説明

油圧シリンダ装置

【課題】大型化を抑えてコンパクトな構成としながらも、従来よりも低い動力で高推力が得られ、二速動作が可能な一体ユニット構造の油圧シリンダ装置を提供する。
【解決手段】支持基台上に固定される中空円筒状シリンダ本体2の外周領域に電動油圧ポンプ12、タンク15、電磁切換弁11を配置し、シリンダ本体2の外周面に形成された油圧室内に、互いに別体の円筒状の第1ピストン8と、第1ピストン8よりも受圧面積が大きい円筒状の第2ピストン9とを配置し、第1ピストン8が第2ピストン9を予め定められた下方位置まで押し下げたときに第2ピストン9に油圧ポンプ12からの作動油圧力が作用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動油圧ポンプと作動油タンク及びピストンシリンダ装置並びに油圧バルブ等を一体ユニット構造に組み立てた油圧シリンダ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の一体ユニット構造の油圧シリンダ装置は、自身の電動油圧ポンプから吐出される圧油によって伸長駆動されるピストンによりバネ力に対向して負荷に荷重を作用させる用途に用いられており、外部油圧源及びそれとの油圧配管が不要で小型化できる利点から、各種の産業機械向けの油圧アクチュエータとして広く利用されている。
【0003】
例えば特開2007−064237号公報(特許文献1)には、片ロッド形油圧シリンダのヘッド側カバーに油圧ポンプとその駆動電動機とを油圧シリンダの軸心と同軸に一列に装備した一体形油圧シリンダが記載されている。
【0004】
しかしながら、このような一体形油圧シリンダでは、油圧シリンダとポンプ及び電動機が軸心上に一列に配列されているので全長が長く、用途によっては装着機械の制限寸法、例えば全長又は全高の範囲内に収まらない場合が生じる。
【0005】
また、この一体形油圧シリンダは高速低推力と低速高推力の二速動作が可能であるが、その切換のためには、ピストンの進退切換のための方向切換弁の他に、高速低推力動作のためのロッド内部油圧室と低速高推力動作のためのヘッド側油圧室への圧油の供給を切り換える電磁切換弁が必要であり、小型化の利点を損なうだけでなく、電磁切換弁の作動に伴う油圧ショックがピストンに現れる結果となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−064237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、電動油圧ポンプと作動油タンク及びピストンシリンダ装置並びに油圧バルブ等を一体ユニット構造に組み立てた油圧シリンダ装置における利点を損なうことなく活用でき、特にピストン推力の作用する装置軸心方向の全長又は全高寸法を極力抑制して装着対象機械の制限寸法に容易に適応できるコンパクトな構成とすると共に、二速動作も余分な電磁弁を要することなく油圧ショックの少ない円滑な二速切り換えができ、ポンプ動力を有効に利用して効率的な推力発生を可能とする一体ユニット構造の油圧シリンダ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る油圧シリンダ装置は、装着対象機械側の支持基台に固定される中空円筒状のケーシングと、該ケーシングの円筒内面との間にヘッド側端面で閉鎖された油圧室を形成するように前記ケーシングの円筒内に同軸状に固定配置された段付き外周面を有する中空円筒状のシリンダ本体と、該シリンダ本体を囲む外周領域において前記ケーシングにそれぞれ配置された油圧ポンプ、該油圧ポンプを駆動する電動機、作動油タンク、及び前記油圧ポンプから吐出される作動油と前記作動油タンクへ還流する作動油との前記油圧室に対する流れの向きを切り換える電磁切換弁とを備え、
前記ケーシングの円筒内面と前記シリンダ本体の段付き外周面との間には、前記ヘッド側端面寄りに円環状横断面形状の第1油圧室と、該第1油圧室よりも前記ヘッド側端面から遠い位置に前記第1油圧室よりも大面積の円環状横断面形状の第2油圧室が形成され、
前記第1油圧室には、該第1油圧室に作用する作動油の圧力を受けて前記ヘッド側端面から離れる方向へスライド移動する円筒状の第1ピストンが配置され、
前記第2油圧室には、前記第1ピストンよりも受圧面積が大きく、該第2油圧室に作用する作動油の圧力を受けて前記ヘッド側端面から離れる方向へスライド移動する円筒状の第2ピストンが配置され、
前記第1ピストンは、前記第1油圧室内に導入される作動油の圧力によりスライド移動したときに第2ピストンと衝合して該第2ピストンを押圧移動可能であり、
前記ケーシング内には、前記油圧ポンプから供給される作動油を前記第1油圧室内へ導く第1の通路と、該第1の通路から分岐して、前記第1ピストンが第2ピストンを予め定められた位置まで押圧移動させたときに前記第2油圧室と連通する第2の通路とが設けられていることを特徴とする。
【0009】
本発明の好適な実施形態に係る油圧シリンダ装置は、前記第2油圧室の容積が増加したときのみ前記作動油タンクから前記第2油圧室への作動油の流入を許容する第1チェック弁を更に備えている。また、本発明の更に好適な実施形態に係る油圧シリンダ装置は、前記第2ピストンが前記ヘッド側端面へ近づく方向へ移動して前記第2油圧室の容積が減少したときのみ前記第2油圧室から前記作動油タンクへの作動油の流出を許容する第2チェック弁を更に備えている。
【0010】
本発明の更に別の好適な実施形態に係る油圧シリンダ装置では、前記シリンダ本体の中空円筒内に、上端部が常に前記シリンダ本体の上端面から突出するロッドが挿入配置されて前記第2ピストンに固定され、該ロッドには液体を流通可能な貫通流路が軸心方向に形成され、該貫通流路の上面開口を塞ぐ蓋部材が前記ロッドの上端部に着脱可能とされている。
【0011】
本発明による油圧シリンダ装置では、シリンダ本体及びピストンを除く駆動系、即ち、油圧ポンプとその駆動電動機及び作動油タンク並びに電磁切換弁を円筒状ケーシングのシリンダ本体を囲む外周領域に適宜分散配置できるため、シリンダ本体の端部にこれら駆動系が積み重なるように搭載された従来の一体形油圧シリンダに比べて、シリンダ本体の径平方向に若干の占有空間の増加が生じるだけで装置全体の軸方向の占有空間が大幅に減少し、油圧ポンプとシリンダ間の距離も短くなるだけでなく、外部油圧源との接続配管も不要であるので、一体ユニット構造の油圧シリンダ装置における本来の利点を損なうことなく活用でき、更なる油圧シリンダ装置の小型化と動力効率の向上が可能となる。これによって、例えば縦型工作機械に装着する場合でも、その高さ方向の制限寸法範囲内に収めた装着が可能である。
【0012】
さらに、シリンダ本体は中空円筒形状であるため、その円筒内にピストンで移動させる負荷ロッドを貫通配置させることができ、これもまた装着対象機械の全高寸法を増加させない手段として有効である。この場合、ピストンは、互いに別体でシリンダ軸方向に沿って上下に配置された上側の円筒状第1ピストンと、第1ピストンよりも受圧面積が大きく前記ロッドに連結されている下側の円筒状第2ピストンで構成でき、第1ピストンは、該ピストン上方の第1油圧室内に導入される油圧ポンプからの油圧により下方へスライド移動すると同時に第2ピストンを押し下げて第2ピストン上面の受圧部を第2油圧室内に露呈させる。ケーシング内には、油圧ポンプから供給される作動油を第1油圧室内へ導く第1の通路と、該第1の通路から分岐して第1ピストンが第2ピストンを予め定められた下方位置まで押し下げたときに前記第2油圧室と連通する第2の通路とが設けられる。
【0013】
即ち、本発明による油圧シリンダ本体は、第1ピストンと第2ピストンの互いに分離した2つのピストンからなる二段ピストン構造を有するものであり、油圧ポンプを始動して作動油を第1の通路から第1油圧室内へ供給すると、まず第1段階の高速低推力動作として相対的に受圧面積の小さい第1ピストンが油圧によりシリンダ本体に対して下方へスライド移動すると共に下側に配置された第2ピストンを押し下げ、以て第2ピストンの受圧面を第2油圧室に徐々に露呈させながら第2ピストンに連結されたロッドを下方へ押圧移動させることができ、さらに、第1及び第2ピストンが予め定められた下方位置に達すると、第1の通路から分岐された第2の通路が第2の油圧室に徐々に連通しはじめて第2油圧室への作動油の供給が開始されることにより、それ以降は、第2段階の低速高推力動作として相対的に受圧面積の大きい第2ピストンが油圧により直接的に下方へ押し下げられる。よって、この第2ピストンの移動時には、油圧ポンプからの供給圧力が同じでも、ロッドに作用する対象物への押圧力としては第1ピストンのみに油圧が作用する場合よりも高い推力を得ることができる。
【0014】
従って、例えば縦型工作機械の回転主軸の下端に配置されたコレットチャックのアンクランプ用引き棒にロッドが連結されていれば、比較的低荷重で済む引き棒の初期押し下げストローク範囲のロッド移動には第1段階の第1ピストンのみによる高速低推力駆動で対応でき、次いで比較的高荷重を必要とする引き棒の最終押し込みストローク範囲のロッド移動には第2段階の主に第2ピストンによる低速高推力駆動で対応でき、しかもこれら高速低推力と低速高推力との切り換えは電磁弁による供給圧力の切り換えによらずに第1ピストン及び第2ピストンの変位による油圧室への通路開口の円滑な開度変化で可能であるため、高速低推力から低速高推力への切換動作を油圧ショック無しに円滑に行えると共にポンプ動力の無駄も生じることが無く、比較的小形の電動油圧ポンプで高推力に対応可能な二速動作を実現可能である。
【0015】
本発明によれば、第1段階の高速低推力動作と第2段階の低速高推力動作の切り換えは第1ピストン及び第2ピストンの移動による第2油圧室への通路(第2の通路)の開口の開閉によっている。この場合、第1油圧室への作動油の供給により第1ピストンと第2ピストンが前進移動するときは第2油圧室の容積が増加し、両ピストンが逆方向へ復帰移動するときは第2油圧室の容積が減少する。この第2油圧室の容積の増減に対処するには、第2油圧室を作動油タンクへ通じる通路に接続し、第1段階から第2段階への切り換え位置で第2油圧室へポンプ吐出圧を導くと同時にタンク通路との接続を遮断する通路開口構造にすることで対処可能であるが、加工精度を充分易厳密に管理しないと切り換えがゼロラップで行えないことがあり、その結果、切換位置近傍で第2油圧室が負圧となり、ピストンの移動が瞬間的に停止する不感帯がストローク中に生じ、この不感帯の発生により全ストローク時間も長くなる。これを回避するため、本発明の好適な実施形態に係る油圧シリンダ装置は、前記第2油圧室の容積が増加したときのみ前記作動油タンクから前記第2油圧室への作動油の流入を許容する第1チェック弁を更に備えているので、第1段階から第2段階への移行中に第2油圧室の容積が増加しても第1チェック弁を介して作動油タンクから作動油を吸引して第2油圧室が負圧になることを防止でき、その結果、第2油圧室内の負圧によるストロークの不感帯の発生が回避され、この不感帯による全ストローク時間の遅れも回避される。従って、ストロークの不感帯の存在による全ストローク時間の遅れをポンプ吐出容量の増加で補う必要はなく、従来と同等のストローク時間を従来よりも少ないポンプ吐出容量で達成することができ、その分だけ電動油圧ポンプを低動力小形仕様のものとすることが可能である。このように第1チェック弁を設けることによってストロークの不感帯の発生が防止されるので、第2油圧室に対する通路の開口位置精度を従来よりもラフにしてもよく、各関連部品の加工精度を厳密に管理する必要がなくなる利点も得られる。この第1チェック弁は、例えば第2ピストンを前進ストローク端側で圧力保持する場合にピストン摺動間隙からの漏れによる第2油圧室の圧力低下を防止する機能も果すことができる。
【0016】
本発明の好適な実施形態に係る油圧シリンダ装置は、前記第2ピストンが前記ヘッド側端面へ近づく方向へ復帰移動して前記第2油圧室の容積が減少したときのみ前記第2油圧室から前記作動油タンクへの作動油の流出を許容する第2チェック弁を更に備えることができ、この場合は、第2ピストンが前進ストローク端側からばね力や油圧でヘッド側端面へ近づく方向へ復帰移動したときに第2油圧室から第2チェック弁を介して作動油がタンクへ排出されるので第2油圧室の容積減少に支障は生じることがなく、第2油圧室内の過剰な圧力上昇によって第2油圧室内に不必要な負荷がかかることはない。
【0017】
なお、第1ピストンと第2ピストンとの受圧面は、それぞれ円筒状ピストンであることから円環状であり、その受圧面積は、各ピストンを構成する円筒状部材の厚み寸法で設定される。これは油圧室内の封止方向(半径方向)の距離に相当し、シリンダ本体の段付き外周面の形状もこれに対応して設定される。
【0018】
本発明の油圧シリンダ装置におけるシリンダ本体は中空円筒形状のものであり、その円筒内には第2ピストンと連結された負荷ロッドを貫通配置することができる。このロッドは、軸心方向に貫通流路を形成する中空ロッドとしてもよく、この中空ロッドを例えば縦型工作機械の回転主軸内に同軸状に挿入配置すれば、中空ロッド内の貫通流路を切削油の供給通路として利用することも可能である。
【0019】
この場合、不使用時の貫通流路への異物の混入を避けるため、任意にロッドの貫通流路の上面開口を塞ぐことができる構成とするのが望ましい。この場合は、ピストンの移動範囲に亘ってロッドの上端部が常にシリンダ本体の上端面から突出するようにロッド長さ寸法をとり、この突出部分に貫通流路の上面開口を塞ぐ蓋部材を着脱可能に装着するための嵌合部を設けておくことが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明による油圧シリンダ装置では、支持基台上に固定される中空円筒状のケーシングのシリンダ本体を囲む外周領域に電動機と油圧ポンプと油タンクと電磁切換弁とを配置したので、例えばシリンダ軸心を縦向きにして装着対象機械に取り付ける場合、水平方向には若干の占有空間の増加が生じるのに対して、これらがシリンダ本体の軸心方向に重ねて配列された従来技術のものよりも高さ方向の占有空間は大幅に減少し、また外部油圧源との配管部材も不要であるため油圧シリンダ装置の小型化が可能となり、結果として油圧シリンダ装置が搭載される例えば縦型工作機械においても装置設計の小型化が実現できるという効果がある。
【0021】
さらに、本発明の油圧シリンダ装置においては、シリンダ本体に対して負荷に荷重を作用させるためのピストン部が互いに別体の円筒状の第1ピストン及び第2ピストンからなり、負荷に連結固定される第2ピストンは、第1段階で第1ピストンにのみ油圧が作用した後に、第2段階で第1ピストンより大きな受圧面積で油圧の作用を受け、従ってこのような二段ピストン構造を備えていることにより、負荷に必要な荷重が比較的低荷重の場合は第1ピストンにより第1段階の高速低推力の動作に対応させ、必要な荷重が比較的高荷重の場合は主に第2ピストンにより第2段階の低速高推力の動作に対応させ、しかもその切り換えは電磁弁によらずに第1ピストン及び第2ピストンの変位による油圧室への通路開口の円滑な開度変化で可能であるため、高速低推力から低速高推力への切換動作を油圧ショック無しに円滑に行えると共に、ポンプ動力の無駄も生じることが無く、比較的小形の電動油圧ポンプで高推力に対応可能な二速動作を実現可能である。
【0022】
本発明の特徴と利点を図示の好適な実施形態と共に詳述すれば以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係る油圧シリンダ装置の概略構成を示す正面視の縦断面図である。
【図2】図1の油圧シリンダ装置を上方から見た概略平面図である。
【図3】図1の油圧シリンダ装置の作動状態を示す部分縦断面図であり、(a)(b)はそれぞれの過程を示す状態図である。
【図4】本発明の油圧シリンダ装置を縦型工作機械の回転主軸におけるコレットチャックのアンクランプに用いた場合のピストンのストローク距離(横軸:mm)に対する荷重(縦軸:N)の変化の一例を示す線図である。
【図5】第1チェック弁と第2チェック弁を設けていない場合のシリンダストローク及びピストン圧力の経時変化の一例を示す線図である。
【図6】第1チェック弁と第2チェック弁を設けた場合のシリンダストローク及びピストン圧力の経時変化の一例を示す線図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の一実施形態として、油圧ポンプにピストンポンプを採用した油圧シリンダ装置を図1〜図3に示す。図1は本実施形態による油圧シリンダ装置の概略構成を示す正面視の縦断面図、図2は図1の油圧シリンダ装置を上方から見た概略平面図、図3は図1のシリンダ本体内におけるピストンの作動状態を主な段階について模式的に示す部分縦断面図であり、(a)(b)は、それぞれシリンダ本体の中心軸を境界として紙面左右で異なる過程を示し、(a)の紙面に向かって左側が図4におけるB点、右側がC点、(b)の紙面に向かって左側が図4におけるD点、右側がE点の状態を示している。
【0025】
油圧シリンダ装置1は、その中心軸が鉛直方向に沿うように複数の固定軸30を介して支持基台31に固定された略円筒状のケーシング10を備え、このケーシング10に、該ケーシングの円筒内面との間にヘッド側端面で閉鎖された油圧室6を形成するように前記ケーシングの円筒内に同軸状に固定配置された段付き外周面を有する中空円筒状のシリンダ本体2と、モータ14と、モータ14の回転軸にシャフト13で連結されたピストンポンプ12と、作動油タンク15と、ポンプ12から吐出される作動油とタンク15へ還流する作動油との前記油圧室に対する流れの向きを切り換える電磁切換弁11とが一体ユニット構造で配置されている。
【0026】
このシリンダ本体2の周りを同心円状に囲むケーシング10は鋳造部品であり、その内部には、ピストンポンプ12とシリンダ本体2内の前記油圧室6との間で作動油の給排を行うための通路(21、22、23、27)が図3に添画した油圧回路20に応じて設けられている。モータ14、ピストンポンプ12および作動油タンク15は、図2に示すように、ケーシング10から、シリンダ本体2に対して半径方向(水平方向)外側に延在する領域に装備されている。尚、図3に添画した油圧回路20は、図1及び図2に示したモータ14で駆動されるピストンポンプ12、作動油タンク15、電磁切換弁11、電磁切換弁11とケーシング10内の通路21及び23との間に接続されたパイロット操作チェック弁16A及び16Bを含む各油圧要素の回路構成を油圧シンボルで示しており、電磁切換弁11は、そのソレノイドを励磁してON状態にするとP−B流れでBポートにポンプ吐出圧油を導くと共にA−T流れでAポートからの戻り油をタンク15へ還流させ、ソレノイドの励磁を絶ってOFF状態にするとバネ復帰してP−A流れでAポートにポンプ吐出圧油を導くと共にB−T流れでBポートからの戻り油をタンク15へ還流させる。第1の通路21に接続されたBポートには圧力センサが設けられ、このセンサの出力信号がピストン8、9に作用する作動油圧力の監視或いは電動機の出力制御に利用可能となっている。
【0027】
シリンダ本体2の段付き外周面とケーシング10の円筒内面との間に形成される油圧室6は、動作上は図3に示すように前記ヘッド側端面寄りに位置する円環状横断面形状の第1油圧室24と、該第1油圧室よりも前記ヘッド側端面から遠い位置でシリンダ本体2の段付き外周面の小径部により前記第1油圧室よりも大なる横断面積に形成された円環状横断面形状の第2油圧室25からなり、第1油圧室24には該第1油圧室に作用する作動油の圧力を受けて前記ヘッド側端面から離れる方向へスライド移動する円筒状の第1ピストン8が配置され、第2油圧室25には前記第1ピストン24よりも受圧面積が大きく、第2油圧室25に作用する作動油の圧力を受けて前記ヘッド側端面から離れる方向へスライド移動する円筒状の第2ピストン9が配置されている。
【0028】
シリンダ本体2には、その円筒内部に中空形状のロッド3が鉛直軸方向に摺動可能に同軸配置され、このロッド3の外周面は、スリーブ7を介して第2ピストン9が固定的に連結され、第2ピストン9のスライド移動に伴ってロッド3が一体的に移動するようになっている。
【0029】
これら第1ピストン8と第2ピストン9は、それぞれ異なる肉厚の円筒状部材からなる別体のピストンであり、各円筒状部材の上端面が受圧面(8X、9X)となり、それぞれの上から見た投影面積がそれぞれの受圧面積に相当する。本実施形態において、第2ピストン9は第1ピストン8よりも大きい受圧面積を有する。即ち、第2ピストン9の円筒の肉厚が第1ピストン8の肉厚り大きく、これは、これら第1ピストン8と第2ピストン9が配置されている油圧室24、25がシリンダ本体軸方向に沿って段付き外周面の外形変化に対応していることを意味する。
【0030】
即ち、図1に示す油圧室6の内部空間には、図3に示すように第1ピストン8が配置されて第1ピストン8の受圧面8Xが露呈する第1油圧室24が第1ピストン8の上方に形成され、また、第1ピストン8の下方で第2ピストン9が配置されて第2ピストン9の受圧面9Xが露呈する第2油圧室25が第2ピストン9の上方の第1ピストン8との隣接領域に形成されている。従って、ピストンポンプ12からの圧油が第1油圧室24内に導入されると、その油圧により第1ピストン8が下方へスライド移動すると同時に第2ピストン9と衝合してこれを押し下げ、これに伴って第2油圧室25の容積が増加する。また、第2ピストン9の下端部には、第2油圧室25に対向する第3油圧室26が形成されており、この第3油圧室26に圧油が導入されると、第2ピストン9、従ってそれと衝合する第1ピストンも押し上げられる。
【0031】
一方、本実施形態において、図3に添画した油圧回路20に対応して、ケーシング10内には、電磁切換弁11の切り換えに応じて、ピストンポンプ12又は油タンク15を、それぞれ第1油圧室24に接続するようにBポートに接続された第1の通路21と、それぞれ第3油圧室26に接続するようにAポートに接続された第4の通路23とが設けられており、更に第1の通路21から分岐して、第1ピストン8が第2ピストン9を予め定められた下方位置まで押し下げたときに第2油圧室25と連通する第2の通路22が設けられている。この第2の通路22は、第1段階から第2段階への切り換え時に第1の通路21から第2油圧室25へポンプ吐出圧を導くために第2ピストン9の移動により開かれるように第2油圧室25に開口している。
【0032】
従って、第2の通路22から第2油圧室25内へ作動油が供給されて受圧面9Xに油圧が作用すると、第2ピストン9が下方へスライド移動して直接的にロッド3を前進移動させる。このとき、第1油圧室24への作動油の導入は続くため、第1ピストン8も第2ピストン9に追従するように下方へスライド移動する。この第2ピストン9は受圧面積が第1ピストンより大きいため、同じ供給圧力でも第1ピストン8のみに油圧をかけて得られる推力よりも高い推力を得ることができる。このようにして、本実施形態による油圧シリンダ装置1では、第1ピストン8のみに油圧がかかる第1段階(高速低推力動作)と、主に第2ピストン9に油圧がかかる第2段階(低速高推力動作)との二速動作を行う二段ピストン構造となっている。
【0033】
なお、第1の通路21と第4の通路23の電磁切換弁11側には、それぞれ互いの通路からパイロット圧が導かれるパイロット操作チェック弁(16B,16A)が配置されている。さらに、本実施形態においては、第2油圧室25をタンク15に接続する第3の通路27aがケーシング10内に設けられている。この第3の通路27aは、第1段階と第2段階との切換位置で第1ピストン8の移動により第2油圧室25に対して開閉され、この第3の通路27aには、第2ピストン9の下方への移動によって第2油圧室25の容積が増加したときのみタンク15から第2油圧室25への作動油の流入を許容する第1チェック弁28が配置されている。更にケーシング10内には第3の通路27aとほぼ同じ軸方向位置で第2油圧室25に開口する別の第3の通路27bも設けられており、この別の第3の通路27bには、第2ピストン9の上方への移動によって第2油圧室25の容積が減少したときのみ第2油圧室25から第2の通路22と第1の通路21及びBポートを経由してOFF状態の電磁切換弁11によりタンク15への作動油の流出を許容する第2チェック弁29が配置されている。
【0034】
図5は、これらの第1チェック弁28と第2チェック弁29が設けられておらず、第2の通路22と第3の通路27a、27bの第2油圧室への開口位置を第1段階と第2段階への動作切換位置にほぼ整合させた場合のシリンダストローク及びピストン圧力の経時変化の一例を示す線図であり、図6は、同様の通路構成に本実施形態に従って第1チェック弁28と第2チェック弁29を設けた場合の対応するシリンダストローク及びピストン圧力の経時変化の一例を示す線図である。但し、図5の場合は、電動油圧ポンプの吐出容量を相対的に大きくし、図6の場合と同じ全ストローク時間0.2秒を確保している。図5の場合は第2ピストン9が第1段階の高速低推力動作から第2段階の低速高推力動作へ切り換わるときにストロークが停止する不感帯が現れているが、図6に示す本実施形態の場合は、そのような不感帯は現れておらず、また圧力変化も比較的円滑である。尚、これらの図におけるストローク及び圧力の特性カーブは、実際には微小な振動ギャザが付与されているが、図面ではそれを省略している。図5と図6の比較から明らかなように、本実施形態によれば第1チェック弁と第2チェック弁によって差動回路が構成されることで油圧シリンダ装置1における第1段階から第2段階への速度切換時に第2油圧室25内の負圧の発生が回避され、またストローク端における圧力保持状態も安定に維持され、全ストローク時間0.2秒を確保するためにポンプ吐出容量を増加する必要もなく、常に安定した圧力制御が可能である。
【0035】
以上の構成を備えた油圧シリンダ装置1は、縦型工作機械の回転主軸先端に装備されたツール交換用コレットチャックのアンクランプ用油圧アクチュエータとして好適に使用することができる。即ち、縦型工作機械の回転主軸先端には、ツールホルダを交換可能にクランプするためのコレットチャックが装備されているが、このコレットチャックをアンクランプ状態にするには、主軸内を貫通するアンクランプ用の引き棒をばね力に抗して主軸先端方向へ押し下げることによりコレットを開放状態にする必要がある。この場合のコレットチャックの開閉機構では、鉛直方向に向いた回転主軸内に摺動可能に配置された引き棒40の下端にコレット部が配置され、工作機械が稼働している定常状態ではバネ力で引き棒40が主軸内で上方に引き上げられていることよってコレット部が外側から締め込まれてツールホルダをクランプしている。
【0036】
ツール交換のためにツールホルダをコレットチャックから外す際には、引き棒40をバネ力に抗して主軸内で下方へ押し下げることによりコレット部によるツールホルダのクランプを解除(アンクランプ)する。
【0037】
このアンクランプ状態を得るため、本実施形態による油圧シリンダ装置1を用いてロッド3の前進移動によって引き棒4を押し下げるものとする。そこで、工作機械側の支持基台31に対し、その定常状態においてロッド3の下端が引き棒40の上端に当接するように位置付けてケーシング10を固定軸30で固定する。
【0038】
アンクランプ操作は、図4に示すように開始点Aから終端点Eに亘り引き棒40に対する線図に沿った荷重変化で以下の通り進行する。まず、開始点Aにて、電磁切換弁11をポンプ12から第1の通路21へ圧油を供給するP−A流れに切り換え、モータ14によりピストンポンプ12の駆動を始める。
【0039】
それにより第1油圧室24へ圧油が導入され、第1ピストン8のみに油圧が作用して該第1ピストン8が下方へスライドし始めるB点にて、その押圧力により第2ピストン9およびスリーブ7を介して、ロッド3が下方へ前進駆動を始め、引き棒40上端に荷重をかけ始める図3(a)の紙面に向かって左側の状態となる。
【0040】
B点から以降、第1ピストン8の下方スライドにより第2ピストン9も押し下げられ、これに伴ってロッド3がバネ力に抗してコレット部を主軸下端部から押し出し始めるC点まで引き棒40を押し下げていく(図3(a)の紙面向かって右側)。C点から更に第1ピストン8の下方へスライド移動に伴って第2ピストン9が押し下げられ、第2油圧室25の容積を増加しはじめると第1チェック弁28を介してタンク15から第2油圧室25へ作動油が供給されるので第2油圧室25に負圧は生じることはない。第2ピストン9の移動に伴ってロッド3による引き棒40の押し下げが進み、コレット部は主軸先端部から更に押し出されながらコレットを開いていく。
【0041】
第2油圧室25の容積が更に増加し、第2の通路22が徐々に第2油圧室25に連通しはじめると、第1の通路21から第2の通路22を介して第2油圧室25への作動油の導入が開始されるストローク位置D点に達する(図3(b)の紙面向かって左側)。この場合、第2油圧室25の圧力が上昇することにより第1チェック弁28は閉鎖状態となる。この時点で、途中まで開かれたコレット部に付着切削屑等による大きな抵抗が働き、それ以上の引き棒40の押し下げとコレットの全開放に更なる推力が必要となる。
【0042】
即ち、巣での述べたB点からD点までは、必要とされる推力はほぼ引き棒に作用するバネ荷重に抗する比較的小さいものであるため、相対的に受圧面積が小さい第1ピストン8のみへの油圧の作用により、第1段階としての高速低推力での引き棒40の押し下げが遂行される。
【0043】
これに対して、D点以降は、上記抵抗に抗するための更に高い推力が必要とされるが、このときには、同時に第2油圧室25へも作動油が導入されることにより、第2ピストン9にも同じ油圧が作用し、この相対的に受圧面積の大きい第2ピストン9自身のスライド移動により、供給圧を高める必要なく推力を増加することができる。
【0044】
このようにして、D点以降では、第2ピストン9により得られる高推力でロッド3が引き棒40を更に強力に押し下げ、第2ピストン9のスライド移動が終端に達するE点ではコレット部が主軸下端部から完全に押し出され、コレットが全開のアンクランプ状態となる。このような、主に第2ピストン9への油圧作用による第2段階の動作は、第1段階の高速低推力に対して低速高推力であるが、油圧ポンプ12から吐出される圧油の圧力は同じままで実現される。第2ピストン9がストローク端に達すると圧力保持状態となり、コレットに対するツールの交換が行われる。その後、交換ツールがコレットに装着されると電磁切換弁11が図3(a)に示すポジションから切り換えられ、ポンプ12から吐出される作動油が第4の通路23に供給されて第3油圧室26に導入され、それによって第2ピストン9が第2油圧室25の容積を減少しながら上昇する。このときの第2油圧室25からの作動油の排出は第2チェック弁29を介して果たされる。
【0045】
以下に、本実施形態による油圧シリンダ装置1によってコレットチャックのアンクランプ操作を行った実機による必要動力(kW)を、従来タイプの油圧シリンダ装置を用いた場合を対照として表1に示す。なお、従来タイプは、本実施形態の第2ピストン9と同じ受圧面積を持つ単一のピストンを備えた同等機械出力の一段ピストン構造のものである。
【0046】
【表1】

【0047】
表1の結果から、従来の一段ピストン構造の油圧シリンダ装置における必要最大動力が1.70kWであったのに対して、本実施形態の油圧シリンダ装置1における必要最大動力は1.07kWとなり、従来の63%程度に抑えられていた。よって、本実施形態による二段ピストン構造の油圧シリンダ装置では、高速低推力から低速高推力までを従来よりも少ない動力で実現できることが確認された。
【0048】
なお、本実施形態における中空形状のロッド3は、中空部の貫通流路4が下方の回転主軸側へ切削油を供給するために有効であるが、工作機械側に回転主軸を介して切削油を導入する別の供給流路が形成されているなど、ロッド3側からの切削油供給を必要としない場合もあるため、貫通流路4からの異物の混入を避けるための蓋部材5で貫通流路4の上面開口を塞ぐことができる構成としてある。
【0049】
具体的には、ロッド3は、その全スライド範囲に亘って常に上端部がシリンダ本体2の上端面より突出する長さ寸法を有するものとし、蓋部材5が着脱可能に嵌合する嵌合部5Xを突出領域の外表面に備えている。嵌合部5Xは、例えばキャップ状の蓋部材5がロッド上端部に被さった際に係止できる断面階段状の形態が簡便である。また、より確実な嵌合のため、キャップ内面と前記外表面に互いに螺合する雌雄ネジ加工を施した構成としてもよい。勿論、蓋部材5の嵌合が可能な形態であれば様々な構成のものが広く採用可能であるが、できるだけ加工が容易で簡便なものが望ましい。
【0050】
なお、以上の実施例においては、工作機械の主軸におけるコレットチャックのアンクランプ操作に用いた場合を例示したが、本発明による油圧シリンダ装置は、これに限定されるものではなく、高速低推力と低速高推力との二速動作を必要とするアクチュエータとして広く有効であることは述べるまでも。
【符号の説明】
【0051】
1:油圧シリンダ装置
2:シリンダ本体
3:ロッド
4:貫通流路
5:蓋部材
5X:嵌合部
6:油圧室
7:スリーブ
8:第1ピストン
9:第2ピストン
8X,9X;受圧面
10:ケーシング
11:電磁切換弁
12:ピストンポンプ
13:シャフト
14:モータ
15:作動油タンク
16A,16B:パイロット操作チェック弁
20:油圧回路
21:第1の通路
22:第2の通路
23:第4の通路
24:第1の油圧室
25:第2の油圧室
26:第3の油圧室
27a、27b:第3の通路
28,29:チェック弁
30:固定軸
31:支持基台
40:引き棒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持基台に固定される中空円筒状のケーシングと、該ケーシングの円筒内面との間にヘッド側端面で閉鎖された油圧室を形成するように前記ケーシングの円筒内に同軸状に固定配置された段付き外周面を有する中空円筒状のシリンダ本体と、該シリンダ本体を囲む外周領域において前記ケーシングにそれぞれ配置された油圧ポンプ、該油圧ポンプを駆動する電動機、作動油タンク、及び前記油圧ポンプから吐出される作動油と前記作動油タンクへ還流する作動油との前記油圧室に対する流れの向きを切り換える電磁切換弁とを備え、
前記ケーシングの円筒内面と前記シリンダ本体の段付き外周面との間には、前記ヘッド側端面寄りに円環状横断面形状の第1油圧室と、該第1油圧室よりも前記ヘッド側端面から遠い位置に前記第1油圧室よりも大面積の円環状横断面形状の第2油圧室が形成され、
前記第1油圧室には、該第1油圧室に作用する作動油の圧力を受けて前記ヘッド側端面から離れる方向へスライド移動する円筒状の第1ピストンが配置され、
前記第2油圧室には、前記第1ピストンよりも受圧面積が大きく、該第2油圧室に作用する作動油の圧力を受けて前記ヘッド側端面から離れる方向へスライド移動する円筒状の第2ピストンが配置され、
前記第1ピストンは、前記第1油圧室内に導入される作動油の圧力によりスライド移動したときに第2ピストンと衝合して該第2ピストンを押圧移動可能であり、
前記ケーシング内には、前記油圧ポンプから供給される作動油を前記第1油圧室内へ導く第1の通路と、該第1の通路から分岐して、前記第1ピストンが第2ピストンを予め定められた位置まで押圧移動させたときに前記第2油圧室と連通する第2の通路とが設けられていることを特徴とする油圧シリンダ装置。
【請求項2】
前記第2油圧室の容積が増加したときのみ前記作動油タンクから前記第2油圧室への作動油の流入を許容する第1チェック弁を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の油圧シリンダ装置。
【請求項3】
前記第2ピストンが前記ヘッド側端面へ近づく方向へ移動して前記第2油圧室の容積が減少したときのみ前記第2油圧室から前記作動油タンクへの作動油の流出を許容する第2チェック弁を更に備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の油圧シリンダ装置。
【請求項4】
前記シリンダ本体の中空円筒内に、上端部が常に前記シリンダ本体の上端面から突出するロッドが挿入配置されて前記第2ピストンに固定され、該ロッドには液体を流通可能な貫通流路が軸心方向に形成され、該貫通流路の上面開口を塞ぐ蓋部材が前記ロッドの上端部に着脱可能とされていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の油圧シリンダ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−92911(P2012−92911A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−241170(P2010−241170)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【出願人】(000246251)油研工業株式会社 (28)
【Fターム(参考)】