説明

油圧緩衝器のチェックバルブ構造

【課題】 油圧緩衝器のチェックバルブ構造において、外側環状部に高いリフトを確保しながら、支持片に対する外側環状部の接合部に生ずる応力集中を緩和すること。
【解決手段】 油圧緩衝器10のチェックバルブ構造において、チェックバルブ30の開き時に、バルブストッパ20のテーパ状ストッパ面21に衝接し得る外側環状部32のスリット34に沿うエッジE上の衝接予定部Fiと、チェックバルブ30中心との距離を、該スリット34の支持片33寄りとなる周方向の両端側よりも中央部の側においてより大きくしてなるもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧緩衝器のチェックバルブ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧緩衝器では、特許文献1、2に記載の如く、シリンダ内に、ピストンロッドのピストン又はシリンダのボトムピース等の隔壁部材を設け、この隔壁部材によってシリンダ内に2つの油室を区画し、2つの油室を連絡する流路を隔壁部材に設け、その流路を開閉するチェックバルブを有してなるものがある。
【0003】
即ち、従来の油圧緩衝器は、シリンダ内に設けた隔壁部材の流路を開閉するチェックバルブと、チェックバルブの開き時の撓みを規制するバルブストッパとを有するチェックバルブ構造を採用している。このとき、チェックバルブは、内側環状部と、外側環状部と、内側環状部と外側環状部とを接続するばね力を備えた支持片とを備え、内側環状部と外側環状部の間にそれらの環状部の周方向に延在するスリットを形成している。そして、チェックバルブの内側環状部の中央の孔を例えばピストンロッドに挿着し、外側環状部が例えばピストンの圧側流路を開閉し、内側環状部と外側環状部の間のスリットが例えばピストンの伸側流路に対向するように配置している。
【0004】
これにより、ピストンロッドの伸長作動時にはピストン上方の油室の油が、チェックバルブのスリットから伸側流路を通ってピストン下方の伸側バルブに作用してこれを押し開き、伸側減衰力を発生する。ピストンロッドの圧縮作動時にはピストン下方の油室の油が、圧側流路からチェックバルブの外側環状部に作用し、これによって外側環状部を支持片に対し撓ませて押し開き、上方の油室へと流出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6-129469
【特許文献2】特開2005-226694
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、チェックバルブは、内側環状部と外側環状部の間に形成されるスリットにより、外側環状部の曲げ剛性を低下させ、支持片に対する外側環状部の大きく撓み、高いリフト量(押し開き量)を稼ぐものである。このようなチェックバルブでは、外側環状部が支持片に対し大きく撓むとき、支持片との接合部に応力集中を生じ、割れ発生等の耐久性を損なうおそれがある。
【0007】
特許文献1に記載のチェックバルブでは、支持片に対する外側環状部の接合部に切り溝を設けておき、接合部の応力集中を若干緩和するものの、外側環状部は支持片との接合部から概ね直線状に撓む結果、その接合部になお応力集中が残り、チェックバルブの耐久性を損なう。
【0008】
本発明の課題は、油圧緩衝器のチェックバルブ構造において、外側環状部に高いリフト量を確保しながら、支持片に対する外側環状部の接合部に生ずる応力集中を緩和することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、シリンダ内に設けた隔壁部材の流路を開閉するチェックバルブと、チェックバルブの開き時の撓みを規制するバルブストッパとを有し、チェックバルブが、内側環状部と、外側環状部と、内側環状部と外側環状部とを接続するばね力を備えた支持片とを備え、内側環状部と外側環状部の間にそれらの環状部の周方向に延在するスリットを形成してなる油圧緩衝器のチェックバルブ構造において、バルブストッパがチェックバルブの外側環状部のスリットに沿うエッジと衝接し、その撓みを規制するように概ねテーパ状をなすテーパ状ストッパ面を備え、チェックバルブの開き時に、バルブストッパのテーパ状ストッパ面に衝接し得る外側環状部のスリットに沿うエッジ上の衝接予定部と、チェックバルブ中心との距離を、該スリットの支持片寄りとなる周方向の両端側よりも中央部の側においてより大きくしてなるようにしたものである。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において更に、前記チェックバルブのスリットが、支持片寄りとなる周方向の両端側から中央部に向けて徐々に広幅となる概ね三日月状をなすようにしたものである。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項1に係る発明において更に、前記チェックバルブのスリットが花びら状をなし、該スリットを形成している外側環状部の該スリットに沿うエッジ上に、バルブストッパのテーパ状ストッパ面に衝接し得る2点以上の衝接予定部を備えるようにしたものである。
【0012】
請求項4に係る発明は、請求項1〜3のいずれかに係る発明において更に、前記チェックバルブが2個以上の支持片を備えるようにしたものである。
【発明の効果】
【0013】
(請求項1)
(a)チェックバルブの開き時に、バルブストッパのテーパ状ストッパ面に衝接し得る外側環状部のスリットに沿うエッジ上の衝接予定部と、チェックバルブ中心との距離を、該スリットの支持片寄りとなる周方向の両端側よりも中央部の側においてより大きくした。即ち、チェックバルブの外側環状部は撓んだときにそのエッジ上の衝接予定部がバルブストッパのテーパ状ストッパ面に衝接することでリフト規制される。外側環状部のエッジは支持片から近い側では該外側環状部に小さなリフトを規制し、支持片から遠い側では該外側環状部に大きなリフトを許容する。これにより、外側環状部の支持片に対する撓み曲線を、支持片との接合部から近い側〜遠い側の全域で例えば均等な曲率をなすものに設定できる。従って、外側環状部の全域に応力を分散せしめ、結果として外側環状部に高いリフトを確保しながら、支持片に対する外側環状部の接合部に応力集中を生じないようにし、チェックバルブの耐久性を向上できる。
【0014】
このとき、チェックバルブの外側環状部のスリットに沿うエッジが、バルブストッパの周方向に方向性のないテーパ状ストッパ面に衝接するものであるから、バルブストッパとチェックバルブとの組立状の方向付けを必要とせず、組立性も良い。
【0015】
(請求項2)
(b)前記チェックバルブのスリットが、支持片寄りとなる周方向の両端側から中央部に向けて徐々に広幅となる概ね三日月状をなすものにした。チェックバルブのスリットが三日月状をなすことは、該スリットを形成している外側環状部の該スリットに沿うエッジ上に、バルブストッパのテーパ状ストッパ面に衝接し得る衝接予定部が連続的に形成され、外側環状部のスリットに沿うエッジが連続的にバルブストッパのテーパ状ストッパ面に衝接することを意味する。これにより、外側環状部の支持片に対する撓み曲線を、支持片との接合部から近い側〜遠い側の全域で均等な曲率をなすものに設定でき、外側環状部の全域に応力を分散せしめることができる。
【0016】
(請求項3)
(c)前記チェックバルブのスリットが花びら状をなし、該スリットを形成している外側環状部の該スリットに沿うエッジ上に、バルブストッパのテーパ状ストッパ面に衝接し得る2点以上の衝接予定部を備えるものにした。これは、外側環状部のスリットに沿うエッジ上の衝接予定部が断続的にバルブストッパのテーパ状ストッパ面に衝接することを意味する。これにより、外側環状部の支持片に対する撓み曲線を、支持片との接合部から近い側〜遠い側の全域で、概ね均等な曲率をなすものに設定でき、外側環状部の全域に応力を分散せしめることができる。同時に、スリットにおいて、バルブストッパのテーパ状ストッパ面に衝接し得る衝接予定部よりも大きく切欠かれた切欠部は、該スリットの流路面積を拡大することに寄与する。
【0017】
(請求項4)
(d)前記チェックバルブが2個以上の支持片を備える。チェックバルブの耐久性をより向上できる。また、チェックバルブの部品輸送段階で、チェックバルブ同士の絡み合いを防止できる。
【0018】
尚、バルブストッパのテーパ状ストッパ面が概ねテーパ状をなすとは、完全なテーパ状に限らず、直径が階段状に変化する多数の円板を積層して互いに階段状外周面を形成するものでも足りることを意味する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は油圧緩衝器のチェックバルブ構造を示す断面図である。
【図2】図2はチェックバルブの撓み状態を示す模式図である。
【図3】図3はチェックバルブを示す平面図である。
【図4】図4はチェックバルブの変形例を示す平面図である。
【図5】図5はチェックバルブの変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は油圧緩衝器10の要部を示すものであり、シリンダ11内に挿入されたピストンロッド12に設けたピストン13(隔壁部材)に、本願発明のバルブストッパ20とチェックバルブ30を設けた例を示すものである。
【0021】
油圧緩衝器10は、ピストンロッド12のシリンダ11への挿入端にて段差状をなす小径部12Aにワッシャ14、ワッシャ14と一体をなすバルブストッパ20、チェックバルブ30、ピストン13、伸側バルブ15、バルブストッパ16を挿着し、これらをナット17で固定してある。このとき、ピストン13は、シリンダ11の内部を2つの油室18A、18Bに区画し、2つの油室18A、18Bを連絡する伸側流路19A、圧側流路19Bを備える。
【0022】
伸側流路19Aはピストン13の内径側に穿設され、伸側バルブ15により開閉される。伸側バルブ15は複数枚の板バルブの積層体により構成されている。
【0023】
圧側流路19Bはピストン13の伸側流路19Aよりも外径側に穿設され、チェックバルブ30により開閉される。チェックバルブ30は、図3に示す如く、内側環状部31と、外側環状部32と、内側環状部31と外側環状部32とを接続するばね力を備えた支持片33とを備え、内側環状部31と外側環状部32の間にそれらの環状部の周方向に延在するC字状スリット34を形成している。図3のチェックバルブ30では、単一の支持片33を備えるものとしている。そして、チェックバルブ30の内側環状部31の中央の孔をピストンロッド12の小径部12Aに挿着し、外側環状部32がピストン13の圧側流路19Bを開閉し、スリット34がピストン13の伸側流路19Aに対向するように配置される。
【0024】
これにより、ピストンロッド12の伸長作動時にはピストン13の上方の油室18Aの油が、チェックバルブ30のスリット34から伸側流路19Aを通ってピストン13の下方の伸側バルブ15に作用してこれを押し開き、伸側減衰力を発生する。ピストンロッド12の圧縮作動時にはピストン13の下方の油室18Bの油が、圧側流路19Bからチェックバルブ30の外側環状部32に作用し、これによって外側環状部32を支持片33に対し撓ませて押し開き、上方の油室18Aへと流出する。尚、ワッシャ14とチェックバルブ30は、それらの周方向複数位置のそれぞれに、油室18Aの油をチェックバルブ30のスリット34、ピストン13の伸側流路19Aに導く孔状流路を穿設されていても良い。
【0025】
しかるに、油圧緩衝器10は、チェックバルブ30における外側環状部32のリフトを確保しながら、外側環状部32の支持片33に対する接合部に生ずる応力集中を緩和するため、以下の構成を具備する。
【0026】
まず、油圧緩衝器10にあっては、バルブストッパ20が、図1、図2に示す如く、チェックバルブ30の外側環状部32のスリット34に沿うエッジEと衝接し、その撓みを規制するテーパ状ストッパ面21を備える。テーパ状ストッパ面21は、概ねテーパ状をなすものであり、図2(A)に示す如くの完全な円錐状斜面からなるテーパ状に限らず、階段状斜面からなるテーパ状あるいは球面状をなすものでも良い。バルブストッパ20において、階段状斜面からなるテーパ状ストッパ面21は、直径が階段状に変化する多数の円板を積層し、それらの円板が互いに形成する階段状外周面によって形成するものでも良い。
【0027】
そして、チェックバルブ30は、図2に示す如くの開き時に、図3に示す如く、バルブストッパ20のテーパ状ストッパ面21に衝接し得る外側環状部32のスリット34に沿うエッジE上の衝接予定部Fiと、チェックバルブ30中心との距離(換言すれば、内側環状部31との間に形成するスリット幅Xi)を、スリット34の支持片33寄りとなる周方向の両端側よりも中央部(内側環状部31の中心を挟んで支持片33に対する反対側に位置する部分)の側においてより大きく、即ち広幅にしてなる。両端側のスリット幅をX1、中央部のスリット幅Xnとするとき、X1<Xnである。
【0028】
図3に示したチェックバルブ30にあっては、スリット34が、支持片33寄りとなる周方向の両端側から中央部に向けて徐々に広幅となる概ね三日月状をなすものとしている。
【0029】
従って、本実施例によれば以下の作用効果を奏する。
(a)チェックバルブ30の開き時に、バルブストッパ20のテーパ状ストッパ面21に衝接し得る外側環状部32のスリット34に沿うエッジE上の衝接予定部Fiと、チェックバルブ30中心との距離(換言すれば、内側環状部31との間に形成するスリット幅Xi)を、該スリット34の支持片33寄りとなる周方向の両端側よりも中央部の側においてより大きくした。即ち、チェックバルブ30の外側環状部32は撓んだときにそのエッジE上の衝接予定部Fiがバルブストッパ20のテーパ状ストッパ面21に衝接することでリフト規制される。外側環状部32のエッジEは支持片33から近い側では該外側環状部32に小さなリフトを規制し、支持片33から遠い側では該外側環状部32に大きなリフトを許容する。これにより、外側環状部32の支持片33に対する撓み曲線を、支持片33との接合部から近い側〜遠い側の全域で例えば均等な曲率をなすものに設定できる。従って、外側環状部32の全域に応力を分散せしめ、結果として外側環状部32に大きなリフトを確保しながら、支持片33に対する外側環状部32の接合部に応力集中を生じないようにし、チェックバルブ30の耐久性を向上できる。
【0030】
このとき、チェックバルブ30の外側環状部32のスリット34に沿うエッジEが、バルブストッパ20の周方向に方向性のないテーパ状ストッパ面21に衝接するものであるから、バルブストッパ20とチェックバルブ30との組立状の方向付けを必要とせず、組立性も良い。
【0031】
(b)前記チェックバルブ30のスリット34が、支持片33寄りとなる周方向の両端側から中央部に向けて徐々に広幅となる概ね三日月状をなすものにした。チェックバルブ30のスリット34が三日月状をなすことは、該スリット34を形成している外側環状部32の該スリット34に沿うエッジE上に、バルブストッパ20のテーパ状ストッパ面21に衝接し得る衝接予定部Fiが連続的に形成され、外側環状部32のスリット34に沿うエッジEが連続的にバルブストッパ20のテーパ状ストッパ面21に衝接することを意味する。これにより、外側環状部32の支持片33に対する撓み曲線を、支持片33との接合部から近い側〜遠い側の全域で均等な曲率をなすものに設定でき、外側環状部32の全域に応力を分散せしめることができる。
【0032】
図4は、チェックバルブ30が2個の支持片33を備え、2個のスリット34を形成したものである。チェックバルブ30は、図2に示す如くの開き時に、図4に示す如く、バルブストッパ20のテーパ状ストッパ面21に衝接し得る外側環状部32の各スリット34に沿うエッジE上の衝接予定部Fiが内側環状部31との間に形成するスリット幅Xiを、各スリット34の支持片33寄りとなる周方向の両端側よりも中央部の側においてより広幅してなる。両端側のスリット幅をX1、中央部のスリット幅をXnとするとき、X1<Xnである。従って、チェックバルブ30の各スリット34は、図3に示したチェックバルブ30のスリット34と同様に、2個の支持片33寄りとなる周方向の両端側から中央部に向けて徐々に広幅となる概ね三日月状をなす。
【0033】
本実施例によれば、チェックバルブ30の耐久性をより向上できる。また、チェックバルブ30の部品輸送段階で、チェックバルブ30同士の絡み合いを防止できる。
【0034】
図5は、チェックバルブ30がスリット34を花びら状にし、外側環状部32のスリット34に沿うエッジE上の複数箇所に、凹状切欠部32Aを形成している。このとき、チェックバルブ30は、スリット34を形成している外側環状部32の該スリット34に沿うエッジE上に、バルブストッパ20のテーパ状ストッパ面21に衝接し得る2個以上の衝接予定部Fiを備える。図5に示した2点鎖線は、それらの2点以上の衝接予定部Fiを結んだ、バルブストッパ20のテーパ状ストッパ面21とチェックバルブ30における外側環状部32のスリット34に沿うエッジEとの衝接予定曲線である。
【0035】
図5では、チェックバルブ30におけるスリット34の支持片33寄りとなる周方向の左端側から中央部の間と、右端側から中央部の間のそれぞれにおいて、各4個の衝接予定部F1、F2、F3、F4を備え、それらの衝接予定部F1、F2、F3、F4が内側環状部31との間に形成するスリット幅X1、X2、X3、X4をX1<X2<X3<X4とするものである。
【0036】
本実施例によれば、外側環状部32のスリット34に沿うエッジE上の衝接予定部F1、F2、F3、F4が断続的にバルブストッパ20のテーパ状ストッパ面21に衝接するものになる。これにより、外側環状部32の支持片33に対する撓み曲線を、支持片33との接合部から近い側〜遠い側の全域で、概ね均等な曲率をなすものに設定でき、外側環状部32の全域に応力を分散せしめることができる。同時に、スリット34において、バルブストッパ20のテーパ状ストッパ面21に衝接し得る衝接予定部F1、F2、F3、F4よりも大きく切欠かれた切欠部32Aは、該スリット34の流路面積を拡大することに寄与する。
【0037】
以上、本発明の実施例を図面により詳述したが、本発明の具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。例えば、本発明はチェックバルブが3個以上の支持片を備え、3個以上のスリットを形成するものでも良い。
【0038】
また、本発明はシリンダのボトムピースを隔壁部材とし、このボトムピースの流路を開閉するチェックバルブに適用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、シリンダ内に設けた隔壁部材の流路を開閉するチェックバルブと、チェックバルブの開き時の撓みを規制するバルブストッパとを有し、チェックバルブが、内側環状部と、外側環状部と、内側環状部と外側環状部とを接続するばね力を備えた支持片とを備え、内側環状部と外側環状部の間にそれらの環状部の周方向に延在するスリットを形成してなる油圧緩衝器のチェックバルブ構造において、バルブストッパがチェックバルブの外側環状部のスリットに沿うエッジと衝接し、その撓みを規制するように概ねテーパ状をなすテーパ状ストッパ面を備え、チェックバルブの開き時に、バルブストッパのテーパ状ストッパ面に衝接し得る外側環状部のスリットに沿うエッジ上の衝接予定部と、チェックバルブ中心との距離を、該スリットの支持片寄りとなる周方向の両端側よりも中央部の側においてより大きくしてなるものである。これにより、油圧緩衝器のチェックバルブ構造において、外側環状部に高いリフトを確保しながら、支持片に対する外側環状部の接合部に生ずる応力集中を緩和することができる。
【符号の説明】
【0040】
10 油圧緩衝器
11 シリンダ
12 ピストンロッド
13 ピストン
18A、18B 油室
19A 伸側流路
19B 圧側流路
20 バルブストッパ
21 テーパ状ストッパ面
30 チェックバルブ
31 内側環状部
32 外側環状部
32A 切欠部
33 支持片
34 スリット
E エッジ
Fi 衝接予定部
Xi スリット幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダ内に設けた隔壁部材の流路を開閉するチェックバルブと、チェックバルブの開き時の撓みを規制するバルブストッパとを有し、
チェックバルブが、内側環状部と、外側環状部と、内側環状部と外側環状部とを接続するばね力を備えた支持片とを備え、内側環状部と外側環状部の間にそれらの環状部の周方向に延在するスリットを形成してなる油圧緩衝器のチェックバルブ構造において、
バルブストッパがチェックバルブの外側環状部のスリットに沿うエッジと衝接し、その撓みを規制するように概ねテーパ状をなすテーパ状ストッパ面を備え、
チェックバルブの開き時に、バルブストッパのテーパ状ストッパ面に衝接し得る外側環状部のスリットに沿うエッジ上の衝接予定部と、チェックバルブ中心との距離を、該スリットの支持片寄りとなる周方向の両端側よりも中央部の側においてより大きくしてなることを特徴とする油圧緩衝器のチェックバルブ構造。
【請求項2】
前記チェックバルブのスリットが、支持片寄りとなる周方向の両端側から中央部に向けて徐々に広幅となる概ね三日月状をなす請求項1に記載の油圧緩衝器のチェックバルブ構造。
【請求項3】
前記チェックバルブのスリットが花びら状をなし、該スリットを形成している外側環状部の該スリットに沿うエッジ上に、バルブストッパのテーパ状ストッパ面に衝接し得る2点以上の衝接予定部を備える請求項1に記載の油圧緩衝器のチェックバルブ構造。
【請求項4】
前記チェックバルブが2個以上の支持片を備える請求項1〜3のいずれかに記載の油圧緩衝器のチェックバルブ構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−172700(P2012−172700A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−32469(P2011−32469)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(000146010)株式会社ショーワ (715)
【Fターム(参考)】