説明

油中油型化粧料

【課題】 優れた耐移り性(二次付着レス効果)を有しながら安定性にも優れた油中油型化粧料を提供する。
【解決手段】 (a)非揮発性炭化水素系油分:1〜70質量%、(b)非揮発性シリコーン系油分:5〜90質量%、及び(c)(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリル:0.1〜10質量%を含有し、前記(a)非揮発性炭化水素系油分と(b)非揮発性シリコーン系油分の配合比(質量比)が、(a)/[(a)+(b)]が0.3以下となる範囲であることを特徴とする油中油型化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は油中油型化粧料に関し、より詳しくは、耐移り性に優れ、しかも安定性の良好な油中油型化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の口紅組成物は、口紅を口唇に塗布した後、該口紅がカップなど口唇に接触する部位に転写されてしまう二次付着性が問題となっていた。これに対し、二次付着を起こしにくい、いわゆる二次付着レス効果をもつ口唇用化粧料が開発されている。このような口唇用化粧料には、口紅自体に二次付着レス効果を持たせた耐移り性化粧料(口紅)と、口紅を塗布した上に重ねて適用し、唇につやを与えるとともに二次付着レス効果を付与する耐移り性化粧料(口紅オーバーコートあるいはリップコート等)が含まれる。
【0003】
従来の耐移り性化粧料は、フッ素系素材を配合することにより二次付着レス効果を付与するものが多かったが、フッ素系油分を配合した場合には使用感が劣る場合があり、コスト面でも問題があった。最近では、揮発性及び/又は非揮発性のシリコーン油及び炭化水素油を様々に組み合わせて配合して二次付着レス効果を発揮させた製品が提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1では、揮発性炭化水素系溶媒、揮発性炭化水素系溶媒に溶解または分散可能な非揮発性シリコーン化合物、及び揮発性溶媒に溶解し、非揮発性シリコーン化合物と非融和性の非揮発性炭化水素系油を含有し、該非揮発性炭化水素系油が、ある溶解パラメーターを有する耐移り性化粧品組成物が開示されている。しかしながらこの耐移り性化粧品組成物は、安定性の点で改善の余地があり、ワックス量が多いためリキッド状の使用感が得られず、またつやも不十分である。
【0005】
特許文献2には、揮発性油分とシリコーン樹脂を配合した一相型の口紅用組成物が開示されている。しかしながら、この口紅用組成物は、耐移り性は改善されるものの、揮発性油が蒸発した後に時間が経つと乾燥感が生じやすく、また樹脂の皮膜が唇上に残り、皮膜感や突っ張り感を生じると共に、得られた付着物はマットであるという欠点を生じる場合がある。
【0006】
特許文献3には、シリコーン系皮膜剤と揮発性シリコーン系油分と非揮発性シリコーン系液状油分と乳化剤とを含む連続相油分と、エステル油分と色材とを含む分散相油分とからなり、分散相油分/(分散相油分+連続相油分)の配合量比が0.05〜0.5である油中油型乳化組成物が記載されている。しかしながら、この油中油型乳化組成物は相分離後の口紅への密着力が弱く、更には、この系では経時安定性を保つことが困難な場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−199846号公報
【特許文献2】特開平9−48709号公報
【特許文献3】特開2000−53530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記したような従来の耐移り性化粧料では、得られる耐移り性が十分ではなく、組成物の乳化安定性にも問題があった。そこで、本発明における課題は、優れた耐移り性(二次付着レス効果)を有しながら安定性にも優れた油中油型化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは鋭意研究の結果、互いに相溶しにくい非揮発性炭化水素系油分と非揮発性シリコーン系油分を所定比率で含有し、さらに(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリルを配合することで極めて安定な油中油型組成物が得られ、塗布後の耐移り性にも優れ、塗布時ののび及びつやが良好な油中油型化粧料が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
すなわち本発明は、
(a)非揮発性炭化水素系油分:1〜70質量%、
(b)非揮発性シリコーン系油分:5〜90質量%、及び
(c)(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリル:0.1〜10質量%を含有し、
前記(a)非揮発性炭化水素系油分と(b)非揮発性シリコーン系油分の配合比(質量比)が、(a)/[(a)+(b)]が0.3以下であることを特徴とする油中油型化粧料を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の油中油型化粧料は、塗布後の耐移り性(二次付着レス効果)が極めて優れ、塗布後はつやがあり、塗布時ののびが良好で、安定性にも優れたものである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の化粧料で用いられる非揮発性炭化水素系油分(成分a)としては、例えば水添ポリイソブテン、ポリブテン、ポリイソブチレン、ポリイソプレン、流動パラフィン、スクワラン、水添ポリデセン、ワセリン等が挙げられる。このうち特にポリブテンが好ましく、さらには分子量1000〜2650のポリブテンが好ましい。
【0013】
非揮発性炭化水素系油分の配合量は1〜70質量%、好ましくは5〜60質量%、より好ましくは10〜50質量%である。非揮発性炭化水素系油分の配合量が1質量%より少ないと、しっとりさに欠ける場合があり、70質量%より多いと、のびが重くなり、べたつきが増し、耐移り性も悪くなる傾向がある。
【0014】
本発明の化粧料で用いられる非揮発性シリコーン系油分(成分b)としては、炭化水素系油分と相溶しにくいものであればよく、同時に配合される炭化水素系油分の種類に応じて油中油型乳化物を形成しうるものから適宜選択される。かかる非揮発性シリコーン系油分としては、例えばメチルフェニルポリシロキサン、ジメチコン、フッ素変性アルキルシリコーンなどが挙げられる。このうち特にメチルフェニルポリシロキサンが好ましく、さらには粘度が300〜500csのメチルフェニルポリシロキサンが好ましい。
【0015】
非揮発性シリコーン系油分の配合量は5〜90質量%、好ましくは10〜80質量%、より好ましくは30〜80質量%である。非揮発性シリコーン系油分の配合量が5質量%より少ないと、耐移り性が定価する傾向があり、90質量%より多いと、つやは増すが、経時で剥がれやすくなる場合がある。
【0016】
本発明の化粧料においては、(a)非揮発性炭化水素系油分と(b)非揮発性シリコーン系油分との配合比(質量比)を、(a)/[(a)+(b)]が0.3以下となるようにすることが特徴である。
本発明の化粧料は、非揮発性炭化水素系油分と非揮発性シリコーン系油分とを上記の比率で配合して乳化させることにより、シリコーン系油分を外相(連続層)、炭化水素系油分を内相(分散相)とする油中油型乳化組成物の形態をとる。
【0017】
例えば、油中油型乳化組成物を口紅オーバーコートとして使用する場合、密着性及び耐移り性を発揮するためには、当該組成物は或る程度の粘度を持つ必要があり、増粘剤が配合されているのが一般的である。本発明者等が検討したところによると、炭化水素油分を外相としシリコーン系油分を内相とする油中油型乳化組成物を、口紅を塗布した唇に重ねて適用した場合、外層の炭化水素系油分が口紅を溶解して外相の粘度が低下し、密着力が弱まる傾向があることが見出された。それに対して、本発明のようにシリコーン系油分を外相とし炭化水素系油分を内相とする場合には、塗布時に口紅成分がオーバーコートに溶け出すことはない。塗布後に、唇を擦り合わせたり揮発性成分が揮散することにより相分離が生じ、炭化水素系油分が口紅表面に密着し、その上をシリコーン系油分が被覆するようになるため、粘度の低下が起こらず密着性に極めて優れた皮膜が形成されると考えられる。
【0018】
本発明の化粧料は、上記成分(a)及び(b)に加えて、(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリル(成分c)を必須成分として含有する。本発明の化粧料における(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリルは、化粧料を構成する乳化物の安定性向上に寄与していると考えられる。
【0019】
本発明で用いられる(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリルは、グリセリン、ベヘン酸及びエイコサン二酸をエステル化して得られるものであり、特に限定されるものではないが、例えば、グリセリン、ベヘン酸及びエイコサン二酸を10:15:7の仕込み比率でエステル化して得られた混合物等が好ましく使用される。また、市販品を使用することも可能であり、日清オイリオ社製のノムコートHK−Gを挙げることができる。
【0020】
本発明の化粧料における(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリルの配合量は0.1〜10質量%、好ましくは0.5〜8質量%、より好ましくは1〜6質量%である。(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリルの配合量が0.1質量%より少ないと、十分な安定性が得られず、10質量%より多いと、伸びが悪くなる場合がある。
【0021】
また、本発明の化粧料は、糖脂肪酸エステルを更に配合するのが好ましい。糖脂肪酸エステルを配合することにより、耐移り性、化粧料ののび、塗布後のつやを更に向上させることができる。
【0022】
糖脂肪酸エステルとしては、特に限定されないが、デキストリン脂肪酸エステル、例えばデキストリンと高級脂肪酸のエステルで、高級脂肪酸が炭素数C12〜C22のものから選択されるものが好ましい。高級脂肪酸としては、炭素数C12〜C22の脂肪酸を含んでいれば、炭素数C6〜10の脂肪酸を一部に含んでいてもよい。デキストリン脂肪酸エステルとしては、例えばパルミチン酸デキストリン、ミリスチン酸デキストリン、(パルミチン酸/エチルヘキサン酸)デキストリンが挙げられ、市販品としては、商品名レオパール(Rheopearl)KL、レオパールKL2、レオパールTT、レオパールTT2、レオパールMKL2、レオパールISK2等(いずれも千葉製粉社製)などが挙げられる。デキストリン以外の糖としては、イヌリン、デンプン、セルロース、ヒアルロン酸等が挙げられ、それらの脂肪酸エステルは、例えば、特開2006−265544号公報に記載されたような方法に従って調製することができる。
【0023】
糖脂肪酸エステルを配合する場合、その配合量は0.1〜10質量%、好ましくは0.5〜8質量%、より好ましくは1〜5質量%の範囲とする。糖脂肪酸エステルの配合量が0.1質量%未満であると所望の効果が得られず、10質量%より多いとべたつきを生じるようになる。
【0024】
本発明の化粧料は、無水ケイ酸を更に配合するのが好ましい。無水ケイ酸を配合することにより、塗布時の伸びやつやが更に良好になる。無水ケイ酸としては、平均一次粒子径が1〜50nmの超微粒子無水ケイ酸が好ましく、例えばアエロジル200、300、R972、R974、RY200等(日本アエロジル社製)が挙げられる。本発明に用いる無水ケイ酸は、親水性のものでもシリル化などの疎水化処理したものでもよい。
無水ケイ酸を配合する場合の好ましい配合量は10質量%以下、好ましくは0.1〜5質量%である。
【0025】
本発明においては、上記以外に、通常の油性化粧料に用いられる各種成分を配合してもよい。
例えば、揮発性炭化水素を更に配合することにより塗布時ののびが更に優れたものとなる。揮発性炭化水素は(a)非揮発性炭化水素系油分および(b)非揮発性シリコーン系油分のいずれにも可溶のものが好ましく、例えば、8〜16の炭素原子を有する揮発性油及びそれらの混合物を挙げることができる。特に、これらの揮発性炭化水素は、分枝状のC8−C16アルカン類、分枝状のC8−C16エステル類及びそれらの混合物から選択される。かかる揮発性炭化水素として好ましくは、特に石油から得られるC8−C16イソパラフィンが挙げられ、市販品としては、「アイソパー(Isopar)」(イソパラフィン系溶剤、エクソン社製)や「パーメチル(Permethyl)99A、パーメチル(Permethyl)101A、」(EC Eldorchemie社製 日本光研工業社が販売)がある。特に、イソドデカン又はイソヘキサデカン、ネオペンタン酸イソヘキシル及びそれらの混合物が好ましく、さらに好ましくは、イソドデカンである。揮発性炭化水素を配合する場合の好ましい配合量は、0.1〜50質量%であり、好ましくは1〜30質量%である。
【0026】
また、半固形油またはマイクロクリスタリンワックスを配合すると、塗布した後のべたつきが更に少なくなり、化粧持ちも更に向上する。半固形油とは、具体的には、25℃における硬度が0.1〜10Nである半固形状のものを指す。この硬度の測定には、レオテック社製レオメーターで、感圧軸5φ、針入速度2cm/min、針入度3mmで測定した値を用いた。したがって、ポリブテンなどの高粘度液状油や、硬化ヒマシ油、硬質ラノリンのような室温で硬い油剤は含まれない。
【0027】
半固形油の融点としては、30〜52℃であることが好ましい。融点の測定法は、化粧品原料基準記載の第3法によるものである。すなわち、まず試料をよくかき混ぜながら徐々に90〜92℃まで加熱して融解し、加熱を止め、試料を融点より8〜10℃高い温度まで放冷する。ついで、温度計(日本工業規格B7410に規定するペトロラタム融点用温度計)を5℃に冷却した後、ろ紙で水分をふきとって水銀球の半分を試料中に差し込み、直ちに抜きとり、垂直に保って放冷し、付着した試料が混濁してきたとき、16℃以下の温度の水中に5分間浸す。次に、試験管(25×100mm)に温度計を挿入し、温度計の下端と試験管の底との間部15mmになるようにコルクを用いて温度計を固定する。この試験管を、約16℃の水を入れた500mLのビーカー中に試験管の底とビーカーの底との距離を15mmになるように固定し、浴の温度が30℃になるまでは1分間に2℃上がるように加熱する。ついで、1分間に1℃上がるように加熱を続け、温度計から試料の1滴が離れたときの温度を測定する。この試験を3回行い、測定値の差が1℃未満のときはその平均値をとり、1℃以上のときは、5回測定してその平均値をとり、融点とする。
【0028】
半固形油としては、通常化粧品に使用されるワセリン、ラノリン、シア脂,部分水添ヤシ油など植物脂、部分水添ホホバ油の他、ダイマージリノール酸エステルであって、アルコール残基が、フィトステリル基および、炭素数が16〜22の直鎖高級アルコール残基を含むダイマージリノール酸・フィトステロール・高級アルコールエステルが挙げられる。ダイマージリノール酸エステルとしては、ダイマージリノール酸(フィトステリル/ベヘニル)(商品名:Plandool-PB)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/ベヘニル/ステアリル/セチル/イソステアリル)(商品名:Plandool-H、Plandool-S)、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイル(フィトステリル/ベヘニル/イソステアリル)(商品名:Plandool-G)などが挙げられる。また、テトラ(ベヘン酸/安息香酸エチルヘキサン酸)ペンタエリスリット、ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、マカデミアナッツ油ポリグリセリル6エステルズベヘネートなどを用いることもできる。さらに、下記市販品が使用してもよい。「コスモール168EV/M/AR」(以上日清オイリオ社製)、「YOFCO−MAS」、「SOFTISAN649」(サソール社製)、「エルデュウPS−304」(味の素社製)。
【0029】
このうち、ワセリン、テトラ(ベヘン酸/安息香酸エチルヘキサン酸)ペンタエリスリットがべたつきのなさと、化粧持ちの点で特に好ましい。半固形油の配合量は、好ましくは3〜30質量%、さらに好ましくは6〜20質量%である。
マイクロクリスタリンワックスの配合量としては、好ましくは0.5〜6質量%、さらに好ましくは、1〜4質量%である。
【0030】
本発明の化粧料を口紅として使用する場合は、上記成分以外に色材が配合される。色材は口紅に通常用いられる色材であれば良く、粉末状でもレーキ状(油を練り込んだ状態)でもよい。無機顔料であっても、有機顔料であっても、パール剤であっても、シリコーン系油分に比較して、炭化水素系油分のほうに濡れやすく、最終的には顔料は自発的に連続層である炭化水素系油分に移行する。色材の配合量としては、0.01〜30質量%、好ましくは、0.1〜20質量%である。
【0031】
その他、油剤、ワックス、粉体、顔料、染料、高分子化合物、保湿剤、香料、界面活性剤、酸化防止剤、防腐剤、美容成分等を、本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することができる。
保湿剤としては、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、1,3ブチレングリコール等の多価アルコール系保湿剤が挙げられる。
ワックスについては、配合することができるが、多量配合はつやを損なうため、配合してもその配合量は5質量%以下であることが望ましい。
また、皮膜剤については、多量配合はごわつき感を生じさせるため、配合しないか、あるいは配合しても5質量%以下であることが望ましい。
【0032】
本発明の油中油型化粧料は、口紅、リップグロス、下地用のリップベース、口紅オーバーコート(リップコート)、リップクリーム、アイグロス、チークなどの形態で提供することができるが、特に、口紅オーバーコートとして使用する場合に、本発明の有利な効果を発揮しやすい。
【実施例】
【0033】
本発明について以下に実施例を挙げてさらに詳述するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、配合量は特記しない限り質量%で示す。
実施例1〜9、比較例1〜2
下記の表1及び表2に示す処方で口紅オーバーコートを調製し、使用性(塗布時ののび、つや及び耐移り性)並びに分離安定性について、下記の基準に従って評価した。その結果を併せて表1及び2に示す。
【0034】
(1)使用性の評価試験
10名の専門パネルによる実使用性試験を行った。使用性項目は、塗布時ののび、つや及び耐移り性であり、それぞれの評価項目について、下記の評価点基準に基づいて5段階官能評価(スコア)した。そのスコア平均値により、下記評価基準で判定した。
【0035】
塗布方法は、各実施例及び比較例の化粧料を唇に塗布した後、唇の上下をこすり合わせ5秒ほど圧力を加える方法にて行った。耐移り性の評価はカップへの移りのなさを評価し、塗布時ののび及びつやは各専門パネルによる官能試験及び目視により判定した。
【0036】
(スコア)
5点:非常に優れている。
4点:優れている。
3点:普通。
2点:劣る。
1点:非常に劣る。
【0037】
(評価基準)
◎:評価値(平均値)4.0以上5.0点以下
○:評価値(平均値)3.0以上4.0点未満
△:評価値(平均値)2.0以上3.0点未満
×:評価値(平均値)1.0以上2.0点未満
【0038】
(2)分離安定性の評価試験
使用容器内での分離安定性について、以下の方法で評価した。
(評価方法)
表に記載した組成の処方を常法により調製し、塗布具付ボトル容器に入れ、1日2回使用し、1週間連用した後に評価した。
【0039】
(評価基準)
◎:分離が全くなく、均一であった。
○:分離が一部認められるが、使用上問題のないレベルであった。
△:分離が認められ、色むらが生じていた。
×:完全に分離していた。
【0040】
【表1】

【0041】
【表2】

【0042】
(a)非揮発性炭化水素系油分、(b)非揮発性シリコーン系油分及び(c)(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリルを本願所定の配合比率で含有する実施例1〜9の化粧料は、のび、つやが良く、耐移り性に優れ、使用上問題のない優れた分離安定性を有するものであった。一方、(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリルを含まない比較例1及び2は、完全に分離してしまい、特に分離安定性に欠けていた。
また、デキストリン脂肪酸エステル及び無水ケイ酸を含有しない実施例8及び9に比較して、それらを配合した実施例1〜6では、のび、つや及び耐移り性が更に向上した。
【0043】
以下に、本発明の油中油型化粧料の処方例を挙げる。本発明はこの処方例によって何ら限定されるものではなく、特許請求の範囲によって特定されるものであることはいうまでもない。
【0044】
実施例10:透明グロス
配合成分 質量%
水添ポリイソブテン 22
メチルフェニルポリシロキサン 52
セスキイソステアリン酸ソルビタン 4
(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリル 3
パラフィンワックス 2
シリカ 1.5
シリル化シリカ 0.5
(製造方法): 上記成分を加熱溶解し、攪拌分散して調製した。
【0045】
実施例11:リップベース
配合成分 質量%
水添ポリイソブテン 22
メチルフェニルポリシロキサン 52
デカメチルシクロペンタシロキサン 13
セスキイソステアリン酸ソルビタン 4
(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリル 3
パラフィンワックス 2
マイカ 2
シリカ 1.5
シリル化シリカ 0.5
(製造方法): 上記成分を加熱溶解し、攪拌分散して調製した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)非揮発性炭化水素系油分:1〜70質量%、
(b)非揮発性シリコーン系油分:5〜90質量%、及び
(c)(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリル:0.1〜10質量%を含有し、
前記(a)非揮発性炭化水素系油分と(b)非揮発性シリコーン系油分の配合比(質量比)が、(a)/[(a)+(b)]が0.3以下となる範囲であることを特徴とする油中油型化粧料。
【請求項2】
糖脂肪酸エステルをさらに含有する、請求項1に記載の化粧料。
【請求項3】
無水ケイ酸をさらに含有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の化粧料。
【請求項4】
色材を更に含有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の化粧料。
【請求項5】
口紅オーバーコートである、請求項1から5のいずれか一項に記載の化粧料。

【公開番号】特開2011−111443(P2011−111443A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−272352(P2009−272352)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】