説明

沈殿物の溶融による薄膜の分離方法

(1)例えばシリコンなどから作られた基板内に例えばガリウムなどの非−気体の化学種のイオンを注入する工程(前記注入条件および化学種は、基板の材料に応じて選択され、深部に閉じ込められ、層内に分布された沈殿物の形成を可能にし、これらの沈殿物は、基板の融点未満の融点を有する固体層である。);(2)場合により、基板の表面を強化材との緊密に接触させる工程;および(3)沈殿物が液体相にある条件下で、機械的および/または化学的な分離応力を加えることにより沈殿物の層のレベルで基板を破壊することによって、薄膜を分離する工程;を含む、基板からの薄膜の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、沈殿物の溶融による基材からの薄膜の分離方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
1.基板の片面にイオンで衝撃を与え、脆弱化層の境界を明確にするミクロ空洞を形成するミクロ気泡の層を作り出すのに十分な濃度でこれらのイオンを注入する工程;
2.基板のこの面を強化材と緊密に接触させる工程;および
3.熱処理の適用による、ミクロ空洞の層のレベルでの分離の工程
を含む半導体材料の薄膜の製造方法が、米国特許第5,374,564号(Bruel)の文献により既に知られている。
【0003】
前記文献において、工程1で注入されるイオンは、有利には水素イオンであるが、希ガスもまた使用され得ることが開示されている。基板については、考慮された実施例ではシリコンからなるが、ゲルマニウム、炭化ケイ素またはケイ素−ゲルマニウム合金などの元素周期表IV族からの半導体から構成され得ることも開示されている。
【0004】
上記文献においては、熱処理の手段により分離が遂行されるが、さらにこの方法の変形形態においては、このような熱処理と一緒にまたはこのような熱処理なしに、分離応力(例えば2個の基板の間へのブレードの挿入;および/または牽引応力および/または曲げ応力および/または剪断応力の適用;および/または、注意深く選択された出力および周波数の超音波またはマイクロ波の適用など)を適用することによって分離を引き起こすことが提案されている。特に、米国特許第6,020,252号(Aspar他)の文献およびこれらへの改良を参照されたい。
【0005】
前記技法は、他のイオン、光の注入または他の方法と共に、他の材料で形成された基板にも試験されている。
【0006】
この方法において引き起こされる欠点は、気体のミクロ空洞のみならず、より平らな欠陥(ミクロプレートレットと呼ばれることがある。)という様々な名前を与えられている。
【0007】
一般的に言って、この技術は、薄層を「切り離す」ために必要とされている深さで基板の中に局在化される気体のミクロ空洞を使用する。
【0008】
しかし、基板にイオン衝撃を与える原理は、他の目的のためにもまた知られている。例えば、同じ半導体およびマイクロエレクトロニクスの分野において、注入量と正比例した効率でドーピングを実行するために、このような注入を使用することが知られている。
【0009】
この点に関して、このようなドーピングの結果を正確に特性把握する目的で、すなわち、このようなドーピングに起因し得る結晶の欠陥または含有物を特性把握すること、および、可能であれば、このような劣化をどのように避け、または少なくとも最小化するかを決定するために、様々な研究が行われてきた。
【0010】
特に、S.K.JONES他は、「固体溶解度を超えた時の注入のダメージの高められた排除」、Journal of Applied Physics、第62巻、第10号、1987年11月15日、第4114−4117頁において、シリコンを含む様々な基板において、ガリウム、リンさらには砒素のイオンの注入を論じており、ドーピング不純物のピーク濃度がその不純物のアニール温度でのシリコン中の溶解度を超えた場合、過剰に注入された化学種のために形成された沈殿物が溶解される時に、タイプIIの欠点(特に転移ループからなる。)の改良された排除がなされるという結論に到達している。もっと正確に言えば、100keVでおよび1015/cmの注入量でのシリコン中へのガリウムイオンの注入は、900℃および1100℃の両方におけるシリコン中のガリウムの溶解度(シリコン中のガリウムの溶解度の限界は、ほぼ900℃で2.1019/cmまたは1100℃で5.1019/cmのオーダーである。)より大きいガリウム濃度ピークと共にシリコンのアモルファス化をもたらすが、550℃での16時間のアニーリングは、アモルファス相の再結晶をもたらし、その後に900℃で1時間のアニーリングがなされる場合、沈殿物[この沈殿物は、前記温度または前記時間が増大される(例えば900℃で8時間)場合には溶解する。]が形成され、タイプIIの欠点が排除されることを彼らは特に見出した。
【0011】
J.MATSUO他は、「ガリウム注入されたシリコン(100)中の異常な固体溶解および活性化挙動」、Applied Physics Letters、第51巻、第24号、1987年12月14日、第2037−2039頁において、ガリウムでドープされたシリコンへのアニーリングの効果を論じており、ガリウムを注入された基板のアニーリングの際の挙動は、他のドーパントについて観察されたものと相違するという結論に到達している。もっと正確に言えば、70keVおよび1015/cmでのシリコン中へのガリウムの注入およびこの後に続く600℃で10秒のアニーリングは、シリコンのアモルファス化をもたらし、70keVでのガリウム濃度ピーク(2.1020/cm)は、900℃でのシリコン中のガリウムの溶解度限界より10倍も大きく、1100℃で10秒間のアニーリングは、ガリウムを沈殿させるということを見出している。
【0012】
ガリウムの沈殿形成の現象を究明するために行われた研究は、S.DHARA他、「GaNガリウムナノワイヤを埋め込まれたGa自己イオン中のナノブリスタ形成のメカニズム」、Applied Physics Letter、第86巻、第20号、第203199頁、2005年9月1日から3日の研究も含んでおり、著者は、50keVおよび2.1016/cmでのGaNナノワイヤ中へのガリウムの注入は、50nmから100nmまでの直径を有するガリウムの沈殿の出現をもたらし、N原子の不足および空洞の領域周辺へのガリウムの蓄積が存在することを見出している。
【0013】
半導体およびマイクロエレクトロニクスの分野においてガリウムは、ドーピング以外の応用、特に特定の材料の合成などの応用のために使用できることに注目されたい。
【0014】
例えば、M.K.SUNKARA他は、「低温の蒸気−液体−固体の溶液を使用するシリコンのナノワイヤの大量合成」、Applied Physics Letters、第79巻、第10号、2001年9月、第1546−1548頁において、シリコンおよび他の半導体材料のための低溶解性の固体金属溶媒を使用する低温の蒸気−液体−固体合成方法を記載している。特に、彼らは、29.8℃の融点(純粋なガリウムの融点に等しい。)を有する共晶化合物、Ga(1−x)Si(x=5.10−8%)が存在することを示すGa−Si状態図に基づき、溶媒としてガリウムを使用してシリコンのナノワイヤを合成することを提案している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
発明の明確化
本発明の目的は、ミクロ気泡またはミクロ空洞またはミクロプレートレットを生成させることを必要としないで、薄膜の分離を可能にするために、空洞または気体の空洞以外の、様々な注入技法において見出される構造的変異を利用することにあり、特に、基板および注入イオンの両方に、気体分子を形成しない化学種の使用を可能にすることである。これは、特に、適切な沈殿物の形成を利用することを目指している。
【0016】
これは、与えられた基板について、注入される化学種および注入条件、その後のいずれかの熱処理の条件を慎重に選択することによって、基板中に注入の結果として形成される含有物および沈殿物のいくらかが、例えばアニーリングなどの処理に通常適用する温度の範囲内(典型的には50℃と1100℃の間)の融点を有しているので、これらの含有物または沈殿物が、液体相にある時に分離が達成され、基板との関係においてミクロ気泡およびミクロ空洞と類似する挙動を有するという事実に基づくものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
したがって、本発明は、
(1)基板内に非気体の化学種のイオンを注入する工程(前記化学種および注入条件は、基板の材料の機能として選択され、深部に閉じ込められ、1つの層内に分布した沈殿物の形成を可能にし、これらの沈殿物は、基板の融点未満の融点を有する固体層である。);および
(2)沈殿物が液体相にある条件下で分離応力を加えることにより沈殿物の層のレベルで基板を破壊することによって、薄膜を分離する工程
を含む、基板からの薄膜の製造方法を提案するものである。
【0018】
したがって、この方法においては、米国特許第5,374,564号の文献に記載された方法と違って、工程1における注入イオンは、気体状化学種ではなく:注入イオンは、注入後に単独でまたは基板内に含まれる複数の化学種(または1つの化学種)と結合して、基板、薄膜またはマイクロエレクトロニクスにおいて使用される部品に処理を施すのに一般的である温度範囲内の融点を有する沈殿物を基板内に形成するように適合された、いずれかの非−気体のイオンタイプである。
【0019】
JONES他による前記文献およびMATSUO他による前記文献においては、ガリウム沈殿物の存在は、これらを溶解し、これによって注入から結果として生じる欠点を排除することのみが要求されていることに注目されたい。これら文献においては、これらの沈殿物が低い融点を有すること、または、なおさらのこと、これらの沈殿物が液体である温度で分離を引き起こすのにこの低い融点が利用され得るという記載はまったく存在しない。
【0020】
同様に、GaN中のガリウムの注入後にガリウム沈殿物の形成を検出したDHARA他の前記文献においては、これらの沈殿物から何らかの利益が得られるという示唆はまったくない。この文献は、ガリウムが302.8Kで溶融する事実を問題として開示しており、その結果、前記沈殿物がもはや固体でない条件下で分離を引き起こすのに利用できるというほんのわずかの理解をも前記文献が含んでいるとは考えられないということに注目されたい。
【0021】
SUNKARA他による文献に関しては、液状状態のGa−Si共晶を利用することを提案することは述べられているが、シリコンの合成のみに関係し、分離の視点での注入のいかなるアイデアとも無関係である。
【0022】
適切に組み合わされた場合の前記方法の様々な有益な特徴は、以下のことを含む。
【0023】
実際には、衝撃によるイオン注入は、沈殿物の融点未満の温度で実行され、このことによって、特に、前記沈殿物が固体相中に生じ始めることを可能にする。
【0024】
沈殿物の融点は、有利には、室温より高く、このことが、室温で沈殿物が固体相にあることを保障し、意図的ではない分離のリスクを最小にする。
【0025】
注入(理論的には衝撃による。)については、室温で実質的に実行することができ、このことは、特にエネルギーの観点から有利である条件に相当する。
【0026】
分離は、基板の温度を沈殿物の融点より高く上昇させた後に実行することができ、このことは、沈殿物が通常は固体であり、所望された場合のみ液体になることを意味し:分離は、例えば、沈殿物の融点より少なくとも15℃高い温度で実行され、このことは、すべての沈殿物が、沈殿物の位置および沈殿物のサイズにかかわらず、液体相にあることを確実にするのに寄与し得る。
【0027】
分離に先立って、沈殿物を含む基板の温度を、沈殿物の融点のいずれかの側に変化させる複数のサイクルを実行することができ、このことは、例えば、相の連続的な変化に関連する容量の変化のために、沈殿物が閉じ込められた層の局部的な脆弱化の増大に寄与し;この複数のサイクルは、例えば、非常に顕著な脆弱化を意味する10サイクル近辺、またはより多いサイクルを含み;融点が室温より高い場合、この複数のサイクルは、室温から、融点より高い温度との間で基板の温度を変化させることであり得る。
【0028】
沈殿物の融点は、室温より高く、200℃未満(これは、一般に低い温度と考えられる。)で選択することができ;この目的のために、イオンは、セシウム、ガリウム、ルビジウム、カリウム、ナトリウム、インジウムおよびリチウムを含むグループ(関係する範囲内の融点を有する多くの他の沈殿物を注入によって得ることができるので、これらのリストは包括的であると何ら主張するものではないが)の中で有利に選択され;沈殿物の融点が、室温より高く、100℃未満を要求される(これは、エネルギーの点から有益である。)場合、イオンは、有利には、セシウム、ガリウム、ルビジウム、カリウムおよびナトリウムを含むサブグループ(関係する範囲内の融点を有する他の沈殿物を注入によって得ることができるので、これらのリストは包括的であると何ら主張するものではないが)の中で選択され;室温より高く、50℃未満の沈殿物の融点でさえ選択する(これは、非常に適度の温度変化を意味する。)ことができ、この場合において、イオンは、セシウムおよびガリウムを含むサブグループ(関係する範囲内の融点を有する他の沈殿物を注入によって得ることができるので、これらのリストは包括的であると何ら主張するものではないが)の中で有利に選択される。
【0029】
イオンは有利には、ガリウムイオンであり、これは、融点が特別に低いことにおいて、なお一層特別な利益がある実用的な例に相当する。
【0030】
基板については、例えばウェハなどの固体部分から構成することができ、あるいは、基板は、実際は異なる材料の複数の積み重ね層で形成された部分(例えばウェハ)の中の、例えば支持基板と呼ばれる支持体によって支持された単なる層であり得る(この場合において、本発明の関係においては、呼称される基板は、沈殿物が形成されている層であり;基板と呼称される層は、必然的ではないが、通常、例えば酸化物の非常に薄い層で、被覆されている可能性があるこの多層部分の最上層である。)。
【0031】
基板(および、したがって、沈殿物が形成された前記部分の少なくとも一部)は、有利には、結晶性(単結晶性、または多結晶性)材料からできている。
【0032】
基板(および、したがって、沈殿物が形成された前記部分の少なくとも一部)は、有利には、半導体材料からできている。
【0033】
基板は、有利には、大きな実用的な重要性を有するシリコンである;しかし、また基板については、さらに一般的には、元素の周期律表の第IV族からの1つまたは複数の材料から選択することができる。
【0034】
イオンがシリコンに注入されるガリウムイオンである場合、これらは、有利には、少なくとも約100keVのエネルギーおよび少なくとも1015/cmの注入量で注入される。
【0035】
あるいは、基板は、有利には、やはり大きな実用的な重要性を有する窒化ガリウムからできていてもよく;さらに一般に、基板は、元素の周期律表の第III−V族における材料、特にAsGaおよびInP、または第III族−N(例えばGaN、InN、AlNなど)からの材料から選択することができ、さらなる変形形態において、また基板は、第II−VI族からの材料、例えばZuOまたはZnSeなどから選択することができる。
【0036】
イオンが窒化ガリウム基板に注入されるガリウムイオンである場合、これらは、有利には、少なくとも約50keVのエネルギーおよび少なくとも1015/cmの注入量で注入される。
【0037】
沈殿物は、層の外側において基板の劣化を最小化することに寄与する、基板に注入された化学種から本質的になり;あるいは、沈殿物が注入イオンのみで形成されない場合、これらの沈殿物は、注入イオンに加えて基板中に含まれる化学種を含み;このことは、特に、ガリウムおよびシリコンの間に観察することができる共晶に当てはまる。
【0038】
イオンが注入される基板の表面は、有利には、強化材と緊密に接触させる;しかし、特に、最終的に得られた薄い層が、自己支持性であるのに十分に堅い場合、強化材は何らの利益もないこともあり得る。
【0039】
基板の表面は、特に、沈殿物が液体相にある時にこれらを緊密に接触させないようにする、例えば沈殿物の融点未満の温度で、強化材と緊密に接触させることができる。
【0040】
この緊密に接触させることは、室温で実行され、これは、エネルギーの観点から特に有益である。
【0041】
基板と強化材とを緊密に接触させることは、材料を緊密に接触させるためによく知られ、証明された技術である分子付着によって実行される。例えば基板と強化材との間の界面の結合を強化するために、有利には、熱処理が適用される。
【0042】
この緊密に接触させることは、また、前記強化材を形成するのに十分に厚い層を被着させることによって実行することができる。
【0043】
前記層は、有利には、基板から、典型的に数百ミクロンの深さまでエピタキシャルに被着される(したがって、このエピタキシャル成長した層および基板は、有利には、同一であるまたは結晶格子の観点から少なくとも相容性のある材料で製造される。)。この場合において、基板は、好ましくは、エピタキシャル成長した層の熱膨張係数と著しく異なる熱膨張係数を有する支持基板によって支持され、この場合において、例えばエピタキシャル被着後の温度の低下などの温度の変化は、沈殿物中にこれらの沈殿物のレベルでの破壊を促進する応力を発生させる。
【0044】
分離応力は、例えば大きさの良好なコントロールを可能にする、機械的なものであり、これは、また化学的なものもあり得る(これは、沈殿物の存在によって発生する応力を利用することができ、選択的な化学的侵食は、好ましくは、基板の応力のかかった領域を侵食することができる。)。
【0045】
この分離応力は、有利には、液体相の沈殿層中に実質的に局在化され、基板の残部へ応力がかからないようにする。
【0046】
局在化された分離応力は、それ自体よく知られた技術である、基板と強化材との間にブレードを挿入することによって生み出すことができる。
【0047】
この分離応力は、基板および強化材に適用させる牽引力の形で適用することができ;これらの力は、代わりに、これら自体よく知られた技術である、曲げ力および/または剪断力であってもよく;また、これらの応力については、適切な出力および周波数の超音波または電磁波の手段によっても適用することができる。
【0048】
強化材については、基板と同じ材料で製造することができるが、また、強化材については、本方法が使用する所定の低い温度で、基板の膨張率とかなり異なる膨張率を有する材料で製造することができる。
【0049】
この方法は、有利には、分離によって露出される薄膜の表面に適用される仕上げ処理をさらに含む。
【0050】
この方法は、有利には、さらにマイクロエレクトロニクスの構成部品の全部または一部を製造する、注入と分離との間のこれら自体知られている工程を含む。
【0051】
この方法は、さらに熱処理、例えば注入に続く沈殿物の出現を促進するために採用されるアニーリングを含む(好ましくは、全体が高温へ加熱されるのを最小限にするために、強化材(存在する場合)と密接に接触する前に;しかし、また、この加熱処理については、このような緊密に接触した後に行うことができ、この場合においては、沈殿物が、多くの工程において形成される。)。
【0052】
本発明の目的、特徴および利点は、例示的および非限定的な実施例によって与えられた次の記載から、および付属する図面を参照して明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0053】
図1から3は、本発明の主要な工程を表す。
【0054】
図1は、理論的に、例えばシリコンなどの半導体材料で製造された基板1(ウェハと呼ばれることがある。)を表す。
【0055】
後者の基板が、矢印2によって図式的に示されたイオン衝撃にかけられる。これらのイオンの非−気体の性質(すなわち化学種)は、基板(原子の1つまたは複数の化学種から形成される。)の性質の機能として選択され、注入条件、すなわち衝撃条件(主として注入量、エネルギーおよび温度)は、沈殿物の層3の形成を可能にする、深さ方向で閉じ込められた沈殿物(または含有物)を作り出すために選択され、これらの沈殿物は、注入イオンおよび、適用可能なら、基板の原子から形成される。また、これらの沈殿物は、最初の相、すなわち固体相であり、マイクロエレクトロニクスにおいて適度の温度と考えられる温度の範囲内(またはより低いことさえある。)の融点を有し、そのため基板と相容性であるという特別な特徴を有する。この融点は、有利には200℃未満、またはさらに100℃未満、またはさらに50℃未満である。
【0056】
衝撃は、適用可能なら、意図的にもたらされまたは意図的にもたらされたものではない、例えば酸化物の層10で被覆される基板の上面4を経由して実行される。
【0057】
沈殿物の形成を引き起こすこの衝撃は、必要とされている沈殿物を形成するために注入された原子を拡散させるために、同時のまたはその後の熱処理を伴うことができる。
【0058】
沈殿物の層3およびフリーの表面4は、得られる将来の薄膜5の境界を区切り、この層3の下の基板の残部は、参照番号6によって示されている。この薄膜は、典型的には1ミクロンまたは1ミクロン未満または1/10ミクロン未満の厚さを有している。
【0059】
もちろん、図2の様々な層の間の寸法比率は、略図を解りやすくするために、一定の比率に縮小して示されていない。
【0060】
図1において示された例において、基板は固体であり、すなわち、使用される自己支持部分(例えばウェハなど)の全体を形成する。後で述べるように、あるいは、この基板は、実際において異なっている材料の少なくとも2つの層(少なくとも1つの層は、基板を形成し、1つの層は支持体を形成する。)から形成された部分の中の単なる層(支持体で支持された)のみであり、本発明の実行のために必須のものは、沈殿物が、基板を形成するこの層の中に形成されることであり;基板は、好ましくは、この多層部分の最上の層(前に述べられた層10などの非常に薄いカバー層が存在するのを除外しない。)である。
【0061】
図2において、任意の支持基板7(強化材と呼ばれることもある。)は、将来の薄膜と緊密に接触させ;ここでは、支持基板は、イオン衝撃が起こった基板のフリーな表面4に、好ましくは、分子付着によって接着される。あるいは、この強化材は、当該技術に熟練している者に知られているあらゆる技術(例えば、化学蒸着など)によって将来の薄膜の上に被着によって製造することができる。この強化材は、出発の基板1と同じ材料(または、必須成分としてのこの材料と共に、例えば、強化材は、基板を構成する化学種の酸化物であることができる。)で製造することができる。また、強化材は、基板/強化材の組合せが、後の熱処理に適合していることを条件に、基板の熱膨張係数と異なる熱膨張係数を有する材料から構成することもできる。実際のところ、最終的に得られた薄膜が、特にダメージなしに処理されるのに十分な厚さを有しているなら、この種の強化材については省略することができる。
【0062】
図3において、層3を形成する沈殿物が、液体相にある温度で(適度な温度での熱処理を含むことができる。)、好ましくは、沈殿物の層のレベルで、分離応力が、ここでは応力集中が適用される。この局在化された応力の適用は、薄膜の寸法(典型的には、数百ミクロン、または数十ミクロン、または1ミクロンの)を与えて、基板の間の界面に面し、また沈殿物の層に面するブレードの先端11によって得られる。あるいは、薄膜を分離することに関して、それ自体知られている牽引力および/または曲げ力および/または剪断力を適用することによって、機械的な応力を適用することができ、この分離応力の適用は、また、慎重に選択された出力および周波数の超音波および電磁波の適用の結果であってもよい。あるいは、分離応力は、化学的侵食、例えばその中に沈殿物の層が形成される基板の領域の応力がかかった状態を利用する選択的侵食によって生み出される。
【0063】
固体相から液体相への沈殿物の移行は、単なる機械的および/または化学的応力の適用の結果であってもよい。さもなければ、温度上昇が、温度の均一な配布を達成し、すべての沈殿物が同じ状態にあることを確実にすることを目標にして、これらの応力の適用と同時であることができまたはこれらに先行することができる。
【0064】
薄膜は、分離の時におよびこの時のみに沈殿物に相の変化(固体から液体へ)を引き起こさせるように、注入温度および接着温度と異なる温度で分離される。さらに、連続した相の変化(固体、次いで液体、次いで固体、次いで液体など)を引き起こすことができることにより、沈殿物による層3の脆弱化を増大させることができる。
【0065】
しかし、沈殿物が、注入の終わりまたは接着の間に液体である場合、過度の応力が、これらの条件下(あまりにも低い応力、特にあまりにも低い機械的な応力で、分離が起こることを防止するために、適度な注入量を使用しなければならない。)で適用されないことを条件に、液体であることが、受け入れ不可能でないことは明白である。
【0066】
沈殿物の層は、沈殿物が液体相にあるという事実によって脆弱化されるとすれば、機械的および/または化学的応力の局在化した適用により、2つの部分、すなわち、出発基板の残部6と、薄膜5が付着したまま残存する強化材7との間に空間8が出現すると共に、基板/強化材の結合体の分離を引き起こして、これらが完全に分離される。
【0067】
次いで、薄膜のさらなる使用のために分離によって露出される薄膜の表面上に適切な表面状態を付与するために既知の方法で仕上げ処理を適用することができる。
【0068】
この仕上げ処理は、例えば従来の機械的研磨を含み、これに続いて薄膜内に存在し得る何らかの構造的な欠陥をなおす、高温アニーリング処理が行われる。
【0069】
基板および注入イオンの選択の様々な例が、適切な注入条件と共に次に明らかにされる。
【実施例1】
【0070】
最初、例えば単結晶性のシリコン(多結晶性の基板もまた使用することができるが)のシリコンの基板に以下の条件:
エネルギー 100keV
注入量 1015cm−2
の下でGaイオンを注入する。
【0071】
この注入は、実質的に室温で実行される。
【0072】
このようにして得られたガリウムピークの深さは、表面下75nmである(この値は、SRIM(Stopping and Range of Ions in Matter)ソフトウェアを使用するシミュレーションによって正当であることが証明された。)。
【0073】
次いで、この基板を、最初の基板と同じ材料、例えばここではシリコンで製造された支持基板に分子接着によって接着する。この緊密に接触させることは、実質的に室温で実行される。
【0074】
次いで、このアセンブリに2つの基板間の界面の強化に貢献する1100℃で10秒間のアニーリング処理を施すと、ガリウムピークの深さに局在化するガリウムまたはGa(1−x)Siタイプの沈殿物が見られる(前記文献参照)。これらの沈殿物は30℃の閾値より上で液状であり、注入された基板をこれらの条件の下で脆弱化させる。
【0075】
この閾値より高い温度で(例えば50℃で)、すなわち、沈殿物が液体である温度で、例えば、最初の基板と強化材を形成する基板との間にブレードを挿入することによって機械的な応力を適用して、これらの分子結合した界面の位置ではなく、最初の基板中の液体の沈殿物のレベルで2つの基板を分離させ、このようにして、強化材(ここから支持体基板という用語で)の上に転移した最初の基板の薄膜が得られる。
【0076】
分離は、沈殿物の層の位置で、これらの沈殿物の存在により、シリコンが応力を受けるという事実を利用する化学的な攻撃によっても得られた。応力を受ける、シリコンの好ましいエッチングのために、知られたSECCO化学的エッチング技術を使用する。したがって、機械的な強制力の適用(実際には、沈殿物によって引き起こされる前段階の応力付加にさらに加えて)と組み合わせた、このようなエッチングが、分離を容易にする。
【0077】
次いで、沈殿物の残部を排除し、良好な品質の表面状態を得るために、研磨タイプの仕上げ処理(特に、従来のもの、または化学的なもの、アニーリング)を施す。
【0078】
次いで、気体状イオンの注入のために知られた技法を使用して、薄膜を処理することができる。
【0079】
注入と分離との間にフリーな表面4の上にマイクロエレクトロニクスの構成部品の全部または部分を形成する工程が存在してもよい。
【実施例2】
【0080】
例えば実施例1の出発基板と同じ特性を有するシリコンの基板に以下の条件(実質的に室温で):
エネルギー 100keV
注入量 1015cm−2
の下でGaイオンを注入する。
【0081】
実施例1のように、これは、基板中の75nmの深さのガリウムピークに相当する。
【0082】
次いで、1100℃で10秒間のアニーリング処理により、実施例1と同様に75nmの深さに局在化する、沈殿物を出現させる。
【0083】
次いで、この基板を、支持基板に分子接着によって接着する(この接着がアニーリング処理の前に実行される実施例1とこの点が相違する。)。30℃未満でこの接着を実行すると、沈殿物は固体のままである。
【0084】
実施例1と同様に、2つの基板との間にブレードを挿入することによって、30℃より高い温度で(例えば50℃で)機械的な応力を適用し、最初の基板の中の沈殿物(液体状態である。)のレベルでアセンブリを破壊させる。
【0085】
これにより、実施例1と同様に、支持基板の上に転移された薄膜が得られ、仕上げ処理(研磨、アニーリングなど)によって、沈殿物の残部を排除し、良質な表面を生成する。この薄膜を、実施例1と同様に、この使用を可能にする処理にかけることができる。
【実施例3】
【0086】
実施例1(または実施例2)と同じ条件下でシリコンの基板にイオン注入し、次いで支持基板に接着させ、実施例1と同様に1100℃で10秒間アニーリングする。
【0087】
次いで、沈殿物の融点近辺、すなわち20℃(または室温)と40℃との間の温度変化を伴う30℃近辺での一連の温度サイクル(例えば約10のこのようなサイクル)を適用し、これにより、沈殿物は、固体相から液体相およびこの逆を周期的に通過し、容積を変化させ(ガリウムは、固体状態よりも液体状態が、密度が高い。)、これが、沈殿物が集中している基板の層の劣化および脆弱化を増大させる。
【0088】
次いで、先の実施例と同様に、30℃より高い例えば50℃近くで機械的な応力をかけ、液体の沈殿物のレベルで、アセンブリを破壊させる。しかし、これに必要な機械的な応力は、一連の温度サイクルによって引き起こされた補足的な劣化のために、実施例1および実施例2よりも低く、先の実施例と同じ応力を適用すると、さらに急速に破壊を引き起こす。
【0089】
仕上げの観点から、次いでこのようにして得られた薄膜の使用の観点から、前と同じ処理が施される。
【実施例4】
【0090】
窒化ガリウムGaNで製造された基板(例えばウルツ鉱層の)に以下の条件(実質的に室温で):
エネルギー 50keV
注入量 5.1016cm−2
の下でGaイオンを注入する。
【0091】
このようにして注入表面下24nmの深さ(SRIMシミュレーションによることを含む。)に局在化した、固体ガリウムの沈殿物(DHARA他による前述の文献を参照)が得られる。
【0092】
また、窒素は、気体であるとすると、この気体で満たされたミクロ空洞も存在する。
【0093】
実際、同じ種類および実質的に同じ深さのさらに多い量の沈殿物が必要とされるなら、より多い注入量を使用することができる。
【0094】
次いで、GaN基板を、例えばサファイア基板などの支持基板に分子接着によって接着させ、接着に含まれる工程の温度を、沈殿物が接着操作を通して固体を維持するように30℃未満に保持する。
【0095】
次いで、30℃より高い温度で(例えば50℃で)の工程を含む熱処理をアセンブリに適用し、沈殿物の相における変化(液体になる。)を引き起こし、沈殿物が集中する層のレベルで基板を脆弱化させる。
【0096】
30℃より高い温度で、先の実施例と同様にブレードを挿入することによって機械的な応力を適用し、液体の沈殿物が集中しているレベルで2つの基板を分離させる。
【0097】
GaNの薄膜が、このようにして得られ、次いで、すべての適切な仕上げおよび使用の処理にかけることができる。
【実施例5】
【0098】
数ミクロンの厚さのGaN層を支持するサファイア支持基板(あるいは、この材料はGaN以外であり得る。)から形成された部分から出発し、前述の説明のようにして、GaN層の基板をここに形成する。例えば先の実施例のデータを使用して、衝撃によって(熱処理によって支援され、または支援されずに)、この層中に沈殿物を形成後、数百ミクロンを超えるGaNのエピタキシャル再成長(典型的には、800℃と1100℃との間の温度で実行される。)をこれに続いて実行する。沈殿物は、エピタキシャル法の温度で液状である。温度が下がるにつれて、支持基板の材料(ここでは、サファイア)とエピタキシャル成長材料との間の熱膨張係数における相違のために(構造のレベルで応力を引き起こす。)、沈殿物(まだ液体状態)のレベルで破壊が起こり得る(適用可能なら、外部の機械的な応力の適用を組み合わせて)。この破壊後に、エピタキシャル成長した材料および沈殿物の領域の上に位置する出発基板の部分から形成される固体のGaN基板が得られる。
【0099】
この例は、高融点を有する化学種の導入においてあり得る利益を示している。
【0100】
本発明においては、他の材料のペアも使用することができる。このようにイオン注入にかけることができる原子の様々な例を、これらの融点[要求されるものによって、低い融点を有する元素が推奨され得る(典型的に約200℃未満)または反対により高い融点を有する元素が推奨され得る。]と共に(ガリウムを含む。)示す。
【0101】
水銀 −38.87℃
セシウム 28.5℃
ガリウム 29.8℃
ルビジウム 38.89℃
リン 44.2℃(非金属)
カリウム 63.25℃
ナトリウム 97.8℃
硫黄 119℃(非金属)
インジウム 156.6℃
リチウム 180.5℃
錫 231.9℃
タリウム 303.5℃
亜鉛 419.5℃
テルル 450℃
マグネシウム 649℃
アルミニウム 660.4℃
セリウム 799℃
カルシウム 839℃
ゲルマニウム 937.4℃(非金属)
銀 961.9℃
【0102】
これらの原子は、特に、バルクまたは非バルクの、結晶性または非結晶性の、半導体または非半導体基板の中に、シリコンまたはシリコン系材料(例えば酸化ケイ素、炭化ケイ素、または窒化ケイ素など)の中に、マイクロエレクトロニクスにおいて使用される他の材料(GaN−前を参照、GaAs、a−Si:H、ダイヤモンド、サファイア、特に、ゲルマニウムおよびゲルマニウムとケイ素との合金を参照)の中に、第III−V族、第III族−Nまたは第II−VI族からの材料の中でさえイオン注入することができる。
【0103】
これら自体知られている様々な処理については、強化材と緊密に接触させる前に、基板のフリーな表面上にマイクロエレクトロニクスの構成部品の部分またはすべてを製造する目的で、図1から3に関して記載された方法の工程の間に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】イオン衝撃にかけられ、内部に、含有物または沈殿物の層が形成されている基板を示す図である。
【図2】強化材に接着した後に注入され、脆弱化された基板を示す図である。
【図3】沈殿物が液体である温度で、分離応力適用(機械的な応力の形で)後の図2からのアセンブリを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)基板内に非気体の化学種のイオンを注入する工程(前記化学種および注入条件は、基板の材料の機能として選択され、深部に閉じ込められ、1つの層内に分布した沈殿物の形成を可能にし、これらの沈殿物は、基板の融点未満の融点を有する固体層である。);および
(2)沈殿物が液体相にある条件下で分離応力を加えることにより沈殿物の層のレベルで基板を破壊することによって、薄膜を分離する工程
を含む、基板からの薄膜の製造方法。
【請求項2】
イオンの注入が、沈殿物の融点未満の温度で実行されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
沈殿物の融点が、室温より高いことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
注入が、実質的に室温で実行されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
分離が、基板の温度を沈殿物の融点より高く上昇させた後に実行されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
分離が、沈殿物を含む基板の温度を沈殿物の融点のいずれかの側に変化させる複数のサイクルにより先行されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
イオンが、セシウム、ガリウム、ルビジウム、カリウム、ナトリウム、インジウムおよびリチウムを含むグループの中で選択されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
イオンが、ガリウムイオンであることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
基板が、支持基板によって支持されている層であることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
基板が、結晶性材料であることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
基板が、半導体材料であることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
基板が、シリコンであることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
ガリウムイオンが、少なくとも100keVのエネルギーおよび少なくとも1015/cmの注入量でシリコン基板に注入されることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
基板が、窒化ガリウムからできていることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
基板が、第III−V族からの材料からできていることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
基板が、第III族−Nからの材料からできていることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
基板が、第II−VI族からの材料からできていることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
ガリウムイオンが、少なくとも約50keVのエネルギーおよび少なくとも1015/cmの注入量で窒化ガリウム基板に注入されることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項19】
沈殿物が、基板に注入された化学種から本質的になることを特徴とする、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
イオンが注入される基板の表面が、強化材と緊密に接触させられることを特徴とする、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
基板表面と強化材とを緊密に接触させることが、沈殿物の融点未満の温度で実行されることを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
緊密に接触させることが、室温で実行されることを特徴とする、請求項20または請求項21に記載の方法。
【請求項23】
基板と強化材とを緊密に接触させることが、分子接着によって実行されることを特徴とする、請求項20から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
熱処理が適用されて、基板と強化材との間の界面が強化されることを特徴とする、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
緊密に接触させることが、前記強化材を形成するのに十分な厚さの層を被着させることによって達成されることを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
前記層を、基板からエピタキシャルに被着させることを特徴とする、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
基板が、温度変化で応力を発現させるように、エピタキシャル成長した層を構成する材料の熱膨張係数と実質的に異なる熱膨張係数を有する支持基板によって支持されることを特徴とする、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
分離応力が、機械的および/または化学的であることを特徴とする、請求項1から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
この分離応力が、液体相の沈殿物の層のレベルで実質的に局在化させられていることを特徴とする、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
局在化された分離応力が、ブレードを挿入することによって生み出すことを特徴とする、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
分離によって露出される薄膜の表面に適用される仕上げ処理をさらに含むことを特徴とする、請求項1から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
注入の間または後に、沈殿物の形成を促進する熱処理をさらに含むことを特徴とする、請求項1から31のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−531845(P2009−531845A)
【公表日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−502149(P2009−502149)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【国際出願番号】PCT/FR2007/000534
【国際公開番号】WO2007/110515
【国際公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【出願人】(596048569)コミサリヤ・ア・レネルジ・アトミク (53)
【出願人】(500361216)エス オー イ テク シリコン オン インシュレータ テクノロジース (39)
【氏名又は名称原語表記】S.O.I.TEC SILICON ON INSULATOR TECHNOLOGIES
【Fターム(参考)】