか、或いは該汚染された物品と接触させる。一般的に、噴霧型組成物類は噴射される物質と噴射剤/溶媒または噴射剤溶媒類の混合物を含む。本発明の噴射性組成物はさらに不活性成分類、追加的溶媒類および従来噴霧組成物に用いられる他の物質類を含んでも良い。
【0025】
本発明の蒸気脱脂側面は物品の表面と接触して、同様に穴、割れ目、裂け目等に浸透してそこから汚染物を除去するいくつかの態様において有用に用いられる。
本発明の一態様は、実質的に本発明の蒸気相溶媒組成物または薬剤のみが洗浄のために用いられる蒸気脱脂方法を含む。このような態様において、汚染された物品を好ましくは比較的高温に保たれた本発明の蒸気組成物により接触させ、そして比較的高温の蒸気が比較的低温の物品上に濃縮するのが一般的に好ましい。この濃縮工程は好ましくは物品上または中に位置する汚染物の少なくとも一部を溶解する工程を含む。好ましい態様において、該蒸気組成物は本発明の液体溶媒組成物の素材に隣接して、または上に位置している。例えば、いくつかの好ましい態様において、本発明の蒸気は液体溶媒溜めの上の蒸気空間に維持され、そして好ましくは汚染物を含む凝縮物が、好ましくは重力の影響下で物品から溶媒液体溜めの中へ落下することにより液体溶媒中に導入される。好ましい態様において、該液体溶媒は蒸発して連続的に本発明の組成物を含む蒸気ブランケットを形成する。汚染物は気化しないのでスラッジの形で槽の底に残る。好ましくは、このような態様において蒸気と物品との接触は蒸気が該物品上に凝縮するにつれて洗浄作用を創出し、そして好ましくは、それにより凝縮は実質的に止まり、好ましくは物品はその温度が約蒸気の温度に上がるまでの間、本蒸気組成物との接触が維持され、それにより凝縮が止まり、次いで物品は脱脂機から取り除かれる。当業者であれば、凝縮過程の停止に要する時間が、用いられた特定の溶媒、蒸気の温度、部物品の重量、その特定の熱及び除去される汚染物質の種類を含む多くの要因によることを認識するであろう。少なくとも一つの態様において、洗浄工程類は一つ以上の水性洗浄工程の後に利用される。
【0026】
本発明の別の気相脱脂態様は蒸気噴霧循環脱脂を含む。このような脱脂方法は好ましくは洗浄する物品を本組成物を含む蒸気中に置くことを含む。本蒸気組成物は好ましくは液体溶媒溜めに隣接して置かれ、そして液体溶媒溜めの中の液体もまた好ましくは本発明の溶媒を含む。このような方法はまた好ましくは少なくとも蒸気の一部を冷却するための冷却コイル及び他の比較的低温の物品または流体等の手段を設けることを含む。本発明の凝縮した蒸気は好ましくは集められて、物品に向けられる液体噴霧、好ましくは本発明の組成物を含む温液体噴霧を形成するために用いられる。噴霧を形成する工程は、凝固液体を溶媒溜めに導入し、次いでこの溶媒溜めから液体溶媒を物品に向けられた噴霧ノズルへポンプ移送することを含む。噴霧を好ましくは直接部品と接触させ、汚染物を洗い落とし、部分を冷却し、それにより蒸気凝縮により洗浄する。
【0027】
三番目の本発明による気相脱脂の態様は、少なくとも第一及び第二の区画を有する槽または溜めを典型的に用いる液体−蒸気循環脱脂機を含む。槽の第一区画は好ましくは本発明の沸騰溶媒組成物を含有し、そして槽の第二区画は比較的低温の非沸騰溶媒を含有する。沸騰溶媒の上の蒸気空間に位置する冷却されたコイルは溶媒蒸気を凝縮する。凝縮物は槽の第二区画へ移される。低温液体溶媒のある部分は槽の第一区画へ戻されて十分な量の沸騰液体溶媒を維持する。洗浄工程は、好ましくは先ず比較的低温の汚染された物品を沸騰溶媒の上の蒸気空間へ導入することにより進む。汚染された物品と溶媒蒸気との温度差により、溶媒を汚染された物品上に凝縮させ、それにより汚染物品に対して溶媒和作用を達成する。凝縮された蒸気及びそれにより溶媒和した汚染物は好ましくは重力供給により槽の第一区画へ戻される。所望の量の洗浄作用が生起した後、物品は槽の第二区画へ移されて好ましくは本発明の組成物でもある低温溶媒中に浸漬される。比較的低温の物品は次いでもう一度比較的高温の蒸気空間へ導入され、そこで凝縮する蒸気が物品の最終すすぎ洗いを行う。この脱脂機は特に高度に汚染された物品用に、或いは一緒に嵌め込まれる小部品類のバスケットの洗浄用に有用である。
【0028】
蒸気脱脂操作は、一般に液体及び蒸気状の脱脂溶媒と比較的直近した熱源の使用を包含するで、脱脂工程において火災または爆発の危険を最小限にするか或いは減少させるために脱脂過程/装置の全ての部分において非可燃性である本発明の溶媒組成物を用いることは非常に有益である。このように本発明の非可燃性溶媒組成物は好ましくは [タグ開放式 (ASTM D-1310) またはタグ密閉式 (ASTM D-56) 基準で測定される] 約100゜Fを超える、より好ましくは約141゜Fを超える引火点を有す。他のいくつかの好ましい態様において、溶媒組成物の基準条件下の初期沸点は約20℃よりも低いので、可燃性溶媒はASTM E-685により測定される蒸気火炎限界を有する。
【0029】
図1は、本方法に関して使用に適した典型的な二溜め (two-sump) 蒸気脱脂機の側面図である。図示した二溜め蒸気脱脂機において、本発明の非共沸性溶媒組成物は最初に沸騰溜めに投入され、そこで沸騰状態 (1) にされる。蒸発した溶媒 (3) は該沸騰溜めの上へ立ち昇り蒸発域で蒸気相を形成し、多くの態様において、該蒸気相もまた溶媒組成物が非共沸性系であるため蒸気域の溶媒組成物は沸騰溜めにおける溶媒組成物と異なるのであるが、本発明の組成物である。溶媒蒸気は凝縮用コイル(4)と接触して凝縮して液状凝縮物となる。この凝縮物は凝縮物溜めへ運ばれ、そこで温溶媒 (2) として保持される。この溶媒凝縮物は凝縮溜めが一杯になるまで凝縮溜めへ入り続け、一杯の時点で堰きを越えて沸騰溜めへ流れ落ちて、そこで沸騰溶媒と混合する。この種の蒸気脱脂装置は多くの供給元から商業的に入手可能であり、例えばバロンブレイクリー (Baron Blakeslee) 型 MSR-120LEはLR Environmental Equipment Co.,Inc.から入手できる。
【0030】
実施例
以下の実施例は更に本発明を説明する。最初の二つの実施例は、本発明による非共沸性溶媒組成物が脱脂装置中で維持されるのを説明する。三番目の実施例は種々の汚染物に対する本溶媒組成物の洗浄有効性を説明する。これらの実施例の各々において溶媒組成物は非可燃性HFC-245fa、可燃性トランス-1,2-DCE及び非可燃性HFE-7100を含有していた。
【0031】
実施例1
この実施例は、脱脂装置が周囲外気に対して閉鎖されている24時間脱脂過程の間に三元組成物中の溶媒の割合がどのように変化するかを示す。蒸気相及び液相の溶媒の割合は多時点で監視される。沸騰液相に対する蒸気相の異なる溶媒比は非共沸性組成を示している。
【0032】
この試験のために、Baron Blakeslee 型 MSR-120LE脱脂機を用いた。この脱脂機は二つの溜め、すなわち幅10インチ、長さ12インチ、深さ10インチの凝縮物溜めと幅10インチ、長さ12インチ、深さ12.5インチの沸騰溜めを有する。この脱脂機の上部開口は幅12.5インチ、長さ21インチである。この脱脂機の余裕高は12インチで約100%の余裕高比を構成する。(注:余裕高比は脱脂機の幅に対する余裕高の高さ-液頂から脱脂機の縁までの距離-の比。)該脱脂機は冷却コイルと-2℃の温度を維持するようにセットされた内部冷却装置を備えている。
【0033】
脱脂操作開始時の三元溶媒組成物は31.04重量%の HFC-245fa、34.03重量%のトランス-1,2-DCE及び 34.93重量%の HFE-7100からなる。この溶媒組成物を沸騰溜めへ入り、そこで加熱されて沸騰状態にする。溶媒組成物が蒸発するにつれて、蒸気は冷却コイルに接触するようになる。該冷却コイルは蒸気から熱を吸収して蒸気を凝縮させて液体にする。液状凝縮物は次いで凝縮物溜めへ流れ込み、そこで蓄積する。凝縮物が凝縮溜めに一杯になると、沸騰溜めへ流れ込む。この工程を24時間継続させる。
【0034】
この試験中、溶媒混合物のサンプルを沸騰溜め、凝縮物溜め及び (凝縮した蒸気を集める) 冷却桶形槽から抽出し、次いでガスクロマトグラフィーにより分析する。この分析はサンプル中の各溶媒の相対量を示す。サンブルは脱脂工程から、0:00時、1:00時、1:44時、4:50時、6:14時、8:00時及び24:00時に抜き取る。沸騰溜め混合物、蒸気及び凝縮物の温度も監視する。
【0035】
試験データを表1に表す。要約すると、本データは (三つの溶媒の中で最低の沸点を有する) 不可燃性HFC-245faが沸騰溜めの液相のこの溶媒の量と比べて気相の主割合を構成していた。同様に (三つの溶媒の中で最高の沸点を有する) 非可燃性HFE-7100の割合は沸騰溜めの液相におけるよりも蒸気相においてより少なかった。この脱脂機システムにおける全溶媒組成(すなわち、沸騰溜め、蒸気域及び凝縮物溜めにおける溶媒の量)は脱脂機が外気に対して閉鎖されていたので本質的に一定に留まった。これらのデータは、これら三つの溶媒の組み合わせによっては共沸混合物が形成されなかったことを示している。
【0036】
【表1】

【0037】
実施例2
この実施例は、脱脂装置が周囲外気に対して開放された3.5時間の脱脂過程の間に三元組成物中の溶媒の割合がどのように変化するかを示す。蒸気相及び液相の溶媒の割合は多時点で監視される。沸騰液相に対する蒸気相の異なる溶媒比が非共沸性組成を示している。
【0038】
この試験のために、小型脱脂機が利用される。この脱脂機は三つの溜め、すなわち、幅4インチ、長さ4インチの凝縮物溜め; 幅4インチ、長さ4の中間溜め;及び幅4インチ、長さ4インチの沸騰溜めを有する。脱脂機の上部開口は幅4インチ、長さ13インチである。この脱脂機用の余裕高は3.25インチで約100%余裕高比より低く構成する。(注:余裕高比は脱脂機の幅に対する余裕高の高さ-液頂から脱脂機の縁までの距離-の比。)この脱脂機は冷却コイルと5℃の温度を維持するようにセットされた内部冷却装置を備えている。この脱脂機はまたリップ排気口を有している。
【0039】
脱脂操作開始時の三元溶媒組成物は31.04重量%の HFC-245fa、34.03重量%のトランス-1,2-DCE及び 34.93重量%のHFE-7100からなる。この溶媒組成物を沸騰溜めへ入り、そこで加熱されて沸騰状態にする。該溶媒組成物が蒸発するにつれて、蒸気は冷却コイルに接触するようになる。冷却コイルは蒸気から熱を吸収して蒸気を凝縮させて液体にする。液状凝縮物は次いで凝縮物溜めへ流れ込み、そこで蓄積する。この工程を3.5時間継続させる。
【0040】
この過程中、サンプルを沸騰溜め、中間溜め、凝縮物溜め及び (凝縮した蒸気を集める) 冷却桶形槽から抽出し、次いでガスクロマトグラフィーにより分析してサンプル中の各溶媒の相対量を測定する。サンブルは脱脂工程開始時から 0:00時、1:00時、2:00時及び3:50時に抜き取る。沸騰溜め及び蒸気域中の混合物の温度も監視する。
【0041】
試験データを表2に表す。要約すると、本データは、(三つの溶媒中で最低の沸点を有する) 非可燃性HFC-245faが沸騰溜めの液相のこの溶媒の量と比べて蒸気相の主な割合を構成していたことを示している。同様に、(三つの溶媒の中で最高の沸点を有する) 非可燃性HFE-7100の割合は沸騰溜めの液相中よりも蒸気中においてより少なかった。しかし、この脱脂システムは外気に対して開放されていたので揮発性の溶媒はより多く蒸発して全溶媒組成に変化をもたらした。これらのデータは、この三つの溶媒の組み合わせによって共沸混合物が形成されなかったことを示している。
【0042】
【表2】

【0043】
実施例3
この実施例は、本発明による非共沸性三元溶媒組成物の洗浄有効性を示す。
この洗浄研究において、長さ3インチ、幅0.75インチの12枚の304級のステンレス鋼クーポンを種々の物質、すなわち軽鉱油、Kester 1585 (印刷回路基板集成用の高速自動半田技法用に設計された融剤) 及び Fomblin AM 3001 (フッ素潤滑剤) で被覆した。これらの物質は脱脂工程で典型的に遭遇する汚染物を代表する。該クーポンはその表面のおよそ2/3が覆われるように該擬態汚染物に浸漬して汚染する。該鉱油及びFomblinを含むクーポンをおよそ1時間垂直状態で排液した。該Kester融剤を含むクーポンは400゜Fのエアナイフ下で30乃至60秒乾燥させる。汚染前後のクーポンの重量を計り重量の差をクーポ上の汚染物の量を示すものとする。
【0044】
クーポンの準備後、二種の溶媒組成物の洗浄有効性を試験する。32.03重量%のHFC-245fa、33.98重量%のトランス-1,2-DCE及び33.99重量%のHFE-7100を含む第一組成物は蒸気脱脂サイクルの開始時での本発明による非共沸性溶媒組成物を表す。(比較のために、表1、0:00時における“沸騰溜め濃度”を参照。) 8.98重量%のHFC-245fa、38.36重量%のトランス-1,2-ジクロロエチレン及び52.66重量%のHFE-7100を含む第二溶媒組成物は24時間蒸気脱脂サイクルの終了時での本発明による非共沸性溶媒組成物を表す。(比較のために、表1、24:00時における “沸騰溜め濃度”を参照。)
この洗浄工程は全クーポンを120 ccの該溶媒混合物中に1分間沈めることを包含する。クーポンを沈めている間、溶媒混合物は攪拌される。1分経過後、クーポンを取り除き窒素ガスを吹き付け、そして計量する。汚染されたクーポンの重量と清浄乾燥クーポンの重量の差が除去された汚染物の量に反映する。
【0045】
洗浄試験データを表3及び表4に示す。要約すると、該データはこの非共沸性溶媒組成物が実質的に全ての該鉱油及びFomblin汚染物を除去し、またおおよそ80乃至90%のKester汚染物を除去していることを示す。
【0046】
【表3】

【0047】
【表4】

【0048】
前記実施例は本発明のいくつかの可能な態様のみを構成するに過ぎず、また本発明はこれらの実施例で記述したそれらの態様のみに限定されないことは理解されるべきである。本発明はまた脱脂以外の洗浄方法にも応用することができる。更に、本溶媒組成物配合は特定の汚染物の除去を最適にするように作製される。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】図1は本方法のいくつかの態様に用いられる二溜め (two-sump) 蒸気脱脂機の側面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a) 第一の圧力で沸点を有する少なくとも一種の可燃性溶媒、前記可燃性溶媒の該第一圧力沸点付近よりも低い前記第一の圧力での沸点を有する少なくとも一種の第一非可燃性溶媒及び前記可燃性溶媒の該第一圧力沸点付近よりも高い前記第一圧力での沸点を有する少なくとも一種の第二非可燃性溶媒を含む非共沸性溶媒組成物を用意し、そして (b) 物品を前記非共沸性溶媒組成物と接触させて該物品から汚染物の少なくとも一部を除去することを含む、汚染物を含有する物品を洗浄する方法。
【請求項2】
前記接触工程が物品を前記非共沸性溶媒組成物を含む流れと接触させることを含む、請求項1の方法。
【請求項3】
前記接触工程が前記流れを物品にわたって通過させることを含む、請求項2の方法。
【請求項4】
前記接触工程が物品を前記非共沸性溶媒組成物中に浸漬することを含む、請求項1の方法。
【請求項5】
前記用意工程が前記非共沸性溶媒組成物を含む液相を用意し、また前記非共沸性溶媒組成物を含む蒸気相を用意し、そして前記浸漬工程が物品を前記液相及び前記蒸気相中に浸漬することを含む、請求項1の方法。
【請求項6】
前記接触工程が前記非共沸性溶媒組成物を物品に噴霧することを含む、請求項1の方法。
【請求項7】
前記非共沸性溶媒組成物が接触工程の少なくとも一部で蒸気相である、請求項2の方法。
【請求項8】
接触工程の少なくとも一部が蒸気脱脂機中で行われる、請求項1の方法。
【請求項9】
前記可燃性溶媒がHFC-365の異性体類、メチラール、エチラール、シス及びトランス-ジクロロエチレン、塩化イソプロピル、ペンタン及び他のC1-C20の炭化水素類、C1-C20の炭化水素アルコール類及びC1-C20の炭化水素ケトン類からなる群より選択される、請求項1の方法。
【請求項10】
前記可燃性溶媒がトランス-1,2-ジクロロエチレンを含む、請求項1の方法。
【請求項11】
少なくとも一種の前記非可燃性溶媒がHFC-245fa及びHFC-245の他の異性体類、HFC-236の異性体類、HFC-356の異性体類、HFC-4310、HCFC-141b, HCFC-225の異性体類, HCFC-123の異性体類、HCFC-124の異性体類、HFE-7100、 HFE-7200、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、臭化n-プロピル及び非可燃性フルオロヨードカーボン類からなる群より選択される、請求項1の方法。
【請求項12】
前記少なくとも一種の第一非可燃性溶媒がHFC-245faを含む、請求項10の方法。
【請求項13】
前記少なくとも一種の第二非可燃性溶媒がHFE-7100を含む、請求項10の方法。
【請求項14】
前記少なくとも一種の第二非可燃性溶媒がHFE-7100を含む、請求項12の方法。
【請求項15】
非共沸関係において、(a) 第一圧力で沸点を有する少なくとも一種の可燃性溶媒;(b) 前記可燃性溶媒の沸点付近よりも低い前記第一の圧力での沸点を有する少なくとも一種の第一非可燃性溶媒;及び (c) 前記可燃性溶媒の沸点付近よりも高い前記第一圧力での沸点を有する少なくとも一種の第二非可燃性溶媒を含む非共沸溶媒組成物。
【請求項16】
前記可燃性溶媒が少なくとも二種の化合物の共沸性組み合わせである、請求項15の組成物。
【請求項17】
前記非可燃性溶媒の少なくとも一種が少なくとも二種の化合物の共沸性組み合わせである、請求項15の組成物。
【請求項18】
前記可燃性溶媒がHFC-365の異性体類、メチラール、エチラール、シス及びトランス−ジクロロエチレン、塩化イソプロピル、ペンタン及び他のC1-C20の炭化水素類、C1-C20の炭化水素アルコール類及びC1-C20の炭化水素ケトン類からなる群より選択される、請求項15の組成物。
【請求項19】
前記可燃性溶媒がトランス-1,2-ジクロロエチレンを含む、請求項15の組成物。
【請求項20】
少なくとも一種の前記非可燃性溶媒がHFC-245fa及びHFC-245の他の異性体類、HFC-236の異性体類、HFC-356の異性体類、HFC-4310、HCFC-141b, HCFC-225の異性体類, HCFC-123の異性体類、HCFC-124の異性体類、HFE-7100、 HFE-7200、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、臭化n-プロピル及び非可燃性フルオロヨードカーボン類からなる群より選択される、請求項15の組成物。
【請求項21】
前記の少なくとも一種の第一非可燃性溶媒がHFC-245faを含む、請求項15の組成物。
【請求項22】
前記の少なくとも一種の第二非可燃性溶媒がHFE-7100を含む、請求項15の組成物。
【請求項23】
前記の少なくとも一種の第二非可燃性溶媒がHFE-7100を含む、請求項21の組成物。
【請求項24】
前記第一圧力が約1気圧である、請求項15の組成物。
【請求項25】
請求項15の組成物を含む噴霧可能な組成物。
【請求項26】
いかなる可燃性蒸気または液相も実質的に存在していない状態で物品を蒸気脱脂することを含む汚染物を含む物品の洗浄方法であって、該方法は、(a) 第一の圧力で沸点を有する少なくとも一種の可燃性溶媒、前記可燃性溶媒の該第一圧力沸点付近よりも低い前記第一の圧力で沸点を有する少なくとも一種の第一非可燃性溶媒及び前記可燃性溶媒の該第一圧力沸点付近よりも高い前記第一圧力での沸点を有する少なくとも一種の第二非可燃性溶媒を含む非共沸性溶媒組成物を用意する工程、及び (b) 該物品を前記非共沸性溶媒組成物と接触させて該汚染物の少なくとも一部を該物品から除去する工程を含む、方法。
【請求項27】
前記第一圧力が約1気圧である、請求項26の方法。
【請求項28】
前記接触工程が物品を前記非共沸性溶媒組成物に浸漬することを含む、請求項26の方法。
【請求項29】
前記用意工程が前記非共沸性溶媒組成物を含む液相を用意し、また前記非共沸性溶媒組成物を含む蒸気相を用意し、そして前記浸漬工程が物品を前記液相及び前記蒸気相中に浸漬することを含む、請求項26の方法。
【請求項30】
前記接触工程が物品を前記非共沸性溶媒組成物で噴霧することを含む、請求項26の方法。
【請求項31】
前記可燃性溶媒がHFC-365の異性体類、メチラール、エチラール、シス及びトランス-ジクロロエチレン、塩化イソプロピル、ペンタン及び他のC1-C20の炭化水素類、C1-C20の炭化水素アルコール類及びC1-C20の炭化水素ケトン類からなる群より選択される、請求項26の方法。
【請求項32】
前記可燃性溶媒がトランス-1,2-ジクロロエチレンを含む、請求項26の方法。
【請求項33】
少なくとも一種の前記非可燃性溶媒がHFC-245fa及びHFC-245の他の異性体類、HFC-236の異性体類、HFC-356の異性体類、HFC-4310、HCFC-141b, HCFC-225の異性体類, HCFC-123の異性体類、HCFC-124の異性体類、HFE-7100、 HFE-7200、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、臭化n-プロピル及び非可燃性フルオロヨードカーボン類からなる群より選択される、請求項26の方法。
【請求項34】
前記少なくとも一種の第一非可燃性溶媒がHFC-245faを含む、請求項26の方法。
【請求項35】
前記少なくとも一種の第二非可燃性溶媒がHFE-7100を含む、請求項26の方法。
【請求項36】
前記少なくとも一種の第二非可燃性溶媒がHFE-7100を含む、請求項34の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2006−521460(P2006−521460A)
【公表日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−565504(P2004−565504)
【出願日】平成15年12月16日(2003.12.16)
【国際出願番号】PCT/US2003/039888
【国際公開番号】WO2004/060586
【国際公開日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】