説明

汚泥処理装置および汚泥処理方法

【課題】汚泥濃縮や汚泥脱水など汚泥処理において、簡便で信頼性・確実性のある指標を用いて固液分離機の運転状況を把握し、この指標に基づき固液分離機の運転要素を制御して高い固液分離性能を発揮させ、安定して確実に汚泥処理することができる汚泥処理装置を得ることにある。
【解決手段】汚泥を分離液と分離物に固液分離する固液分離機1と、汚泥を固液分離機1へ供給する汚泥供給管14と、分離液の酸化還元電位を測定するORP計30とからなる汚泥処理装置であり、汚泥に凝集剤を注入する凝集剤注入管10aや、ORP計30の測定値に基づき、汚泥への凝集剤注入および/または固液分離機1の運転を制御する制御器31を備えるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固液分離機により汚泥を濃縮または脱水する汚泥処理装置および汚泥処理方法に関し、分離液の酸化還元電位に基づき固液分離機の運転や凝集剤の注入を制御するものである。
【背景技術】
【0002】
下水などの有機性廃水やし尿などの有機性廃棄物を固液分離、生物学的処理、物理学的処理等した際に発生する汚泥を、処理・処分・有効利用するためには、効率よく濃縮・脱水する必要があり、濃縮汚泥の高濃度化や脱水汚泥の低含水率化が求められている。そこで近年、例えば遠心分離機等の固液分離機を用いての汚泥処理では、濃縮性能や脱水性能、また固形分(SS)回収率などの向上のため、汚泥に各種凝集剤を注入・混合して濃縮したり、脱水したりしている。
【0003】
汚泥処理(濃縮処理や脱水処理など)では、性能向上や安定した運転のため、固液分離機から流出する分離液の状態を、運転管理者が目視や分析により判定したり、分離液の水質、例えば色度を検出器(色度計などの光学機器)で検出して判定したりして、この判定結果から固液分離機の運転状況や固液分離状態を把握し、固液分離機や凝集剤注入ポンプなどの運転を調整していた(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平10−118530号公報(段落〔0003〕)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の判定方法には、運転管理経験による差異(優劣)が生じること、判定が煩雑で時間も要すこと、検出結果と分離液状態(運転状況)との相関が不確実であること、逐次また即時に判定する必要があることなど、数々の課題があった。
【0006】
さらに、特許文献1のように光学機器を用いる場合には、分離液と検出器との間の大気の影響を受けること、分離液の発泡により検出が阻害されることなど、分離液の性状把握(検出)自体に支障は来たすという課題もあった。また、分離液の水質(性状)に限らず、迅速に且つ信頼性・確実性のある指標やその簡便な検出(測定)方法は確立されていないのが現状である。
【0007】
一方、汚泥処理では、濃縮汚泥の高濃度化、脱水汚泥の低含水率化、SS回収率向上のために、多種多様な凝集剤を汚泥に多く注入する傾向にあり、これにより薬品使用量やストック量が増大し、運転コストの上昇を招くばかりか運転管理が煩雑になるという課題もあった。
【0008】
また、効率的な汚泥処理を行うために汚泥へ凝集剤を適正量注入したとしても、汚泥と凝集剤が速やかに且つ効率よく混合して凝集フロックが形成されないと、十分な固液分離性能を得ることができないという課題もあった。
【0009】
そして、効率よく安定して汚泥処理ができないと、汚泥の減量化ができず処理処分費が高騰し、加えて運転時間の延長や凝集剤の使用量の増大により運転コストも上昇し、これに伴い温室効果ガスの排出も増大してしまい、環境保全や資源保護に逆行してしまうという課題もあった。
【0010】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、固液分離機で分離された分離液(濃縮分離液や脱水分離液)の酸化還元電位を測定し、この測定結果に基づき固液分離機の運転要素(回転数、差速、圧力、凝集剤注入量、汚泥供給量など)を適正に制御することにより、濃縮汚泥の高濃度化、脱水汚泥の低含水率化、SS回収率向上など固液分離性能を高いレベルで安定して維持できて効率的な処理が行える汚泥処理装置および汚泥処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る汚泥処理装置は、汚泥を分離液と分離物に固液分離する固液分離機と、汚泥を固液分離機へ供給する汚泥供給管と、分離液の酸化還元電位を測定するORP計とから構成されるものである。
【0012】
本発明に係る汚泥処理装置は、汚泥に凝集剤を注入する凝集剤注入管、およびORP計の測定値に基づき、汚泥への凝集剤注入および/または固液分離機の運転を制御する制御器を備えたものである。
【0013】
本発明に係る汚泥処理装置は、固液分離機が、外胴ボウルおよび内胴スクリュウを備えた遠心分離機であるものである。
【0014】
本発明に係る汚泥処理装置は、固液分離機が、外胴ボウルおよび内胴スクリュウを備える共に、内胴スクリュウ内を延伸して、無機凝集剤を外胴ボウルのテーパ部に注入する無機凝集剤注入管を備えたものである。
【0015】
本発明に係る汚泥処理方法は、汚泥に凝集剤を注入して固液分離機で分離液と分離物に分離し、分離液の酸化還元電位を測定し、測定した酸化還元電位値に基づき、凝集剤の注入および/または固液分離機の運転を制御するものである。
【0016】
本発明に係る汚泥処理方法は、固液分離機が、外胴ボウルおよび内胴スクリュウを備えた遠心分離機であるものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の汚泥処理装置および汚泥処理方法によれば、固液分離機で分離された分離液(濃縮分離液や脱水分離液)の酸化還元電位(ORP)を測定し、この測定結果に基づき固液分離機の運転要素(回転数、差速、圧力、凝集剤注入量、汚泥供給量など)を適正に制御することにより、また固液分離機として遠心分離機を用い、さらに外胴ボウルのテーパ部に無機凝集剤を注入することにより、次のような幾多の優れた作用効果を奏する。
【0018】
分離液のORPをORP計で測定することにより、容易に分離液の水質(性状)が判定でき、これにより固液分離機の運転状態を瞬時に把握することができ、適切且つ安定した固液分離機の運転管理を行うことができる。特に、分離液のORP測定は、簡便であるばかりか、確実性や信頼性があり、分離液性状の判定にとても有効である。
【0019】
また、ORP計の測定値に基づき、固液分離機の運転要素を制御する制御器を設けた場合には、分離液のORP値に基づき、高分子凝集剤注入ポンプなどのポンプ類やバックドライブモータなどの駆動機を制御器で的確に制御(含インバータ制御)することができ、適正な凝集剤の注入や固液分離機の駆動が可能となり、高い固液分離性能を安定して得られ、効率的な汚泥処理(濃縮汚泥の高濃度化、脱水汚泥の低含水率化、高いSS回収率)を行うことができる。
【0020】
さらに、効率的な汚泥処理により、固液分離機の運転コストや後段の処理(分離液の処理や脱水汚泥の処理・処分など)にかかるコストを確実に削減できる。
例えば、固液分離機として遠心分離機を用い、汚泥に高分子凝集剤を注入して、汚泥濃縮処理や汚泥脱水処理を実施した場合には、遠心分離機の適正な運転状態を維持し続けることで、高分子凝集剤の注入率を約2割低減(凝集剤購入費を2割程度削減)でき、また脱水汚泥の含水率が80%から75%へ低減(脱水汚泥発生量が約2割削減)でき、これにより脱水汚泥処分費も概ね2割削減できることになる。さらに、分離液の固形物(SS)回収率が90%から98%に改善でき、分離液に含まれる固形物を再処理する費用を約1割程度削減できる。加えて、高分子凝集剤の使用量抑制、脱水汚泥発生量や分離液固形物の削減により、高分子凝集剤の製造、分離液固形物の処理、脱水汚泥の処分などの過程で発生する温室効果ガスも確実に削減でき、環境保全や資源保護に寄与することができる。
【0021】
固液分離機として遠心分離機を用い、さらに外胴ボウルのテーパ部で分離物排出側へ移行中の固液分離がある程度進んだ凝集汚泥(分離汚泥)に、無機凝集剤を注入して汚泥脱水処理を実施した場合には、分離汚泥と無機凝集剤とを効率よく反応させることができ、分離汚泥からより一層分離液を分離でき、安定して脱水汚泥の低含水率化(67%〜73%)が達成できる。
また、制御器により高分子凝集剤注入ポンプや無機凝集剤注入ポンプを適切に制御できるため、過剰な凝集剤注入を抑制できるなど無駄が省け、凝集剤使用量を節減することができ、これにより運転コストの低減が図れ、また複雑な運転管理を回避できる。
さらに、安定して優れた固液分離性能を得ることができるため、脱水汚泥をより一層低含水率化させて減容化できるので、取扱いが容易であると共に、処理処分に要する作業や費用を軽減することができ、またSS回収率も高いので分離液の水質も良好になる。
【0022】
無機凝集剤を外胴ボウルのテーパ部に注入する無機凝集剤注入管に給水管で給水することにより、無機凝集剤を効率よく確実に無機凝集剤注入管内で希釈でき、大きい遠心効果を受けるテーパ部で、分離汚泥に対して速やかに且つ広範囲に希釈された無機凝集剤(希釈液)を注入できる。これにより分離汚泥の固液分離が一層進み、脱水工程の終盤での操作(希釈液のテーパ注入)であるにもかかわらず、分離汚泥から効率的に且つ確実に分離液が分離して、より低い含水率(65%〜71%)の脱水汚泥を得ることができ、加えて高比重無機凝集剤を効率的に注入できるので使用量を抑えることもできる。
また、給水により無機凝集剤を希釈できるため、高濃度の無機凝集剤原液を用いることも可能で、無機凝集剤の効率的な使用による使用量の抑制と併せ、無機凝集剤タンクや無機凝集剤注入ポンプの小型化が可能であり、設備コストや設置面積の削減に有効である。
【0023】
さらに、固液分離機として用いられる遠心分離機を稼動停止する際に、無機凝集剤注入管へ給水することにより、無機凝集剤注入管、吐出孔、凝集剤流出口など、付着固化しやすい無機凝集剤が接触する部位を確実に洗浄でき、目詰りや閉塞を防止することができ、加えて一般的に低pHの無機凝集剤と接する部位を十分に洗浄できるため、腐食環境から遠心分離機を保護でき、寿命(耐用年数)を延ばすためにも有効であり、さらにバランス調整が難しい遠心分離機に複雑な洗浄設備や複数の洗浄設備を設ける必要が無く、設備コストの上昇や維持管理作業の増加を抑止し、遠心分離機を適切に保守管理でき、安全性を確保することができる。
【0024】
固液分離機として用いられる遠心分離機の汚泥供給室に、汚泥供給口、仕切板および凝集剤流出口を設けて、無機凝集剤注入管を介して汚泥供給室に注入された無機凝集剤が、外胴ボウルのテーパ部へ流出しやすい構造にすることができる。つまり、汚泥供給室内の汚泥供給口と凝集剤流出口との間に仕切板を設け、その仕切板の凝集剤流出口側に無機凝集剤注入管の吐出孔を開口させることにより、吐出孔から汚泥供給室内に注入された無機凝集剤を、汚泥供給室内で拡散させずに、確実に凝集剤流出口に誘導することができる。そして仕切板によってスムーズに凝集剤流出口に誘導され流出した無機凝集剤を分離汚泥に満遍なく注入でき、短時間で速やかに分離汚泥と無機凝集剤とを反応させることができる。
【0025】
固液分離機として用いられる遠心分離機の外胴ボウルに2段テーパを採用することにより、分離汚泥は内胴スクリュウのスクリュウ羽根で圧搾されながら掻き上げられ、またプール容積を大きく取れるので滞留時間が増加し、大きい遠心効果を受ける2段テーパでの滞留時間(遠心効果を受ける時間)を長くとることができ、さらに2段テーパで分離汚泥に無機凝集剤が注入されるので、これらの相乗効果により分離汚泥から効率的に且つ確実に分離液が分離して、より低い含水率の脱水汚泥を得ることができる。
【0026】
汚泥に無機凝集剤前段注入管を介して予め無機凝集剤等をライン注入(前段注入)すると共に高分子凝集剤を注入した場合には、固液分離しやすい強固な凝集フロック(凝集汚泥)を生成でき、固液分離機として用いられる遠心分離機における初期段階で高い固液分離性能を発揮でき、処理量も適正に維持できる。また、汚泥に無機凝集剤等を前段注入し、凝集汚泥を形成させておくことにより、その後注入される高分子凝集剤との相乗効果により、凝集性能や固液分離性能がより向上し、脱水汚泥の低含水率化はもちろんのこと、処理量の増加やSS回収率の向上が図れ、さらに汚泥に含まれるリン成分を不溶性塩にして脱水汚泥と共に排除でき、排水処理施設への汚濁負荷の軽減およびリンの還流抑止も図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明に係る汚泥処理装置及び汚泥処理方法は、固液分離機から流出する分離液の酸化還元電位をORP計で測定し、その測定値から固液分離状態の良否(固液分離機の運転状態)を判定(推測)し、この判定結果から固液分離機の運転要素(凝集剤注入や遠心分離機の差速などの回転駆動)を制御するものである。
なお、汚泥に凝集剤を注入してもよく、またORP計による測定値に基づき、汚泥や凝集剤のポンプ類、固液分離機の回転駆動機などの運転を自動的に制御する制御器を設けてもよい。
次に、このような基本的な構成を備えた本発明の実施の形態を説明する。
【0028】
<実施の形態1>
図1は本発明の実施の形態1による汚泥処理装置内の概略的な動作説明図である。
実施の形態1による汚泥処理装置は、汚泥を脱水汚泥(濃縮汚泥)と分離液とに固液分離する固液分離機1と、この固液分離機1内に、汚泥供給タンク11内の汚泥を供給する汚泥供給管14と、前記固液分離機1で分離された分離液の酸化還元電位(ORP)を測定するORP計30とを備えた基本構造になっていて、さらに凝集剤を貯留する凝集剤タンク10、前記汚泥供給管14内に凝集剤を注入(ライン注入)する、または前記固液分離機1内に凝集剤を注入(機内注入など)する凝集剤注入管10a、この凝集剤注入管10aに設けられた凝集剤注入ポンプ10bを備えている。なお、図1や図2において凝集剤注入管10aは、上述したライン注入や機内注入などを一つまたは二つ以上適宜選択できるように図示されている。
【0029】
ここで、酸化還元電位(ORP)について説明する。
ORPは、水中の酸化還元状態を表す数値であり(単位:mV)、通常酸化状態ではプラスの値を示し、還元状態ではマイナスの値を示す。
水中に存在する酸化性物質には溶存酸素や3価の鉄イオンなどがあり、一方、水中に存在する還元性物質には有機物や2価の鉄イオンなどがあり、ORPはこれら物質の量のバランスによりプラスの値になったり、マイナスの値になったりする。
【0030】
固液分離機1から流出する分離液のORP値がマイナスである場合には、分離液中に還元性物質が酸化性物質より多く含まれていること(還元状態)を表し、つまり分離液の水質が悪化(有機物であるSSの濃度が上昇)していることを意味している。逆に、分離液のORP値がプラスである場合には、分離液中に酸化性物質が還元性物質より多く含まれていること(酸化状態)を表し、つまり分離液中に還元性物質であるSSが少なく、分離液の水質が良好である(有機物であるSSの濃度が低下している=SS回収率が良い)ことを意味している。
この作用に基づき、ORP値がマイナス側のときは分離液の水質が悪く、固液分離機1の運転状態が適正でないと判断ができ、逆にORP値がプラス側のときは分離液の水質が良好であり、固液分離機1の運転状態が適正である(ただし、凝集剤が過剰に注入されている場合も含む)と判断できるわけである。
【0031】
なお、固液分離機1としては、遠心分離機、ベルトプレス式分離機、スクリュープレス式分離機、フィルタープレス式分離機、円筒ろ過式分離機、回転円板式分離機など汚泥の脱水や濃縮に用いられる機械装置であれば、どのようなものも適用可能である。
【0032】
ORPの測定は、酸化還元物質を含む溶液に、不活性な金属電極である測定電極(予め酸化還元電位の決まった参照電極で、例えば標準水素電極や銀−塩化銀電極などがある)を入れることにより生じる電位差を基に決定する一般的なORP計を用いるが、これに限るものではなく、安定して確実に分離液のORP値を測定できるORP計であれば用いることができる。
【0033】
凝集剤タンク10内の凝集剤としては、高分子凝集剤や無機凝集剤が使用される。
高分子凝集剤には、通常汚泥脱水処理や汚泥濃縮処理で用いられる両性高分子凝集剤、カチオン系高分子凝集剤、アニオン系高分子凝集剤、ノニオン系高分子凝集剤等がある。このような高分子凝集剤を用いることにより、汚泥から比較的強固な汚泥フロックを生成することができ、効率的に汚泥脱水や汚泥濃縮を行うことができる。
【0034】
無機凝集剤には、例えば、ポリ硫酸第2鉄(ポリ鉄)、ポリ塩化アルミニウム(PAC)、ポリ硫酸アルミニウム(硫酸バンド)等がある。このような無機凝集剤を用いることにより、汚泥の固形成分を確実に凝集させ、分離性の高い凝集フロック(凝集汚泥)を作ることができると共に、汚泥に含まれるリン成分と反応して不溶性塩にして除去することもできる。
なお、固液分離機1として遠心分離機を用いて汚泥を脱水する場合には、無機凝集剤として、鉄含有率(T-Fe(トータルFe)換算での鉄の濃度)の高い高比重の無機凝集剤(高比重無機凝集剤)を用いてもよい。この高比重無機凝集剤としては、その比重が1.45〜1.75で、かつ、鉄含有率(T-Fe換算での鉄の濃度)が12.0%〜16.0%であるものが好適であり、成分としてはポリ硫酸第二鉄(〔Fe2(OH)n(SO4)3-n/2〕m)が有効であるが、鉄系の高比重無機凝集剤で上記性状であり、ポリ硫酸第二鉄と同等の効果が得られるものであれば、これに限られるものではない。このような比重および鉄含有率の高比重無機凝集剤は、通常の無機凝集剤に比べ、遠心分離機の遠心効果により速やかに且つ効率よく汚泥に混合(浸透)させることができる。
【0035】
固液分離機1として遠心分離機を用いて汚泥を脱水する場合に、高分子凝集剤および無機凝集剤(高比重無機凝集剤を含む)を汚泥に注入すること(いわゆる2液法)が望ましい。高分子凝集剤と無機凝集剤との併用により、汚泥の固形成分を確実に凝集させ、より分離性の高い強固な凝集フロック(凝集汚泥)を作ることができ、効率よく確実に固液分離することができる。特に、無機凝集剤として高比重無機凝集剤を用いた場合には、遠心効果の作用により、さらに効率よく確実に汚泥脱水処理することができる。
【0036】
次に動作について説明する。
固液分離機1の運転状態において、汚泥供給タンク11内の汚泥は、汚泥供給管14を介して、固液分離機1の汚泥供給室に供給される。一方、凝集剤は、汚泥供給管14内にライン注入されるか、または汚泥供給室内に注入される。汚泥は凝集剤と混合して凝集し、固液分離機1の分離作用で分離物と分離液とに固液分離され、分離物と分離液が別途排出される。ORP計30により分離液のORP値が測定される。ORP値が好適な範囲(例えば-10mV〜+30mV)内にあれば、分離液の水質が良好であり、汚泥の固液分離が効率よく行われていることが推認される。
【0037】
このように汚泥の固液分離が良好に行われ、SS回収率が高く(=分離液SS濃度が低い)、且つ脱水汚泥(分離物)の含水率が低く、または濃縮汚泥(分離物)が高濃度である場合には、汚泥供給管14からの汚泥の供給量、凝集剤注入管10aからの凝集剤の注入量、固液分離機1の運転状態等が維持される。
【0038】
しかし、ORP値が好適な範囲を上回った(プラス側)場合には、分離液の水質が良好であるものの、汚泥の固液分離が適正に行われてなく、脱水汚泥(分離物)の含水率が低くならず、または濃縮汚泥(分離物)が高濃度にならないと推認される。
このような場合には、凝集剤の注入量を低減したり、固液分離機1の運転を調整したりして、分離液のORP値が好適な範囲内になるように誘導する。このような調整により、SS回収率(%)を維持しながら、脱水汚泥の含水率を低下させ、または濃縮汚泥を高濃度にすることができる。
【0039】
これに対して、ORP値が好適な範囲を下回った(マイナス側)場合には、分離液の水質が悪化(SS回収率が低下)し、汚泥の固液分離が適正に行われてなく、脱水汚泥(分離物)の含水率が低くならず、または濃縮汚泥(分離物)が高濃度にならないと推認される。
このような場合には、凝集剤の注入量を増加したり、固液分離機1の運転を調整したりして、分離液のORP値が好適な範囲内になるように誘導する。このような調整により、SS回収率(%)を回復させると共に、脱水汚泥の含水率を低下させ、または濃縮汚泥を高濃度にすることができる。
【0040】
つまり、実施の形態1において、分離液のORP値を測定して、このORP値に基づき固液分離機1の運転要素を調整することは、汚泥処理(固液分離)の状態(分離状況、運転状態)を判定・把握する上で簡便且つ有効な手段であると共に、効率的で安定した固液分離機1の運転に資するものである。
【0041】
実施の形態1によれば、固液分離機1からの分離液のORPをORP計30により測定し、そのORP値から固液分離機1における運転状況の良否を判定(推測)し、その判定結果から、凝集剤の注入量、汚泥の供給量、固液分離機1の運転を適切に調整することにより、安定して適正に汚泥処理(固液分離)を行うことができる。
【0042】
<実施の形態2>
図2は本発明の実施の形態2による汚泥処理装置の概略的な動作説明図であり、図1と同一構成要素には同一符号を付して重複説明を省略する。
実施の形態2による汚泥処理装置は、汚泥を固液分離機1に供給する汚泥供給ポンプ15を汚泥供給管14に設けた点、凝集剤注入ポンプ10b、汚泥供給ポンプ15、固液分離機1の運転要素にそれぞれ電気的に接続された制御器31を設けた点で、前記実施の形態1と異なる。
【0043】
詳述すると、制御器31は、ORP計30により測定された分離液のORPに基づいて、凝集剤注入ポンプ10bによる凝集剤の注入量、汚泥供給ポンプ15による汚泥の供給量、固液分離機1の運転を適切に制御するように構成されている。なお、この制御器31は、機器類を直接制御してもよく、またインバータ制御としてもよい。
【0044】
制御器31により制御される対象となる運転要素については、その例を以下に示す。
(1)固液分離機全般(汚泥脱水機や汚泥濃縮機)の場合には、制御器31は、高分子凝集剤注入ポンプ、無機凝集剤注入ポンプ、汚泥供給ポンプ等の制御を行う。
(2)遠心分離機(遠心脱水機や遠心濃縮機)の場合には、制御器31は、差速(バックドライブモータ)や回転駆動機等の制御を行う。
(3)ベルトプレス式分離機(ベルトプレス脱水機やベルト濃縮機)の場合には、制御器31は、ろ布走行速度(駆動機)やろ布張力(圧力調整器)等の制御を行う。
(4)スクリュープレス式分離機(スクリュープレス脱水機やスクリュープレス濃縮機)の場合には、制御器31は、スクリュー回転速度(駆動機)や圧力(圧力調整器)等の制御を行う。
【0045】
固液分離機1から流出する分離液のORP値は、概ね±100mVの範囲である。SS回収率が高く、分離液のSS濃度が低い場合には、分離液のORP値は概ね−5 mV〜+50 mVであり、分離液のSS回収率が低く、分離液のSS濃度が高い場合には、分離液のORP値は、概ね−80 mV〜±0 mVである。なお、ORP値は、汚泥や分離液の性状、ORP計の特性、環境、測定条件などにより、一定でなく変動する。そのため、ORP値に基づき固液分離機1の運転諸要素を制御する場合には、予めORP値の好適制御範囲を設定する必要がある(マイナスだから不良、プラスだから良とは断定できない)。
【0046】
また、ORP値がプラス側(例えば+90mV)で、SS回収率が良好であっても、必要以上に凝集剤が注入されている過剰注入状態だったり、固液分離機1の運転が不適切だったりすると、脱水汚泥の含水率が低下せず、または濃縮汚泥の濃度が高くならず、安定して適正な汚泥処理(固液分離)が行われていない場合もあり、つまりORP値には上限から下限にわたる好適制御範囲(図7、図8を参照)が存在するため、上述の通り予め設定する必要がある。
【0047】
次に動作について説明する。
固液分離機1の運転状態において、汚泥供給タンク11内の汚泥が汚泥供給管14を介して、固液分離機1の汚泥供給室に供給される。一方、凝集剤は、汚泥供給管14内にライン注入されるか、または汚泥供給室内に注入される。汚泥は凝集剤と混合して凝集し、固液分離機1の分離作用で分離物と分離液とに固液分離され、分離物と分離液が別途排出される。ORP計30により分離液のORP値が測定され、ORP値は制御器31に送られる。ORP値が好適制御範囲(例えば-5mV〜+25mV)内にあれば、分離液の水質が良好であり、汚泥の固液分離が効率よく行われていることが推認される。
【0048】
このように汚泥の固液分離が良好に行われ、SS回収率が高く(=分離液SS濃度が低い)、且つ脱水汚泥(分離物)の含水率が低く、または濃縮汚泥(分離物)が高濃度である場合には、制御器31により、汚泥供給管14からの汚泥の供給量、凝集剤注入管10aからの凝集剤の注入量、固液分離機1の運転状態等が維持される。
【0049】
しかし、ORP値が好適制御範囲を上回った(例えば+50mV)場合には、分離液の水質が良好であるものの、汚泥の固液分離が適正に行われてなく、脱水汚泥(分離物)の含水率が低くならないと推認される。このような場合には、凝集剤の注入量を低減させたり、固液分離機1の運転を調整させたりするため、制御器31で凝集剤注入ポンプ10b、汚泥供給ポンプ15、固液分離機1の運転要素等を制御し、分離液のORP値が好制御範囲内になるように誘導する。このような制御により、SS回収率(%)を維持しながら、脱水汚泥の含水率を低下させることができる。
【0050】
これに対して、ORP値が好適制御範囲を下回った(例えば-40mV)場合には、分離液の水質が悪化(SS回収率が低下)し、汚泥の固液分離が適正に行われてなく、脱水汚泥(分離物)の含水率が低くならず、または濃縮汚泥(分離物)が高濃度にならないと推認される。このような場合には、凝集剤の注入量を増加させたり、固液分離機1の運転を調整させたりするため、制御器31で凝集剤注入ポンプ10b、汚泥供給ポンプ15、固液分離機1の運転要素等を制御し、分離液のORP値が好制御範囲内になるように誘導する。このような制御により、SS回収率(%)を回復させると共に、脱水汚泥の含水率を低下させ、または濃縮汚泥を高濃度にすることができる。
【0051】
つまり、実施の形態2において、分離液のORP値を測定して、このORP値に基づき、制御器31により、固液分離機1の運転要素を制御することは、汚泥処理(固液分離)の状態(分離状況、運転状態)を判定・把握する上で簡便且つ有効な手段であると共に、効率的で安定した固液分離機1の運転に資するものである。
【0052】
実施の形態2によれば、固液分離機1からの分離液のORPをORP計30により測定し、そのORP値から固液分離機1における運転状況の良否を判定(推認)し、その判定結果から、制御器31により、凝集剤の注入量、汚泥の供給量、固液分離機1の運転を適切に制御することにより、安定して適正に汚泥処理(固液分離)を行うことができる。
【0053】
実施例1.
固液分離機1として遠心分離機を用いた汚泥脱水運転(実施例)では、分離液のORPが−25 mVのときに、高分子凝集剤の注入量を10%程度増加させた(1.0%/対汚泥SS→1.1%/対汚泥SS)。これにより、ORPは+10mVとなり、脱水汚泥の含水率は75%から72%に3ポイント低下すると共に、SS回収率は92%から97%に5ポイントも改善し、脱水性能が明らかに改善(含水率および分離液SS濃度の低下)された。
【0054】
実施例2.
固液分離機1としてベルトプレス脱水機を用いた汚泥脱水運転(実施例)では、分離液のORPが+40 mV のときに、高分子凝集剤の注入量を10%程度減少させた(2.0%/対汚泥SS→1.8%/対汚泥SS) 。これにより、ORPは+5mVとなり、含水率は75%から73%に2ポイント低下すると共に、SS回収率は95%を維持し、やはり脱水性能が改善(含水率の低下)された。
【0055】
<実施の形態3>
図3は本発明の実施の形態3による汚泥処理装置を示す断面図であり、図1及び図2と同一構成要素には同一符号を付して重複説明を省略する。
実施の形態3による汚泥処理装置は、固液分離機1として遠心分離機1Aを用いる点、凝集剤注入管10aに流量計10cおよび開閉弁10dを配設した点で、前記実施の形態2と異なり、また制御器31と電気的に接続するものを、汚泥供給管14に配設された汚泥供給ポンプ15、凝集剤注入管10aに配設された凝集剤注入ポンプ10b、遠心分離機1の回転駆動機5およびバックドライブモータ6とした。なお、凝集剤としては、通常処理対象汚泥に適合する(効力のある)高分子凝集剤を用いるが、無機凝集剤を用いてもよい。
【0056】
遠心分離機1Aは、一端側に分離液排出口2aが、他端側に分離物排出口2bが設けられたケーシング2と、このケーシング2内に回転可能に配設された外胴ボウル3と、この外胴ボウル3内に回転可能に配設された内胴スクリュウ4と、外胴ボウル3および内胴スクリュウ4を回転駆動する回転駆動機5と、外胴ボウル3と内胴スクリュウ4とに回転差を与えるバックドライブモータ6とを備え、外胴ボウル3と内胴スクリュウ4との間にプール(濃縮ゾーン・脱水ゾーン)9が形成される構造となっている。
【0057】
前記外胴ボウル3は、分離液排出側が円筒形状の直胴部3aとなっており、分離物排出側がテーパ部(狭径部)となっており、2段テーパ3b,3cとして形成している。この2段テーパ3b,3cは、下方の2段テーパ3bが急傾斜となり、上方の2段テーパ3cが緩傾斜となるように製作されている
【0058】
このような2段テーパ3b,3cによって、スクリュウ羽根4cによる凝集汚泥への圧搾効果が得られると共に、とくに2段テーパ3bを急傾斜とすることによりプール9の容積が大きくなり、遠心分離機1Aの機長を抑えつつ、大きい遠心効果を受ける2段テーパ3bでの滞留時間(遠心効果を受ける時間)を長くとることができ、分離汚泥の固液分離に有効である。なお、外胴ボウル3の分離物排出側に形成されたテーパ部が後述する1段テーパ3d(図6参照)であっても高い固液分離(濃縮・脱水)性能を得ることができる。
【0059】
前記内胴スクリュウ4は、分離液排出側に形成された円筒形状の直胴部4aと、分離物排出側に形成された内胴テーパ4bと、直胴部4aと内胴テーパ4bの外周に一体形成されたスクリュウ羽根4cを備える。
【0060】
内胴スクリュウ4の内部には、直胴部4aおよび内胴テーパ4bに跨る汚泥供給室7が形成され、該汚泥供給室7には、内胴スクリュウ4の直胴部4aで開口する汚泥供給口7aが設けられている。汚泥供給室7は、汚泥供給口7aを介して前記外胴ボウル3内に連通している。
【0061】
このように構成された遠心分離機1Aへは、汚泥供給タンク11から汚泥供給管14を介して、内胴スクリュウ4の汚泥供給室7内に汚泥が供給されるようになっており、この汚泥供給管14には汚泥供給ポンプ15が配設されている。なお、汚泥供給ポンプ15を用いずに流下方式を採用することもできる。
【0062】
汚泥供給管14は、内胴スクリュウ4の汚泥供給室7内の汚泥供給口7aの近傍に延伸しており、汚泥供給管14の先端には、汚泥供給室7内で開口する汚泥供給管開口14aが形成されている。この汚泥供給管開口14aから供給された汚泥は、遠心効果を受けて汚泥供給口7aからプール9に流出する。
【0063】
ORP計30は、分離液排出口2aに排出される分離液の酸化還元電位を測定するための測定電極30aを備えている。
【0064】
次に動作について説明する。
遠心分離機1Aの運転状態において、汚泥供給タンク11内の汚泥は、汚泥供給管14を介して、遠心分離機1Aの汚泥供給室7に供給されると共に、凝集剤は、凝集剤注入管10aを介して、汚泥供給管14内にライン注入される。汚泥は凝集剤と混合して凝集し、遠心分離機1A内において大きい遠心効果を受けて、分離物(濃縮汚泥や脱水汚泥)と分離液(濃縮分離液や脱水分離液)とに固液分離され、分離物と分離液が別途排出される。
【0065】
そして、ORP計30により分離液のORPが測定され、ORP値は制御器31に送られる。ORP値が好適制御範囲(例えば±0mV〜+30mV)内にあれば、分離液の水質が良好であり、汚泥の遠心分離が効率よく行われていることが推認される。このように汚泥の遠心分離が良好に行われ、SS回収率が高く(=分離液SS濃度が低い)、且つ脱水汚泥(分離物)の含水率が低く、または濃縮汚泥(分離物)が高濃度である場合には、制御器31により、汚泥供給管14からの汚泥の供給量、凝集剤注入管10aからの凝集剤の注入量、遠心分離機1Aの運転状態等が維持される。
【0066】
しかし、ORP値が好適制御範囲を上回った(例えば+60mV)場合には、分離液の水質が良好であるものの、汚泥の固液分離が適正に行われてなく、脱水汚泥(分離物)の含水率が低くならないと推認される。このような場合には、遠心分離機1Aの外胴ボウル3と内胴スクリュウ4との差速が過大であり、また凝集剤として高分子凝集剤を用いていれば、高分子凝集剤の注入量が過剰であると判断でき、前記差速を低減させたり、前記注入量を減少させたりするため、制御器31で、バックドライブモータ6や凝集剤注入ポンプ10bの駆動を制御(差速低減や注入量減少)し、分離液のORP値が好制御範囲内になるように誘導する。このような制御により、SS回収率(%)を維持しながら、脱水汚泥の含水率を低下させることができる。なお、汚泥供給ポンプ15や回転駆動機5の駆動を制御してもよい。
【0067】
これに対して、ORP値が好適制御範囲を下回った(例えば-40mV)場合には、分離液の水質が悪化(SS回収率が低下)し、汚泥の固液分離が適正に行われてなく、脱水汚泥(分離物)の含水率が低くならず、または濃縮汚泥(分離物)が高濃度にならないと推認される。このような場合には、前記差速が過小であり、また前記高分子凝集剤の注入量が不足であると判断でき、前記差速を増加させたり、前記注入量を増加させたりするため、制御器31で、バックドライブモータ6や凝集剤注入ポンプ10bの駆動を制御(差速増加や注入量増加)し、分離液のORP値が好制御範囲内になるように誘導する。このような制御により、SS回収率(%)を回復させると共に、脱水汚泥の含水率を低下させ、または濃縮汚泥を高濃度にすることができる。なお、汚泥供給ポンプ15や回転駆動機5の駆動を制御してもよい。
【0068】
つまり、実施の形態3においても、前記実施の形態2と同様に、分離液のORP値を測定して、このORP値に基づき、制御器31により、遠心分離機1Aの運転要素を制御することは、汚泥処理(固液分離)の状態(分離状況、運転状態)を判定・把握する上で簡便且つ有効な手段であると共に、効率的で安定した遠心分離機1Aの運転に資するものである。
【0069】
実施の形態3によれば、遠心分離機1Aからの分離液のORPをORP計30により測定し、そのORP値から遠心分離機1Aにおける運転状況の良否を判定(推認)し、その判定結果から、制御器31により、凝集剤の注入量や遠心分離機1A内の外胴ボウル3と内胴スクリュウ4との差速等を適切に制御することにより、安定して適正に汚泥処理(固液分離)を行うことができる。
【0070】
実施例3.
高分子凝集剤を用いて、遠心分離機1Aによる汚泥脱水運転(実施例)を行ったところ、分離液のORPが-35mVのときは、脱水汚泥の含水率が76%で、SS回収率は91%であり、一方分離液のORPが+45mVのときは、脱水汚泥の含水率が75%で、SS回収率は97%であったが、制御器31(分離液のORPの好適制御範囲を±0mV〜+35 mVに設定)、によりバックドライブモータ6の駆動を制御(差速制御)して、分離液のORPが好適制御範囲になるよう誘導したところ、脱水汚泥の含水率は70〜71%、SS回収率は98〜99%となり、脱水性能が明らかに改善(含水率の低下およびSS回収率の上昇)された。なお、差速は、分離液のORPが-35mVのときは1.0rpmであり、分離液のORPが+45mVのときは4.1rpmであり、分離液のORPが好適制御範囲である±0mV〜+35 mVのときは1.8〜3.2rpmであった。
【0071】
実施例4.
高分子凝集剤を用いて、遠心分離機1Aによる汚泥脱水運転(実施例)を行ったところ、分離液のORPが-45mVのときは、脱水汚泥の含水率が77%で、SS回収率は90%であり、一方分離液のORPが+35mVのときは、脱水汚泥の含水率が75%で、SS回収率は98%であったが、制御器31(分離液のORPの好適制御範囲を-5mV〜+25 mVに設定)、により凝集剤注入ポンプ10bの駆動を制御(注入量制御)して、分離液のORPが好適制御範囲になるよう誘導したところ、脱水汚泥の含水率は71〜72%、SS回収率は98〜99%となり、脱水性能が明らかに改善(含水率の低下およびSS回収率の上昇・維持)された。なお、高分子凝集剤の汚泥に対する注入率は、分離液のORPが-45mVのときは0.77%であり、分離液のORPが+35mVのときは1.05%であり、分離液のORPが好適制御範囲である-5mV〜+25 mVのときは0.89〜1.01%であった。
【0072】
<実施の形態4>
図4は本発明の実施の形態4による汚泥処理装置を示す断面図であり、図3と同一構成要素には同一符号を付して重複説明を省略する。
実施の形態4による汚泥処理装置は、凝集剤として無機凝集剤と高分子凝集剤とを併用する点、無機凝集剤を遠心分離機1Aの汚泥供給室7内に注入する構造とした点で、前記実施の形態3と異なり、また制御器31と電気的に接続するものを、汚泥供給ポンプ15、高分子凝集剤注入ポンプ17、無機凝集剤注入ポンプ24、遠心分離機1の回転駆動機5およびバックドライブモータ6とした。
さらに詳述すると、実施の形態4による汚泥処理装置には、汚泥供給管14内の汚泥に高分子凝集剤タンク12内の高分子凝集剤を注入(ライン注入)する高分子凝集剤注入管16と、遠心分離機1Aの内胴スクリュウ4内を延伸して、外胴ボウル3のテーパ部に、無機凝集剤タンク13内の無機凝集剤を注入(テーパ注入)する無機凝集剤注入管23が設けられている。
【0073】
遠心分離機1Aの内胴スクリュウ4の汚泥供給室7には、汚泥供給口7aの他に、凝集剤流出口7b,7cと仕切板8a,8bが設けられている。そして凝集剤流出口7b,7cは内胴テーパ4bに設けられ、該内胴テーパ4bの内周面には、前記凝集剤流出口7b,7cの近傍の汚泥供給口7a方向に、それぞれ仕切板8a,8bが設けられている。
【0074】
前記仕切板8a,8bは、通常汚泥供給室7内部にドーナッツ状の形状で設置されており、後述する汚泥供給管14とのクリアランス(間隔)は通常10mm以下に設定される。なお、仕切板8a,8bは、間断のないドーナツ状のものでも、複数の部材を間隔も持ってドーナツ状に配列したものでもかまわない。このような仕切板8a,8bを設置することにより、汚泥供給室7内に後述する無機凝集剤注入管23の吐出孔23a,23bから注入された無機凝集剤が、汚泥供給室7内で拡散することを抑制・防止し、スムーズに凝集剤流出口7b,7cから外胴ボウル3のテーパ部に流出させることができる。
【0075】
高分子凝集剤タンク12は、高分子凝集剤を貯留しており、高分子凝集剤注入管16により汚泥供給管14に接続された構造となっている。高分子凝集剤注入管16には、高分子凝集剤注入ポンプ17、流量計18、開閉弁19が配設されている。
【0076】
無機凝集剤タンク13は、無機凝集剤を貯留しており、内胴スクリュウ4内を延伸する無機凝集剤注入管23で、外胴ボウル3のテーパ部に無機凝集剤を注入する構造となっている。無機凝集剤注入管23には、無機凝集剤注入ポンプ24、流量計25、開閉弁26が配設されている。
【0077】
実施の形態4の汚泥処理装置では、高分子凝集剤注入管16を汚泥供給管14に接続して、予め汚泥に高分子凝集剤を注入できるように構成している。つまり、高分子凝集剤の種類によっては汚泥との反応(接触)時間を長くとる必要があるため、高分子凝集剤を汚泥供給管14に注入するライン注入方式を採用して、予め汚泥と高分子凝集剤とが十分に混合して反応できるようにしている。
【0078】
また、前記遠心分離機1Aへは、無機凝集剤タンク13から無機凝集剤注入管23を介して、内胴スクリュウ4の汚泥供給室7内に無機凝集剤が注入されるようになっており、この無機凝集剤注入管23の先端付近には、凝集剤流出口7b,7cに対応する位置で開口する吐出孔23a,23bが設けられている。
【0079】
無機凝集剤を注入する無機凝集剤注入管23は、通常パイプ形状で汚泥供給管14の内部を該汚泥供給管14と共に延伸し、汚泥供給室7内で開口する前記吐出孔23a,23bから汚泥供給室7内の凝集剤流出口7b,7cを介して外胴ボウル3のテーパ部へ無機凝集剤を流出させる構造となっている。
【0080】
汚泥に注入する高分子凝集剤としては、両性高分子凝集剤、カチオン系高分子凝集剤、アニオン系高分子凝集剤、ノニオン系高分子凝集剤を用いることができる。
また、後述の図6に示す実施の形態6のように、汚泥に無機凝集剤等を前段注入(図6参照)して微細な凝集フロックを生成させた後、両性高分子凝集剤を注入する場合には、更に凝集させて大きく強固な汚泥フロックを生成させることができ、前述の図3に示す実施の形態3のように、単独で比較的強固な汚泥フロックを生成できるカチオン系高分子凝集剤、アニオン系高分子凝集剤、ノニオン系高分子凝集剤を用いてもよい。さらに、汚泥に無機凝集剤を少なく前段注入した場合にはカチオン系高分子凝集剤を、多く注入した場合にはアニオン系高分子凝集剤を使用することにより、強固な汚泥フロックを生成させることができる。またノニオン系高分子凝集剤は上水汚泥等を脱水処理する場合に有効である。
【0081】
無機凝集剤としては、例えば、ポリ硫酸第二鉄、ポリ塩化アルミニウム、ポリ硫酸アルミニウムなどが使用される。ポリ硫酸第二鉄は比較的比重が大きく遠心分離機による汚泥脱水処理等に有効であるが、pHが低く緩衝能も大きいため、凝集汚泥のpHを低下させやすい。遠心分離技術(装置面や凝集性など)から考慮すると、遠心分離機1A本体、凝集汚泥、脱水汚泥、分離液のいずれも、pHは中性付近が望ましい。
【0082】
この点、ポリ塩化アルミニウムはポリ硫酸第二鉄に比べて比重が小さく、脱水性能(低含水率化)はポリ硫酸第二鉄にやや劣るが、pHの緩衝能が小さく凝集汚泥のpHを低下させにくいため、pH低下抑制には有効である。ポリ硫酸アルミニウムは、ポリ塩化アルミニウムに比べて比重がやや大きい。なお、遠心分離機1Aにおいては、高比重のポリ硫酸第二鉄(比重1.45以上、鉄含有率14.5%以上)を使用することにより、遠心効果の作用で、この高比重の無機凝集剤と汚泥とがより一層混合しやすくなる。
【0083】
次に動作について説明する。
遠心分離機1Aの運転状態においては、汚泥供給タンク11の汚泥が汚泥供給ポンプ15により汚泥供給管14を介して遠心分離機1Aの汚泥供給室7に供給されると共に、高分子凝集剤が高分子凝集剤注入ポンプ17により汚泥供給管14内の汚泥にライン注入される。高分子凝集剤が混合された汚泥(凝集汚泥)は、汚泥供給口7aからプール9に流出し、大きい遠心効果を受けて固液分離が進む。そして、無機凝集剤タンク13の無機凝集剤が、無機凝集剤注入ポンプ24によりテーパ注入管23の吐出孔23a,23bから汚泥供給室7の凝集剤流出口7b,7cを介して外胴ボウル3のテーパ部にテーパ注入される。
【0084】
テーパ注入された無機凝集剤は、スクリュウ羽根4cにより分離物排出側(遠心分離機1Aの分離物排出口2b側)へ移動しながら外胴ボウル3のテーパ部を掻き上げられていく分離汚泥(高分子凝集剤により凝集化され、さらに遠心効果により固液分離が進んだ凝集汚泥)に注入される。そして速やかに分離汚泥と無機凝集剤とが混合・反応して、効率よく安定して分離汚泥の固液分離(分離液の分離・低含水率化)が促進され、従来に比べ3〜11%程度低い含水率の脱水汚泥を得ることができる。
【0085】
また、分離液のORPは、ORP計30により測定され、そのORP値は制御器31に送られる。ORP値が好適制御範囲内にあれば、分離液の水質が良好で、汚泥の固液分離が効率よく行われていると推認される。このように汚泥の遠心脱水処理が良好に行われ、脱水汚泥の含水率が低く、SS回収率が高い(=分離液SS濃度が低い)場合には、制御器31により、高分子凝集剤注入ポンプ17(高分子凝集剤の注入量)、無機凝集剤注入ポンプ24(無機凝集剤の注入量)、汚泥供給ポンプ15(汚泥の供給量)、バックドライブモータ6や回転駆動機5(差速や回転数)等の駆動(運転)は維持される。
【0086】
しかし、ORP値が好適制御範囲を上回った(例えば+70mV)場合には、分離液の水質が良好であるものの、汚泥の遠心脱水処理が適正に行われてなく、脱水汚泥の含水率が低くならないと推認される。このような場合には、遠心分離機1Aの外胴ボウル3と内胴スクリュウ4との差速が過大であり、また高分子凝集剤や無機凝集剤の注入量が過剰であると判断でき、前記差速を低減させたり、前記注入量を減少させたりするため、制御器31で、バックドライブモータ6の駆動を制御(差速低減)し、また高分子凝集剤注入ポンプ17、無機凝集剤注入ポンプ24等の駆動を制御(注入量減少)し、分離液のORP値が好制御範囲内になるように誘導する。このような制御により、SS回収率(%)を維持しながら、脱水汚泥の含水率を低下させることができる。なお、汚泥供給ポンプ15や回転駆動機5の駆動を制御してもよい。
【0087】
これに対して、ORP値が好適制御範囲を下回った(例えば-40mV)場合には、分離液の水質が悪化(SS回収率が低下)し、汚泥の遠心脱水処理が適正に行われてなく、脱水汚泥の含水率が低くならないと推認される。このような場合には、前記差速が過小であり、また高分子凝集剤や無機凝集剤の注入量が不足であると判断でき、前記差速を増加させたり、前記注入量を増加させたりするため、制御器31で、バックドライブモータ6の駆動を制御(差速増加)し、また高分子凝集剤注入ポンプ17や無機凝集剤注入ポンプ24等の駆動を制御(注入量増加)し、分離液のORP値が好制御範囲内になるように誘導する。このような制御により、SS回収率(%)を回復させると共に、脱水汚泥の含水率を低下させることができる。なお、汚泥供給ポンプ15や回転駆動機5の駆動を制御してもよい。
【0088】
つまり、実施の形態4においても、前記実施の形態3と同様に、分離液のORP値を測定して、このORP値に基づき、制御器31により、遠心分離機1Aの運転要素を制御することは、汚泥の遠心脱水処理の状態(分離状況、運転状態)を判定・把握する上で簡便且つ有効な手段であると共に、効率的で安定した遠心分離機1Aの運転に資するものである。
【0089】
また、無機凝集剤として高比重無機凝集剤を用いた場合には、高比重無機凝集剤を直接分離汚泥に注入できるので、高比重無機凝集剤の凝集効果を低下させることなく即座に注入でき、遠心分離機1Aの高い脱水性能を安定して発揮させることができる。特に、大きい遠心効果を受ける外胴ボウル3のテーパ部に高比重無機凝集剤を注入することにより、通常の無機凝集剤に比べ、速やかに分離汚泥に高比重無機凝集剤を混合(浸透)させることができ、より一層優れた固液分離性能を得ることができる。
【0090】
実施の形態4では、上述したように、遠心分離機1Aの差速(バックドライブモータ6)や回転数(回転駆動機5)を制御することにより、脱水性能が高い安定した汚泥の遠心脱水処理が行える。
特に、差速(同じ方向に回転する外胴ボウル3と内胴スクリュウ4との回転数の差で、内胴スクリュウ4を回転駆動するバックドライブモータ6で調整する)の制御が有効である。ここで、『差速』とは、外胴ボウル3と内胴スクリュウ4は共に回転駆動機5により回転され、詳しくは外胴ボウル3と内胴スクリュウ4との間にある機械的抵抗や供給された汚泥の抵抗を介して回転エネルギーを得て回転しており、等速で回転しようとする外胴ボウル3と内胴スクリュウ4に、バックドライブモータ6により内胴スクリュウ4の回転にブレーキをかけることで、外胴ボウル3と内胴スクリュウ4に生じる回転差を指す。
【0091】
例えば、ORP値が好適制御範囲を下回った場合には、バックドライブモータ6の駆動を促進して差速を大きくし、脱水汚泥の含水率の低下やSS回収率の向上を図り、ORP値が好適制御範囲を上回った場合には、バックドライブモータ6の駆動を抑制して差速を小さくし、SS回収率の維持や脱水汚泥の含水率の低下を図るなど、容易に運転制御(差速制御)でき、高い汚泥の脱水性能を安定して発揮(維持)することができる。
【0092】
実施の形態4では、無機凝集剤注入管23の吐出孔23a,23bから無機凝集剤を外胴ボウル3のテーパ部に注入(テーパ注入)することにより、脱水汚泥の含水率は、通常の注入(ライン注入など)に比べて明らかに低減化でき、通常の運転条件である無機凝集剤の注入率(35%/TS)でも脱水汚泥の含水率が70%以下にすることも可能で、とても優れた脱水性能を得ることができる。また、効率よく安定して汚泥の減量化が図れるので、その後の脱水汚泥の処理処分も容易になり、さらにSS回収率や消費電力の良好な結果と合わせ、非常に高効率・省エネルギーであり、温室効果ガスの削減に十分寄与することができる。
【0093】
実施例5.
ORP値に基づく高分子凝集剤注入ポンプ17の制御例を図7に示す。図7は、図3や図4に示した遠心分離機1Aを用いた場合において、ORP値に基づいて、高分子凝集剤の注入量を制御したときの脱水汚泥含水率(%)およびSS回収率(%)の各変化を示す説明図である。なお、この実施例5におけるORP好適制御範囲は、高分子凝集剤の注入適正域となる。
【0094】
ORP値がORP好適制御範囲を上回った(プラス側)場合には、高分子凝集剤の注入過剰と判断し、制御器31で高分子凝集剤注入ポンプ17の駆動を制御することにより、高分子凝集剤の注入量を減少させ、ORP値をORP好適制御範囲内に誘導する。これにより、図7に示すように、SS回収率(%)を維持しながら、脱水汚泥含水率(%)を低下させることができる。
【0095】
ORP値がORP好適制御範囲を下回った(マイナス側)場合には、高分子凝集剤の注入不足と判断し、制御器31で高分子凝集剤注入ポンプ17の駆動を制御することにより、高分子凝集剤の注入量を増加させ、ORP値をORP好適制御範囲内に誘導する。これにより、図7に示すように、SS回収率(%)を向上させると共に、脱水汚泥含水率(%)を低下させることができる。
【0096】
ORP値がORP好適制御範囲内の場合、高分子凝集剤の注入適正と判断し、制御器31で高分子凝集剤注入ポンプ17の駆動を制御することにより、高分子凝集剤の注入量を変えずに維持し、ORP値をORP好適制御範囲内に保持する。これにより、図7に示すように、高いSS回収率(%)と低い脱水汚泥含水率(%)を維持することができる。
【0097】
なお、実施例5におけるORP好適制御範囲としては、下限が−10mV〜+15Mv程度であり、上限が±0mV〜+30mV程度であった。そして、−30mV以下は明らかに高分子凝集剤の注入不足であり、+50mV以上は明らかに注入過剰であった。
【0098】
図7からわかるように、「ORP好適制御範囲」となるように制御器31で高分子凝集剤注入ポンプ17を制御することにより、図3や図4に示した遠心分離機1Aは高い脱水性能を発揮し、安定して効率の良い汚泥の遠心脱水処理が行える。
【0099】
実施例6.
ORP値に基づく差速(バックドライブモータ6)の制御例を以下に示す。図8は、図3や図4に示した遠心分離機1Aを用いた場合において、ORP値に基づいて、遠心分離機1Aの外胴ボウル3と内胴スクリュウ4の差速を制御したときの脱水汚泥含水率(%)およびSS回収率(%)の各変化を示す説明図である。なお、この実施例6におけるORP好適制御範囲は、差速の適正域となる。
【0100】
ORP値がORP好適制御範囲を上回った(プラス側)場合には、差速過大と判断し、制御器31でバックドライブモータ6の駆動を制御することにより、差速を低減させ、ORP値をORP好適制御範囲内に誘導する。これにより、図8に示すように、SS回収率(%)を維持しながら、脱水汚泥含水率(%)を低下させることができる。
【0101】
ORP値がORP好適制御範囲を下回った(マイナス側)場合には、差速過小と判断し、制御器31でバックドライブモータ6の駆動を制御することにより、差速を増加させ、ORP値をORP好適制御範囲内に誘導する。これにより、図8に示すように、SS回収率(%)を向上させると共に、脱水汚泥含水率(%)を低下させることができる。
【0102】
ORP値がORP好適制御範囲内の場合、差速適正と判断し、制御器31でバックドライブモータ6の駆動を制御することにより、差速を維持し、ORP値をORP好適制御範囲内に保持する。これにより、図8に示すように、高いSS回収率(%)と低い脱水汚泥含水率(%)を維持することができる。
【0103】
なお、実施例6におけるORP好適制御範囲としては、下限が±0mV〜+20mV程度であり、+25mV〜+50mV程度であった。そして、−25mV以下は明らかに差速過小であり、+70mV以上は明らかに差速過大であった。
【0104】
図8からわかるように、「ORP好適制御範囲」となるように制御器31で差速を制御することにより、図3や図4に示した遠心分離機1Aは高い脱水性能を発揮し、安定して効率の良い汚泥の遠心脱水処理が行える。
【0105】
<実施の形態5>
図5は本発明の実施の形態5による汚泥処理装置を示す断面図であり、図4と同一構成要素には同一符号を付して重複説明を省略する。
実施の形態5による汚泥処理装置は、無機凝集剤注入管23に給水する給水管27を配設した点、吐出孔23aとこれに対応する仕切板8aおよび凝集剤流出口7bを設けた点で、前記実施の形態4と異なる。なお、吐出孔、仕切板および凝集剤流出口は、それぞれが一つまたは二つ以上でよく、またそれぞれが同数でも異なっていてもよく、それぞれ設ける数はとくに限定されるものではない。
【0106】
詳述すると、給水管27によって無機凝集剤注入管23に給水する目的は、主に遠心分離機1Aを運転している際の無機凝集剤の希釈および遠心分離機1Aを停止させる際の洗浄である。この給水管27には、開閉弁28および定量給水(主に精密希釈)のための給水ポンプ29が配設されている。
【0107】
なお、開閉弁28は給水管27中の流量を自動的に調節できる自動開閉弁であっても、またこの自動開閉弁に代えて、給水管27中の流量を手動的に調節できる開閉弁を設けてもよい。開閉弁28および/または給水ポンプ29は、制御器31と電気的に接続してもよい。
【0108】
まず、遠心分離機1Aへの無機凝集剤の注入では、例えば遠心分離機1Aによる汚泥の遠心脱水処理において、無機凝集剤注入管23を用いて外胴ボウル3のテーパ部に無機凝集剤を注入(テーパ注入)する場合、無機凝集剤注入率を500ppmとすると、供給する汚泥1m3に対して500mLとわずかな量しか注入されない。こうした場合、注入された無機凝集剤が速やかに分離汚泥に行き渡たらさせ(浸透させ)、効率よく混合することは難しい。つまり局所的な無機凝集剤の注入となり、十分に分離汚泥を固液分離することができなくなり、汚泥脱水処理に支障をきたしかねない。
【0109】
また、遠心分離機1Aの洗浄では、主に遠心分離機1Aが稼動(濃縮処理・脱水処理)を停止する際に、汚泥供給管14に洗浄水を供給し、汚泥供給管14と共に遠心分離機1A内の汚泥供給室7やプール9等を洗浄する。しかしながら、このような洗浄は、遠心分離機1A内や汚泥供給管14内に残存する汚泥の排除(汚泥の清掃)が主目的であり、凝集剤注入系統の洗浄(付着固化しやすい無機凝集剤の洗い流し)がなかなか行えない。特に、無機凝集剤注入管23の吐出孔23aや内胴テーパ4bに設けられた凝集剤流出口7bは、汚泥供給室7内に設けられた仕切板8aにより仕切られていることもあり、通常の洗浄では付着した汚泥の清掃や無機凝集剤の洗い流しを十分に行えない。
【0110】
そこで、無機凝集剤注入管23に給水管27を接続して給水し、注入される無機凝集剤を希釈(通常2〜10倍希釈)して増量させることにより、外胴ボウル3のテーパ部を掻き上げられていく分離汚泥に、希釈増量した無機凝集剤(以下「希釈液」という)を速やかに満遍なく行き渡らせて混合でき、良好な脱水性能が得られ、十分に効率よく分離汚泥を脱水することができる。なお、無機凝集剤を注入する無機凝集剤注入管23は、通常パイプ形状で汚泥供給管14の内部を延伸し、汚泥供給室7内で開口する吐出孔23aから汚泥供給室7内の凝集剤流出口7bを介して外胴ボウル3のテーパ部へ希釈液を流出させる構造となっている。
【0111】
また、安定した遠心脱水(濃縮)処理および機器装置類の保守管理のために、給水管27で無機凝集剤注入管23へ給水することにより、無機凝集剤注入系統(主に無機凝集剤注入管23、無機凝集剤吐出孔23a、凝集剤流出口7b)等を確実に且つ十分に洗浄することができる。
【0112】
次に動作について説明する。
遠心分離機1Aの運転状態においては、上述したとおり、無機凝集剤注入管23内を流れる無機凝集剤は、給水管27からの給水により希釈され、希釈液は無機凝集剤注入管23に設けられた吐出孔23aから吐出し、内胴テーパ4bに設けられた凝集剤流出口7bを介して外胴ボウル3のテーパ部に流出するので、分離汚泥に対して速やかに且つ広範囲に希釈液を注入でき、分離汚泥と無機凝集剤とを効率よく混合(反応)させられるので、効率的な汚泥の遠心脱水処理が可能となる。また、無機凝集剤として高比重無機凝集剤を使用した場合にでも、給水により高比重無機凝集剤を予め希釈して増量し、分離汚泥へスムーズに、満遍なく希釈液を注入することができ、短時間で速やかに分離汚泥と希釈液とを反応させることができ、遠心効果の作用により、一層効率的に且つ確実に脱水汚泥の含水率を低下させることができる。
【0113】
また、遠心分離機1Aの運転中に無機凝集剤注入管23へ給水を行うことで、無機凝集剤の付着固化を抑制でき、目詰りによる閉塞の防止や装置の長寿命化に貢献できる。さらに、遠心分離機1Aを稼動停止する際に、無機凝集剤注入管23へ給水することにより、無機凝集剤注入管23、吐出孔23a、凝集剤流出口7bなど、付着固化しやすい無機凝集剤が接触する部位を確実に洗浄でき、無機凝集剤による目詰まりや閉塞を防止することができ、加えて一般的に低pHの無機凝集剤と接する部位を十分に洗浄できるため、腐食環境から遠心分離機を保護でき、寿命(耐用年数)を延ばすためにも有効である。
【0114】
さらには、バランス調整が難しい遠心分離機に複雑な洗浄設備や複数の簡素な洗浄設備を設ける必要が無く、設備コストの上昇や維持管理作業の増加を抑え、遠心分離機を適切に保守管理でき、安全性を確保することができる。
【0115】
<実施の形態6>
図6は本発明の実施の形態6による汚泥処理装置を示す断面であり、図4と同一の構成要素には同一符号を付して重複説明を省略する。
実施の形態6の汚泥処理装置は、無機凝集剤を汚泥供給室7内にテーパ注入する構成に加えて、汚泥供給管14に無機凝集剤を前段注入(ライン注入)するように構成した点、高分子凝集剤を汚泥供給室7内に注入(機内注入)するように構成した点で、前記実施の形態4と異なり、無機凝集剤前段注入ポンプ21は制御器31と電気的に接続されている。
【0116】
実施の形態6では、無機凝集剤タンク13とは別に無機凝集剤前段注入タンク13Aを備え、この無機凝集剤前段注入タンク13Aから伸びる無機凝集剤前段注入管20を汚泥供給管14に接続し、無機凝集剤前段注入管20には無機凝集剤前段注入ポンプ21と流量計22と開閉弁26Aを配設している。これらの各要素は、汚泥供給管14内の汚泥に予め無機凝集剤を注入する手段を構成している。なお、無機凝集剤前段注入タンク13Aを別途設けずに、無機凝集剤タンク13を兼用し、無機凝集剤前段注入管20を無機凝集剤タンク13に接続して無機凝集剤を前段注入してもよい。
【0117】
ここで、無機凝集剤の前段注入(ライン注入)について説明すると、汚泥に予め無機凝集剤が注入されていない場合、また汚泥と注入した無機凝集剤とが十分に反応できない場合、分離液の清澄性(SS回収率)が悪くなったり、汚泥に含まれるリンが除去されず分離液へ移行してリン濃度が高くなったりするなど、分離液の水質が悪化することがある。もちろん、分離液のORP測定(および制御)に支障をきたしかねない。そこで、実施の形態6では、上述したように、遠心分離機1A内に供給される前の汚泥に予め無機凝集剤を注入する前段注入方式を採用している。
【0118】
無機凝集剤の前段注入により、汚泥供給管14内で汚泥と無機凝集剤とを混合させ、汚泥供給管14内では汚泥と無機凝集剤とが十分に接触できる時間を確保して反応させられるので、汚泥が遠心分離機1内に供給される前の段階で、無機凝集剤による凝集作用により、固液分離しやすい強固な凝集フロック(凝集汚泥)を形成することができ、さらに汚泥に含まれるリンが無機凝集剤と反応して不溶性塩になり、脱水汚泥に取り込まれて排出されるため、分離液のリン濃度を十分に低減させることができ、また分離液の水質の安定化が図れる。
【0119】
実施の形態6による汚泥処理装置では、前段注入で無機凝集剤を用い、テーパ注入で高比重無機凝集剤を用いてもよく、また前段注入もテーパ注入も高比重無機凝集剤を用いることもできる。この場合には、無機凝集剤前段注入タンク13Aを別途設けず、無機凝集剤タンク13に無機凝集剤前段注入管20を接続する構造とすることにより、敷地面積や設置コストを低減することも可能である。
【0120】
また、実施の形態6では、高分子凝集剤注入管16は、汚泥供給管14内を延伸し、汚泥供給室7内で開口する高分子凝集剤吐出口16aを備える構造とし、高分子凝集剤を高分子凝集剤吐出口16aから汚泥供給室7内に注入(機内注入)させるように構成している。
【0121】
遠心分離機1Aに延びる配管の構造としては、汚泥供給管14内に、高分子凝集剤注入管16と無機凝集剤注入管23を内蔵させ延伸させるものでもよいが、2重管を採用して、内管を汚泥供給管14とし、外管(ドーナツ状)を仕切りで分割して、一方を高分子凝集剤注入管16(半円状)とし、他方を無機凝集剤注入管23(半円状)とするものでもよい。これにより、汚泥供給管14内部に異物(注入管)が存在せず、また単純な配管構造となるため、遠心分離機1A内や管内が洗浄しやすく閉塞等の問題も防止できる。
【0122】
なお、汚泥供給管14と高分子凝集剤注入管16と無機凝集剤注入管23の配管構造は、これに限るものではなく、汚泥と区分けして各凝集剤を安全に且つ適切に注入できればどのような構造でもかまわない。また、汚泥供給室7内で高分子凝集剤を広範(放射状)に注入したい場合には、前記2重管構造として、高分子凝集剤注入管16(半円状)の先端を封じて、管先端付近の周囲に複数の高分子凝集剤吐出孔(図示せず)を設けてもよく、これにより高分子凝集剤を多方向に注入することができる。
【0123】
実施の形態6では、分離液排出口2aからの分離液を受け入れる測定タンク33を設けている。上述したとおり分離液のORPの測定は、遠心分離機1A等の固液分離機の運転制御において重要であり、そこで分離液のORPを安定して測定するために、分離液を受け入れて整流する測定タンク33を設けることが有効である。測定タンク33は、整流板34に仕切られており、タンク底部で連通する構造であり、一方から分離液を導入し、他方にORP計30の測定電極30aを設置して分離液のORPを測定する。
【0124】
なお、測定タンク33は、分離液排出口2aと接続させる構造としてもよく、また遠心分離機1A内部に設けてもよく、要は分離液を確実に受け入れ、または一時貯留でき、安定して分離液のORPを測定できるものであれば良い。もちろん、このような測定タンク33は、前記実施の形態1から前記実施の形態5までの固液分離機1または遠心分離機1Aに用いてもよい。
【0125】
実施の形態6では、外胴ボウル3の分離物排出側に形成されたテーパ部を1段テーパ3dとしている点で、外胴ボウル3の分離物排出側に形成されたテーパ部を2段テーパ3b,3cとしている前記実施の形態4と異なる。このように1段テーパ3dとしても、高い遠心分離(濃縮・脱水)性能を得ることができる。
【0126】
次に動作について説明する。
遠心分離機1Aの運転状態においては、汚泥供給タンク11の汚泥が汚泥供給ポンプ15により汚泥供給管14を介して汚泥供給室7に供給され、この汚泥には無機凝集剤前段注入タンク13Aの無機凝集剤が無機凝集剤前段注入ポンプ21により無機凝集剤前段注入管20を介して前段注入されている。さらに高分子凝集剤注入管16の高分子凝集剤吐出口16aから高分子凝集剤が汚泥供給室7に注入される。
【0127】
そして、無機凝集剤および高分子凝集剤が注入され凝集した汚泥(凝集汚泥)は、汚泥供給口7aからプール9に流出し、大きい遠心効果を受けて固液分離が進む。その後、さらに無機凝集剤が、無機凝集剤注入管23の吐出孔23a,23bから汚泥供給室7の凝集剤流出口7b,7cを介して外胴ボウル3のテーパ部にテーパ注入される。テーパ注入された無機凝集剤は、スクリュウ羽根4cにより分離物排出側(遠心分離機1Aの分離物排出口2b側)へ移動しながら外胴ボウル3のテーパ部を掻き上げられていく分離汚泥(無機凝集剤および高分子凝集剤により凝集化され、さらに遠心効果により固液分離が進んだ凝集汚泥)に注入される。そして速やかに分離汚泥と無機凝集剤とが混合・反応して、効率よく安定して分離汚泥の固液分離(分離液の分離・低含水率化)が促進され、従来に比べ4〜12%程度低い含水率の脱水汚泥を得ることができる。
【0128】
分離液排出口2aからの分離液のORPは、測定タンク33においてORP計30により測定され、そのORP値から遠心分離機1Aにおける運転状況の良否を判定(推認)し、その判定結果から、分離液のORP値が好適制御範囲内になるように、制御器31により、凝集剤の注入量や遠心分離機1A内の外胴ボウル3と内胴スクリュウ4との差速等を適切に制御することにより、安定して適正に汚泥の遠心脱水処理を行うことができる。
【0129】
つまり、実施の形態6においても、分離液のORP値を測定して、このORP値に基づき、制御器31により、遠心分離機1Aの運転要素を制御することは、汚泥の遠心脱水処理の状態(分離状況、運転状態)を判定・把握する上で簡便且つ有効な手段であると共に、効率的で安定した遠心分離機1Aの運転に資するものである。
【0130】
以上説明したように実施の形態6では、汚泥供給管14内の汚泥に無機凝集剤を前段注入し、さらに高分子凝集剤を機内注入することの相乗効果により、大きく強固な凝集フロックを生成でき、遠心分離機1Aでの固液分離性能を一層高め、また分離液の清澄性が増したり(SS回収率の向上)、分離液からリン(富栄養化物質)が除去できたりするなど脱水分離液の水質が向上し、さらに無機凝集剤注入管23から無機凝集剤をテーパ注入することで、脱水汚泥の含水率をより一層低下させることができる。特に、汚泥に無機凝集剤前段注入管20を介して予め無機凝集剤(高比重無機凝集剤を含む)を前段注入したことにより、汚泥に含まれるリン成分を不溶性塩にして脱水汚泥と共に排除でき、排水処理施設への汚濁負荷の軽減およびリンの還流抑止も図れる。
【図面の簡単な説明】
【0131】
【図1】本発明の実施の形態1による汚泥処理装置内の概略的な動作説明図である。
【図2】本発明の実施の形態2による汚泥処理装置内の概略的な動作説明図である。
【図3】本発明の実施の形態3による汚泥処理装置を示す断面図である。
【図4】本発明の実施の形態4による汚泥処理装置を示す断面図である。
【図5】本発明の実施の形態5による汚泥処理装置を示す断面図である。
【図6】本発明の実施の形態6による汚泥処理装置を示す断面図である。
【図7】遠心分離機を用いた場合において、ORP値に基づいて、高分子凝集剤の注入量(率)を制御したときの脱水汚泥含水率(%)およびSS回収率(%)の各変化を示す説明図である。
【図8】遠心分離機を用いた場合において、ORP値に基づいて、遠心分離機の外胴ボウルと内胴スクリュウとの差速を制御したときの脱水汚泥含水率(%)およびSS回収率(%)の各変化を示す説明図である。
【符号の説明】
【0132】
1 固液分離機
1A 遠心分離機
2 ケーシング
2a 分離液排出口
2b 分離物排出口
3 外胴ボウル
3a 直胴部
3b,3c 2段テーパ
3d 1段テーパ
4 内胴スクリュウ
4a 直胴部
4b 内胴テーパ
4c スクリュウ羽根
5 回転駆動機
6 バックドライブモータ
7 汚泥供給室
7a 汚泥供給口
7b,7c 凝集剤流出口
8a,8b 仕切板
9 プール
10 凝集剤タンク
10a 凝集剤注入管
10b 凝集剤注入ポンプ
10c 流量計
10d 開閉弁
11 汚泥供給タンク
12 高分子凝集剤タンク
13 無機凝集剤タンク
13A 無機凝集剤前段注入タンク
14 汚泥供給管
14a 汚泥供給管開口
15 汚泥供給ポンプ
16 高分子凝集剤注入管
16a 高分子凝集剤吐出口
17 高分子凝集剤注入ポンプ
18 流量計
19 開閉弁
20 無機凝集剤前段注入管
21 無機凝集剤前段注入ポンプ
22 流量計
23 無機凝集剤注入管
23a,23b 吐出孔
24 無機凝集剤注入ポンプ
25 流量計
26 開閉弁
26A 開閉弁
27 給水管
28 開閉弁
29 給水ポンプ
30 ORP計
30a 測定電極
31 制御器
33 測定タンク
34 整流板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚泥を分離液と分離物に固液分離する固液分離機と、
汚泥を前記固液分離機へ供給する汚泥供給管と、
前記分離液の酸化還元電位を測定するORP計と
からなることを特徴とする汚泥処理装置。
【請求項2】
汚泥に凝集剤を注入する凝集剤注入管と、
前記ORP計の測定値に基づき、
汚泥への凝集剤注入および/または前記固液分離機の運転
を制御する制御器と
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の汚泥処理装置。
【請求項3】
前記固液分離機は、
外胴ボウルおよび内胴スクリュウを備えた遠心分離機である
ことを特徴とする請求項1または2に記載の汚泥処理装置。
【請求項4】
前記固液分離機は、
外胴ボウルおよび内胴スクリュウを備える共に、
前記内胴スクリュウ内を延伸して、
無機凝集剤を前記外胴ボウルのテーパ部に注入する無機凝集剤注入管
を備えた遠心分離機である
ことを特徴とする請求項1または2に記載の汚泥処理装置。
【請求項5】
汚泥に凝集剤を注入して固液分離機で分離液と分離物に分離し、
前記分離液の酸化還元電位を測定し、
測定した酸化還元電位値に基づき、
前記凝集剤の注入および/または前記固液分離機の運転を制御する
ことを特徴とする汚泥処理方法。
【請求項6】
前記固液分離機は、
外胴ボウルおよび内胴スクリュウを備えた遠心分離機である
ことを特徴とする請求項5に記載の汚泥処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−115816(P2012−115816A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−270903(P2010−270903)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【出願人】(391022418)株式会社西原環境 (21)
【Fターム(参考)】