説明

決済システム

【課題】消費者が支払い場所に出かける必要なく、多様な支払い方法、支払い金融機関の選択が可能である決済システムを提供する。
【解決手段】請求金額や委託会社情報、請求ID、支払人情報などを含む収納データを予めメタデータ格納部11に格納するともに、決済システム1のネットワークアドレスと請求IDとを含むURLをQRコードに格納して請求書20に記載する。支払人2は、請求書20のQRコードをカメラ付き携帯電話機で撮影して決済システム1にアクセスする。決済システム1には、支払人2から送信されてきた請求IDを用いてメタデータ格納部11を検索し収納データを取得する請求検索部15と、複数の支払い方法のうちの1つを選択することを促す画面を生成する選択画面生成部16と、支払人2の携帯電話機と選択された支払い方法の金融会社5の決済サイトとを連携させて決済を行わせる決済実行部17と、を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機などの情報機器を用いた決済システムに関し、特に、消費者等が支払い場所に出向くことなく決済を行うことができる決済システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般の消費者が、通信販売代金、公共料金、あるいはその他の物品あるいはサービスの対価を支払う方法として、従来より、当該物品やサービスを提供する事業者の窓口で直接支払う方法、銀行引き落としによる方法、銀行振り込みによる方法、現金書留あるいは郵便為替を用いる方法、クレジットカードを用いる方法などがある。これらの方法は、事前登録が必要であったり、営業時間が限られていて必ずしも身近にあるとはいえない支払い窓口や銀行・郵便局窓口に出向く必要があったりするので、必ずしも消費者にとって便利な方法ではなかった。さらに、消費者にとって、支払い方法あるいはどの金融機関(あるいは決済機関)を用いて支払うかに関して複数の選択肢がある場合に、それらの選択肢の中からを所望に応じて自由に選択することが難しい、という問題点もある。
【0003】
支払い場所が身近でない、という問題点に関しては、営業時間が比較的長くかつ消費者にとって身近な存在であるコンビニエンスストア(CVS)において支払いを可能とする、いわゆるコンビニ決済の普及により、ある程度緩和されてきている。コンビニ決済では、物品やサービスを提供する事業者、あるいはその事業者から委託された収納会社(集金代行会社)が、消費者に対して請求書を発行し、消費者はその請求書をコンビニエンスストアに持参して代金を支払い、その後、コンビニエンスストア側と事業者あるいは収納会社側との間で精算を行うことにより、決済が完結する。コンビニエンスストア店頭での取り扱いを容易にするために、請求書には、バーコードによって、委託会社コード、支払いを行うべき消費者のコード、請求番号、請求金額、費目などの情報が書き込まれており、コンビニエンスストアの店頭でバーコードスキャナなどで請求書をスキャンすることによって、これらの情報が自動的にコンビニエンスストアのPOS(point of sales)システムに取り込まれるようになっている。
【0004】
しかしながら、このようなコンビニ決済でも、消費者はコンビニエンスストアに出向かなければならず、また、現金支払いが原則であるので、必ずしも消費者の利便性が十分に高まったとはいえない。また、コンビニエンスストア自体のオペレーションコストの関係から、事業者側から見て、コンビニ決済は手数料がやや高い、という問題点もある。
【0005】
消費者に請求書が送付された場合に、その消費者が窓口やコンビニエンスストア店頭に出向くことなく決済を行うことができるシステムとして、特開2005−228156号公報(特許文献1)には、支払人(一般の消費者など)がカメラ付き携帯電話機を所持していることを前提として、支払人の携帯電話機において、請求書に表示された、請求人識別情報、及び、振込金額を少なくとも含む振込依頼情報がコード化されたコードパターンを読み取り、そのコードパターンから振込依頼情報を復号し、決済サーバへ接続して復号した振込依頼情報を送信し、決済サーバにおいて振込処理を実行するようにしたシステムが開示されている。
【特許文献1】特開2005−228156号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
消費者等に送付される請求書において決済に必要な情報をバーコードや2次元コードによって記載しておき、消費者がカメラ付き携帯電話機でそれらのバーコードや2次元コードを撮影することによって、コンビニエンスストアの店頭に出向くことなく決済を行うことができるシステムとして、上述の特許文献1に記載のものがあるが、このシステムでは、支払い方法として、銀行口座からのネットバンキングに限られるという問題点がある。
【0007】
本発明の目的は、消費者が支払い場所に出かける必要なく、多様な支払い方法、支払い金融機関の選択が可能である決済システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の決済システムは、ネットワークを介した決済を実現する決済システムであって、請求IDと請求金額と支払人を識別する情報と債権者に関する情報とを少なくとも有する収納データを格納するメタデータ格納部と、債権者または債権者の委託を受けた代行者から請求金額と支払人を識別する情報と債権者に関する情報収納データとを受け付けて、請求IDを付与して収納データとしてメタデータ格納部に格納する収納データ受付部と、決済システムのネットワークでのアドレスと請求IDとを含むコードパターンを表すデータを生成し、債権者または代行者に対して送信するコード生成部と、決済システムのネットワークでのアドレスを介した支払人の情報処理機器からのアクセスであって請求IDを含むアクセスを受け付けるアクセス受付部と、アクセス受付部で受け付けたアクセスから取り出された請求IDを用いてメタデータ格納部を検索し、当該請求IDに対応する収納データを取得する請求検索部と、検索された収納データに基づいて、複数の支払い方法のうちの1つを選択することを支払人に促す画面を生成して情報処理機器に送信する選択画面生成部と、支払人が選択した支払い方法に応じて外部の決済サイトにアクセスし、情報処理機器を決済サイトとに連携させて決済を行わせる決済実行部と、を備える。
【0009】
本発明においては、決済結果に関する情報も収納データに含まれるようにし、決済サイトから決済結果を取得して情報処理機器に送信する機能を決済実行部に持たせ、さらに、取得された決済結果をメタデータ格納部に格納する結果書込部を設けることが好ましい。この場合、メタデータ格納部を検索して決済結果を債権者または代行者に送信する決済結果通知部をさらに設けてもよい。
【0010】
本発明によれば、郵送などで支払人に送付された紙ベースの請求書などから、携帯電話機などを用いてその支払人は、その所望する支払い方法(決済機関や決済の形態)を自由に選択して、即時の決済を行うことができるようになる。すなわち、請求書(あるいは収納用紙、振込用紙)を用いての取引・決済において、紙書類とメタデータ(収納データ)とを携帯電話を用いて連携させ、そこからネットワーク上の決済サイトに連携させることにより、支払人は、事前登録なしに、その場で、多様な支払い方法の中から選択して支払いを行えるようになる。
【0011】
このような本発明は、例えば、いわゆるB2C(ビジネス・ツー・コンシューマ)の決済において、既存のコンビニ決済の代替となり得るものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、一般の消費者などである支払人は、事前登録なしに、収納用紙や振込用紙をコンビニエンスストアや金融機関に持参することなく、その場で、決済を行えるようになる。債権者は、少ない投資金額で、早期の代金回収が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して説明する。図1は本発明の実施の一形態の決済システムの構成を示すブロック図である。
【0014】
この決済システム1は、支払人(例えば一般の消費者)2に対して事業会社3が債権を有している場合に、支払人2がその債権の決済を行えるようにするためのものである。ここでは、支払人2に対する請求書20の発行などの業務に関しては、事業会社3は収納会社4に対して委託しているものとしているが、事業会社3自体が以下に述べる収納会社4の業務を行うようにしてもよい。事業会社3としては、電気・ガス・電話などのサービスを提供する会社や、通信販売会社、支払人2に対してその他の商品やサービスを提供する会社が想定されるが、それに限定されるものではない。収納会社4は、事業会社3からの委託を受けて、後述する請求書20を作成して支払人2に送付するとともに、料金等の収納に係るデータ(収納データ)を決済システム1に登録する処理を実行する。既存のコンビニ決済を代行する企業や、クレジット会社、集金会社などが収納会社4の業務を実行するようにしてもよい。
【0015】
この決済システム1では、複数の決済機関(金融会社5)の中から支払人2がその都度選択した金融会社を介して、事業会社3に対する決済が実行できるようになっている。金融会社5としては、クレジット会社や、銀行、証券会社などの金融機関、さらには、電子マネーサービスを提供する会社などが想定される。
【0016】
決済システム1と収納会社4とはネットワークを介して接続し、収納システム1と金融機関5とのネットワークを介して接続している。支払人2は、カメラ付き携帯電話機を所持しているものとし、後述するように、収納会社4が発行する請求書20に記載されているコードパターンを携帯電話機で撮影し、携帯電話機のバーコードリーダ機能によってコードパターンから得られるURL(uniform resource locator)を用いて、携帯電話網(と必要に応じてインターネット)を介して、決済システム1にアクセスできるようになっている。以下の説明から明らかなように、決済システム1は、インターネットなどのネットワーク上に開設されるASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ)として構成されることになる。
【0017】
ここでいうコードパターンとは、カメラ等によって撮影可能なバーコードあるいは2次元コードによるパターンのことである。本実施形態では、コードパターンとして2次元コードを用いることが好ましく、特に、QRコード(日本標準規格(JIS)X0510に規定されたQRコード)を用いることが好ましい。以下では、コードパターンとしてQRコードが用いられるものとして、説明を行う。
【0018】
決済システム1は、収納データであるメタデータが蓄積されるメタデータ格納部11と、収納会社4(あるいは事業会社3)から収納データを受け付けてメタデータ格納部11に蓄積する収納データ受付部12と、受け付けた収納データに基づいて、支払人2に対する個々の請求書20に記載されるべき2次元コード(あるいはバーコード)を生成して収納会社4(あるいは事業会社3)に送信するコード生成部13と、支払人2からのアクセスを受け付けるアクセス受付部14と、受け付けたアクセスに含まれる後述する請求IDに基づいてメタデータ格納部11を検索し、請求IDに対応する収納データを取得する請求検索部15と、検索された収納データに基づいて支払人2に対して金融会社5の選択を促す画面を生成し、支払人2の携帯電話機にアクセス受付部14を介して送信する選択画面生成部16と、支払人2が選択した金融会社5の決済サイトにアクセスし支払人2の携帯電話機をその決済サイトに連携させて金融会社5での決済を行わせ、決済結果を金融会社5の決済サイトから取得する決済実行部17と、取得された決済結果をメタデータ収納部11内の該当する収納データに対して決済結果データとして書き込む結果書込部18と、メタデータ格納部11内に格納された収納データに含まれる決済結果データに基づいて決済結果を事業会社3に送信する決済結果通知部19と、を備えている。アクセス受付部14は、この決済システム1において支払人の携帯電話機側とのインタフェースになるものである。金融会社5の選択の画面に応じて支払人2が携帯電話機上で金融会社を選択した場合の選択結果を示すメッセージの決済実行部17への転送や、決済実行部17での処理に伴う携帯電話機側とのデータのやり取りは、このアクセス受付部14を介して行われることになる。
【0019】
次に、本実施形態の決済システムの動作を説明する。
【0020】
支払人2に対して料金等の請求を行おうとする事業会社3は、その請求に係る請求書の作成に必要なデータを請求データとして収納会社4に送る。請求データには、請求書20の送付に必要なデータ、例えば、支払人の住所や氏名、支払人を特定するために必要な顧客コード(あるいは顧客番号)、請求金額、費目などの情報が含まれる。請求データの送付を受けた収納会社4は、その請求データに、さらにどの事業会社のものであるかを示す委託会社コードなどを付して収納データとし、その収納データを決済システム1に送信する。
【0021】
決済システム1では、収納データ受付部12がその収納データを受け付け、請求番号(請求ID)を付してメタデータ格納部11に格納するとともに、そのコード生成部13がその収納データに対応するQRコードを作成し、QRコードの情報を収納会社4に送る。請求番号(必ずしも数字のみで構成される必要はないので、以下、請求IDと呼ぶ)は、個々の請求書(すなわち個々の収納データ)を特定するための情報であり、この請求IDだけで対応する収納データの検索、すなわち、どの支払人のどの事業会社についてのどの請求金額に係る請求であるかの検索を行うことができるような情報である。また、ここで生成されるQRコードは、支払人2が決済システム1にアクセスする際に用いられるURLを表すものであり、このURLには、決済システム1のネットワーク上のサーバアドレスを示す部分のほかに、請求IDも情報として含まれている。例えば、決済システム1を構成するサーバ自体のネットワーク上でのサーバアドレスがURL表記で“www.bbb.co.jp/aaa”で表され、請求IDが“1234abcd"であれば、QRコードが表すURLは、例えば、“http://www.bbb.co.jp/aaa/1234abcd”である。
【0022】
ここで、メタデータ格納部11に格納される情報について説明する。メタデータ格納部11には、発行される請求書1枚ごとの収納データがメタデータとして格納される。メタデータ格納部11に格納される収納データは、大別すると、(1)請求書と収納データを紐付けるキーとなるデータである請求IDと、(2)請求についての情報と、(3)債権者(事業会社すなわち委託会社)に関する情報と、(4)債務者(支払人)に関する情報と、(5)決済結果を表す決済結果データと、からなるデータである。請求についての情報は、例えば、請求金額、支払期限、費目(請求理由を示す情報)などで構成され、債権者(委託会社)に関する情報は、委託会社(あるいは代行者)を識別するための委託会社コードあるいは加盟店コードなどであり、債務者(支払人)に関する情報は、例えば顧客番号である。決済結果データは、決済が行われたか不能であったかを示す結果コード(あるいは理由コード)によって構成される。
【0023】
収納会社4は、決済システム1からQRコードのデータを受け取ると、その受け取ったQRコードが記載されるようにして、個別の請求書20を作成し、各支払人2に送付する。上述したようにQRコードは請求IDに関する情報を含んでいるので、請求書ごとに異なるQRコードが付されることになる。請求書20には、QRコードのほかに、従来のコンビニ決済での収納用紙と同様に、一般に、支払人の氏名、住所及び顧客番号、委託会社の名称及びコード、請求費目、請求金額、支払期限、支払い方法についての案内などが、(バーコードや2次元コードではない)通常の文字で記載されている。また、QRコードには、請求書の有効期限(あるいはその請求書に関する支払期限)が含まれていてもよい。なお、請求書20は、コンビニエンスストアの店頭あるいは銀行の窓口での現金支払いに対応する収納用紙(振込用紙)として使用できるように、帳票設計がなされていてもよい。
【0024】
支払人2は、そのような請求書20を受け取ると、カメラ付き携帯電話機でその請求書20のQRコード部分を撮影する。多くのカメラ付き携帯電話機では、そのカメラ部分で撮影されたQRコードをデコードするバーコードリーダ機能が含まれており、また、QRコードをデコードして得られる文字列がURLフォーマットのものであれば、その文字列をURLとみなしてネットワーク上のそのURLに対応するサイトに接続する機能が設けられている。そこで支払人2は、QRコードを撮影しバーコードリーダ機能によってデコードしてURLフォーマットの文字列とし、次に、その文字列をURLを用いてネットワーク通信を開始する。
【0025】
QRコードからの文字列には、決済システム1のネットワーク上でのアドレスが含まれているから、支払人2の携帯電話機は決済システム1にアクセスすることとなり、そのアクセスは、決済システム1のアクセス受付部14で受け付けられる。アクセス受付部14は、アクセスに用いられたURLのうちの請求ID部分を抽出してこれを請求検索部15に渡す。その結果、請求検索部15は、渡された請求IDに基づいてメタデータ格納部11を検索し、請求IDに対応する収納データを取得する。次に、選択画面生成部16が起動し、請求検索部15によって検索された収納データに基づいて支払人2に対して金融会社5の選択を促す画面を生成し、アクセス受付部14を介してその画面を支払人2の携帯電話機に送信する。選択画面生成部16が生成する画面では、図1に示すように、請求内容を支払人2に確認させるためのプレ表示として、例えば、支払人2の氏名(ここでは「A」)と、支払い金額と、どの委託会社(ここでは、「○○会社」)に関する支払いであるかと表示されるとともに、支払い方法を選択するための表示がなされる。支払い方法を選択するための表示では、例えば、クレジットカード、ネットデビット、電子マネー、銀行のネット振込みのいずれかを選択できるようにされ、さらに、階層的な表示によって、どのクレジットカード会社なのか、どのネットデビットサービスなのか、どの銀行なのかが選択できるようになっている。なお、二重支払いを防止するため、収納データの決済結果データが決済済みとなっている場合には、既に決済済みであることを示す画面を携帯電話機上に表示させるとともに、支払い方法の選択以降の処理が行われないようにすることが好ましい。
【0026】
支払人2は、携帯電話機の画面表示に従って、支払い方法を選択する。その際、どのクレジットカード会社なのか、あるいはどの銀行なのか、などのレベルまで選択する。選択結果は、携帯電話網での一般的なネットサービスの場合と同様に、携帯電話機から決済システム1にまで通知され、決済システム1では、どの支払い方法なのかがアクセス受付部14から決済実行部17に通知される。決済実行部17は、選択された支払い方法に対応する金融会社5の決済サイトにアクセスし、携帯電話機とその決済サイトとを連携させる。すなわち、携帯電話機と決済サイトとの通信を仲介することによって、クレジットカード支払いの場合であれば、支払人2の携帯電話機の表示画面にはそのクレジットカード会社の決済サイトでの通常のモバイル決済時の画面が表示され、支払人2はクレジットカード番号や有効期限、必要に応じて暗証番号を入力できるようになる。この際、支払人2の顧客番号、支払い金額(=請求金額)、支払先(委託会社コード)などの情報は、支払人2が携帯電話機に別途入力することなく、請求検索部15が先に検索した収納データに基づいて、決済実行部17が自動的に決済サイトに送信する。
【0027】
金融会社5側では、支払人2についての認証を行い、与信情報や預金残高を参照し、与信確認などを行い、所定の条件を満たしていれば決済を実行し、条件が満たされていなければ決済不能とする。そして、金融会社5の決済サイトは、決済がなされたのか、決済不能だったかを示す決済結果を決済システム1に返す。決済システム1では、決済結果は17で受け付けられ、決済実行部17は、決済結果を支払人2の携帯電話機に送信する。これによって支払人2は、決済が適切に行われたかどうかを確認することができる。同時に、決済結果は結果書込部18にも渡され、結果書込部18は、メタデータ収納部11内の該当する収納データに対して、この決済結果を決済結果データとして書き込む。
【0028】
決済結果通知部19は、随時、あるいは一定周期で、あるいは事業会社3(または収納会社4)からの要求があるたびに、メタデータ格納部11内に格納された収納データに含まれる決済結果データに基づいて、決済結果を事業会社3(または収納会社4)に送信する。その結果、事業会社3は、各請求データ(収納データ)ごとの決済が行われたかどうかを即時に知ることができるようになる。なお、各金融会社5も、従来からその金融会社5で行われている決済処理での手順にしたがって、その金融会社5で決済された金額を事業会社3の口座に振り込む。
【0029】
以上説明した本実施形態の決済システムでは、金融会社5側での運用によって、例えば実際の振込みが翌営業日になるなどのことは起こり得るが、決済システム1自体ではリアルタイム(即時)の決済を行うことが可能であり、事業会社3側もリアルタイムで決済結果を取得することが可能である。
【0030】
すなわち本実施形態の決済システム1では、事業会社3の請求データを収納データとしてメタデータ格納部11に予め格納しておく。そして、支払人2が請求書20上のQRコードを撮影することにより請求ID情報を取得することをトリガとして、決済システム1は、その請求IDを参照キーとして、請求書発行時点でメタデータ格納部11に登録されていた収納データを取得し、請求IDと収納データの両方の情報に基づいて、支払人2が携帯電話機を利用してリアルタイム決済手段をその時点で自由に選択できるようにする。このような決済システム1は、ポータルサイトとして提供することができる。
【0031】
本実施形態の決済システム1は、上述したようにASPとして構成できるとともに、請求書20、決済システム1、及び金融会社5の間で電子的な情報の分散保有を実現することで、サービスを実現することができる。具体的には、請求書20には請求IDを含むQRコードを記載し、決済システム1には、収納データとして、請求ID,請求金額、支払人に関わる本人情報、及び集金を委託した委託会社(加盟店)の識別子を格納し、金融会社5は、口座情報、与信(預金)情報、委託会社情報、及び支払人に関する情報を保持するだけでよい。その結果、少ないIT投資でサービスを実現することができる。
【0032】
また、支払人2はカメラ付き携帯電話機を使用するが、この決済システムでは携帯電話機が一般的に備えている機能のみを使用しているので、携帯電話機のメーカや携帯電話の通信事業者によらず、支払人は決済を行わせることができる。携帯電話機に、この決済システム専用のアプリケーションを導入する必要もない。なお、カメラ付き携帯電話機として汎用のものを用いることができることからも明らかなように、支払人2は、カメラ付き携帯電話機の代わりに、バーコードあるいはQRコードなどの2次元コードを読み取る機能とネットワークに接続する機能とを備えるパーソナルコンピュータやPDA(携帯情報端末)を用いて上述した決済システム1にアクセスして利用することができる。
【0033】
以上説明した本実施形態の決済システム1は、それを実現するためのコンピュータプログラムを、サーバ用コンピュータなどのコンピュータに読み込ませ、そのプログラムを実行させることによっても実現できる。決済システムとしてコンピュータを機能させるためのプログラムは、磁気テープやCD−ROMなどの記録媒体によって、あるいはネットワークを介してコンピュータに読み込まれる。本発明の範疇には、コンピュータを上述した決済システムとして機能させるためのプログラムも含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施の一形態の決済システムの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0035】
1 決済システム
2 支払人
3 事業会社
4 収納会社
5 金融会社
11 メタデータ格納部
12 収納データ受付部
13 コード生成部
14 アクセス受付部
15 請求検索部
16 選択画面生成部
17 決済実行部
18 結果書込部
19 決済結果通知部
20 請求書

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介した決済を実現する決済システムであって、
請求IDと請求金額と支払人を識別する情報と債権者に関する情報とを少なくとも有する収納データを格納するメタデータ格納部と、
前記債権者または前記債権者の委託を受けた代行者から前記請求金額と前記支払人を識別する情報と前記債権者に関する情報収納データとを受け付けて、前記請求IDを付与して前記収納データとして前記メタデータ格納部に格納する収納データ受付部と、
前記決済システムのネットワークでのアドレスと前記請求IDとを含むコードパターンを表すデータを生成し、前記債権者または前記代行者に対して送信するコード生成部と、
前記決済システムの前記ネットワークでの前記アドレスを介した前記支払人の情報処理機器からのアクセスであって前記請求IDを含むアクセスを受け付けるアクセス受付部と、
前記アクセス受付部で受け付けたアクセスから取り出された前記請求IDを用いて前記メタデータ格納部を検索し、当該請求IDに対応する収納データを取得する請求検索部と、
検索された前記収納データに基づいて、複数の支払い方法のうちの1つを選択することを前記支払人に促す画面を生成して前記情報処理機器に送る選択画面生成部と、
前記支払人が選択した支払い方法に応じて外部の決済サイトにアクセスし、前記情報処理機器を前記決済サイトとに連携させて決済を行わせる決済実行部と、
を備える、決済システム。
【請求項2】
前記コードパターンは2次元コードであり、前記情報処理機器は前記2次元コードパターンを撮影してデコードする機能を有する携帯電話機である、請求項1に記載の決済システム。
【請求項3】
前記収納データは、決済結果に関する情報も含み、
前記決済実行部は、前記決済サイトから決済結果を取得して前記情報処理機器に送信する機能を有し、
取得された前記決済結果を前記メタデータ格納部に格納する結果書込部をさらに備える、請求項1または2に記載の決済システム。
【請求項4】
前記メタデータ格納部を検索して前記決済結果を前記債権者または前記代行者に送信する決済結果通知部をさらに備える、請求項3に記載の決済システム。
【請求項5】
ネットワークに接続するコンピュータを、
請求IDと請求金額と支払人を識別する情報と債権者に関する情報とを少なくとも有する収納データを格納するメタデータ格納部、
前記債権者または前記債権者の委託を受けた代行者から前記請求金額と前記支払人を識別する情報と前記債権者に関する情報収納データとを受け付けて、前記請求IDを付与して前記収納データとして前記メタデータ格納部に格納する収納データ受付部、
前記コンピュータの前記ネットワークでのアドレスと前記請求IDとを含むコードパターンを表すデータを生成し、前記債権者または前記代行者に対して送信するコード生成部、
前記コンピュータの前記ネットワークでの前記アドレスを介した前記支払人の情報処理機器からのアクセスであって前記請求IDを含むアクセスを受け付けるアクセス受付部、
前記アクセス受付部で受け付けたアクセスから取り出された前記請求IDを用いて前記メタデータ格納部を検索し、当該請求IDに対応する収納データを取得する請求検索部、
検索された前記収納データに基づいて、複数の支払い方法のうちの1つを選択することを前記支払人に促す画面を生成して前記情報処理機器に送る選択画面生成部、
前記支払人が選択した支払い方法に応じて外部の決済サイトにアクセスし、前記情報処理機器を前記決済サイトとに連携させて決済を行わせる決済実行部、
として機能させるプログラム。

【図1】
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【公開番号】特開2008−257540(P2008−257540A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−100117(P2007−100117)
【出願日】平成19年4月6日(2007.4.6)
【出願人】(599154032)東洋ビジネスエンジニアリング株式会社 (3)
【Fターム(参考)】