説明

汚水処理装置

【課題】汚水を確実に処理することができ、かつ、作業性の向上を図ることができる汚水処理装置を提供すること。
【解決手段】陽極側の電極板32に通電を行うと、その電極板32から正電位を有する金属イオンが溶出する。処理槽9に貯留された汚水には有機物などの汚れ成分が含まれているが、一般的に、その汚れ成分は負電位を有しているので、金属イオンに凝集され、金属水酸化物とともに沈殿することとなる。また、オゾン発生装置13においてオゾンが発生させられ、マイクロバブル発生装置12において、そのオゾンを用いてマイクロバブルが発生させられる。これにより、浮上分離槽11内に流入した汚れ成分等は、浮上分離槽11内において、マイクロバブルにより浮上分離される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、汚水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、汚水処理装置が利用されている。汚水処理装置は、生活排水などの汚水を浄化処理するためのものであり、処理された汚水は、たとえば、公共水域に放流されたり、トイレ洗浄用の水や洗車用の水として再利用されたりする。
汚水処理装置としては、汚水を貯留するための処理槽と、処理槽に貯留された汚水中に微細気泡を発生させるための微細気泡発生装置とが備えられ、処理槽に汚水を貯留した後、汚れを凝集させる作用を有する水質活性浄化剤を汚水中に添加して、凝集した汚水中の汚れを、微細気泡の作用によって浮上させ、その汚れを分離除去するものが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
また、汚水を貯留するための処理槽と、処理槽内に設けられた対をなす電極板とが備えられ、処理槽に汚水を貯留した後、電極板間に電圧を印加して汚水を電気分解し、汚水中の電気化学反応により汚水中の汚れを凝集し、さらに、電極板から発生するガスによって凝集した汚れを浮上させ、その汚れを分離除去するものも知られている(たとえば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2003−117562号公報
【特許文献2】特開平05−337472号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の汚水処理装置では、汚水中の汚れを凝集させるたびに水質活性浄化剤を添加せねばならず、その作業が手間となるといった問題がある。
また、上記特許文献2に記載の汚水処理装置では、電極板から発生するガスでは、凝集した汚れが良好に浮上しない場合があるといった問題もある。
この発明は、かかる背景のもとになされたものであり、汚水を確実に処理することができ、かつ、作業性の向上を図ることができる汚水処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、汚水を貯留することのできる処理槽(9,45)と、上記処理槽内の水を電気分解するための電解装置(10,54)と、上記処理槽内の水の中に微細気泡を発生させるための微細気泡発生装置(12,52)と、を備えることを特徴とする汚水処理装置(3,40)である。
なお、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素などを表す。以下、この項において同じ。
【0006】
この構成によれば、処理槽に汚水を貯留した状態で、その汚水を電解装置で電気分解することにより、その水に含まれる有機物などの汚れを分離することができる。そして、汚れが分離された処理槽内の水の中に微細気泡発生手段により微細気泡を発生させ、その微細気泡の作用により、汚れを浮上分離させることができる。すなわち、汚水に含まれる汚れを分離しつつ、その汚れを浮上分離することを確実に行える。また、電解装置および微細気泡発生装置を用いることで汚水に含まれる汚れを浮上分離することができるので、作業が煩雑となるのを防いで作業性の向上を図ることができる。
【0007】
また、請求項2に記載の発明のように、上記汚水処理装置(3)が、浄化槽(5,6)で浄化された後の汚水を処理するものであって、上記処理槽(9,45)は、上記浄化槽で浄化された後の汚水を貯留するものであれば、汚水をより高度に処理することができる。
なお、浄化槽には、たとえば、汚水に含まれる汚れを沈殿させて除去するための第一の浄化槽と、第一の浄化槽で浄化された汚水に対して生物処理をするための第二の浄化槽とが含まれる。これにより、汚水処理装置において、汚水をより一層高度に処理することができる。
【0008】
また、請求項3に記載の発明のように、汚水を一時的に貯留するための貯留槽(41)と、上記貯留槽から上記処理槽へ汚水を送り出すための送水手段(43,44)と、をさらに備えるものであれば、一時的に貯留した汚水に対して処理を施すことができる。
請求項4に記載の発明は、上記微細気泡発生装置(12,52)から発生する微細気泡の作用により上記処理槽(9,45)内の水から浮上した汚れを、上記処理槽外に排出するための排出機構(11,15,59)をさらに備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の汚水処理装置(3,40)である。
【0009】
この構成によれば、処理槽内の水から浮上した汚れを、排出機構を介して処理槽外に排出するので、処理槽内の水から確実に汚れを取り除くことができる。
また、請求項5に記載の発明のように、上記排出機構(11,15,59)が、上記処理槽(9,45)内の水から浮上した汚れを上記処理槽内からオーバーフローさせるものであれば、汚水処理装置の構成が複雑となるのを防ぎつつ、処理槽内の水から浮上した汚れを、随時、処理槽外に排出することができる。
【0010】
請求項6に記載の発明は、上記微細気泡発生装置(12,52)にオゾンを供給するオゾン供給手段(13)をさらに備え、上記微細気泡発生装置は、上記オゾン供給手段から供給されたオゾンを用いて上記処理槽内の水の中に微細気泡を発生させるものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の汚水処理装置(3,40)である。
この構成によれば、微細気泡発生装置はオゾンを用いて処理槽内の水の中に微細気泡を発生させるので、微細気泡の作用により汚れを処理槽内の水から浮上させるとともに、処理槽内の水にオゾンを溶け込ませて、その水の除菌および脱臭を行うことができる。
【0011】
請求項7に記載の発明は、上記処理槽(9,45)内で処理された水をろ過して上記処理槽外に排水するための排水手段(62〜65)をさらに備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の汚水処理装置(3,40)である。
この構成によれば、処理槽外に排水される水はろ過されているので、その排水される水に、処理槽内の水から浮上した汚れが含まれるのを防ぐことができる。よって、汚水処理装置から排水される水によって環境が害されるのを防ぐことができる。
【0012】
請求項8に記載の発明は、上記電解装置(10,54)は、上記処理槽(9,45)内に設けられる陽極および陰極を有し、上記陽極は、鉄またはアルミニウムで形成され、上記陰極は、鉄、アルミニウムまたはステンレスで形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の汚水処理装置(3,40)である。
この構成によれば、陽極に通電を行うと、陽極から正電位を有する金属イオン(鉄イオン、アルミニウムイオンなど)が溶出し、不溶性の金属水酸化物(水酸化鉄、水酸化アルミニウムなど)が生成される。生成された金属水酸化物は、水よりも比重が大きいため、処理槽内で沈殿する。処理槽内に貯められた水は、生活排水などの汚水であるので、有機物などの汚れが含まれているが、一般的に、その汚れは負電位を有しているので、陽極から溶出した金属イオンに凝集され、金属水酸化物とともに沈殿することとなる。したがって、処理槽内の水を電気分解した後に、処理槽内の水の中に微細気泡を発生させれば、金属水酸化物とともに沈殿した汚れを良好に浮上させることができる。
【0013】
そして、陰極に通電を行うと、陰極の周囲から水素ガスが発生する。したがって、微細気泡だけでなく、陰極の周囲から発生する水素ガスも用いて汚れを浮上させることができる。よって、処理槽内の水に含まれる汚れをより良好に浮上させることができる。
また、請求項9に記載の発明のように、上記微細気泡発生装置(12,52)が、上記処理槽(9,45)内の水の中に、上記陽極および陰極に対して下方から微細気泡を発生させるものであれば、処理槽内に含まれる汚れをより一層良好に浮上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の第1の実施形態にかかる汚水処理装置3が含まれる三次処理装置1の構成を示す図であり、図1(a)は、三次処理装置1の平面図を示す図であり、図1(b)は、図1(a)の切断線A−Aで切断した状態を示す図である。
三次処理装置1には、三次処理装置1に送られてきた汚水が初めに流入される浄化装置2と、浄化装置2で浄化処理された後の汚水が流入される汚水処理装置3とが備えられている。
【0015】
浄化装置2には、浄化装置2の外形を構成する略箱形のハウジング4と、ハウジング4内に設けられた第一浄化槽5、第二浄化槽6とが備えられている。
第一浄化槽5は、流入されてきた汚水を貯留し、その汚水に対して沈殿物除去処理を行うための浄化槽である。また、第一浄化槽5で処理された汚水は、第二浄化槽6に流入するようにされている。
【0016】
第二浄化槽6は、第一浄化槽5から流入されてきた汚水を貯留し、その汚水に対して生物処理を行うための浄化槽である。
また、ハウジング4の一端面の上部には、ハウジング4を貫通する流入管7が取り付けられており、三次処理装置1に送られてきた生活排水などの汚水は、流入管7を介して、第一浄化槽5に流入するようにされている。
【0017】
そして、ハウジング4の他端面の上部には、ハウジング4を貫通する連結管8の一端部が備えられており、連結管8の他端部は、汚水処理装置3の処理槽9(後述する)の一端面の上部を貫通するようにして処理槽9に取り付けられている。
汚水処理装置3には、汚水処理装置3の外形を構成する略箱形の処理槽9と、処理槽9内の汚水を電気分解するための電解装置10と、処理槽9内に設けられた浮上分離槽11、マイクロバブル発生装置12、オゾン発生装置13とが備えられている。
【0018】
処理槽9は、その内部に汚水を貯留することができるようにされており、具体的には、連結管8を介して第二浄化槽6から流入された汚水を貯留することができる。
電解装置10には、処理槽9の外部に設けられる制御部31と、処理槽9内に設けられた一対の電極板32と、制御部31と電極板32とを電気的に接続する接続ケーブル33とが備えられている。なお、図1においては、便宜上、電極板32は1つのみ示されている。
【0019】
制御部31は、たとえば、電源やマイクロコンピュータなどを含む構成であって、電極板32への通電を制御したり、後述の循環ポンプ25を駆動制御したりする。
一対の電極板32は、一方の電極板32を陽極とし、他方の電極板32を陰極として、陽極側の電極板32は、鉄またはアルミニウムで形成され、陰極側の電極板32は、鉄、アルミニウムまたはステンレスで形成されている。
【0020】
そして、一対の電極板32は、互いの板面を対向させて、所定間隔を保ち、処理槽9内に汚水が貯留された状態で、その貯留された汚水の上部に着水するように、処理槽9内に設けられている。また、電極板32近傍には、電極板32に対して気泡を供給するための散気管14が設けられている。
浮上分離槽11は、中空形状の部材であり、処理槽9内において、処理槽9の底面から上面近傍まで延びている。そして、その上端は、処理槽9内に汚水が貯留された状態において、水面から上方に所定寸法突出するようにされており、その下端近傍に開口11aが形成されている。
【0021】
浮上分離槽11の上部には、返送管15の一端が、浮上分離槽11を貫通するように取り付けられている。そして、返送管15の他端は、第一浄化槽5を貫通するように、第一浄化槽5の上部に取り付けられている。
マイクロバブル発生装置12は、微細気泡発生装置としてマイクロバブルを発生させるものであり、電極板32に対して下方に位置し、その先端が、浮上分離槽11内に貫通している噴出管24と接続されており、その後端が、循環ポンプ25が介装された接続管26と接続されている。これにより、循環ポンプ25により接続管26から吸い込まれた汚水は、マイクロバブル発生装置12内を通過して噴出管24から噴出される。そして、その際に、マイクロバブル発生装置12によってマイクロバブルが発生させられる。すなわち、マイクロバブル発生装置12は、汚水が循環(流動)させられる経路の途中部に備えられている。なお、マイクロバブルとは、直径が数十μm以下の微細気泡をいう。
【0022】
図2は、マイクロバブル発生装置12の内部構成を示す断面図である。
マイクロバブル発生装置12には、長尺形状を有する本体16が備えられている。本体16は、長手方向に貫通する貫通孔17が形成された筒状の部材であって、その外周面の長手方向途中部には、貫通孔17に直交するように連通し、接続管26に接続される入口管12aが突出形成されている。本体16の長手方向先端部は、噴出管24に接続される出口管12bを構成している。
【0023】
本体16内に形成された貫通孔17の長手方向の後半部は、ほぼ均一な断面積を有する流入部18を構成している。流入部18の先端には、その断面積が縮小されることにより絞り部19が形成されている。貫通孔17の絞り部19よりも先端側の部分(貫通孔17の前半部)は、先端に向かって徐々に断面積が大きくなるように形成された流出部20を構成している。
【0024】
本体16の長手方向の後端縁には、径方向に向かって突出するフランジ部16aが形成されている。本体16には、密閉蓋21が貫通孔17の後端を塞ぐようにフランジ部16aに当接され、フランジ部16aと密閉蓋21とが、たとえばボルトおよびナットからなる固定具22により固定されている。フランジ部16aと密閉蓋21との間には、円環状のパッキン23が介装されており、マイクロバブル発生装置12内(本体16内)の水がフランジ部16aと密閉蓋21との隙間から漏れ出すのを防止できるようになっている。
【0025】
密閉蓋21の中央部には、当該密閉蓋21を貫通する貫通孔21aが形成されている。密閉蓋21の一端面であって、本体16の先端側となる一端面には、貫通孔21aから本体16の先端側に向かって突出する先方突出管21bが形成されており、密閉蓋21の他端面であって、本体16の後端側には、貫通孔21aから本体16の後端側に向かって突出する後方突出管21cが形成されている。
【0026】
密閉蓋21が本体16に取り付けられた状態では、先方突出管21bが本体16の流入部18内に挿入され、先方突出管21bの先端が入口管12aの延長線上に臨んでいる。
循環ポンプ25を駆動させると、処理槽9内に貯留された汚水が接続管26を介して、入口管12aからマイクロバブル発生装置12内に流入し、流入部18、絞り部19および流出部20を経て、出口管12bから流出する。このとき、流入部18から絞り部19を介して流出部20へと水が噴出される際に、流出部20側に負圧が生じ、いわゆるベンチュリー管現象によって、後方突出管21cからマイクロバブル発生装置12内(流入部18内)に空気が吸引される。
【0027】
このようにすることで、マイクロバブル発生装置12内に流入した水が絞り部19を通過する際に圧力を急激に上昇させることができる。これにより、絞り部19の下流側に衝撃波を発生させて、絞り部19の上流側(流入部18)に供給された空気を微細化し、良好にマイクロバブルを発生させることができる。
再び、図1を参照して、オゾン発生装置13は、処理槽9内に設けられており、空気流入管34の一端が接続されている。そして、空気流入管34の他端は、マイクロバブル発生装置12に接続されており、詳しくは、マイクロバブル発生装置12の後方突出管21cに接続されている。
【0028】
空気流入管34の途中部には、オゾン発生装置13からマイクロバブル発生装置12内への空気の流入は許容するが、マイクロバブル発生装置12内の水がオゾン発生装置13へと逆流するのを阻止できる逆止弁35が介装されている。
このようにすることで、空気流入管34を介して、オゾン発生装置13によって発生させられたオゾンを用いて、マイクロバブル発生装置12にてマイクロバブルを発生させることができる。
【0029】
また、処理槽9内には、塩素薬剤36が備えられており、処理槽9の他端面の上部には、処理槽9を貫通する排水管37が取り付けられている。
三次処理装置1においては、まず、台所排水や風呂排水などの生活排水が含まれる汚水が、流入管7を介して、第一浄化槽5に流入される。そして、汚水が第一浄化槽5に貯留されて、第一浄化槽5において沈殿物除去処理が行われる。
【0030】
つづいて、第一浄化槽5において処理された汚水が、第二浄化槽6に流入されて貯留され、第二浄化槽6において生物処理が行われる。生物処理が行われた汚水は、連結管8を介して、汚水処理装置3の処理槽9に流入され、処理槽9に貯留される。
そして、処理槽9に貯留された汚水は、電解装置10により電気分解される。詳しくは、処理槽9に汚水が貯留された状態で、制御部31により、一対の電極板32に所定の電圧が印加されて、電極板32間において通電が行われる。
【0031】
ここで、陽極側の電極板32を鉄で形成した場合には、その陽極側の電極板32の周囲で下記のような電気化学反応が起こる。
Fe→Fe2++2e
Fe2+→Fe3++e
Fe3++3OH→Fe(OH)
また、陽極側の電極板32をアルミニウムで形成した場合には、その陽極側の電極板32の周囲で下記のような電気化学反応が起こる。
【0032】
Al→Al3++3e
Al3++3OH→Al(OH)
このように、陽極側の電極板32に通電を行うと、その電極板32から正電位を有する金属イオン(鉄イオン、アルミニウムイオンなど)が溶出し、不溶性の金属水酸化物(水酸化鉄、水酸化アルミニウムなど)が生成される。生成された金属水酸化物は、水よりも比重が大きいため、処理槽9内において、徐々に沈殿していく。また、処理槽9に貯留された汚水には有機物などの汚れ成分が含まれているが、一般的に、その汚れ成分は負電位を有しているので、陽極側の電極板32から溶出した金属イオンに凝集され、金属水酸化物とともに沈殿することとなる。
【0033】
一方、陰極側の電極板32の周囲で下記のような電気化学反応が起こる。
2H+2e→H
このように、陰極側の電極板32に通電を行うと、その電極板32の周囲から水素ガスが発生する。そして、その水素ガスにより、電極板32、特に、陽極側の電極板32に付着している汚れ成分および金属水酸化物(以下、単に「汚れ成分等」という。)が還元破壊されて、電極板32から分離される。また、散気管14から、電極板32に対して気泡が供給されると、その気泡によっても、汚れ成分等が電極板32から分離される。
【0034】
そして、オゾン発生装置13においてオゾンが発生させられ、さらに、循環ポンプ25が動作されることで、マイクロバブル発生装置12において、そのオゾンを用いてマイクロバブルが発生させられる。そのマイクロバブルは、噴出管24から浮上分離槽11内に噴出される。このとき、汚れ成分等は、処理槽9内の汚水中を浮遊しながら、開口11aから浮上分離槽11内に進入する。また、浮上分離槽11には、複数の通水孔11bが形成されており、各通水孔11bは、それぞれフィルター11cにより覆われている。これにより、浮上分離槽11内の汚水の一部は、各通水孔11bから循環ポンプ25側に流出し、再び、循環ポンプ25の動作によって接続管26から吸い込まれる。また、このとき、浮上分離槽11内の汚れ成分等はフィルター11cによって除去されるため、通水孔11bから循環ポンプ25側に流出する汚水中に凝集された汚れ成分等が含まれるのを防ぐことができる。
【0035】
そして、浮上分離槽11内に流入した汚れ成分等は、浮上分離槽11内において、マイクロバブルにより浮上分離され、その浮上分離した汚れ成分等は、返送管15を介して、浮上分離槽11からオーバーフローされ、さらに、返送管15を介して、第一浄化槽5に流入され、第一浄化槽5において沈殿除去処理される。そして、その沈殿除去された汚れ成分等は、第一浄化槽5において沈殿除去されていた他の汚れとともに、たとえば、バキューム等で定期的に吸い取られて第一浄化槽5から除去される。
【0036】
このようにして、処理槽9内において、汚れ成分等が除去された水(処理水)は、塩素薬剤36により、消毒された後、排水管37から処理槽9外に排水される。なお、図1においては、図示しないが、排水管37から排水された水は、たとえば、側溝などの公共水域に放流されたり、トイレ洗浄用水や洗車用水等に再利用されたりする。
以上のように、この実施形態では、処理槽9に汚水を貯留した状態で、その汚水を電解装置10で電気分解することにより、その水に含まれる有機物などの汚れ成分を分離することができる。そして、汚れが分離された処理槽9内の水の中にマイクロバブル発生装置12によりマイクロバブルを発生させ、そのマイクロバブルの作用により、汚れ成分等を浮上分離させることができる。すなわち、汚水に含まれる汚れ成分を分離しつつ、その汚れ成分を浮上分離することを確実に行える。また、電解装置10およびマイクロバブル発生装置12を用いることで汚水に含まれる汚れ成分を浮上分離することができるので、作業が煩雑となるのを防いで作業性の向上を図ることができる。
【0037】
また、汚水処理装置3は、第一浄化槽5および第二浄化槽6で浄化された後の汚水を処理するので、汚水をより高度に処理することができる。
また、浮上分離槽11内において浮上分離した汚れを、返送管15を介して、浮上分離槽11からオーバーフローさせるので、汚水処理装置3の構成が複雑となるのを防ぎつつ、処理槽9内の水から浮上した汚れを、随時、処理槽9外に排出することができる。
【0038】
また、マイクロバブル発生装置12はオゾンを用いて処理槽9内の水の中にマイクロバブルを発生させるので、マイクロバブルの作用により汚れ成分を処理槽9内の水から浮上させるとともに、処理槽9内の水にオゾンを溶け込ませて、その水の除菌、脱臭および脱色を行うことができる。
また、陽極側の電極板32は、鉄またはアルミニウムで形成され、陰極側の電極板32は、鉄、アルミニウムまたはステンレスで形成されているので、陽極側の電極板32から正電位を有する金属イオンが溶出し、その金属イオンによって、汚水に含まれる汚れ成分を凝集することができる。そして、陰極側の電極板32の周囲から水素ガスが発生し、その水素ガスによって、電極板32に付着している汚れ成分等を還元破壊し、電極板32から分離させることができる。
【0039】
また、マイクロバブル発生装置12は、電極板32に対して下方に位置しているので、電極板32から分離した汚れ成分等を、マイクロバブルの浮上力により、浮上分離槽11内においてより一層良好に浮上させることができる。
なお、排水管37には、排水する水をろ過するためのろ過フィルタが備えられていてもよい。このようにずれば、排水する水に、処理槽9内の水から浮上した汚れ成分等が含まれるのを防ぐことができる。
【0040】
図3は、この発明の第2の実施形態にかかる汚水処理装置40の内部構成を示す断面図である。
汚水処理装置40には、汚水処理装置40に送られてきた汚水が初めに流入される貯留槽41と、貯留槽41に貯留された汚水が流入される処理槽45を内部に有するハウジング46とが備えられている。
【0041】
貯留槽41は、上面が開放された略箱形の形状とされており、その内部に汚水を貯留することができるようにされている。詳しくは、貯留槽41は、貯留槽41の上部に設けられた流入管42によって、その内部に汚水が流入されるようにされており、その汚水が貯留槽41に貯留される。
また、貯留槽41内には、吸込ポンプ43が介装された吸込管44の一端が、貯留槽41内深くに差し込まれている。また、吸込管44の他端は、ハウジング46を貫通して、処理槽45の上部に、処理槽45を貫通するように接続されている。
【0042】
ハウジング46は、略箱形の形状とされており、その内部空間が、ハウジング46の内面に一体的に形成され、かつ、水平方向に延びる区画壁47によって、上部空間48と下部空間49とに2分割されている。また、上部空間48には、処理槽45が備えられている。
処理槽45は略箱形の形状とされており、処理槽45の底部は、下方に向かうにつれて先細りしたホッパ形状となっている。処理槽45の底部には、上下方向に延びる接続管50の一端部(上端部)が接続されている。接続管50の一端部(上端部)には、フィルタ50aが設けられており、接続管50の途中部には、低圧力型(たとえば、吐出圧が0.1mPa)の循環ポンプ51が介装されている。接続管50の他端部には、接続管50を通って流れてくる水の中にマイクロバブルを供給するためのマイクロバブル発生装置52の入口管52aが接続されている。そして、マイクロバブル発生装置52の出口管52bは、処理槽45の底部に形成された循環口45aに接続されている。また、マイクロバブル発生装置52の下面には、下方に向かって突出する下突出管52cが形成されている。下突出管52cの途中部には、下突出管52cからマイクロバブル発生装置52内への空気の流入は許容するが、マイクロバブル発生装置52内の水が下突出管52cへと逆流するのを阻止できる逆止弁53が介装されている。
【0043】
なお、マイクロバブル発生装置52の内部構成は、上述したマイクロバブル発生装置12と同様の構成であるため、詳細な説明を省略する。
循環ポンプ51を駆動させると、処理槽45内に貯められた水が、接続管50を通ってマイクロバブル発生装置52内に流入し、循環口45aから処理槽45内に循環される。このとき、フィルタ50aにより、凝集した汚れ成分等がマイクロバブル発生装置52内に流入しないようにされている。このようにして循環する水には、マイクロバブル発生装置52を通過する過程でマイクロバブルが供給される。循環する水の中に供給されたマイクロバブルは、処理槽45内の水の中を上昇する。
【0044】
また、処理槽45には、処理槽45内に貯留された汚水を電気分解するための電解装置54が備えられている。
電解装置54には、陽極電極板55と、陰極電極板56と、接続ケーブル57を介して、陽極電極板55および陰極電極板56に接続された制御部58とが備えられている。
陽極電極板55は、たとえば、鉄、アルミニウムなどの材料(たとえば、金属イオンが溶出する材料)を用いて形成することができる。
【0045】
陰極電極板56は、たとえば、陽極電極板55と同じ材料(鉄、アルミニウムなど)で形成することもできるし、ステンレスなどの陽極電極板55とは異なる材料(たとえば、金属イオンが溶出しない材料)を用いて形成することもできる。
制御部58は、たとえば、電源やマイクロコンピュータなどを含む構成であって、陽極電極板55および陰極電極板56への通電を制御する他、吸込ポンプ43、循環ポンプ51、および、後述する処理水吸込ポンプ63の駆動や、後述する処理水吸込バルブ64、第一排出バルブ61、第二排出バルブ66の開閉などを制御するものである。陽極電極板55および陰極電極板56には、たとえば、15V以下の電圧で、1.2A程度の電流が通電される。
【0046】
処理槽45内の上部には、オーバーフロー口59が形成されていて、処理槽45内の汚水から浮上分離された汚れ成分等は、オーバーフロー口59から処理槽45の外部にオーバーフローされるようになっている。オーバーフロー口59には、第一排出管60の一端部が接続されており、第一排出管60の他端部は、下部空間49に連通している。また、第一排出管60の途中部には、第一排出バルブ61が介装されている。このような構成によれば、処理槽45内の汚水から浮上分離した汚れ成分等を容易に除去することができる。
【0047】
処理槽45内には、処理水吸込管62の一端部(下端部)が、処理槽45内に貯められる汚水の水位の中央部近傍に開放されている。処理水吸込管62の他端部(上端部)は、たとえば、排水管とされており、処理水吸込管62を介して、処理槽45内の水を外部に排水できるようにされている。
処理水吸込管62の途中部には、処理水吸込ポンプ63が介装されるとともに、処理水吸込ポンプ63よりも処理槽45側に処理水吸込バルブ64が介装されている。処理水吸込管62の下端部には、汚水をろ過するためのろ過フィルタ65が備えられていて、汚れ成分等が十分に浮上分離されていない場合でも、その汚れ成分等をろ過フィルタ65により除去してから外部に排水できるようになっている。
【0048】
そして、流入管42を介して、台所排水や風呂排水などの生活排水が含まれる汚水が貯留槽41に流入され、その汚水が貯留槽41に一時的に貯留される。
つづいて、吸込ポンプ43が駆動され、貯留槽41に貯留されている汚水が、処理槽45に流入される。そして、処理槽45に貯留された汚水は、陽極電極板55および陰極電極板56に通電が行われることで電気分解される。その結果、処理槽45内に貯められている汚水から汚れ成分等が分離して、処理槽45の底部に沈殿することとなる。なお、陽極電極板55および陰極電極板56の周囲で生じる電気化学反応は、上述の電極板32の周囲で生じる電気化学反応と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0049】
そして、電気分解が所定時間行われた後、循環ポンプ51により、処理槽45内の電解処理後の汚水がマイクロバブル発生装置52内を循環させられ、その汚水の中にマイクロバブルが供給される。これにより、処理槽45の底部に沈殿した汚れ成分等がマイクロバブルにより浮上分離される。このとき、第一排出バルブ61は開いた状態とされており、マイクロバブルにより浮上分離された汚れ成分等は、オーバーフロー口59からオーバーフローして、第一排出管60を介して、下部空間49に貯められる。
【0050】
下部空間49には、第二排出バルブ66が介装された第二排出管67が連通しており、たとえば、第二排出バルブ66が定期的に開かれて、バキューム等で、第二排出管67を介して下部空間49に貯められた汚れ成分等が定期的に吸い取られて除去される。
一方、処理槽45内の水(処理水)は、処理水吸込バルブ64が開かれた状態で、処理水吸込ポンプ63により、処理水吸込管62を介して処理槽45外に排水される。なお、図3においては図示しないが、処理槽45から排水された水は、たとえば、側溝等の公共水域に放流されたり、トイレ洗浄用水や洗車用水等に再利用されたりする。
【0051】
以上のように、この実施形態では、貯留槽41に一時的に貯留した汚水に対して処理を施すことができる。
また、処理槽45外に排水される水はろ過されているので、その排水される水に、処理槽45内の水から浮上した汚れが含まれるのを防ぐことができる。よって、汚水処理装置40から排水される水によって環境が害されるのを防ぐことができる。
【0052】
なお、この実施形態では、マイクロバブル発生装置52は、下突出管52cから通常の空気が吸い込まれるものとして説明したが、下突出管52cにオゾン発生装置が取り付けられており、オゾン発生装置により発生させられたオゾンを用いてマイクロバブルを発生させるものであってもよい。
この発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】この発明の第1の実施形態にかかる汚水処理装置が含まれる三次処理装置の構成を示す図である。
【図2】マイクロバブル発生装置の内部構成を示す断面図である。
【図3】この発明の第2の実施形態にかかる汚水処理装置の内部構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0054】
3 汚水処理装置
5 第一浄化槽
6 第二浄化槽
9 処理槽
10 電解装置
11 浮上分離槽
12 マイクロバブル発生装置
13 オゾン発生装置
15 返送管
40 汚水処理装置
41 貯留槽
43 吸込ポンプ
44 吸込管
45 処理槽
52 マイクロバブル発生装置
54 電解装置
59 オーバーフロー口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚水を貯留することのできる処理槽と、
上記処理槽内の水を電気分解するための電解装置と、
上記処理槽内の水の中に微細気泡を発生させるための微細気泡発生装置と、を備えることを特徴とする汚水処理装置。
【請求項2】
上記汚水処理装置は、浄化槽で浄化された後の汚水を処理するものであって、
上記処理槽は、上記浄化槽で浄化された後の汚水を貯留するものであることを特徴とする請求項1に記載の汚水処理装置。
【請求項3】
汚水を一時的に貯留するための貯留槽と、
上記貯留槽から上記処理槽へ汚水を送り出すための送水手段と、をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の汚水処理装置。
【請求項4】
上記微細気泡発生装置から発生する微細気泡の作用により上記処理槽内の水から浮上した汚れを、上記処理槽外に排出するための排出機構をさらに備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の汚水処理装置。
【請求項5】
上記排出機構は、上記処理槽内の水から浮上した汚れを上記処理槽内からオーバーフローさせるものであることを特徴とする請求項4に記載の汚水処理装置。
【請求項6】
上記微細気泡発生装置にオゾンを供給するオゾン供給手段をさらに備え、
上記微細気泡発生装置は、上記オゾン供給手段から供給されたオゾンを用いて上記処理槽内の水の中に微細気泡を発生させるものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の汚水処理装置。
【請求項7】
上記処理槽内で処理された水をろ過して上記処理槽外に排水するための排水手段をさらに備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の汚水処理装置。
【請求項8】
上記電解装置は、上記処理槽内に設けられる陽極および陰極を有し、
上記陽極は、鉄またはアルミニウムで形成され、
上記陰極は、鉄、アルミニウムまたはステンレスで形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の汚水処理装置。
【請求項9】
上記微細気泡発生装置は、上記処理槽内の水の中に、上記陽極および陰極に対して下方から微細気泡を発生させるものであることを特徴とする請求項8に記載の汚水処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−136767(P2006−136767A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−326702(P2004−326702)
【出願日】平成16年11月10日(2004.11.10)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】