説明

油圧ユニット

【課題】油ポンプを駆動制御する、油圧ユニット内に収納されている電力変換素子を確実に冷却する。
【解決手段】油圧ユニット10は、油を貯留する油タンク20と、油タンク20と対象物との間での油を循環させる油ポンプ30と、油ポンプ30を駆動制御する電力変換器42とを備えている。電力変換器42は、油タンク20に取り付けられる一方、油タンク20には、油タンク20内において油が流れる油流動部2bに面して電力変換器42の電力変換素子44の放熱部46が構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ユニットに関し、特に、油ポンプを駆動制御する電力変換素子の放熱対策に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、冷却用の油を供給する油圧ユニットには、特許文献1に開示されているように、油タンクと油ポンプとを備えているものがある。この油圧ユニットは、油ポンプの電動機を冷却する電動冷却ファンを備えている。さらに、上記油圧ユニットは、電動機の制御ボックスを備え、該制御ボックスには、電動機を制御する電子機器(電力変換素子)が収納されている。この電子機器は、発熱するので、上記制御ボックスが電動冷却ファンの風下に配置され、上記電動冷却ファンが発生する空気流によって制御ボックスの内部温度の上昇を抑制するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−8252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の油圧ユニットは、電子機器である電力変換素子を電動冷却ファンの空気流で冷却する空冷方式を採用しているので、ユニット全体が大型化するという問題があった。つまり、従来の油圧ユニットは、冷却ファンを設ける必要があると共に、空気が流れる空間を確保する必要があるので、大型化していた。
【0005】
また、ヒートシンクを設けると、ヒートシンクに外気が導入されるので、ヒートシンクの間に塵や埃が堆積し易く、冷却効率が低下するという問題がある。
【0006】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、電力変換素子を確実に冷却することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、油タンクの油に電力変換素子の発熱を放熱するようにしたものである。
【0008】
第1の発明は、油(11)を貯留する油タンク(20)と、該油タンク(20)と対象物との間での油(11)を循環させる油ポンプ(30)と、該油ポンプ(30)を駆動制御する電力変換器(42)とを備えている。そして、第1の発明は、上記電力変換器(42)は、上記油タンク(20)に取り付けられる一方、上記油タンク(20)には、該油タンク(20)内において油(11)が流れる油流動部(2b)に面して上記電力変換器(42)の電力変換素子(44)の放熱部(46)が構成されていることを特徴としている。
【0009】
上記第1の発明は、上記電力変換器(42)の電力変換素子(44)が発熱する。この電力変換素子(44)の熱は、放熱部(46)から油(11)に放熱される。この放熱によって電力変換素子(44)が冷却される。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、上記油タンク(20)が、油戻り口(25)と油吐出口(26)とを備え、上記放熱部(46)が、油戻り口(25)より油吐出口(26)に近い位置に構成されていることを特徴としている。
【0011】
上記第2の発明は、上記油タンク(20)に戻ってきた温度の高い油(11)が直接放熱部(46)に流れることが抑制される。
【0012】
第3の発明は、第1または第2の発明において、上記油タンク(20)の油流動部(2b)には、放熱部(46)より上流側に邪魔板(27)が設けられていることを特徴としている。
【0013】
上記第3の発明は、上記邪魔板(27)によって温度の高い油(11)が放熱部(46)に流れることが抑制されると共に、油(11)が攪拌される。
【0014】
第4の発明は、第1〜第3の発明の何れかにおいて、上記油タンク(20)の壁(24)には、フィン(2a)が設けられていることを特徴としている。
【0015】
上記第4の発明は、上記電力変換素子(44)の熱が放熱部(46)から油(11)に放熱されるが、この油(11)の熱は、タンク本体(21)の壁(24)のフィン(2a)を介して外気に放熱される。
【0016】
第5の発明は、第1〜第4の発明の何れかにおいて、上記電力変換器(42)が収納される制御ボックス(40)と油ポンプ(30)とが一体に形成されて駆動制御部(12)が構成され、上記駆動制御部(12)は、油タンク(20)に収納されると共に、上記電力変換器(42)と上記油ポンプ(30)とを繋ぐ配線の配線通路(4d)が形成されていることを特徴としている。
【0017】
上記第5の発明は、配線通路(4d)に電力変換器(42)と油ポンプ(30)とを繋ぐ配線が設けられる。
【0018】
第6の発明は、第1〜第5の発明の何れかにおいて、上記電力変換器(42)は、上記油タンク(20)の壁(24)に電力変換素子(44)が接して設けられていることを特徴としている。
【0019】
上記第6の発明は、上記電力変換素子(44)の熱が油タンク(20)の壁(24)に伝導して油(11)に放熱される。
【0020】
第7の発明は、第1〜第6の発明の何れかにおいて、上記油タンク(20)は、射出成形機の油圧作動油のタンクであることを特徴としている。
【0021】
上記第7の発明は、射出成形機の油圧作動油に電力変換素子(44)の熱が放熱される。つまり、上記射出成形機の油圧作動油は、一般的に、成型品の精度を維持するために約40℃に管理されているので、電力変換素子(44)の冷却に有効である。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、上記電力変換素子(44)の放熱部(46)を油流動部(2b)に面して構成するようにしたために、電力変換素子(44)の熱を油(11)に放熱することができるので、全体の小型化を図ることができる。つまり、従来のようにファンを設ける必要がなく、冷却空気の流れる空間を確保する必要がないので、本実施形態では小型化を図ることができる。
【0023】
また、従来のように外気に接するヒートシンクを設ける必要がないので、塵や埃が堆積することがなく、冷却性能の低下を抑制することができる。
【0024】
また、上記電力変換素子(44)の放熱部(46)を油流動部(2b)に面しているので、流動する油(11)に放熱を確実に行わせることができる。
【0025】
また、上記第2の発明によれば、放熱部(46)が油戻り口(25)より油吐出口(26)に近い位置に配置されているので、上記油タンク(20)に戻ってきた温度の高い油(11)が直接放熱部(46)に流れることを抑制することができる。
【0026】
また、上記第3の発明によれば、上記油タンク(20)には、邪魔板(27)が設けられているので、油(11)が邪魔板(27)を避けて流れ、温度の高い油(11)が放熱部(46)に流れることが抑制される。また、油(11)が攪拌されるので、周囲への熱伝達効率が向上する。また、スラッジが放熱部(46)の近傍に溜まることが抑制され、放熱効果の低下が防止される。
【0027】
また、上記第4の発明によれば、上記油タンク(20)にフィン(2a)を形成しているので、油(11)が吸収した熱を確実に外気に放熱させることができる。
【0028】
また、上記第5の発明によれば、配線通路(4d)に電力変換器(42)と油ポンプ(30)とを繋ぐ配線が設けられるので、上記油ポンプ(30)の主回路が電動機ケーシング(37)などの筐体に遮蔽されるので、電磁両立性(EMC)の向上を図ることができる。また、配線が外部を通らず内部配線となるので、2重被覆電線を使用する必要がなく、配線長さを短くすることができ、電線被覆に耐油性が必要とならないことから、コスト低下を図ることができる。
【0029】
また、上記第6の発明によれば、上記電力変換素子(44)の熱がタンク(20)の壁(24)を介して油(11)に放熱することができる。
【0030】
また、上記第7の発明によれば、上記射出成形機の油(11)に放熱するので、電力変換素子(44)の放熱を確実に行わせることができる。つまり、上記射出成形機の油(11)は、所定温度に維持されているので、電力変換素子(44)の放熱が確実に行われる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は、実施形態1の油圧ユニットの一部を省略した斜視図である。
【図2】図2は、実施形態1の油圧ユニットの一部を拡大した斜視図である。
【図3】図3は、実施形態1の油圧ユニットの模式的に示す断面図である。
【図4】図4は、実施形態1の油圧ユニットの模式的に示す斜視図である。
【図5】図5は、実施形態2の油圧ユニットの一部を拡大した斜視図である。
【図6】図6は、実施形態3の油圧ユニットの模式的に示す断面図である。
【図7】図7は、実施形態4の油圧ユニットの模式的に示す断面図である。
【図8】図8は、実施形態5の油圧ユニットの模式的に示す斜視図である。
【図9】図9は、実施形態6の油圧ユニットの模式的に示す斜視図である。
【図10】図10は、実施形態7の油圧ユニットの模式的に示す側面斜視図である。
【図11】図11は、実施形態7の油圧ユニットの模式的に示す平面斜視図である。
【図12】図12は、実施形態8の油圧ユニットの一部を拡大した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0033】
〈発明の実施形態1〉
図1〜図4に示すように、本実施形態の油圧ユニット(10)は、油タンク(20)を備え、例えば、油タンク(20)に油(11)として射出成形機の油圧作動油が貯留され、上記射出成形機のアクチュエータ(射出シリンダ)を駆動するために油タンク(20)の油(11)を送出するものである。
【0034】
上記油圧ユニット(10)は、上記油タンク(20)と油送出の駆動制御部(12)とを備え、該駆動制御部(12)は、油ポンプ(30)と制御ボックス(40)とを備えている。なお、図3および図4は、油圧ユニット(10)を模式的に示し、油ポンプ(30)を省略している。
【0035】
上記油タンク(20)は、油(11)を貯留するものであり、上面が開口した矩形体のタンク本体(21)を備えると共に、図示しないが、タンク本体(21)の上面を閉鎖する蓋体を備えている。上記タンク本体(21)は、底面を構成する底板(23)と、該底板(23)の4辺に連続して4つの壁を構成する側壁(24)とを備えている。なお、図示しないが、上記油タンク(20)の蓋体には、油(11)が流出入するために油戻り口と油吐出口とが形成されている。上記油戻り口は、射出成形機のアクチュエータから戻る油(11)が流入し、上記油吐出口は、射出成形機のアクチュエータへ供給される油(11)が流出するように構成されている。
【0036】
上記駆動制御部(12)は、油ポンプ(30)と制御ボックス(40)とが一体に形成され、油タンク(20)内に収納されている。上記油ポンプ(30)は、ポンプ本体(31)と電動機(32)とを備えている。該ポンプ本体(31)は、例えば、ギアポンプによって構成され、電動機(32)の上方に設置されている。上記電動機(32)は、駆動軸(33)を備えると共に、図示しないが、ロータとステータとを備え、上記駆動軸(33)がポンプ本体(31)に連結されている。そして、上記ポンプ本体(31)のポンプケーシング(36)と電動機(32)の電動機ケーシング(37)とは一体に固定されている。
【0037】
上記制御ボックス(40)は、矩形体のボックス本体(41)と、該ボックス本体(41)に収納された電力変換器(42)とを備えている。上記ボックス本体(41)は、油タンク(20)のタンク本体(21)と一体形成され、該タンク本体(21)の1つの側壁(24)から内側に凹んで形成されている。上記ボックス本体(41)におけるタンク本体(21)の側壁(24)の開口は、蓋体(4a)によって閉鎖されている。上記制御ボックス(40)の背面側、つまり、蓋体(4a)に対向する背面板(4b)の外側の面には、上記電動機ケーシング(37)とポンプケーシング(36)が連続している。
【0038】
上記電力変換器(42)は、基板(43)と、該基板(43)に実装された電力変換素子(44)と、上記基板(43)に実装されたコンデンサ等の電機部品(45)とを備えている。上記電力変換器(42)は、油ポンプ(30)を駆動制御するものであり、例えば、インバータ回路を備え、電動機(32)の回転数を制御するように構成されている。
【0039】
上記電力変換器(42)は、電力変換素子(44)が制御ボックス(40)の背面板(4b)の内面に接して設けられ、上記電力変換素子(44)が発生した熱が制御ボックス(40)の背面板(4b)に伝導するように構成されている。そして、上記制御ボックス(40)の背面板(4b)は、主として上記電力変換素子(44)の接触部が該電力変換素子(44)の放熱部(46)に構成されている。
【0040】
また、上記タンク本体(21)の4つの側壁(24)の内面と外面には、多数のフィン(2a)が形成されると共に、上記電動機ケーシング(37)の外面には、多数のフィン(3a)が形成されている。該フィン(2a,3a)は、上下方向に延び、上記電動機(32)のフィン(3a)は、電動機(32)の発熱を油(11)に放熱するように構成され、上記タンク本体(21)の内面のフィン(2a)は、油(11)の熱が伝導するように構成され、上記タンク本体(21)の外面のフィン(2a)は、油(11)の熱を外気に放熱するように構成されている。
【0041】
上記油圧ユニット(10)の内部は、油戻り口から戻った油が油タンク(20)の内部を流動し、油ポンプ(30)に吸い込まれた後、油吐出口に流れる油流動部(2b)に構成されている。上記油流動部(2b)のうち、油ポンプ(30)の電動機ケーシング(37)と制御ボックス(40)の背面板(4b)との間は、所定の間隔が形成され、油(11)が油タンク(20)の底部からポンプ本体(31)の吸引口に流れる油通路(2c)に形成されている。そして、上記油タンク(20)は、放熱部(46)が油流動部(2b)に面するように構成され、つまり、放熱部(46)が油通路(2c)に面するように構成され、制御ボックス(40)の背面板(4b)の放熱部(46)から電力変換素子(44)の熱が油(11)に放熱されるように構成されている。
【0042】
−作用−
次に、上記油圧ユニット(10)の作用について説明する。
【0043】
上記油タンク(20)には、油(11)が貯留される一方、電動機(32)を駆動してポンプ本体(31)を駆動すると、油タンク(20)の油(11)は、ポンプ本体(31)から油吐出口を流れ、例えば、射出成形機のアクチュエータに供給される。この油(11)は、上記アクチュエータから油戻り口を経て油タンク(20)に戻る。
【0044】
上記油タンク(20)において、油戻り口から戻った油(11)は、油流動部(2b)を流れ、油通路(2c)からポンプ本体(31)に吸い込まれる。上記油圧ユニット(10)の油(11)は、この動作を繰り返す。
【0045】
一方、上記電動機(32)は、電力変換器(42)によって回転数が制御される。そして、上記電力変換器(42)の電力変換素子(44)は、発熱することになるが、この電力変換素子(44)の熱は、制御ボックス(40)の背面板(4b)に伝導し、放熱部(46)から油(11)に放熱される。この放熱によって電力変換素子(44)が冷却される。
【0046】
また、上記電動機(32)は、駆動時に発熱することになるが、この電動機(32)の熱も電動機ケーシング(37)のフィン(3a)を介して油(11)に放熱される。さらに、上記油(11)の熱は、タンク本体(21)の側壁(24)のフィン(2a)を介して外気に放熱される。
【0047】
−実施形態1の効果−
以上のように、本実施形態は、制御ボックス(40)に電力変換素子(44)が接して放熱部(46)を構成し、放熱部(46)が油流動部(2b)に面するように構成したために、電力変換素子(44)の熱を油(11)に放熱することができるので、全体の小型化を図ることができる。つまり、従来のようにファンを設ける必要がなく、冷却空気の流れる空間を確保する必要がないので、本実施形態では小型化を図ることができる。
【0048】
また、従来のように外気に接するヒートシンクを設ける必要がないので、塵や埃が堆積することがなく、冷却性能の低下を抑制することができる。
【0049】
また、上記電力変換素子(44)の放熱部(46)を油流動部(2b)に面しているので、流動する油(11)に放熱を確実に行わせることができる。
【0050】
特に、上記油ポンプ(30)に吸引される油(11)が流れる油通路(2c)に電力変換素子(44)の放熱部(46)が面しているので、放熱をより確実に行わせることができる。
【0051】
また、上記油タンク(20)にフィン(2a)を形成しているので、油(11)が吸収した熱を確実に外気に放熱させることができる。
【0052】
また、上記射出成形機の油(11)に放熱するので、電力変換素子(44)の放熱を確実に行わせることができる。つまり、上記射出成形機の油(11)は、40℃などの所定温度に維持されているので、電力変換素子(44)の放熱が確実に行われる。
【0053】
〈発明の実施形態2〉
次に、本発明の実施形態2を図面に基づいて詳細に説明する。
【0054】
本実施形態は、上記実施形態1の油通路(2c)が1つの空間で形成したのに代わり、図5に示すように、仕切板(4c)を形成したものである。
【0055】
つまり、上記油通路(2c)には、電動機ケーシング(37)とボックス本体(41)の間に上下に延びる複数の仕切板(4c)が設けられている。したがって、上記油通路(2c)が複数の通路によって形成されるので、電力変換素子(44)の放熱がより確実に行われる。その他の構成、作用および効果は実施形態1と同様である。なお、図5は、上記電動機(32)のロータ(34)およびステータ(35)を明示している。
【0056】
〈発明の実施形態3〉
次に、本発明の実施形態3を図面に基づいて詳細に説明する。
【0057】
本実施形態は、上記実施形態1の制御ボックス(40)が油タンク(20)に埋め込まれたのに代わり、制御ボックス(40)を油タンク(20)の外側に取り付けたものである。
【0058】
つまり、図6に示すように、制御ボックス(40)のボックス本体(41)の背面板(4b)は、油タンク(20)のタンク本体(21)の側壁(24)の外面に密着して取り付けられている。そして、上記タンク本体(21)の側壁(24)は、電力変換素子(44)に対応する部分が主として放熱部(46)になる。つまり、該放熱部(46)は、油流動部(2b)に面している。
【0059】
さらに、上記タンク本体(21)の側壁(24)の内側には、放熱部(46)に放熱フィン(2d)が形成されている。なお、図6において、油ポンプ(30)は省略されている。この油ポンプ(30)は、油タンク(20)の内部に配置されていてもよく、また、外部に配置されていてもよい。その他の構成、作用および効果は実施形態1と同様である。
【0060】
〈発明の実施形態4〉
次に、本発明の実施形態4を図面に基づいて詳細に説明する。
【0061】
本実施形態は、上記実施形態1の制御ボックス(40)が油タンク(20)に埋め込まれたのに代わり、制御ボックス(40)を油タンク(20)の外側に取り付けたものである。
【0062】
つまり、図7に示すように、制御ボックス(40)のボックス本体(41)板は、背面が開口された矩形体に形成されている。上記電力変換器(42)は、電力変換素子(44)が油タンク(20)のタンク本体(21)の側壁(24)の外面に接して取り付けられている。そして、上記タンク本体(21)の側壁(24)は、電力変換素子(44)に対応する部分が主として放熱部(46)になる。つまり、該放熱部(46)は、油流動部(2b)に面している。なお、図7において、油ポンプ(30)は省略されている。この油ポンプ(30)は、油タンク(20)の内部に配置されていてもよく、また、外部に配置されていてもよい。その他の構成、作用および効果は実施形態1と同様である。
【0063】
〈発明の実施形態5〉
次に、本発明の実施形態5を図面に基づいて詳細に説明する。
【0064】
本実施形態は、上記実施形態1が油戻り口(25)および油吐出口(26)を適宜形成したのに代わり、制御ボックス(40)が油吐出口(26)に近接するようにしたものである。
【0065】
つまり、図8に示すように、上記油戻り口(25)は、例えば、射出成形機のアクチュエータから戻る油(11)が流入し、上記制御ボックス(40)より離れた蓋体(22)の隅部に形成されている。上記油吐出口(26)は、例えば、射出成形機のアクチュエータへ供給される油(11)が流出し、上記制御ボックス(40)に近接する蓋体(22)の隅部に形成されている。そして、上記制御ボックス(40)、特に、油流動部(2b)に面している放熱部(46)は、油戻り口(25)より油吐出口(26)に近い位置に配置されている。この結果、上記油タンク(20)に戻ってきた温度の高い油(11)が直接放熱部(46)に流れることが抑制される。なお、図8において、油ポンプ(30)は省略されている。この油ポンプ(30)は、油タンク(20)の内部に配置されていてもよく、外部に配置されていてもよい。その他の構成、作用および効果は実施形態1と同様である。
【0066】
〈発明の実施形態6〉
次に、本発明の実施形態6を図面に基づいて詳細に説明する。
【0067】
本実施形態は、上記実施形態5の油流動部(2b)が1つの空間で形成したのに代わり、油(11)が蛇行するようにしたものである。
【0068】
つまり、図9に示すように、上記油タンク(20)には、邪魔板(27)が設けられている。該邪魔板(27)は、放熱部(46)より上流側に配置され、油タンク(20)のほぼ中央部に形成され、左右の側壁(24)に亘って形成され、底板(23)から所定高さに形成されている。したがって、上記油戻り口(25)に戻ってきた油(11)は、邪魔板(27)を避け、つまり、邪魔板(27)を乗り越えて油吐出口(26)に流れる。
【0069】
この結果、温度の高い油(11)が放熱部(46)に流れることが抑制される。また、油(11)が攪拌されるので、周囲への熱伝達効率が向上する。また、スラッジが放熱部(46)の近傍に溜まることが抑制され、放熱効果の低下が防止される。なお、図9において、油ポンプ(30)は省略されている。この油ポンプ(30)は、油タンク(20)の内部に配置されていてもよく、外部に配置されていてもよい。その他の構成、作用および効果は実施形態5と同様である。
【0070】
〈発明の実施形態7〉
次に、本発明の実施形態7を図面に基づいて詳細に説明する。
【0071】
本実施形態は、上記実施形態6の油(11)を上下に蛇行させたのに代わり、油(11)が左右に蛇行するようにしたものである。
【0072】
つまり、図10および図11に示すように、上記油タンク(20)には、2つの邪魔板(27)が設けられている。2つの邪魔板(27)は、所定間隔を存して配置され、油吐出口(26)に向かって1の邪魔板(27)は、左側壁(24)から右側壁(24)の近傍まで形成され、他の邪魔板(27)は、右側壁(24)から左側壁(24)の近傍まで形成されている。したがって、上記油戻り口(25)に戻ってきた油(11)は、邪魔板(27)によって左右に蛇行して油吐出口(26)に流れる。
【0073】
この結果、温度の高い油(11)が放熱部(46)に流れることが抑制される。また、油(11)が攪拌されるので、周囲への熱伝達効率が向上する。また、スラッジが放熱部(46)の近傍に溜まることが抑制され、放熱効果の低下が防止される。なお、図10および図11において、油ポンプ(30)は省略されている。この油ポンプ(30)は、油タンク(20)の内部に配置されていてもよく、外部に配置されていてもよい。その他の構成、作用および効果は実施形態6と同様である。
【0074】
〈発明の実施形態8〉
次に、本発明の実施形態8を図面に基づいて詳細に説明する。
【0075】
本実施形態は、上記実施形態1の電動機(32)の配線対策を施したものである。
【0076】
つまり、図12に示すように、電動機ケーシング(37)とボックス本体(41)の背面板(4b)と一体形成されてるので、この電動機ケーシング(37)とボックス本体(41)とには、該電動機ケーシング(37)およびボックス本体(41)を貫通してボックス本体(41)の内部と電動機ケーシング(37)の内部とを繋ぐ配線通路(4d)が形成されている。この配線通路(4d)には、図示しないが、電力変換器(42)と電動機(32)とを繋ぐ配線が設けられる。
【0077】
したがって、上記油ポンプ(30)の主回路が電動機ケーシング(37)などの筐体に遮蔽されるので、電磁両立性(EMC)の向上を図ることができる。また、配線が外部を通らず内部配線となるので、2重被覆電線を使用する必要がなく、配線長さを短くすることができ、電線被覆に耐油性が必要とならないので、コスト低下を図ることができる。その他の構成、作用および効果は実施形態1と同様である。
【0078】
〈その他の実施形態〉
本発明は、上記各実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0079】
上記油圧ユニット(10)は、射出成形機に適用したが、工作機械やプレスなどの産業機械のアクチュエータに油(11)を供給するものであってもよい。また、上記油圧ユニット(10)は、機械の冷却や潤滑を目的に液体を循環させる装置に適用してもよい。
【0080】
また、実施形態1におけるタンク本体(21)のフィン(2a)は、第1の発明では省略されていてもよい。
【0081】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0082】
以上説明したように、本発明は、電力変換器を備えた油圧ユニットについて有用である。
【符号の説明】
【0083】
10 油圧ユニット
11 油
12 駆動制御部
20 油圧タンク
2a フィン
2b 油流動部
2c 油通路
21 タンク本体
24 側壁
25 油戻り口
26 油吐出口
27 邪魔板
30 油ポンプ
31 ポンプ本体
32 電動機
40 制御ボックス
4c 仕切板
4d 配線通路
41 ボックス本体
42 電力変換器
44 電力変換素子
46 放熱部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油(11)を貯留する油タンク(20)と、
該油タンク(20)と対象物との間での油(11)を循環させる油ポンプ(30)と、
該油ポンプ(30)を駆動制御する電力変換器(42)とを備えた油圧ユニットであって、
上記電力変換器(42)は、上記油タンク(20)に取り付けられる一方、
上記油タンク(20)には、該油タンク(20)内において油(11)が流れる油流動部(2b)に面して上記電力変換器(42)の電力変換素子(44)の放熱部(46)が構成されている
ことを特徴とする油圧ユニット。
【請求項2】
請求項1において、
上記油タンク(20)は、油戻り口(25)と油吐出口(26)とを備え、
上記放熱部(46)は、油戻り口(25)より油吐出口(26)に近い位置に構成されている
ことを特徴とする油圧ユニット。
【請求項3】
請求項1または2において、
上記油タンク(20)の油流動部(2b)には、放熱部(46)より上流側に邪魔板(27)が設けられている
ことを特徴とする油圧ユニット。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項において、
上記油タンク(20)の壁(24)には、フィン(2a)が設けられている
ことを特徴とする油圧ユニット。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項において、
上記電力変換器(42)が収納される制御ボックス(40)と油ポンプ(30)とが一体に形成されて駆動制御部(12)が構成され、
上記駆動制御部(12)は、油タンク(20)に収納されると共に、上記電力変換器(42)と上記油ポンプ(30)とを繋ぐ配線の配線通路(4d)が形成されている
ことを特徴とする油圧ユニット。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項において、
上記電力変換器(42)は、上記油タンク(20)の壁(24)に電力変換素子(44)が接して設けられている
ことを特徴とする油圧ユニット。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか1項において、
上記油タンク(20)は、射出成形機の油圧作動油のタンクである
ことを特徴とする油圧ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−61016(P2013−61016A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−199777(P2011−199777)
【出願日】平成23年9月13日(2011.9.13)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】