油圧システム用の再生マニホルド、油圧作動システム、及び油圧作動システムに加圧油圧流体を提供する方法
【課題】リザーバと、ポンプと、複動ピストンを備えた油圧シリンダとを備えた油圧システムにおいて、必要な場合に複動ピストンによって提供される力を犠牲にすることなく、複動ピストンの延出時間をスピードアップできる構造を提供する。
【解決手段】油圧システムに加圧された油圧流体を提供する方法は、油圧シリンダ38の延出室と連通した延出通路70を介して延出室に加圧流体を提供する。油圧シリンダ38の退縮室と流体連通可能な退縮通路85を介して退縮室から流体を排出する。、延出通路70への流入を増大させるべく退縮通路85から延出通路70への一方向の流れを許容するために、延出通路70と退縮通路85とを接続する再生通路を提供する。第1弁110と退縮通路85とを接続する圧力解放通路120の内部の圧力解放弁122によって延出通路70と退縮通路85との間での圧力均一化を経時的に許容する。
【解決手段】油圧システムに加圧された油圧流体を提供する方法は、油圧シリンダ38の延出室と連通した延出通路70を介して延出室に加圧流体を提供する。油圧シリンダ38の退縮室と流体連通可能な退縮通路85を介して退縮室から流体を排出する。、延出通路70への流入を増大させるべく退縮通路85から延出通路70への一方向の流れを許容するために、延出通路70と退縮通路85とを接続する再生通路を提供する。第1弁110と退縮通路85とを接続する圧力解放通路120の内部の圧力解放弁122によって延出通路70と退縮通路85との間での圧力均一化を経時的に許容する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘビーデューティ金属剪断機、プレート剪断機、コンクリート粉砕機、掴み機、その他の建設、解体装置用の器具アタッチメントに使用される油圧システムに関する。より具体的には、本発明は、油圧システム用の再生マニホルド、油圧作動システム、及び油圧作動システムに加圧油圧流体を提供する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ここでの記載の目的のために、建設、解体装置をスクラップ処理装置とも称する。解体、建設装置の説明は、参照される装置に限定されることを意図するものではない。ヘビーデューティ金属剪断機、掴み機(グラップル)、コンクリート破砕機、等の解体装置は、解体現場において様々な作業のために、油圧シリンダによって駆動されるバックホーに搭載される。この装置は、スクラップの効率的な切断と処理を提供する。例えば、産業用建設物の解体では、種々の径の鋼管、構造Iビーム鋼、チャンネル鋼、アングル鋼、シート状金属板、等の形状の金属スクラップを、ヘビーデューティ金属剪断機によって効率的に切断、処理しなければならない。そのような剪断機は、自動車、トラックのフレーム、鉄道車両、等の分解にも利用することができる。前記剪断機は、個々のスクラップ片の大きさ、形状の如何に関わらず、又、剪断機に大きな損傷を被ることなく、金属スクラップ片を移動し、切断できなければならない。産業用建設物の解体では、コンクリート粉砕機やコンクリートクラッカ等のコンクリート破砕用装置が、構造物を容易に処理可能で現場から除去可能な処理しやすい小片に分解するためにも使用される。木材剪断機とプレート剪断機も、スクラップのタイプに応じて、特定の解体やスクラップ除去の状況において有用な専用切断装置を代表するものである。更に、スクラップや工作物片の処理がその装置の主要な機能である場合には、掴み機がよく利用される。歴史的に見て、これら装置の全ては、それぞれ大きな資本コストを有する独立した器具である。その結果、解体産業は、可能な限り多数の用途に使用することが可能な1つのタイプの器具を開発しようと試みてきた。
【0003】
例示の目的で、以下の説明は金属剪断機に関して述べられる。1つのタイプの金属剪断機は、固定ブレードと、それに枢支された可動ブレードとを備えた剪断機である。両ブレード間で作業対象物を切断するための切断作用を提供するために、可動ブレードは油圧シリンダによって揺動される。このタイプの剪断機の例は、本出願の被譲渡人に譲渡された以前の米国特許第4,403,431号、第4,670,983号、第4,897,921号、第5,926,958号、および第5,940,971号に見ることができ、これらの全てを参考文献として本明細書に合体させる。
【0004】
図1は、従来技術としての、バックホー(不図示)等の解体又は建設装置用のマルチ器具アタッチメントを示す。このマルチ器具アタッチメントは、一連の器具又は器具ユニットの1つを解体装置に連結するように構成されている。図1中において取り付けられた器具は金属剪断機10である。この剪断機10は、上方ジョー13に連結された第1ブレード12と、下方ジョー15に連結された第2ブレード14とを備え、両ジョー13,15は、ハブ又はピン16を介して汎用本体18に対して揺動可能に連結されている。本体18を汎用本体と称する理由は、アタッチメントシステムにおいて一連の器具又は器具ユニットに共通であることによる。汎用本体18は、側部19とベアリングハウジング20とシリンダハウジング21とから構成されている。ベアリングアハウジング20とシリンダハウジング21との間には回転継手23が設けられている。この回転継手23は、ベアリングハウジング20と、連結された解体装置とに対する汎用ハウジング18の残りの部分の回転を許容する。実質的に回転継手23は汎用本体18と剪断機10等の連結器具との360度の回転方位を許容する。汎用本体18の回転位置を設定するために、モータ(不図示)がベアリングハウジング20に取り付けられ、回転継手23をギヤ駆動する。
【0005】
第1リンク24が、取り外し可能な枢支ピン26を介して第1ブレード12に連結され、第2リンク28が、取り外し可能な枢支ピン30を介して第2ブレード14に連結されている。これら第1リンク24と第2リンク28とは、共通の枢支ピン34を介してスライド部材32に揺動可能に連結されている。スライド部材32は、複動油圧シリンダ38(部分的に隠されている)のピストンロッドに取り付けられている。スライド部材32はスロット44内で移動可能である。油圧シリンダ38は、トラニオン40を介して汎用本体18に揺動可能に取り付けられている。この構成の更なる詳細は、本出願と同じ法人に譲渡され、ここに参考文献として合体される2002年3月28日出願の米国特許出願第10/089,481号に記載されている。
【0006】
油圧シリンダ38を作動させるためには回転継手23を通して加圧された油圧流体を送らねばならない。図2及び2Aに示されるように、油圧シリンダ38にはマニホルド50が連結され、このマニホルド50は油圧シリンダ38と流体連通しているが、更に、これら二つの部材は、これらマニホルド50と油圧シリンダ38との間に適当な流体通路を提供することによって、相互に回転を許容するように構成されている。この技術は公知である。
【0007】
複動ピストンを備える油圧シリンダを利用する油圧システムでは、特定の器具の移動範囲が大きい場合には、油圧シリンダによって付与される力もまた大きくなければならないという古くからの問題がある。油圧システムにおいて大きな力を与える1つの技術は、複動ピストンの作用表面に対して高圧の流体を提供する方法である。しかし、そのような高圧流体を供給するには、異常に大きな油圧ポンプ、或いは別の構成では、十分な圧力を提供するが流量が小さな、より小型のポンプが必要となるであろう。大型のポンプは貴重な空間を消費するだけでなく、高価である可能性があり、他方、小型のポンプはそれが提供する流量が小さいために、複動ピストンを作動させるのに時間がかかる。一例として、典型的な工業用金属剪断機の場合、油圧シリンダの複動ピストンを延出するのに必要な時間は6秒間であり、他方、この複動ピストンを退縮させるのに必要な時間は3秒間である。ピストンロッドが退縮室内で面積を占めることから、油圧流体が退縮室内で流れる箇所の面積の方が延出室内の面積よりも小さいので、退縮工程の方が速い。その結果、退縮室内の流体の量は、延出室内の同量の流体よりも、ピストンを大きく移動させることになる。通常、退縮時間は延出時間の二倍早い。
【0008】
【特許文献1】米国特許第4,403,431号
【特許文献2】米国特許第4,670,983号
【特許文献3】米国特許第4,897,921号
【特許文献4】米国特許第5,926,958号
【特許文献5】米国特許第5,940,971号
【特許文献6】米国特許出願第10/089,481号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
必要な場合に複動ピストンによって提供される力を犠牲にすることなく、複動ピストンの延出時間をスピードアップできる構造が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、建設又は解体装置に係合および係合解除させて使用される油圧システムに加圧された油圧流体を提供するマニホルドに関する。この油圧システムは、リザーバとポンプと複動ピストンを備えた往復移動油圧シリンダとを備える。この油圧シリンダは延出室と退縮室とを有する。前記マニホルドは、前記油圧シリンダの前記延出室と流体連通可能な延出通路を有するブロックを備えている。この延出通路は延出室ポートと流体供給ポートとを備える。前記マニホルドは、更に、前記油圧シリンダの前記退縮室と流体連通可能な退縮通路を備える。この退縮通路は、退縮室ポートと流体排出ポートとを備える。再生通路が延出通路と退縮通路とを接続しており、この再生通路内のチェック弁は、退縮通路から延出通路への流れを増大させるべく、退縮通路から延出通路への一方向の流れを許容する。
【0011】
本発明は、又、建設又は解体装置に器具アタッチメントを係合および係合解除するために使用される油圧システムに加圧された油圧流体を提供する方法にも関する。前記システムは、リザーバ、ポンプ、及び、延出室と退縮室とを形成して複動ピストンを内部に備えた往復移動油圧シリンダを有する。前記方法は以下の各工程を含む:a)油圧シリンダの延出室と流体連通可能な延出通路を介して延出室に加圧流体を提供する、ここで、延出通路は延出室ポートと流体供給ポートとを備える;b)前記油圧シリンダの前記退縮室と流体連通可能な退縮通路を介して退縮室から流体を排出する、ここで、退縮通路は、退縮室ポートと流体排出ポートとを備える;そしてc)延出通路への流体の流入を増大するために、退縮通路から延出通路への一方向の流れを許容するべく、延出通路と退縮通路とを接続する再生通路を提供する。
【0012】
本発明は、更に、ここに記載のマニホルドを利用した、建設、解体装置に対する器具アタッチメントに使用される油圧作動システムにも関する。
【0013】
以下に記された説明の目的のために、「上方」、「下方」、「右側」、「左側」、「縦」、「横」、「頂部」、「底部」及びこれらの派生語は、図面における向きに関連するものとする。但し、本発明は、特記される場合を除いて、本発明は、その他の種々の改造構成及び工程順序も当然ありうるものと見なすと理解される。更に、添付図面に示され、以下の明細書中に記載されている特定の装置及び方法は、本発明の例示的な実施例に過ぎないものと理解される。従って、特定の寸法及びここに開示される実施例に関連する物理特性は限定的なものと解釈されてはならない。
【0014】
本発明者等は、ピストンロッドの行程の大部分が非常に無負荷又は僅かな負荷で起こるので、油圧シリンダのサイズの如何に拘わらず、複動ピストンを延出させるために必要な圧力は遥かに低いということを発見した。しかしながら、複動ピストンのストロークに沿ったある箇所において、金属片を切断するために、又は、バックホーが大きな障害物を乗り越えるために必要とされる圧力によって負荷が大幅に増加するが、ピストンに対して大きな力を提供するために大きな圧力が必要となるのはその時だけである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】従来技術であり、建設機械の汎用本体に組み込まれる金属剪断機を示す側面図である。
【図2】従来技術であり、複動ピストンを収納する油圧シリンダの側面図である。
【図2A】図2に示したシリンダ及びマニホルドの端面図である。
【図3】従来技術であり、複動ピストンを延出位置に配置するために必要な流体流を示す略図である。
【図4】従来技術であり、複動ピストンを退縮位置に配置するために必要な流体流を示す略図である。
【図5】本発明の再生特徴の助けで複動ピストンを延出位置に配置するための流体流を示す略図である。
【図6】複動ピストンを延出位置に配置する最大の力を付与するための流体流を示す略図である。
【図7】複動ピストンを退縮位置に配置するための流体流を示す略図である。
【図8】本発明によるマニホルドが取り付けられた油圧シリンダの側面図である。
【図8A】図8に示したシリンダおよびマニホルドの端面図である。
【図9】内部に延出する回転ホーンを備えるマニホルドの断面図である。
【図10】本発明によるマニホルドを通って延出する通路の略図である。
【図11】スイベル式アタッチメントの無いマニホルドを備える油圧シリンダの側面図である。
【図11A】図11に示したシリンダ及びマニホルドの端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
従来技術であり、複動ピストン37を延出させるために必要な流体流の概略を示す図3を参照すると、ポンプ60は、リザーバ68内の流体65と流体連通しているポンプ入口62を有する。ポンプ出口64には延出通路70が取り付けられ、これは油圧シリンダ38の延出室75へと続いている。流体が圧送されると、延出室75が満たされ、それによってピストン37を左に移動させ、ピストンロッド36を左に移動させる。同時に、退避室80内の流体が油圧シリンダ38から退縮通路85を通って移動し、リザーバ68へと戻される。典型的な構成では、作業を行っている間、延出通路70内の圧力は約2,500psiであり、これに対して、退縮通路85内の圧力は100psiしかない。従来の典型的なシステムは、高圧を提供可能ではあるが、それを長い時間かけて行うポンプ60を用いていたので、複動ピストン37は作業を行うために十分な力を発生するものの、延出室75を満たすために必要な時間が、退縮室80を満たすために必要の時間の二倍にも及ぶ可能性がある。
【0017】
図4は、従来技術であり、退縮サイクルの流体流の概略を示す。ここでもポンプ60が使用されているが、ここでは、ポンプ出口64は、リザーバ68からの流体65が退縮通路85と退縮室80とに送られて、それによってピストン37とそれに連動するピストンロッド36とを右に移動させるように入れ替えられている。流体は延出通路70を通して排出され、流体はそこからリザーバ68へと戻される。この退縮過程は、通常は、負荷下で行われるものではなく、その結果、必要な圧力は遥かに低いものである。更に、同量の油圧流体に対して、退避室80内の面積は延出室75内の面積よりも小さいので、ピストン37は延出よりも短い時間で退縮する。
【0018】
延出モードでは、ピストンロッド36は、その行程の一部期間でのみ負荷を受けるという認識から、今般、本発明者等は、ピストンロッド36が負荷を受けていない時には、延長室75をより高速で満たし、その後、ピストンロッド36が負荷を受けている時は、必要な高い圧力を、より低い制御された速度で提供するシステムと方法とを提供したことになる。
【0019】
概して、また図5を参考に述べると、上記の目的は、ピストンロッド36が延出される時に退縮室80から排出される流体をルート変更することによって、ピストンロッド36を延出させるための流体を延出室75へ提供する再生サイクルを従来技術のサイクルの中に混入させるように導入することで達成される。この排出流体を、退縮通路85を介して戻すのではなく、該流体を延出通路70へと再び向けることで、延出通路70と退縮通路85の両方から延出室へ流体を提供して室の充填を加速し、その結果、延出室75を充填するための時間を短縮する。
【0020】
ここに記載されているように、一実施例におけるこの装置に関連する前記通路及びハードウエアは、油圧シリンダ38に連動するマニホルド90(図8)内に配置される。以下このマニホルド90に注目しよう。但し、以下の構成はマニホルドの境界内にあるものとして記載されるが、これらのパーツの構成はそれに限定されるものではないと理解される。
【0021】
特に図5は流体流と複動ピストンロッド36の延出に関連するハードウエアの概略を示す。
【0022】
再生を備える延出モードを示した図5を参照すると、前記油圧システムは、リザーバ68と、ポンプ60と、その内部に延出室75と退縮室80とを形成する複動ピストン37を備える往復移動油圧シリンダ38とから構成されている。ここに記載の油圧コンポーネントを収納するマニホルド90(図8)は、油圧シリンダ38の延出室75と流体連通するように構成された延出通路70(図5)を備えたブロック92から構成されている。延出通路70は、延出室ポート95と流体供給ポート97とを有する。マニホルド90の境界を定義する目的で、マニホルド90内のポートを示すべく符号C1,C2,V1及びV2が使用されている。
【0023】
マニホルド90は、更に、油圧シリンダ38の退縮室80と流体連通するように構成された退縮通路85を有する。この退縮通路85は、退縮室ポート87と流体排出ポート89とを備える。その内部にチェック弁105を備える再生通路100が、延出通路70と退縮通路85を接続している。この構成によって、退縮通路85から延出通路75へ流入する流体流を増加させるべく退縮通路85から延出通路70への単一方向の流れが可能となる。換言すると、再生を含む延出サイクル中の延出室75への流体流が、延出通路70と退縮通路85からの流体流と合流される。この増大した流体流は、ピストンロッド36に負荷がない時に、延出室75を満たし、それによってピストンロッド36を延出させるのに必要な時間を大幅に減少する。
【0024】
更に詳しくは、再生通路100内においてチェック弁105と直列に第1ロジック弁110が配置されている。再生(図5)を伴う延出サイクル中に、退縮通路85内の流体が再生通路100を通過するために或る最低限の圧力を必要とするように、チェック弁105は作動のための最低上流圧力を必要とするべくプリロードすることができる。
【0025】
再生サイクルの作動中、流体は、ポンプ60から延出通路70に流入、そして延出室75に流入し、それによって、複動ピストン36を、延出位置に向けて左側に移動させる。
【0026】
更に、制御弁115が、退縮通路85と直列に、かつ、再生通路100と流体排出ポート89との間に配設されている。圧力感知通路170が、延出通路70から制御弁115へと延出している。制御弁115は、通常は開放されており、圧力感知通路170内の圧力が設定点、例えば2,500psiを超えた時に閉じられる。
【0027】
図5に示した再生サイクル中、必要な流体圧は、ピストンロッド36を左側に移動させ、連動する器具を大きな負荷と遭遇するまで進めるのに必要な圧力だけである。
【0028】
例えば、建設又は解体装置における金属剪断機を用いた切断のための典型的な作動圧力は優に2,500psiを超えるものである。しかし、切断直前に剪断機ブレードを延出位置から退縮位置へと移動するために必要な流体圧は2,500psiよりも遥かに小さい。
【0029】
負荷に遭遇しない間は、延出通路70内の圧力は比較的低く、制御弁115は閉じられたままである。その結果、退縮室80から排出された流体は、退縮通路85を通って、再生通路100に流入する。流体圧はチェック弁105のプリロードを克服するのに十分である。第1ロジック弁110は、通常は開放されているので、流体はこの第1ロジック弁110を通って延出通路70に自由に流れ込む。
【0030】
その結果、退縮室80からの流体流の全部が再生通路100を介して方向転換されて直接に延出通路70に戻され、延出室75に、ポンプ60からの直接の流体流と合流された流体流を供給する。
【0031】
前記再生サイクルが続くのはロッド36が負荷に遭遇する迄のみである。この時点でポンプ60は、ポンピングを続け、延出通路70内の圧力は増加する。
【0032】
図6を参照すると、延出通路70内の圧力が制御弁115の設定点圧力を超えて、これが圧力感知通路170を通して制御弁115に伝えられると、制御弁115が開放され、流体がリザーバ68に戻ることが許容される。チェック弁105のプリロードによって、流体が再生通路100を通って流れることが阻止される。制御弁115の開放は再生サイクルの終わりと、パワーサイクルの始まりを示すものである。
【0033】
パワーサイクル中は、延出通路70内の圧力が増大するに従い、制御弁115がより大きく開放し、より多くの流体がリザーバ68に排出されることを許容する。更に、延出通路70からの圧力が再生通路100内で増大してチェック弁105を閉じ状態に維持する。
【0034】
第1ロジック弁110と退縮通路85との間には圧力解放通路120を介して圧力解放弁122が接続されている。ポンプ60が閉じられた時、延出通路70には高圧流体が保持されている。解放弁122は、延出通路70から高圧流体を、圧力解放通路120を介して、退縮通路85へと、そしてリザーバ68内へと逃がす。解放弁122は小さなブリードプラグを備えているので、この解放弁122を介した流体流は小さく、延出通路70内の圧力を緩慢に放散する。
【0035】
その結果、負荷が殆ど無い又は無負荷状態においては、図5に示すように、延出通路70と退縮通路85との両方からの合流された流体流を利用して、ロッド36は迅速に延出される。そのような時にロッド36が負荷に遭遇すると、図6に示すように、延出サイクルはもはや再生を含まず、流体はポンプ60から延出通路70を通って延出室75内へと増大した圧力で直接流れる。
【0036】
図7を参照すると、退縮サイクルにおいては、流体流は実質的に延出サイクルの流体流の逆になる。特に、ポンプ60の出口64が退縮通路85に向けられ、退縮室80が流体で満たされ、それによってピストン37とピストンロッド36とを右側に付勢する。制御弁115は、ポンプ60から退縮室80へ向かう方向の自由な流れを許容する。また、延出室75内の流体は、延出通路70に沿ってリザーバ68に戻るように案内される。退縮通路85の圧力がチェック弁105を不意に開放し、第1ロジック弁110を通過して流れようとした場合は、退縮通路85内の圧力が圧力解放通路120内に及び、解放弁122を閉じ状態に維持し、それによって、第1ロジック弁110を閉じ状態に維持し、流体がこの第1ロジック弁110を通過して延出通路70内に流入することを禁止する。延出室75から延出通路70を通って戻る流体は、第1ロジック弁110が、圧力解放通路120と圧力解放弁122との圧力を介して退縮通路85内の圧力によって閉じ状態に保持されていることから、この第1ロジック弁110に入ることができない。延出通路70を通って移動する流体は次にリザーバ68へ戻る。
【0037】
ここまで、このサイクルを、流路とハードウエアを示す略図を参照して説明してきた。本発明の一つの好適実施例では、油圧シリンダ38、ポンプ60、及びリザーバ68間のハードウエア及び通路は、図8に示すように、油圧シリンダ38に直接連結することが可能な、マニホルド90内に内蔵させることができる。
【0038】
図9は、図8に示したマニホルド90の断面図である。マニホルド90は、内部に延出する孔部135(ボア)を備える非回転ベース130を含み、且つ、中央軸心137を有するスイベル式アタッチメントを備えている。非回転ベース130は例えば金属剪断機の本体に固定されている。孔部135内には、油圧シリンダ38(図8)の後端に固定された回転筒状ホーン(cylindrical horn)140が有る。これによって回転部分を備えたマニホルドが提供される。流体は、ベース130とホーン140との間の流体継手を介して、これらベース130とホーン140との間で連通されることで、同時にこれらベース130とホーン140との間に流体連通状態を保ちながら、ホーン140が中央軸心137周りで回転することを許容する。図9に示すように、そのような流体連通は、ホーン140を通って延出するポート147,152を取り囲む中空環状リング145,150を用いて実施される。孔部135内にはシール156,158,160が陥没形成されて、ホーン140と接触することで、流体が同領域に逃げることを防止する。ホーン140は孔部135に対して回転する。
【0039】
或いは、マニホルド90は、中心軸心を有するスイベル式アタッチメントを収納する孔部135が内部に延設され、孔部135内におけるスイベル式アタッチメントの中央軸心周りでの回転を許容するブロックである。
【0040】
油圧マニホルドがシリンダを作動させ、そのシリンダがマニホルドに対して回転可能である従来技術の構成では、ホースとホース接続部とを使用することが必要であった。図9は、マニホルド90をシリンダ38の回転可能ハウジング39に直接にボルト止めすることを可能にするユニークな構成を示す。従来は、マニホルド90は、ハウジング39に直接接続されず、ホースとホース継手とを介してマニホルド90に接続されていた。
【0041】
図10は、ここに記載されるマニホルド90における通路のレイアウト及び弁の位置を示す。特に、図10に示されるマニホルド90のポートC1,C2,V1,V2の位置は、図5、6及び7にも示されている。簡単に再記すると、図5及び10において、再生を備える延出モードでは、ポンプ60からの流体はマニホルド90のポートV1(図5の流体供給ポート97)に入り、延出通路70を通過し、ポートC1(図5の延出室ポート95)から延出室75に出る。同時に、退縮室80からの流体がポートC2(図5の退縮室ポート87)からマニホルド90に入り、退縮通路85を通って移動し、ここで制御弁115によって阻止され、チェック弁105と第1ロジック弁110とを介して再生通路100内に向けられ、ここで、次に延出通路70に導入される。
【0042】
図10に示すマニホルドのレイアウトは、個々の弁を示していないが、それらの弁のための配設凹部を示している。特に、チェック弁105、第1ロジック弁110、制御弁115及び解放弁122に関連する配設凹部はダッシュ付きの番号105′,110′,115′,122′として示されている。
【0043】
図8及び図9は、筒状ホーン140がその内部で回転することが可能なスイベル構造を有するマニホルド90に関するものであるが、図11に示されるように、パーツ間の相対回転が無いように、マニホルド190を油圧シリンダ38に直接取り付けることも十分に可能である。
【0044】
図5及び図10を参照して、ハードウエアの詳細について以下に説明する。ここに記載した各弁は対応する配設凹部内にフィットするカートリッジ弁である。チェック弁105は、典型的なプリロード型チェック弁である。第1ロジック弁110は圧力によって作動される。制御弁115はオーバセンタ弁(OCV)である。圧力解放弁122は典型的な圧力解放弁である。
【0045】
最後に、本発明は、解体、建設装置の器具アタッチメントに使用される油圧作動システムであって、再び図5を参照すると、流体65で満たされたリザーバ68と、延出室75と退縮室80とを形成し、往復移動する複動ピストン37を内部に備える油圧シリンダ38とを含むシステムに関する。複動ピストン37は、例えば、図1に示されるジョーなどの器具アタッチメントに連結されたロッド36を駆動する。延出室75を加圧してロッド36を延出させるために、そして、退縮室80を加圧してロッド36を退縮させるために、ポンプ60は流体をリザーバ68と油圧シリンダ38の延出室75又は退縮室80との間で移動させる。ここに記載したようなマニホルド90(図8)は、リザーバ68と油圧シリンダ38の両室75,80とに流体接続され、これらの間で流体を割り振る。
【0046】
前記システムは、更に、油圧シリンダ38とポンプ60との間に、筒状ホーン140の非回転ベース130に対する回転を可能にするスイベル式アタッチメント(図9)を備える。更に、そして図11を参照すると、マニホルド190は、油圧シリンダ38に対して回転不能に固定することも可能である。マニホルド190を油圧シリンダ38に直接取り付けることでホースの必要性が無くなる。これによって、一般にホースは油圧システムにおいて脆弱なリンクであるので、接続ジョイントがより少なく、したがって信頼性の高い構成が提供される。
【0047】
以上、好適実施例を参照しながら本発明を説明してきた。上記の詳細説明を読み理解することによって当業者は明らかな改造及び改変構造に想到するであろう。本発明は、そのような改造及び改変構造の全てを含むものである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘビーデューティ金属剪断機、プレート剪断機、コンクリート粉砕機、掴み機、その他の建設、解体装置用の器具アタッチメントに使用される油圧システムに関する。より具体的には、本発明は、油圧システム用の再生マニホルド、油圧作動システム、及び油圧作動システムに加圧油圧流体を提供する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ここでの記載の目的のために、建設、解体装置をスクラップ処理装置とも称する。解体、建設装置の説明は、参照される装置に限定されることを意図するものではない。ヘビーデューティ金属剪断機、掴み機(グラップル)、コンクリート破砕機、等の解体装置は、解体現場において様々な作業のために、油圧シリンダによって駆動されるバックホーに搭載される。この装置は、スクラップの効率的な切断と処理を提供する。例えば、産業用建設物の解体では、種々の径の鋼管、構造Iビーム鋼、チャンネル鋼、アングル鋼、シート状金属板、等の形状の金属スクラップを、ヘビーデューティ金属剪断機によって効率的に切断、処理しなければならない。そのような剪断機は、自動車、トラックのフレーム、鉄道車両、等の分解にも利用することができる。前記剪断機は、個々のスクラップ片の大きさ、形状の如何に関わらず、又、剪断機に大きな損傷を被ることなく、金属スクラップ片を移動し、切断できなければならない。産業用建設物の解体では、コンクリート粉砕機やコンクリートクラッカ等のコンクリート破砕用装置が、構造物を容易に処理可能で現場から除去可能な処理しやすい小片に分解するためにも使用される。木材剪断機とプレート剪断機も、スクラップのタイプに応じて、特定の解体やスクラップ除去の状況において有用な専用切断装置を代表するものである。更に、スクラップや工作物片の処理がその装置の主要な機能である場合には、掴み機がよく利用される。歴史的に見て、これら装置の全ては、それぞれ大きな資本コストを有する独立した器具である。その結果、解体産業は、可能な限り多数の用途に使用することが可能な1つのタイプの器具を開発しようと試みてきた。
【0003】
例示の目的で、以下の説明は金属剪断機に関して述べられる。1つのタイプの金属剪断機は、固定ブレードと、それに枢支された可動ブレードとを備えた剪断機である。両ブレード間で作業対象物を切断するための切断作用を提供するために、可動ブレードは油圧シリンダによって揺動される。このタイプの剪断機の例は、本出願の被譲渡人に譲渡された以前の米国特許第4,403,431号、第4,670,983号、第4,897,921号、第5,926,958号、および第5,940,971号に見ることができ、これらの全てを参考文献として本明細書に合体させる。
【0004】
図1は、従来技術としての、バックホー(不図示)等の解体又は建設装置用のマルチ器具アタッチメントを示す。このマルチ器具アタッチメントは、一連の器具又は器具ユニットの1つを解体装置に連結するように構成されている。図1中において取り付けられた器具は金属剪断機10である。この剪断機10は、上方ジョー13に連結された第1ブレード12と、下方ジョー15に連結された第2ブレード14とを備え、両ジョー13,15は、ハブ又はピン16を介して汎用本体18に対して揺動可能に連結されている。本体18を汎用本体と称する理由は、アタッチメントシステムにおいて一連の器具又は器具ユニットに共通であることによる。汎用本体18は、側部19とベアリングハウジング20とシリンダハウジング21とから構成されている。ベアリングアハウジング20とシリンダハウジング21との間には回転継手23が設けられている。この回転継手23は、ベアリングハウジング20と、連結された解体装置とに対する汎用ハウジング18の残りの部分の回転を許容する。実質的に回転継手23は汎用本体18と剪断機10等の連結器具との360度の回転方位を許容する。汎用本体18の回転位置を設定するために、モータ(不図示)がベアリングハウジング20に取り付けられ、回転継手23をギヤ駆動する。
【0005】
第1リンク24が、取り外し可能な枢支ピン26を介して第1ブレード12に連結され、第2リンク28が、取り外し可能な枢支ピン30を介して第2ブレード14に連結されている。これら第1リンク24と第2リンク28とは、共通の枢支ピン34を介してスライド部材32に揺動可能に連結されている。スライド部材32は、複動油圧シリンダ38(部分的に隠されている)のピストンロッドに取り付けられている。スライド部材32はスロット44内で移動可能である。油圧シリンダ38は、トラニオン40を介して汎用本体18に揺動可能に取り付けられている。この構成の更なる詳細は、本出願と同じ法人に譲渡され、ここに参考文献として合体される2002年3月28日出願の米国特許出願第10/089,481号に記載されている。
【0006】
油圧シリンダ38を作動させるためには回転継手23を通して加圧された油圧流体を送らねばならない。図2及び2Aに示されるように、油圧シリンダ38にはマニホルド50が連結され、このマニホルド50は油圧シリンダ38と流体連通しているが、更に、これら二つの部材は、これらマニホルド50と油圧シリンダ38との間に適当な流体通路を提供することによって、相互に回転を許容するように構成されている。この技術は公知である。
【0007】
複動ピストンを備える油圧シリンダを利用する油圧システムでは、特定の器具の移動範囲が大きい場合には、油圧シリンダによって付与される力もまた大きくなければならないという古くからの問題がある。油圧システムにおいて大きな力を与える1つの技術は、複動ピストンの作用表面に対して高圧の流体を提供する方法である。しかし、そのような高圧流体を供給するには、異常に大きな油圧ポンプ、或いは別の構成では、十分な圧力を提供するが流量が小さな、より小型のポンプが必要となるであろう。大型のポンプは貴重な空間を消費するだけでなく、高価である可能性があり、他方、小型のポンプはそれが提供する流量が小さいために、複動ピストンを作動させるのに時間がかかる。一例として、典型的な工業用金属剪断機の場合、油圧シリンダの複動ピストンを延出するのに必要な時間は6秒間であり、他方、この複動ピストンを退縮させるのに必要な時間は3秒間である。ピストンロッドが退縮室内で面積を占めることから、油圧流体が退縮室内で流れる箇所の面積の方が延出室内の面積よりも小さいので、退縮工程の方が速い。その結果、退縮室内の流体の量は、延出室内の同量の流体よりも、ピストンを大きく移動させることになる。通常、退縮時間は延出時間の二倍早い。
【0008】
【特許文献1】米国特許第4,403,431号
【特許文献2】米国特許第4,670,983号
【特許文献3】米国特許第4,897,921号
【特許文献4】米国特許第5,926,958号
【特許文献5】米国特許第5,940,971号
【特許文献6】米国特許出願第10/089,481号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
必要な場合に複動ピストンによって提供される力を犠牲にすることなく、複動ピストンの延出時間をスピードアップできる構造が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、建設又は解体装置に係合および係合解除させて使用される油圧システムに加圧された油圧流体を提供するマニホルドに関する。この油圧システムは、リザーバとポンプと複動ピストンを備えた往復移動油圧シリンダとを備える。この油圧シリンダは延出室と退縮室とを有する。前記マニホルドは、前記油圧シリンダの前記延出室と流体連通可能な延出通路を有するブロックを備えている。この延出通路は延出室ポートと流体供給ポートとを備える。前記マニホルドは、更に、前記油圧シリンダの前記退縮室と流体連通可能な退縮通路を備える。この退縮通路は、退縮室ポートと流体排出ポートとを備える。再生通路が延出通路と退縮通路とを接続しており、この再生通路内のチェック弁は、退縮通路から延出通路への流れを増大させるべく、退縮通路から延出通路への一方向の流れを許容する。
【0011】
本発明は、又、建設又は解体装置に器具アタッチメントを係合および係合解除するために使用される油圧システムに加圧された油圧流体を提供する方法にも関する。前記システムは、リザーバ、ポンプ、及び、延出室と退縮室とを形成して複動ピストンを内部に備えた往復移動油圧シリンダを有する。前記方法は以下の各工程を含む:a)油圧シリンダの延出室と流体連通可能な延出通路を介して延出室に加圧流体を提供する、ここで、延出通路は延出室ポートと流体供給ポートとを備える;b)前記油圧シリンダの前記退縮室と流体連通可能な退縮通路を介して退縮室から流体を排出する、ここで、退縮通路は、退縮室ポートと流体排出ポートとを備える;そしてc)延出通路への流体の流入を増大するために、退縮通路から延出通路への一方向の流れを許容するべく、延出通路と退縮通路とを接続する再生通路を提供する。
【0012】
本発明は、更に、ここに記載のマニホルドを利用した、建設、解体装置に対する器具アタッチメントに使用される油圧作動システムにも関する。
【0013】
以下に記された説明の目的のために、「上方」、「下方」、「右側」、「左側」、「縦」、「横」、「頂部」、「底部」及びこれらの派生語は、図面における向きに関連するものとする。但し、本発明は、特記される場合を除いて、本発明は、その他の種々の改造構成及び工程順序も当然ありうるものと見なすと理解される。更に、添付図面に示され、以下の明細書中に記載されている特定の装置及び方法は、本発明の例示的な実施例に過ぎないものと理解される。従って、特定の寸法及びここに開示される実施例に関連する物理特性は限定的なものと解釈されてはならない。
【0014】
本発明者等は、ピストンロッドの行程の大部分が非常に無負荷又は僅かな負荷で起こるので、油圧シリンダのサイズの如何に拘わらず、複動ピストンを延出させるために必要な圧力は遥かに低いということを発見した。しかしながら、複動ピストンのストロークに沿ったある箇所において、金属片を切断するために、又は、バックホーが大きな障害物を乗り越えるために必要とされる圧力によって負荷が大幅に増加するが、ピストンに対して大きな力を提供するために大きな圧力が必要となるのはその時だけである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】従来技術であり、建設機械の汎用本体に組み込まれる金属剪断機を示す側面図である。
【図2】従来技術であり、複動ピストンを収納する油圧シリンダの側面図である。
【図2A】図2に示したシリンダ及びマニホルドの端面図である。
【図3】従来技術であり、複動ピストンを延出位置に配置するために必要な流体流を示す略図である。
【図4】従来技術であり、複動ピストンを退縮位置に配置するために必要な流体流を示す略図である。
【図5】本発明の再生特徴の助けで複動ピストンを延出位置に配置するための流体流を示す略図である。
【図6】複動ピストンを延出位置に配置する最大の力を付与するための流体流を示す略図である。
【図7】複動ピストンを退縮位置に配置するための流体流を示す略図である。
【図8】本発明によるマニホルドが取り付けられた油圧シリンダの側面図である。
【図8A】図8に示したシリンダおよびマニホルドの端面図である。
【図9】内部に延出する回転ホーンを備えるマニホルドの断面図である。
【図10】本発明によるマニホルドを通って延出する通路の略図である。
【図11】スイベル式アタッチメントの無いマニホルドを備える油圧シリンダの側面図である。
【図11A】図11に示したシリンダ及びマニホルドの端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
従来技術であり、複動ピストン37を延出させるために必要な流体流の概略を示す図3を参照すると、ポンプ60は、リザーバ68内の流体65と流体連通しているポンプ入口62を有する。ポンプ出口64には延出通路70が取り付けられ、これは油圧シリンダ38の延出室75へと続いている。流体が圧送されると、延出室75が満たされ、それによってピストン37を左に移動させ、ピストンロッド36を左に移動させる。同時に、退避室80内の流体が油圧シリンダ38から退縮通路85を通って移動し、リザーバ68へと戻される。典型的な構成では、作業を行っている間、延出通路70内の圧力は約2,500psiであり、これに対して、退縮通路85内の圧力は100psiしかない。従来の典型的なシステムは、高圧を提供可能ではあるが、それを長い時間かけて行うポンプ60を用いていたので、複動ピストン37は作業を行うために十分な力を発生するものの、延出室75を満たすために必要な時間が、退縮室80を満たすために必要の時間の二倍にも及ぶ可能性がある。
【0017】
図4は、従来技術であり、退縮サイクルの流体流の概略を示す。ここでもポンプ60が使用されているが、ここでは、ポンプ出口64は、リザーバ68からの流体65が退縮通路85と退縮室80とに送られて、それによってピストン37とそれに連動するピストンロッド36とを右に移動させるように入れ替えられている。流体は延出通路70を通して排出され、流体はそこからリザーバ68へと戻される。この退縮過程は、通常は、負荷下で行われるものではなく、その結果、必要な圧力は遥かに低いものである。更に、同量の油圧流体に対して、退避室80内の面積は延出室75内の面積よりも小さいので、ピストン37は延出よりも短い時間で退縮する。
【0018】
延出モードでは、ピストンロッド36は、その行程の一部期間でのみ負荷を受けるという認識から、今般、本発明者等は、ピストンロッド36が負荷を受けていない時には、延長室75をより高速で満たし、その後、ピストンロッド36が負荷を受けている時は、必要な高い圧力を、より低い制御された速度で提供するシステムと方法とを提供したことになる。
【0019】
概して、また図5を参考に述べると、上記の目的は、ピストンロッド36が延出される時に退縮室80から排出される流体をルート変更することによって、ピストンロッド36を延出させるための流体を延出室75へ提供する再生サイクルを従来技術のサイクルの中に混入させるように導入することで達成される。この排出流体を、退縮通路85を介して戻すのではなく、該流体を延出通路70へと再び向けることで、延出通路70と退縮通路85の両方から延出室へ流体を提供して室の充填を加速し、その結果、延出室75を充填するための時間を短縮する。
【0020】
ここに記載されているように、一実施例におけるこの装置に関連する前記通路及びハードウエアは、油圧シリンダ38に連動するマニホルド90(図8)内に配置される。以下このマニホルド90に注目しよう。但し、以下の構成はマニホルドの境界内にあるものとして記載されるが、これらのパーツの構成はそれに限定されるものではないと理解される。
【0021】
特に図5は流体流と複動ピストンロッド36の延出に関連するハードウエアの概略を示す。
【0022】
再生を備える延出モードを示した図5を参照すると、前記油圧システムは、リザーバ68と、ポンプ60と、その内部に延出室75と退縮室80とを形成する複動ピストン37を備える往復移動油圧シリンダ38とから構成されている。ここに記載の油圧コンポーネントを収納するマニホルド90(図8)は、油圧シリンダ38の延出室75と流体連通するように構成された延出通路70(図5)を備えたブロック92から構成されている。延出通路70は、延出室ポート95と流体供給ポート97とを有する。マニホルド90の境界を定義する目的で、マニホルド90内のポートを示すべく符号C1,C2,V1及びV2が使用されている。
【0023】
マニホルド90は、更に、油圧シリンダ38の退縮室80と流体連通するように構成された退縮通路85を有する。この退縮通路85は、退縮室ポート87と流体排出ポート89とを備える。その内部にチェック弁105を備える再生通路100が、延出通路70と退縮通路85を接続している。この構成によって、退縮通路85から延出通路75へ流入する流体流を増加させるべく退縮通路85から延出通路70への単一方向の流れが可能となる。換言すると、再生を含む延出サイクル中の延出室75への流体流が、延出通路70と退縮通路85からの流体流と合流される。この増大した流体流は、ピストンロッド36に負荷がない時に、延出室75を満たし、それによってピストンロッド36を延出させるのに必要な時間を大幅に減少する。
【0024】
更に詳しくは、再生通路100内においてチェック弁105と直列に第1ロジック弁110が配置されている。再生(図5)を伴う延出サイクル中に、退縮通路85内の流体が再生通路100を通過するために或る最低限の圧力を必要とするように、チェック弁105は作動のための最低上流圧力を必要とするべくプリロードすることができる。
【0025】
再生サイクルの作動中、流体は、ポンプ60から延出通路70に流入、そして延出室75に流入し、それによって、複動ピストン36を、延出位置に向けて左側に移動させる。
【0026】
更に、制御弁115が、退縮通路85と直列に、かつ、再生通路100と流体排出ポート89との間に配設されている。圧力感知通路170が、延出通路70から制御弁115へと延出している。制御弁115は、通常は開放されており、圧力感知通路170内の圧力が設定点、例えば2,500psiを超えた時に閉じられる。
【0027】
図5に示した再生サイクル中、必要な流体圧は、ピストンロッド36を左側に移動させ、連動する器具を大きな負荷と遭遇するまで進めるのに必要な圧力だけである。
【0028】
例えば、建設又は解体装置における金属剪断機を用いた切断のための典型的な作動圧力は優に2,500psiを超えるものである。しかし、切断直前に剪断機ブレードを延出位置から退縮位置へと移動するために必要な流体圧は2,500psiよりも遥かに小さい。
【0029】
負荷に遭遇しない間は、延出通路70内の圧力は比較的低く、制御弁115は閉じられたままである。その結果、退縮室80から排出された流体は、退縮通路85を通って、再生通路100に流入する。流体圧はチェック弁105のプリロードを克服するのに十分である。第1ロジック弁110は、通常は開放されているので、流体はこの第1ロジック弁110を通って延出通路70に自由に流れ込む。
【0030】
その結果、退縮室80からの流体流の全部が再生通路100を介して方向転換されて直接に延出通路70に戻され、延出室75に、ポンプ60からの直接の流体流と合流された流体流を供給する。
【0031】
前記再生サイクルが続くのはロッド36が負荷に遭遇する迄のみである。この時点でポンプ60は、ポンピングを続け、延出通路70内の圧力は増加する。
【0032】
図6を参照すると、延出通路70内の圧力が制御弁115の設定点圧力を超えて、これが圧力感知通路170を通して制御弁115に伝えられると、制御弁115が開放され、流体がリザーバ68に戻ることが許容される。チェック弁105のプリロードによって、流体が再生通路100を通って流れることが阻止される。制御弁115の開放は再生サイクルの終わりと、パワーサイクルの始まりを示すものである。
【0033】
パワーサイクル中は、延出通路70内の圧力が増大するに従い、制御弁115がより大きく開放し、より多くの流体がリザーバ68に排出されることを許容する。更に、延出通路70からの圧力が再生通路100内で増大してチェック弁105を閉じ状態に維持する。
【0034】
第1ロジック弁110と退縮通路85との間には圧力解放通路120を介して圧力解放弁122が接続されている。ポンプ60が閉じられた時、延出通路70には高圧流体が保持されている。解放弁122は、延出通路70から高圧流体を、圧力解放通路120を介して、退縮通路85へと、そしてリザーバ68内へと逃がす。解放弁122は小さなブリードプラグを備えているので、この解放弁122を介した流体流は小さく、延出通路70内の圧力を緩慢に放散する。
【0035】
その結果、負荷が殆ど無い又は無負荷状態においては、図5に示すように、延出通路70と退縮通路85との両方からの合流された流体流を利用して、ロッド36は迅速に延出される。そのような時にロッド36が負荷に遭遇すると、図6に示すように、延出サイクルはもはや再生を含まず、流体はポンプ60から延出通路70を通って延出室75内へと増大した圧力で直接流れる。
【0036】
図7を参照すると、退縮サイクルにおいては、流体流は実質的に延出サイクルの流体流の逆になる。特に、ポンプ60の出口64が退縮通路85に向けられ、退縮室80が流体で満たされ、それによってピストン37とピストンロッド36とを右側に付勢する。制御弁115は、ポンプ60から退縮室80へ向かう方向の自由な流れを許容する。また、延出室75内の流体は、延出通路70に沿ってリザーバ68に戻るように案内される。退縮通路85の圧力がチェック弁105を不意に開放し、第1ロジック弁110を通過して流れようとした場合は、退縮通路85内の圧力が圧力解放通路120内に及び、解放弁122を閉じ状態に維持し、それによって、第1ロジック弁110を閉じ状態に維持し、流体がこの第1ロジック弁110を通過して延出通路70内に流入することを禁止する。延出室75から延出通路70を通って戻る流体は、第1ロジック弁110が、圧力解放通路120と圧力解放弁122との圧力を介して退縮通路85内の圧力によって閉じ状態に保持されていることから、この第1ロジック弁110に入ることができない。延出通路70を通って移動する流体は次にリザーバ68へ戻る。
【0037】
ここまで、このサイクルを、流路とハードウエアを示す略図を参照して説明してきた。本発明の一つの好適実施例では、油圧シリンダ38、ポンプ60、及びリザーバ68間のハードウエア及び通路は、図8に示すように、油圧シリンダ38に直接連結することが可能な、マニホルド90内に内蔵させることができる。
【0038】
図9は、図8に示したマニホルド90の断面図である。マニホルド90は、内部に延出する孔部135(ボア)を備える非回転ベース130を含み、且つ、中央軸心137を有するスイベル式アタッチメントを備えている。非回転ベース130は例えば金属剪断機の本体に固定されている。孔部135内には、油圧シリンダ38(図8)の後端に固定された回転筒状ホーン(cylindrical horn)140が有る。これによって回転部分を備えたマニホルドが提供される。流体は、ベース130とホーン140との間の流体継手を介して、これらベース130とホーン140との間で連通されることで、同時にこれらベース130とホーン140との間に流体連通状態を保ちながら、ホーン140が中央軸心137周りで回転することを許容する。図9に示すように、そのような流体連通は、ホーン140を通って延出するポート147,152を取り囲む中空環状リング145,150を用いて実施される。孔部135内にはシール156,158,160が陥没形成されて、ホーン140と接触することで、流体が同領域に逃げることを防止する。ホーン140は孔部135に対して回転する。
【0039】
或いは、マニホルド90は、中心軸心を有するスイベル式アタッチメントを収納する孔部135が内部に延設され、孔部135内におけるスイベル式アタッチメントの中央軸心周りでの回転を許容するブロックである。
【0040】
油圧マニホルドがシリンダを作動させ、そのシリンダがマニホルドに対して回転可能である従来技術の構成では、ホースとホース接続部とを使用することが必要であった。図9は、マニホルド90をシリンダ38の回転可能ハウジング39に直接にボルト止めすることを可能にするユニークな構成を示す。従来は、マニホルド90は、ハウジング39に直接接続されず、ホースとホース継手とを介してマニホルド90に接続されていた。
【0041】
図10は、ここに記載されるマニホルド90における通路のレイアウト及び弁の位置を示す。特に、図10に示されるマニホルド90のポートC1,C2,V1,V2の位置は、図5、6及び7にも示されている。簡単に再記すると、図5及び10において、再生を備える延出モードでは、ポンプ60からの流体はマニホルド90のポートV1(図5の流体供給ポート97)に入り、延出通路70を通過し、ポートC1(図5の延出室ポート95)から延出室75に出る。同時に、退縮室80からの流体がポートC2(図5の退縮室ポート87)からマニホルド90に入り、退縮通路85を通って移動し、ここで制御弁115によって阻止され、チェック弁105と第1ロジック弁110とを介して再生通路100内に向けられ、ここで、次に延出通路70に導入される。
【0042】
図10に示すマニホルドのレイアウトは、個々の弁を示していないが、それらの弁のための配設凹部を示している。特に、チェック弁105、第1ロジック弁110、制御弁115及び解放弁122に関連する配設凹部はダッシュ付きの番号105′,110′,115′,122′として示されている。
【0043】
図8及び図9は、筒状ホーン140がその内部で回転することが可能なスイベル構造を有するマニホルド90に関するものであるが、図11に示されるように、パーツ間の相対回転が無いように、マニホルド190を油圧シリンダ38に直接取り付けることも十分に可能である。
【0044】
図5及び図10を参照して、ハードウエアの詳細について以下に説明する。ここに記載した各弁は対応する配設凹部内にフィットするカートリッジ弁である。チェック弁105は、典型的なプリロード型チェック弁である。第1ロジック弁110は圧力によって作動される。制御弁115はオーバセンタ弁(OCV)である。圧力解放弁122は典型的な圧力解放弁である。
【0045】
最後に、本発明は、解体、建設装置の器具アタッチメントに使用される油圧作動システムであって、再び図5を参照すると、流体65で満たされたリザーバ68と、延出室75と退縮室80とを形成し、往復移動する複動ピストン37を内部に備える油圧シリンダ38とを含むシステムに関する。複動ピストン37は、例えば、図1に示されるジョーなどの器具アタッチメントに連結されたロッド36を駆動する。延出室75を加圧してロッド36を延出させるために、そして、退縮室80を加圧してロッド36を退縮させるために、ポンプ60は流体をリザーバ68と油圧シリンダ38の延出室75又は退縮室80との間で移動させる。ここに記載したようなマニホルド90(図8)は、リザーバ68と油圧シリンダ38の両室75,80とに流体接続され、これらの間で流体を割り振る。
【0046】
前記システムは、更に、油圧シリンダ38とポンプ60との間に、筒状ホーン140の非回転ベース130に対する回転を可能にするスイベル式アタッチメント(図9)を備える。更に、そして図11を参照すると、マニホルド190は、油圧シリンダ38に対して回転不能に固定することも可能である。マニホルド190を油圧シリンダ38に直接取り付けることでホースの必要性が無くなる。これによって、一般にホースは油圧システムにおいて脆弱なリンクであるので、接続ジョイントがより少なく、したがって信頼性の高い構成が提供される。
【0047】
以上、好適実施例を参照しながら本発明を説明してきた。上記の詳細説明を読み理解することによって当業者は明らかな改造及び改変構造に想到するであろう。本発明は、そのような改造及び改変構造の全てを含むものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設又は解体装置に器具アタッチメントを係合および係合解除するために使用される油圧システムに加圧油圧流体を提供する方法であって、前記システムは、リザーバと、ポンプと、延出室と退縮室とを形成して、複動ピストンを内部備えた往復移動する油圧シリンダとを備え、前記方法は、以下の工程を含む、
a)前記油圧シリンダの前記延出室と流体連通可能な延出通路を介して前記延出室に加圧流体を提供する、ここで、前記延出通路は、延出室ポートと流体供給ポートとを備える、
b)前記油圧シリンダの前記退縮室と流体連通可能な退縮通路を介して前記退縮室から流体を排出する、ここで、前記退縮通路は、退縮室ポートと流体排出ポートとを備える、および
c)前記延出通路への流体の流入を増大させるべく前記退縮通路から前記延出通路への一方向の流れを許容するために、前記延出通路と前記退縮通路とを接続する再生通路を提供する、そして
d)前記第1弁と前記退縮通路とを接続する圧力解放通路を提供し、この圧力解放通路の内部の圧力解放弁によって、前記延出通路と前記退縮通路との間での圧力均一化を経時的に許容する。
【請求項2】
更に、前記延出通路の流体圧が所定の設定点圧力よりも低い時に、前記延出室が流体によって満たされる時間を短縮するために、前記流体を前記退縮通路から前記再生通路を介して前記延出通路内へと導く工程を有する請求項1の方法。
【請求項3】
更に、前記延出通路の流体圧が前記設定点圧力と等しいかそれよりも高い時に、前記退縮通路を通して前記流体を前記再生通路の除外へと導く工程を有する請求項1の方法。
【請求項4】
単一方向の流れを許容するべく前記延出通路と前記退縮通路とを接続する再生通路を提供する前記工程は、更に、前記再生通路内にチェック弁を提供する工程を含む請求項1の方法。
【請求項5】
建設、解体装置に対する器具アタッチメントに使用される油圧作動システムであって、以下を有する、
a)流体で満たされたリザーバ、
b)延出室と退縮室とを形成して、往復移動する複動ピストンを内部に備える油圧シリンダ、ここで、前記複動ピストンは、ロッドを駆動し、このロッドは器具アタッチメントに連結されている、
c)前記延出室を加圧して前記ロッドを延出させ、前記退縮室を加圧して前記ロッドを退縮させるために、流体を前記油圧ピストンの前記両室と前記リザーバとの間で移動させるポンプ、ここで、これら一方の室が満たされている時、他方の室は空にされている、および
d)前記リザーバと前記油圧シリンダの前記両室とに流体接続されてそれらの間で流体を案内するマニホルド、ここで前記マニホルドは以下を含む、
1)前記油圧シリンダの前記延出室と流体連通可能な延出通路、前記延出通路は、延出室ポートと流体供給ポートとを備える、
2)前記油圧シリンダの前記退縮室と流体連通可能な退縮通路、前記退縮通路は、退縮室ポートと流体排出ポートとを備える、そして
3)前記延出通路と前記退縮通路とを接続する再生通路、前記再生通路には前記延出通路への流れを増大させるべく、前記退縮通路から前記延出通路への一方向の流れを許容するチェック弁が設けられている、そして
4)前記器具アタッチメントと前記ポンプとの間に配置されたスイベル式アタッチメント、該スイベル式アタッチメントは、その内部に延出する孔部と、その内部に固定された回転筒状ホーンとを備える非回転ベースを有し、流体が、前記ベースと前記ホーンとの間の流体継手を介して前記ベースと前記ホーンとの間に流通され、そして前記スイベル式アタッチメントは、前記ホーンがこのホーンの中央軸心周りで回転することを許容する。
【請求項6】
建設又は解体装置に対して着脱して使用される油圧システムに加圧された油圧流体を提供するマニホルドであって、前記油圧システムは、リザーバと、ポンプと、延出室と退縮室とを形成して、複動ピストンを内部に備えた往復移動油圧シリンダとを備え、前記マニホルドに備えられたブロックは以下を有する、
a)前記油圧シリンダの前記延出室と流体連通可能な延出通路、前記延出通路は延出室ポートと流体供給ポートとを備える、
b)前記油圧シリンダの前記退縮室と流体連通可能な退縮通路、前記退縮通路は退縮室ポートと流体排出ポートとを備える、および
c)前記延出通路と前記退縮通路とを接続し、前記退縮通路から前記延出通路への流れを増大させるべく、前記退縮通路から前記延出通路への一方向の流れを許容するチェック弁が組み込まれた再生通路、
d)前記再生通路内において前記チェック弁と直列に配設された第1弁、前記第1弁は、前記退縮通路から前記延出通路に向かう無制限の流れを許容する、
e)前記再生通路と前記流体排出ポートとの間で、前記退縮通路と直列に配設された第2弁、前記第2弁は、所定の設定点圧力又はその設定点圧力以上で選択的に開放され、それ以外では閉鎖される、および
f)前記第1弁と前記退縮通路とを接続する圧力解放通路を有し、前記圧力解放通路の内部に、前記延出通路と前記退縮通路との間の圧力均一化を経時的に許容するための圧力解放弁を備える。
【請求項7】
前記圧力解放弁は前記退縮通路に対して排出する請求項6のマニホルド。
【請求項8】
建設又は解体装置に対して着脱して使用される油圧システムに加圧された油圧流体を提供するマニホルドであって、前記油圧システムは、リザーバと、ポンプと、延出室と退縮室とを形成して、複動ピストンを内部に備えた往復移動油圧シリンダとを備え、前記マニホルドに備えられたブロックは以下を有する、
a)前記油圧シリンダの前記延出室と流体連通可能な延出通路、前記延出通路は延出室ポートと流体供給ポートとを備える、
b)前記油圧シリンダの前記退縮室と流体連通可能な退縮通路、前記退縮通路は退縮室ポートと流体排出ポートとを備える、
c)前記延出通路と前記退縮通路とを接続し、前記退縮通路から前記延出通路への流れを増大させるべく、前記退縮通路から前記延出通路への一方向の流れを許容するチェック弁が組み込まれた再生通路、および
d)前記油圧シリンダはハウジングを有し、前記ブロックは、前記油圧シリンダの前記ハウジングに直接に固定され、同ハウジングに対して面一である。
【請求項9】
建設又は解体装置に対して着脱して使用される油圧システムに加圧された油圧流体を提供するマニホルドであって、前記油圧システムは、リザーバと、ポンプと、延出室と退縮室とを形成して、複動ピストンを内部に備えた往復移動油圧シリンダとを備え、前記マニホルドに備えられたブロックは以下を有する、
a)前記油圧シリンダの前記延出室と流体連通可能な延出通路、前記延出通路は延出室ポートと流体供給ポートとを備える、
b)前記油圧シリンダの前記退縮室と流体連通可能な退縮通路、前記退縮通路は退縮室ポートと流体排出ポートとを備える、
c)前記延出通路と前記退縮通路とを接続し、前記退縮通路から前記延出通路への流れを増大させるべく、前記退縮通路から前記延出通路への一方向の流れを許容するチェック弁が組み込まれた再生通路、および
d)前記チェック弁に対応する通路の方向は、前記弁の近傍の領域において急激に変化する。
【請求項10】
前記ブロックは以下を備える請求項9のマニホルド、
a)更に、前記再生通路内において前記チェック弁と直列に配設された第1弁を含み、前記第1弁は、前記退縮通路から前記延出通路に向かう無制限の流れを許容する、
b)更に、前記退縮通路と直列で、前記再生通路と前記流体排出ポートとの間に位置する第2弁を有し、前記第2弁は、所定の設定点と等しい又はその設定点以上の圧力で選択的に開放され、それ以外では閉鎖される、および
c)前記チェック弁、前記第1弁及び前記制御弁の少なくとも1つに対応する通路の方向は、その該当する弁の近傍の領域において急激に変化する。
【請求項11】
建設又は解体装置に対して着脱して使用される油圧システムに加圧された油圧流体を提供するマニホルドであって、前記油圧システムは、リザーバと、ポンプと、延出室と退縮室とを形成して、複動ピストンを内部に備えた往復移動油圧シリンダとを備え、前記マニホルドに備えられたブロックは以下を有する、
a)前記油圧シリンダの前記延出室と流体連通可能な延出通路、前記延出通路は延出室ポートと流体供給ポートとを備える、
b)前記油圧シリンダの前記退縮室と流体連通可能な退縮通路、前記退縮通路は退縮室ポートと流体排出ポートとを備える、
c)前記延出通路と前記退縮通路とを接続し、前記退縮通路から前記延出通路への流れを増大させるべく、前記退縮通路から前記延出通路への一方向の流れを許容するチェック弁が組み込まれた再生通路、
d)前記再生通路内において前記チェック弁と直列に配設された第1弁、前記第1弁は、前記退縮通路から前記延出通路に向かう無制限の流れを許容する、および
e)前記退縮通路と直列で、前記再生通路と前記流体排出ポートとの間に位置する第2弁、前記第2弁は、所定の設定点と等しい又はその設定点以上の圧力で選択的に開放され、それ以外では閉鎖される。
【請求項12】
建設、解体装置に対する器具アタッチメントに使用される油圧作動システムであって、以下を有する、
a)流体で満たされたリザーバ、
b)延出室と退縮室とを形成して、往復移動する複動ピストンを内部に備える油圧シリンダ、ここで、前記複動ピストンは、ロッドを駆動し、このロッドは器具アタッチメントに連結されている、
c)前記延出室を加圧して前記ロッドを延出させ、前記退縮室を加圧して前記ロッドを退縮させるために、流体を前記油圧ピストンの前記両室と前記リザーバとの間で移動させるポンプ、ここで、これら一方の室が満たされている時、他方の室は空にされている、および
d)前記リザーバと前記油圧シリンダの前記両室とに流体接続されてそれらの間で流体を案内するマニホルド、ここで前記マニホルドは、前記器具アタッチメントに直接に固定され、同器具アタッチメントに対して面一であり、前記器具アタッチメントとの相対回転を許容せず、前記マニホルドは以下を含む、
1)前記油圧シリンダの前記延出室と流体連通可能な延出通路、前記延出通路は、延出室ポートと流体供給ポートとを備える、
2)前記油圧シリンダの前記退縮室と流体連通可能な退縮通路、前記退縮通路は、退縮室ポートと流体排出ポートとを備える、および
3)前記延出通路と前記退縮通路とを接続する再生通路、前記再生通路には前記延出通路への流れを増大させるべく、前記退縮通路から前記延出通路への一方向の流れを許容するチェック弁が設けられている。
【請求項1】
建設又は解体装置に器具アタッチメントを係合および係合解除するために使用される油圧システムに加圧油圧流体を提供する方法であって、前記システムは、リザーバと、ポンプと、延出室と退縮室とを形成して、複動ピストンを内部備えた往復移動する油圧シリンダとを備え、前記方法は、以下の工程を含む、
a)前記油圧シリンダの前記延出室と流体連通可能な延出通路を介して前記延出室に加圧流体を提供する、ここで、前記延出通路は、延出室ポートと流体供給ポートとを備える、
b)前記油圧シリンダの前記退縮室と流体連通可能な退縮通路を介して前記退縮室から流体を排出する、ここで、前記退縮通路は、退縮室ポートと流体排出ポートとを備える、および
c)前記延出通路への流体の流入を増大させるべく前記退縮通路から前記延出通路への一方向の流れを許容するために、前記延出通路と前記退縮通路とを接続する再生通路を提供する、そして
d)前記第1弁と前記退縮通路とを接続する圧力解放通路を提供し、この圧力解放通路の内部の圧力解放弁によって、前記延出通路と前記退縮通路との間での圧力均一化を経時的に許容する。
【請求項2】
更に、前記延出通路の流体圧が所定の設定点圧力よりも低い時に、前記延出室が流体によって満たされる時間を短縮するために、前記流体を前記退縮通路から前記再生通路を介して前記延出通路内へと導く工程を有する請求項1の方法。
【請求項3】
更に、前記延出通路の流体圧が前記設定点圧力と等しいかそれよりも高い時に、前記退縮通路を通して前記流体を前記再生通路の除外へと導く工程を有する請求項1の方法。
【請求項4】
単一方向の流れを許容するべく前記延出通路と前記退縮通路とを接続する再生通路を提供する前記工程は、更に、前記再生通路内にチェック弁を提供する工程を含む請求項1の方法。
【請求項5】
建設、解体装置に対する器具アタッチメントに使用される油圧作動システムであって、以下を有する、
a)流体で満たされたリザーバ、
b)延出室と退縮室とを形成して、往復移動する複動ピストンを内部に備える油圧シリンダ、ここで、前記複動ピストンは、ロッドを駆動し、このロッドは器具アタッチメントに連結されている、
c)前記延出室を加圧して前記ロッドを延出させ、前記退縮室を加圧して前記ロッドを退縮させるために、流体を前記油圧ピストンの前記両室と前記リザーバとの間で移動させるポンプ、ここで、これら一方の室が満たされている時、他方の室は空にされている、および
d)前記リザーバと前記油圧シリンダの前記両室とに流体接続されてそれらの間で流体を案内するマニホルド、ここで前記マニホルドは以下を含む、
1)前記油圧シリンダの前記延出室と流体連通可能な延出通路、前記延出通路は、延出室ポートと流体供給ポートとを備える、
2)前記油圧シリンダの前記退縮室と流体連通可能な退縮通路、前記退縮通路は、退縮室ポートと流体排出ポートとを備える、そして
3)前記延出通路と前記退縮通路とを接続する再生通路、前記再生通路には前記延出通路への流れを増大させるべく、前記退縮通路から前記延出通路への一方向の流れを許容するチェック弁が設けられている、そして
4)前記器具アタッチメントと前記ポンプとの間に配置されたスイベル式アタッチメント、該スイベル式アタッチメントは、その内部に延出する孔部と、その内部に固定された回転筒状ホーンとを備える非回転ベースを有し、流体が、前記ベースと前記ホーンとの間の流体継手を介して前記ベースと前記ホーンとの間に流通され、そして前記スイベル式アタッチメントは、前記ホーンがこのホーンの中央軸心周りで回転することを許容する。
【請求項6】
建設又は解体装置に対して着脱して使用される油圧システムに加圧された油圧流体を提供するマニホルドであって、前記油圧システムは、リザーバと、ポンプと、延出室と退縮室とを形成して、複動ピストンを内部に備えた往復移動油圧シリンダとを備え、前記マニホルドに備えられたブロックは以下を有する、
a)前記油圧シリンダの前記延出室と流体連通可能な延出通路、前記延出通路は延出室ポートと流体供給ポートとを備える、
b)前記油圧シリンダの前記退縮室と流体連通可能な退縮通路、前記退縮通路は退縮室ポートと流体排出ポートとを備える、および
c)前記延出通路と前記退縮通路とを接続し、前記退縮通路から前記延出通路への流れを増大させるべく、前記退縮通路から前記延出通路への一方向の流れを許容するチェック弁が組み込まれた再生通路、
d)前記再生通路内において前記チェック弁と直列に配設された第1弁、前記第1弁は、前記退縮通路から前記延出通路に向かう無制限の流れを許容する、
e)前記再生通路と前記流体排出ポートとの間で、前記退縮通路と直列に配設された第2弁、前記第2弁は、所定の設定点圧力又はその設定点圧力以上で選択的に開放され、それ以外では閉鎖される、および
f)前記第1弁と前記退縮通路とを接続する圧力解放通路を有し、前記圧力解放通路の内部に、前記延出通路と前記退縮通路との間の圧力均一化を経時的に許容するための圧力解放弁を備える。
【請求項7】
前記圧力解放弁は前記退縮通路に対して排出する請求項6のマニホルド。
【請求項8】
建設又は解体装置に対して着脱して使用される油圧システムに加圧された油圧流体を提供するマニホルドであって、前記油圧システムは、リザーバと、ポンプと、延出室と退縮室とを形成して、複動ピストンを内部に備えた往復移動油圧シリンダとを備え、前記マニホルドに備えられたブロックは以下を有する、
a)前記油圧シリンダの前記延出室と流体連通可能な延出通路、前記延出通路は延出室ポートと流体供給ポートとを備える、
b)前記油圧シリンダの前記退縮室と流体連通可能な退縮通路、前記退縮通路は退縮室ポートと流体排出ポートとを備える、
c)前記延出通路と前記退縮通路とを接続し、前記退縮通路から前記延出通路への流れを増大させるべく、前記退縮通路から前記延出通路への一方向の流れを許容するチェック弁が組み込まれた再生通路、および
d)前記油圧シリンダはハウジングを有し、前記ブロックは、前記油圧シリンダの前記ハウジングに直接に固定され、同ハウジングに対して面一である。
【請求項9】
建設又は解体装置に対して着脱して使用される油圧システムに加圧された油圧流体を提供するマニホルドであって、前記油圧システムは、リザーバと、ポンプと、延出室と退縮室とを形成して、複動ピストンを内部に備えた往復移動油圧シリンダとを備え、前記マニホルドに備えられたブロックは以下を有する、
a)前記油圧シリンダの前記延出室と流体連通可能な延出通路、前記延出通路は延出室ポートと流体供給ポートとを備える、
b)前記油圧シリンダの前記退縮室と流体連通可能な退縮通路、前記退縮通路は退縮室ポートと流体排出ポートとを備える、
c)前記延出通路と前記退縮通路とを接続し、前記退縮通路から前記延出通路への流れを増大させるべく、前記退縮通路から前記延出通路への一方向の流れを許容するチェック弁が組み込まれた再生通路、および
d)前記チェック弁に対応する通路の方向は、前記弁の近傍の領域において急激に変化する。
【請求項10】
前記ブロックは以下を備える請求項9のマニホルド、
a)更に、前記再生通路内において前記チェック弁と直列に配設された第1弁を含み、前記第1弁は、前記退縮通路から前記延出通路に向かう無制限の流れを許容する、
b)更に、前記退縮通路と直列で、前記再生通路と前記流体排出ポートとの間に位置する第2弁を有し、前記第2弁は、所定の設定点と等しい又はその設定点以上の圧力で選択的に開放され、それ以外では閉鎖される、および
c)前記チェック弁、前記第1弁及び前記制御弁の少なくとも1つに対応する通路の方向は、その該当する弁の近傍の領域において急激に変化する。
【請求項11】
建設又は解体装置に対して着脱して使用される油圧システムに加圧された油圧流体を提供するマニホルドであって、前記油圧システムは、リザーバと、ポンプと、延出室と退縮室とを形成して、複動ピストンを内部に備えた往復移動油圧シリンダとを備え、前記マニホルドに備えられたブロックは以下を有する、
a)前記油圧シリンダの前記延出室と流体連通可能な延出通路、前記延出通路は延出室ポートと流体供給ポートとを備える、
b)前記油圧シリンダの前記退縮室と流体連通可能な退縮通路、前記退縮通路は退縮室ポートと流体排出ポートとを備える、
c)前記延出通路と前記退縮通路とを接続し、前記退縮通路から前記延出通路への流れを増大させるべく、前記退縮通路から前記延出通路への一方向の流れを許容するチェック弁が組み込まれた再生通路、
d)前記再生通路内において前記チェック弁と直列に配設された第1弁、前記第1弁は、前記退縮通路から前記延出通路に向かう無制限の流れを許容する、および
e)前記退縮通路と直列で、前記再生通路と前記流体排出ポートとの間に位置する第2弁、前記第2弁は、所定の設定点と等しい又はその設定点以上の圧力で選択的に開放され、それ以外では閉鎖される。
【請求項12】
建設、解体装置に対する器具アタッチメントに使用される油圧作動システムであって、以下を有する、
a)流体で満たされたリザーバ、
b)延出室と退縮室とを形成して、往復移動する複動ピストンを内部に備える油圧シリンダ、ここで、前記複動ピストンは、ロッドを駆動し、このロッドは器具アタッチメントに連結されている、
c)前記延出室を加圧して前記ロッドを延出させ、前記退縮室を加圧して前記ロッドを退縮させるために、流体を前記油圧ピストンの前記両室と前記リザーバとの間で移動させるポンプ、ここで、これら一方の室が満たされている時、他方の室は空にされている、および
d)前記リザーバと前記油圧シリンダの前記両室とに流体接続されてそれらの間で流体を案内するマニホルド、ここで前記マニホルドは、前記器具アタッチメントに直接に固定され、同器具アタッチメントに対して面一であり、前記器具アタッチメントとの相対回転を許容せず、前記マニホルドは以下を含む、
1)前記油圧シリンダの前記延出室と流体連通可能な延出通路、前記延出通路は、延出室ポートと流体供給ポートとを備える、
2)前記油圧シリンダの前記退縮室と流体連通可能な退縮通路、前記退縮通路は、退縮室ポートと流体排出ポートとを備える、および
3)前記延出通路と前記退縮通路とを接続する再生通路、前記再生通路には前記延出通路への流れを増大させるべく、前記退縮通路から前記延出通路への一方向の流れを許容するチェック弁が設けられている。
【図1】
【図2】
【図2A】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図8A】
【図9】
【図10】
【図11】
【図11A】
【図2】
【図2A】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図8A】
【図9】
【図10】
【図11】
【図11A】
【公開番号】特開2011−237037(P2011−237037A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−150215(P2011−150215)
【出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【分割の表示】特願2007−519427(P2007−519427)の分割
【原出願日】平成17年6月29日(2005.6.29)
【出願人】(502132623)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【分割の表示】特願2007−519427(P2007−519427)の分割
【原出願日】平成17年6月29日(2005.6.29)
【出願人】(502132623)
【Fターム(参考)】
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