説明

油中水型睫用化粧料

【課題】カールキープ効果、透明性、光沢、耐水性、耐皮脂性に優れ、かつ保存安定性が良好な油中水型睫用化粧料を提供する。
【解決手段】特定の樹脂エマルジョン、部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物、揮発性シリコーン、有機シリコーン樹脂、さらに場合により特定のハイドロフルオロエーテルを組み合わせて配合する油中水型睫用化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カールキープ効果、透明性、光沢、耐水性、耐皮脂性に優れ、かつ保存安定性が良好な油中水型睫用化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
睫用化粧料は、従来、カールアップ効果などの目元を際立たせる化粧効果を持たせるという目的で睫毛に塗布するものであり、塗布部位の特性上、汗や涙、皮脂などの生理現象の影響や瞬き、眼を擦るなど人間の無意識な行動による影響を受けやすい。このため、耐水性や耐皮脂性などの化粧持ちの機能を有することが必要とされてきた。
【0003】
また、近年では塗付後の光沢を重視する傾向にあり、マスカラ液の外観の透明性だけでなく塗付後の皮膜の光沢も強く求められるようになってきている。しかしながら、従来の睫用化粧料はその機能特性上、カールアップやボリュームアップ、感触向上などのためにワックスを多量に配合したり、乳化物にすることが求められるため、組成物の外観は濁ってしまい、上記睫用化粧料の機能を保持しながら、外観を透明や半透明にすることは困難であった。
【0004】
また、敏感肌意識を有する女性が増加する傾向にあり、化粧料についてもより刺激の少ないものが期待されるようになっている。この観点から、常用される低分子の界面活性剤を用いずに、乳化組成物を製造することが検討されてきているが、良好な保存安定性を得ることは技術的に困難を伴うため、現状では組成物中の配合成分などに多くの制限を受けざるを得ない。まして、界面活性剤を用いずに、外観が透明または半透明の乳化物を製造することはさらに困難であった。
【0005】
そこで、化粧持ちを向上するために水不溶性ポリマーや疎水性ポリマーを配合したアイメーク用オーバーコート化粧料(特許文献1参照)や油溶性樹脂を配合したマスカラオーバーコート(特許文献2参照)などが提案されている。しかし、これらは何れも耐水性、耐皮脂性が充分でなく、また外観は濁っており、透明性が低く、塗付時、塗付後ともに光沢感に乏しい。さらに、これらに記載されている乳化物は界面活性剤を含有することを前提としているため、べたつきが残り、刺激性という点でも前述の消費者のニーズを満たせるものではなかった。
【特許文献1】特開2003−95873号公報
【特許文献2】特開2003−183131号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
斯かる状況下、本発明の目的とするところは、カールキープ効果、透明性、光沢、耐水性、耐皮脂性に優れ、かつ保存安定性が良好な油中水型睫用化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体エマルジョン、部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物、揮発性シリコーン、有機シリコーン樹脂、さらに場合により、特定のハイドロフ
ルオロエーテルを組み合わせて配合することにより、界面活性剤を実質的に含有せずに、カールキープ効果、透明性、光沢、耐水性、耐皮脂性に優れ、かつ保存安定性が良好な油中水型睫用化粧料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち本発明の請求項1の発明は、下記成分(A)〜(D)を含有し、界面活性剤を実質的に含有しないことを特徴とする油中水型睫用化粧料にある。
(A):(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体エマルジョン 30〜90質量%
(B):部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物 0.1〜15質量%
(C):揮発性シリコーン 7〜50質量%
(D):有機シリコーン樹脂 1〜30質量%
請求項2の発明は、成分(E)として、ハイドロフルオロエーテルを1〜30%含有する請求項1記載の油中水型睫用化粧料であり、請求項3の発明は、該化粧料の外観が透明または半透明であることを特徴とする請求項1または2に記載の油中水型睫用化粧料である。また請求項4の発明は、成分(A)が、下記成分(a)〜(c)
(a):(メタ)アクリル酸
(b):炭素数1〜4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーから選択される少なくとも一種
(c):炭素数5以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーから選択される少なくとも一種
を含み、(a)〜(c)成分の総和を基準(100質量部)として(a)成分が10〜20質量部、(b)成分が40〜80質量部、(c)成分が10〜40質量部である単量体混合物を乳化重合して得られる(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体エマルジョンである請求項1〜3いずれかに記載の油中水型睫用化粧料にある。請求項5の発明は、成分(A)が、メタクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体エマルジョンであることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の油中水型睫用化粧料である。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、カールキープ効果、透明性、光沢、耐水性、耐皮脂性に優れ、かつ保存安定性が良好な睫用化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について詳述する。
【0011】
本発明に用いる成分(A)の(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体エマルジョンは、メタクリル酸及び/またはアクリル酸と、メタクリル酸アルキルエステルモノマー及び/またはアクリル酸アルキルエステルモノマーとを含んでなる単量体混合物を主成分とし、通常これらが乳化重合されて得られた樹脂と水性媒体、各種添加剤等を含むエマルジョンの形態を有し、化粧品や医薬部外品に一般的に用いられるものであれば特に制限されず使用できる。
【0012】
本発明に用いる成分(A)の(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体エマルジョンの製造に用いられる単量体混合物には、前記成分(a)〜(c)が含まれることが望ましい。この成分(b)の炭素数1〜4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーとしては、アクリル酸メチルエステル、メタクリル酸メチルエステル、アクリル酸エチルエステル、メタクリル酸エチルエステル、アクリル酸プロピルエステル、メタクリル酸プロピルエステル、アクリル酸ブチルエステル、メタクリル酸ブチルエステルが挙げられる。また、成分(c)の炭素数5以上のアルキル基を有する
(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーとしては、アクリル酸ヘキシルエステル、メタクリル酸ヘキシルエステル、アクリル酸−2−エチルヘキシルエステル、メタクリル酸−2−エチルヘキシルエステル、アクリル酸オクチルエステル、メタクリル酸オクチルエステル、アクリル酸ラウリルエステル、メタクリル酸ラウリルエステル等が挙げられる。また、これらは1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0013】
本発明に使用する上記成分(A)の合成に際し一般に用いられる、水性媒体や各種添加剤としては、例えば、水、低級アルコールや高級アルコール、多価アルコール、シリコーン類、脂肪酸石鹸、油脂、ロウ、炭化水素油、エステル油、高分子化合物、増粘剤、粉体、紫外線吸収剤、保湿剤、防腐剤、抗菌剤、香料、酸化防止剤、pH調整剤、キレート剤、清涼剤、抗炎症剤及びエキス類等が挙げられ、これらは1種または2種以上を適時選択して用いることができる。
【0014】
本発明に用いる成分(A)の(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体エマルジョンは、とりわけ、主成分である単量体混合物の構成が、(a)〜(c)成分の総和を基準(100質量部)として、(a)成分が、メタクリル酸を10〜20質量部、(b)成分が炭素数1〜4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーから選択される少なくとも一種を40〜80質量部、(c)成分が炭素数5以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーから選択される少なくとも一種を10〜40質量部である単量体混合物からなる、(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体エマルジョンであれば、耐水性、耐皮脂性の点から望ましい。さらに、メタクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体エマルジョンであれば、より望ましい。このような市販品としては、日本エヌエスシー社製のヨドゾールGH256等がある。また、これらの単量体混合物には、(a)〜(c)成分以外の単量体が含まれていても良い。
【0015】
本発明に用いる成分(A)の(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体エマルジョンは1種または2種以上を適時選択して用いることができ、またその配合量は、化粧料総量を基準として30〜90%であり、好ましくは40〜70%である。30%未満では良好な保存安定性や耐水性、耐皮脂性が充分に得られない場合があり、90%を超えるとべたつきが強くなり、使用上好ましくない。
【0016】
また本発明には、上記の樹脂エマルジョン以外にも本発明の効果を損なわない程度であれば1種または2種以上の樹脂エマルジョンを組み合わせて用いても良い。例えば、ポリ酢酸ビニルエマルジョン、ポリアクリル酸エステルエマルジョン、ポリ塩化ビニルエマルジョン、(メタ)アクリル酸アルキル・スチレン共重合体エマルション、(メタ)アクリル酸アルキル共重合体エマルション、(メタ)アクリル酸アルキル・酢酸ビニル共重合体エマルション、ビニルピロリドン・スチレン共重合体エマルション、シリコーン系ポリマーエマルション等が挙げられる。
【0017】
本発明に用いる成分(B)の部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物としては、ベンゼンに不溶であるが、自重と同重量以上のベンゼンを含みうる三次元架橋構造を有するオルガノポリシロキサン重合物で、特公平8−6035号公報等に記載されているものが例示される。部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物は、オルガノポリシロキサンを架橋結合させて得られる重合物であり、一部に三次元架橋構造を有し、R12SiO単位及びR1SiO1.5単位よりなり、R13SiO0.5単位及び/又はSiO2単位を含んでいても良い。但し、各構成単位のR1は水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基、フェニル基、トリル基等などのアリール基、およびビニル基等の脂肪族不飽和基などが例示され、同種又は異なった種類であっても良い。市販品としては、部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物にシリコーン油を配合したものとして、例えば、KSG15、KS
G16(いずれも信越化学工業社製)等が挙げられる。
【0018】
本発明においては、これらの中から1種または2種以上を適時選択して用いることができ、またその配合量は、化粧料総量を基準として0.1〜15%であり、好ましくは1〜10%である。この範囲であれば、塗布時になめらかな伸びを得ることができ、優れた保存安定性が得られる。
【0019】
本発明に用いる成分(C)の揮発性シリコーンとは、常温で揮発性を有するシリコーン油で化粧品に一般的に用いられているものであれば、特に限定されず何れのものも使用できる。例えばオクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等が挙げられる。
【0020】
本発明においては、これらの中から1種または2種以上を適時選択して用いることができ、またその配合量は、化粧料総量を基準として7〜50%であり、好ましくは15〜40%である。これらの範囲内であれば、良好な使用感と保存安定性が得られる。
【0021】
本発明に用いる成分(D)の有機シリコーン樹脂としては、化粧品に一般的に用いられているものであれば特に限定されず何れのものも使用できる。例としては、R3SiO1/2単位(Rは炭素数1〜6までの炭化水素基またはフェニル基)とSiO2単位との比が0.5/1〜1.5/1の範囲に存在する、R3SiO1/2単位及びSiO2単位からなる有機シリコーン樹脂などが挙げられる。また、変性されたシリコーン樹脂としてはアクリルシリコーン、フッ素変性シリコーン等が挙げられ、変性された部分がブロック状態に結合していてもグラフト状態やペンダント状態に結合していてもよい。なかでも、パーフルオロアルキルジメチル・トリメチルシロキシケイ酸またはトリメチルシロキシケイ酸を使用すると、耐皮脂性、光沢の点で好ましい。これらの市販品としては、例えば、シリコーンオイルKF−7312J(揮発性シリコーン溶液)、シリコーンオイルKF−9001(揮発性シリコーン溶液)、シリコーンオイルKF−9002(揮発性シリコーン溶液)、シリコーンオイルX−21−5250(揮発性シリコーン溶液)(以上、信越化学工業社製)やSR−1000(GE東芝シリコーン社製)等を挙げることができる。
【0022】
本発明においては、これらの中から1種または2種以上を適時選択して用いることができ、またその配合量は、化粧料総量を基準として1〜30%であり、好ましくは3〜25%である。1%未満では充分な光沢や耐水性、耐皮脂性、カールキープ力が得られない。30%を超えるとべたつきが生じ、使用性が悪くなるため好ましくない。
【0023】
また本発明においては、成分(E)として特定のハイドロフルオロエーテルを配合することにより、透明性をより向上させ、化粧塗膜に多くの光沢を付与することができる。本発明に用いるハイドロフルオロエーテルは一般式(1):
2n+1−O−C2x+1 (1)
(式中、nは1〜6、xは1〜6である。)
で示される構造を有する化合物であり、具体的にはC49OCH3 、C49OC25 、C511OC25 、C37OC49 、C49OC49などが挙げられ、3M社から「Cosmetic Fluid CF−61」の名称で発売されているメチルパーフルオロブチルエーテルや「Cosmetic Fluid CF−76」の名称で発売されているエチルパーフルオロブチルエーテル等が挙げられる。
【0024】
本発明においては、これらの中から1種または2種以上を適時選択して用いることができ、またその配合量は、化粧料総量を基準として1〜30%であり、好ましくは5〜25%である。この範囲内であれば、より良好な透明性と光沢を得ることができる。
【0025】
本発明において、「透明ないし半透明」とは、島津製作所製の分光光度計(UV−160)を用い、コントロールとして蒸留水の透明度を100としたとき、透明度20〜100の領域のものをいう。本発明の油中水型睫用化粧料は、種々の形態で用いることができ、固形形態または液状形態のマスカラやマスカラ下地、マスカラオーバーコートなど睫毛に塗付する剤型に配合し、常法に従い製造することができる。また、組成物の外観が透明または半透明であれば、睫毛をより自然に見せることができ、塗付時または塗布後の光沢を最大限に活かすことができるため、より好ましい。
【0026】
また本発明においては、光沢を付与するという目的と良好な保存安定性を維持するため、なるべく顔料を含有しないことが望ましいが、本発明を損なわない程度であれば用いることができる。本発明に用いることのできる顔料は、化粧品に通常使用されるものであれば何れでもよく、その形態についても、板状、紡錘状、針状等の形状、粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されない。例えば、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、色素粉体類、複合粉体類等が挙げられ、1種または2種以上を組み合わせて用いることができ、油層と水層のどちらに配合されてもよい。具体的には、コンジョウ、群青、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、チタン・酸化チタン焼結物、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、水酸化クロム、カーボンブラック、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、メタケイ酸アルミニウムマグネシウム、マイカ、合成マイカ、合成セリサイト、セリサイト、タルク、白雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、カオリン、硫酸バリウム、ベントナイト、スメクタイト、珪ソウ土、ヒドロキシアパタイト、窒化硼素等の無機粉体類、オキシ塩化ビスマス、雲母チタン、二酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化鉄被覆雲母、酸化鉄被覆雲母チタン、紺青被覆雲母チタン、カルミン被覆雲母チタン、有機顔料被覆雲母チタン、酸化鉄・酸化チタン被覆合成金雲母、魚燐箔、二酸化チタン被覆ガラスフレーク、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末、二酸化チタン被覆ガラスフレーク等の光輝性粉体類、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、セルロース系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン−アクリル共重合体樹脂等のコポリマー樹脂、ポリプロピレン系樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂等の有機高分子樹脂粉体、N−アシルリジン等の有機粉体類、澱粉、シルク粉末、セルロース粉末等の天然有機粉体、有機タール系顔料、有機色素のレーキ顔料等の色素粉体類、アルミニウム粉、金粉、銀粉等の金属粉体、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、酸化チタン含有二酸化珪素、酸化亜鉛含有二酸化珪素等の複合粉体等が挙げられる。またこれらの色素及び顔料は、表面をシリコーン類、ラウロイルリジン、ステアロイルグルタミン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステルジエタノールアミン塩、ポリエチレン、その他油剤等で被覆処理されていても良い。
【0027】
本発明の睫用化粧料は、前記の各成分に加えて必要に応じて、かつ本発明の効果を損なわない範囲において、化粧品において一般的に用いられる各種の成分、例えば、固形または半固形または液状の油性成分、保湿剤、有機変性粘度鉱物等の増粘剤、香料、殺菌剤、防腐剤、紫外線吸収剤、溶剤、抗炎症剤、抗アンドロゲン剤、育毛剤、抗酸化剤、清涼剤、生薬抽出物やビタミン類、キューティクル保護成分等を適時配合することができる。
【0028】
本発明で用いることのできる油性成分としては、化粧品に一般的に用いられているものであれば、特に限定されず何れのものも使用できる。例えば、2−エチルヘキサン酸、ウンデシレン酸、パルミトオレイン酸、イソステアリン酸、リシノレイン酸、リノール酸、オレイン酸等の脂肪酸、マカデミアナッツ油、オリーブ油、ツバキ油、アボガド油、トウ
モロコシ油、ヒマシ油、ゴマ油、サフラワー油、綿実油、大豆油、ホホバ油、パーム油、ヤシ油、硬化ヤシ油、硬化油、硬化ヒマシ油、卵黄油、ナタネ油、コムギ胚芽油、落花生油、コメヌカ油等の油脂、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、トリオクタン酸グリセリル、トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリル、(カプリル/カプリン/ミリスチン/ステアリン酸)トリグリセリル、オレイン酸フィトステリル、乳酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソプロピル、トリベヘン酸グリセリル、ロジン酸ペンタエリトリットエステル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、コレステロール脂肪酸エステル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)、マカデミアナッツ油脂肪酸コレステリル,マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル等のエステル類、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ラウリルアルコール、イソステアリルアルコール、ラノリンアルコール、オクチルドデカノール、カプリルアルコール、オレイルアルコール等の高級アルコール、軽質流動イソパラフィン、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、ポリブテン、イソドデカン等の炭化水素、低重合度ジメチルポリシロキサン、高重合度ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等のシリコーン系油、フッ素変性ポリシロキサン等、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、パーフルオロポリエーテル等のフッ素油、パルミチン酸2−エチルヘキシル,2−エチルヘキサン酸セチル,イソノナン酸イソトリデシル等の脂肪酸と一価のアルコールのエステル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール,ジ−2−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール等の脂肪酸とグリコールのエステル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン,テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトールなどの脂肪酸と多価アルコールのエステル、リンゴ酸ジイソステアリルなどの水酸基を持つエステル、コハク酸ジ2−エチルヘキシル,炭酸ジアルキルなどの二塩基酸のエステル、マカデミアナッツ油脂肪酸コレステリル,マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル等の脂肪酸とステロールとのエステルや液状ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体等が挙げられる。
【0029】
本発明に用いることのできる水性成分としては、化粧品に通常使用される水及び水に可溶な成分であれば何れでもよく、本発明の効果を損なわない程度であれば、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。このような水性成分としては、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類、ソルビトール、マルチトール、ショ糖、でんぷん糖、ラクチトール等の糖類、グアーガム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、アラビアガム、アルギン酸ナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性高分子、酢酸ビニル・ビニルピロリドン共重合体等の水溶性樹脂などが挙げられる。
【実施例】
【0030】
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、これらの実施例により本発明の技術範囲が限定されるものではない。尚、表中の数値は含有量(%)を表わす。実施例に先立ち、各実施例で採用した評価方法を説明する。
(1)保存安定性評価試験方法
所定の方法で調製した睫用化粧料を5〜40℃の1サイクル/日の往復恒温槽内に放置して、3週間後の保存安定性を下記の評価基準に従って評価した。
分離、凝集なし ;◎
分離凝集ごくわずかに有り ;○
分離凝集あり ;△
完全に分離 ;×
(2)官能評価試験方法
女性パネラー20名によって、塗布時の使用感(なめらかなのびの良さ)、塗布後8時間後の皮脂や摩擦による化粧崩れ(耐皮脂性、耐水性)、塗布後1時間後のカールキープ力と光沢について下記の評価基準に従って評価した。
(評価基準)
良いと答えた人数が17人以上 ;◎
〃 12〜16人;○
〃 8〜11人;△
〃 7人以下 ;×
(評価項目)
a.カールキープ力
b.耐皮脂性、耐水性
c.光沢
d.使用感(なめらかなのびの良さ)
(3)油中水型睫用化粧料の調製方法
部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物、揮発性シリコーン、有機シリコーン樹脂、さらに場合によりハイドロフルオロエーテルやその他の油性成分を混合して均一に溶解し、これを油層とする。次に、(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体エマルジョンとその他の水性成分を混合して、均一に分散し、これを水層とする。そして、この水層を油層に混合し、ホモミキサーで乳化攪拌し、所定の気密容器に装てんした後、目的の油中水型睫用化粧料を得る。
【0031】
上記各組成物の成分組成及び評価試験結果を表1に示す。
【0032】
【表1】

【0033】
実施例に使用した成分(A)の(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体エマルジョンの単量体混合物の構成を、単量体混合物総量を100%として以下に示す。
*1:メタクリル酸15%、アクリル酸エチル65%、メタクリル酸−2−エチルヘキシ
ル20%
*2:メタクリル酸5%、アクリル酸エチル30%、メタクリル酸−2−エチルヘキシル65%
*3:アクリル酸10%、アクリル酸ブチル75%、メタクリル酸−2−エチルヘキシル15%
表1に示すように、本発明の実施例1〜5のものは、いずれも透明性に優れ、保存安定性及び使用感、光沢、耐水性、耐皮脂性、カールキープ力の全ての点において比較例1〜4のものより明らかに優れていた。
【産業上の利用可能性】
【0034】
以上記載の如く、本発明により、カールキープ効果、透明性、光沢、耐水性、耐皮脂性に優れ、かつ保存安定性が良好な油中水型睫用化粧料を提供することができ、例えば透明または半透明のマスカラコートなどの睫毛に塗付する剤型に配合し、常法に従い製造することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A)〜(D)を含有し、界面活性剤を実質的に含有しないことを特徴とする油中水型睫用化粧料。
(A):(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体エマルジョン 30〜90質量%
(B):部分架橋型オルガノポリシロキサン重合物 0.1〜15質量%
(C):揮発性シリコーン 7〜50質量%
(D):有機シリコーン樹脂 1〜30質量%
【請求項2】
さらに成分(E)として、一般式(1)で示されるハイドロフルオロエーテルを1〜30質量%含有することを特徴とする請求項1に記載の油中水型睫用化粧料。
2n+1−O−C2x+1 (1)
(式中、nは1〜6、xは1〜6である。)
【請求項3】
外観が透明または半透明であることを特徴とする請求項1または2に記載の油中水型睫用化粧料。
【請求項4】
成分(A)が、下記成分(a)〜(c)
(a):(メタ)アクリル酸
(b):炭素数1〜4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーから選択される少なくとも一種
(c):炭素数5以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーから選択される少なくとも一種
を含み、(a)〜(c)成分の総和を基準(100質量部)として(a)成分が10〜20質量部、(b)成分が40〜80質量部、(c)成分が10〜40質量部である単量体混合物を乳化重合して得られる(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体エマルジョンである請求項1〜3いずれかに記載の油中水型睫用化粧料。
【請求項5】
成分(A)が、メタクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体エマルジョンであることを特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の油中水型睫用化粧料。

【公開番号】特開2006−8560(P2006−8560A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−186165(P2004−186165)
【出願日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(504180206)株式会社カネボウ化粧品 (125)
【Fターム(参考)】